JP4376349B2 - キャリアテープ用カバーテープ及びテープ状搬送体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型電子部品などを搬送するためのキャリアテープ用カバーテープに関し、特に、帯電防止効果を高めるための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路基板への電子部品の実装効率を高めるために、電子部品をテープ状搬送体に一定ピッチで収容しておき、部品実装装置では、このテープ状搬送体から電子部品を自動的に取り出して実装に供する技術が広範に使用されている。
【0003】
このようなテープ状搬送体は、長手方向に一定ピッチで部品収容用の凹部(ポケット)が形成されたキャリアテープと、前記ポケットに部品を納めた後にキャリアテープに貼り付けられポケットを塞ぐカバーテープとから構成されており、実装装置へ搬入する際には部品を各ポケットに一つづつ収容した状態でリールに巻き取っておき、実装装置では、リールからテープ状搬送体を繰り出しつつ、キャリアテープからカバーテープを剥がしていき、キャリアテープのポケットから部品を自動的に取り出す形態で使用される。
【0004】
ところで、キャリアテープからカバーテープを剥がす際には、両者に帯電が生じることは避けられず、実装速度が向上するほど、その帯電量は大きくなる傾向がある。これらが帯電すると、本来、キャリアテープのポケットに残って実装装置へ搬送されるべき電子部品が、カバーテープに付着して実装装置へ搬送されなかったり、帯電が激しい場合には、キャリアテープとカバーテープ間で放電が生じて電子部品が電気的に損傷することもあった。
【0005】
このような問題を改善するため、従来から様々な帯電防止策が提案されている。例えば、カバーテープのキャリアテープへの接着面に、界面活性剤を練り混んだ層を設け、空気中の水分による除電を図ったものが提案されている。
また、特開平9−267450号公報には、ヒートシール型のカバーテープにおいて、ヒートシール層に酸化錫系、酸化亜鉛系、酸化インジウム系などの導電性微粒子を混入したものが提案されている。
さらに、特開平10−278966号公報には、カバーテープの粘着面に、誘電分極を生じる化学物質を含有する静電機能層を形成し、この静電機能層が帯電をうち消す向きで誘電分極を起こさせる技術が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようにカバーシートの貼り付け面を構成する層に界面活性剤を添加した場合、カバーシートを剥がす場所での湿度が低い場合には、十分な除電効果が得られず、湿度依存性が高いという問題があった。
【0007】
また、カバーシートの貼り付け面を構成する層に導電性微粒子を添加した場合、カバーシートを通して部品が確認できるようにカバーシートの透明性を維持するには、導電性微粒子の添加量を大きくできず、十分な帯電防止効果が得られない問題があった。例えば、特開平9−267450号公報では、表面抵抗率が105〜1012Ω/□が望ましいと明記されているが、本発明者らが実際に実験を行った結果、このように高い表面抵抗率では十分に静電気を逃すことができなかった。
【0008】
また、特開平10−278966号公報のように誘電分極により帯電をうち消す構成でも、十分な帯電防止効果を得ることは困難だった。そもそもカバーテープ剥離による帯電量は一定ではなく、様々なパラメーターによって広範に変化するものであるから、常にそれを過不足無く相殺するような誘電分極を発生させることは困難である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、カバーテープの透明性を阻害することなく、良好な帯電防止効果が得られるキャリアテープ用カバーテープを安価なコストで提供することを課題としている。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係るキャリアテープ用カバーテープは、カバーテープ本体と、このカバーテープ本体の一面に形成されたヒートシール層と、このヒートシール層上に形成された金属蒸着層とを有するとともに、前記金属蒸着層の表面には、Si酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Y酸化物、インジウム錫酸化物、およびMg酸化物から選択される1種または2種以上の材質からなる酸化防止膜が形成されていることを特徴とする。前記金属蒸着層は、アルミニウムからなり、質量膜厚が20〜150オングストロームに設定されており、例えば、表面抵抗率が20〜500Ω/□とされてもよい。
