JP4475505B2 - レーザー彫刻可能な円筒状印刷原版 - Google Patents

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Description

本発明はレーザー彫刻によるグラビア印刷版用レリーフ画像作成、電子部品の導体、半導体、絶縁体、パターン形成、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料のパターン形成、更には液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成に適したレーザー彫刻可能なグラビア印刷原版やアニロックスロール、ロータリースクリーン印刷版として用いることのできる円筒状印刷原版に関するものである。
従来から品質の高い写真等の印刷にグラビア印刷が用いられている。一般的に用いられているグラビア印刷用の版(グラビアシリンダー)は、版胴に硬い銅板を使用し、銅板表面にダイヤモンド刃等を用いて凹部を彫刻し、更にその版表面にクロム等の硬質金属をめっき処理したものである。凹部の深さは自由にコントロールすることができる。最近では、凹部の形成にレーザー光を用いて彫刻する方法、写真製版技術を用いてフォトレジストをパターン化し更に金属をエッチング処理する方法が用いられることもある。このようにして形成された凹部にインキを溜めて、被印刷物に転写することにより、インキの膜厚で階調を表現した高品質の印刷物を形成することができる。金属版胴を用いたグラビアシリンダーは、作製に相当量の時間を要し、しかも非常に高価なものである。また、シリンダー自体が、相当の重量を有するため移動させるためには専用のクレーン等の装置が必要となる。このような理由から、簡単に作製でき、安価でかつ軽量なグラビアシリンダーが求められていた。
特許文献1(特開昭58−185296号公報)、特許文献2(特開昭61−64767号公報)ではエポキシ樹脂を用いて形成された印刷原版表面にレーザー光を照射して彫刻する方法が記載されている。また、特許文献3(特開昭56−166094号公報)では、ウレタン重合体とアセタール重合体との混合物から形成された印刷原版表面にレーザーを用いて彫刻する方法が記載されている。特許文献4(特開昭47−5121号公報)には、重合体状印刷用プレートに関する記載があり、レーザー彫刻を用いて凹部を形成している。しかしながら、いずれの特許文献も感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる印刷原版をレーザー彫刻したものではない。
また、特許文献5(特開昭50−60301号公報)、特許文献6(特開平9−171259号公報)では、感光性樹脂を用いて、露光、現像工程を経て形成されるグラビア印刷用の円筒状印刷版の形成方法が記載されているが、レーザー光照射により直接凹部を形成するレーザー彫刻に関する記載はない。
特許文献7(米国特許第5259311号公報)には、感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻し印刷版を形成する方法に関する記載があるが、円筒状支持体上に成形された感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻する記載はない。
また、印刷機に組み込んで印刷版へのインキの転写に用いられるアニロックスロールにおいても、金属、セラミックス、ゴム等の円筒状材料が用いられており、レーザー光を用いた加工が行われている。これらの材料においても安価に、しかも簡単に製作できるものが求められていた。
このように、円筒状支持体上に感光性樹脂硬化物層を簡単にしかも短時間で形成でき、しかも形成された感光性樹脂硬化物層をレーザーにより彫刻し凹部を形成するドクターブレード接触型円筒状印刷原版に関するものは、知られていなかった。
特開昭58−185296号公報 特開昭61−64767号公報 特開昭56−166094号公報 特開昭47−5121号公報 特開昭50−60301号公報 特開平9−171259号公報 米国特許第5259311号公報
直接レーザー彫刻してレリーフ画像を形成する際に発生する液状カス量が少なく、レーザー彫刻印刷原版の形成工程において、大気中で光硬化させることができ、版厚精度が高く、表面のタックおよび表面摩擦抵抗値が小さく、更に耐摩耗性の高いグラビア印刷、アニロックスロール、ロータリースクリーン印刷に適した円筒状印刷原版の提供。
本発明者らは鋭意検討し、表面に凹パターンを有しドクターブレードと接触するタイプの円筒状印刷基材を作製するための円筒状印刷原版であって、該円筒状印刷原版が円筒状支持体とその上に形成された感光性樹脂硬化物層(A)からなり、該感光性樹脂硬化物層(A)が、有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物を層内部あるいは表面に含有するレーザー彫刻可能な層であり、かつショアD硬度が30度以上であることを特徴とする円筒状印刷原版を作製することにより上記の問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記の通りである。
1. 円筒状支持体とその上に形成された感光性樹脂硬化物層(A)からなり、該感光性樹脂硬化物層(A)が、シリコーン化合物を層内部あるいは表面に含有し、かつ無機多孔質体を含有するレーザー彫刻可能な層であり、かつショアD硬度が30度以上100度以下であり、
前記シリコーン化合物が、メチルスチリル基、ウレタン結合、及びカルビノール基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機基を有し、かつ該有機基が直接結合している炭素原子に結合した水素原子(α位水素)を有する化合物であり、
前記無機多孔質体の比表面積が10m2/g以上1500m2/g以下、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下であることを特徴とする、凹版印刷用円筒状印刷原版。
. 感光性樹脂硬化物層(A)が、分子主鎖中にカーボネート結合、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合の群から選ばれる少なくとも1種類の結合を有する化合物と、分子内に芳香族基あるいは/および脂環族基を有する化合物を含むことを特徴とする、1.記載の円筒状印刷原版。
. 感光性樹脂硬化物層(A)が、20℃で液状の感光性樹脂組成物(ア)を光硬化させて得られた層であることを特徴とする、1.又は2に記載の円筒状印刷原版。
. 感光性樹脂硬化物層(A)を構成する感光性樹脂硬化物を、窒素流量100ml/分、昇温速度10℃/分の条件で室温から昇温する熱重量分析を行った場合に、重量が50%に減少する温度が150℃以上450℃以下であり、重量が90%に減少する温度と重量が50%に減少する温度の差が120℃以下であることを特徴とする、1.から.のいずれかに記載の円筒状印刷原版。
. 無機多孔質体の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下であって、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5〜1の範囲の球状粒子であることを特徴とする、.に記載の円筒状印刷原版。
. レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)の表面が、該表面にエネルギー30mN/mの指示液(和光純薬工業社製、商標「ぬれ張力試験用混合液No.30.0」)を1液滴(20μリットル)滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定した場合に、該液滴の径が4mm以上20mm以下である濡れ特性を有することを特徴とする1.から.のいずれかに記載の円筒状印刷原版。
. レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)が、発振波長が700nmから3μmの範囲の近赤外線レーザーに感度を有し、パルス幅が1nsから10ns、ピークパワーが5kWから20kWのパルス出力のレーザー光を用いて、1パルスあたりのエネルギー量が0.2mJであるレーザー光を照射した場合に、深さ1μm以上の凹部が形成されることを特徴とする、1.から.のいずれかに記載のドクターブレード接触型円筒状印刷原版。
. 円筒状支持体と感光性樹脂硬化物層(A)との間に、円筒状印刷原版の周長を調整する周長調整層を有することを特徴とする、1.から.のいずれかに記載の円筒状印刷原版。
. 周長調整層が、感光性樹脂硬化物層(B)からなることを特徴とする、.に記載の円筒状印刷原版。
10. レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)が、光重合開始剤あるいは該光重合開始剤の分解生成物を含有し、該光重合開始剤が水素引き抜き型光重合開始剤および崩壊型光重合開始剤を含むことを特徴とする、1.から.のいずれかに記載の円筒状印刷原版。
11. 水素引き抜き型光重合開始剤が、ベンゾフェノン類、キサンテン類、アントラキノン類から選ばれる少なくとも一種類の化合物からなり、かつ崩壊型光重合開始剤が、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類から選ばれる少なくとも1種類の化合物からなることを特徴とする、10.に記載の円筒状印刷原版。
12. 光重合開始剤が、同一分子内に水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位の両方を有する化合物を含有することを特徴とする、10.に記載の円筒状印刷原版。
13. 感光性樹脂硬化物層(A)と同じ組成の感光性樹脂硬化物からなる厚み2.8mmのシートを別途作製し、該シートを用いて荷重が4.9N、回転円盤の回転速度が毎分60±2回、試験回数が連続1000回である条件でテーパー磨耗試験を行った場合に、感光性樹脂硬化物層表面の単位面積あたりの磨耗量が2.5mg/cm2以下であることを特徴とする、1.から12.のいずれかに記載の円筒状印刷原版。
14. 1.から13.のいずれかに記載の円筒状印刷原版を製造する方法であって、円筒状支持体上に感光性樹脂組成物を塗布し感光性樹脂組成物層を成形する工程、円筒状に形成された感光性樹脂組成物層に大気中で光を照射し架橋硬化せしめ、レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)を形成する工程を含み、照射される光に波長200nm以上450nm以下の光が含まれ、かつ感光性樹脂組成物層表面での照度が、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)とフィルター(オーク製作所社製、商標「UV−35−APRフィルター」)を用いて測定した場合に、20mW/cm2以上であること、前記UVメーターとフィルター(オーク製作所社製、商標「UV−25フィルター」)を用いて測定した場合に、5mW/cm2以上であることを特徴とする、円筒状印刷原版の製造方法。
15. 凹パターンを有するドクターブレードあるいはスキージ接触型の円筒状印刷基材の製造方法において、1.から13.に記載の円筒状印刷原版にレーザー光を照射し、該レーザー照射部を除去することにより凹パターンを形成する工程を含むことを特徴とする、円筒状印刷基材の製造方法。
1615.に記載の製造方法により得られる円筒状印刷基材であって、グラビア印刷版、アニロックスロール、又はロータリースクリーン印刷版として用いられることを特徴とする、円筒状印刷基材。
直接レーザー彫刻してレリーフ画像を形成する際に発生する液状カス量が少なく、レーザー彫刻印刷原版の形成工程において、大気中で光硬化させることができ、版厚精度が高く、表面のタックおよび表面摩擦抵抗値が小さく、更に耐摩耗性の高いグラビア印刷、アニロックスロールに適した円筒状印刷原版を提供することができる。
以下、さらに詳細に本発明の好ましい実施態様を説明する。
本発明は、表面に凹パターンを有しドクターブレードと接触するタイプの円筒状印刷基材を作製するに適した円筒状印刷原版であって、該円筒状印刷原版が円筒状支持体とその上に形成された感光性樹脂硬化物層(A)からなり、該感光性樹脂硬化物層(A)が、有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物を層内部あるいは表面に含有するレーザー彫刻可能な層であり、かつショアD硬度が30度以上であることを特徴とする円筒状印刷原版に関するものである。
