JP4480774B2 - 内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置 - Google Patents

内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置 Download PDF

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Description

この発明は、高圧の燃料を燃料噴射弁に供給する方式の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置に関し、特に、ソレノイド制御手段の故障発生により、高圧燃料ポンプからの燃料吐出量を調整する流量制御弁を駆動するソレノイドへの通電が正常に制御できない場合のフェ−ルセーフ制御に関するものである。
近年、内燃機関においては、高圧燃料ポンプを用いて燃料噴射弁に供給される燃料を加圧することにより燃焼状態にとって最適な高圧値(目標圧力)まで燃圧を上昇させる技術が実用化されている。この種の高圧燃料ポンプ制御装置においては、一般的に、燃圧センサで検出された燃圧(検出値)と目標圧力(演算値)とを一致させるのに必要な燃料量を吐出するために、高圧燃料ポンプの燃料吐出行程における所定のタイミングでソレノイドの通電タイミングを制御することにより、流量制御弁を閉弁駆動させている。
このような内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置においては、たとえば、ソレノイドの通電を制御する電気回路(電気配線)上で短絡故障が発生した場合に、ソレノイドが常に通電状態となって高圧燃料ポンプから過剰な量の燃料が吐出され続け、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなってしまうという故障モードが存在する。
上記故障モードが発生した場合への対処法として、内燃機関への燃料の供給を遮断する技術(たとえば、特許文献1参照)や、内燃機関の再始動を禁止する技術(たとえば、特許文献2参照)が提案されている。また、燃圧が最低値となるように、流量制御弁を強制制御して退避走行を可能にする技術も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
しかしながら、燃圧が最低値となるように流量制御弁を強制制御することが不可能な故障モードとして、一般的なソレノイド駆動回路(たとえば、上記特許文献1参照)において、「ハーネスA(特許文献1の図7)」の箇所で地絡故障(アースとの短絡故障)が発生した場合や、「マイクロコンピュータ」と「スピルバルブ駆動回路」との間で天絡故障(プラス電源との短絡故障)が発生した場合があげられる。これらの故障モードが発生した場合には、ソレノイドへの通電を強制的に止めることができないので、高圧燃料ポンプから過剰な量の燃料が吐出され続け、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなることが回避することはできない。
一方、最近では、車両に使われる電気配線の削減を目的として、制御装置を直接エンジンルーム内に搭載することが提案されている。これを実現するためには、エンジンルーム内の熱的に厳しい環境に耐えることが要求されるので、制御機能を統括するマイクロコンピュータや消費電流の少ない制御回路を集めて構成される筐体(いわゆる「制御装置」)と、発熱源に成り得る駆動回路を集めて構成される筐体(いわゆる「駆動装置」)と、を物理的に分離された別々の装置として配置する「筐体構成」が採用されている。
このように、機能分離された筐体構成とすることにより、単一筐体にすべての機能を収納収した場合に比べて、筐体内の発熱量を大幅に低減させることができるので、制御装置を直接エンジンルーム内に搭載することが実現可能となっている。
なお、駆動装置と呼ばれる筐体の中には、高圧燃料ポンプの流量制御弁を制御するためのソレノイドの駆動回路と、燃料噴射弁の駆動回路とを含む比較的消費電流の大きい複数の駆動回路が一緒に収められるのが一般的である。
また、上記筐体構成を適用した場合、通常は、駆動装置に供給される電源の供給/遮断を制御可能な駆動電源制御リレーが設けられており、制御装置によって駆動装置に供給される電源を遮断することができるようになっている。この駆動電源制御リレーを備えていれば、上記流量制御弁を強制制御することが不可能な故障モードが発生した場合でも、駆動電源制御リレーをオフ制御して駆動装置に供給される電源を強制的に遮断することができる。これにより、ソレノイドへの通電が停止されるので、高圧燃料ポンプから過剰な量の燃料が吐出され続ける(燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなる)ことを回避することができる。
ただし、駆動電源制御リレーをオフ制御すると、駆動装置内に収められているすべての駆動回路への電源の供給が絶たれてしまうことになるので、内燃機関の主要制御機能が失われて、運転の継続が困難になることも考えられる。特に、ソレノイドの駆動回路と一緒に駆動装置内に収められている駆動回路として「燃料噴射弁の駆動回路」を含む場合には、駆動電源制御リレーをオフすることによって、燃料噴射弁が停止してエンストすることになり、車両を修理工場まで退避走行させることが不可能になる。
特開昭61−28735号公報、図7 特開2003−293835号公報 特開平10−176587号公報
従来の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、上記特許文献1に記載の技術の場合には、故障の発生と同時に内燃機関への燃料の供給を禁止してしまうので、車両を修理工場まで退避走行させることができないという課題があった。
また、上記特許文献2に記載の技術の場合も、故障が直るまでは内燃機関の再始動が禁止されるので、故障発生中に一度でも内燃機関を停止させてしまった場合(たとえば、故障による車両の異常に気づいた運転手が、安全確認や点検のために一旦、エンジンを停止させてしまった場合)には、やはり修理工場まで退避走行させることができないという課題があった。
また、上記特許文献3に記載の技術の場合には、故障が直るまでは燃圧が最低値となるように流量制御弁を強制制御して車両を修理工場まで退避走行させているが、短絡故障の発生箇所によっては、燃圧が最低値となるように流量制御弁を強制制御することが不可能な故障モードが存在することが考慮されておらず、完全な方策とは言えないという課題があった。
さらに、上記筐体構成を適用した場合に、駆動電源制御リレーをオフ制御することにより、駆動装置に供給される電源を強制的に遮断してソレノイドへの通電が停止させ、高圧燃料ポンプから過剰な量の燃料が吐出され続けて燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなることを回避することも考えられるが、駆動装置内のすべての駆動回路への電源供給が絶たれて、内燃機関の主要制御機能が失われてしまい、結局、車両を修理工場まで退避走行させることが不可能となるという課題があった。
なお、この課題は、駆動装置に収められた駆動回路ごとに駆動電源制御リレーを個別に用意すれば解消できるものの、大幅なコストアップを招くので現実的ではない。
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高圧燃料ポンプの流量制御弁を駆動するためのソレノイドを制御する電気配線上で短絡故障が発生した場合に、ソレノイドが常に通電状態となって高圧燃料ポンプから過剰な量の燃料が吐出され続けて燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高い状態が継続することを回避しつつ、車両を修理工場まで退避走行させることができる高圧燃料ポンプの制御装置を得ることを目的とする。
この発明に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、
燃料吸入口および燃料吐出口と、流量制御弁を含む加圧室と、流量制御弁を駆動するソレノイドおよび可動軸とを有する高圧燃料ポンプと、
ソレノイドへの通電タイミングを演算して出力するソレノイド制御手段と、
ソレノイドへの通電タイミングが入力されているときにソレノイドを通電するソレノイド駆動手段と、
高圧燃料ポンプから吐出される燃料の圧力を燃圧として検出する燃圧センサと、
ソレノイド制御手段を含む制御装置と、
ソレノイド駆動手段を含む駆動装置と、
駆動装置に対して電源を供給または遮断する電源遮断手段と、を備え、
可動軸は、ソレノイドの通電により所定の吸引位置に移動して流量制御弁を閉弁側に作用させ、
高圧燃料ポンプは、
内燃機関の回転に同期して、加圧室の容積が拡大する燃料吸入行程と、加圧室の容積が縮小する燃料吐出行程とを交互に繰り返すとともに、
燃料吸入行程では、燃料吸入口の上流側から加圧室内に低圧の燃料を吸入し、
燃料吐出行程では、所定のタイミングで流量制御弁を閉弁駆動させることにより、燃料吸入口の上流側と加圧室との連通を遮断して加圧室内に吸入された燃料を圧送し、
制御装置および駆動装置は、それぞれ物理的に分離された別々の装置として配置された高圧燃料ポンプ制御装置において、
ソレノイド制御手段の故障状態を検出する故障検出手段と、
故障状態に応答して動作するフェールセーフ手段と、をさらに備え、
ソレノイド制御手段は、
可動軸を吸引位置に移動させるために必要な相対的に大きい電流値からなる過励磁電流の通電タイミングと、
可動軸が吸引位置に移動した後に可動軸を吸引位置に留めておくために必要な相対的に小さい電流値からなる保持電流の通電タイミングと、を演算して、
過励磁電流および保持電流の各通電タイミングをソレノイド駆動手段に出力し、
ソレノイド駆動手段は、過励磁電流の通電タイミングにしたがってソレノイドに過励磁電流を通電するとともに、保持電流の通電タイミングにしたがってソレノイドに保持電流を通電し、
故障検出手段は、保持電流の通電タイミングが正常でない場合に故障状態を検出し、
フェールセーフ手段は、故障状態が検出されているときには、ソレノイド制御手段からの過励磁電流の通電タイミングの出力を禁止し、
駆動装置は、ソレノイド以外のアクチュエータを駆動するためのアクチュエータ駆動手段を含み、
電源遮断手段は、ソレノイドおよびアクチュエータに対して共通的に電源を供給または遮断し、
フェールセーフ手段は、故障検出手段により故障状態が検出された場合には、燃圧センサで検出される燃圧に上昇挙動が見られなくなるまでの期間にわたって、電源遮断手段により電源の供給を遮断するものである。
この発明によれば、高圧燃料ポンプのソレノイドの電気故障が発生した場合でも、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高い状態が継続することを回避しつつ、車両を修理工場まで退避走行させることができる。
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図7、図8および図9を参照しながら、この発明の実施の形態1に適用される一般的な高圧燃料ポンプの具体的な構造および動作機構について説明する。
図7〜図9は一般的な高圧燃料ポンプの構造を示す側断面図であり、図7は正常な燃料吸入状態、図8は正常な燃料吐出状態、図9は異常発生時の燃料吸入状態をそれぞれ示している。
図7〜図9において、高圧燃料ポンプ10は、燃料吸入口10aと、燃料吐出口10bと、開弁ばね11およびソレノイド12により駆動される可動軸13と、可動軸13と同軸上に配置された流量制御弁14と、流量制御弁14を付勢する閉弁ばね15と、燃料吸入口10aおよび燃料吐出口10bに選択的に連通される加圧室16と、常閉式の燃料吐出弁17と、ポンプカム21により駆動されるプランジャ18と、プランジャ18を付勢する圧接ばね19と、により構成されている。
可動のプランジャ18は、圧接ばね19によってポンプカム21に圧接されており、ポンプカム21(一例として2つの突起部を有する)は、内燃機関のカム軸20の回転に同期して回転する。
加圧室16は、カム軸20の回転に応じてプランジャ18が上下動することにより、容積が拡大縮小する。
流量制御弁14は、加圧室16と燃料吸入口10aとの間の燃料吸入通路中に配設されており、閉弁ばね15は、加圧室16側から燃料吸入口10a側に向けて流量制御弁14を閉弁させる方向に作用する付勢力(閉弁力)を発生する。
開弁ばね11は、閉弁ばね15とは反対に、燃料吸入口10a側から加圧室16側に向けて流量制御弁14を開弁させる方向に作用する付勢力(開弁力)を発生するとともに、閉弁ばね15の閉弁力よりも大きい開弁力が設定されている。
可動軸13は、流量制御弁14と開弁ばね11との間に配設されている。
ソレノイド12は、ソレノイド駆動手段(後述する)からの通電タイミングにしたがって、開弁ばね11の開弁力に打ち勝つ電磁力を発生して、可動軸13を吸引位置(図8および図9に示す可動軸13の位置)に移動させるようになっている。
燃料吐出弁17は、加圧室16と燃料吐出口10bとの間の燃料吐出通路中に配設され、加圧室16から燃料吐出口10bに向かう燃料の流通のみを可能とする。
図7のように、ソレノイド12が通電されていない場合には、可動軸13は、開弁ばね11の付勢力により流量制御弁14に圧接する開放位置に移動して、流量制御弁14を開弁させるように作用する。
また、図8のように、ソレノイド12が通電制御されている場合には、可動軸13は、ソレノイド12の発生する電磁力により吸引位置に移動して、流量制御弁14を閉弁させるように作用する。
図7において、高圧燃料ポンプ10は、燃料吸入行程(すなわち、太線矢印で示すように、プランジャ18が下動途中)にあり、ソレノイド12は非通電状態にある。
図7の燃料吸入行程においては、ソレノイド12が非通電状態にあり、開弁ばね11の付勢力(>閉弁ばね15の付勢力)により、可動軸13が図7の右方向に押されて流量制御弁14を圧接するので、燃料吸入口10aと加圧室16とは連通されている。
図7の状態で、カム軸20が矢印Aの方向に回転すると、ポンプカム21の変位量が減少(プランジャ18との接触位置が下方に変位)して、プランジャ18が下動するので、燃料吸入口10aから加圧室16内へと燃料が吸入される。
この動作機構により、燃料吸入行程においては、ソレノイド12を非通電として流量制御弁14を開弁させておき、プランジャ18が下動することによって、燃料吸入口10aから加圧室22内に燃料を吸入させることが可能となる。
一方、図8においては、高圧燃料ポンプ10は、燃料吐出行程(すなわち、太線矢印で示すように、プランジャ18が上動途中)にあり、ソレノイド12は通電制御中の状態にある。
図8の燃料吐出行程においては、ソレノイド12が通電状態にあり、ソレノイド12の発生する電磁力(>開弁ばね11の付勢力)により、可動軸13が図8の左方向に引っ張られて吸引位置に移動するので、流量制御弁14は、閉弁ばね15の付勢力によって図8の左方向に押されて閉弁し、燃料吸入口10aと加圧室16との連通は遮断されている。
図8の状態で、カム軸20が矢印Aの方向に回転すると、ポンプカム21の変位量が増加(プランジャ18との接触位置が上方に変位)して、プランジャ18が上動するので、加圧室16内の燃料が圧縮されて圧力が上昇し、燃料吐出弁17が開弁して、燃料吐出口10bから燃料が吐出される。
この動作機構により、燃料吐出行程においては、所定のタイミングでソレノイド12を通電して流量制御弁14を閉弁させることにより、流量制御弁14が閉弁した以降でのプランジャ18が上動する間に、加圧室22内の燃料を燃料吐出口10bから吐出させることが可能となる。
