JP4480608B2 - 配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、DNA(デオキシリボ核酸)や蛋白質等の生体物質(検体)の解析、照合、合成、増幅等に用いられる配線基板に関するものである。
従来より、DNAや蛋白質等の生体物質(検体)を照合、合成、増幅するのに、所定の流路(チャネルやキャピラリーともいう)を有した配線基板が用いられており、一般にマイクロ化学チップと呼ばれている。
このような従来の配線基板としては、セラミックスから成る絶縁基体の表面等に配線導体が形成されるとともに、流路形成用の溝加工を施した構造のものが知られている。
かかる配線基板は、従来周知のセラミックグリーンシート(セラミック生シートで、以下、グリーンシートともいう)積層法により以下のようにして製作される。
即ち、まず、アルミナ等から成るセラミック原料粉末にガラス粉末,有機バインダー,溶剤,可塑剤等を添加混合して泥漿状となし、これをドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状に成形してグリーンシートを得、流路や泳動路となる溝や穴をプレス打抜き加工法等によって形成する。さらに、セラミック層間を貫通する貫通導体の形成ための微細な穴をプレス打抜き加工法等によって形成し、その穴に、タングステン(W),モリブデン(Mo)等の金属粉末に所望のガラス粉末,有機バインダー,溶剤,可塑剤等を添加混合して得られる金属ペーストを埋込む。その後、グリーンシート表面に、タングステン(W),モリブデン(Mo)等の金属粉末に所望のガラス粉末,有機バインダー,溶剤,可塑剤等を添加混合して得られる金属ペーストを、スクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布し熱電対を載置形成する。しかる後、このグリーンシートを複数枚積層して積層体となすとともに、この積層体を800〜1650℃程度の温度で焼成することによって製品としての配線基板が完成する。
また、このような、DNAの解析、照合用等に使用される配線基板は、DNAの2鎖を1鎖に分解する分鎖作業を行なう際、流路内の検体を70〜100℃程度まで加熱する必要があるため、加熱機能と測温機能とが別途、必要とされる。
加熱機能は、配線基板内部に高抵抗材料の白金−レニウム(Pt−Re)合金やタングステン−レニウム(W−Re)合金から成るヒーター導体によって形成されるのが一般的であり、印刷等によって形成されたヒーター導体に電流を流がし、ジュール熱を発生させることによって加熱するようにしている。この方法はヒーター導体の位置が被加熱物に近く、周囲に奪われる熱量が小さいために被加熱物を効率良く加熱することができる。またヒーター導体の位置が被加熱物に近いので温度コントロールを精度良く行なうことができる利点もある。なお、他の加熱方法としては、湯洗や卓上ヒーター導体の加熱源の上に流路の付いた配線基板を乗せ、間接的に被加熱物を加熱する方法が知られている。
他方、測温機能は、アルメル−クロメル熱電対、鉄(Fe)−コンスタンタン熱電対、クロメル−コンスタンタン熱電対、白金−白金ロジウム合金熱電対等の熱電対の素線を、配線基板の温度測定部近傍に穴を設け、その穴に線状の熱電対を挿入し温度測定を行なう方法、配線基板上に熱電対の取付け治具をロウ材や耐熱性接着剤等を用いて接合し、その取付け治具に線状の熱電対を固定し温度測定を行なう方法、または軟化点が350〜500℃程度の低軟化点ガラスや耐熱性接着剤等を用いて配線基板に直接固定し温度測定を行なう方法等が知られている。
しかしながら、これらの熱電対を配線基板に直接取付ける方法では、配線基板上において熱電対を取付けるための広いスペースを確保する必要があるため、小型化、高密度化が進む配線基板において熱電対を取付けるための広い面積を確保することは困難な状況となりつつある。特に、DNA等の検体を照合、合成、増幅するための流路を有した配線基板においては、検体を液状の試薬中で泳動させるための流路幅が小型化により年々細くなってきており、そのような状況の中で配線基板の表面に熱電対の素線を取付けるための広い面積を確保することは極めて困難なものとなっている。
また、検体を照合、合成、増幅する過程において、強酸性、強アルカリ性の化学薬品による処理が施されることから、化学薬品により侵食される金属のロウ材や取付け金具は使用に制限が生じる。
そこで、近年、配線基板の内部に熱電対を形成する方法として、アルミナ等から成るグリーンシートに、配線導体としてタングステン(W),モリブデン(Mo)等の金属ペーストを、熱電対として白金と白金−ロジウム合金との金属ペーストを印刷形成してグリーンシートを積層し、1650℃程度で焼成する方法が提案されている。
特開昭54−137141号公報 特開平11−214127号公報