本発明の円筒状印刷原版は、グラビア印刷用の円筒状シリンダーや印刷機に装着して用いるインキ転写用アニロックスロール、ロータリースクリーン印刷版などのドクターブレードあるいはスキージ接触型円筒状印刷基材の作製に適するものである。ここでドクターブレードとは、「増補版印刷事典」(社団法人、日本印刷学会編、昭和62年発行)に記載があるように、グラビア印刷で版面の余分なインキをかき落とすために用いる厚さ0.12から0.15mmの薄い鋼板とある。しかし、本発明でドクターブレードとは、版面上の余分なインキをかき落とす機能を有するものであれば、特に金属製である必要ななく、セラミック製あるいは樹脂製ものを使用することもできる。また、スキージとは、スクリーン印刷において用いる版から被印刷体にインキを転移させるゴム製の道具であり、インキを載せたスクリーン印刷版表面をスキージで擦ることにより、インキが印刷版の開口部を通過して被印刷体に転移する。本発明の円筒状印刷原版は、ドクターブレードあるいはスキージと接触して使用するため、感光性樹脂硬化物層(A)は比較的硬いものが好ましく、ショアD硬度は、30度以上100度以下、より好ましくは40度以上100度以下、更に好ましくは50度以上100度以下である。ショアD硬度が30度以上100度以下であれば、円筒状印刷基材表面に付着したインキをドクターブレードでかき落とす際に、円筒状印刷基材が変形することなくインキを除去することができる。また、スキージで印刷版表面を擦る際にパターンの変形を抑えることができる。この硬度範囲の感光性樹脂硬化物層(A)を得るためには、感光性樹脂組成物を構成する成分である、樹脂(a)、有機化合物(b)の分子内に2個以上、より好ましくは3個以上の重合性不飽和基を含有する化合物を、樹脂(a)あるいは/および有機化合物(b)全体量の10wt%以上、より好ましくは20wt%以上含有することが望ましい。また、樹脂(a)あるいは/および有機化合物(b)の分子内に、芳香族炭化水素基あるいは/および脂環族炭化水素基等の剛直な骨格部位を有する化合物を、樹脂(a)あるいは/および有機化合物(b)全体量の10wt%以上、より好ましくは20wt%以上含有することが好ましい。更に、剛直部位を有するモノマー単位が、樹脂(a)を構成する全モノマー単位の1%以上、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上含有されていることが望ましい。
また、円筒状印刷基材は回転しながらドクターブレードあるいはスキージと接触するため、耐磨耗性の良い材料が好ましい。性能を示す1つの指標として、テーパー磨耗試験における単位面積あたりの磨耗量を用いることができ、円筒状印刷原版表面の、好ましい磨耗量は2.5mg/cm以下、より好ましくは1.5mg/cm以下、更に好ましくは0.5mg/cm以下である。磨耗量が2.5mg/cm以下であれば、円筒状印刷基材表面とドクターブレードあるいはスキージが接触する際に、耐久性を確保でき長期に渡り使用することができる。
本発明では、感光性樹脂硬化物層(A)が、有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物を層内部あるいは表面に含有することが好ましい。有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物を層内部に含有させる方法として、感光性樹脂硬化物層(A)を形成するための感光性樹脂組成物(ア)中に有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物を含有させる方法を挙げることができる。また、層表面に有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物を含有させる方法として、有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物を含有する処理液を塗布、噴霧する方法、処理液中に感光性樹脂硬化物層(A)を含浸させる方法などを挙げることができる。有機珪素化合物あるいは有機フッ素化合物は、感光性樹脂硬化物層(A)の耐磨耗性を大幅に向上させる効果、表面摩擦抵抗値を下げる効果、インキ濡れ性をコントロールする効果を有する。
本発明で用いる有機珪素化合物として、分子内に少なくとも1つのSi−O結合を有する化合物が好ましい。また、分子内に重合性不飽和基を有していても有しない化合物であっても構わない。Si−O−Si結合を有するシロキサン構造やポリシロキサン構造を有するシリコーン化合物が耐侯性、構造安定性、保存安定性の観点から特に好ましい。
本発明において好ましいシリコーン化合物としては、例えば一般式(2)、(3)、(4)、(5)で表されるシリコーン結合の少なくとも1種の構造を含む1種類以上のシリコーン化合物を挙げることができる。
Figure 0004475505
Figure 0004475505
Figure 0004475505
Figure 0004475505
(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基である。)
前記シリコーン化合物は、下記平均組成式(1)で表される。
prsSiO(4-p-r-s)/2 (1)
(式中、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基あるいはアミノ基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、シンナモイル基、アセチレン基、チオール基、エポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、環状イミノエーテル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキンサン基で置換されたアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表す。
Q、Xは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表し、
0<p<4、
0≦r<4、
0≦s<4、
及び(p+r+s)<4である。)
Q、Xは、水素、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表し、
0<p<4、
0≦r<4、
0≦s<4、
及び(p+r+s)<4である。)
特に分子構造を限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリアルキルシロキサンを主鎖に有する化合物を好ましい化合物として挙げることができる。また、ポリシロキサン構造を分子中の一部に有する化合物であっても構わない。更に、ポリシロキサン構造に特定の有機基を導入した化合物を用いることができる。具体的には、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの両末端に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの片末端に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの側鎖と末端の両方に有機基を導入した化合物などを用いることができる。ポリシロキサン構造に導入する有機基の具体例としては、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、アリール基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、少なくとも1つのアリール基で置換された直鎖状あるいは分岐状アルキル基、ポリオキシアルキレン基などを挙げることがでる。ここで、アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントリル基等を挙げることができる。また、アリール基で置換された直鎖状あるいは分岐状アルキル基、例えばメチルスチリル基、スチリル基などが好ましい。更に、アリール基の芳香族炭素に結合した水素原子を別の官能基で置換した有機基を用いることもできる。また、これらの有機基に結合する水素原子の一部あるいは全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換したものを用いることもできる。
本発明で用いる有機珪素化合物として、フェニル基、メチルスチリル基、スチリル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機基を有し、当該有機基が直接結合する炭素原子に結合する水素原子を有する化合物、すなわち、直鎖化合物のα位炭素に結合している水素原子(以後、α位水素と略す)を有する化合物が特に好ましい。これらの化合物は感光性樹脂組成物中に添加剤として加えられるものであるが、これらの化合物を用いて光架橋硬化させ得られる硬化物から、印刷工程で用いるインキ側へ抽出される成分の量が極めて少ない。また、版表面のインキ残りに対する抑制効果、更に版表面の摩擦抵抗を低下させる硬化の持続性が極めて高い。理由は明確になっていないが、これらの化合物を添加した感光性樹脂組成物を、光重合反応させて得られる硬化物を溶剤に浸漬した場合に、浸漬前後の重量変化が少ないという現象が見られる。これは、印刷時に用いるインキ中に溶出する成分が少ないことを意味し、印刷工程を繰り返し実施した場合に、版の機械的物性変化および印刷特性変化を少なくすることができ、実用特性上極めて重要である。この現象は、α位水素を有する化合物が光重合反応過程で何からの反応に寄与し、硬化物中に化学結合により取り込まれているためではないかと推定している。
有機珪素化合物として、通常入手可能な市販品、例えば信越化学工業社製、旭化成ワッカーシリコーン社製、GE東芝シリコーン社製、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の各種有機基置換シリコーンオイルを用いることもできる。例えば、信越化学工業社製、商標名「KF−410」(メチルスチリル変性シリコーンオイル)、商標名「X−22−160AS」(カルビノール変性シリコーンオイル)、商標名「X−22−715」(エステル変性シリコーンオイル)、「KF−412」(アルキル変性シリコーンオイル)等を有用な化合物の例として挙げることができる。また、分子内に重合性不飽和基を有する反応性シリコーンオイルとして、特に限定するものではないが、例えば、信越化学工業社製、商標名「X−22−164A」、「X−22−164B」、「X−22−164C」、「X−22−2404」、「X−22−174DX」(メタクリル基を有する化合物)、「X−22−3667」、「X−22−4741」、「X−22−173DX」(エポキシ基を有する化合物)、「X−22−167B」、「KF−2001」、「KF−2004」(メルカプト基を有する化合物)などを挙げることができる。
有機珪素化合物の添加量の好ましい範囲は、感光性樹脂組成物全体に対し0.1wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.3wt%以上5wt%以下、更に好ましくは0.5wt%以上3wt%以下である。0.1wt%以上の添加量であれば、感光性樹脂組成物の光硬化物表面のタック、表面摩擦抵抗値を低く抑えることができ、更に印刷時のインキ絡み性を抑制する効果がある。また、添加量が10wt%以下であれば、印刷時のインキをはじく現象も見られず、良好な印刷物を得ることができる。また、円筒状に感光性樹脂組成物を塗布し、その後光硬化させ、表面の微妙な凹凸を除去し平滑な表面を得るために切削整形する場合、用いるバイト刃の消耗が極めて少なく刃の寿命を延命させることができるなど、切削性を大幅に改善することができる。更に、添加量が10wt%以下であれば、該感光性樹脂組成物の光硬化物であるレーザー彫刻印刷原版をレーザー彫刻する際の、彫刻速度を低下させることなく版表面にパターンを形成することができる。
有機珪素化合物の数平均分子量は100以上10万以下、好ましくは300以上1万以下、更に好ましくは500以上5000以下の範囲が望ましい。数平均分子量が100以上であれば、感光性樹脂組成物の光硬化物の内部からインキあるいは版洗浄に用いる溶剤への抽出量を低く抑えることができる。また、数平均分子量が10万以下であれば、感光性樹脂組成物を構成するその他の成分との混合性が良好である。特に20℃において液状である化合物が好ましい。