なお、燃料吐出行程の先頭位置(プランジャ18が最下位置)にあるときに、流量制御弁14を閉弁させれば、最大量の燃料を吐出することができる。また、流量制御弁14の閉弁タイミングを、燃料吐出行程の先頭位置よりも遅らせるほど、吐出される燃料量を少なく調整することができる。このように、流量制御弁14の閉弁タイミングを、燃料吐出行程の所定のタイミングに変更することにより、吐出する燃料量の調整が可能となる。
次に、図9を参照しながら、故障発生によって、燃料吐出行程でソレノイド12を通電制御中にソレノイド12に通電する保持電流が常に通電状態となった場合の、高圧燃料ポンプ10の一般的な動作について説明する。
図9は故障発生時の一例を示し、燃料吐出行程時(図8参照)にソレノイド12の通電を制御する電気配線上で短絡故障が発生して、ソレノイド12が常に通電状態となったまま燃料吸入行程に移行した場合の状態を示している。したがって、図9においては、燃料吸入行程にもかかわらず、可動軸13が吸引位置に留まったままとなっている。
図9においては、閉弁ばね15の付勢力によって流量制御弁14が閉弁されようとするものの、燃料吸入口10a側から流量制御弁14を開弁する方向に加わる吸入燃料の圧力と、プランジャ18が下動することによって加圧室16内に発生する負圧との合計圧力が、閉弁ばね15の付勢力に打ち勝つので、流量制御弁14は開弁したままとなる。
この結果、開弁している流量制御弁14を通って、加圧室16内に燃料が吸入されることになる。
すなわち、図9の状態のまま何ら対策をとることなく、さらにカム軸20が回転して、燃料吸入行程から燃料吐出行程に移行した場合には、前述のように、燃料吐出行程の先頭位置から流量制御弁14を閉弁させているのと同じ動作となり、加圧室16からは常に最大量の燃料が吐出されるので、燃圧が過度に上昇することが発生し得る。
なお、図7〜図9に示した高圧燃料ポンプ10の動作機構は一例に過ぎず、前述の特許文献3や他の公知文献(たとえば、特開2002−309988号公報の請求項3)で例示された構造の高圧燃料ポンプシステムにおいても、この発明を適用することは十分可能である。
次に、図5および図6を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置の筐体構成と、ソレノイド12の駆動方法とについて説明する。
図5は高圧燃料ポンプ制御装置の筐体構成を概略的に示す回路構成図であり、筐体構成を電気的な等価回路として示している。また、図6は図5の高圧燃料ポンプ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図5において、内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、車載のバッテリ電源VBと、一方の筐体を構成する制御装置100と、他方の筐体を構成する駆動装置200と、駆動装置200により駆動されるソレノイド12と、バッテリ電源VBと駆動装置200との間に配置された電源遮断手段300と、を備えている。
一方の筐体を構成する制御装置100は、ソレノイド制御手段101と、ソレノイド制御手段101の出力端子に挿入されたスイッチSW0、SW1、SW2と、フェールセーフ手段103と、故障検出手段104と、各種のアクチュエータ制御手段(図1とともに後述する)と、を備えている。
なお、制御装置100内のソレノイド制御手段101は、ハーネス部を介して駆動装置200内のソレノイド駆動手段201に接続されており、過励磁電流および保持電流の各通電タイミングSK、SHをソレノイド駆動手段201に出力している。
また、ここでは、ハーネス部は、ソレノイド制御手段101の一部機能に含まれるものとして説明する。
制御装置100内のソレノイド制御手段101は、燃圧センサを含む各種センサ(図1とともに後述する)からの検出信号を入力情報として、ソレノイド12の通電タイミングを演算して出力する。
故障検出手段104は、ソレノイド12への保持電流の通電タイミングSHを出力するための電気配線の故障を検出する。
フェールセーフ手段103は、故障検出手段104により故障が検出されているときに所定のフェールセーフ動作を実行する。
アクチュエータ制御手段は、ソレノイド12とは別のアクチュエータ(図1とともに後述する)を制御する。
ソレノイド制御手段101に接続されたスイッチSW0〜SW2のうち、スイッチSW0は、電源遮断手段300をオン/オフ制御する。
スイッチSW1は、可動軸13を吸引位置(図8参照)に移動させるために必要な、相対的に大きい電流値からなる過励磁電流の通電タイミングSKを、駆動装置200に伝送する。
さらに、スイッチSW2は、可動軸13が吸引位置に移動した後に、可動軸13を吸引位置に留めておくのに必要な、相対的に小さい電流値からなる保持電流の通電タイミングSHを、駆動装置200に伝送する。
制御装置100内の故障検出手段104は、スイッチSW2の出力信号の位置に基づき電気的故障が発生していることを検出した場合に、故障フラグFFをセットしてフェールセーフ手段103に通知する。
フェールセーフ手段103は、故障検出手段104から故障発生を通知された場合に、所定のフェールセーフ動作を実行する。
なお、ソレノイド制御手段101は、内燃機関が停止していないときには、スイッチSW0をオンにして、駆動装置200に電源が供給されるように制御を行う。
スイッチSW0のオン時において、駆動装置200には、電源遮断手段300を介してバッテリ電源VBが供給される。
一方、駆動装置200は、ソレノイド駆動手段201と、各種のアクチュエータ駆動手段(図1とともに後述する)と、を備えている。
駆動装置200内のソレノイド駆動手段201は、電流制御回路203と、電流制御回路203の入力端子に挿入された反転回路NOT1、NOT2と、スイッチSW3と、を備えており、制御装置100内のソレノイド制御手段101からの入力信号(過励磁電流および保持電流の各通電タイミングSK、SH)にしたがって、実際にソレノイド12を通電する。
アクチュエータ駆動手段は、制御装置100内のアクチュエータ制御手段から入力されるアクチュエータ制御信号にしたがって、実際にアクチュエータ(たとえば、燃料噴射弁など)を通電する。
次に、図6を参照しながら、図5の筐体構成による動作について説明する。
図5内のソレノイド12の通電を開始する場合、まず、図6内の時刻T1において、制御装置100内のスイッチSW1、SW2が同時にオンされる。
これにより、過励磁電流IKおよび保持電流IHの各通電タイミングSK、SHを示す信号レベルが両方ともLo(ロー)となり、駆動装置200内の反転回路NOT1、NOT2の出力レベルが両方ともHi(ハイ)となる。
反転回路NOT1、NOT2の出力レベルが両方ともHiになっているときには、ソレノイド駆動手段201内の電流制御回路203は、ソレノイド12に対して過励磁電流IKが通電されるように電流制御を開始する。このとき、反転回路NOT2の出力レベルはHiであることから、スイッチSW3も同時にオンされており、ソレノイド12には、過励磁電流IKが通電される。
ソレノイド12に過励磁電流IKが通電されると、ソレノイド12に電磁力が発生して、可動軸13が吸引位置に向けて移動を開始する。
以上が時刻T1における過励磁動作である。
続いて、ソレノイド12に過励磁電流IKが通電されてから、所定時間(時刻T1と時刻T2との間の期間)が経過すると、可動軸13の吸引位置への移動が完了するので、次に、時刻T2において、スイッチSW1のみがオフに切り替えられる。これにより、過励磁電流IKの通電タイミングSKの信号レベルがHiに切り替わり、駆動装置200内の反転回路NOT1の出力レベルがLoに変化する。
反転回路NOT1の出力レベルがLo、かつ、反転回路NOT2の出力レベルがHiになっているときには、ソレノイド駆動手段201内の電流制御回路203は、ソレノイド12に対して、保持電流IHが通電されるように電流制御を切り替える。このとき、反転回路NOT2の出力レベルがHiであることから、スイッチSW3は、オンに維持されており、ソレノイド12に流れる電流は、過励磁電流IKから保持電流IHに切り替えられて通電される。
以上が時刻T2における保持動作である。
なお、可動軸13が吸引位置に移動した後は、保持電流IHに切り替えられても、可動軸13は、吸引位置に留まり続けることができる。
続いて、ソレノイド12に保持電流IHが通電されてから、さらに所定時間(時刻T2と時刻T3との間の期間)が経過すると、次に、時刻T3において、スイッチSW2がオフに切り替えられる。
これにより、保持電流IHの通電タイミングSHのハーネス部の信号レベルもHiに切り替わり、駆動装置200内の反転回路NOT2の出力レベルがLoに変化する。
この時点(時刻T3)で、反転回路NOT1、NOT2の出力レベルが両方ともLoに変化したので、ソレノイド駆動手段201内の電流制御回路203は、ソレノイド12への通電を停止する。同時に、反転回路NOT2の出力レベルがLoに切り替わったことで、スイッチSW3もオフに切り替わり、ソレノイド12への通電が停止される。
以上が時刻T3における通電停止動作である。
次に、時刻T3と時刻T4との間の正常時のパターン(破線枠参照)と比較して、時刻T4以降の時刻T5と時刻T6との間(破線参照)において、保持電流IHの通電タイミングSHを出力する電気配線の故障が発生したときの動作について説明する。
時刻T4においては、次のソレノイド制御サイクルを迎え、再びソレノイド12の通電制御が開始される。
ソレノイド12の通電を開始するために、スイッチSW1、SW2が同時にオンされ、ソレノイド駆動手段201内の電流制御回路203からソレノイド12に対して過励磁電流IKが通電される。時刻T4での動作は、前述の時刻T1での動作と同じである。
続いて、ソレノイド12に対して過励磁電流IKが通電されてから、所定時間が経過すると、時刻T5の時点で、スイッチSW1のみがオフに切り替えられ、ソレノイド駆動手段201内の電流制御回路203は、ソレノイド12に対して保持電流IHを通すように電流制御を切り替える。時刻T5での動作は、前述の時刻T2での動作と同じである。
ソレノイド12に対して保持電流IHの通電が開始された時刻T5から、所定時間が経過した時刻T6においては、前述の時刻T3の動作と同様に、スイッチSW2がオフに切り替えられる。しかし、時刻T5と時刻T6との間で保持電流IHの通電タイミングSHのハーネス部で地絡故障が発生しているので、時刻T6でスイッチSW2がオフに切り替えられても、通電タイミングSHのハーネス部のレベルがLoのままとなる。したがって、時刻T6において、駆動装置200内の反転回路NOT2の出力レベルはLoに変化しなくなる。
この結果、時刻T6において、反転回路NOT2の出力レベルがLoに変化しないことから、ソレノイド駆動手段201内の電流制御回路203では、ソレノイド12への保持電流IHの通電が停止されないままとなる。
このように、時刻T6において、反転回路NOT2の出力レベルがHiのままであることから、スイッチSW3もオンのままとなり、時刻T6以降も、ソレノイド12には保持電流IHが通電され続ける。
このとき、故障検出手段104は、スイッチSW2がオフになっているのにもかかわらず、保持電流IHの通電タイミングSHのレベルがLoであることから、保持電流IHの通電タイミングSHが異常であることを検出し、時刻T7において、故障フラグFFをセットして、フェールセーフ手段103に故障発生状態を通知する。続いて、フェールセーフ手段103は、故障フラグFFがセットされると、時刻T7以降において、過励磁電流IKの通電タイミングSKが指令されることを禁止するように動作する。
このように、時刻T7以降においては、フェールセーフ手段103によって、過励磁電流IKの通電タイミングSKが指令されることが禁止されるが、保持電流IHの連続通電が継続しているので、可動軸13は、吸引位置(図9参照)に留まり続ける。この結果、高圧燃料ポンプ10から最大量の燃料が吐出され続けるので、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に上昇してしまうことが避けられない事態となる。
ただし、内燃機関が一度でも停止して駆動装置200への電源の供給が遮断され、保持電流IHの連続通電が一旦停止されれば、過励磁電流IKの通電が禁止されているので、可動軸13は、吸引位置から開放される。したがって、可動軸13が再び吸引位置に移動することはないので、燃圧が過度に上昇することは回避される。
なお、この場合、故障検出手段104は、「スイッチSW2がオフ時の通電タイミングSHのレベルがHiであるとき」には「正常」と判定し、「スイッチSW2がオフ時の通電タイミングSHのレベルがLoであるとき」には「故障」と判定する。したがって、故障検出手段104は、図6内の時刻T3から時刻T4までの期間では「正常」と判定し、時刻T5から時刻T6までの期間では「故障」と判定する。なお、この故障検出方法は、一例に過ぎず、前述の特許文献1に記載の検出方法を適用することも可能である。
また、フェールセーフ手段103は、可動軸13が吸引位置に留まることができなくなる所定時間以上の間にわたって、または、燃圧センサによって検出された燃圧に上昇挙動が見られなくなるまでの期間にわたって、駆動装置200に供給される電源を一時的に遮断する。これにより、内燃機関の停止を待たずに、可動軸13を吸引位置から開放させることが可能となる。
また、フェールセーフ手段103は、電源遮断手段300を介して駆動装置200に供給されるバッテリ電源VBが、ソレノイド12とは別のアクチュエータと共用されている場合には、別のアクチュエータが通電されていない期間にわたって、または、通電を禁止している期間に、駆動装置200に供給される電源を一時的に遮断する。これにより、別のアクチュエータの動作が中途半端となることがないので、内燃機関の運転状態悪化を回避したうえで、可動軸13を吸引位置から開放させることが可能となる。
次に、図1の機能ブロック図を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る高圧燃料ポンプ制御装置の具体的な構成および動作について、さらに詳細に説明する。
図1において、ソレノイド12、制御装置100、ソレノイド制御手段101、フェールセーフ手段103、故障検出手段104、駆動装置200、ソレノイド駆動手段201および電源遮断手段300は、前述(図5参照)と同様のものである。ここでは、各装置100〜300の機能構成に注目して示しており、スイッチなどは省略されている。
制御装置100は、前述のソレノイド制御手段101、フェールセーフ手段103および故障検出手段104に加えて、アクチュエータ制御手段102を備えている。
制御装置100には、燃圧センサ22および他の各種センサ群23が接続されており、各センサ22、23からの検出信号が入力されている。
また、制御装置100には、駆動装置200および電源遮断手段300が接続されており、制御装置100からは、電源遮断手段300を制御するための制御信号と、ソレノイド12に通電される過励磁電流IKの通電タイミング(過励磁電流制御信号)SKと、ソレノイド12に通電される保持電流IHの通電タイミング(保持電流制御信号)SHと、アクチュエータ24(たとえば、燃料噴射弁)に対する通電指令信号とが出力されている。
燃圧センサ22は、高圧燃料ポンプ10(図7〜図9参照)から吐出される燃料の圧力を燃圧として検出する。また、各種センサ群23は、燃圧センサ22以外の各種センサ(クランク角センサなど)を含み、内燃機関が搭載された車両(図示せず)の運転状態を検出する。
燃圧センサ22および各種センサ群23の検出信号は、ソレノイド制御手段101、アクチュエータ制御手段102およびフェールセーフ手段103に入力される。
制御装置100内において、故障検出手段104は、保持電流の通電タイミングSHに基づいて、ハーネス部を含むソレノイド制御手段101の故障を検出し、故障検出時に故障フラグFFをフェールセーフ手段103に入力する。