しかしながら、上述した従来の配線基板においては、その内部に白金−白金ロジウム合金から成る熱電対を形成した場合、DNA解析における検体の分解温度や、ICチップの自己発熱温度または使用環境温度である300℃以下の温度において、発生する起電力が100〜2400μV程度と小さく、それ故、電圧計測機器の配線や接続線等により発生するノイズや使用雰囲気によるドリフトにより、測定精度が安定せず、測定起電力に補正を加えて使用することが必要であるという問題点があった。
そこで、このような問題点を解決するために、300℃における起電力が12209μVと大きく、補正しなくても安定した測定精度が得られる、アルメル−クロメル熱電対や鉄(Fe)−コンスタンタン熱電対、クロメル−コンスタンタン熱電対等の比較的低融点金属から成る熱電対を使用することが考えられる。
しかしながら、このような低融点金属から成る熱電対は、それを構成する金属の融点が900〜1700℃程度であることから、使用限界温度が800〜1000℃程度と低い。そのため、従来のアルミナ等から成るグリーンシートに、配線導体としてタングステン(W),モリブデン(Mo)等の金属ペーストを、熱電対として白金と白金ロジウム合金の金属ペーストを印刷形成してグリーンシートを積層し、1650℃程度で焼成する方法においては、熱電対の金属接点において金属の相互拡散が進み、熱電対としての機能が喪失される欠点が誘発される。
また、DNAや蛋白質等の検体の泳動解析を行なう際、鎖列の分子間力を小さくし、分離しやすくしたり、薬液の密着をより良好にしたり、薬液との化学反応を良好としたりするために、流路に収容される検体は、通常、70〜100℃程度に加熱される。これは検体の温度を上げることで分子振動を大きくし、分子間力を破壊することで鎖列の分離を行うためであり、近年では、DNAや蛋白質などの検体の泳動解析の精度を向上させるために±1.0℃以内の温度制御が必要とされている。
このような温度制御が必要とされる場合、湯洗や卓状ヒーター導体等で流路を加熱する方法では、周囲に奪われる熱量が大きく、被加熱物を効率良く加熱することができない上に、流路と加熱源の距離が離れているために、流路内の検体温度を正確に制御することが難しく、DNAや蛋白質等の分離や薬液との反応を十分に行なうことができず、泳動解析の精度を向上させることができない。
一方、配線基板内にヒーター導体を内蔵する手法では、近年のDNAや蛋白質の泳動解析においては作業効率や作業処理量を向上させるためにDNAや蛋白質の質量にして数十〜数千ngといった広いレンジでの泳動解析が行われている。DNAや蛋白質はアデニン、チミン、シトシン、グアニンの配列により構成されており、それぞれの電気陰性度が異なるためにDNA鎖としては極性を持っている。泳動解析においてヒーター導体に電流が流れた場合、ヒーター導体の周囲には電界が発生するため、ヒーター導体と流路が接近していると、電界の電気力線がDNAや蛋白質に影響し、フレミングの法則に従い力が加わることとなる。そのため、DNAや蛋白質は流路を正確に流れなくなり、泳動に時間を要したり、また質量が数十ngの小さなDNAや蛋白質片は流路を流れず、解析の精度が低下するという欠点が誘発される。
また、モニターされる温度および設定温度は、流路を流れる検体の温度であるために、アルメル−クロメル熱電対素線の測温部をできるだけ流路に近づけて設置する必要がある。このため、セラミック配線基板においては、流路の下側のセラミック層の層厚みをできる限り薄くして、流路に熱電対を近く設置する方法が取られている。
尚、流路の形成方法としては、グリーンシート単層にて形成する場合、金型上に成形された凸状の流路パターンをグリーンシートに加圧し押し付けて凹状の溝を形成する方法が用いられている。
しかしながら、このような方法で流路を形成した場合、凸状の流路パターンがグリーンシートに加圧され食込んでいく際に、グリーンシートに加わる圧力が流路部とその周辺部で異なるため、グリーンシートに割れやクラックが発生したり、グリーンシート内の比重に部分的に差が生じ、これが原因となって配線基板の焼成時に焼結収縮量に差が生じ、配線基板に割れやクラックが発生する場合がある。
そこで、第1層目のグリーンシートに流路となる貫通したパターン形状を金型で打抜き加工して形成し、この流路加工を施した第1層目のグリーンシートの下層に、別の第2層目のグリーンシートをプレス機等で積層加圧して流路の底を形成して流路と成す方法が考えられる。
しかしながら、このような方法で流路を形成する場合、熱電対素線が載置される第3層目のグリーンシートを、打抜き加工された第1のグリーンシートを積層した第2層目のグリーンシートの下面に位置決めしプレス等で加圧積層するが、その後の焼成の際のガラスセラミックスの厚み収縮により、流路の形成箇所では第2層目のグリーンシートや熱電対素線が載置された第3層目のグリーンシートよりも密度が低くなる。そのため、流路の底部が流路内へ押し出されて凸形状となり、その結果、流路に検体を泳動させ解析する際に、流路底部の凸部が検体の泳動を妨げ、正しい検出ができないという問題点がある。
そこで、流路底部が流路内側へ押し出されて凸形状になることを防止するために、第1層目のグリーンシートに流路となる貫通したパターン形状を金型で打抜き加工して形成した後、この打ち抜き穴にアルミナ粉末等の単独では焼結しない密度の高い難焼結性粉末を充填することによって、流路底部が流路内側へ押し出されて凸形状に変形することを防止する手法が考えられる。
