JP4465905B2 - 電子制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信相手の装置と通信線を介して接続されることにより、通信システムを形成する電子制御装置に関し、特に、その通信相手の装置から一定時間毎にデータが送信されて来る電子制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば車両においては、通信線を介して互いに接続された複数の電子制御装置が通信を行って制御データを共有する通信システムが構成される。そして、一般に、こうした車載用電子制御装置間の通信システムにおいては、常時予め決められた時間間隔(通信間隔)で且つ同じボーレートでシリアルデータ通信が行われる。
【0003】
ところで、このような通信システムにおいては、送信側の電子制御装置に異常が発生して、その装置からの通信データの送信間隔が、予め決められた通信間隔よりも長くなったり、短くなったりすることがある。
このため、受信側の電子制御装置には、以下のようなフェイルセーフ機能が備えられる。即ち、受信側の電子制御装置では、通信データを受信した間隔(受信間隔)が予め決められた正常範囲から外れたか否かを判定し、正常範囲から外れたならば通信異常が発生したとして、受信処理(即ち、通信線から受信したデータを、制御対象の制御のためにアクセスするRAM等の記憶手段へ転送する処理)を中断する。そして、その後、受信間隔が正常に戻ったと判定したら、正常復帰したとして、受信処理を再開する。尚、通信システムを構成する各電子制御装置が、データの送受信(即ち、双方向の通信)を行うものであるならば、こうしたフェイルセーフ機能は、各電子制御装置に備えられる。つまり、上記の「受信側の電子制御装置」とは、データを受信している電子制御装置を意味している。
【0004】
そして、従来の電子制御装置では、上記のフェイルセーフ機能を、マイクロコンピュータにて1フレーム分の通信データを受信する毎に起動される受信割込ルーチンで実現するようにしていた。
具体的に説明すると、まず、一般に、この種の電子制御装置を構成するマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)には、他の装置とシリアルデータ通信を行うためのハードウエアであるシリアル通信インターフェース(以下、SCIと記す)が備えられている。
【0005】
そして、そのSCIは、例えば特開平8−293881号公報にも開示されているように、スタートビットからストップビットまでの複数ビット(例えば10ビット)を1フレームとした通信データを受信するための手段として、受信用シフトレジスタと、受信バッファとを備えている。そして更に、SCIは、通信線上のスタートビットを検出したら、以降のデータビットを、予め決められたボーレートで上記受信用シフトレジスタに1ビットずつシフトしていき、その後、通信線上のストップビットを検出したら、そのストップビットまでの1フレーム分の通信データを受信用シフトレジスタから受信バッファに移して、受信割込要求を発生し、ソフトウエアで上記受信バッファからデータ(即ち、受信した1フレーム分の通信データ)を読み出せるようにする。
【0006】
このため、マイコンでは、上記受信割込要求に応じて起動される受信割込ルーチンにて、上記SCIの受信バッファからRAM等へ通信データを転送する受信処理を行うのであるが、その受信処理の前に、当該受信割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの時間間隔を、SCIによる通信データの受信間隔として測定する処理と、その処理で測定された受信間隔が正常であるか否かを判定する判定処理とを行い、その判定処理で受信間隔が正常ではないと判定すると、以後、その判定処理で受信間隔が正常になったと判定されるまでの間、当該受信割込ルーチンで上記受信処理が行われるのを禁止する。
【0007】
そして、このような受信割込ルーチンの構成により、上記のフェイルセーフ機能が実現される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のように受信割込ルーチンだけでフェイルセーフ機能の全てを実現するように構成すると、受信間隔が正常でないと異常判定してから受信間隔が正常に戻ったか否かを判定する正常復帰の判定も、受信割込ルーチンで行うこととなるため、特に通信間隔が短くなる異常が発生した場合には、受信割込ルーチンが正常時よりも頻繁に起動されることとなり、その結果、受信割込ルーチンよりも優先順位が低い時間割込ルーチンやベースルーチン等で行われる処理が、所定期間内に終わらなくなって、制御性が低下してしまうという問題が生じる。
【0009】
尚、上記特開平8−293881号公報には、マスタ装置としての外部診断装置と、スレーブ装置としての各車載用電子制御装置とが、通常のボーレートでメッセージの送受信を行う前に、外部診断装置が通常のボーレートよりも大幅に遅いボーレートで初期化アドレスを送信することにより、初期化が行われる通信システムにおいて、通常の速いボーレートで通信している時に、外部診断装置が誤って遅いボーレートの初期化アドレスを送信してしまうと、各電子制御装置で受信割込が多発して他の処理が先に進まなくなる、という不具合を解決するために、以下のような技術が開示されている。
【0010】
