JP4487061B2 - 剥離性熱シール層を有する金属化フィルムコンデンサ形成用キャリア・テープ - Google Patents

剥離性熱シール層を有する金属化フィルムコンデンサ形成用キャリア・テープ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気(あるいは電子)部品を仮支持して、該電気部品に対して各種処理を施すに適したキャリア・テープ、特に金属化(メタライズド)フィルムコンデンサ素子の製造工程において一対のキャリア・テープ間にシール挾持された円筒状あるいは偏平円筒状等のコンデンサ素子の露出した両端面に金属溶射を行う態様でマスキングテープとして使用するに適したキャリア・テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
メタライズドフィルムコンデンサの製造のためには、一般に二枚のメタライズドフィルムを同心円状に巻き取って円筒状あるいは偏平円筒状のコンデンサ素子とした後、図1に側断面図を示すように、多数のこれらコンデンサ素子1をその軸方向が(図1の紙面に垂直の方向に)平行となるように近接して並べ、一対のそれぞれ片面に粘着剤を塗布した紙テープ、プラスチックテープ等のマスキングテープ2の間に該テープ2の両側縁部がコンデンサ素子端面より若干(例えば1mm程度)突出する形態で圧着部材3の助けにより圧着挾持させ、露出したコンデンサ素子1の両側端面に金属溶射(いわゆるメタリコン)を行う。金属溶射後のコンデンサ素子1は、素子端面あるいは近傍に余剰付着した金属を真ちゅうワイヤ等の金属ブラシで掻き取って電気特性を安定化した後、一対のマスキングテープを粘着面において剥離させる過程で個別素子として回収される。これら金属溶射後のコンデンサ素子の回収工程は、例えば3000個というような多数のコンデンサ素子を挾持した、例えば340mというような長尺のマスキングテープを移送しつつ、例えば毎分40m程度の高速で連続的に行われる。
【0003】
上記のようなメタライズドフィルムコンデンサの製造のために用いられるマスキングテープとしては、紙を基材とする紙テープと、ポリエステルフィルムあるいはポリプロピレンフィルム等を基材とするプラスチックテープが用いられているが、紙テープの場合は層間強度が弱いために、金属溶射後にマスキングテープを剥離させる際にテープが破れて素子回収工程が停止することがある。
【0004】
これに対し、ポリエステルフィルムあるいはポリプロピレンフィルム等の基材を用いるプラスチックテープは、必要に応じて厚さを増すことにより、強度の向上が可能であるが、基材厚さの増大とともに、テープの剛性が増し、図1の隣接する素子1との対向周面近傍で素子とテープ2の間に空隙4が発生しがちとなり、この空隙に溶射金属が回り込んで不良素子を発生させる傾向が大となる。このようなプラスチックテープの剛性の増大による空隙の発生防止とテープ強度の増大を調和させるために、プラスチックフィルム基材上にフィルムの長手方向に繊維の流れのある不織布を貼合せた後に粘着剤を塗布することにより強度および弾性を付与したマスキングテープ(特公平5−44168号公報)、あるいは、プラスチックフィルム基材上に塗布する粘着剤中に発泡剤を混入させて、金属溶射等の熱により粘着剤層の発泡を起させて、素子−テープ間の空隙の発生を防止させたマスキングテープ(特開平11−214272号公報)も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来型のプラスチックマスキングテープは、上記した金属溶射および素子回収工程を含む酷しいメタライズドフィルムコンデンサ製造プロセスに耐えるために必要な以下のような特性をすべて満足するものではなかった。
【0006】
(1)金属溶射に耐える耐熱性を有すること。
(2)金属溶射に際してコンデンサ素子周面に密着して充分なマスキング性を有すること。
(3)上記(2)に関連して、図1に示すような隣接素子との対向個所において、素子−テープ間の間隙4の発生を防止するべく、素子1に対して充分な密着フィット性を示す程度に柔軟であること。
(4)金属溶射後の余剰付着金属の除去のための金属ワイヤブラッシングに耐える強度を有すること。