しかしながら、このような手法を用いた場合であっても、配線基板の焼成時に流路底部とアルミナ粉末等の変形防止用の難焼結性粉末とが押し合った結果、流路底部に難焼結性粉末の圧痕が付くことから、流路底部が平坦面にならず、流路底部の凹凸が検体の泳動を妨げ、正しい検出ができないという問題を有している。
本発明は、上述の問題点を解決すべく案出されたもので、その目的は、安定した測定を可能とし、且つ解析精度を向上させることができる配線基板を提供することにある。
本発明の配線基板は、ガラスセラミックスから成る複数の絶縁層を積層して成る絶縁基板と、絶縁層の層間および絶縁層の表面に形成された配線導体と、絶縁層を貫通して形成された貫通導体と、絶縁層に形成された、生体物質を含む被処理流体を収容するための流路と、絶縁層の層間および絶縁層の表面に形成され、流路と接近して配置されたヒーター導体と、配線導体及び/または貫通導体に電気的に接続された低融点金属から成る熱電対と、流路及びヒーター導体間に配置され、基準電位に接続される接地導体と、を含んで成ることを特徴とするものである。
またさらに、本発明の配線基板は、ヒーター導体及び流路が、接地導体を挟んで対向するように配置されていることを特徴とするものである。
さらにまた、本発明の配線基板は、配線導体及び貫通導体が、銀、銅、パラジウムおよび白金のうち少なくとも一種を主成分とする導体から成ることを特徴とするものである。
またさらに、本発明の配線基板は、配線導体と熱電対との接続部に銀、パラジウム、白金および金のうち少なくとも一種を主成分とする導体材料から成る接続配線部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明の配線基板は好ましくは、前記ヒーター導体が前記流路の底面よりも下方に配置され、前記接地導体の一部が、前記流路の側方に、間に前記流路を挟んで対向するように配置されていることを特徴とする。
本発明の配線基板は好ましくは、前記流路の側方に位置する接地導体が列状に配置された複数の貫通導体から成ることを特徴とする。
本発明の配線基板は好ましくは、前記流路が前記絶縁基板の表面に露出して形成されており、前記流路は、露出する面が導電性のシールド蓋体で覆われていることを特徴とする。
本発明の配線基板によればガラスセラミックスから成る複数の絶縁層を積層して成る絶縁基板と、絶縁層の層間および絶縁層の表面に形成された配線導体と、絶縁層を貫通して形成された貫通導体と、絶縁層に形成された、生体物質を含む被処理流体を収容するための流路と、絶縁層の層間および絶縁層の表面に形成され、流路と接近して配置されたヒーター導体と、配線導体及び/または貫通導体に電気的に接続された低融点金属から成る熱電対と、流路及びヒーター導体間に配置され、基準電位に接続される接地導体と、を含んで成ることから、ヒーター導体の加熱時に流れる電流により発生する電界が基準電位に接続された接地導体によって遮られ、電界が流路に及ぶのを有効に防止することができるため、極性をもつDNAや蛋白質は電気力線の影響を殆ど受けることなく流路内を泳動するようになる。よって、泳動中のDNAや蛋白質が停止したり、泳動速度が速くなったり、遅くなったりすることは少なくなり、解析精度を向上させることが可能となる。またこの場合、接地導体はガラスセラミックス等から成る絶縁層よりも熱伝導率が高いことから、流路を流れる被処理流体の温度を測定する場合に、被処理流体の熱を接地導体で拡散されることなく熱電対に伝えることができ、より正確な温度測定が可能となる。また、1000℃以上の焼成では溶融し配線導体を形成しない低融点でかつ低抵抗の金属を配線導体として形成することができるとともに、アルメル−クロメル熱電対や鉄(Fe)−コンスタンタン熱電対、クロメル−コンスタンタン熱電対等の比較的低融点の金属からなる起電力が大きい熱電対を使用することができるようになる。これにより、測定起電力に補正等を加えることなく、測定精度の安定化を図ることが可能となる。また、配線基板をDNAや蛋白質等の生体物質を分析するマイクロ化学チップ等に適用する際に、高い精度で生体物質を分析できるマイクロ化学チップが得られる。
また、本発明の配線基板は好ましくは、流路と熱電対との間にガラスセラミックスから成る絶縁層よりも熱伝導率の高い銀、銅、パラジウムおよび白金から成る接地導体を形成することにより、流路を流れる検体の温度を測定する際に、測定する温度をより正確に熱電対に伝えることが可能となる。
た、本発明の配線基板は好ましくは、ヒーター導体と流路とを、間に接地導体を挟んで対向するように設けることにより、ヒーター導体から発生する電界は基準電位に接続される接地導体に当たり、接地導体内で渦電流となり接地されるので流路に届くことは殆どない。これによっても、測定精度に優れた配線基板を得ることができる。