即ち、各電子制御装置は、受信した1フレーム分の通信データにおけるストップビットが正規な値ではないときに発生するフレーミングエラーに起因した受信割込が多発したと判定すると、外部診断装置が遅いボーレートの初期化アドレスを送信していると判断して、受信割込ルーチンが起動されるのを禁止し、その後は、一定時間毎の時間割込ルーチンにて、通信線のレベルをサンプリングすることにより上記初期化アドレスの各ビットを受信すると共に、その初期化アドレスの全ビットを受信したならば、受信割込ルーチンの起動を許可するようにしている。
【0011】
しかし、上記公報に記載の技術は、通信間隔が異常になったことと、通信間隔が異常になってから正常に復帰したこととを検出しようとするものではなく、上記問題を解決することはできない。
また、上記技術のうち「受信割込ルーチンが起動されるのを禁止する」という考え方を利用して、受信割込ルーチンにて、SCIによる通信データの受信間隔が正常ではないと判定すると、当該受信割込ルーチンが起動されるのを禁止し、その後は、時間割込ルーチンやベースルーチン等の他のルーチンによって、受信間隔が正常に戻ったか否かを判定すると共に、そのルーチンで、受信間隔が正常に戻ったと判定したならば受信割込ルーチンの起動を許可する、といった構成を採ることが考えられる。
【0012】
ところが、このように構成しようとしても、実際には、受信割込ルーチン以外の時間割込ルーチンやベースルーチン等では、受信間隔が正常に戻ったか否かを簡単な処理内容で正確に判定することはできず、上記問題を解決できない。
これは、受信割込ルーチン以外のルーチンでは、受信間隔を正確に検出することができない上に、通信異常のモードとしては、受信間隔が正常値よりも長くなる異常と、受信間隔が正常値よりも短くなる異常との2通りがあり、その両方の各異常モードから正常に復帰したことを夫々正確に判定することは難しいからである。
【0013】
また例えば、正常な受信間隔よりも起動周期が短い時間割込ルーチンにより、SCIが通信データを受信したか否かを判定すると共に、受信したと前回判定してから今回判定するまでの当該ルーチンの起動回数から、SCIによる受信間隔を求めるように構成することも考えられるが、十分な判定精度を得るためには、その時間割込ルーチンの起動周期を正常な受信間隔よりも大幅に小さく(例えば10分の1以下)設定しなければならなず、その時間割込ルーチンの分だけ、処理負荷が増大してしまう。よって、その時間割込ルーチンよりも優先順位が低い他の時間割込ルーチンやベースルーチン等で行われる処理が所定期間内に終わらなくなって、制御性が低下してしまう。
【0014】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、通信相手の装置から一定時間毎に送信されるはずの通信データを受信する電子制御装置において、その通信データの受信間隔が異常になったことと、その異常が解消されて受信間隔が正常に戻ったこととを、処理負荷を増大させることなく正確に判定することができるようにすることを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の本発明の電子制御装置は、通信相手の装置と通信線を介して接続される。
そして、この電子制御装置では、通信手段が、前記通信相手の装置から一定時間毎に送信される1フレーム分の通信データを受信して受信バッファに格納する毎に、受信割込要求を発生する。そして更に、この電子制御装置では、上記受信割込要求に応じて起動される受信割込ルーチンにて、通信手段の受信バッファから所定の記憶手段へ通信データ(即ち受信データ)を転送する受信処理を行う。また、この電子制御装置では、上記記憶手段内のデータを用いて制御対象を制御する。
【0016】
このため、本電子制御装置では、従来の電子制御装置と同様に、前述のSCIに相当する通信手段が1フレーム分の通信データを受信して受信バッファに格納する毎に、受信割込ルーチンが起動され、その受信割込ルーチン内の受信処理により、通信手段の受信バッファから所定の記憶手段へ受信データが転送される。そして、その記憶手段に転送された受信データは、制御対象の制御に適宜用いられることとなる。
【0017】
ここで特に、本発明の電子制御装置では、受信割込ルーチンにて、以下の異常モード検出対応処理が行われる。
この異常モード検出対応処理では、当該受信割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの時間間隔に基づいて、通信手段による通信データの受信間隔が正常な範囲よりも長い異常(以下、第1種異常という)が発生したか否かと、受信間隔が正常な範囲よりも短い異常(以下、第2種異常という)が発生したか否かとを判定すると共に、第1種異常が発生していると判定した場合には、当該受信割込ルーチンにて上記受信処理が行われるのを禁止し、また、第2種異常が発生していると判定した場合には、当該受信割込ルーチンにて上記受信処理が行われるのを禁止すると共に、以後、当該受信割込ルーチンが起動されるのを禁止する。
【0018】
そして更に、本発明の電子制御装置では、上記異常モード検出対応処理により受信割込ルーチンの起動が禁止されている場合には、予め定められた所定時間毎に起動される定期ルーチンにて、通信手段による通信データの受信間隔が正常に戻ったか否かを判定すると共に、受信間隔が正常に戻ったと判定したならば、受信割込ルーチンが起動されるのを許可する。
【0019】
このような本発明の電子制御装置においては、通信相手の装置に異常が生じて、その装置からの通信データの送信間隔が正常な範囲よりも長くなると、通信手段による通信データの受信間隔、延いては、受信割込ルーチンの起動間隔が正常な範囲よりも長くなり、その結果、受信割込ルーチン内の異常モード検出対応処理により、第1種異常が発生したと判定されて、受信処理が中断されることとなる。