(5)金属ワイヤブラッシング後のテープ剥離工程において、異常な破れ、引裂きを起さないこと。
(6)テープ剥離工程後に、コンデンサ素子周面に接着剤残渣を残して、絶縁抵抗変化等の素子特性の不安定化を招かないこと。
(7)季節変動等を含めて、環境条件の変動に拘らず、上記(1)〜(6)の特性を安定的に発揮すること。
【0007】
端的に云って、従来の粘着剤塗布型のプラスチックマスキングテープは、上記(6)、(7)の点で明らかに問題を残し、また(2)〜(5)の点においても必ずしも満足な性能を有するものではなかった。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、メタライズドフィルムコンデンサ製造工程において金属溶射におけるマスキングテープとして使用するに際して要求される上記(1)〜(7)の特性を良く調和させた電気部品用のキャリア・テープを提供することを主要な目的とする。
【0010】
本発明は、それぞれ熱シール樹脂層を有する一対のキャリア・テープの熱シール樹脂層間に配列されてシール挾持された複数の金属化フィルムコンデンサ素子の露出端面に金属溶射がなされる態様で用いられ、一対のキャリア・テープのそれぞれが、ポリアミド樹脂芯層を、該ポリアミド樹脂芯層の厚さの1/2以下の厚さを有する耐熱性樹脂層と、熱シール樹脂層とで挾持してなる構造を有するキャリア・テープを提供するものである。
【0011】
以下、本発明を、その背景について触れつつ実施態様に即して説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のマスキングテープ(キャリア・テープ)は、従来のプラスチックマスキングテープの使用態様を示す図1と一見類似した図2の態様で使用される。
【0013】
すなわち、一般には、二枚のメタライズドフィルムを同心円状に巻き取って円筒状あるいは偏平円筒状としたコンデンサ素子1をその軸方向が平行となるように近接して並べ、一対の熱シール樹脂層を有する本発明のマスキングテープ(キャリア・テープ)20の熱シール樹脂層間に且つマスキングテープ20の両側縁部が若干突出する形態で挾持配置し、熱シールバー30により隣接コンデンサ素子1間の一対のマスキングテープ20を熱シールする。
【0014】
これにより従来の粘着剤型のマスキングテープ2を用いる場合(図1)とは異なり、コンデンサ素子1とマスキングテープ20間(例えばA部)には、直接の接着力(粘着力)が働くことなく、B部で熱シールされたマスキングテープ20相互間の接着力と、該接着シール部Bにより緊張されたマスキングテープ20に働く引張応力と該マスキングテープ20の持つ柔軟性により、コンデンサ素子1とマスキングテープ20間の密着性が担保されることになる。
【0015】
本発明者らは、上述の目的達成のために、当初、図3に示すように柔軟性と機械的強度を兼ね備えたポリアミド樹脂層20aと熱シール樹脂層20bの二層からなるマスキングテープ(20X)を開発し、試験したところ、空隙の発生しがちなC部における空隙の発生もなく、金属溶射中の熱に耐えて良好なマスキング性能を発揮することが可能であり、上記マスキングテープに要求される特性(1)〜(7)のうち、(1)〜(3)および(6)〜(7)に関しては、ほぼ満足し得る性能が得られた。しかし、(4)および(5)のブラッシングおよび剥離工程における耐久性においては若干の不満が残った。すなわち、極めて苛酷なブラッシングに引き続く剥離工程において、マスキングテープ20Xは引き裂きを起こすことがあった。
【0016】
しかしながら、本発明者の更なる研究の結果、図3に対応する断面図として図4、ならびに部分切欠き斜視図として図5に示すように、ポリアミド樹脂層20a上に、更にその厚さの1/2以下の厚さを有する耐熱性樹脂層20cを設けた本発明のマスキングテープ20によって上記(4)および(5)のブラッシングおよび剥離工程適性も含めて、極めて満足すべき特性が得られた。
【0017】
このような本発明のマスキングテープ20によって保持された一つのコンデンサ素子1の金属溶射前の断面積層構造は図6に示すような状態となる。
【0018】