アクチュエータ制御手段102は、アクチュエータ駆動時にアクチュエータ駆動フラグFAをフェールセーフ手段103に入力する。
フェールセーフ手段103は、故障フラグFFに応答して、アクチュエータ駆動禁止フラグFCAをアクチュエータ制御手段102に入力するとともに、電源遮断フラグFCRおよび過励磁禁止フラグFCKをソレノイド制御手段101に入力する。
ソレノイド制御手段101は、電源遮断フラグFCRに応答して、電源遮断手段300に対する電源遮断指令を出力し、駆動装置200への電源供給を遮断させる。
駆動装置200は、前述のソレノイド駆動手段201に加えて、アクチュエータ24を駆動するためのアクチュエータ駆動手段202を備えている。なお、アクチュエータ24は、駆動装置200内に構成されているものとする。
ソレノイド駆動手段201は、過励磁電流IKおよび保持電流IHの各通電タイミングSK、SHに応じてソレノイド12を駆動し、アクチュエータ駆動手段202は、アクチュエータ制御手段102からの通電指令信号に応じてアクチュエータ24を駆動する。
ソレノイド制御手段101は、通常時の制御として、内燃機関が停止していないときに電源遮断手段300を制御して駆動装置200にバッテリ電源VB(図5参照)を供給する機能と、燃圧センサ22および各種センサ群23からの入力情報に基づいてソレノイド12を通電するための過励磁電流IKおよび保持電流IHの通電タイミングSK、SHを演算してソレノイド駆動手段201に指令する機能と、を有する。
また、ソレノイド制御手段101は、故障発生時の制御として、フェールセーフ手段103から入力される過励磁禁止フラグFCKがセットされているときに過励磁電流IKの指令発生を禁止する機能と、電源遮断フラグFCRがセットされているときに電源遮断手段300を制御して駆動装置200への供給電源を遮断する機能と、を有する。
故障検出手段104は、保持電流IHの通電タイミングSHを出力する電気配線(ハーネス部)の故障の有無を監視し、故障発生が検出されたときには、故障フラグFFをセットしてフェールセーフ手段103に通知する機能を有する。
フェールセーフ手段103は、故障検出手段104から通知される故障フラグFFがセットされた場合に、所定のフェールセーフ動作を実行するための基本機能として、過励磁禁止フラグFCKをセットしてソレノイド制御手段101に通知する機能を有する。
また、フェールセーフ手段103は、上記基本機能に加えて、可動軸13(図7〜図9参照)が吸引位置に留まることができなくなる所定時間以上の期間にわたって、電源遮断フラグFCRをセットしてソレノイド制御手段101に通知する機能と、燃圧センサ22によって検出された燃圧に上昇挙動が見られなくなるまでの期間にわたって、電源遮断フラグFCRをセットしてソレノイド制御手段101に通知する機能と、アクチュエータ駆動フラグFA(アクチュエータ24が駆動していることを示す)がセットされていないときに(アクチュエータ24が駆動されていない期間に)、電源遮断フラグFCRをセットしてソレノイド制御手段101に通知する機能と、アクチュエータ駆動禁止フラグFCAをセットしてアクチュエータ制御手段102に通知する機能と、を有し、これらの機能を組合せたフェールセーフ動作を実行する。
アクチュエータ駆動手段102は、燃圧センサ22および各種センサ群23から入力される内燃機関(車両)の運転情報に基づいて、アクチュエータ24(燃料噴射弁)の通電タイミングを、駆動装置200内のアクチュエータ駆動手段202に指令する機能を有する。
駆動装置200内のソレノイド駆動手段201は、電源遮断手段300を介してバッテリ電源が供給されているときに、ソレノイド制御手段101からの指令である過励磁電流および保持電流の通電タイミングSK、SHにしたがって、実際にソレノイド12を通電する機能を有する。
また、駆動装置200内のアクチュエータ駆動手段202は、電源遮断手段300を介してバッテリ電源が供給されているときに、アクチュエータ制御手段102からの指令信号にしたがって、実際にアクチュエータ24を通電する機能を有する。
次に、図2および図3のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1による基本的なフェールセーフ制御動作について説明する。
図2は電源遮断フラグFCRのみに基づくフェールセーフ処理ルーチンを示しており、図3はアクチュエータ駆動禁止フラグFCAおよび電源遮断フラグFCRに基づくフェールセーフ処理ルーチンを示している。
図2において、まず、フェールセーフ手段103は、故障フラグFF=1(フラグセット:故障中)であるか否かを判定し(ステップS101)、FF=0(正常状態)(すなわち、NO)と判定されれば、過励磁禁止フラグFCKを「0」にリセットし(ステップS103)、電源遮断フラグFCRを「0」にリセットして(ステップS107)、図2の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS101において、故障フラグFF=1(故障発生中)(すなわち、YES)と判定されれば、過励磁禁止フラグFCKを「1」にセットして(ステップS102)、アクチュエータ駆動フラグFA=0(アクチュエータ24が停止中)であるか否かを判定する(ステップS104)。
ステップS104において、アクチュエータ駆動フラグFA=1(アクチュエータ24が動作中)(すなわち、NO)と判定されれば、電源遮断フラグFCRを「0」にリセットして(ステップS107)、図2の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS104において、アクチュエータ駆動フラグFA=0(アクチュエータ24が停止中)(すなわち、YES)と判定されれば、電源遮断フラグFCRを「1」にセットして(ステップS105)、電源遮断フラグFCR=1になってから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS106)。
ステップS106において、電源遮断フラグFCR=1になってから所定時間が経過していない(すなわち、NO)と判定されれば、直ちに図の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS106において、電源遮断フラグFCR=1になってから所定時間が経過した(すなわち、YES)と判定されれば、電源遮断フラグFCRを「0」にリセットして(ステップS107)、図2の処理ルーチンを抜け出る。
図の処理ルーチンでは、電源遮断フラグFCRのみに基づき、アクチュエータ24の停止時にフェールセーフ処理を行う場合について説明したが、次に、図3を参照しながら、アクチュエータ駆動禁止フラグFCAを追加したフェールセーフ制御動作について説明する。
図3において、ステップS101〜S103、S105〜S107は、前述(図2参照)と同様の処理である。この場合、前述のステップS104に代えて、ステップS204が実行され、前述のステップS107に続いて、ステップS208が実行される。
まず、フェールセーフ手段103は、ステップS101において、故障フラグFF=1であるか否かを判定し、故障フラグFF=0(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS103で過励磁禁止フラグFCKを「0」にリセットし、ステップS107で電源遮断フラグFCRを「0」にリセットし、アクチュエータ駆動禁止フラグFCAを「0」にリセットして(ステップS208)、図3の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS101において、故障フラグFF=1(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS102で過励磁禁止フラグFCKを「1」にセットし、アクチュエータ駆動禁止フラグFCAを「1」にセットする(ステップS204)。
続いて、ステップS105で電源遮断フラグFCRを「1」にセットし、ステップS106において、FCR=1になってから所定時間が経過したか否かが判定し、所定時間が経過していない(すなわち、NO)と判定されれば、直ちに図3の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS106において、電源遮断フラグFCR=1になってから所定時間が経過した(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS107で電源遮断フラグFCRを「0」にリセットし、ステップS208でアクチュエータ駆動禁止フラグFCAを「0」にリセットして、図3の処理ルーチンを抜け出る。
フェールセーフ手段103の処理ルーチン(図2または図3)が実行された後、ソレノイド制御手段101は、過励磁禁止フラグFCK=1(セット)の場合には、過励磁電流IKの通電タイミング(指令信号)SKを生成することを禁止し、電源遮断フラグFCR=1(セット)の場合には、電源遮断手段300を制御して、駆動装置200への電源供給を遮断する。
また、アクチュエータ駆動手段102は、アクチュエータ駆動禁止フラグFCA=1(セット)の場合には、アクチュエータ駆動手段202に対してアクチュエータ24の駆動指令を生成すること禁止する。
以上のように、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、燃料吸入口10aおよび燃料吐出口10bと、流量制御弁14を含む加圧室16と、流量制御弁14を駆動するソレノイド12および可動軸13とを有する高圧燃料ポンプ10と、ソレノイド12への通電タイミングSK、SHを演算して出力するソレノイド制御手段101と、ソレノイド12への通電タイミングSK、SHが入力されているときにソレノイド12を通電するソレノイド駆動手段201と、高圧燃料ポンプ10から吐出される燃料の圧力を燃圧として検出する燃圧センサ22と、ソレノイド制御手段101を含む制御装置100と、ソレノイド駆動手段201を含む駆動装置200と、を備えている。
制御装置100および駆動装置200は、それぞれ物理的に分離された別々の装置として配置されている。
可動軸13は、ソレノイド12の通電により所定の吸引位置に移動して流量制御弁14を閉弁側に作用させる。
高圧燃料ポンプ10は、内燃機関の回転に同期して、加圧室16の容積が拡大する燃料吸入行程と、加圧室16の容積が縮小する燃料吐出行程とを交互に繰り返すとともに、燃料吸入行程では、燃料吸入口10aの上流側から加圧室16内に低圧の燃料を吸入し、燃料吐出行程では、所定のタイミングで流量制御弁14を閉弁駆動させることにより、燃料吸入口10aの上流側と加圧室16との連通を遮断して加圧室16内に吸入された燃料を圧送する。
また、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、ソレノイド制御手段101(ハーネス部を含む)の故障状態を検出する故障検出手段104と、故障状態に応答して動作するフェールセーフ手段103と、をさらに備えている。
ソレノイド制御手段101は、可動軸13を吸引位置に移動させるために必要な相対的に大きい電流値からなる過励磁電流IKの通電タイミングSKと、可動軸13が吸引位置に移動した後に可動軸13を吸引位置に留めておくために必要な相対的に小さい電流値からなる保持電流IHの通電タイミングSHと、を演算して、過励磁電流IKおよび保持電流IHの各通電タイミングSK、SHをソレノイド駆動手段201に出力する。
ソレノイド駆動手段201は、過励磁電流IKの通電タイミングSKにしたがってソレノイド12に過励磁電流IKを通電するとともに、保持電流IHの通電タイミングSHにしたがってソレノイド12に保持電流IHを通電する。
故障検出手段104は、保持電流IHの通電タイミングSHが正常でない場合に、故障状態を検出して故障フラグFFをセットする。
フェールセーフ手段103は、故障状態が検出されているときには、ソレノイド制御手段101からの過励磁電流IKの通電タイミングSKの出力を禁止する(ステップS102参照)。
このように、ソレノイド12の電気故障が検出されている場合に、過励磁電流IKの通電を禁止することにより、故障発生中に一度でも内燃機関を停止させれば(たとえば、故障による車両の異常に気づいた運転手が安全確認や点検のために、一旦、エンジンを停止させたとしても)、それ以降は、故障が直っていなくても、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けることはない。
したがって、アクチュエータ24(燃料噴射弁)に供給される燃圧が過度に高くなることが回避されて、車両を修理工場まで退避走行させることが可能となる。
また、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、駆動装置200に対して電源を供給または遮断する電源遮断手段300を備えている。
駆動装置200は、ソレノイド12以外のアクチュエータ24(燃料噴射弁)を駆動するためのアクチュエータ駆動手段202を含み、電源遮断手段300は、ソレノイド12およびアクチュエータ24に対して共通的に電源を供給または遮断する。
フェールセーフ手段103は、故障検出手段104により故障状態が検出された場合には、可動軸13が吸引位置に留まることができなくなる所定時間以上の期間にわたって、電源遮断手段300により電源の供給を遮断する(ステップS106、S107参照)。
このように、駆動装置200への電源供給を遮断することにより、ソレノイド12の発生する電磁力が失われて吸引位置に保持され続けていた可動軸13が開放され、駆動装置200への電源供給を遮断してから所定時間が経過すれば、直ちに電源供給を再開するので、それ以降は、故障が直っていなくても、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けることはない。
したがって、アクチュエータ24(燃料噴射弁)に供給される燃圧が過度に高くなることが回避されて、車両を修理工場まで退避走行させることが可能となる。
なお、駆動装置200への電源供給を遮断する時間は、ソレノイド12の発生する電磁力が失われて可動軸13が吸引位置から開放されるのに要する極めて短い時間である。
したがって、ソレノイド駆動手段201を含む駆動装置200内に配置されたアクチュエータ駆動手段202により、ソレノイド12とは別のアクチュエータ24の制御動作が制限される場合があったとしても、最小限に抑えることができる。
また、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、フェールセーフ手段103は、アクチュエータ24(燃料噴射弁)が駆動されていない期間に、電源の供給を遮断する(ステップS104、S105参照)。
このように、ソレノイド駆動手段201を含む駆動装置200内に配置されたアクチュエータ駆動手段202により、ソレノイド12とは別のアクチュエータ24が駆動していないときに、駆動装置200への電源供給を遮断することにより、ソレノイド12とは別のアクチュエータ24の制御動作が全く制限されずに済む。
したがって、内燃機関の主要制御機能が失われて運転状態が悪化することが防止されたうえで、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けることが防止されるので、アクチュエータ24(燃料噴射弁)に供給される燃圧が過度に高くなることが回避されて、車両を修理工場まで退避走行させることが可能となる。
また、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、フェールセーフ手段103は、アクチュエータ24の駆動開始を禁止してから(ステップS204参照)、電源の供給を遮断するとともに、電源の供給を再開させたときに、アクチュエータ24の駆動を許可する(ステップS208参照)。