【0020】
そして、その後、通信相手の装置からの通信データの送信間隔が正常に戻ると、通信手段による通信データの受信間隔及び受信割込ルーチンの起動間隔が正常な範囲に戻るため、受信割込ルーチンの異常モード検出対応処理により、第1種異常と第2種異常との何れも発生していない(即ち正常である)と判定されて、受信処理の禁止が解除される(即ち受信処理が再開される)こととなる。
【0021】
このため、通信相手の装置からの通信データの送信間隔が正常な範囲よりも長くなって、受信割込ルーチンで第1種異常の発生を検知した場合(即ち、受信間隔が正常な範囲よりも長いと異常判定した場合)には、前述した従来の電子制御装置と同様に、受信間隔が正常に戻ったか否かを判定する正常復帰の判定も、受信割込ルーチンで行われることとなる。
【0022】
一方、本発明の電子制御装置において、通信相手の装置からの通信データの送信間隔が正常な範囲よりも短くなると、通信手段による通信データの受信間隔、延いては、受信割込ルーチンの起動間隔が正常な範囲よりも短くなり、その結果、受信割込ルーチン内の異常モード検出対応処理により、第2種異常が発生したと判定されて、受信処理が中断されると共に、当該受信割込ルーチンの起動が禁止されることとなる。すると、その後は、所定時間毎に起動される定期ルーチンにて、通信手段による通信データの受信間隔が正常に戻ったか否かが判定される。
【0023】
そして、その後、通信相手の装置からの通信データの送信間隔が正常に戻り、上記定期ルーチンにて、受信間隔が正常に戻ったと判定されると、受信割込ルーチンの起動が許可されることとなる。
このため、通信相手の装置からの通信データの送信間隔が正常な範囲よりも短くなって、受信割込ルーチンで第2種異常の発生を検知した場合(即ち、受信間隔が正常な範囲よりも短いと異常判定した場合)には、以後、所定時間毎の定期ルーチンで受信間隔が正常に戻ったと判定されるまでの間、受信割込ルーチンの起動が禁止される。よって、受信割込ルーチンが正常時よりも頻繁に起動されることが防止される。
【0024】
つまり、本発明の電子制御装置では、受信割込ルーチンにて、第1種異常(通信相手からの送信間隔が長くなって、受信間隔が正常な範囲よりも長くなる異常)が発生したと判定した場合には、引き続き、受信割込ルーチンにて、受信間隔が正常に戻ったか否かを判定するが、受信割込ルーチンにて、第2種異常(通信相手からの送信間隔が短くなって、受信間隔が正常な範囲よりも短くなる異常)が発生したと判定した場合には、その受信割込ルーチンの起動を禁止し、以後は、所定時間毎の定期ルーチンにて、受信間隔が正常に戻ったか否かを判定するようにしている。換言すれば、受信間隔が正常時よりも短い第2種異常が発生したと判定した場合にだけ、受信割込ルーチンの起動を禁止して、受信間隔が正常に戻ったか否かを、所定時間毎の定期ルーチンにて判定するようにしている。
【0025】
このため、本発明の電子制御装置によれば、通信データの受信間隔が異常になったことと、その異常が解消されて受信間隔が正常に戻ったこととを、処理負荷を増大させることなく正確に判定することができる。
即ち、まず前述したように、受信割込ルーチンにて第1種異常の発生を検知した場合には、従来の電子制御装置と同様に、受信間隔が正常に戻ったか否かを判定する正常復帰の判定も、受信割込ルーチンで行われることとなるが、この場合、通信データの受信間隔は正常時よりも長くなっているため、受信割込ルーチンが正常時よりも頻繁に起動されることはなく、処理負荷は特に増大しない。
【0026】
そして、受信割込ルーチンによれば、そのルーチンの起動間隔が受信間隔に等しいため、実際の受信間隔を正確に検出することができ、受信間隔が正常に戻ったことを正確に判定することができる。尚、もちろん、受信割込ルーチンによれば、受信間隔が正常な範囲から外れて第1種異常と第2種異常との何れが発生しているのかも、正確に判定することができる。また、受信割込ルーチンの起動間隔(=受信間隔)は、当該ルーチンが前回起動された時刻と今回起動された時刻との差から求めることができ、その各時刻は、フリーランタイマ(フリーランカウンタ)等の一般的な内部時計によって容易に計測することができる。
【0027】
一方、受信割込ルーチンにて第2種異常の発生を検知した場合には、受信割込ルーチンの起動が禁止される。よって、受信割込ルーチンが正常時よりも頻繁に起動されることが防止される。
そして更に、この場合には、受信間隔が正常な範囲よりも短くなっているということが前提条件にあることから、起動周期が比較的長く、その起動周期が正常な受信間隔と同等な定期ルーチンによっても、受信間隔が正常に戻ったか否かを正確且つ容易に判定することができる。
【0028】
具体例を挙げると、請求項2に記載のように、まず、定期ルーチンの起動周期(上記所定時間)を、前記正常な範囲内の値(つまり、正常な受信間隔の下限値から上限値までの間の所定値)に設定しておく。そして、その定期ルーチンでは、当該定期ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間に通信手段が通信データを1回だけ受信したか否かを判定して、通信データを1回だけ受信していれば、受信間隔が正常に戻った(つまり、受信間隔が正常な範囲に戻った)と判定すれば良い。
【0029】