本発明者らの開発したマスキングテープ20X(図3)および20(図4または5)は、金属溶射中のマスキング力を、従来のプラスチックマスキングテープのように粘着剤層の発揮する粘着力および粘着剤層に付与した弾力(体積圧縮弾性)により得るのでなく、B部(図2)でのシール強度と、そのもたらす緊張力とマスキングテープ自体の持つ柔軟引張弾性により担保して、粘着剤の使用に伴う上記(6)、(7)等の不都合を除いた点で画期的であり、特に比較的薄い耐熱性樹脂層20cを形成したマスキングテープ20によれば、上記したマスキングテープの要求特性(1)〜(7)の全てにおいて、満足な特性が得られるものである。
【0019】
比較的薄い耐熱性樹脂層20cを設けることにより極めて顕著な機械的特性の改善が得られた理由は、必ずしも明らかになっていないが、今のところ以下のように考えられている。
【0020】
(イ)耐熱性樹脂層20cにより、マスキングテープ全体の耐熱性が向上し、金属溶射中の熱劣化が防止される。
(ロ)耐熱性樹脂は一般にポリアミド樹脂よりも高剛性であり、そのため並びに異樹脂の積層補強効果によって、金属ワイヤブラッシング工程における、その下のポリアミド樹脂芯層の縁部損傷を緩和する。従って、引き続く剥離工程において異常引き裂きが起るのを防止する。
(ハ)後述の実験例に示されるように、原因は明らかでないが、耐熱性樹脂層20cを設けることにより逆側の熱シール樹脂層20bによる熱シール強度が増大し、熱シール部B(図2)のシール強度において担保されるマスキングテープ20とコンデンサ素子1との密着性が改善され、その後の金属ワイヤブラッシングおよび剥離工程において耐久性を発揮する。特に熱シール後に熱シール樹脂層20b(図6)が明瞭な層として維持された状態で、安定なシール強度を発揮し、全体としてシール強度が一様なため、剥離工程において、異常引き裂きが起らない。
【0021】
以下、本発明のマスキングテープ(キャリア・テープ)20の各層の構成についてより詳細に説明する。
【0022】
ポリアミド樹脂芯層20aを構成するポリアミド樹脂としては、良好な耐熱性と機械的強度を兼ね備えた各種のものが知られており、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612を成分とする単独重合体あるいは二元ないし三元共重合体からなる脂肪族ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などの芳香族ジアミン単位を含む芳香族ポリアミド、イソフタル酸あるいはテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸単位を含む芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの共重合体、上記ポリアミドの混合物が用いられる。金属溶射に耐える耐熱性を得るため、ポリアミド樹脂は、融点が150℃以上であることが好ましく、余り高融点として柔軟性を失わないために特に170〜230℃の融点を有するものが好ましい。ポリアミド樹脂芯層20aは、機械的特性の改善のために、必要に応じて一軸または二軸に延伸されていることも好ましい。
【0023】
必要な引張り強度および引裂き強度を含む機械的強度を有し、且つ柔軟性を確保するために、ポリアミド樹脂芯層20aは、15〜35μmの範囲の厚さを有することが好ましい。
【0024】
耐熱性樹脂層20cを構成する耐熱性樹脂としては、融点が230℃以上、好ましくは260℃以上のフィルム形成性樹脂が用いられ、その例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイドなどのポリアリーレンサルファイドなどが挙げられるが、高融点のフィルム形成性樹脂であれば、これに限られることはない。これら耐熱性樹脂は、高融点を与える分子構造との関係で必然的に剛性が高く、金属溶射および引き続く後工程において、熱的にまた機械的にポリアミド樹脂芯層20bを保護し、あるいは協動的に優れた耐久性を示すマスキングテープ20を与える。但し、全体として必要な柔軟性を維持すべく、その厚さはポリアミド樹脂芯層20bの厚さの1/2以下である必要があり、また6〜15μm、特に9〜12μm程度の厚さが好ましい。