有機珪素化合物の数平均分子量(Mn)の測定方法について説明する。有機珪素化合物が溶解する溶剤に溶かし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)で分析し、分子量既知の標準ポリスチレンに対して換算して数平均分子量(Mn)を算出する。分子量分布の広い化合物については、この方法で求める。分子量分布に関する尺度として、数平均分子量(Mn)と、Mnと同時に算出される重量平均分子量(Mw)の比、すなわち多分散度(Mw/Mn)を用いる。多分散度が1.1以上である場合、分子量分布が広いとして、GPC法で求められる数平均分子量を採用する。また、多分散度が1.1未満のものは分子量分布が極めて狭いため、分子構造解析が可能であり、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)あるいは質量分析法を用いて算出した分子量を数平均分子量とする。
また、本発明で用いる有機珪素化合物の屈折率は、25℃においてアッベ屈折計を用いて測定した値において、1.400以上1.590以下、より好ましくは1.430以上1.490以下であることが好ましい。この範囲であれば、感光性樹脂組成物を構成する他の成分との混合において極端に白濁することなく混合し、光硬化性を確保することができ、更には光硬化物の機械的物性を確保することができる。フォトリソグラフィーを用いて露光、現像し微細なパターンを形成する感光性樹脂版と異なり、レーザー彫刻印刷原版を作製する過程では微細なパターンを形成する必要がなく、微細パターンを形成するのはレーザー彫刻工程においてである。一般的に感光性樹脂では、濁り等による光散乱の少ない均一な組成が、微細パターンの形成に好ましいと言われるのに対し、レーザー彫刻印刷版は一定版厚での硬化特性のみが必要であり、多少濁りが存在し光散乱する組成においても硬化させることができる。そのため、感光性樹脂組成物を原料としてレーザー彫刻印刷原版を形成する場合、用いることのできる化合物の選択自由度が極めて高いという大きな特徴がある。本発明で用いる有機珪素化合物の屈折率が、感光性樹脂組成物における該有機珪素化合物以外の成分の屈折率と大きく異なる場合には、著しく白濁することがある。したがって、感光性樹脂組成物中の有機珪素化合物の屈折率と、その他成分の屈折率との差の目安としては、±0.1以下、より好ましくは±0.05以下であることが望ましい。
本発明で用いる有機フッ素化合物としては、分子内に重合性不飽和基を有する化合物であっても有しない化合物であっても構わない。表面摩擦抵抗を下げる効果の大きいものとして、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン等の材料を含む有機系微粒子を含有させる方法を挙げることができる。有機系微粒子の平均粒子径の好ましい範囲は、0.05μm以上20μm以下、より好ましくは、0.1μm以上10μm以下、更に好ましくは0.5μm以上5μm以下である。また、分子内にフッ素原子を有するシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いて感光性樹脂硬化物層(A)の表面を処理する方法を挙げることができる。
本発明の円筒状印刷原版は、レーザー彫刻を用いて表面に凹パターンを形成することができる。レーザー彫刻は、レーザー光を基材表面に照射し、レーザー光が照射された部分の樹脂が除去し凹パターンを形成する方法である。レーザー彫刻では、近赤外線レーザーや赤外線レーザーが大きな出力が得られるので、好んで用いられている。これらのレーザーは熱により樹脂を分解除去するので、感光性樹脂硬化物層は熱分解性の高いものが好ましい。熱分解性の評価として、熱重量分析が好ましい。感光性樹脂硬化物を、窒素流量が毎分100ml、昇温速度が毎分10℃の条件で室温から昇温して測定した場合に、重量が50%に減少する温度が、好ましくは150℃以上450℃以下、より好ましくは200℃以上420℃以下、更に好ましくは200℃以上400℃以下である。重量が50%に減少する温度が150℃以上450℃以下であれば、100℃程度の温度条件でも変形することなく使用することができ、450℃以下であればレーザーを用いて容易に凹パターンを形成することができる。また、重量が90%に減少する温度と重量が50%に減少する温度の差が120℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは70℃以下が望ましい。重量が90%に減少する温度と重量が50%に減少する温度の差が120℃以下であれば、熱分解速度が速く、形成できるパターンのエッジに溶融残渣が少なく、形状の良いパターンの形成ができる。
感光性樹脂硬化物層(A)は、分子主鎖中にカーボネート結合、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合の群から選ばれる少なくとも1種類の結合を有する化合物と、分子内に芳香族基あるいは/および脂環族基を有する化合物を含有することが好ましい。分子主鎖中に存在する結合として、特にカーボネート結合、ウレタン結合が好ましく、これらの結合を有する化合物は、熱分解し易い化合物である。また、アミド結合、イミド結合を有する化合物、あるいは分子内に芳香族基あるいは/および脂環族基を有する化合物は、感光性樹脂硬化物層のショアD硬度を高くする効果がある。ここで、芳香族基とは、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等の芳香族化合物の骨格の1個の水素原子を除いた原子団である。脂環族基とは、炭素原子が環状に結合した構造をもつ炭素環式化合物のうち、芳香族化合物に属さない化合物の水素原子を1個除いた残りの原子団をいう。例えば、シクロヘキシル基、ビシクロオクチル基、シクロペンタジエニル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
感光性樹脂硬化物層(A)を形成するための感光性樹脂組成物(ア)としては、ポリマー成分として樹脂(a)、モノマー成分として有機化合物(b)を有するものが好ましい。
樹脂(a)は、数平均分子量が1000以上30万以下の高分子化合物が好ましく、その中でも特に分子内に重合性不飽和基を有する高分子化合物が好ましい。樹脂(a)の数平均分子量のより好ましい範囲は、2000以上10万以下、更に好ましい範囲は2000以上5万以下である。樹脂(a)の数平均分子量は1000以上であれば、後に架橋して作製する印刷原版が強度を保ち、この原版から作製したレリーフ画像は強く、印刷版などとして用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。また、樹脂(a)の数平均分子量が30万以下であれば、感光性樹脂組成物の成形加工時の粘度が過度に上昇することもなく、レーザー彫刻可能な円筒状印刷原版を作製することができる。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
本発明における「重合性不飽和基」の定義は、ラジカルまたは付加重合反応に関与する重合性不飽和基である。ラジカル重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、ビニル基、アセチレン基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。付加重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、シンナモイル基、チオール基、アジド基、開環付加反応するエポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、環状イミノエーテル基等が挙げられる。特に好ましいものとして1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有するポリマーを挙げることができる。1分子あたり平均で0.7以上であれば、本発明の樹脂組成物より得られる印刷原版の機械強度に優れ、レーザー彫刻時にレリーフ形状が崩れ難くなる。さらにその耐久性も良好で、繰り返しの使用にも耐えらるものとなり好ましい。印刷原版の機械強度を考慮すると、樹脂(a)の重合性不飽和基は1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量が更に好ましい。樹脂(a)において、重合性不飽和基の位置は、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接結合していることが好ましい。樹脂(a)1分子に含まれる重合性不飽和基の数の平均は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)による分子構造解析法で求めることができる。
重合性不飽和基を有する樹脂(a)を製造する方法としては、例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の上記成分の反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
用いる樹脂(a)としては、液状化し易い樹脂や分解し易い樹脂が好ましい。分解し易い樹脂としては、分子鎖中に分解し易いモノマー単位としてスチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、エステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等が含まれていることが好ましい。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーは、分解し易いものの代表例である。また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。これらの中でも、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物は、熱分解性が高く好ましい。例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマー主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、主鎖末端に重合性不飽和基を導入することも容易である。
樹脂(a)の例として、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン類等の分子主鎖あるいは側鎖に重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。また、重合性不飽和を有しない高分子化合物を出発原料として、置換反応、脱離反応、縮合反応、付加反応等の化学反応により重合性不飽和基を分子内に導入した高分子化合物を挙げることもできる。重合性不飽和基を有しない高分子化合物の例としてポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル等のC-C連鎖高分子の他、ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル類、ポリフェニレンチオエーテル等のポリチオエーテル類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド、ポリジアルキルシロキサン等の高分子化合物、或いはこれらの高分子化合物の主鎖にヘテロ原子を有する高分子化合物、複数種のモノマー成分から合成されたランダム共重合体、ブロック共重合体を挙げることができる。更に、分子内に重合性不飽和基を導入した高分子化合物を複数種混合して用いることもできる。
樹脂(a)が20℃において液状樹脂である場合は、感光性樹脂組成物も20℃において液状である。これから得られるレリーフ画像作成用原版を円筒状に成形する際、良好な厚み精度や寸法精度を得ることができる本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくは、20℃における粘度が10Pa・s以上50kPa・s以下である。より好ましくは、50Pa・s以上10kPa・s以下、更に好ましくは100Pa・s以上5kPa・s以下である。粘度が10Pa・s以上であれば、作製される印刷原版の機械的強度が十分であり、円筒状印刷原版に成形する際であっても形状を保持し易く、加工し易い。粘度が50kPa・s以下であれば、常温でも変形し易く、加工が容易である。円筒状の印刷原版に成形し易く、プロセスも簡便である。特に版厚精度の高い円筒状印刷原版を得るためには、円筒状支持体上に液状感光性樹脂層を形成する際に、該感光性樹脂組成物が重力により液ダレ等の現象を起こさないように粘度を100Pa・s以上、より好ましくは200Pa・s以上、更に好ましくは500Pa・s以上の比較的粘度の高い感光性樹脂組成物であることが望ましい。また、本発明で用いる感光性樹脂組成物が特に20℃において液状である場合、チキソトロピー性を有することが好ましい。チキソトロピー性を有することにより、特に円筒状支持体状に感光性樹脂組成物層を形成する際に、重力により液ダレを起こすことなく、所定の厚さを保持できる。