このように、ソレノイド駆動手段201を含む駆動装置200内に配置されたアクチュエータ駆動手段202により、ソレノイド12とは別のアクチュエータ24の駆動を強制的に禁止してから、駆動装置200への電源供給を遮断することにより、可動軸13の開放が遅滞無く実行されるようにしたうえで、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けることを防止するので、アクチュエータ24(燃料噴射弁)に供給される燃圧が過度に高くなることが回避されて、車両を修理工場まで退避走行させることが可能となる。
なお、ソレノイド12とは別のアクチュエータ24が燃料噴射弁である場合、燃料噴射弁の駆動中(内燃機関に燃料を噴射供給している最中)に駆動装置200への電源供給が遮断されると、内燃機関の要求する燃料量よりも噴射量が少なくなってリーン燃焼や失火を起こし、内燃機関の排気系に設けられた触媒の損傷やエンストの発生が懸念されるが、フェールセーフ手段103(図1、図5参照)を適用することにより、リーン燃焼や失火を防止して、触媒損傷やエンスト発生を回避することができる。
したがって、ソレノイド12とは別のアクチュエータ24が燃料噴射弁である場合に、特に好適なフェールセーフ手段103を提供することができる。
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図2、図3)では、燃圧センサ22の検出信号に基づくフェールセーフ制御動作について詳述しなかったが、燃圧センサ22の検出信号に基づいてフェールセーフ処理を終了するようにしてもよい。
以下、図4のフローチャートを参照しながら、燃圧センサ22の検出信号を考慮したこの発明の実施の形態2によるフェールセーフ処理ルーチンついて説明する。
この発明の実施の形態2に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置の具体的な構成は、前述の図1に示した通りであり、高圧燃料ポンプ制御装置の筐体構成および電気的な等価回路構成は、前述の図5に示した通りである。また、この発明の実施の形態2に適用される高圧燃料ポンプ10は、前述の図7〜図9と同様である。
図4において、ステップS101〜S103、S105およびS107は、前述(図2、図3参照)と同様の処理である。この場合、前述のステップS104(S204)が削除されて、前述のステップS106に代えて、ステップS306が実行される。
まず、フェールセーフ手段103は、ステップS101において、故障フラグFF=1であるか否かを判定し、故障フラグFF=0(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS103で過励磁禁止フラグFCKを「0」にリセットし、ステップS107で電源遮断フラグFCRを「0」にリセットして、図4の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS101において、故障フラグFF=1(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS102で過励磁禁止フラグFCKを「1」にセットし、ステップS105で電源遮断フラグFCRを「1」にセットして、燃圧センサ22により検出された燃圧に上昇挙動が見られなくなったか否かを判定する(ステップS306)。
ステップS306において、燃圧が上昇を続けている(すなわち、NO)と判定されれば、直ちに図4の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS306において、燃圧の上昇が続いていない(すなわち、YES)と判定されれば、電源遮断フラグFCRを「0」にリセット(ステップS107)して、図4の処理ルーチンを抜け出る。
なお、ステップS105において、電源遮断フラグFCRが「1」にセットされている間は、ソレノイド12への電源供給が遮断されるので、高圧燃料ポンプ10の電気的故障に起因した燃料の加圧動作が制止されて、高圧燃料ポンプ10の加圧動作による燃圧の上昇が止まる。
したがって、ステップS306においては、たとえば、前回の検出タイミングで検出された燃圧と、今回の検出タイミングで検出された燃圧との偏差を監視して、今回の検出燃圧が、前回の検出燃圧よりも高くなっているか否かに基づき、燃圧の上昇挙動を判定することができる。または、今回の検出燃圧が、所定圧以下に低下したか否かに基づき、燃圧の上昇挙動を判定することができる。
以上のように、この発明の実施の形態2に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、駆動装置200に対して電源を供給または遮断する電源遮断手段300を備えている。
駆動装置200は、ソレノイド12以外のアクチュエータ24を駆動するためのアクチュエータ駆動手段202を含み、電源遮断手段300は、ソレノイド12およびアクチュエータ24に対して共通的に電源を供給または遮断する。
また、フェールセーフ手段103は、故障検出手段104により故障状態が検出された場合には、燃圧センサ22で検出される燃圧に上昇挙動が見られなくなるまでの期間にわたって、電源遮断手段300により電源の供給を遮断する(ステップS306、S107参照)。
このように、駆動装置200への電源供給を遮断したことによって、ソレノイド12の発生する電磁力が失われて、吸引位置に保持され続けていた可動軸13が開放され、駆動装置200への電源供給を遮断してから実際の燃圧が上昇しなくなったことを確認した後に、電源の供給を再開する。
これにより、前述の実施の形態1に比べて駆動装置200への電源供給を遮断する時間が若干長くなるものの、可動軸13が開放されたことが確実となってから電源の供給を再開させることができるので、それ以降は、故障が直っていなくても、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けることはなく、アクチュエータ24(燃料噴射弁)に供給される燃圧が過度に高くなることが確実に回避されたうえで、車両を修理工場まで退避走行させることが可能となる。
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1〜図6)では、保持電流IHの通電タイミングが正常でない場合に、故障状態を検出してフェールセーフ制御を実行したが、図12に示すように、回転速度検出手段25およびポンプ行程位置検出手段26からの入力情報に基づいて、さらに確実なフェ−ルセーフ制御を実現してもよい。
図12はこの発明の実施の形態3に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置を示す機能ブロック図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
この発明の実施の形態3において、高圧燃料ポンプ制御装置の筐体構成および電気的な等価回路構成は、前述の図5に示した通りである。また、この発明の実施の形態3に適用される高圧燃料ポンプ10の構成は、前述の図7〜図9と同様である。
この場合、電源遮断手段300は電源リレー300Aからなり、制御装置100Aは、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けることに起因した燃料噴射弁(アクチュエータ24)への供給燃圧が過度に高くなる故障モードが発生したときのフェ−ルセーフ制御を行う。
まず、この発明の実施の形態3の説明に先立って、上記実施の形態1、2によるフェールセーフ制御の不完全性について説明する。
前述のように、近年では、排ガスや燃費のさらなる向上を実現するために、燃料噴射弁への供給燃圧が最適燃圧となるように、高圧燃料ポンプ10からの吐出燃料量をフィードバック制御しており、燃料噴射弁への供給燃圧と目標燃圧との圧力偏差に基づいて目標燃料量を算出し、目標燃料量が高圧燃料ポンプ10から吐出されるように流量制御弁14の駆動タイミングを決定し、算出された駆動タイミングで流量制御弁14が駆動されるようにソレノイド12を通電制御している。
この制御方法を採用している高圧燃料ポンプ制御装置において、前述のように、ソレノイド12を通電するための電気回路上で故障が発生したときには、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなるという故障モードが発生して、燃料噴射弁の正常な制御が困難となり、燃料噴射弁から内燃機関に噴射供給される燃料量が不適切となってドラビリの悪化やエンストの発生を招く可能性がある。また、燃圧が過度に高くなった状態が長時間続くと、最悪の場合には、高圧燃料配管からの燃料漏れを引き起こすことも考えられる。
このような故障モードに鑑みて、前述の特許文献1のように、故障発生時に燃料噴射弁の駆動を禁止して内燃機関への燃料供給を停止した場合には、内燃機関への燃料供給が絶たれるので、故障発生車両を修理工場まで退避走行させることができない。
また、退避走行を可能にするために、前述の特許文献3のように、故障発生時に高圧燃料ポンプの吐出燃料量フィードバック制御を禁止して、燃料噴射弁への供給燃圧を最低値に強制制御した場合も、たとえば、特許文献1(図7)の駆動回路においてハーネスAの位置で地絡故障(ハーネスAとアースとの短絡故障)が発生した場合には、吐出燃料量のフィードバック制御を禁止しても燃料噴射弁への供給燃圧が下がらず、高圧燃料ポンプから過剰な量の燃料が吐出され続けてしまう。
そこで、前述の実施の形態1、2(図1、図5)では、故障発生時に確実に燃圧を下げつつ故障発生車両の退避走行を実現しており、フェールセーフ手段103は、故障検出手段104により保持電流IHが連続通電となる故障状態が検出されている間は、ソレノイド制御手段101からの過励磁電流制御信号の出力を禁止している。また、フェールセーフ手段103は、故障検出手段104により保持電流IHが連続通電となる故障状態が検出されたときには、電源遮断手段300(電源リレー)を接続側から遮断側に切り換えた時点から、ソレノイド12に連続通電されていた保持電流IHの消失にともなってソレノイド12に発生していた電磁力が消失する(可動軸13が吸引位置から解放される)までに要する時間以上の期間にわたって電源遮断手段300を強制遮断している。
上記実施の形態1、2に記載のフェールセーフ制御では、故障が直るまでの間は、ソレノイド12に対して過励磁電流IKの通電が禁止されるとともに、以下の一連動作(1)〜(6)が完了することを見込んで設定された所定期間にわたって、ソレノイド駆動手段201の電源遮断手段300(電源リレー)が強制遮断される。
(1)電源遮断手段300を接続側から遮断側へ切り換えることにより、ソレノイド駆動手段201への電源供給がストップする。
(2)故障に起因して、ソレノイド12に連続通電されていた保持電流IHが消失する。
(3)保持電流IHの消失にともない、ソレノイド12に発生していた電磁力も消失する。
(4)ソレノイド12に発生していた電磁力の消失によって、可動軸13が吸引位置から解放される。
(5)吸引位置から解放された可動軸13が、開弁力の作用を受けて流量制御弁14に向かって移動する。
(6)可動軸13が流量制御弁14に圧接する。
そして、所定時間が経過して電源遮断手段300が再接続された以降では、可動軸13を吸引位置へ移動させるのに必要な電磁力を発生させるための過励磁電流IKの通電が禁止されているので、可動軸13が再び吸引位置に引き戻されることは無く、可動軸13は流量制御弁14に圧接した状態に維持される。
言い換えれば、電源遮断手段300(電源リレー)が再接続された以降では、故障が直っていないことから、ソレノイド12に対する保持電流IHの連続通電が再発するものの、保持電流IHの通電によって発生する電磁力は、可動軸13を吸引位置に留めておくのに最低限必要な相対的に小さい電磁力に設定されているので、可動軸13が再び吸引位置に引き戻されることは無く、可動軸は流量制御弁14に圧接した状態に維持される。
この結果、流量制御弁14は、高圧燃料ポンプ10の運転行程にかかわらず、開弁状態を維持するようになるので、高圧燃料ポンプ10の加圧室16内での燃料の加圧動作が行われなくなり、燃料噴射弁に供給される燃圧を下げつつ、故障発生車両を修理工場まで退避走行させることが可能となる。
ところで、上記実施の形態1、2による電源遮断手段300の強制遮断実行タイミングは、故障発生タイミングに依存していることを考慮すると、偶発的に発生する故障に対して電源遮断手段300の強制遮断が実行される場合に、高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吸入行程または燃料吐出行程のいずれであるかは不定である。
燃料吸入行程においては、プランジャ18の下動に応じて加圧室16の容積が拡大する際に、加圧室16内に発生する負の圧力と、燃料吸入口10a側から加圧室16側に向かって印加される低圧燃料ポンプ(図示せず)の吐出燃圧との合計力が、流量制御弁14に付加されている閉弁力(加圧室16側から燃料吸入口10a側に向かって燃料吸入通路を閉じる方向に作用する力)に打ち勝ち、流量制御弁14は「開弁位置」に留まろうとする。
したがって、電源遮断手段300の強制遮断が実行されるときの運転行程が燃料吸入行程であった場合には、電源遮断手段300の強制遮断によって電磁的に解放された可動軸13は、開弁力の作用を受けて流量制御弁14に向かって移動し、「開弁位置」に留まっている流量制御弁14に圧接する。
このように、流量制御弁14が開弁位置に留まっている状態のときに、可動軸13が流量制御弁14に圧接するようになれば、電源遮断手段300の強制遮断が終了し、電源遮断手段300が再接続された以降でも、流量制御弁14は、高圧燃料ポンプ10の運転行程にかかわらず、開弁状態を維持するようになり、高圧燃料ポンプ10の加圧室16内での燃料の加圧動作は行われなくなり、燃料噴射弁に供給される燃圧を下げつつ、故障発生車両を修理工場まで退避走行させることが可能となる。
一方、燃料吐出行程においては、プランジャ18の上動に応じて加圧室16の容積が縮小する際に、加圧室16内に発生する正の圧力と、流量制御弁14に付加されている閉弁力(加圧室16側から燃料吸入口10a側に向かって燃料吸入通路を閉じる方向に作用する力)との合計力が、燃料吸入口10a側から加圧室16側に向かって印加される低圧燃料ポンプの吐出燃圧に打ち勝ち、流量制御弁14は「閉弁位置」に留まろうとする。
したがって、電源遮断手段300の強制遮断が実行されるときの運転行程が燃料吐出行程であった場合には、電源遮断手段300の強制遮断によって電磁的に解放された可動軸13は、開弁力の作用を受けて流量制御弁14に向かって移動し、「閉弁位置」に留まっている流量制御弁14に圧接する。
このように、流量制御弁14が閉弁位置に留まっている状態のときに、可動軸13が流量制御弁14に圧接している状態のまま、電源遮断手段300の強制遮断が終了して電源遮断手段300が再接続されてしまった場合には、ソレノイド12に対して保持電流IHの連続通電が再発したときに、保持電流IHの通電によって発生する電磁力の作用を受けた可動軸13が、再び吸引位置に引き戻されてしまうことが考えられる。
このことは、閉弁位置にある流量制御弁14に圧接するときの可動軸13の位置が、開弁位置にある流量制御弁14に圧接するときの可動軸13の位置よりも、ソレノイド12に接近していることに起因して発生する。
すなわち、可動軸13が、閉弁位置にある流量制御弁14に圧接している場合には、開弁位置にある流量制御弁14に圧接している場合に比べて、可動軸13とソレノイド12との距離が短くなっているので、電源遮断手段300の強制遮断が終了して電源遮断手段300が再接続された後に連続通電される保持電流IHの発生電磁力により、可動軸13が吸引位置に引き戻されてしまうのである。