【0011】
一方、本発明に係るテープ状搬送体は、部品収容用のポケットが長手方向に間隔をあけて一面に形成された帯状のキャリアテープと、前記ポケットを塞ぐように前記キャリアテープに貼り付けられる帯状のカバーテープとを具備するテープ状搬送体であって、前記カバーテープは、カバーテープ本体と、このカバーテープの一面に形成されたヒートシール層と、このヒートシール層上に形成された金属蒸着層とを有するとともに、前記金属蒸着層の表面には、Si酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Y酸化物、インジウム錫酸化物、およびMg酸化物から選択される1種または2種以上の材質からなる酸化防止膜が形成されており、前記金属蒸着層を通して前記ヒートシール層を前記キャリアテープに加熱接着可能とされていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
図1および図2は本発明の第1実施形態に係るテープ状搬送体1を示す平面図および側面図である。このテープ状搬送体1は、部品収容用のポケット(凹部)6が長手方向に間隔をあけて多数形成された帯状のキャリアテープ2と、ポケット6を塞ぐようにキャリアテープ2に貼り付けられる帯状のカバーテープ4とから構成され、ポケット6に電子部品Wを一つずつ入れた後、カバーテープ4をヒートシールしてポケット6を塞ぐことにより、使用に供される。
【0013】
キャリアテープ2は、一定幅の帯状をなし、その上面(図2の状態での上下を言う。以下同様)の幅方向中央部に矩形状のポケット6が一定間隔をあけて形成され、下面ではポケットに対応する部分が突出している。また、キャリアテープ2の幅方向両端部には、それぞれ送り穴8が形成され、これら送り穴8に送り機構が係合することにより、正確な搬送が可能となっている。なお、本発明では、ポケット6および送り穴8の形状等は何ら限定されず、必要に応じて適宜変更してよいのは勿論である。
【0014】
この実施形態では、カバーテープ本体10の幅は、キャリアテープ2の幅よりも小さく、かつ、ポケット6の幅よりも大きくされている。これにより、ポケット6は開口部を気密的に封止される一方、送り穴8は塞がれないようになっている。ただし、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて適宜変形して構わない。
【0015】
キャリアテープ2の材質は限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂の単層または積層フィルムが使用可能である。キャリアテープ2の寸法やポケット6の大きさは何ら限定されないが、一般的に使用されている寸法を例示すれば、テープ幅が5〜120mm程度、テープ厚さが12〜50μm程度、ポケット6の寸法が1〜90mm×1〜90mm×0.5〜3mm程度である。
【0016】
キャリアテープ2のヒートシールされるべき面16は、平滑面であってもよいが、粗面加工されていてもよい。ある程度の粗面加工がされている場合には、ヒートシールを行う際に、この粗面とヒートシール層12との間に金属蒸着層14が挟まれて微小なクラックが無数に発生し、これらクラックを通してヒートシール剤が流れるため、ヒートシールがより容易になる利点を有する。粗面の程度は限定されないが、例えばRmax5〜90μm程度が好ましく、より好ましくはRmax30〜90μm程度である。
【0017】
本発明の主特徴はカバーテープ4の構造にある。この実施形態のカバーテープ4は、図3に示すように、一定幅の帯状をなすカバーテープ本体10の下面(キャリアテープ2との対向面)の全面にヒートシール層12を形成し、さらにヒートシール層12の表面全面に亘って金属蒸着層14を形成したものである。
【0018】