た、本発明の配線基板は好ましくは、配線導体および貫通導体を、銀、銅、パラジウムおよび白金のうちの少なくとも一種を主成分とする導体材料により形成することにより、配線導体および貫通導体の抵抗率が1.59〜1.67μΩcmと低くなり、熱電対の起電力を損失させることなく計測機器へ伝達することができ、精度の高い測定を行なうことができるようになる。
た、本発明の配線基板は好ましくは、配線導体と熱電対との接続部に、銀、パラジウ
ム、白金および金のうちの少なくとも一種を主成分とする導体材料から成る接続配線部を形成することにより、熱電対の基本的組成を成す金属であるニッケルと配線導体や貫通導体との間に酸化ニッケルが形成されることなくなり、配線導体と熱電対とを良好に接続することができる。
本発明の配線基板は好ましくは、ヒーター導体が流路の底面よりも下方に配置され、接地導体の一部が、流路の側方に、間に流路を挟んで対向するように配置されていることから、ヒーター導体および周囲の測定機器や加熱機器や攪拌機器から発生する電界は、流路とヒーター導体との間に配置された接地導体および流路の側方に位置する接地導体に当たり、これらの接地導体内で渦電流となり接地される。そのため、接地導体および流路の側方に位置する接地導体で流路を取り囲むことによって流路をより効果的にシールドすることができ、ヒーター導体および周囲の測定機器や加熱機器や攪拌機器から発生する電界が流路を流れる被処理流体の泳動に影響を与えることを効果的に抑制することができる。その結果、DNAやたんぱく質の質量が数ngと極端に小さい場合にも測定精度に優れた配線基板とすることができる。
さらに、接地導体を銀、銅、パラジウムおよび白金のうち少なくとも一種を主成分とする熱伝導率の高い材料で形成した場合には、ヒーター導体からの熱がこれら接地導体からも伝熱され、流路を均一に加熱することも可能となる。
また、本発明の配線基板は好ましくは、流路の側方に位置する接地導体が列状に配置された複数の貫通導体から成ることから、接地導体および貫通導体で流路を取り囲むことによって、流路をより効果的にシールドすることができるとともに、流路の側方に位置する接地導体の熱膨張を絶縁基板によって拘束して応力が生じるのを有効に抑制することができる。その結果、ヒーター導体および周囲の測定機器や加熱機器や攪拌機器から発生する電界が流路を流れる被処理流体の泳動に影響を与えることを効果的に抑制することができるとともに絶縁基体にクラック等の破損が生じるのを有効に防止して流路を流れる被処理流体の泳動を良好に維持することができる。
さらに、流路の側方に位置する接地導体を列状に配置された複数の貫通導体で形成すると、信号伝達用の貫通導体と同じ工程にて製作されることとなり、工程を増やす必要が無くなる。
また、本発明の配線基板によれば好ましくは上記構成において、流路が絶縁基板の表面に露出して形成されており、流路は、露出する面が導電性のシールド蓋体で覆われていることから、流路を流れる液体を泳動させる場合に、ヒーター導体や、周囲の測定機器,加熱機器,攪拌機器等から発生する電界を、導電性のシールド蓋体内で渦電流として接地することにより、発生した電界が流路を流れる被処理流体の泳動に影響を与えることをより効果的に抑制することができる。その結果、DNAやたんぱく質の質量が数ngと極端に小さい場合にも測定精度に優れた配線基板とすることができる。
さらに、流路の露出する面を電界シールド蓋体で覆ったことから、流路を流れる液体の熱が逃げることが抑制されるために、流路を流れる液体の液温度を一定に保つことが可能となる。
以上のように、本発明の配線基板によれば、例えば、DNAや蛋白質等の生体物質(検体)を解析、照合、合成、増幅するマイクロ化学チップとして用いる場合、配線基板上での諸反応温度を正確に安定して計測することができるとともに、検体の照合不良や合成不良、増幅率低下を有効に防止することができ、DNA解析の信頼性向上および照合時間の短縮化を実現することが可能となる。
本発明の配線基板を以下に説明する。図1,図2は本発明の配線基板の実施の形態の一例を示し、図1(a)は配線基板の内層の構成を一部示す部分切欠斜視図、(b)は配線基板の斜視図、図2は図1の配線基板の断面図である。図1,図2において、1は絶縁層(絶縁基体)、2は基準電位に接続される接地導体(電気的に接地された金属層等。以下単に接地導体という)、3は配線導体、4は貫通導体、5は線状の熱電対素線である。また、6は熱電対に接合され、熱電対の起電力を外部へ引き出す内層の配線導体(以下、引き出し配線ともいう)、7は熱電対と引き出し配線6との間の接続配線部、8は耐薬品性の保護膜を有するICチップ、9はDNAや蛋白質等の被処理流体(検体)を泳動させる溝状の流路、10は流路を流通する生体物質等を含む被処理流体を加熱するためのヒーター導体である。
絶縁層1は、ガラスセラミックス、セラミック焼結体、セラミック粉末と樹脂との複合材料等から成り、かかる絶縁層1を複数、積層することにより絶縁基板が形成されている。なお、図2は、第1層目の絶縁層11、第2層目の絶縁層12、第3層目の絶縁層13、第4層目の絶縁層14で絶縁基板を形成した例を示したものである。被処理流体を収容するための流路9は、第1層目の絶縁層11に形成されている。