尚、一般に、マイコンのSCIは、1フレーム分の通信データを前回受信してから今回受信するまでの間に、CPUから何等かのアクセスを受けなかった場合には、2重受信であるオーバーランエラーの発生を示すオーバーランエラーフラグを立てる(セットする)ようになっている。このため、そのようなSCIを通信手段として用いれば、定期ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間に通信手段が通信データを1回だけ受信したか否かは、その定期ルーチンにて、上記オーバーランエラーフラグの状態を監視することにより、簡単に判定することができる。
【0030】
以上のように、本発明の電子制御装置によれば、受信間隔が正常な範囲よりも長い異常時と短い異常時とで、受信間隔の正常復帰判定の処理方法を変えており、特に、受信間隔が正常な範囲よりも長い異常時には、引き続き受信割込ルーチンで正常復帰判定を行い、受信間隔が正常な範囲よりも短い異常時には、受信割込ルーチンの起動を禁止して、定期ルーチンで受信間隔の正常復帰判定を行うようにしているため、受信間隔が異常になったことと、受信間隔が正常に戻ったこととを、処理負荷を増大させることなく正確に判定できるようになる。
【0031】
ところで、定期ルーチンにて、受信間隔が正常に戻ったと判定したならば、受信割込ルーチンの起動を許可するだけでなく、請求項3に記載の如く、その時点で通信手段の受信バッファに格納されている通信データを前記記憶手段に転送するようにすれば、受信間隔が正常に戻った後の信頼性の高い受信データを、極力早期に記憶手段へ転送することができ、制御性を向上させることができる。
【0032】
つまり、定期ルーチンで受信間隔が正常に戻ったと判定された後に、通信手段により次の通信データが受信されて、それに伴い起動される受信割込ルーチンで受信処理が行われれば、記憶手段に正常な受信データが転送されることとなるが、それよりも1回前に受信された正常な受信データを記憶手段に転送することができ、その分、最新の受信データを用いた制御をいち早く開始することができるからである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態の車両内通信システム(詳しくは、車両に搭載された電子制御装置間の通信システム)について、図面を用いて説明する。まず図1(A)に示すように、本実施形態の車両内通信システムは、車両に搭載された2つの電子制御装置(以下、ECUという)1a,1bと、これらECU1a,1bを接続する通信線3とから構成されており、例えば、ECU1aは、エンジンを制御するECU(エンジンECU)であり、ECU1bは、トランスミッションを制御するECU(トランスミッションECU)である。
【0034】
そして、ECU1a,1bは、通信線3を介してシリアルデータ通信を行うことにより、エンジン回転数データや車速データといった各種の制御データを互いに共用し、その制御データを用いて各自の制御対象を制御する。尚、以下の説明において、各ECU1a,1bを特に区別しない場合には、ECUの符号として“1”を用いる。
【0035】
また、本実施形態の車両内通信システムにおいて、各ECU1が通信線3を介してやり取りする通信データは、図1(B)に示すように、ローレベルのスタートビットSと、実質的な情報データである8ビットD0〜D7と、ハイレベルのストップビットPと、からなる10ビットを1フレームとしている。
【0036】
次に、図2(A)に示す如く、各ECU1は、他のECU1との通信と制御対象の制御とを司るマイコン5と、マイコン5から出力される通信データを通信線3へと送出すると共に、通信線3上に伝送される通信データをマイコン5へと入力させる通信ドライバ回路7とを備えている。
【0037】
そして、マイコン5は、一般的な構成のものであり、CPU9と、CPU9で実行されるプログラムやそのプログラムの実行時に参照される固定データが格納されたROM11と、CPU9による演算結果等が一時記憶される記憶手段としてのRAM13と、他のECU1(詳しくは、他のECU1のマイコン5)とシリアルデータ通信を行うための通信手段としてのSCI(シリアル通信インターフェース)15と、それらを互いに接続するバス17とを備えている。
【0038】
また、SCI15は、図2(B)に示すように、通信ドライバ回路7から入力される通信データ(即ち受信データ)を内部に取り込むための入力バッファ19と、当該マイコン5が送信しようとしている通信データ(即ち送信データ)を通信ドライバ回路7へ出力するための出力バッファ21と、入力バッファ19によって取り込まれた通信データを1ビットずつ格納する受信用シフトレジスタ23と、その受信用シフトレジスタ23に格納された1フレーム分の通信データが移されると共に、バス17を介してアクセス可能な受信バッファ25と、バス17を介して送信対象のデータが書き込まれる送信バッファ27と、送信バッファ27に格納されたデータが移されると共に、そのデータを1ビットずつシフトして出力する送信用シフトレジスタ29と、入力バッファ19及び出力バッファ21と上記両シフトレジスタ23,29との間に介在して設けられた入出力回路31と、上記各部を制御する制御回路33とを備えている。そして、制御回路33はバス17と接続されている。
【0039】