有機化合物(b)は、数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有した化合物が好ましい。樹脂(a)との希釈のし易さから数平均分子量は1000以下が好ましい。重合性不飽和基の定義は、樹脂(a)の箇所でも記載したように、ラジカルまたは付加重合反応に関与する重合性不飽和基である。
有機化合物(b)の具体例としては、ラジカル反応性化合物として、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリールアルコール、アリールイソシアネート等のアリール化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等があげられるが、その種類の豊富さ、価格、レーザー光照射時の分解性等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。前記化合物の誘導体の例としては、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−、フルオレン−などの芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物などがあげられる。また、窒素、硫黄等の元素を含有した複素芳香族化合物であっても構わない。
また、開環付加反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオールなどのポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物などを挙げることができる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、エポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業社製、商標名「HF−105」)を挙げることができる。
また、開環付加重合反応する化合物として、分子内にオキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、環状イミノエーテル基等を有する化合物を用いることもできる。
本発明において、これら重合性不飽和基を有する有機化合物(b)はその目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
樹脂組成物より得られる印刷原版の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族または芳香族の誘導体が少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(b)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上である。また、前記芳香族の誘導体として、窒素、硫黄等の元素を有する芳香族化合物であっても構わない。
樹脂(a)あるいは有機化合物(b)が、分子鎖中に存在する酸素原子あるいは窒素原子に対しα位に存在する水素原子を有する化合物、チオールのような硫黄原子に直接結合している水素原子を有する化合物を、感光性樹脂組成物全体量の少なくとも20wt%以上含有することが好ましい。より好ましくは40wt%以上である。前記酸素原子の由来原子団としては、アルコール、エーテル、エステル、カーボネート等を挙げることができ、また前記窒素原子の由来原子団としてはウレタン、ウレア、アミド等を挙げることができる。
感光性樹脂組成物(ア)を光もしくは電子線の照射により架橋して印刷版などとしての物性を発現させるが、その際に光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤は一般に使用されているものから選択でき、例えば高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の開始剤等が使用できる。また、光重合開始剤を用いて光重合により架橋を行なうことは、樹脂組成物の貯蔵安定性を保ちながら、生産性良く印刷原版を生産出来る方法として有用であり、その際に用いる開始剤も公知のものが使用できる。ラジカル重合反応を誘起させる光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤と崩壊型光重合開始剤が、特に効果的な光重合開始剤として広く用いられている。
水素引き抜き型光重合開始剤として、特に限定するものではないが、芳香族ケトンを用いることが好ましい。芳香族ケトンは光励起により効率良く励起三重項状態になり、この励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与するものと考えられる。本発明で用いる水素引き抜き型光重合開始剤として励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜きてラジカルを生成する化合物であれば何でも構わない。芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノンあるいはその誘導体を指し、具体的には3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。ミヒラーケトン類とはミヒラーケトンおよびその誘導体をいう。キサンテン類とはキサンテンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をさし、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等を挙げることができる。アントラキノン類とはアントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体をいう。水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下であることが望ましい。添加量がこの範囲であれば、液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、退候性を確保することができる。
崩壊型光重合開始剤とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を指し、特に限定するものではない。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、「感光性高分子」(講談社、1977年出版、頁228)に記載の化合物を挙げることができる。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることができる。有機イオウ化合物としては、芳香族チオール、モノおよびジスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、S−アシルジチオカルバメート、チオスルホネート、スルホキシド、スルフェネート、ジチオカルボネート等を挙げることができる。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。崩壊型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.3wt%以上3wt%以下であることが望ましい。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性は充分に確保できる。
特に液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させる場合には、水素引き抜き型光重合開始剤と崩壊型光重合開始剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いることもできる。α−アミノアセトフェノン類を挙げることができる。例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、下記一般式(6)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 0004475505
(式中、Rは各々独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、Xは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物の添加量としては、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.3wt%以上3wt%以下であることが望ましい。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性は充分に確保できる。
また、光を吸収して酸を発生することにより、付加重合反応を誘起させる光重合開始剤を用いることもできる。例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤、あるいは光を吸収して塩基を発生する重合開始剤などが挙げられる。これらの光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下の範囲が好ましい。
感光性樹脂組成物(ア)には無機多孔質体を添加することが好ましい。無機多孔質体とは、粒子中に微小細孔を有する、あるいは微小な空隙を有する無機粒子であり、レーザー彫刻において多量に発生する粘稠性の液状カスを吸収除去するための添加剤であり、版面のタック防止効果も有する。本発明の無機多孔質体は粘稠な液状カスの除去を最大の目的として添加するものであり、数平均粒子径、比表面積、平均細孔径、細孔容積、灼熱減量がその性能に大きく影響する。
無機多孔質体は数平均粒径が0.1〜100μmであることが好ましい。この数平均粒径の範囲より小さいものを用いた場合、本発明の樹脂組成物より得られる原版をレーザーで彫刻する際に粉塵が舞いやすく、樹脂(a)及び有機化合物(b)との混合を行う際に粘度がの上昇しやすい。
他方、上記数平均粒径の範囲より大きなものを用いた場合、レーザー彫刻した際レリーフ画像に欠損が生じやすい。より好ましい平均粒子径の範囲は、0.5〜20μmであり、更に好ましい範囲は3〜10μmである。本発明の多孔質無機吸収剤の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値である。
無機多孔質体の比表面積の範囲は、10m/g以上1500m/g以下であることが好ましい。より好ましい範囲は、100m/g以上800m/g以下である。比表面積が10m/g以上である場合、レーザー彫刻時の液状カスの除去が充分となり、また、1500m/g以下であれば、感光性樹脂組成物の粘度上昇を抑え、また、チキソトロピー性を抑えることができる。本発明の比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。
無機多孔質体の平均細孔径は、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収量に極めて大きく影響を及ぼす。平均細孔径の好ましい範囲は、1nm以上1000nm以下、より好ましくは2nm以上200nm以下、更に好ましくは2nm以上50nm以下である。平均細孔径が1nm以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収性が確保でき、1000nm以下である場合、粒子の比表面積が大きく液状カスの吸収量を十分に確保できる。平均細孔径が1nm未満の場合、液状カスの吸収量が少ない理由については明確になっていないが、液状カスが粘稠性であるため、ミクロ孔に入り難く吸収量が少ないためではないかと推定している。
本発明でいう平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値である。平均細孔径が2〜50nmのものは特にメソ孔と呼ばれ、メソ孔を有する多孔質粒子が液状カスを吸収する能力が極めて高い。本発明の細孔径分布は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