このように、電源遮断手段300が再接続された後に、可動軸13が吸引位置に引き戻されてしまった場合には、可動軸13は再び吸引位置に留まり続け、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けることにより、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなることを回避できなくなる。この結果、フェールセーフ制御が失敗に終わるという可能性が生じる。
なお、故障が直るまで電源遮断手段300の強制遮断を継続させれば、保持電流IHの連続通電が再発することが無いので、可動軸13が吸引位置に引き戻されてしまうことは発生しないが、この場合、電源遮断手段300を介して電源供給されている別のアクチュエータ(たとえば、燃料噴射弁)の駆動も停止してしまうので、車両の退避走行が不可能になってしまう。
また、この点に関しては、前述した通り、ソレノイド駆動手段201とアクチュエータ駆動手段202とで、電源遮断手段300を独立させて、個別に接続する構成に変更する構成により解決可能と考えられるが、部品増加による大幅なコストアップをともなうので、現実的な得策とは言えない。
また、保持電流IHを小さい値に設定すれば、発生する電磁力も小さくなるので、可動軸13が閉弁位置にある流量制御弁14に圧接している状態で電源遮断手段300を再接続したとしても、可動軸13が引き戻されてしまうことを解決可能と考えられるが、保持電流IHを小さい値に設定すると、正常時における本来機能である可動軸13を吸引位置に留めておくことに対してリスクが発生するので、保持電流IHを小さくすることも現実的ではない。
そこで、この発明の実施の形態3においては、図12の構成により、高圧燃料ポンプ10の流量制御弁14を駆動するためのソレノイド12に対して保持電流IHが連続通電となる故障が発生した場合に、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続け、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなる状態が継続することを回避しつつ、車両を修理工場まで退避走行させることが可能な高圧燃料ポンプ制御装置を実現する。
以下、前述の図7〜図9とともに、図10および図11を参照しながら、一般的な高圧燃料ポンプ10による燃料の吸入、調量、吐出の各動作機構について詳細に説明する。
まず、前述と一部重複するが、図7を参照しながら、高圧燃料ポンプ10による燃料の吸入動作について説明する。
図7のように、高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吸入行程の場合には、プランジャ18の下動に応じて加圧室16の容積が拡大する際に加圧室16内に発生する負の圧力と、燃料吸入口10aから加圧室16に向かって印加される低圧燃料ポンプの吐出燃圧との合計力が、加圧室16から燃料吸入口10aに向かって燃料吸入通路を閉じる方向に作用する閉弁ばね15の力に打ち勝って、流量制御弁14は、開弁位置(図7内の流量制御弁14の位置)に移動する。
また、燃料吸入行程において、ソレノイド12を非通電状態に制御することにより、可動軸13が、開弁ばね11の力を受けて右側へ移動して開弁位置にある流量制御弁14に圧接し、この結果、流量制御弁14は、開弁状態を維持して、燃料吸入口10aと加圧室16とを連通する。
この状態で、カム軸20が図7内の矢印Aの方向に回転すると、ポンプカム21の変位の減少にともなってプランジャ18が下動するので、低圧の燃料が燃料吸入口10aから加圧室16内へと吸入される。
次に、図7および図10を参照しながら、高圧燃料ポンプ10による燃料の調量動作について説明する。
図7の状態からカム軸20の回転がさらに進むと、高圧燃料ポンプ10の運転行程は、図7の燃料吸入行程から、図10の燃料吐出行程(ポンプカム21の変位が増加する)へと遷移する。
図10の燃料吐出行程において、ソレノイド12は非通電状態であり、可動軸13は、開弁位置にある流量制御弁14に圧接
しており、流量制御弁14は開弁状態となる。
図10のように、燃料吸入行程(図7)から燃料吐出行程へと遷移した直後においても、ソレノイド12を非通電状態に制御することを継続していた場合には、図7の場合と同様に、可動軸13は、開弁位置にある流量制御弁14に圧接したままの状態を維持する。
図10の状態で、カム軸20が矢印Aの方向に回転すると、ポンプカム21の変位の増加にともなってプランジャ18が上動するので、図7の燃料吸入行程のときに加圧室16内に吸入された燃料は、プランジャ18の上動にともなって、加圧室16内から燃料吸入口10aへと押し返される。
次に、図10および図8を参照しながら、高圧燃料ポンプ10による燃料の吐出動作について説明する。
ポンプカム21の変位が増加する燃料吐出行程の途中で、ソレノイド12を非通電状態から通電状態に切り換えると、図10の状態から図8の状態へと切り換わる。
すなわち、図8において、ソレノイド12が通電されたことにより、可動軸13は、開弁ばね11の力に打ち勝つ電磁力に吸引されて、図中左側へ移動して吸引位置(図8内の可動軸13の位置)へ移動する。
可動軸13が吸引位置へ移動すると、流量制御弁14は、閉弁ばね15の閉弁力を受けて閉弁位置(図8内の流量制御弁14の位置)に移動し、燃料吸入口10aと加圧室16との連通を遮断する。
図8の状態で、カム軸20が矢印Aの方向に回転すると、ポンプカム21の変位の増加にともなってプランジャ18が上動するので、加圧室16内に残された燃料が加圧され、燃料吐出口10bの燃圧よりも加圧室16の燃圧の方が大きくなった時点で、燃料吐出弁17が開弁し、加圧室16内で加圧された燃料は、燃料吐出口10bから吐出されるようになる。
なお、燃料吐出行程の最初から最後までソレノイド12を通電しないように制御したときには、燃料吐出行程の全期間中が図10の状態となり、加圧室16内で燃料が加圧されて吐出されることはない。
また、燃料吐出行程の最初から最後までソレノイド12を通電するように制御したときには、燃料吐出行程の全期間中が図8の状態となり、図7の燃料吸入行程のときに、加圧室16内に吸入された燃料が加圧されて、最大量の燃料が燃料吐出口10bから吐出されるようになる。
以上のように、燃料吐出行程の先頭位置(プランジャ18が最下位置)にあるときに、流量制御弁14が閉弁するようにソレノイド12の通電タイミングを制御したときには、最大量の加圧燃料を吐出することができ、燃料吐出行程の先頭位置よりも遅れて流量制御弁14が閉弁するようにソレノイド12の通電タイミングを制御すればするほど、燃料吐出口10bから吐出される燃料を少なく調整することができる。
すなわち、燃料吐出行程における所定のタイミングで流量制御弁14が閉弁するように、ソレノイド12の通電タイミングを制御することにより、所望の量に調整された燃料を高圧燃料ポンプ10から吐出させることが可能となる。
また、図10の状態から図8の状態に切り換えるために、可動軸13を吸引する際に、まず、可動軸13を吸引位置へ移動させるのに必要な電磁力(相対的に大きい)を発生させるための過励磁電流IKがソレノイド12に通電される。
そして、可動軸13が吸引位置へ移動した後は、可動軸13を吸引位置に留めておくのに最低限必要な電磁力(相対的に小さい)を発生させるための保持電流IHがソレノイド12に通電される。なお、このように過励磁電流IKと保持電流IHとを切り換えるのは、ソレノイド12を含む駆動回路の発熱量の低減や、消費電力の節約のためである。
次に、図8、図9および図11を参照しながら、この発明の実施の形態3が解決しようとする課題の発生動作とその対処方法について補足説明する。
前述の図8においては、燃料吐出行程の途中でソレノイド12が通電されたことで、流量制御弁14が閉弁され、加圧室16内の燃料が加圧されて燃料吐出口10bから吐出されているときの状態を示した。
図8の状態で、ソレノイド12の通電回路において故障が発生して保持電流IHが連続通電される状況が発生したとすると、ソレノイド12を非通電に制御しようとしても、故障に起因した保持電流が流れ続けてしまうことから、燃料吐出行程の最後まで図8の状態が継続する。
そして、カム軸20の回転がさらに進むと、保持電流IHが流れ続けたまま、再び燃料吸入行程へと遷移して図9の状態となる。
図9においては、故障に起因した保持電流IHが流れ続けたまま燃料吸入行程を迎えたことから、可動軸13は吸引位置に留まったままとなるが、前述の図7と同様に、プランジャ18の下動に応じて加圧室16の容積が拡大する際に加圧室16内に発生する負の圧力と、燃料吸入口10aから加圧室16に向かって印加される低圧燃料ポンプの吐出燃圧との合計力が、加圧室16から燃料吸入口10aに向かって燃料吸入通路を閉じる方向に作用する閉弁ばね15の力に打ち勝って、流量制御弁14は、開弁位置に移動して開弁状態を維持し、燃料吸入口10aと加圧室16とを連通させる。
図9の状態で、カム軸20が矢印Aの方向に回転すると、ポンプカム21の変位の減少にともなってプランジャ18が下動するので、故障発生中であっても、低圧の燃料が燃料吸入口10aから加圧室16内へと吸入される。その後、カム軸20の回転がさらに進むと、再び燃料吐出行程へと遷移する。
この場合、燃料吐出行程の先頭位置(プランジャ18が最下位置)から可動軸13が吸引位置にあるので、流量制御弁14についても、燃料吐出行程の先頭位置から閉弁してしまい、最大量の加圧燃料が吐出されるようになる。
このような状態が継続すると、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続け、燃料噴射弁に供給される燃圧が過度に高くなることが発生する。
前述の実施の形態1、2のフェールセーフ方法では、上記状態を回避するために、過励磁電流IKの通電を禁止するとともに、所定期間にわたって電源遮断手段300を強制遮断してソレノイド12の駆動回路への供給電源を絶ち、可動軸13を吸引位置から一旦解放させて流量制御弁14に圧接させている。
ところが、電源遮断手段300の強制遮断実行中において、運転行程が燃料吐出行程であって、かつ燃料吐出弁17が開いて加圧室16内の燃料を吐出中であった場合には、電源遮断手段300を強制遮断中の可動軸13および流量制御弁14は、前述の図11の状態となっている。
図11において、ソレノイド12は、電源遮断手段300の強制遮断により非通電状態にあり、可動軸13は、閉弁位置にある流量制御弁14に圧接
しており、流量制御弁14は閉じている。
図11の状態で、電源遮断手段300の強制遮断が終了すると、ソレノイド12の駆動装置への電源供給が再開し、ソレノイド12への保持電流IHの連続通電が再発する。
このとき、可動軸13の位置がソレノイド12に近いので、保持電流IHの再発によって発生する電磁力を受けて、可動軸13が吸引位置へ引き戻されることが起きる。
したがって、その後に到来する燃料吸入行程では図9の状態となり、燃料吐出行程では図8の状態となる。この結果、燃料吐出行程では最大量の燃料吐出が継続されてしまい、フェールセーフ制御としては失敗に終わることになる。
上記現象は、電源遮断手段300を遮断することで、ソレノイド12の駆動装置へ供給される電源が絶たれて、可動軸13が吸引位置から解放されるものの、可動軸13は、閉弁位置にある流量制御弁14に圧接して留まっており、このときの可動軸13の位置が、流量制御弁14が開弁位置にあるときよりも、ソレノイド12に接近していることに起因して起きる。
なお、電源遮断手段300の強制遮断を実行している間の運転行程が、燃料吸入行程である場合や、たとえ燃料吐出行程であっても、可動軸13が、開弁位置にある流量制御弁14に圧接している状態であれば、保持電流IHの連続通電が再発したとしても、可動軸13が吸引位置へ引き戻されることはないので、その後の運転行程では、加圧室16内での燃料の加圧動作は行われず、フェールセーフ制御は成功する。
以上の高圧燃料ポンプ10の動作(図7〜図11)に鑑みて、この発明の実施の形態3(図12)においては、電源リレー300Aを遮断している時間のうち、図11の燃料吐出行程の状態から、図7の燃料吸入行程の状態になるまで、電源リレー300Aの強制遮断が継続されているように、強制遮断を実行するタイミングを変更している。
言い換えると、電源リレー300Aを遮断側に切り換えてから、ソレノイド12に連続通電されていた保持電流IHの消失にともなって、ソレノイド12に発生していた電磁力が消失し、可動軸13が吸引位置から解放されて流量制御弁14に圧接するようになるまでに要する可動軸解放時間taと、流量制御弁14が閉弁位置から開弁位置まで移動するのに要する開弁応答時間tbとの合計時間として設定されている電源リレー遮断時間t1(=ta+tb)以上の期間にわたって、電源リレー300Aを強制遮断する際に、電源リレー300Aの強制遮断を開始してから、可動軸解放時間taが経過した以降での電源リレー遮断時間t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と、高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吸入行程となる期間とが重なるように、強制遮断の実行タイミングを変更している。
以下、図12を参照しながら、この発明の実施の形態3に係る高圧燃料ポンプ制御装置の全体構成とソレノイド12の駆動方法について説明する。
図12において、回転速度検出手段25およびポンプ行程位置検出手段26は、前述(図1参照)の各種センサ群23に含まれており、回転速度検出手段25は、内燃機関または高圧燃料ポンプ10の回転速度情報を検出し、ポンプ行程位置検出手段26は、高圧燃料ポンプ10の行程位置情報(運転行程)を検出する。
制御装置100Aには、燃圧センサ22からの検出情報(アクチュエータ24すなわち燃料噴射弁への供給燃圧)と、回転速度検出手段25からの回転速度情報と、ポンプ行程位置検出手段26からの行程位置情報とが入力されている。これらの入力情報は、制御装置100A内のソレノイド制御手段101A、アクチュエータ制御手段102Aおよびフェールセーフ手段103Aに、それぞれ入力される。
ソレノイド制御手段101Aは、各入力信号に基づいて、高圧燃料ポンプ10から吐出すべき燃料量を演算し、さらに、ソレノイド12の通電タイミングを決定して、駆動装置200に出力する。
なお、ソレノイド制御手段101Aから駆動装置200に対しては、ソレノイド12に対する制御信号として、可動軸13を吸引位置へ移動させるのに必要な電磁力(相対的に大きい)を発生させる過励磁電流IKを、通電タイミングSKでソレノイド12に供給するための過励磁電流制御信号と、過励磁電流IKがソレノイド12に通電されて可動軸13が吸引位置へ移動した後に、可動軸13を吸引位置に留めておくのに最低限必要な電磁力(相対的に小さい)を発生させる保持電流IHを、通電タイミングSHでソレノイド12に供給するための保持電流制御信号と、が入力される。
また、ソレノイド制御手段101Aには、駆動装置200に供給される電源の接続および遮断を切り換える電源リレー300Aの制御端子が接続されており、ソレノイド制御手段101Aは、内燃機関の運転中においては、電源リレー300Aを接続状態に制御し、バッテリ電圧VBが駆動装置200に供給されるようにする。
制御装置100Aは、ソレノイド12とは別のアクチュエータ24(燃料噴射弁)の駆動タイミングを制御するためのアクチュエータ制御手段102Aを備えており、アクチュエータ制御手段102Aは、各種入力信号に基づいてアクチュエータ24の通電タイミングSSを決定し、アクチュエータ制御信号を駆動装置200に入力する。
一方、駆動装置200は、電源リレー300Aの電気接点を介してバッテリ電源VBが供給されるように接続されており、電源リレー300Aが接続状態にあるときには、駆動装置200内のソレノイド駆動装置201およびアクチュエータ駆動装置202に対して、同時にバッテリ電源VBが供給されるように構成されている。
