JP4466119B2 - シミュレーション装置の動作方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1では、タイヤの有限要素モデルにおけるタイヤボディ部のモデルと、トレッドパターン部のモデルとを別個に作成し、この後互いのモデルを結合することで、タイヤの有限要素モデルを作成する。その際、タイヤボディ部のモデルに対してトレッドパターン部のモデルを種々変更してモデルの作成を行うことにより、トレッドパターンを考慮にいれた、実際の開発に適用可能な精度のよいタイヤ特性を効率よくシミュレーションすることができるとされている。
あるいは、本発明は、入力装置と、出力装置と、CPUと、を備えた、タイヤ特性をシミュレーションするためのシミュレーション装置の動作方法であって、前記CPUが、複数のタイヤ構成部材からなるタイヤをタイヤ周方向に直交する平面で切断したタイヤ断面形状で再現した断面形状モデルを作成するステップと、作成された断面形状モデルをタイヤ周方向に展開するとともに、この展開の際に、タイヤ周方向の展開角度に応じて、オペレータにより前記入力装置から入力された変動量に基づいて、前記断面形状モデルに含まれる複数のタイヤ構成部材のモデルのうちの少なくとも一つのモデルをタイヤ断面内で変動させながら、前記複数のタイヤ構成部材の3次元形状モデルを作成するステップと、この作成された前記複数のタイヤ構成部材の3次元形状モデルを結合することにより、3次元形状のタイヤモデルを作成するステップと、作成された前記タイヤモデルに対してオペレータにより前記入力装置から入力されたシミュレーション条件に基づいて、シミュレーション演算を実行してタイヤ特性を演算するステップと、演算されたタイヤ特性を前記出力装置により出力するステップとを実行することを特徴とするシミュレーション装置の動作方法を提供してもよい。
このようなステップを有することにより、タイヤ周方向における断面形状や配置位置の変動を含めたタイヤ特性をシミュレーションすることができるシミュレーション装置を動作することができる。
また、本発明では、前記断面形状モデルのタイヤ周方向の展開角度に応じた変動は、タイヤ周方向の1周を基本周期とし、この基本周期を少なくとも有する周期関数で表される変動量に基づいていることが好ましい。このようにすることにより、3次元形状モデルの形状変化を滑らかに近似することができ、3次元形状モデルを複数の有限要素で分割する際に要素分割を容易にする。さらに、本発明では、前記周期関数は三角関数であることが好ましい。
このようにすることにより、タイヤの1周において周期性が保てるとともに、要素分割の周期と形状変化の周期とが干渉することを抑制できるため、シミュレーションを実行した際に精度のよいタイヤ特性を得ることができる。このような高次周期関数としては、例えばフーリエ級数をあげることができる。
シミュレーション装置1は、各部位(処理部)の機能を制御し、装置全体の処理を制御する中央演算処理装置(CPU)2と、各部位で得られた演算結果などを一時的に記憶するRAMや各部位の処理を実行するための各種制御情報を記憶するROMなどのメモリ3と、入出力ポート4とを備える。シミュレーション装置1は、入出力ポート4を介して、モデル作成条件、処理条件、あるいは特性演算条件など各種の条件を入力するキーボード、マウスなどの入力装置5と、その入力装置5による入力結果やタイヤ特性のシミュレーション結果などを表示するディスプレイ、プリンタなど出力装置6と、ハードディスクや光磁気ディスクなどの外部記憶装置7と接続されている。
図2は、シミュレーション装置1によって実行されるタイヤ特性のシミュレーション処理の流れを示す。
作成されるタイヤモデルは、複数のタイヤ構成部材(以降、部材という)のモデル(部材モデル)からなり、各部材モデルを構成する要素は3次元モデルである。
図3(a),(b)は、乗用車用タイヤのタイヤモデルの一例の斜視図および正面図である。