無機多孔質体の細孔容積は、0.1ml/g以上10ml/g以下が好ましく、より好ましくは0.2ml/g以上5ml/g以下である。細孔容積が0.1m/g以上の場合、粘稠性液状カスの吸収量は十分であり、また10ml/g以下の場合、粒子の機械的強度を確保することができる。本発明において細孔容積の測定には、窒素吸着法を用いる。本発明の細孔容積は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
液状カス吸着量を評価する指標として、吸油量がある。これは、無機多孔質体100gが吸収する油の量で定義する。本発明で用いる無機多孔質体の吸油量の好ましい範囲は、10ml/100g以上2000ml/100g以下、50ml/100g以上1000ml/100g以下である。吸油量が10ml/100g以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの除去が十分であり、また2000ml/100g以下であれば、無機多孔質体の機械的強度を十分に確保できる。吸油量の測定は、JIS−K5101にて行った。
本発明で用いる無機多孔質体は、特に赤外線波長領域のレーザー光照射により変形あるいは溶融せずに多孔質性を保持することが好ましい。950℃において2時間処理した場合の灼熱減量が、15wt%以下が好ましく、より好ましくは10wt%以下である。
無機多孔質体の粒子形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、球状粒子が好ましい。また、粒子の内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体など使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物などのように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本発明においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
更にこれらの細孔あるいは空隙にレーザー光の波長の光を吸収する顔料、染料等の有機色素を取り込ませることもできる。
球状粒子を規定する指標として、真球度を定義する。本発明で用いる真球度とは、粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値Dの、投影図形が完全に入る円の最小値Dの比(D/D)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。本発明で用いる好ましい球状粒子の真球度は、0.5以上1.0以下、より好ましくは0.7以上1.0以下が望ましい。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。球状粒子として、70%以上、より好ましくは90%以上の粒子が、真球度0.5以上であることが望ましい。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記DおよびDを測定するが、写真をスキャナー等のデジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウエアーを用いてデータ処理することが好ましい。
また、無機多孔質体の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。
本発明において、これらの無機多孔質体は1種類もしくは2種類以上のものを選択でき、無機多孔質体を添加することによりレーザー彫刻時の液状カスの発生抑制、及びレリーフ印刷版のタック防止等の改良が有効に行われる。
感光性樹脂組成物(ア)における樹脂(a)、有機化合物(b)、及び無機多孔質体)の割合は、通常、樹脂(a)100重量部に対して、有機化合物(b)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。又、無機多孔質体は1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、2〜20重量部である。
有機化合物(b)の割合が、上記の範囲より小さい場合、得られる印刷版などの硬度と引張強伸度のバランスがとりにくい場合があり、上記の範囲より大きい場合には架橋硬化の際の収縮が大きくなりやすい。
又、無機多孔質体の量が上記の範囲より小さい場合、樹脂(a)及び有機化合物(b)の種類によっては、レーザー彫刻した際に、彫刻液状カスの発生を抑制するなどの効果が十分発揮されない場合があり、上記の範囲より大きい場合には、印刷版が脆くなりやすい。また、透明性が損なわれる場合があり、また、特にフレキソ版として利用する際には、硬度が高くなりすぎてしまう場合がある。光、特に紫外線を用いて感光性樹脂組成物を硬化させレーザー彫刻印刷原版を作製する場合、光線透過性が硬化反応に影響する。したがって、用いる無機多孔質体の屈折率が感光性樹脂組成物の屈折率に近いものを用いることが有効である。
感光性樹脂組成物(ア)中に無機多孔質体を混合する方法として、熱可塑性樹脂を加熱して流動化させた状態で直接無機多孔質体を添加する方法、あるいは熱可塑性樹脂と光重合性有機化合物(b)を最初に混錬した中に無機多孔質体を添加する方法のいずれでも構わない。
その他、樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
本発明のレーザー彫刻可能な円筒状印刷原版は、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて形成したものである。したがって、有機化合物(b)の重合性不飽和基同士、あるいは樹脂(a)の重合性不飽和基と有機化合物(b)の重合性不飽和基が反応することにより3次元架橋構造が形成され、通常用いるエステル系、ケトン系、芳香族系、エーテル系、アルコール系、ハロゲン系溶剤に不溶化する。この反応は、有機化合物(b)同士、樹脂(a)同士、あるいは樹脂(a)と有機化合物(b)との間で起こり、重合性不飽和基が消費される。また、光重合開始剤を用いて架橋硬化させる場合、光重合開始剤が光により分解されるため、前記架橋硬化物を溶剤で抽出し、GC−MS法(ガスクロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、LC−MS法(液体クロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、GPC−MS法(ゲル浸透クロマトグラフィーで分離し質量分析する方法)、LC−NMR法(液体クロマトグラフィーで分離したものを核磁気共鳴スペクトルで分析する方法)を用いて解析することにより、未反応の光重合開始剤および分解生成物を同定することができる。更に、GPC−MS法、LC−MS法、GPC−NMR法を用いることにより、溶剤抽出物中の未反応のポリマー、未反応の有機化合物(b)、および重合性不飽和基が反応して得られる比較的低分子量の生成物についても溶剤抽出物の分析から同定することができる。3次元架橋構造を形成した溶剤に不溶の高分子量成分については、熱分解GC−MS法を用いることにより、高分子量体を構成する成分として、重合性不飽和基が反応して生成した部位が存在するかを検証することが可能である。例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニル基等の重合性不飽和基が反応した部位が存在することを質量分析スペクトルパターンから推定することができる。熱分解GC−MS法とは、試料を加熱分解させ、生成するガス成分をガスクロマトグラフィーで分離した後、質量分析を行なう方法である。架橋硬化物中に、未反応の重合性不飽和基又は重合性不飽和基が反応して得られた部位と共に、光重合開始剤に由来する分解生成物や未反応の光重合開始剤が検出されると、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて得られたものであると結論付けることができる。
感光性樹脂組成物中あるいは光架橋硬化物中に存在する有機珪素化合物の同定は、上記各種分析方法を駆使することにより可能である。
また、感光性樹脂硬化物中に存在する無機多孔質体微粒子の量については、架橋硬化物を空気中で加熱することにより、有機物成分を焼き飛ばし、残渣の重量を測定することにより得ることができる。また、前記残渣中に無機多孔質体微粒子が存在することは、電界放射型高分解能走査型電子顕微鏡での形態観察、レーザー散乱式粒子径分布測定装置での粒子径分布、および窒素吸着法による細孔容積、細孔径分布、比表面積の測定から同定することができる。
本発明の感光性樹脂樹脂組成物を円筒状に成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行なうことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしても良い。円筒状支持体として、印刷機のシリンダーを使用することもできる。取り扱いの容易さから、繊維強化プラスチック(FRP)製、プラスチック製あるいは金属製の円筒状支持体を用いることが好ましい。円筒状支持体は軽量化のために一定厚みで中空のものを使用することができる。円筒状支持体の役割は、印刷原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択する必要がある。線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
また、円筒状支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子など用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
本発明で用いる円筒状支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、感光性樹脂組成物層あるいは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
成形された感光性樹脂組成物層は光照射により架橋せしめ、印刷原版を形成する方法が簡便である。また、成型しながら光照射により架橋させることもできる。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから450nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤は、200nmから300nmの波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。また、感光性樹脂組成物層表面での光の照度が高いものが好ましい。感光性樹脂組成物層表面での照度が、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)とフィルター(オーク製作所社製、商標「UV−35−APRフィルター」)を用いて測定した場合に、20mW/cm以上であること、前記UVメーターとフィルター(オーク製作所社製、商標「UV−25フィルター」)を用いて測定した場合に、5mW/cm以上であることが好ましい。このような照度の光源を用いることにより、短時間で光硬化できるだけでなく、未反応の重合性不飽和基の量を少なくできる効果もある。
レーザー彫刻に用いる原版の厚みは、その使用目的に応じて任意に設定して構わない。グラビア印刷版あるいはアニロックスロールとして用いる場合には、レーザー光を照射して形成される凹パターンの深さは、一般的に5μm〜50μmmmの範囲である。部分的により深い凹パターンが形成されていても構わない。また、場合によっては、組成の異なる材料が複数積層されていても構わない。例えば、最表面にYAGレーザー、ファイバーレーザーあるいは半導体レーザー等の近赤外線領域に発振波長を有するレーザーを用いて彫刻することができる層を形成し、その層の下に炭酸ガスレーザー等の赤外線レーザーあるいは可視・紫外線レーザーを用いてレーザー彫刻できる層を形成することも可能である。このような積層構造を形成することにより、極めて出力の高い炭酸ガスレーザーを用いて比較的粗いパターンを深く彫刻し、表面近傍の極めて精細なパターンをYAGレーザー、ファイバーレーザー等の近赤外線レーザーを用いて彫刻することが可能となる。極めて精細なパターンは比較的浅く彫刻できれば良いので、該近赤外線レーザーに感度のある層の厚さは、5μm以上0.5mm以下の範囲が好ましい。このように近赤外線レーザーに感度のある層と赤外線レーザーに感度のある層を積層することにより、近赤外線レーザーを用いて彫刻されたパターンの深さを正確に制御できる。これは、赤外線レーザーに感度のある層を、近赤外線レーザーでは彫刻することが困難である現象を利用しているからである。彫刻可能なパターンの精細さの違いは、レーザー装置固有の発振波長の違い、すなわち絞れるレーザービーム径の違いに起因する。このような方法でレーザー彫刻する場合、赤外線レーザーと近赤外線レーザーを搭載した別々のレーザー彫刻装置を用いて彫刻することもでき、また、赤外線レーザーと近赤外線レーザーの両方を搭載したレーザー彫刻装置を用いて行うことも可能である。