図12の構成において、電源リレー300Aが接続状態の場合、ソレノイド制御手段101Aからソレノイド駆動手段201に対して、各通電タイミングSK、SHで過励磁電流制御信号または保持電流制御信号が入力されると、ソレノイド駆動装置201は、ソレノイド12に対し、それぞれのタイミングで、過励磁電流IKおよび保持電流IHによる通電駆動する。
また、アクチュエータ制御手段102Aからアクチュエータ駆動装置202に対して、算出された駆動タイミングでアクチュエータ制御信号が入力されると、アクチュエータ駆動装置202では、その駆動タイミングでアクチュエータ24を通電駆動する。
また、制御装置100A内のソレノイド制御手段101Aには、保持電流制御信号の出力状態を監視する故障検出手段104と、故障検出手段104により保持電流制御信号が異常であることが検出されたときに、所定のフェールセーフ制御を行うフェールセーフ手段103Aとが設けられている。
なお、保持電流制御信号の出力状態の異常検出方法については、前述の実施の形態1、2と類似の方法が適用可能なので、ここではその説明を省略する。
故障検出手段104は、通電タイミングSHでの保持制御信号の異常を判定すると、フェールセーフ手段103Aに対して、保持制御信号が異常であることを通知する。
フェールセーフ手段103Aは、保持制御信号の異常状態が通知されると、故障が発生しているものと判定して、通電タイミングSKでの過励磁制御信号の出力を禁止する。
この結果、故障が直るまでの間は、ソレノイド12に対する過励磁電流IKの通電が禁止される。
また、フェールセーフ手段103Aは、故障発生時にソレノイド制御手段101Aにフェールセーフ制御信号を入力し、電源リレー300Aの遮断時間の期間(可動軸13の解放時間と開弁応答時間との合計時間以上の時間として設定されている)にわたって、電源リレー300Aの遮断制御を行う。
次に、図13を参照しながら、電源リレー300Aの遮断時間(遮断開始タイミング)の変更処理について詳細に説明する。
図13は高圧燃料ポンプ10の回転角度(行程位置)に対するポンプカム21の変位量と電源リレー300Aの遮断期間とをタイミングチャート的に示す説明図であり、横軸はポンプカム21の角度位置(回転時間)に対応する。
図13において、クランク角に対応したポンプカム21の角度位置は、最下位置(下死点)の角度BDC1[゜CA]から最上位置(上死点)の角度TDC1[゜CA]までの期間(燃料吐出行程)と、ポンプカム21が上死点位置の角度TDC1から下死点位置の角度BDC2[゜CA]までの期間(燃料吸入行程)とにより構成されている。
また、現在時刻での角度位置として、燃料吐出行程の中ほどに、一例として角度DS1[゜CA]が示されている。
図13においては、ポンプカム21の変位量(燃料吐出行程、燃料吸入行程)に関連させて、可動軸13の解放時間(既知定数)taと、開弁応答時間(既知定数)tbとが、電源リレー300Aの遮断期間(太線四角枠参照)内に示され、解放時間ta[ms]と開弁応答時間tb[ms]との合計遮断時間t1[ms]が示されている。
すなわち、図13の上段において、電源リレー300Aの強制遮断タイミングを変更しなかった第1の場合Case1での電源リレー遮断期間と、電源リレー300Aの遮断時間を延長せずに強制遮断の開始タイミングを遅らせた第2の場合Case2場合での電源リレー遮断期間と、強制遮断の開始タイミングを変更せずに遮断時間を延長した第3の場合Case3での電源リレー遮断期間と、がそれぞれ示されている。
電源リレー遮断時間t1[ms]は、可動軸13の解放時間taと、流量制御弁14の開弁応答時間tbとを用いて、以下の式(1)のように算出される。
t1=ta+tb・・・(1)
なお、後述するが、強制遮断の時間幅t3は、ポンプカム21の上死点(到達時刻)TDC1と、現在位置(現在時刻)DS1と、係数K1[゜CA/ms]と、開弁応答時間tbとを用いて、以下のように算出される。
t3=(TDC1−DS1)/K1+tb
また、遮断開始までの待機時間t2は、以下のように算出される。
t2=t3−t1
ポンプカム21の下死点(到達時刻)BDC1、BDC2は、上死点(到達時刻)TDC1と同様に既知定数である。
また、高圧燃料ポンプ10の角度位置およびポンプカム21の現在位置(現在時刻)DS1は、ポンプ行程位置検出手段26により検出され、待機時間t2が経過した後の位置DS2は、係数K2を用いて、以下のように算出される。
DS2=DS1+t2×K2
さらに、後述するように、各角度位置DE1[゜CA]、DA1[゜CA]、DE2[゜CA]は、それぞれ、係数K3〜K5を用いて、以下のように算出される。
DE1=DS1+t1×K3
DA1=DS1+ta×K4
DE2=TDC1+t2×K5
ただし、上記式において、係数K1〜K5[゜CA/ms]は、回転速度検出手段25の検出情報から算出される値であり、同一値であってもよい。
また、説明の前提条件として、現在時刻よりも以前に故障が発生しており、現在位置の角度DS1においては、係る故障が検出されて電源リレー300Aの強制遮断を実行するフェールセーフ制御を、これから実行しようとしているタイミングであるものとする。
まず、電源リレー300Aを強制遮断するタイミングを変更しない第1の場合Case1においては、現在の角度DS1で電源リレー300Aの強制遮断を開始し、現在位置から合計遮断時間t1(=可動軸解放時間ta+開弁応答時間tb)経過後の位置DE1で、強制遮断制御を終了する。
一方、電源リレー300Aの強制遮断タイミングを変更する第2および第3の場合Case2、Case3においては、まず、第1の場合Case1のように、角度DS1の時点で強制遮断を開始してから、可動軸13の解放時間taが経過した以降での、電源リレー遮断時間(合計時間)t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と燃料吸入行程となる期間とが重なっている、という条件が成立しているか否かを予測する。
そのために、まず、第1の場合Case1での電源リレー300Aの強制遮断を実行したと仮定したときの終了位置の角度DE1と、角度位置DE1から開弁応答時間tbに相当する時間だけ手前にさかのぼった位置の角度DA1とが、両方とも、燃料吸入行程になっているか否かを、以下の式(2)、(3)を用いて算出する。
DE1=DS1+t1×K3・・・(2)
DA1=DS1+ta×K4・・・(3)
式(2)、式(3)において、単位変換係数K3、K4(=K3)は、内燃機関が単位時間当たりに回転する角度幅を意味しており、回転速度検出手段25によって検出された現在の回転速度Ne[r/min]を用いて、たとえば以下の式(4)により容易に算出することができる。
K3=K4=Ne/60000×360[゜CA]・・・(4)
以下、式(2)、式(3)から算出された角度位置DE1、DA1が、ともに燃料吸入行程になっているか否かを判定する。
図13においては、上死点TDC1から下死点BDC2までが燃料吸入行程なので、角度位置DE1、DA1の値が、以下の式(5)を満足していれば、角度位置DE1、DA1がともに燃料吸入行程になっていると判定することができる。
TDC1<DE1<BDC2、かつ、TDC1<DA1<BDC2・・・(5)
第1の場合Case1においては、角度位置DE1、DA1の値が式(5)を満足していないので、このまま電源リレー300Aの強制遮断を実行すると、フェールセーフ制御が失敗に終わる可能性があると判定することができる。
そこで、第2および第3の場合Case2、Case3のように、現在位置DS1を基点としたときに、電源リレー300Aの強制遮断を開始してから、可動軸13の解放時間taが経過した以降での、電源リレー遮断時間t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と、燃料吸入行程となる期間との一致を満足するように、強制遮断の終了タイミングを変更する。
そのために、次に、現在位置DS1から、上記式(5)の条件を満足するときの、電源リレー300Aの強制遮断の終了予定位置DE2までの時間幅t3[ms]を、以下の式(6)により算出する。
t3=(TDC1−DS1/K1+tb・・・(6)
そして、第2の場合Case2においては、電源リレー遮断時間t1を延長せずに、電源リレー300Aの強制遮断の開始タイミングDS1を遅らせつつ、強制遮断の終了位置の角度DE2となるように、現在位置DS1から電源リレー強制遮断の開始時期を遅らせるための待機時間t2[ms]を、時間幅t3を用いて、以下の式(7)により算出する。
t2=t3−t1・・・(7)
また、現在位置DS1から待機時間t2だけ経過した後の位置DS2の時点で、電源リレー300Aの強制遮断を開始し、上死点TDC1から開弁応答時間tbだけ経過した後の位置DE2で、強制遮断を終了するように制御する。
また、第3の場合Case3においては、電源リレー300Aの強制遮断の開始位置DS1を変更せずに、電源リレー遮断時間t1を時間幅t3(=t1+t2)に延長しつつ、強制遮断の終了位置がDE2になるように制御するために、第1の場合Case1と同様に、現在の角度位置DS1の時点で強制遮断を開始し、第2の場合Case2と同様に、現在の角度位置DS1から時間幅t3だけ経過した後の位置DE2で、強制遮断を終了するように制御する。
次に、図14のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態3による高圧燃料ポンプ制御装置のフェールセーフ制御動作について、さらに具体的に説明する。
なお、制御装置100Aは、リレー開始終了タイマおよびリレー遮断終了タイマを備えているものとする。
図14において、制御装置100Aは、まず、故障検出手段104による保持制御信号SHの診断結果から、故障が検出されているか否かを判定する(ステップS401)。
ステップS401において、故障が検出されていない(すなわち、NO)と判定されれば、ソレノイド12の通電制御を許可して(ステップS414)、図14の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS401において、故障が検出されている(すなわち、YES)と判定されれば、ソレノイド12の通電制御を禁止して(ステップS402)、故障検出後での電源リレー300Aの強制遮断が実行済みか否かを判定する(ステップS403)。
なお、ステップS403においては、後述する3通りの処理(ステップS408、S412、S413)のうちのいずれかの処理が実行されることにより、リレー遮断開始タイマおよびリレー遮断終了タイマの各値がセット済みか否かに応じて、電源リレー300Aの強制遮断が実行済みか否かを判定する。
ステップS403において、電源リレー300Aの強制遮断を実行済みである(すなわち、YES)と判定されれば、以下の処理を実行せずに、直ちに図14の処理ルーチンを抜け出る。
一方、電源リレー300Aの強制遮断が未実行である(すなわち、NO)と判定されれば、前述の式(4)を用いて、単位変換係数K(=K3=K4)[゜CA/ms]を算出する(ステップS404)。
続いて、前述の式(2)を用いて、電源リレー300Aの強制遮断を実行するタイミングを変更しなかった場合(前述のCase1の場合)に電源リレーの強制遮断を実行したと仮定したときの電源リレー強制遮断の終了位置DE1を算出する(ステップS405)
また、前述の式(3)を用いて、ステップS405で算出した終了位置DE1から開弁応答時間tbに相当する時間だけ手前にさかのぼった位置の角度DA1を算出する(ステップS406)。
次に、ステップS405で算出した終了位置DE1と、ステップS406で算出した角度位置DA1とが、ともに前述の式(5)を満たすか否か(燃料吸入行程になっているか否か)を判定する(ステップS407)。
ステップS407において、角度位置DE1、DA1の各値が式(5)を満足する(すなわち、YES)と判定されれば、リレー遮断開始タイマを「0」、リレー遮断終了タイマを「t1」にセットして(ステップS408)、図14の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS407において、角度位置DE1、DA1の各値が式(5)を満足しない(すなわち、NO)と判定されれば、前述の式(6)を用いて、現在位置DS1を基点としたときに、電源リレー300Aの強制遮断を開始してから可動軸13の解放時間taが経過した以降での電源リレー遮断時間t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と、燃料吸入行程となる期間との一致を満足するときの、電源リレー300Aの強制遮断の終了予定位置DE2までの時間幅t3を算出する(ステップS409)。
続いて、回転速度検出手段25により検出された回転速度Neが、低回転領域を示すか否かを判定し(ステップS410)、回転速度Neが低回転領域でない(すなわち、NO)と判定されれば、リレー遮断開始タイマを「t0」、リレー遮断終了タイマを「t3」にセットして(ステップS413)、図14の処理ルーチンを抜け出る。
一方、ステップS410において、回転速度Neが低回転領域を示す(すなわち、YES)と判定されれば、前述の式(7)を用いて、現在位置DS1から電源リレー300Aの強制遮断の開始時期を遅らせるための待機時間t2を算出し(ステップS411)、リレー遮断開始タイマを「t2」、リレー遮断終了タイマを「t3」にセットして(ステップS412)、図14の処理ルーチンを抜け出る。
これにより、3通りのタイマ設定処理(ステップS408、S412、S413)のうちのいずれかにおいて、リレー遮断開始タイマおよびリレー遮断終了タイマの各値がセットされる。
図14の処理ルーチンを抜け出た後、制御装置100A内のソレノイド制御手段101Aは、現在位置DS1の時点からリレー遮断開始タイマ値が経過した後に強制遮断を開始し、現在位置DS1の時点からリレー遮断終了タイマ値が経過した後に強制遮断を終了するように、電源リレー300Aを制御する。
このように、制御装置100Aは、故障検出手段104が故障を検出した際に、ソレノイド12への過励磁電流IKの通電を禁止するとともに、可動軸13の解放時間taと開弁応答時間tbとの合計時間からなる電源リレー遮断時間t1以上の期間にわたって、電源リレー300Aを強制遮断して、ソレノイド駆動手段201への供給電源を遮断する。
また、このとき、制御装置100Aは、回転速度Neおよびポンプ行程位置の検出情報に基づいて、電源リレー300Aの強制遮断を開始してから可動軸13の解放時間taが経過した以降での電源リレー遮断時間t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と、高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吸入行程となる期間とが重なるように、電源リレー300Aの強制遮断タイミングを変更する。
したがって、高圧燃料ポンプ10の流量制御弁14を駆動するソレノイド12に対して保持電流IHが連続通電となる故障が発生した場合に、高圧燃料ポンプ10から過剰な量の燃料が吐出され続けてアクチュエータ(燃料噴射弁)24への供給燃圧が過度に高くなる状態の継続を回避しつつ、故障車両を修理工場まで退避走行させることができる。
以上のように、この発明の実施の形態3(図5、図7〜図14)に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、高圧燃料ポンプ10と、流量制御弁14と、可動軸13と、常閉式の燃料吐出弁17と、ソレノイド制御手段101Aと、ソレノイド駆動手段201と、電源リレー300Aと、アクチュエータ駆動手段202と、故障検出手段104と、フェールセーフ手段103Aと、内燃機関または高圧燃料ポンプ10の回転速度Neに関する情報を検出する回転速度検出手段25と、高圧燃料ポンプ10の運転行程(行程位置)に関する情報を検出するポンプ行程位置検出手段26と、を備えている。