タイヤモデル10は、主にトレッドパターン部モデル12とタイヤボディ部モデル14とに分けられ、これらのモデルは別々に作成された後、トレッドパターン部モデル12とタイヤボディ部モデル14とは接合される。その際、接合部分の節点を共有することによって、あるいは接合部分の節点に所定の拘束条件を与えることによりモデル同士が結合されて作成さる。各モデルは、多数の有限要素、例えば、6面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、4面体ソリッド要素、さらにはシェル要素、あるいは膜要素等によって構成される。このようにトレッドパターン部モデル12とタイヤボディ部モデル14を別々に作成した後、結合するのは、タイヤボディ部モデル14を変更せず、トレッドパターン部モデル12を変更してタイヤ特性をシミュレーションするためである。
タイヤボディ部モデル14は、タイヤモデル10からトレッドパターン部モデル12が取り除かれたモデルであり、略トロイダル形状を成している。図4(a)中、タイヤ周方向はA方向を、タイヤ幅方向はB方向を、タイヤ断面方向はタイヤ回転軸を通り、かつタイヤ周方向に直交する平面で切断したときの平面の方向を表す。図4(b)は、タイヤボディ部モデル14のタイヤ断面方向で切断したときのタイヤボディ部モデル14の右半分の断面図である。
タイヤボディ部モデル14は、主に、ベルト部材を再現したベルト部材モデル14a、トレッドベース部材を再現したとトレッドベース部材モデル14b、カーカス部材を再現したカーカス部材モデル14c、サイド部材を再現したサイド部材モデル14d、ビードフィラー部材を再現したビードフィラー部材モデル14eおよびビード部材を再現したビード部材モデル14f等を有して構成される。
トレッドパターン部モデル12は、タイヤのトレッドパターンを再現したモデルであって、タイヤボディ部モデル14に比べて細かい有限要素によって構成されている。
このようなタイヤモデル10は、後述する本発明のタイヤモデル作成方法によって作成される。
シミュレーション条件として境界条件や試験条件が設定される。境界条件は、力学的境界条件と幾何学的境界条件からなり、力学的境界条件はいわゆる外力に関する条件であり、幾何学的境界条件は拘束条件や強制変位などに関する条件である。
例えば、走行状態のタイヤ特性をシミュレーションする場合には、接地状態に設定されたタイヤモデルに対して並進速度と回転角速度を付与して、路面上をタイヤが走行する状態がシミュレーション演算が行われる。シミュレーション演算は、公知の有限要素ソルバー等を用いて行われる。
演算結果としてタイヤモデル10に作用する所定の特性物理量が算出され、算出された特性物理量は、タイヤ特性の指標としてディスプレイに表示される。あるいは、プリンタに出力される。
このようなタイヤ特性は、タイヤの転動に伴うユニフォーミティ成分に影響を与えるが、本発明では、このユニフォーミィティを考慮して、タイヤ特性をシミュレーションすることができる。
まず、タイヤ構成部材が、タイヤ断面方向に切断してタイヤ構成部材の断面形状を再現した断面形状モデルが作成される(ステップS201)。
図7(a)は、タイヤ構成部材の一例であるベルト部材の斜視図である。ベルト部材100は、スチール素線を複数本撚ったスチール線材102をタイヤ周方向(図7(a)中のA方向)に対して所定の角度傾斜させて一定の間隔で平行に配置した状態でコーティングゴム部材によりコートした、ゴム部材とスチール線材とを有するシート状の積層部材である。この積層部材は、図4(b)に示すシェル要素で表されたベルト部材モデル14aによって再現される。
図7(b)は、ベルト部材100をタイヤ断面方向に切断してタイヤ構成部材の断面形状を再現した図である。すなわち、ベルト部材100をタイヤ周方向に直交する平面で切断したときの形状を曲線要素で表すことによりベルト部材の断面形状モデル104が作成される。
この展開の際、タイヤ周方向の位置に応じて断面形状モデルの形状がタイヤ断面内で変動されて、タイヤ構成部材の3次元形状モデルが作成される(ステップS203)。