流路9に収容されている被処理流体は、ヒーター導体10および熱電対で所定の温度に制御されて加熱され、電気泳動分析等の化学分析等の処理が施される。処理結果はICチップ8で解析されて電気信号として外部に送信される。
本形態において、絶縁層1はガラスセラミックス質焼結体により形成されており、かかるガラスセラミックス質焼結体は、ガラス成分とフィラー成分とで構成され、ガラス成分としては、例えばSiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す)、SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同じまたは異なっており、Ca,Sr,Mg,BaまたはZnを示す)、SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは上記と同じである)、SiO−B−M O系(但し、MはLi,NaまたはKを示す)、SiO−B−Al−M O系(但し、Mは上記と同じである)、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられる。
一方、フィラー成分としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
また、接地導体2は、例えば銀(Ag),銅(Cu),パラジウム(Pd),白金(Pt)等の金属の粉末を主成分とするメタライズ層からなる。このメタライズ層は、上記金属の粉末を含む導体ペーストを焼結させることにより得られる。接地導体2は、ヒーター導体10の加熱時に流れる電流により発生する電界を遮り、流路9に電界が生じることを防止する作用を為す。このため、極性をもつDNAや蛋白質が電気力線による影響を受けることは少なく、流路9を泳動させることが可能となる。その結果、泳動中のDNAや蛋白質が停止したり、泳動速度が速くなったり、遅くなったりすることがなくなるので解析精度を向上させることができる。
なお、基準電位に接続される接地導体2は、例えば、接地された上記メタライズ層等の金属層から成り、接地導体2の接地は、接地導体2の外縁部分から、絶縁基板1の表面や内部を通って側面や底面、上面の外周部等に導出され接地配線(図示せず)を形成しておき、この接地配線を、外部電気回路基板の接地端子に半田接合やネジ止め等で接続する等の手段により行なわれる。
接地配線は、銀(Ag),銅(Cu),パラジウム(Pd),白金(Pt)等の金属の粉末を主成分とするメタライズ層からなり、例えば、上記金属の粉末を含む導体ペーストを焼結させることにより得られる。この場合、導体ペーストの焼成収縮とガラスセラミックスの焼成収縮とを合わせたり、絶縁層1との接合強度を確保したりするために、導体ペースト中にガラス粉末やセラミック粉末を添加してもよい。
また、絶縁層1をガラスセラミックスで形成する場合、その焼結温度は、それに含まれる主たる成分のガラス粉末やアルミナ粉末の平均粒径に依存するが、接地導体2の焼結温度は、それに含まれる主たる成分の金属粉末の融点に依存し、一般的には金属の固相焼結の開始温度は融点K(ケルビン)の45〜65%である。このことから、ガラスセラミックスに含まれるガラス粉末やアルミナ粉末の平均粒径を調整し所望の焼結温度とし、その後、接地導体2に含まれる金属粉末の融点が適当な金属組成を選択することで、接地導体2の焼結温度を絶縁層1よりも低くすることができる。
このように、絶縁層1がガラスセラミックス等の焼結体から成り、熱電対が絶縁層1との同時焼成で形成される場合、流路9と熱電対との間に絶縁層1より焼結温度の低い金属から成る接地導体2が形成されていることから、配線基板の焼成時に、まず、接地導体2が焼結し硬くなり、その後、絶縁層1が焼結収縮するため、金属表面層の他方主面に形成された熱電対が金属表面層に食い込もうとしても、接地導体2は焼結収縮が進み密度が高くなっているので熱電対が食い込まず、金属表面層は流路9側に凸となることがない。このため、流路9の底部が流路9の内側へ押し出されて凸形状になるのが有効に防止され、平坦な底部を有した流路9を得ることができる。これにより、流路9の底面の表面の粗さを小さくでき、スムーズに検体を泳動させることが可能となる。
また、接地導体2の材料を選ぶ場合は、絶縁層1より接地導体2を早く焼結収縮させることが好ましいので、まず、絶縁層1となるグリーンシートを焼成炉で焼成してTg(ガラス転移点)や収縮挙動曲線のデータを得る。これより絶縁層1となるガラスセラミックス等の材料の焼結温度を確認することができるので、基準電位に接続される接地導体2の材料は所望のガラスセラミックスの焼結温度より低い焼結温度である金属材料を選ぶことができる。
本形態においては、絶縁層1に含まれるガラス粉末にSiO−B、平均粒径(D50)1.2〜5.0μmのものを適用した。その結果、焼結開始温度が700、焼結終了温度が850となったため、基準電位に接続される接地導体2の材料として融点が962の銀(Ag)を選定した。これにより、接地導体2の焼結温度を絶縁層1よりも低くすることとした。併せて流路を流れる検体の温度を測定する場合において、より正確に熱電対に伝えるために熱伝導率が427/m・Kである銀(Ag)を選定した。