このような層構成では、カバーテープ4を接着する際に、ヒートシール層12とキャリアテープ2との間に金属蒸着層14が存在することとなり、従来の常識ではヒートシールが不可能であるとされていた。ところが、本発明者らは、金属蒸着層14の厚さおよび緻密さがある一定の条件を満たせば、ヒートシール層12を通常のヒートシール条件で加熱圧縮した際に、溶融したヒートシール剤がごく薄い金属蒸着層14に元から存在する空隙、および/またはヒートシール時の機械的衝撃によって金属蒸着層14が破れて生じた空隙を通ってキャリアテープ2側へ流れ、キャリアテープへのヒートシールが行えることを見いだした。さらに、ヒートシールを行うことができるような厚さおよび粗さ(緻密ではなく気孔や空隙が多いことを指す)の金属蒸着層14であっても、十分な除電効果を発揮することを見いだし、本発明に至ったのである。
【0019】
金属蒸着層14がヒートシール層12とキャリアテープ2との間に介在することにより、ヒートシールの接合力が低下することは避けられない。しかし、このような接合力低下は、ヒートシール層12の厚さを金属蒸着層14が介在しない場合よりも大きくする、あるいは、接着力の高いヒートシール剤を使用する、あるいは、ヒートシールの際の加圧力および/または温度を高めて接合部での金属蒸着層の破壊程度を高める、もしくはこれら手段の組み合わせにより、容易に補うことができることも本発明者らは見いだした。
【0020】
そもそも、一般にヒートシール剤の接着力は粘着剤の接着力に比べて強力であるため、従来のヒートシール型カバーテープでは、キャリアテープからカバーテープを引き剥がす際に過大な力を要したり、キャリアテープにびびり振動が生じて部品Wがポケット6から脱落したりする問題が指摘されていた。これに対し、本発明では金属蒸着層14を介在させることにより、ヒートシール層12による接着力を適当に低下させ、カバーテープ4の剥離に要する力を減少させたり、剥離を円滑にしてキャリアテープ2のびびり振動を減少させる効果も得ることができる。
【0021】
さらに、本発明では、カバーテープ4をキャリアテープ2から引き剥がす際に、両者の界面に存在する金属蒸着層14が分断され、一部はキャリアテープ2側に付着し、残りはカバーテープ4に残留することになる。このような分散状態となるため、キャリアテープ2とカバーテープ4との間に電位差が生じにくくなる可能性も有している。すなわち、剥離時に発生した静電気を逃すだけでなく、その静電気の発生自体を低減する可能性を有しているのである。
【0022】
本発明に使用されるカバーテープ本体10の材質は限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロンなどのポリアミド、ポリカーボネートなどで形成された一軸または二軸延伸フィルム等が使用でき、これらを単層または複数種積層した状態で使用できる。カバーテープ本体10の厚さは限定されないが、好ましくは12〜50μmとされ、より好ましくは12〜25μmとされる。あまり厚いと製造コストがかかり、薄すぎると強度が不足したり腰が弱くて取り扱いに不便を生じるためである。
【0023】
ヒートシール層12は、加熱により一旦軟化した後、固化して粘着力を発揮するヒートシール剤を含んだものであればよく、この種のヒートシール剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系ブロックポリマー、合成ゴムや天然ゴムなどのジエンポリマーなどから選択される1種または2種以上が挙げられる。
【0024】
ヒートシール層12の厚さは限定されないが、本発明では多孔状の金属蒸着層14を通してキャリアテープ2への接着力を発揮する必要があるため、従来品よりも比較的厚い0.5〜4μm程度であることが好ましい。薄すぎると接着力が不足し、あまり厚いと接着部からはみ出すおそれがあるからである。より好ましいヒートシール層12の厚さは0.7〜2μm程度であり、さらに好ましくは0.9〜1.5μm程度である。
【0025】
金属蒸着層14の種類は限定されないが、アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛またはこれらの合金などから選択される金属を、ヒートシール層12上に蒸着することにより得られたものが好ましい。これらの内でも、特にアルミニウムは安価で蒸着がしやすく、電気伝導性の高い膜が空隙の多い状態で形成でき、そのうえ、膜の透明度が良好であるという利点も有する。
【0026】