本発明のレーザー彫刻印刷原版表面の濡れ性は、インキの受理、転移において極めて重要な要素となる。25℃の温度条件で実施する表面濡れ性評価において、表面エネルギー30mN/mの指示液を20μリットル、1滴を該レーザー彫刻印刷原版表面に滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定した場合において、該液滴の径が4mm以上20mm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は5mm以上15mm以下である。指示液の広がり方は、同心円状になる場合が多いが、原版表面の状態によっては必ずしも同心円状の広がり方をしない場合もある。その場合には、広がった部分が完全に入る円の直径の最小値を指示液滴の広がった部分の最大径と定義する。液滴が広った部分の最大径が4mm以上20mm以下の範囲であれば、インキをはじいて印刷物が不均一になることなく、また版面へのインキ残りに抑制効果が見られる。
本発明では、レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)の下部に印刷版の周長を調整するための周長調整層を形成することもできる。周長調整層として用いる樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂のいずれであっても構わない。周長調整層の形成容易さの観点から、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物層(B)であることが特に好ましい。周長調整層の形成に用いる感光性樹脂組成物は、成形性の観点から20℃において液状の感光性樹脂組成物であることが好ましい。特に、装置の構造を簡便にするためにも大気中で硬化できる組成が望ましい。感光性樹脂硬化物層(B)を形成するための感光性樹脂組成物は、感光性樹脂硬化物層(A)を形成するための感光性樹脂組成物(ア)と組成が同一であっても異なっていても構わない。円筒状印刷基材表面がドクターブレードと接触した際に、変形しないように、感光性樹脂硬化物層(B)のショアD硬度も30度以上100度以下であることが好ましい。より好ましいショアD硬度の範囲は、40度以上100度以下である。
更に、周長調整層が厚くなる場合、重量が増大するので、周長調整層内に気泡を含有させて重量を低減することもできる。
また、本発明のレーザー彫刻印刷版の表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、あるいは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。
広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更に本発明のシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、あるいは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。
また、チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルスルフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等の化合物を挙げることができる。
表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、あるいは電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
本発明では、上記のカップリング剤に、必要に応じ、水−アルコール、或いは酢酸水−アルコール混合液で希釈して、調整する。処理液中のカップリング剤の濃度は、0.05〜10.0重量%が好ましい。
本発明におけるカップリング剤処理法について説明する。前記のカップリング剤を含む処理液を、印刷原版、あるいはレーザー彫刻後の印刷版表面に塗布して用いられる。カップリング剤処理液を塗布する方法に特に限定はなく、例えば浸漬法、スプレー法、ロールコート法、或いは刷毛塗り法等を適応することが出来る。また、被覆処理温度、被覆処理時間についても特に限定はないが、5〜60℃であることが好ましく、処理時間は0.1〜60秒であることが好ましい。更に樹脂版表面上の処理液層の乾燥を加熱下で行うことが好ましく、加熱温度としては50〜150℃が好ましい。
カップリング剤で印刷版表面を処理する前に、キセノンエキシマランプ等の波長が200nm以下の真空紫外線領域の光を照射する方法、あるいはプラズマ等の高エネルギー雰囲気に曝すことにより、印刷版表面に水酸基を発生させ高密度にカップリング剤を固定化することもできる。
また、無機多孔質体粒子を含有する層が印刷版表面に露出している場合、プラズマ等の高エネルギー雰囲気下で処理し、表面の有機物層を若干エッチング除去することにより印刷版表面に微小な凹凸を形成させることができる。この処理により印刷版表面のタックを低減させること、および表面に露出した無機多孔質体粒子がインクを吸収しやすくすることによりインク濡れ性が向上する効果も期待できる。
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザーが好ましいものの一つである。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。一般には樹脂は炭酸ガスレーザーの10μm近傍に吸収を持つため、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必須ではないが、YAGレーザーは1.06μm近傍の波長であり、この波長の吸収を有するものはあまり無い。その場合、これの吸収を助ける成分である、染料、顔料の添加が好ましい。
このような染料の例としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物および金属含有フタロシアニン化合物、;シアニン化合物;スクアリリウム染料;カルコゲノピリロアリリデン染料;クロロニウム染料;金属チオレート染料;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料;オキシインドリジン染料;ビス(アミノアリール)ポリメチン染料;メロシアニン染料;及びキノイド染料などが挙げられる。顔料の例としてはカーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム、コバルトクロームアルミネート、酸化銅、酸化鉄等の暗色の無機顔料や鉄、アルミニウム、銅、亜鉛のような金属粉およびこれら金属にSi、Mg、P、Co、Ni、Y等をドープしたもの等が挙げられる。これら染料、顔料は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良いし、複層構造にするなどのあらゆる形態で組み合わせても良い。ただし、光を用いて感光性樹脂組成物を硬化させる系の場合、硬化に使用する光の波長における光吸収が大きな有機/無機化合物の添加量は、光硬化性に支障のない範囲にすることが好ましく、感光性樹脂組成物全体量に対する添加比率としては5wt%以下、より好ましくは2wt%以下であることが望ましい。
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去しても良い。
本発明において、レーザー彫刻印刷原版にレーザー光を照射し凹パターンを形成する際に、該レーザー彫刻印刷原版表面を加熱しレーザー彫刻を補助することもできる。レーザー彫刻印刷原版の加熱方法としては、レーザー彫刻機のシート状あるいは円筒状定盤を、ヒーターを用いて加熱する方法、赤外線ヒーターを用いて該レーザー彫刻印刷原版表面を直接加熱する方法を挙げることができる。この加熱工程により、レーザー彫刻性を向上させることができる。加熱の程度は、50℃以上200℃以下の範囲、より好ましくは80℃以上200℃以下の範囲、更に好ましくは100℃以上200℃以下の範囲が望ましい。
本発明において、レーザー光を照射し凹パターンを形成する彫刻後に、版表面に残存する粉末状あるいは粘性のある液状カスを除去する工程に引き続き、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。表面のタック除去に効果がある方法である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行っても構わない。用いる感光性樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。更に、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光しても構わない。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光しても構わない。
また、本発明の円筒状印刷基材は、レーザー彫刻により凹パターンを形成する前、あるいは凹パターンを形成した後に、表面にハードコート層を形成することもできる。ハードコート層は、一般的に入手可能なハードコート材料を使用して形成することができるが、特に薄く均一なハードコート層を形成する方法として、光硬化性の材料をスプレー法で形成し、その後紫外線等を照射して光硬化させる方法が好ましい。また、用いることのできる好ましい材料としては、ナノ微粒子を含有したエポキシ樹脂、オキセタン樹脂等の開環付加重合反応を利用した材料を挙げることもできる。
更に、凹パターンを形成した表面に、クロム、チタン等の硬度の高い金属を薄く被覆することもできる。被覆する方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術や、無電解めっき法、無電解めっき法と電解めっき法の組み合わせ等により化学的あるいは電気化学的に金属を析出させる方法を挙げることができる。無電解めっき法では、表面に触媒となるパラジウム等の金属微粒子が存在していることが必要となるので、パラジウム微粒子を含有した樹脂を薄く塗布する前処理を行うことが好ましい。また、表面にパラジウム微粒子を露出させるために、プラズマ処理、真空紫外線領域の光を照射する方法等により表面の樹脂を一部除去することも効果的である。
本発明の印刷原版は印刷版用レリーフ画像の他、スタンプ・***、エンボス加工用のデザインロール、電子部品作成に用いられる絶縁体、抵抗体、導電体ペーストのパターニング用レリーフ画像、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線吸収フィルター等の機能性材料のパターン形成、液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止剤層の塗膜・パターン形成、窯業製品の型材用レリーフ画像、広告・表示板などのディスプレイ用レリーフ画像、各種成型品の原型・母型など各種の用途に応用し利用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(商標:ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻は、網点(250 lines per inch で面積率50%)、500μm幅の白抜き線を含むパターンを作成して実施した。また、彫刻深さは20μmとした。
(2)網点部の形状
彫刻した部位のうち、80lpi(Lines per inch)で面積率約10%の網点部の形状を電子顕微鏡で、200倍〜500倍の倍率で観察した。網点が円錐形または擬似円錐形(円錐の頂点付近を円錐の底面に平行な面で切った、末広がりの形状)の場合には、印刷版として良好である。
(3)多孔質体および無孔質体の細孔容積、平均細孔径及び比表面積
多孔質体又は無孔質体2gを試料管に取り、前処理装置で150℃、1.3Pa以下の条件で12時間減圧乾燥した。乾燥した多孔質体又は無孔質体の細孔容積、平均細孔径及び比表面積は、米国、カンタクローム社製、オートソープ3MP(商標)を用い、液体窒素温度雰囲気下、窒素ガスを吸着させて測定した。具体的には、比表面積はBET式に基づいて算出した。細孔容積および平均細孔径は、窒素の脱着時の吸着等温線から円筒モデルを仮定し、BJH(Brrett-Joyner-Halenda)法という細孔分布解析法に基づいて算出した。