高圧燃料ポンプ10は、内燃機関の回転に同期して上下動するプランジャ18が下動する際に加圧室16の容積が拡大する燃料吸入行程と、プランジャ18が上動する際に加圧室16の容積が縮小する燃料吐出行程とを交互に繰り返す。
流量制御弁14は、高圧燃料ポンプ10の燃料吸入口10aと加圧室16との間の燃料吸入通路中に配置されており、加圧室16側から燃料吸入口10a側に向かって燃料吸入通路を閉じる方向に作用する閉弁力を発生するための付勢手段(閉弁ばね15)を備えている。
可動軸13は、ソレノイド12が通電されていないときには、流量制御弁14に付加された閉弁力よりも大きい開弁力の作用により燃料吸入口10a側から加圧室16側に向かって流量制御弁14に圧接するように移動して、流量制御弁14を開く方向に作用する。
また、可動軸13は、ソレノイド12が通電されているときには、開弁力よりも大きい電磁力(ソレノイド12に発生する電磁力)に吸引されて、流量制御弁14から離間して吸引位置に移動する。
燃料吐出弁17は、加圧室16と高圧燃料ポンプ10の燃料吐出口10bとの間の燃料吐出通路中に配置されており、燃料吐出口10b側の燃圧よりも加圧室16側の燃圧の方が大きくなったときに開弁して、加圧室16側から燃料吐出口10b側へ向かって燃料が流通できるようにする。
ソレノイド制御手段101Aは、可動軸13を吸引位置へ移動させるのに必要な相対的に大きい電磁力を発生させるために、ソレノイド12に通電される過励磁電流IKが所定の通電タイミングSKで供給されるように過励磁電流制御信号を出力する。
また、ソレノイド制御手段101Aは、可動軸13が吸引位置へ移動した後、可動軸13を吸引位置に留めておくのに最低限必要な相対的に小さい電磁力を発生させるために、ソレノイド12に通電される保持電流IHが所定の通電タイミングSIで通電されるように保持電流制御信号を出力する。
ソレノイド駆動手段201は、過励磁電流制御信号が入力されたときには、ソレノイド12に対して過励磁電流IKを通電し、保持電流制御信号が入力されたときには、ソレノイド12に対して保持電流IHを通電する。
電源リレー300Aは、ソレノイド制御手段101Aの制御下で、ソレノイド駆動手段201への供給電源配線の接続または遮断を切り換える。
アクチュエータ駆動手段202は、電源リレー300Aを介してソレノイド駆動手段201に接続される電源配線から分岐された電気配線を通じて電源供給されるとともに、ソレノイド12とは別のアクチュエータ(燃料噴射弁)24を通電する。
故障検出手段104は、保持電流IHが連続通電となる故障状態を検出する。
フェールセーフ手段103Aは、故障検出手段104により保持電流IHが連続通電となる故障状態が検出されている間は、ソレノイド制御手段101Aからの過励磁電流制御信号の出力を禁止する。
また、フェールセーフ手段103Aは、故障検出手段104により保持電流IHが連続通電となる故障状態が検出されたときに、電源リレー300Aを遮断側に切り換えてから、ソレノイド12に連続通電されていた保持電流IHが消失してソレノイド12に発生していた電磁力が消失し、可動軸13が吸引位置から解放されて流量制御弁14に圧接するようになるまでに要する可動軸13の解放時間taと、流量制御弁14が閉弁位置から開弁位置まで移動するのに要する開弁応答時間tbとの合計時間として設定されている電源リレー遮断時間t1以上の期間にわたって、電源リレー300Aを強制的に遮断制御する。
さらに、フェールセーフ手段103Aは、回転速度検出手段25により検出された回転速度Neと、ポンプ行程位置検出手段26により検出された高圧燃料ポンプの行程位置とに基づいて、電源リレー300Aの強制遮断開始から可動軸13の解放時間taが経過した以降における電源リレー遮断時間t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と、高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吸入行程となる期間とが重なるように、強制遮断の実行タイミングを変更する。
上記フェールセーフ制御により、偶発的に発生する故障に対して、電源リレー300Aの強制遮断が実行されるときの高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吐出行程であったとしても、運転行程が燃料吐出行程から燃料吸入行程に切り換わり、流量制御弁14が閉弁位置から開弁位置に移動した後に、強制遮断が終了するように制御される。
この結果、強制遮断が終了して電源リレー300Aが再接続された時点では、開弁位置に移動した流量制御弁14と可動軸13とが圧接するようになるので、電源リレー300Aが再接続された以降の流量制御弁14は、開弁状態を維持する。
したがって、高圧燃料ポンプ10の流量制御弁14を駆動するためのソレノイド12に対して保持電流IHが連続通電となる故障が発生した場合に、高圧燃料ポンプ10の加圧室16内での燃料加圧動作が行われなくなるので、高圧燃料ポンプ10から過剰な燃料量が吐出され続けることを解消して、燃料噴射弁への供給燃圧を下げつつ、故障発生車両を確実に修理工場まで退避走行させることができる。
また、フェールセーフ手段103Aは、図13内の第2の場合Case2のように、電源リレー遮断時間t1を延長せずに、強制遮断の開始タイミングを遅らせることにより、強制遮断の実行タイミングを変更するので、強制遮断の開始タイミングが若干遅れるものの、電源リレー遮断時間t1を延長しないで済むことから、電源リレー300Aを介して電源供給される別のアクチュエータ24の駆動制御が強制的に停止される期間を、できるだけ短い期間(最小)としながら、所望のフェールセーフ制御を実現することができる。
また、フェールセーフ手段103Aは、図13内の第3の場合Case3のように、強制遮断の開始タイミングを変更せずに、電源リレー遮断時間t1を時間幅t3に延長することにより、強制遮断の実行タイミングを変更するので、電源リレー遮断時間が若干長くなるものの、強制遮断の開始タイミングを遅らせないで済むことから、燃圧の上昇度合いを最小としながら、所望のフェールセーフ制御を実現することができる。
さらに、フェールセーフ手段103Aは、回転速度検出手段25により検出された回転速度Neが、少なくとも低回転領域を示す場合には、図13内の第2の場合Case2を選択し、電源リレー遮断時間t1を延長せずに、電源リレー300Aの強制遮断の開始タイミングを遅らせることにより、強制遮断の実行タイミングを変更する。
これにより、低回転領域で正常運転の継続が妨げられている期間が長くなることに起因したエンストの可能性を低減することができる。
ここで、内燃機関が低回転領域の場合に、電源リレー遮断時間t1を延長せずに、電源リレー300Aの強制遮断の開始タイミングを遅らせることによる効果について、補足説明する。
仮に、低回転領域で電源リレー遮断時間t1を延長する第3の場合Case3のフェールセーフ方法を選択した場合、電源リレー300Aの強制遮断時に、ソレノイド駆動手段201と電源を共有しているアクチュエータ駆動手段202への電源供給も停止されるので、ソレノイド12とは別のアクチュエータ(たとえば、燃料噴射弁や点火コイルなど)24の停止期間も長くなり、内燃機関の正常運転の継続が妨げられ、エンストする可能性が高くなる。
そこで、電源リレー300Aの強制遮断を実行する際に、内燃機関が低回転領域にある場合には、アクチュエータ駆動手段202の停止期間を短くすることを優先して、電源リレー遮断時間t1を延長せずに、強制遮断の開始タイミングを遅らせることにより、強制遮断の実行タイミングを変更する。
この結果、低回転領域で内燃機関の正常運転の継続が妨げられている期間が長くなることに起因したエンストの可能性を減らすことができる。
なお、図7〜図11のように、一般的な高圧燃料ポンプ制御装置においては、内燃機関のカム軸20の回転に同期して回転するポンプカム21が採用されていることから、高圧燃料ポンプ10の運転行程が切り換わる速度は、内燃機関の回転速度Neに相関する。つまり、内燃機関が低回転で運転しているときほど、高圧燃料ポンプ10から燃料が吐出される周期も長くなっており、燃圧の上昇速度も遅い。
したがって、低回転領域で電源リレー300Aの強制遮断の開始タイミングを若干遅らせたとしても、内燃機関が高回転の場合に比べれば、燃圧の上昇速度への影響は少ない。
一方、内燃機関が高回転領域にあるときに、電源リレー遮断時間t1をt3に延長する第2の場合Case2のフェールセーフ方法を選択した場合には、アクチュエータ24の停止期間が長くなったとしても、一般的に採用されている減速走行時の燃料カット制御がそうであるように、内燃機関の正常運転が妨げられている期間が若干長くなったとしても、回転速度Neが高い運転状態ではエンストに至ることはまれである。
次に、図15の説明図を参照しながら、回転速度Neが低回転領域の場合にエンスト回避するための、図13内の第2の場合Case2に基づく電源リレー300Aの強制遮断の実行タイミングについて、さらに具体的に説明する。
図15においては、4サイクル4気筒の内燃機関において、カム軸20に2つの突起部を有するポンプカム21が装着された場合を例にとり、内燃機関が2回転する期間(クランク角で720[゜CA]間)における、ポンプカム21の変位量および各気筒の噴射タイミングが示されている。
図15において、前述(図13参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
ここでは、上段から順に、以下の(a)〜(c)が示されている。
(a)アクチュエータ駆動手段202により駆動される4つの燃料噴射弁#1〜#4の駆動タイミング。
(b)図13内の第1〜第3の場合Case1〜Case3での各電源リレー遮断期間t1、t3。
(c)ポンプカム21の変位量。
燃料噴射弁#1〜#4が燃料を噴射駆動しているタイミングは、それぞれ、LOWレベルの短い期間で示されている。
また、各気筒の燃料噴射弁は、#1→#3→#4→#2の気筒順序で、シーケンシャル噴射制御されることから、隣り合った燃料噴射弁での燃料の噴射間隔は、約180[゜CA]だけ離れて駆動されるので、内燃機関が2回転する期間において、各燃料噴射弁は1回ずつ駆動される。
さらに、電源リレー遮断時間t1は、前述の式(1)のように、電源リレー300Aの強制遮断を開始してから可動軸13が解放されて流量制御弁14に圧接するようになるまでに要する可動軸13の解放時間taと、流量制御弁14が閉弁位置から開弁位置まで移動するのに要する開弁応答時間tbとの合計時間で表される。
なお、図15においては、電源リレー300Aを強制遮断するタイミングを変更しなかった第1の場合Case1での電源リレー遮断期間t1と、電源リレー遮断時間t1を延長せずに強制遮断の開始タイミングを遅らせた第2の場合Case2での電源リレー遮断期間t1と、強制遮断の開始タイミングを変更せずに、電源リレー遮断時間t1をt3に延長した第3の場合Case3での電源リレー遮断期間とを制御例として示している。
また、ポンプカム21の変位量に関しては、内燃機関の回転にともなって最下位置から最上位置まで変位する期間が燃料吐出行程であり、内燃機関の回転にともなって最上位置から最下位置まで変位する期間が燃料吐出行程であり、内燃機関が2回転する期間にカム軸20が1回転することから、内燃機関が2回転する期間で燃料吐出行程と燃料吸入行程とが交互に2回ずつ現れる。
前述のように、電源リレー300Aを強制遮断するタイミングを変更しなかった第1の場合Case1では、電源リレー遮断期間t1の全期間が燃料吐出行程と重なるので、閉弁位置にある流量制御弁14に可動軸13が圧接している状態となり、強制遮断が終了して電源リレー300Aが再接続された後に、可動軸13が吸引位置に引き戻されてしまう。また、この場合、電源リレー遮断時間t1と#3気筒の燃料噴射タイミングとが重なることから、電源リレー300Aの遮断中において、#3気筒の燃料噴射弁は駆動できずに燃料カット状態となる。
一方、第2の場合Case2においては、電源リレー300Aの強制遮断を開始してから可動軸13の解放時間taが経過した以降での電源リレー遮断時間t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と、高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吸入行程となる期間とが重なるように、強制遮断の開始タイミングを第1の場合Case1よりも遅らせている。
すなわち、第2の場合Case2では、電源リレー遮断時間t1(=ta+tb)であることは変更せず、強制遮断の開始タイミングを、第1の場合Case1よりも待機時間t2だけ遅らせている。また、この場合、電源リレー遮断時間t1と各気筒の燃料噴射タイミングとが重なっていないことから、いずれの燃料噴射弁も燃料カットされずに、所定のタイミングで駆動され続ける。
また、第3の場合Case3においては、電源リレー300Aの強制遮断を開始してから可動軸13の解放時間taが経過した以降での電源リレー遮断時間t1の残り時間のうち、開弁応答時間tbに相当する期間と、高圧燃料ポンプ10の運転行程が燃料吸入行程となる期間とが重なるように、電源リレー遮断時間t1を待機時間t2だけ延長している。
第3の場合Case3は、強制遮断の開始タイミングは、第1の場合Case1と同じとしながら、電源リレー遮断時間t1を時間幅t3(=t1+t2)に延長している。
この場合も、第1の場合Case1と同様に、電源リレー遮断時間t1と#3気筒の燃料噴射タイミングとが重なっていることから、電源リレー300Aの遮断中において、#3気筒の燃料噴射弁は駆動できずに燃料カット状態となる。
図15から明らかなように、燃料噴射弁の正常な駆動が妨げられることで、内燃機関がエンストに至るという可能性が高まる低回転領域においては、電源リレー遮断時間t1を延長せずに、電源リレー300Aの強制遮断を開始するタイミングを遅らせる第2の場合Case2を選択することにより、エンストを回避することができる。
さらに、アクチュエータ24として、内燃機関に燃料を供給するための燃料噴射弁を備えているので、フェールセーフ手段103Aによる強制遮断制御後に電源リレー300Aが再接続された以降に、アクチュエータ駆動手段202による燃料噴射弁の通電駆動を継続することが可能となる。
したがって、ソレノイド駆動手段201とアクチュエータ駆動手段202とで個別に電源リレーを装着するといったコストアップを招くことなく、燃料噴射弁への供給燃圧を下げつつ、故障発生車両を確実に修理工場まで退避走行させることができる。