図7(b)に示すベルト部材100の断面形状モデル104の例で説明すると、断面形状モデル104がタイヤ回転軸を中心にタイヤ周方向に1周展開され、回転体形状を成す。その際、断面形状モデル104のタイヤ周方向位置に応じて断面形状モデル104の形状や位置が変動される。この変動は、断面形状モデル104のタイヤ周方向における展開開始位置と展開終了位置において断面形状モデル104が一致するように与えられる。例えば、タイヤ周方向の1周を基本周期とし、この基本周期を少なくとも有する三角関数等の周期関数を用いて表された変動量が与えられる。例えば、周期関数はタイヤ周方向の1周が2周期以上となる高次の周期関数を含んで構成される。すなわち、上記変動量はフーリエ級数展開等の級数展開によって表された変動量が与えられる。
このような変動量は、図8(c)に示すように、sinやcos等の三角関数を用いて、タイヤ周方向位置を表す角度θに対して高次の周期関数で表した和で表現することができる。特に、周期関数はタイヤ周方向において断面形状モデルを滑らかに接続させるので、タイヤ特性のシミュレーション演算を精度高く行うことができる。
次に、作成された3次元形状モデルに対してメッシュ分割が行われる(ステップS204)。メッシュ分割は、公知の自動分割メッシュモジュールを用いて行われてもよいし、操作者の指示に応じて行われてもよい。図8(d)は、メッシュ分割されて有限要素(シェル要素)からなるベルト部材モデル104aを示している。
モデルの結合は、双方のモデルの接合する部分の節点を互いに共有させる処理を行うことにより、あるいは、接合する境界面に位置する一方のモデルの節点を他方のモデルの節点に対して、変位、力等の物理量を拘束させる拘束条件を付与することによって行われる。
次に、定められた有限要素に対して材料定数が付与されて、タイヤモデルが完成する(ステップS208)。
例えば、図9(a)に示すように、タイヤ中心線CLに対して角度φ傾斜して配置されたベルト部材を再現してもよい。また、ベルト部材の他に、トレッドベース部材、カーカス部材、サイド部材、ビードフィラー部材、ビード部材等の断面形状モデルをタイヤ周方向に変動させて3次元形状モデルを作成してもよい。
図9(b)は、ゴム部材からなるトレッドベース部材の断面形状モデルをタイヤ周方向に展開する際、タイヤ中心軸Oに対して偏芯させた厚さ分布w1(θ)を変動量として与えた3次元形状モデルである。
図9(c)は、トレッドベース部材の断面形状モデルをタイヤ中心軸Oの回りにタイヤ周方向に展開する際、タイヤ径方向に厚さ分布w2(θ)を変動量として与えた3次元形状モデルである。
さらに、本発明では、タイヤボディ部の断面を表した断面形状モデルを、タイヤの外殻の断面形状と、この断面形状におけるタイヤ構成部材の配置を再現することによって作成し、作成された断面形状モデルをタイヤ周方向に展開するとともに、この展開の際に、タイヤ周方向の位置に応じて断面形状モデルにおけるタイヤ構成部材の配置位置をタイヤ断面内で所定の変動量を用いて変動させることにより、3次元形状のタイヤモデルを作成してもよい。これにより、少なくともタイヤ構成部材をタイヤ周方向位置で配置位置や形状を変化させることができる。
一方、試作タイヤを有限要素で再現した、ベルト部材が接続部分で5mmずれているタイヤのシミュレーションモデルを上述した方法により作成し(モデル1〜4)、タイヤのユニフォーミティ試験を再現したシミュレーション演算を行った。
タイヤモデルに与えるベルト部材モデルの変動量はフーリエ級数展開の形式で与えた。このときのフーリエ級数展開の採用次数(最高次数)およびタイヤモデルの周方向の分割数と、ラテラルフォースバリエーション(LFV)のシミュレーション演算結果との関係を表1に示す。
また、フーリエ級数展開における最大次数の6倍の数で有限要素をタイヤ周方向に分割した場合、不均等分割することにより、LFVの値は実験結果に対して10%の誤差が生じる。しかし、均等分割(モデル4)することにより、LFVが実験結果に対して2%の誤差に低減する。これは、有限要素の要素分割の周期と変動量の周期とが干渉するためであると考えられる。すなわち、有限要素のタイヤ周方向における要素分割数はタイヤ周方向の形状変化に応じてモデルの作成を行うことが必要であり、実験結果に対応するシミュレーション結果を得るには、タイヤ周方向の有限要素の要素分割数は、変動量を与える周期関数の最大次数の6倍以上の分割数(モデル4)とするのが好ましい。