【0025】
熱シール樹脂層20bを構成する熱シール性樹脂としては、低温シール特性を有するポリエチレンをはじめとするポリオレフィン、オレフィンとアクリル酸、メタクリル酸あるいは酢酸ビニル等の極性モノマーとの共重合体、ならびにこれらに金属架橋を導入したアイオノマー樹脂(サーリン)等が用いられ、必要なシール強度に応じて適当な熱シール性樹脂が選択される。熱シール樹脂層20bの厚さは、必要なシール強度に応じて適宜選択されるが、一般に15〜35μmの範囲が好ましい。例えば、一般の電気部品用の仮支持用キャリア・テープとして用いられる場合は、易剥離性を重視して、比較的低いシール強度であることが好ましい。しかしながら、金属溶射のマスキングテープとして用いられるときには、良好なマスキング特性をシール部Bでのシール強度で保証し、またその後の剥離工程での素子とテープの一体性を確保するために、例えば15〜35N/15mm幅というような比較的強いシール強度を、安定的に得ることが好ましい。この意味でオレフィンモノマー、特にエチレンと、極性モノマーとの共重合体樹脂あるいはこれに金属架橋を導入したアイオノマー樹脂がより好ましい。そして、前述したように、本発明のマスキングテープ20においては、耐熱性樹脂層20cを設けた結果として、熱シール樹脂層20aが良好に維持された範囲内で安定なシール強度が得られるため、シール強度のバラツキによるポリアミド樹脂芯層20bの引き裂きが防止される。
【0026】
このような熱シール強度を高速で得るための熱シール方法としては、フィルムの局部的高速加熱および急冷の可能なインパルス加熱シール法あるいは高周波加熱シール法を用いることが好ましい。また、例えばテープ20の長手方向にそって約10〜20mmの幅Wを有するコンデンサ素子1に対しては、約0.5〜2mmのシール幅S(図2)をとることが、必要なマスキング効果を与えるシール強度と、剥離の容易性を両立させるために好ましい。
【0027】
本発明のキャリア・テープ(マスキングテープ)20は、上述した耐熱性樹脂層20c、ポリアミド樹脂芯層20aおよび熱シール樹脂層20bを、必要に応じて、これら層間に接着剤層を介して、ドライラミネーションあるいは共押出しにより積層することにより形成される。接着剤としては、酸変性ポリオレフィン樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、無延伸ナイロンフィルム(市販品の例として、東レ社製「レイファン1401」(ナイロン6無延伸フィルム))等が好ましく用いられるが、マスキングテープ全体としての柔軟性を損なうことなく、必要な接着が得られる限りにおいて、これらに限らず使用可能である。接着剤層は、一般に1〜3μm程度の厚さで形成することが好ましい。
【0028】
本発明のキャリア・テープには、必要に応じて、追加の層を含めることもできるが、特にマスキングテープとして用いる際には、必要な柔軟性と強度を確保するべく、合計厚さが30〜90μmの範囲とすることが好ましい。本発明のマスキングテープには、必要に応じて、電子線照射、コロナ処理等の後処理を行うことができる。
【0029】
マスキングテープ20の幅は一般に5〜50mm程度、長さは基本的に任意であり、500m以上にも形成し得る。
【0030】
上述したように、本発明のキャリア・テープは、メタライズドフィルムコンデンサ製造における金属溶射のマスキングテープとして用いるのに極めて適したものであるが、複数の電気(あるいは電子)部品等を本発明のキャリア・テープ上に仮支持しておいて、必要に応じて一定期間の保管後に、(イ)テープを搬送しながら、各部品を取り外しつつ必要な電気(電子)機器に組み込むか、あるいは(ロ)搬送過程で金属溶射以外の処理に付して、その後、各部品を取り外しつつ電気(電子)機器に組み込むような態様で用いられるのに適したキャリア・テープを与えるものである。
【0031】