なお、ここで“D50”とは、粉末の粒径分布を表す指標であり、分布中の粒径の小さい粉末から積算して50%の位置にある粒径のことを意味する。
また、本形態においては、配線基板の流路9と熱電対との間に、ガラスセラミックスから成る絶縁層1よりも熱伝導率の高い銀、銅、パラジウムおよび白金から成る接地導体2が形成されている。そのため、流路9を流れる検体の温度を測定する際、検体の温度をより正確に熱電対に伝えることができる。なお、ガラスセラミックスの熱伝導率は1.5〜10.0/m・Kであるのに対し、銀、銅、パラジウムおよび白金の熱伝導率はそれぞれ427、398、75.5、71.4/m・Kである。
さらにこの場合、接地導体2の熱伝導率はガラスセラミックスから成る絶縁層1よりも高くなっていることから、ヒーター導体10にて流路9を流れる検体を加熱する場合に、ヒーター導体10の発する熱は、接地導体2で拡散されることが少なく、流路9の下部に効率良く伝導するようになっており、検体に対してより均一に熱を伝えることができる。
尚、配線導体3および貫通導体4は、銀(Ag),銅(Cu),パラジウム(Pd)及び白金(Pt)のうち少なくとも一種を主成分とする導体材料により形成することが好ましい。この場合、配線導体3及び貫通導体4は抵抗率が1.59〜1.67μΩcmと低く、熱電対の起電力を大きく損失させることなく計測機器へ伝達することができ、精度の高い測定をすることができる。なお、上記銀(Ag)等の金属材料について、主成分にする、というのは、配線導体3及び貫通導体4の抵抗率が上記のように低くなるように、銀(Ag)等の金属材料を多くの割合で含有しているという意味である。
また、引き出し配線6についても、上記配線導体3と同様の導体材料で形成することが好ましい。
配線導体3及び引き出し配線6は、例えば、銀(Ag),銅(Cu),パラジウム(Pd),白金(Pt)等の金属の粉末を主成分とするメタライズ層からなる。このメタライズ層は、上記金属の粉末を含む導体ペーストを焼結させることにより得られるが、導体ペーストの焼成収縮とガラスセラミックスの焼成収縮とを合わせたり、絶縁層1との接合強度を確保したりするために、導体ペースト中にガラス粉末やセラミック粉末を添加してもよい。また、配線導体3および引き出し配線6は、それぞれ添加するガラス粉末やセラミック粉末の種類および添加量が異なっていてもよい。
貫通導体4は、例えば、銀(Ag),銅(Cu),パラジウム(Pd),白金(Pt)等の金属の粉末を主成分とするメタライズ層からなる。このメタライズ層は、上記金属の粉末を含む導体ペーストを焼結させることにより得られるが、導体ペーストの焼成収縮とガラスセラミックスの焼成収縮とを合わせたり、絶縁層1との接合強度を確保したりするために、導体ペースト中にガラス粉末やセラミック粉末を添加してもよい。また、配線導体3及び引き出し配線6は、それぞれ添加するガラス粉末やセラミック粉末の種類及び添加量が異なっていてもよい。
線状の熱電対素線5は、例えばアルメル−クロメル熱電対や鉄(Fe)−コンスタンタン熱電対,クロメル−コンスタンタン熱電対等から成るが、特に工業用として最も多く使用されているアルメル−クロメル熱電対について最良の結果が得られた。
線状の熱電対素線5と接合され、熱電対の起電力を外部へ引き出すための引き出し配線6は、例えば、銀(Ag),銅(Cu),パラジウム(Pd),白金(Pt)等の金属の粉末を主成分とするメタライズ層からなる。このメタライズ層は、上記金属の粉末を含有する導体ペーストを焼結させることにより得られるが、導体ペーストの焼成収縮とガラスセラミックスの焼成収縮とを合わせたり、絶縁層1との接合強度を確保したりするために、導体ペースト中にガラス粉末やセラミック粉末を添加してもよい。
線状の熱電対素線5と引き出し配線6との間の接続配線部7は、例えば、銀(Ag),パラジウム(Pd),白金(Pt),金(Au)またはそれらの少なくとも1種を含む合金からなる。この接続配線部7は、熱電対の周囲にめっき法や蒸着法、印刷法等より形成される。接続配線部7は、熱電対の感温部、すなわちアルメルとクロメルとの接合部に形成してはならない。これは、例えばアルメルとクロメルにまたがって導電性物質が接触すると、アルメルとクロメルとの電位差がなくなり、起電力が発生せず、熱電対として機能しなくなるためである。
ヒーター導体10は、例えば、白金−レニウム(Pt−Re)やタングステン−レニウム(W−Re)等の金属の粉末を主成分とするメタライズ層からなる。このメタライズ層は、上記金属の粉末を含む導体ペーストを焼結させることにより得られる。
ここで、本形態の配線基板について、アルメル−クロメル熱電対を用いた場合の−40℃〜300℃の温度領域における起電力曲線の測定結果を表1および図3のグラフに示す。
Figure 0004480608
表1及び図3によれば、起電力の理論値とほぼ一致した特性を得ていることが判る。