このようなSCI15においては、入力バッファ19から入力されてきた通信データが入出力回路31に取り込まれる。そして、入出力回路31によりスタートビットSが検出されると、制御回路33が、その入出力回路31から受信用シフトレジスタ23へ、以降のデータビットD0〜D7を、予め決められたボーレートで1ビットずつシフトして出力させ、これにより、スタートビットSから始まる通信データの各ビットを受信用シフトレジスタ23にシフトして格納させていく。そして更に、その後、入出力回路31によりストップビットPが検出されると、制御回路33は、そのストップビットPまでの1フレーム分の通信データを受信用シフトレジスタ23から受信バッファ25に転送させると共に、CPU9に対して受信割込要求を発生し、更に、当該SCI15が1フレーム分の通信データを受信したこと(つまり、受信バッファ25に受信データが格納されていること)を示す受信履歴フラグをセットする(“1”にする)。尚、上記受信履歴フラグは、バス17を介して読み出し可能であると共に、その受信履歴フラグのクリア(“0”にすること)は、ソフトウエアによって行われる。
【0040】
また、制御回路33は、入出力回路31によって検出されたストップビットP(即ち、入出力回路31がスタートビットSを検出してから9ビット目に当たるビット)が正規な値(本実施形態では、ハイレベルに相当する論理1)であるか否かを判定し、ストップビットPが正規な値でなければ、フレーミングエラーの発生を示すフレーミングエラーフラグをセットする。また更に、制御回路33は、1フレーム分の通信データの受信を完了して、その通信データを受信用シフトレジスタ23から受信バッファ25に転送させる時に、受信履歴フラグがセットされたままであったならば、2重受信であるオーバーランエラーの発生を示すオーバーランエラーフラグをセットする。尚、上記フレーミングエラーフラグ及びオーバーランエラーフラグも、バス17を介して読み出し可能であると共に、その各フラグのクリアは、ソフトウエアによって行われる。
【0041】
一方、SCI15において、データの送信時には、ソフトウエアによってRAM13から送信バッファ27に1バイト(=8ビット)の送信対象データD0〜D7が書き込まれる。すると、その送信バッファ27内のデータD0〜D7は、先頭と末尾とに夫々スタートビットSとストップビットPとが付けられた合計10ビットの1フレームの形で送信用シフトレジスタ29に転送される。
【0042】
そして、その送信用シフトレジスタ29に転送された1フレーム分のデータは、制御回路33の制御により、送信用シフトレジスタ29から入出力回路31及び出力バッファ21を介して、スタートビットSを先頭に1ビットずつ通信ドライバ回路7へ出力される。これにより、通信線3への1フレーム分のデータ送信が行われる。
【0043】
以上のように構成された本実施形態の車両内通信システムにおいては、ECU1a,1bのうちの何れかが送信者となり他が受信者となる。そして、送信側のECU1は、1フレーム分の通信データを、予め決められた一定時間毎に(以下、この時間間隔を通信間隔ともいう)且つ同じボーレートで送信する。
【0044】
具体例を挙げると、エンジンECU1aが、エンジン回転数データや車速データなどを情報データD0〜D7として含んだ通信データを、一定時間毎に送信する。そして、トランスミッションECU1bでは、エンジンECU1aからの通信データを受信し、その受信データ(詳しくは、受信した通信データ中の情報データD0〜D7)を、RAM13に転送して制御対象の制御に用いる。例えば、トランスミッションECU1bは、エンジンECU1aからのエンジン回転数データや車速データに応じて、変速制御やセンサの異常検出等を行う。
【0045】
このため、本実施形態の車両内通信システムにおいて、受信側となるECU1は、通信データの受信間隔が予め決められた通信間隔の正常範囲から外れたか否かを判定して、正常範囲から外れたならば、その後、受信間隔が正常に戻ったと判定するまでの間、通信線3から受信したデータをRAM13に転送する受信処理を中断する、といったフェイルセーフ動作を行う。つまり、受信間隔が正常範囲から外れたということは、送信側のECU1に何等かの異常が生じたと考えられるためであり、そのような場合に受信したデータをRAM13に転送してしまうと、信頼性の無いデータを用いて制御対象を制御することとなるからである。
【0046】
そこで次に、上記フェイルセーフ動作を実現するために、ECU1のマイコン5で実行される処理について、図3及び図4のフローチャートを用いて説明する。尚、本実施形態の車両内通信システムでは、どのECU1a,1bも受信側になり得る。そして、以下に説明する処理は、受信側になったECU1のマイコン5で実行されるものである。
【0047】
まず図3は、マイコン5において、前述のSCI15により受信割込要求が発生された時に起動される受信割込ルーチンを表すフローチャートである。
図3に示すように、この受信割込ルーチンの実行が開始されると、まずステップ(以下、「S」と記す)110にて、前述のフレーミングエラーフラグとオーバーランエラーフラグとが何れか一方でもセットされているか否かを判定し、その両フラグの何れか一方でもセットされていれば、受信エラーが発生したとして、S120に進み、そのセットされているフラグをクリアする。
【0048】
そして、S130に進んで、SCI15の受信バッファ25をクリアすると共に、前述の受信履歴フラグをクリアし、当該ルーチンを終了する。
一方、上記S110にて、フレーミングエラーフラグとオーバーランエラーフラグとが両方共にセットされていないと判定した場合には、SCI15にて通信データが正常に受信された(即ち、受信エラーが無い)と判断できるため、S140に移行する。
【0049】