この発明の実施の形態1、2に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置の具体的な構成および動作を説明するための機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1による第1のフェールセーフ制御動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による第2のフェールセーフ制御動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2によるフェールセーフ制御動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1〜3に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置の筐体構成および電気的な等価回路を示す回路構成図である。 この発明の実施の形態1、2による制御動作を示すタイミングチャートである。 この発明の実施の形態1〜3に適用される高圧燃料ポンプの燃料吸入行程時かつソレノイド非通電時の構造を示す断面図である。 この発明の実施の形態1〜3に適用される高圧燃料ポンプの燃料吐出行程時かつソレノイド通電制御時の構造を示す断面図である。 この発明の実施の形態1〜3に適用される高圧燃料ポンプの燃料吸入行程時かつソレノイド通電故障時の構造を示す断面図である。 この発明の実施の形態1〜3に適用される高圧燃料ポンプの燃料吐出行程かつソレノイド非通電時の構造を示す断面図である。 この発明の実施の形態1〜3に適用される高圧燃料ポンプの燃料吐出行程かつ電源リレー強制遮断時の構造を示す断面図である。 この発明の実施の形態3に係る内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置の具体的な構成および動作を説明するための機能ブロック図である。 この発明の実施の形態3による電源リレーの強制遮断を開始するタイミングの変更処理を示す説明図である。 この発明の実施の形態3によるフェールセーフ制御動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3による高圧燃料ポンプの運転行程と電源リレーの遮断タイミングとの関係を示す説明図である。
符号の説明
10 高圧燃料ポンプ、10a 燃料吸入口、10b 燃料吐出口、11 開弁ばね、12 ソレノイド、13 可動軸、14 流量制御弁、15 閉弁ばね、16 加圧室、17 燃料吐出弁、18 プランジャ、19 圧接ばね、20 カム軸、21 ポンプカム、22 燃圧センサ、23 各種センサ群、24 アクチュエータ(燃料噴射弁)、25 回転速度検出手段、26 ポンプ行程位置検出手段、100、100A 制御装置、101、101A ソレノイド制御手段、102、102A アクチュエータ制御手段、103、103A フェールセーフ手段、104 故障検出手段、200 駆動装置、201 ソレノイド駆動手段、202 アクチュエータ駆動手段、300 電源遮断手段、300A 電源リレー、IK 過励磁電流、IH 保持電流、SK 過励磁電流の通電タイミング、SH 保持電流の通電タイミング、SS アクチュエータの通電タイミング、FF 故障フラグ、FA アクチュエータ駆動フラグ、FCK 過励磁禁止フラグ、FCR 電源遮断フラグ、FCA アクチュエータ駆動禁止フラグ、ta 可動軸の解放時間、tb 流量制御弁の開弁応答時間。

Claims (10)

  1. 燃料吸入口および燃料吐出口と、流量制御弁を含む加圧室と、前記流量制御弁を駆動するソレノイドおよび可動軸とを有する高圧燃料ポンプと、
    前記ソレノイドへの通電タイミングを演算して出力するソレノイド制御手段と、
    前記ソレノイドへの通電タイミングが入力されているときに前記ソレノイドを通電するソレノイド駆動手段と、
    前記高圧燃料ポンプから吐出される燃料の圧力を燃圧として検出する燃圧センサと、
    前記ソレノイド制御手段を含む制御装置と、
    前記ソレノイド駆動手段を含む駆動装置と、
    前記駆動装置に対して電源を供給または遮断する電源遮断手段と、を備え、
    前記可動軸は、前記ソレノイドの通電により所定の吸引位置に移動して前記流量制御弁を閉弁側に作用させ、
    前記高圧燃料ポンプは、
    内燃機関の回転に同期して、前記加圧室の容積が拡大する燃料吸入行程と、前記加圧室の容積が縮小する燃料吐出行程とを交互に繰り返すとともに、
    前記燃料吸入行程では、前記燃料吸入口の上流側から前記加圧室内に低圧の燃料を吸入し、
    前記燃料吐出行程では、所定のタイミングで前記流量制御弁を閉弁駆動させることにより、前記燃料吸入口の上流側と前記加圧室との連通を遮断して前記加圧室内に吸入された燃料を圧送し、
    前記制御装置および前記駆動装置は、それぞれ物理的に分離された別々の装置として配置された高圧燃料ポンプ制御装置において、
    前記ソレノイド制御手段の故障状態を検出する故障検出手段と、
    前記故障状態に応答して動作するフェールセーフ手段と、をさらに備え、
    前記ソレノイド制御手段は、
    前記可動軸を前記吸引位置に移動させるために必要な相対的に大きい電流値からなる過励磁電流の通電タイミングと、
    前記可動軸が前記吸引位置に移動した後に前記可動軸を前記吸引位置に留めておくために必要な相対的に小さい電流値からなる保持電流の通電タイミングと、を演算して、
    前記過励磁電流および前記保持電流の各通電タイミングを前記ソレノイド駆動手段に出力し、
    前記ソレノイド駆動手段は、前記過励磁電流の通電タイミングにしたがって前記ソレノイドに前記過励磁電流を通電するとともに、前記保持電流の通電タイミングにしたがって前記ソレノイドに前記保持電流を通電し、
    前記故障検出手段は、前記保持電流の通電タイミングが正常でない場合に前記故障状態を検出し、
    前記フェールセーフ手段は、前記故障状態が検出されているときには、前記ソレノイド制御手段からの前記過励磁電流の通電タイミングの出力を禁止し、
    前記駆動装置は、前記ソレノイド以外のアクチュエータを駆動するためのアクチュエータ駆動手段を含み、
    前記電源遮断手段は、前記ソレノイドおよび前記アクチュエータに対して共通的に電源を供給または遮断し、
    前記フェールセーフ手段は、前記故障検出手段により前記故障状態が検出された場合には、前記可動軸が前記吸引位置に留まることができなくなる所定時間以上の期間にわたって、前記電源遮断手段により前記電源の供給を遮断することを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  2. 燃料吸入口および燃料吐出口と、流量制御弁を含む加圧室と、前記流量制御弁を駆動するソレノイドおよび可動軸とを有する高圧燃料ポンプと、
    前記ソレノイドへの通電タイミングを演算して出力するソレノイド制御手段と、
    前記ソレノイドへの通電タイミングが入力されているときに前記ソレノイドを通電するソレノイド駆動手段と、
    前記高圧燃料ポンプから吐出される燃料の圧力を燃圧として検出する燃圧センサと、
    前記ソレノイド制御手段を含む制御装置と、
    前記ソレノイド駆動手段を含む駆動装置と、
    前記駆動装置に対して電源を供給または遮断する電源遮断手段と、を備え、
    前記可動軸は、前記ソレノイドの通電により所定の吸引位置に移動して前記流量制御弁を閉弁側に作用させ、
    前記高圧燃料ポンプは、
    内燃機関の回転に同期して、前記加圧室の容積が拡大する燃料吸入行程と、前記加圧室の容積が縮小する燃料吐出行程とを交互に繰り返すとともに、
    前記燃料吸入行程では、前記燃料吸入口の上流側から前記加圧室内に低圧の燃料を吸入し、
    前記燃料吐出行程では、所定のタイミングで前記流量制御弁を閉弁駆動させることにより、前記燃料吸入口の上流側と前記加圧室との連通を遮断して前記加圧室内に吸入された燃料を圧送し、
    前記制御装置および前記駆動装置は、それぞれ物理的に分離された別々の装置として配置された高圧燃料ポンプ制御装置において、
    前記ソレノイド制御手段の故障状態を検出する故障検出手段と、
    前記故障状態に応答して動作するフェールセーフ手段と、をさらに備え、
    前記ソレノイド制御手段は、
    前記可動軸を前記吸引位置に移動させるために必要な相対的に大きい電流値からなる過励磁電流の通電タイミングと、
    前記可動軸が前記吸引位置に移動した後に前記可動軸を前記吸引位置に留めておくために必要な相対的に小さい電流値からなる保持電流の通電タイミングと、を演算して、
    前記過励磁電流および前記保持電流の各通電タイミングを前記ソレノイド駆動手段に出力し、
    前記ソレノイド駆動手段は、前記過励磁電流の通電タイミングにしたがって前記ソレノイドに前記過励磁電流を通電するとともに、前記保持電流の通電タイミングにしたがって前記ソレノイドに前記保持電流を通電し、
    前記故障検出手段は、前記保持電流の通電タイミングが正常でない場合に前記故障状態を検出し、
    前記フェールセーフ手段は、前記故障状態が検出されているときには、前記ソレノイド制御手段からの前記過励磁電流の通電タイミングの出力を禁止し、
    前記駆動装置は、前記ソレノイド以外のアクチュエータを駆動するためのアクチュエータ駆動手段を含み、
    前記電源遮断手段は、前記ソレノイドおよび前記アクチュエータに対して共通的に電源を供給または遮断し、
    前記フェールセーフ手段は、前記故障検出手段により前記故障状態が検出された場合には、前記燃圧センサで検出される燃圧に上昇挙動が見られなくなるまでの期間にわたって、前記電源遮断手段により前記電源の供給を遮断することを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  3. 前記フェールセーフ手段は、前記アクチュエータが駆動されていない期間に、前記電源の供給を遮断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  4. 前記フェールセーフ手段は、前記アクチュエータの駆動開始を禁止してから前記電源の供給を遮断するとともに、前記電源の供給を再開させたときに前記アクチュエータの駆動を許可することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  5. 前記アクチュエータは、前記内燃機関に燃料を供給するための燃料噴射弁を含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  6. 燃料吸入口および燃料吐出口と、流量制御弁を含む加圧室と、内燃機関の回転に同期して前記加圧室内で上下動するプランジャと、前記流量制御弁を駆動するソレノイドおよび可動軸とを有する高圧燃料ポンプと、
    前記ソレノイドへの通電タイミングを演算して出力するソレノイド制御手段と、
    前記ソレノイドへの通電タイミングが入力されているときに前記ソレノイドを通電するソレノイド駆動手段と、
    前記加圧室と前記高圧燃料ポンプの燃料吐出口の間の燃料吐出通路中に配置された常閉式の燃料吐出弁と、を備え、
    前記流量制御弁は、前記燃料吸入口と前記加圧室との間の燃料吸入通路中に配置され、前記加圧室側から前記燃料吸入口側に向かって前記燃料吸入通路を閉じる方向に作用する閉弁力を発生するための付勢手段を含み、
    前記高圧燃料ポンプは、前記内燃機関の回転に同期して、前記プランジャが下動する際に前記加圧室の容積が拡大する燃料吸入行程と、前記プランジャが上動する際に前記加圧室の容積が縮小する燃料吐出行程とを交互に繰り返し、
    前記燃料吐出弁は、前記燃料吐出口側の燃圧よりも前記加圧室側の燃圧の方が大きくなったときに開弁して、前記加圧室側から前記燃料吐出口側へ向かって燃料を流通させ、
    前記可動軸は、前記ソレノイドが通電されていないときには、前記流量制御弁に備えられた前記閉弁力よりも大きい開弁力の作用により前記燃料吸入口側から前記加圧室側に向かって前記流量制御弁に圧接するように移動して、前記流量制御弁を開く方向に作用し、また、前記ソレノイドが通電されているときには、前記開弁力よりも大きい前記ソレノイドに発生する電磁力に吸引されて、前記流量制御弁から離間して吸引位置に移動し、
    前記ソレノイド制御手段は、
    前記可動軸を前記吸引位置へ移動させるのに必要な相対的に大きい電磁力を発生させるために前記ソレノイドに通電される過励磁電流と、
    前記可動軸が前記吸引位置へ移動した後に、前記可動軸を前記吸引位置に留めておくのに最低限必要な相対的に小さい電磁力を発生させるために前記ソレノイドに通電される保持電流とが、
    それぞれ所定のタイミングで通電されるように、過励磁電流制御信号および保持電流制御信号を前記ソレノイド駆動手段に入力し、
    前記ソレノイド駆動手段は、
    前記過励磁電流制御信号が入力されたときには、前記ソレノイドに対して前記過励磁電流を通電し、
    前記保持電流制御信号が入力されたときには、前記ソレノイドに対して前記保持電流を通電する高圧燃料ポンプ制御装置であって、
    前記内燃機関または前記高圧燃料ポンプの回転速度に関する情報を検出する回転速度検出手段と、
    前記高圧燃料ポンプの行程位置に関する情報を検出するポンプ行程位置検出手段と、
    前記ソレノイド制御手段の制御下で前記ソレノイド駆動手段に供給される電源配線の接続または遮断が切り換え可能な電源リレーと、
    前記電源リレーを介して前記ソレノイド駆動手段に接続される電源配線から分岐された電気配線を通じて電源が供給されるとともに前記ソレノイドとは別のアクチュエータを通電するためのアクチュエータ駆動手段と、
    前記保持電流が連続通電となる故障状態を検出する故障検出手段と、
    前記故障状態に応答して動作するフェールセーフ手段と、をさらに備え、
    前記フェールセーフ手段は、
    前記故障検出手段により前記保持電流が連続通電となる故障状態が検出されている間は、前記ソレノイド制御手段から前記ソレノイド駆動手段への前記過励磁電流制御信号の入力を禁止するとともに、
    前記故障検出手段により前記保持電流が連続通電となる故障状態が検出されたときに、前記電源リレーを遮断側に切り換えてから、前記ソレノイドに連続通電されていた保持電流の消失にともなって前記ソレノイドに発生していた電磁力が消失して、前記可動軸が前記吸引位置から解放されて前記流量制御弁に圧接するようになるまでに要する可動軸解放時間と、前記流量制御弁が閉弁位置から開弁位置まで移動するのに要する開弁応答時間との合計時間として設定されている電源リレー遮断時間以上の間にわたって、前記電源リレーを強制的に遮断制御し、
    さらに、前記フェールセーフ手段は、
    前記回転速度検出手段により検出された回転速度と、前記ポンプ行程位置検出手段により検出された前記高圧燃料ポンプの行程位置とに基づいて、前記電源リレーの強制遮断を開始してから、前記可動軸解放時間が経過した以降における前記電源リレー遮断時間の残り時間のうち、前記開弁応答時間に相当する期間と、前記高圧燃料ポンプの運転行程が燃料吸入行程となる期間とが重なるように、前記電源リレーの強制遮断を実行する強制遮断タイミングを変更することを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  7. 前記フェールセーフ手段は、前記電源リレーの強制遮断を開始するタイミングを一定時間だけ遅らせることにより、前記強制遮断タイミングを変更することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  8. 前記フェールセーフ手段は、前記電源リレーの遮断時間を一定時間だけ延長することにより、前記強制遮断タイミングを変更することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  9. 前記フェールセーフ手段は、前記回転速度検出手段により検出された回転速度が、エンジンストールに至る可能性のある低回転領域を示す場合には、前記電源リレーの強制遮断を開始するタイミングを遅らせることにより、前記強制遮断タイミングを変更することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  10. 前記アクチュエータは、前記内燃機関に燃料を供給するための燃料噴射弁を含むことを特徴とする請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
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