本発明の配線基板は好ましくは、図4に示すように、ヒーター導体10が流路9の底面よりも下方に配置され、接地導体2の一部が、流路9の側方に、間に流路9を挟んで対向するように配置されているのがよい。これにより、ヒーター導体10および周囲の測定機器や加熱機器や攪拌機器から発生する電界は、流路9とヒーター導体10との間に配置された接地導体2および流路9の側方に位置する接地導体15に当たり、これらの接地導体2,15内で渦電流となり接地される。そのため、接地導体2および流路9の側方に位置する接地導体15で流路9を取り囲むことによって流路9をより効果的にシールドすることができ、ヒーター導体10および周囲の測定機器や加熱機器や攪拌機器から発生する電界が流路9を流れる被処理流体の泳動に影響を与えることを効果的に抑制することができる。その結果、DNAやたんぱく質の質量が数ngと極端に小さい場合にも測定精度に優れた配線基板とすることができる。
さらに、接地導体2を銀、銅、パラジウムおよび白金のうち少なくとも一種を主成分とする熱伝導率の高い材料で形成した場合には、ヒーター導体10からの熱がこれら接地導体2からも伝熱され、流路9を均一に加熱することも可能となる。
このような流路9の側方に、間に流路9を挟んで対向するように配置された接地導体15は流路9に沿って形成された壁状の導体であってもよく、流路9の側方に列状に配置された複数の貫通導体であってもよい。
次に、上述した配線基板の製造方法について、絶縁層1をガラスセラミックにより形成して説明する。
まずセラミック粉末,ガラス粉末等の原料粉末に所望の有機バインダー,可塑剤,有機溶剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法によりシート状に成形してガラスセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を作製する。また、銅,銀等の低融点金属の粉末に所望の有機溶剤,溶媒を添加混合して導体ペーストを作製する。ここで、絶縁層1となるグリーンシートに含まれるガラス粉末およびアルミナ粉末の平均粒径(D50)を所望の大きさとして、各々のグリーンシートを製作する。
次に、第1層目の絶縁層11となるグリーンシートにDNAや蛋白質を泳動させる流路としての溝9を形成するために、溝パターンが凸状に形成された金型等を用いて、50〜150℃の温度、3〜200MPaの圧力でグリーンシートを加圧打抜きし、グリーンシートの表面に所定パターンの溝9を形成する。
次に、溝9を形成した第1層目の絶縁層11となるグリーンシートに、例えば打抜き法により貫通導体4や流路9の側方に列状に配置された複数の貫通導体15を形成するための貫通孔を形成し、例えばスクリーン印刷法によりその貫通孔に導体ペーストを充填する。続いて、配線導体3や引き出し配線6を、各グリーンシート表面に所定パターンで印刷塗布する。
次に、溝9を形成した第1層目の絶縁層11となるグリーンシートの下層にあたる第2層目の絶縁層12となるグリーンシートに、例えば打抜き法により貫通導体4流路9の側方に列状に配置された複数の貫通導体15を形成するための貫通孔を形成し、例えばスクリーン印刷法によりその貫通孔に導体ペーストを充填する。続いて、配線導体3を第2層目の絶縁層12となるグリーンシートの表面に所定パターンで印刷塗布する。
次に、第2層目の絶縁層12となるグリーンシートの下層にあたる第3層目の絶縁層13となるグリーンシートに、例えば打抜き法により貫通導体4を形成するための貫通孔を形成し、例えばスクリーン印刷法によりその貫通孔に導体ペーストを充填する。続いて、接地導体2と配線導体3を第3層目の絶縁層13となるグリーンシートの表面に所定パターンで印刷塗布する。
次に、第3層目の絶縁層13となるグリーンシートの下層にあたる第4層目の絶縁層14となるグリーンシートに、例えば打抜き法により貫通導体4を形成するための貫通孔を形成し、例えばスクリーン印刷法によりその貫通孔に導体ペーストを充填する。続いて、配線導体3や引き出し配線6、ヒーター導体10を、第4層目の絶縁層14となるグリーンシートの表面に所定パターンで印刷塗布する。
次に、熱電対素線5の所定位置に接続配線部7を形成するために、めっき法やプリント法等によってパラジウム膜を形成する。しかる後、第4層目の絶縁層14となるグリーンシート上の引き出し配線6の所定位置に、パラジウム膜が形成された熱電対素線5を位置決めして載置し、その後、溝9を形成した第1層目の絶縁層となるグリーンシート11から第4層目の絶縁層となるグリーンシート14を重ね、3〜200MPaの圧力で加圧し、熱電対をグリーンシート内に固定する。この時に流路9の側方に列状に配置された複数の貫通導体15は第3層目の絶縁層13上の接地導体2と接続される。なお、パラジウム膜に限らず、銀や白金,金から成る膜を形成してもよい。
次に、溝9を形成した第1層目の絶縁層となるグリーンシート11から第4層目の絶縁層となるグリーンシート14の積層体に所望のグリーンシートとを重ねて積層し、必要に応じて50〜100℃の温度で3〜200MPaの圧力で圧着し、約800〜950℃の温度で焼成する。