金属蒸着層14の厚さは、先程述べたように、金属蒸着層14を通してヒートシール層12によりカバーテープ4とキャリアテープ2とのヒートシールが行え、かつ、十分な除電効果が得られるような厚さに設定されるべきであり、具体的な数値を挙げれば、表面抵抗率が20〜500Ω/□であることが好ましい。表面抵抗率が20Ω/□より小さいと、金属蒸着層14が厚すぎてヒートシールを行うことが困難になるだけでなく、金属蒸着層14が厚すぎてカバーテープ4を通しての視認性が不十分となるおそれもあり、さらに、金属蒸着層14が電磁障害を受けやすくなる可能性もある。また、表面抵抗率が500Ω/□よりも大きいと、本発明者らの実験では除電性能が不十分となることが判明している。アルミニウムの場合、表面抵抗率が20〜500Ω/□となる厚さは、不可避的に生じる酸化膜の厚さにもよるが、質量膜厚として概ね20〜150オングストローム程度に相当する。
【0027】
金属蒸着層14の露出面には、金属蒸着層14の腐食を防止するために、Si酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Y酸化物、インジウム錫酸化物、Mg酸化物から選択される1種または2種以上からなる酸化防止層が形成されていてもよい。その中でも特に、コストおよび耐食性の点からSiOx(1≦x<2)が好適であり、xの値は1〜1.7であるといっそう好適である。特に金属蒸着層14がアルミニウムで形成されている場合には、SiOx製の酸化防止層による酸化防止効果が良好である。
【0028】
酸化防止層の蒸着量は限定されるものではないが、好ましくは0.1〜10mg/m2 、さらに好ましくは0.2〜3mg/m2 とされる。蒸着量が0.1mg/m2 未満では耐蝕性向上の効果が得られず、10mg/m2 より厚いとヒートシールを阻害するおそれがある。酸化防止層の蒸着方法は、真空蒸着法であっても高周波マグネトロンスパッタ法等のスパッタ法であってもよい。
【0029】
酸化防止層の厚さがこの程度にまで薄いと、無機酸化物蒸着膜は緻密な膜ではなく多孔膜になるため、ヒートシールをほとんど阻害せず、金属蒸着層14の表面を電気的に絶縁することもなく、酸化防止層を形成しない場合に比べて除電性能はほとんど変わらない。酸化防止層が多孔膜であっても耐蝕性向上効果が得られる理由は、金属蒸着層14の表面の結合エネルギーの大きな箇所(キンク、ステップ等)に絶縁体が選択的に結合し、金属酸化物の生成・生長を防止するためであると考えられる。
【0030】
上記構成からなるカバーテープ4を備えたテープ状搬送体1によれば、カバーテープ本体10の裏面に金属蒸着層14が形成されているから、図4に示すようにキャリアテープ2からカバーテープ4を剥離する際に、カバーテープ4およびキャリアテープ2が帯電したとしてもその静電気を金属蒸着層14を通して逃すことができ、図4に示すようにカバーテープ4の剥離面に電子部品Wが吸い付けられてしまう現象が防止できる。また、カバーテープ4に溜まった電荷がキャリアテープ2との間で放電し、電子部品Wを損傷することも防止できる。それにも拘わらず、金属蒸着層14は薄いためにカバーテープ4の透明性を損なわず、テープ状搬送体1に収容された電子部品Wの確認作業を阻害することはない。
【0031】
特に、この実施形態では、カバーテープ本体10の裏面の全面、すなわちキャリアテープ2に対する接着部にさえも金属蒸着層14が形成されているから、除電されない局部領域が生じにくく、電子部品Wが小さい場合であっても、カバーテープ4の局部的な帯電領域に吸い寄せられるおそれが小さい。これに対し、例えばヒートシール層12の、キャリアテープ2への接着部において金属蒸着層を省いた場合には、この非蒸着部が局所的に帯電し、電子部品Wがごく小さい場合であれば、その帯電箇所に吸い寄せられる可能性がある。
【0032】
また、この実施形態では、カバーテープ本体10の裏面の全面に金属蒸着層14が形成されているから、キャリアテープ2への接着部において金属蒸着層を省く場合に比べて、蒸着時に非蒸着部分のマスクなどを行う必要が無く、カバーテープ4の製造コストが大幅に低減でき、歩留まりも高められる利点を有する。
【0033】
さらに、金属蒸着層14を通してヒートシール剤による接着を行うことにより、ヒートシール剤の接着力を適当に低下させることが可能となり、キャリアテープからカバーテープを引き剥がす際に過大な力を要したり、キャリアテープにびびり振動が生じて部品Wがポケット6から脱落したりする問題を防ぐ効果も得られる。
【0034】