S140では、現在の時刻(現在時刻)から、当該S140の処理を前回実行した時刻(前回時刻)を引くことにより、SCI15による通信データの受信間隔を求める。そして、続くS150にて、今回のS140で用いた現在時刻を、次回のS140で用いる前回時刻として記憶する。尚、現在時刻は、マイコン5に内蔵された周知のフリーランタイマの値によって検出される。
【0050】
つまり、S140及びS150では、当該受信割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの時間間隔(当該受信割込ルーチンの起動間隔)を、通信データの受信間隔として求めている。
そして次に、S160にて、S140で求めた受信間隔が、予め決められた通信間隔の正常範囲の上限値よりも長いか、その正常範囲内か、その正常範囲の下限値よりも短いかを判定する。尚、本実施形態においては、通信間隔のセンター値が5msであり、その通信間隔の正常範囲は4〜6ms(=5ms±20%)であるものとする。
【0051】
そして、受信間隔が正常範囲内であると判定した場合には、S170に進んで、カウンタCntLの値とカウンタCntSの値とを、夫々“0“にクリアし、続くS180にて、第1種異常検出フラグFLと第2種異常検出フラグFSとを、夫々“0”にクリアする。尚、第1種異常検出フラグFLは、受信間隔が正常範囲よりも長い異常(第1種異常)が発生したことを示すフラグであり、第2種異常検出フラグFSは、受信間隔が正常範囲よりも短い異常(第2種異常)が発生したことを示すフラグである。
【0052】
そして更に、続くS190にて、受信バッファ25に格納されている受信データ(詳しくは情報データD0〜D7)をRAM13に転送する受信処理を行い、その後、前述したS130に移行して、受信バッファ25と受信履歴フラグとをクリアした後、当該ルーチンを終了する。
【0053】
これに対し、上記S160にて、受信間隔が正常範囲の上限値よりも長いと判定した場合には、S200に移行する。
S200では、カウンタCntLの値を1インクリメント(+1)し、続くS210にて、そのカウンタCntLの値が所定の判定値NL(本実施形態では3)以上であるか否かを判定する。そして、カウンタCntLの値が判定値NL以上でなければ、そのままS130に移行するが、カウンタCntLの値が判定値NL以上であれば、S220に進んで、第1種異常検出フラグFLをセットし(“1”にし)、その後、S130に移行する。
【0054】
また、上記S160にて、受信間隔が正常範囲の下限値よりも短いと判定した場合には、S230に移行する。
S230では、カウンタCntSの値を1インクリメント(+1)し、続くS240にて、そのカウンタCntSの値が所定の判定値NS(本実施形態では3)以上であるか否かを判定する。そして、カウンタCntSの値が判定値NS以上でなければ、そのままS130に移行するが、カウンタCntSの値が判定値NS以上であれば、S250に進む。
【0055】
そして、S250では、第2種異常検出フラグFSをセットし(“1”にし)、続くS260では、以後の当該受信割込ルーチンの起動が禁止されるように割込ベクタを変更する。つまり、受信割込要求が発生した時に、当該受信割込ルーチンに代えて、何も処理を行わずにリターンするだけのダミールーチンが起動されるようにする。尚、マイコン5の機能として、受信割込要求を内部レジスタの設定によって無効にすることができるのであれば、その内部レジスタの設定により、当該受信割込ルーチンが起動されるのを禁止しても良い。
【0056】
そして、上記S260の処理を行った後、S130に移行する。すると、以後は、SCI15によって受信割込要求が発生されても、当該受信割込ルーチンは起動されなくなる。
尚、本実施形態では、この受信割込ルーチンにおけるS160〜S180及びS200〜S260の処理が、異常モード検出対応処理に相当している。
【0057】
次に、図4は、マイコン5において、所定時間毎に起動される定期ルーチンとしての時間割込ルーチンを表すフローチャートである。尚、本実施形態において、この時間割込ルーチンの起動間隔は、通信間隔の正常範囲(4〜6ms)の下限値と同じ4msに設定されている。よって、以下、この時間割込ルーチンを4ms時間割込ルーチンという。
【0058】
図4に示すように、この4ms時間割込ルーチンの実行が開始されると、まずS310にて、当該ルーチンに割り当てられた処理のうち、通信には直接関係のない他の制御処理(以下、4ms毎の他の制御処理という)を行う。
そして、続くS320にて、第2種異常検出フラグFSがセットされているか否かを判定し、第2種異常検出フラグFSがセットされていなけば、そのままS390に移行して、4ms毎の他の制御処理の残り部分を行い、その後、当該ルーチンを終了する。
【0059】
一方、上記S320にて、第2種異常検出フラグFSがセットされていると判定した場合には、受信割込ルーチンの起動が禁止されている状態であることから、その受信割込ルーチンの代わりに受信間隔が正常に戻ったか否かを判定するため、以下のS330〜S380の処理を行う。
【0060】
即ち、まずS330にて、受信履歴フラグがセットされているか否かを判定し、受信履歴フラグがセットされていなければ、SCI15により通信データが受信されていないことから、そのままS390に移行する。
また、上記S330で受信履歴フラグがセットされていると判定した場合には、当該4ms時間割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間に、SCI15が通信データを少なくとも1回以上受信していることから、S340に進んで、フレーミングエラーフラグとオーバーランエラーフラグとが何れか一方でもセットされているか否かを判定する。