そして最後に、配線基板の主面に露出する配線導体3や引き出し配線6の表面に、腐食防止等のために、ニッケルめっき、パラジウムめっきおよび金めっき等を被着させる。
以上のようにして製造した本形態の配線基板は、ガラスセラミックスから成る複数の絶縁層が積層されて成る絶縁基板と、絶縁層の層間および絶縁層の表面に形成された配線導体と、絶縁層を貫通して形成された貫通導体と、絶縁層の層内および絶縁層の表面に形成された流路と、配線導体または貫通導体に電気的に接続される熱電対とを具備しており、流路と熱電対との間に絶縁層より焼結温度の低い金属から成る接地導体が形成されている。即ち、流路としての溝と熱電対との間に、絶縁層より焼結温度の低い接地導体から成る変形防止層が形成されている。
これにより、DNAなどの検体を照合、合成、増幅するための流路付きの配線基板において、流路底部が熱電対により凸形状に変形することがなく、流路を検体がスムーズに泳動するので、配線基板上での諸反応温度を正確に安定して計測できる。その結果、検体の照合不良や合成不良、増幅率低下を有効に防止することができるようになり、DNA解析の信頼性を向上せしめ、照合時間を短縮することが可能となる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上述した実施の形態では、図2のように接地導体2が配線基板端部まで構成される事例について説明したが、接地導体2が絶縁層1の内部に構成される形状になしても構わない。また、被処理流体に施される処理は、ICチップ8を利用した電気泳動等の化学分析に限らず、合成や分解等の種々の化学反応によるものでも構わない。この場合も、反応温度を高い精度で制御できること、不要な電界の作用が防止されること、被処理流体の流れがスムーズであることから、化学反応等の制御を容易で精度を向上させることができる。
(a),(b)は本発明の配線基板の実施の形態の一例を示し、(a)は配線基板の内層の構成を一部示す部分切欠斜視図、(b)は配線基板の斜視図である。 図1の配線基板の断面図である。 図1の配線基板について、アルメル−クロメル熱電対を用いた場合の起電力曲線の測定結果を示すグラフである。 本発明の配線基板の実施の形態の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1:絶縁層(絶縁基体)
2:基準電位に接続される接地導体
3:配線導体
4:貫通導体
5:熱電対素線
6:引き出し配線
7:接続配線部
8:ICチップ
9:流路(溝)
10:ヒーター導体
11:第1層目の絶縁層
12:第2層目の絶縁層
13:第3層目の絶縁層
14:第4層目の絶縁層
15:流路の側方に、間に流路を挟んで対向するように配置された接地導体の一部

Claims (7)

  1. ガラスセラミックスから成る複数の絶縁層を積層して成る絶縁基板と、前記絶縁層の層間および絶縁層の表面に形成された配線導体と、前記絶縁層を貫通して形成された貫通導体と、前記絶縁層に形成された、生体物質を含む被処理流体を収容するための流路と、前記絶縁層の層間および絶縁層の表面に形成され、前記流路と接近して配置されたヒーター導体と、前記配線導体及び/または前記貫通導体に電気的に接続された低融点金属から成る熱電対と、前記流路及び前記ヒーター導体間に配置され、基準電位に接続される接地導体と、を含んで成ることを特徴とする配線基板。
  2. 前記ヒーター導体及び前記流路が、前記接地導体を挟んで対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記配線導体及び前記貫通導体が、銀、銅、パラジウムおよび白金のうち少なくとも一種を主成分とする導体材料から成ることを特徴とする請求項1または請求項に記載の配線基板。
  4. 前記配線導体と前記熱電対との接続部に、銀、パラジウム、白金および金のうち少なくとも一種を主成分とする導体材料から成る接続配線部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の配線基板。
  5. 前記ヒーター導体が前記流路の底面よりも下方に配置され、前記接地導体の一部が、前記流路の側方に、間に前記流路を挟んで対向するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の配線基板。
  6. 前記流路の側方に位置する前記接地導体が列状に配置された複数の貫通導体から成ることを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
  7. 前記流路が前記絶縁基板の表面に露出して形成されており、前記流路は、露出する面が導電性のシールド蓋体で覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の配線基板。
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