金属蒸着層14に生じた電荷を除去する方法としては、テープ状搬送体1を巻き取っているリール側で金属蒸着層14をアースに接続してもよいし、剥がしたカバーテープ4を巻き取る側で金属蒸着層14を除電ロールを介してアースに接続してもよいし、いずれかの箇所で除電針などを金属蒸着層14に接続してもよいし、いずれかの箇所で交流コロナ放電を利用した除電器を用いて金属蒸着層14に異極性のイオンを供給してこれを中和する方法を採ってもよい。
【0035】
なお、カバーテープ4が帯電するメカニズムとしては、キャリアテープ2からの剥離時に生じる剥離帯電のほかに、テープ状搬送体1がリールに巻き取られて回転されている間に電子部品Wがポケット6の内壁面を摩擦することによって生じる摩擦帯電も含まれると考えられている。本発明は、このような帯電に対しても効果的に除電が行える。
【0036】
[実施形態2]
図5は実施形態2を示し、この実施形態2では、カバーテープ4の幅方向中央部で金属蒸着層14を厚くし、幅方向両端部で金属蒸着層14を薄くしたことを特徴とする。このように金属蒸着層14の中央部に厚肉部14Aを形成すると、電子部品Wと直接接触する中央部での除電効果が高められる。薄肉部14Bと厚肉部14Aのそれぞれの厚さは限定されないが、具体的には厚肉部14Aを20〜100Ω/□、薄肉部14Bで200〜500Ω/□程度にすることが好ましい。他の部分は実施形態1と同様でよい。また、この実施形態のカバーテープ4は、他のいずれの実施形態にも組み合わせ可能である。カバーテープ4の幅方向両端部に薄肉部14Bを形成したことによりヒートシールが容易になるという利点も有する。
【0037】
[実施形態3]
図6は実施形態3を示し、この実施形態3では、実施形態2とは逆に、カバーテープ4の幅方向中央部で金属蒸着層14を薄くし、幅方向両端部で金属蒸着層14を厚くしたことを特徴とする。このように金属蒸着層14の中央部に薄肉部14Bを形成すると、カバーテープ4の長手方向に流れる電流が、電子部品Wから離れた、表面抵抗率の低い厚肉部14Aを主に流れるため、電子部品Wが異常電流の影響を受ける可能性を低下できるという利点が得られる。厚肉部14Aと薄肉部14Bのそれぞれの厚さは限定されないが、具体的には厚肉部14Aを20〜100Ω/□、薄肉部14Bを200〜500Ω/□程度にすることが好ましい。他の部分は前出の実施形態と同様でよい。また、この実施形態のカバーテープ4は、他の実施形態にも組み合わせ可能である。
【0038】
[実施形態4]
図7は、本発明の実施形態4を示している。この実施形態4では、カバーテープ4に設けられた金属蒸着層14が、カバーテープ4の長手方向に複数の領域14Cに区画されており、隣接する各領域14Cは、同じ金属蒸着層14からなるヒューズ部14Dにより相互に導通されていることを特徴とする。具体的には、この実施形態では、テープ長手方向の一定間隔ごとに、金属蒸着層14の幅方向に延びて向かい合う複数対のマージン20を形成し、各対のマージン20の間にヒューズ部14Dを残した構成となっている。他の部分は実施形態1と同様でよい。また、実施形態4のカバーテープ4は、いずれの実施形態にも組み合わせ可能である。
【0039】
このようなヒューズ部14Dを形成すると、金属蒸着層14に電荷が異常に蓄積され、テープ長手方向に大電流が瞬間的に流れた場合に、いずれかのヒューズ部14Dが溶断して損害の発生を局部に限定することができる。また、金属蒸着層14に外部(例えばリール側、もしくは実装装置側)から何らかの異常な高電流が流れ込んだ場合にも、ヒューズ部14Dが溶断して損害発生を抑制することができる。
【0040】
領域14Cの長さは限定されないが、一般には30mm程度から1m程度が好ましい。あまり領域14Cが長すぎるとヒューズ部14Dを形成した効果が薄れる一方、短すぎると製造コストがかかるばかりで、効果はそれ以上向上しないためである。
【0041】
ヒューズ部14Dの長さ(テープ長さ方向)は限定されないが、一般には0.2〜3mm程度であるとよい。より好ましくは0.4〜0.8mmである。ヒューズ部14Dがあまり長いとマージン20の面積が増えて除電効果に影響を与えるおそれがあり、あまり短いと形成が難しいためである。また、ヒューズ部14Dの幅(テープ幅方向)は限定されないが、一般には0.2〜3mm程度が好ましく、より好ましくは0.3〜0.7mm程度である。あまり幅が大きいと異常電流が流れた場合にも溶断しにくくなり、幅が小さすぎると悪影響を起こさない程度の微弱電流でも溶断するからである。
【0042】