上記(イ)の態様の例としては、図7(平面図)に示すようにそれぞれ本発明のキャリア・テープに相当するが幅の異なる一対のテープ20Aおよび20B間に複数の電気部品11を適当に離間して熱シールにより仮止めし、マスキングテープ20Aおよび20Bを、矢印方向に搬送する過程で、作業者が適時にテープ20Bをテープ20Aから剥離して、電気部品11を取り出し、電気機器の本体に組み込んで行くのに適している。本発明のキャリア・テープは、電気部品に直接接着することなく、これを仮支持するものであるため、接着剤が取り出した電気部品11に付着するおそれは全くなく、抵抗の変化等による特性のバラツキの問題は生じ得ない。必要な、仮止め強度に応じて、テープ20A−20B間の接着強度は適宜変更可能であり、また必要な仮止め強度が小さい場合押えに使うテープ20Bを電気部品11を露出させる程度に狭幅とすることも可能である。
【0032】
また上記(ロ)の例としては、側面図として図8に示すような態様が挙げられる。すなわち、上述したような金属溶射工程およびテープ剥離工程を経て金属溶射層5を両端面に有するコンデンサ素子1を得、該コンデンサ素子1の該金属溶射層5にリード線6を半田付けして得た素子を、そのリード線6の部分で、本発明のキャリア・テープに相当する一対のキャリア・テープ20Aおよび20B間に熱シール仮止めした後、テープ20A、20Bを矢印方向に搬送する過程で溶融樹脂浴7に素子を浸漬し、引き上げれば、コンデンサ素子の樹脂モールドを簡単に且つ連続的に行うことが可能になる。樹脂モールド後のコンデンサ素子は、テープ20Bを20Aから剥離することで回収される。
【0033】
上記図7および図8のいずれの態様においても、テープ20Aおよび20Bの一方、おそらくは強度要求の小さい方を、本発明のキャリア・テープ以外の熱シール性樹脂テープで置き換えることも可能である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例、比較例、参考例により、本発明を更に具体的に説明する。
【0035】
実施例1
基本的に図4に示す積層構造を有する本発明のキャリア・テープ20を以下のようにして製造した。
【0036】
すなわち、厚さ25μmの二軸延伸のナイロン6フィルム(ユニチカ社製「エンブレムON」;融点215℃)の一面に、ポリエステル系樹脂(東洋モルトン社製「AD502」)10重量部とポリイソシアネート(東洋モルトン社製「CAT−10L」)1重量部との混合物を約60重量部の酢酸エチルに希釈した後、グラビアコートし、乾燥して厚さ約2μmの接着剤層を形成した。次いで該接着剤層上に、厚さ9μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製「エンブレトット」;融点264℃)を約85℃に加熱したピンチローラ間に通してドライラミネートした。
【0037】
更にドライラミネート後のナイロン6フィルムの他面に、同じ混合接着剤による約2μm厚さの接着剤層を形成したのち、該接着剤層上にエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂(デュポン社製「ニュクレルNC−5」;融点92〜95℃)を押出コートして厚さ30μmの接着剤層を形成した。
【0038】
かくして、接着剤2層を介して、基本的にポリアミド樹脂芯層20aを、ポリエチレンテレフタレート層20cとEMAA熱シール樹脂層20bで挾持した図4の積層構造を有するフィルムが得られ、これを24mm幅にスリットすることにより本発明のキャリア・テープ(マスキングテープ)が得られた。
【0039】
このキャリア・テープは、テンシロン万能引張試験機(東洋ボールドウィン社製「UTM−III−100」)による引張り速度50mm/分の条件での測定により引張強度132.7N/15mm幅および破断伸度126.6%を示した。
【0040】
別途、Alの蒸着パターンをそれぞれ形成した約5μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム2枚を円柱状に巻き取り、プレス成形して得た長径W(図2)13mm、短径7mm、長さ21mmの偏平円筒状コンデンサ素子1の約500個を上記で得られた二枚のキャリア・テープ20の熱シール樹脂層間に、図2と同様にそれら素子1の長さ方向が互いに平行で且つテープ20の長手方向と直交するようにピッチ約14mm(シール部Bにおける間隔Sとして約1mm)に配列し、超音波シール装置(BRANSON社製「MODEL KET−1」、出力150ワット)によりシール温度約90℃、0.2秒、シール間隔0.6秒で連続的にシールした。得られたコンデンサ素子1をシール挾持する一対のテープ20を同心ロール状に巻き上げ、露出したコンデンサ素子1の両端に、それぞれ、亜鉛および錫を、逐次金属溶射して厚さ約0.2mmの溶射層を形成した。