(4)多孔質体および無孔質体の灼熱減量
測定用の多孔質体又は無孔質体の重量を記録する。次に測定用試料を高温電気炉(FG31型;日本国、ヤマト科学社製)に入れ、空気雰囲気、950℃の条件下で2時間処理した。処理後の重量変化を灼熱減量とした。
(5)多孔質体および無孔質体の平均粒子径
多孔質体および無孔質体の粒子径分布の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000J型;日本国、島津製作所製)を用いて行った。装置の仕様では、0.03μmから500μmまでの粒子径範囲の測定が可能であることが、カタログに記載されている。分散媒体としてメチルアルコールを用い、超音波を約2分間照射し粒子を分散させ測定液を調整した。
(6)粘度
感光性樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
(7)テーパー磨耗試験
テーパー磨耗試験は、厚み2.8mmの印刷原版を別途作製し、JIS−K6264に従って実施した。試験片に加える荷重は4.9N、回転円盤の回転速度は毎分60±2回、試験回数は連続1000回とし、試験後の磨耗量を測定した。試験部の面積は、31.45cmであった。優れた印刷版では、磨耗量は80mg以下(2.5mg/cm以下)であり、磨耗量が少ないと長期間、印刷版を使用することが可能となり、高品質の印刷物を提供することができる。
(8)表面摩擦抵抗測定
厚み2.8mmの印刷原版を別途作製し、摩擦測定機(TR型:日本国、東洋精機製作所社製)を用いて、表面摩擦抵抗値μを測定した。試料表面に載せる錘は63.5mm角、重量W:200gであり、錘を引っ張る速度は150mm/分とした。また、錘の表面にライナー紙(再生紙を含まず、純パルプから製造された、段ボールに使用されている厚さ220μmの紙、商標名「白ライナー」、日本国、王子製紙社製)を、その平滑な面が表面に露出するように貼り付けたものを使用し、印刷原版と錘の間にライナー紙が存在し、印刷原版表面とライナー紙の平滑面が接するようにして、錘を水平に動かし表面摩擦抵抗値μを測定した。表面摩擦抵抗値μは、錘の重量に対する測定荷重Fdの比、即ちμ=Fd/Wで表される動摩擦係数であり、無次元数である。錘を動かし始めて測定値が安定化する領域、即ち、5mmから30mmまでの測定荷重の平均値をFdとした。表面摩擦抵抗値μが小さいものが印刷版としては好ましい。優れた印刷版では、表面摩擦抵抗値μは2.5以下であり、表面摩擦抵抗値μの値が小さいと印刷時に印刷版表面への紙紛の付着が少なく、品質の高い印刷物を得ることができる。表面摩擦抵抗値μが4を越えて大きい場合、段ボール等の紙に印刷する際に紙紛が印刷版表面に付着してしまう現象が見られ、その場合、紙紛が付着した部分の被印刷物上にインクが転写されず欠陥となることが多発する。
(9)数平均分子量の測定
樹脂(a)および有機珪素化合物(c)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製のHLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂(a)に関しては紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。また、有機珪素化合物(c)に関しては視差屈折計を用いて検出した。本発明の実施例あるいは比較例で用いている樹脂(a)、有機珪素化合物(c)は、GPC法で用いて求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。
(10)重合性不飽和基の数の測定
合成した樹脂(a)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造解析し求めた。
(11)印刷評価
別途シート状に形成した印刷原版上に、レーザー彫刻によりパターンを形成した印刷版を用いて、印刷評価を実施した。印刷には卓上型校正機(英国、RKプリントコートインスツルメント社製、商標「Flexiploofer100」)を用い、版胴上に前記印刷版を、両面テープを用いて貼り付け、シアン色の水性インキを使用して、コート紙上に枚葉式で印刷を行った。アニロックスロールと版胴との間に過剰な圧力を掛けた状態(版に一様にインキが転写する状態から、0.08mm余計に圧を掛けた状態)で、また、版胴と圧胴との間の圧力を0.15mmに設定し、10枚印刷を行った時点で、版表面に残存するインキの残り具合を目視で観察した。
(12)印刷原版のぬれ性試験
レーザー彫刻印刷原版表面のぬれ性試験は、表面エネルギー30mN/mの指示薬(和光純薬工業社製、商標「ぬれ張力試験用混合液No.30.0」)を20μリットル、1滴を該レーザー彫刻印刷原版表面に滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定し、この値をぬれ性試験の指標として使用する。この値が大きい程、この指示薬にぬれ易いことを意味する。好適なレーザー彫刻原版は、この値が4mm以上20mm以下である。
(13)ショアD硬度の測定
感光性樹脂硬化物層のショアD硬度は、テクロック社製、商標「GS−720G TypeD」を用いて測定した。円筒状支持体上に形成した感光性樹脂硬化物層のショアD硬度を、円筒状のまま測定した。測定に用いた錘の重量は、8kgであった。
(製造例1)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(製造例2)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート7.42gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1個)である数平均分子量約10000の樹脂(イ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(製造例3)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1830、OH価61.3)500gとトリレンジイソシアネート52.40gを加え60℃に加温下に約3時間反応させた後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート6.2gとポリプロピレングリコールモノメタクリレート(Mn400)7.9gを添加し、さらに2時間反応させたのち、エタノールを20g加えてさらに2時間反応させた。末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均で0.5個)である数平均分子量約20000の樹脂(ウ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(実施例1〜4)
20℃において液状の樹脂(a)として、製造例1から3で作製した樹脂(ア)から(ウ)を用い、表1に示すように有機化合物(b)、有機珪素化合物(c)、無機多孔質体、光重合開始剤、その他添加剤を加えて樹脂組成物を作成した。
用いた有機珪素化合物(c)としては、信越化学工業社製、メチルスチリル変性シリコーンオイル(商標「KF−410」、屈折率:1.480、数平均分子量:7890と700の2つのピークを有し、4.3:1であったことから、面積比で分配し、数平均分子量を6530とした。20℃にて液状)、カルビノール変性シリコーンオイル(商標「X−22−160AS」、屈折率:1.420、数平均分子量:750、20℃にて液状)を用いた。これらの化合物は、分子中に重合性不飽和基を有していないシリコーン化合物である。
また、無機多孔質体として、富士シリシア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカである、商標「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)を用いた。用いた多孔質性微粉末シリカの多孔度は、密度を2g/cmとして算出すると、780であった。添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアーC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。
エアーシリンダーに装着された内径213.384mm、幅300mm、厚さ2.00mmのガラス繊維強化プラスチック製の円筒状支持体上に、調整された感光性樹脂組成物をドクターブレードを用いて塗布し、エアーシリンダーを毎秒0.2回転の速度で回転させながら、メタルハライドランプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)の開口部(開口部寸法:40mm×310mm)から出てくる光を、大気中で感光性樹脂組成物に照射し感光性樹脂硬化物層を形成した。照射したエネルギー量は、4000mJ/cm(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)であった。照射面でのランプ照度は、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)を用いて測定した。商標「UV−35−APRフィルター」(オーク製作所社製)を使用して測定したランプ照度は、100mW/cm、商標「UV−25フィルター」(オーク製作所社製)を使用して測定したランプ照度は、14mW/cmであった。得られた感光性樹脂硬化物層の膜厚を調整し、円筒状印刷基材の周長が700mmとなるように超硬質バイトを用いて切削し、グラインダーで荒削りした後、表面に微小な砥石の付いたフィルムを用いて精密研磨して円筒状印刷基材を作製した。
用いた光重合開始剤は、ベンゾフェノン(BP)が水素引き抜き型光重合開始剤(d)であり、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPAP)が崩壊型光重合開始剤であった。
実施例1〜4の感光性樹脂組成物は、いずれも20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、いずれの系も100Pa・s以上5kPa・s以下であった。
これらをZED社製の炭酸ガスレーザー彫刻機をもちいて、パターンの彫刻を行なった。得られた凹パターンを走査型電子顕微鏡で観察した結果、彫刻部にカスが残っていない良好なパターンであった。
また、実施例1〜4は、表面摩擦抵抗値、磨耗量ともに低い値を示した。表面摩擦抵抗値は、いずれも1未満であった。磨耗量は、いずれの系も0.5mg/cm以下であった。更に、にぬれ性試験の結果、実施例1から4では指示薬の広がりが4mm以上20mm以下の範囲に入っていた。また、別途、厚さ1.7mmのシート状サンプルを形成し、インキの版表面への残存性を評価した結果、網点部のインキ残りは見られなかった。
また、実施例1から4で得られた円筒状印刷基材表面の凹部にグラビアインキを充填し、プラスチック製スキージを用いて凹部以外の表面に付着したインキを除去した後、コート紙を円筒状印刷基材の表面に押し付けることによりインキを転写し、コート紙上に印刷パターンを得た。更に、実施例1から4で得られた円筒状印刷基材をエアーシリンダーに装着し、グラビアインキを表面に塗布した後、円筒状印刷基材を回転速度が毎分100回の条件で2分間回転させながら、プラスチック製スキージを表面に接触させた。その結果、円筒状印刷基材表面には大きな傷は見られなかった。
また、厚み2.8mmのシート状印刷基材を別途作製し、テーパー磨耗試験を実施した。その結果、実施例1から3の感光性樹脂組成物を光硬化させて形成したシート状印刷基材では、磨耗量はいずれも0.5mg/cm以下であった。
実施例1〜4で得られた円筒状印刷原版のショアD硬度は、いずれも30度を越えて大きい値を示した。
本発明の実施例で用いている重合性不飽和基含有有機化合物の内、芳香族の誘導体は、フェノキシエチルメタクリレート(PEMA)である。
(実施例5)
内径213mm、厚さ2mmの繊維強化プラスチック製スリーブ上に両面接着テープを貼りその上に接着剤を塗布したPETフィルムを接着剤が表面に出るように貼り付け円筒状支持体を形成した。この円筒状支持体上に、に 実施例1の感光性樹脂組成物から光重合開始剤であるベンゾフェノンを除いて調整した感光性樹脂組成物を50℃に加熱し、ドクターブレードを用いて、厚さ約2mmに塗布した。その後、大気中において、前記メタルハライドランプの光を4000mJ/cm(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)照射し、感光性樹脂組成物層を硬化させた。