なお、マージン20を形成する方法としては、レーザー法、オイルマージン法、テープマージン法などが考えられる。レーザー法は、金属蒸着層14を帯状に蒸着した後、この金属蒸着層14にレーザー光を走査しながら照射し、照射部分の金属蒸着層14を蒸発させてマージン20とする方法である。ヒューズ部14Dに対応する部分は、あらかじめ遮光体でマスクしておけばよい。オイルマージン法は、フィルム基材のマージン20を形成すべき部分にフッ素系オイルを微量付着させたうえ、金属蒸着層14を蒸着することにより、フッ素系オイルで蒸着が妨げられる現象を利用した方法である。テープマージン法は、フィルム基材のマージン20を形成すべき部分に細いテープを当ててマスクしつつ蒸着を行う方法である。
【0043】
[実施形態5]
図8は実施形態5を示し、この実施形態5では、カバーテープ4の幅方向中央部で金属蒸着層14を厚くし、幅方向両端部で金属蒸着層14を薄くし、さらに幅方向中央部にヒューズ部14Dを形成したことを特徴とする。このように金属蒸着層14の中央部に厚肉部14Aおよびヒューズ部14Dを形成すると、電子部品Wと直接接触する中央部での除電効果が高められるうえ、万一金属蒸着層14に沿って異常電流が流れた場合にも、ヒューズ部14Dが溶断して損害を低減できる。他の部分は前出の実施形態と同様でよい。また、この実施形態のカバーテープ4は、他の実施形態にも組み合わせ可能である。
【0044】
実施形態5の変形として、図8中括弧内に示すように、カバーテープ4の幅方向中央部で金属蒸着層14を薄くし、幅方向両端部で金属蒸着層14を厚くし、さらに幅方向中央部にヒューズ部14Dを形成してもよい。このように金属蒸着層14の中央部に薄肉部18Cおよびヒューズ部14Dを形成すると、ヒューズ部14Dを異常電流に対して鋭敏にすることができる。他の部分は前出の実施形態と同様でよい。また、この変形実施形態のカバーテープ4は、他の実施形態にも組み合わせ可能である。
【0045】
[実施形態6]
図9は実施形態6を示している。この実施形態6では、ヒューズ部14Dをカバーテープ4の一側縁に沿って形成したことを特徴としている。このような構成によれば、電子部品Wと直接接触しない領域14Cの縁部に沿って電流が流れる利点を有する。他の部分は実施形態1と同様でよい。また、この実施形態のカバーテープ4は、他のいずれの実施形態にも組み合わせ可能である。
【0046】
[実施形態7]
図10は実施形態7を示し、この実施形態7は、カバーテープ4の一側縁部に沿う狭い帯状の部分で金属蒸着層14を薄くし、ポケット6をカバーする他側縁部側の領域では金属蒸着層14を厚くし、さらに薄肉部14Bにヒューズ部14Dを形成したことを特徴とする。この構成によれば、厚肉部14Aによって電子部品Wの除電効果を高めつつ、ヒューズ部14Dは薄肉部14B内にあるからヒューズ効果を鋭敏にすることができる。他の部分は前出の実施形態と同様でよい。また、この変形実施形態のカバーテープ4は、他の実施形態にも組み合わせ可能である。
【0047】
実施形態7の変形として、カバーテープ4の一側縁部に沿う狭い帯状の部分で金属蒸着層14を厚くし、ポケット6をカバーする他側縁部側の領域では金属蒸着層14を薄くし、さらに厚肉部14Aにヒューズ部14Dを形成した構成も実施可能である。この構成によれば、電子部品Wと接触しない厚肉部14Aに集中的に電流を流すことができ、しかも、ヒューズ効果が得られる利点を有する。他の部分は前出の実施形態と同様でよい。また、この変形実施形態のカバーテープ4は、他の実施形態にも組み合わせ可能である。
【0048】
【実施例】
図1〜図3に示す実施形態1に相当するキャリアテープ用カバーテープを実際に作成し、ヒートシール性、除電効果および透明性を比較した。まず、ポリエチレンテレフタレートからなる厚さ25μmのプラスチックフィルムにポリエステル樹脂製のヒートシール層を1.5μmの厚さにグラビアコーターを用いて形成し、その上にアルミニウムを表1記載の厚さで真空蒸着法により蒸着してカバーテープを得た。このカバーテープをポリエステル製のキャリアテープに熱プレス機を用いて、温度150℃、圧力0.5kg/mm2、時間2秒の条件でヒートシールした。この場合の剥離強度を引張試験機により測定した。
【0049】
また、カバーテープ単体の透明性および光線透過率結果を測定した。さらに、これらカバーテープを実際の部品実装に使用し、カバーテープへ電子部品が付着したか否かを調べた。これらの結果を表1に併せて示す。
【0050】
【表1】
【0051】