【0041】
金属溶射後のコンデンサ素子を担持するマスキングテープ対は約40m/分の速度でロールから巻き戻しつつ、それぞれ約50mm径で150〜200rpmで回転する4個の真ちゅうワイヤブラシにより、上面、下面、可視端面および裏側端面(図2に示す配置において)のブラッシングを受け、更にガイドローラを通過する際に、下流側の一対のニップローラから張力を受けて股裂き状態の剥離力を受けて互いに分離され、同時に処理後のコンデンサ素子はテープから分離されて回収された。
【0042】
500個の素子を担持する60mのテープを上記のように連続処理する一連の工程において、テープの異常引き裂きは一度も起らず、処理後テープの巻き取りロールにおいてテープ縁部には、目視ならび接触により若干のざらつきは認められるものの、ほとんどが切れは認められなかった。
【0043】
回収されたコンデンサ素子の周囲には、接着剤の付着は全く認められず、また図2のA部およびC部に相当する部位も含めて全周面において、蒸着金属の回り込みを示す素子は一つも認められず、いずれの素子にも両端面に均質な亜鉛/錫の溶射膜が形成されていた。
【0044】
比較例1
厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に、厚さ42μmの粘着剤を含浸したポリエステル不織布層を有し、合計厚さが約80μmのマスキングテープ(前記特公平5−4416号の実施例相当)を用意した。
【0045】
このマスキングテープは、実施例1と同様の測定により、引張強度94.8N/15mm幅および破断伸度118.2%を示した。
【0046】
参考例1
実施例1で用いた厚さ25μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの片面に厚さ約2μmの接着剤層および厚さ30μmのEMAA樹脂層を実施例1と同様に形成し、逆側面に接着剤層ならびにポリエチレンテレフタレート層を形成することなしに基本的に図3の二層構造を有するマスキングテープ20Xを得た。
【0047】
このマスキングテープは、実施例1と同様の測定により、引張強度117N/15mm幅および破断伸度116%を示した。
【0048】
このマスキングテープを用いる以外は、実施例1と同様にしてコンデンサ素子の保持、金属溶射、金属溶射後の金属ワイヤブラッシングおよびテープ剥離の一連の工程を行ったところ、回収されたコンデンサ素子の周囲には、接着剤の付着は全く認められず、また図2のA部およびC部に相当する部位も含めて全周面において、蒸着金属の回り込みを示す素子は一つも認められず、いずれの素子にも両端面に均質な亜鉛の溶射膜が形成されていた。
【0049】
しかしながら、500個の素子を担持する60mのテープを連続処理する実施例1と同じ一連の工程において、テープ切れが発生した。また処理後テープの巻き取りロールにおいてテープ縁部には約1mm程度の切れ込みあるいは縁部の欠損が認められ、大量生産においてはテープの異常引き裂きによるプロセス中断の可能性が認められ安定なプロセスの継続の観点で問題があると判断された。
【0050】
シール強度測定例
上記実施例1、比較例1および参考例1でそれぞれ得られたマスキングテープの各1対をそれらの接着剤層が内側になるように重ね加熱先端部形状が長さ200mm、幅5mmであるインパルスヒートシーラ(富士インパルス(株)製「FS−215型」)により、その長さ方向がテープの長手方向と直交するようにヒートシールした。各テープ対について、印加パワーを15Wで一定とし、シール時間を0.4秒(到達温度として65℃)、0.6秒(75℃)、0.8秒(90℃)、1秒(105℃)、1.2秒(120℃)、1.4秒(135℃)および1.6秒(145℃)と変えて、各10mm間隔で7個所のシール部を形成し、実施例1と同様に各シール個所についてテンシロン引張試験機により引張り速度50mm/分の条件でT型剥離によるシール強度を測定した。