また、タイヤ周方向の要素分割を不等分割(モデル3)すると、分割数より低い次数の要素分割による変動が生じると予測でき、精度が悪化している。したがって、有限要素の要素分割はフーリエ級数の最大次数の6倍以上の要素に分割し、かつ等分割することが好ましい。
2 中央演算処理装置(CPU)
3 メモリ
4 入出力ポート
5 入力装置
6 出力装置
7 外部記憶装置
Claims (6)
- 入力装置と、
出力装置と、
CPUと、
を備えた、タイヤ特性をシミュレーションするためのシミュレーション装置の動作方法であって、
前記CPUが、
タイヤを構成するタイヤ構成部材をタイヤ周方向に直交する平面で切断したタイヤ断面形状を再現した断面形状モデルを作成するステップと、
作成された断面形状モデルをタイヤ周方向に展開するとともに、この展開の際に、タイヤ周方向の展開角度に応じて、オペレータにより前記入力装置から入力された変動量に基づいて、前記断面形状モデルをタイヤ断面内で変動させることにより、タイヤ構成部材の3次元形状モデルを作成するステップと、
この作成された3次元形状モデルを用いて、3次元形状のタイヤモデルを作成するステップと、
作成された前記タイヤモデルに対してオペレータにより前記入力装置から入力されたシミュレーション条件に基づいて、シミュレーション演算を実行してタイヤ特性を演算するステップと、
演算されたタイヤ特性を前記出力装置により出力するステップと
を実行することを特徴とするシミュレーション装置の動作方法。 - 入力装置と、
出力装置と、
CPUと、
を備えた、タイヤ特性をシミュレーションするためのシミュレーション装置の動作方法であって、
前記CPUが、
複数のタイヤ構成部材からなるタイヤをタイヤ周方向に直交する平面で切断したタイヤ断面形状で再現した断面形状モデルを作成するステップと、
作成された断面形状モデルをタイヤ周方向に展開するとともに、この展開の際に、タイヤ周方向の展開角度に応じて、オペレータにより前記入力装置から入力された変動量に基づいて、前記断面形状モデルに含まれる複数のタイヤ構成部材のモデルのうちの少なくとも一つのモデルをタイヤ断面内で変動させながら、前記複数のタイヤ構成部材の3次元形状モデルを作成するステップと、
この作成された前記複数のタイヤ構成部材の3次元形状モデルを結合することにより、3次元形状のタイヤモデルを作成するステップと、
作成された前記タイヤモデルに対してオペレータにより前記入力装置から入力されたシミュレーション条件に基づいて、シミュレーション演算を実行してタイヤ特性を演算するステップと、
演算されたタイヤ特性を前記出力装置により出力するステップと
を実行することを特徴とするシミュレーション装置の動作方法。 - 前記タイヤ周方向への断面形状モデルの展開はタイヤ周方向に対して1周行われ、かつ前記タイヤ周方向の展開開始位置と展開終了位置において断面形状モデルが一致するように前記断面形状モデルを変動させる請求項1または2に記載のシミュレーション装置の動作方法。
- 前記断面形状モデルのタイヤ周方向の展開角度に応じた変動は、タイヤ周方向の1周を基本周期とし、この基本周期を少なくとも有する周期関数で表される変動量に基づいている請求項3に記載のシミュレーション装置の動作方法。
- 前記周期関数は三角関数である請求項4に記載のシミュレーション装置の動作方法。
- 前記変動量を表す周期関数は、タイヤ周方向の1周が2周期以上となる高次の周期関数を含み、
前記3次元形状モデルを用いて、3次元形状のタイヤモデルを作成するステップは、3次元形状モデルを複数の有限要素で分割するステップをさらに有し、前記3次元形状モデルのうち少なくともタイヤケーシング部分は、前記周期関数の最大次数の6倍以上の数を有限要素の分割数として均等分割して有限要素を生成する請求項4または5に記載のシミュレーション装置の動作方法。
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