【0061】
そして、フレーミングエラーフラグとオーバーランエラーフラグとが何れか一方でもセットされていたならば、S345に進んで、そのセットされているフラグをクリアし、その後、S380に移行する。そして、このS380にて、受信バッファ25をクリアすると共に、受信履歴フラグをクリアし、その後、S390に進む。
【0062】
これに対し、上記S340にて、フレーミングエラーフラグとオーバーランエラーフラグとが両方共にセットされていないと判定した場合には、S350に進んで、カウンタCntSの値と第2種異常検出フラグFSとを夫々“0”にクリアする。
【0063】
そして、続くS360にて、受信割込ルーチンのS190と全く同様に、受信バッファ25に格納されている受信データをRAM13に転送する受信処理を行う。
そして更に、続くS370にて、図3の受信割込ルーチンが以後起動されるように、割込ベクタを変更する。つまり、割込ベクタを、図3のS260で変更する前の状態に戻して、受信割込ルーチンが起動されるのを許可するのである。尚、受信割込ルーチンの起動が内部レジスタの設定によって無効にされているのであれば、その内部レジスタの値を、受信割込ルーチンが起動されるように設定し直せば良い。
【0064】
そして、上記S370の処理を行った後、S380に進んで、受信バッファ25をクリアすると共に、受信履歴フラグをクリアし、その後、S390で4ms毎の他の制御処理の残り部分を行った後、当該ルーチンを終了する。
この4ms時間割込ルーチンでは、S330とS340の処理により、当該ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの4msの間に、SCI15が通信データを1回だけ受信したか否かを判定するようにしている。
【0065】
つまり、まず、この4ms時間割込ルーチンでは、S330で受信履歴フラグがセットされていると肯定判定すると、必ずS380にて、その受信履歴フラグをクリアする。このため、もし、当該4ms時間割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間に、SCI15が通信データを2回以上受信していたならば、受信履歴フラグだけでなく、オーバーランエラーフラグもセットされることとなり、また、当該4ms時間割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間に、SCI15が通信データを1回だけ受信していたならば、受信履歴フラグだけがセットされることとなる。
【0066】
そして、上記S340にて、フレーミングエラーフラグとオーバーランエラーフラグとが両方共にセットされていないと否定判定した場合(S340:NO)には、受信履歴フラグがセットされており且つオーバーランエラーフラグはセットされていない状態である。
【0067】
よって、その場合には、当該ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの4msの間に、SCI15が通信データを1回だけ受信したと判定することができる。
そして、この4ms時間割込ルーチンでは、上記S340での否定判定により、当該4ms時間割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間にSCI15が通信データを1回だけ受信したことを確認したならば、正常範囲(4〜6ms)よりも短くなっていた受信間隔が正常範囲内に戻ったと判断している。
【0068】
そして更に、S340で否定判定した場合には、SCI15で受信された受信データにフレーミングエラーも無いため、S360にて、SCI15の受信バッファ25から、その正常な受信データをRAM13へ転送し、更にS370にて、それまで禁止されていた受信割込ルーチンの起動を許可するようにしている。
【0069】
以上のような本実施形態のECU1では、送信側のECUに異常が生じて、そのECUからの送信間隔が正常範囲より長くなると、図5に示すように、マイコン5のSCI15が1フレーム分の通信データを受信するタイミング(受信タイミング)の間隔である受信間隔及び受信割込ルーチンの起動間隔が、正常範囲(4〜6ms)よりも長くなる。尚、図5では、時刻t1〜時刻t2までの間、受信間隔が正常範囲より長くなっている。
【0070】
すると、受信割込ルーチンでは、S160の判定処理により、受信間隔が正常範囲の上限値よりも長い第1種異常が発生したと判定されるようになり、S190での受信処理が行われなくなる。
そして更に、受信割込ルーチンにて、S160の判定処理により、第1種異常が発生したと判定されるようになると、図5における時刻t1〜時刻t2の期間内に示す如く、SCI15により通信データが受信されて受信割込ルーチンが起動される毎に、カウンタCntLの値が1ずつ増加される(S200)。そして、カウンタCntLの値が判定値NL(=3)以上になると(S210:YES)、第1種異常が発生したという異常判定が確定されて、第1種異常検出フラグFLがセットされる(S220)。尚、この第1種異常検出フラグFLは、図示しない他の処理によって参照され、例えば、そのフラグFLがセットされている継続時間から、通信線3の断線などが検出される。
【0071】