【0051】
測定結果を図9のグラフに示す。
【0052】
比較例1のテープは粘着剤層を用いているため、加熱時間によるシール強度の変化は小さく、また1.4秒を超えて加熱すると却ってシール強度の低下を示している。全体にシール強度は低く、A部(図2)でのマスキング効果は、その素子1への粘着力に依存しているものと認められる。
【0053】
参考例1のテープは加熱時間1.0秒まで安定的にシール強度を増大させるが、それを超えて加熱すると一旦増大したシール強度を与えるが、界面剥離ではなくテープの切れ(引き裂き)を起している。
【0054】
これに対し、実施例1のテープは、比較的短い加熱時間で充分高いシール強度を与え、また加熱時間1.4秒までは、概ね安定したシール強度の増大を示す。但し、1.6秒になるとテープの切れを示している。このことは、実施例1のテープによれば参考例1のテープに比較してシール条件に幅が得られ、図2に示すシール作業が容易化することを示す。また大なるシール強度は、シール部Bにおけるシールにより、テープの柔軟性と相まってA部のマスキング効果を確実にする上で有効と認められる。
【0055】
参考例1および実施例1のテープにおいて、点線で示したフィルム切れサンプルのシール個所においては、図3または図4の熱シール樹脂層20cが変形して、その下のポリアミド樹脂層20a相互の接着が認められており、これが安定な界面あるいは熱シール樹脂層20c中での安定な凝集破壊によるテープ剥離を妨げているものと解される。
【0056】
【発明の効果】
上述したように、本発明によればメタライズドフィルムコンデンサの製造工程における金属溶射のマスキングテープとして優れた適性を示すキャリア・テープが与えられる。また、このキャリア・テープは、一旦電気部品等を仮支持した後に各種処理を施すに適した各種部品のキャリア・テープとしても有効に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のマスキングテープによるコンデンサ素子のマスキング工程の説明図。
【図2】本発明のキャリア・テープ(マスキングテープ)によるコンデンサ素子のマスキング工程の説明図。
【図3】参考例1のキャリア・テープの厚さ方向断面図。
【図4】本発明のキャリア・テープの一例の厚さ方向断面図。
【図5】同キャリア・テープの部分切欠斜視図。
【図6】コンデンサ素子をシール挾持した状態での本発明のキャリア・テープの厚さ方向断面図。
【図7】本発明のキャリア・テープの別の使用態様を示す部分平面図。
【図8】本発明のキャリア・テープの更に別の使用態様を示す部分側面図。
【図9】実施例、比較例、参考例のマスキングテープのシール強度測定試験結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1:コンデンサ素子
2:従来のマスキングテープ
3:圧着部材
4:空隙
5:溶射金属層
6:リード線
7:溶解樹脂浴
20、20A、20B:本発明のマスキングテープ(キャリア・テープ)
20X:参考例のマスキングテープ
20a:ポリアミド樹脂芯層
20b:熱シール樹脂層
20c:耐熱性樹脂層
A、B、C:コンデンサ素子をシール挾持するマスキングテープの各部を示す符号
W:偏平円筒状コンデンサ素子の幅
S:シール部幅

Claims (2)

  1. それぞれ熱シール樹脂層を有する一対のキャリア・テープの熱シール樹脂層間に配列されてシール挾持された複数の金属化フィルムコンデンサ素子の露出端面に金属溶射がなされる態様で用いられ、一対のキャリア・テープのそれぞれが、ポリアミド樹脂芯層を、該ポリアミド樹脂芯層の厚さの1/2以下の厚さを有する耐熱性樹脂層と、熱シール樹脂層とで挾持してなる構造を有するキャリア・テープ。
  2. 耐熱性樹脂がポリエステルである請求項1のキャリア・テープ。
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