「透明性」は作業員の目視によるものであり、テープ状搬送体内の電子部品がはっきり見えるものを○、視認性がやや劣るものを△、視認困難なものを×とした。「光線透過率」は波長530nmのハロゲンランプの光に対する透過率を示した。「除電効果」は剥離したカバーテープに電子部品が付着したものを×、一部付着したものを△、静電気の影響が全く見られなかったものを○とした。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のキャリアテープ用カバーテープおよびテープ状搬送体によれば、カバーテープ本体の裏面に金属蒸着層が形成されているから、キャリアテープからカバーテープを剥離する際に、カバーテープおよびキャリアテープが帯電したとしても、その静電気を金属蒸着層を通して逃すことができ、カバーテープの剥離面に電子部品が吸い付けられてしまう現象が防止できる。また、カバーテープに溜まった電荷がキャリアテープとの間で放電し、電子部品を損傷することも防止できる。それにも拘わらず、金属蒸着層は薄いためにカバーテープ4の明性を損なわず、テープ状搬送体に収容された電子部品の確認作業を阻害することはない。
【0053】
また、金属蒸着層を通してのヒートシールが可能であることから、カバーテープ本体の裏面全面に金属蒸着層を形成することが可能であり、除電されない局部領域が生じにくく、電子部品が小さい場合であっても、カバーテープの局部的な帯電領域に吸い寄せられるおそれが小さい。また、カバーテープ本体の裏面全面に金属蒸着層が形成されている場合は、蒸着時に非蒸着部分のマスクなどを行う必要が無く、カバーテープの製造コストが低減できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るテープ状搬送体の実施形態1を示す平面図である。
【図2】 同実施形態の側面図である。
【図3】 同実施形態の断面拡大図である。
【図4】 同実施形態の効果の説明図である。
【図5】 本発明の実施形態2のカバーテープの平面図である。
【図6】 本発明の実施形態3のカバーテープの平面図である。
【図7】 本発明の実施形態4のカバーテープの平面図である。
【図8】 本発明の実施形態5のカバーテープの平面図である。
【図9】 本発明の実施形態6のカバーテープの平面図である。
【図10】 本発明の実施形態7のカバーテープの平面図である。
【符号の説明】
1 テープ状搬送体
2 キャリアテープ
4 カバーテープ
6 ポケット
10 カバーテープ本体
12 ヒートシール層
14 金属蒸着層
14A 厚肉部
14B 薄肉部
14C 領域
14D ヒューズ部
16 ヒートシール面
W 電子部品
Claims (4)
- カバーテープ本体と、このカバーテープ本体の一面に形成されたヒートシール層と、このヒートシール層上に形成された金属蒸着層とを有するとともに、前記金属蒸着層の表面には、Si酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Y酸化物、インジウム錫酸化物、およびMg酸化物から選択される1種または2種以上の材質からなる酸化防止膜が形成されていることを特徴とするキャリアテープ用カバーテープ。
- 前記金属蒸着層は、アルミニウムからなり、質量膜厚が20〜150オングストロームに設定されていることを特徴とする請求項1記載のキャリアテープ用カバーテープ。
- 前記金属蒸着層は、表面抵抗率が20〜500Ω/□であることを特徴とする請求項1または2記載のキャリアテープ用カバーテープ。
- 部品収容用のポケットが長手方向に間隔をあけて一面に形成された帯状のキャリアテープと、前記ポケットを塞ぐように前記キャリアテープに貼り付けられる帯状のカバーテープとを具備するテープ状搬送体であって、前記カバーテープは、カバーテープ本体と、このカバーテープの一面に形成されたヒートシール層と、このヒートシール層上に形成された金属蒸着層とを有するとともに、前記金属蒸着層の表面には、Si酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Y酸化物、インジウム錫酸化物、およびMg酸化物から選択される1種または2種以上の材質からなる酸化防止膜が形成されており、前記金属蒸着層を通して前記ヒートシール層を前記キャリアテープに加熱接着可能とされていることを特徴とするテープ状搬送体。
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