実施例1の感光性樹脂組成物100重量部に対し、近赤外線波長領域に光吸収を有する酸化銅超微粒子(シーアイ化成社製、商標「Nano Tek CuO」)1重量部を添加し、遊星式真空撹拌脱泡機(倉敷紡績社製、商標「マゼルスターDD−300」)を用いて撹拌脱泡し、黒色の感光性樹脂組成物を調整した。50℃に加熱した該黒色感光性樹脂組成物を、前記円筒状感光性樹脂硬化物層上に、ドクターブレードを用いて厚さ0.1mmに塗布し、大気中において前記メタルハライドランプの光を4000mJ/cm(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)照射し、黒色感光性樹脂組成物層を硬化させた。次いで、厚さ0.08mmになるように前記窒化珪素製のバイトを用いて切削し、更に、その表面を、フィルム状研磨布を用いて研磨処理を行った。
このように形成した円筒状のレーザー彫刻印刷原版に、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製、商標「ZED−mini−1000」)を用いて深さ0.5mmで、大きさ2cm四方の凸パターンを形成した。更に、スリーブを速度が毎分6cmのスピードで回転させながら、このパターン上に波長1550nmのパルス発振ファイバーレーザー(三菱電線工業社製、尖頭出力が10kW、パルス幅が2ns、繰り返し周波数が毎秒5000回、集光径が約11μmφ)の光を照射し、ラインパターンを形成した。形成されたラインパターンの幅は10μm、深さは15〜20μmであった。形成されたラインパターンを、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、エッジ形状は良好なものであった。
(実施例6)
市販の液状感光性樹脂組成物(旭化成ケミカルズ社製、商標「APR−G−42」)100重量部に対し、シリコーン化合物(信越化学工業社製、商標「KF−410」)を1.5重量部、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学社製、商標「サイロスフェアC」)−1504)5重量部、および光重合開始剤としてベンゾフェノン1重量部を、遊星式撹拌混合脱泡機(倉敷紡績社製、商標「マゼルスターDD−300」)を用いて混合脱泡し、液状感光性樹脂組成物を得た。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして円筒状印刷基材を作製した。
得られた円筒状印刷基材をZED社製の炭酸ガスレーザー彫刻機をもちいて、パターンの彫刻を行なった。得られた凹パターンを走査型電子顕微鏡で観察した結果、彫刻部にカスが残っていない良好なパターンであった。
また、表面摩擦抵抗値、磨耗量ともに低い値を示した。表面摩擦抵抗値は、1未満であった。磨耗量は、0.5mg/cm以下であった。更に、ぬれ性試験の結果、指示薬の広がりが4mm以上20mm以下の範囲に入っていた。また、別途、厚さ1.7mmのシート状サンプルを形成し、インキの版表面への残存性を評価した結果、網点部のインキ残りは見られなかった。
また、得られた円筒状印刷基材表面の凹部にグラビアインキを充填し、プラスチック製スキージを用いて凹部以外の表面に付着したインキを除去した後、コート紙を円筒状印刷基材の表面に押し付けることによりインキを転写し、コート紙上に印刷パターンを得た。更に、得られた円筒状印刷基材をエアーシリンダーに装着し、グラビアインキを表面に塗布した後、円筒状印刷基材を回転速度が毎分100回の条件で2分間回転させながら、プラスチック製スキージを表面に接触させた。その結果、円筒状印刷基材表面には大きな傷は見られなかった。
得られた円筒状印刷原版のショアD硬度は、62度であった。
(比較例1)
シリコーン化合物であるKF−410を含まず、無機多孔質体としてサイロスフェアC−1504の代わりに無定形多孔質シリカ(富士シリシア化学社製、商標「サイリシア470」(数平均粒子径14.1μm、比表面積300m2/g、平均細孔径17nm)を用いる以外は、実施例1と同様にして円筒状印刷基材および厚さ2.8mmのシート状印刷基材を得た。
シート状印刷基材についてテーパー磨耗試験を行った結果、磨耗量は2.5mg/cmを越えて大きかった。また、実施例1と同様にして、円筒状印刷基材表面にグラビアインキを塗布し、プラスチック製スキージを接触させる試験を実施したところ、表面に線状の傷が目視で観察された。
Figure 0004475505
本発明はレーザー彫刻によるグラビア印刷版用レリーフ画像作成、電子部品の導体、半導体、絶縁体、パターン形成、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料のパターン形成、更には液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成に適したレーザー彫刻可能なグラビア印刷原版やアニロックスロール、ロータリースクリーン印刷原版用に用いることのできる円筒状印刷基材として最適である。

Claims (16)

  1. 円筒状支持体とその上に形成された感光性樹脂硬化物層(A)からなり、該感光性樹脂硬化物層(A)が、シリコーン化合物を層内部あるいは表面に含有し、かつ無機多孔質体を含有するレーザー彫刻可能な層であり、かつショアD硬度が30度以上100度以下であり、
    前記シリコーン化合物が、メチルスチリル基、スチリル基、及びカルビノール基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機基を有し、かつ該有機基が直接結合している炭素原子に結合した水素原子(α位水素)を有する化合物であり、
    前記無機多孔質体の比表面積が10m2/g以上1500m2/g以下、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下であることを特徴とする、凹版印刷用円筒状印刷原版。
  2. 感光性樹脂硬化物層(A)が、分子主鎖中にカーボネート結合、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合の群から選ばれる少なくとも1種類の結合を有する化合物と、分子内に芳香族基あるいは/および脂環族基を有する化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の円筒状印刷原版。
  3. 感光性樹脂硬化物層(A)が、20℃で液状の感光性樹脂組成物(ア)を光硬化させて得られた層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の円筒状印刷原版。
  4. 感光性樹脂硬化物層(A)を構成する感光性樹脂硬化物を、窒素流量100ml/分、昇温速度10℃/分の条件で室温から昇温する熱重量分析を行った場合に、重量が50%に減少する温度が150℃以上450℃以下であり、重量が90%に減少する温度と重量が50%に減少する温度の差が120℃以下であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の円筒状印刷原版。
  5. 無機多孔質体の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下であって、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5〜1の範囲の球状粒子であることを特徴とする、請求項に記載の円筒状印刷原版。
  6. レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)の表面が、該表面にエネルギー30mN/mの指示液(和光純薬工業社製、商標「ぬれ張力試験用混合液No.30.0」)を1液滴(20μリットル)滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定した場合に、該液滴の径が4mm以上20mm以下である濡れ特性を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の円筒状印刷原版。
  7. レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)が、発振波長が700nmから3μmの範囲の近赤外線レーザーに感度を有し、パルス幅が1nsから10ns、ピークパワーが5kWから20kWのパルス出力のレーザー光を用いて、1パルスあたりのエネルギー量が0.2mJであるレーザー光を照射した場合に、深さ1μm以上の凹部が形成されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の円筒状印刷原版。
  8. 円筒状支持体と感光性樹脂硬化物層(A)との間に、円筒状印刷原版の周長を調整する周長調整層を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の円筒状印刷原版。
  9. 周長調整層が、感光性樹脂硬化物層(B)からなることを特徴とする、請求項に記載の円筒状印刷原版。
  10. レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)が、光重合開始剤あるいは該光重合開始剤の分解生成物を含有し、該光重合開始剤が水素引き抜き型光重合開始剤および崩壊型光重合開始剤を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の円筒状印刷原版。
  11. 水素引き抜き型光重合開始剤が、ベンゾフェノン類、キサンテン類、アントラキノン類から選ばれる少なくとも1種類の化合物からなり、かつ崩壊型光重合開始剤が、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類から選ばれる少なくとも1種類の化合物からなることを特徴とする、請求項10に記載の円筒状印刷原版。
  12. 光重合開始剤が、同一分子内に水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位の両方を有する化合物を含有することを特徴とする、請求項10に記載の円筒状印刷原版。
  13. 感光性樹脂硬化物層(A)と同じ組成の感光性樹脂硬化物からなる厚み2.8mmのシートを別途作製し、該シートを用いて荷重が4.9N、回転円盤の回転速度が毎分60±2回、試験回数が連続1000回である条件でテーパー磨耗試験を行った場合に、感光性樹脂硬化物層表面の単位面積あたりの磨耗量が2.5mg/cm2以下であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の円筒状印刷原版。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の円筒状印刷原版を製造する方法であって、円筒状支持体上に感光性樹脂組成物を塗布し感光性樹脂組成物層を形成する工程、円筒状に形成された感光性樹脂組成物層に大気中で光を照射し架橋硬化せしめ、レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層(A)を形成する工程を含み、照射される光に波長200nm以上450nm以下の光が含まれ、かつ感光性樹脂組成物層表面での照度が、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)とフィルター(オーク製作所社製、商標「UV−35−APRフィルター」)を用いて測定した場合に、20mW/cm2以上であること、前記UVメーターとフィルター(オーク製作所社製、商標「UV−25フィルター」)を用いて測定した場合に、5mW/cm2以上であることを特徴とする、円筒状印刷原版の製造方法。
  15. 凹パターンを有するドクターブレードあるいはスキージ接触型の円筒状印刷基材の製造方法において、請求項1から13に記載の円筒状印刷原版にレーザー光を照射し、該レーザー照射部を除去することにより凹パターンを形成する工程を含むことを特徴とする、円筒状印刷基材の製造方法。
  16. 請求項15に記載の製造方法により得られる円筒状印刷基材であって、グラビア印刷版、アニロックスロール、又はロータリースクリーン印刷版として用いられることを特徴とする、円筒状印刷基材。
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