その後、送信側のECUからの通信データの送信間隔が正常範囲に戻って、図5の時刻t2以降に示す如く、SCI15による通信データの受信間隔及び受信割込ルーチンの起動間隔が正常範囲に戻ると、受信割込ルーチンでは、S160の判定処理により、受信間隔が正常範囲内であると判定(即ち、正常に戻ったと判定)されるようになり、S190での受信処理が再び行われるようになる。尚、この時、カウンタCntLの値と第1種異常検出フラグFLは、S170とS180の処理によってクリアされる。
【0072】
一方、本実施形態のECU1において、送信側のECUに異常が生じて、そのECUからの送信間隔が正常範囲より短くなると、図6に示すように、SCI15による通信データの受信間隔及び受信割込ルーチンの起動間隔が、正常範囲(4〜6ms)よりも短くなる。尚、図6では、時刻t3〜時刻t5までの間、受信間隔が正常範囲より短くなっている。
【0073】
すると、受信割込ルーチンでは、S160の判定処理により、受信間隔が正常範囲の下限値よりも短い第2種異常が発生したと判定されるようになり、S190での受信処理が行われなくなる。
そして更に、受信割込ルーチンにて、S160の判定処理により、第2種異常が発生したと判定されるようになると、図6における時刻t3〜時刻t4の期間内に示す如く、SCI15により通信データが受信されて受信割込ルーチンが起動される毎に、カウンタCntSの値が1ずつ増加される(S230)。そして、図6の時刻t4に示す如く、カウンタCntSの値が判定値NS(=3)に達すると(S240:YES)、第2種異常が発生したという異常判定が確定されて、第2種異常検出フラグFSがセットされると共に(S250)、それ以後の受信割込ルーチンの起動が禁止される(S260)。
【0074】
このようにして第2種異常検出フラグFSがセットされると、その後は、4ms時間割込ルーチンにて、S330〜S380の処理(以下、通信処理という)が実行され、この通信処理により、SCI15による通信データの受信間隔が正常に戻ったか否かが判定される。
【0075】
そして、その後、送信側のECUからの通信データの送信間隔が正常範囲に戻って、図6の時刻t5以降に示す如く、SCI15による通信データの受信間隔が正常範囲に戻り、SCI15が、4ms時間割込ルーチンの起動間隔内に通信データを1回だけ受信するようになると、図6の時刻t6に示す如く、4ms時間割込ルーチンにおける上記通信処理にて、受信間隔が正常に戻ったと判定され(S340:NO)、カウンタCntSの値と第2種異常検出フラグFSとがクリアされると共に(S350)、その時点で受信バッファ25に格納されている最新且つ正常な受信データがRAM13に転送され(S360)、更に、受信割込ルーチンの起動が許可される(S370)。
【0076】
よって、以後は、SCI15にて通信データが受信される毎に、再び受信割込ルーチンが起動されるようになり、その受信割込ルーチンにて、S190の受信処理が行われることとなる。また、第2種異常検出フラグFSがクリアされると、4ms時間割込ルーチンでは、上記S330〜S380の通信処理が再び実行されなくなる。
【0077】
以上詳述したように、本実施形態のECU1では、受信間隔が正常範囲よりも長い異常時と短い異常時とで、受信間隔の正常復帰判定の処理方法を変えており、特に、受信間隔が正常範囲よりも長い第1種異常の検出時には、引き続き受信割込ルーチンで正常復帰判定を行い、受信間隔が正常範囲よりも短い第2種異常の検出時には、受信割込ルーチンの起動を禁止して、起動周期が正常な受信間隔と同等な4ms時間割込ルーチンにより、受信間隔の正常復帰判定を行うようにしている。
【0078】
よって、通信データの受信間隔が異常になったことと、その異常が解消されて受信間隔が正常に戻ったこととを、マイコン5での処理負荷を増大させることなく正確に判定することができる。
即ち、受信割込ルーチンにて第1種異常の発生を検知した場合(受信間隔が正常範囲よりも長いと異常判定した場合)には、通信データの受信間隔が正常時よりも長くなっているため、そのまま受信割込ルーチンで正常復帰判定を行っても、その受信割込ルーチンが正常時よりも頻繁に起動されることはなく、処理負荷は特に増大しない。そして、受信割込ルーチンによれば、そのルーチンの起動間隔が受信間隔に等しいため、受信間隔を正確に検出することができ、受信間隔が正常に戻ったことを正確に判定することができる。もちろん、受信割込ルーチンによれば、受信間隔が正常範囲から外れて第1種異常と第2種異常との何れが発生しているのかも、正確に判定することができる。
【0079】
また、受信割込ルーチンにて第2種異常の発生を検知した場合(受信間隔が正常範囲よりも短いと異常判定した場合)には、受信割込ルーチンの起動が禁止されるため、受信割込ルーチンが正常時よりも頻繁に起動されることが防止される。そして特に、この場合には、受信間隔が正常な範囲よりも短くなっているということが分かっているため、起動周期が正常な受信間隔と同等な4ms時間割込ルーチンによって、受信間隔が正常に戻ったか否かを正確に判定することができる。つまり、4ms時間割込ルーチンにて、受信履歴フラグとオーバーランエラーフラグとを監視し、当該ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間にSCI15が通信データを1回だけ受信したか否かを確認するだけで、受信間隔が正常に戻ったか否かを正確に判定することができる。このため、受信間隔が正常範囲より短くなり、受信割込ルーチンにて第2種異常の発生を検知した場合にも、マイコン5での処理負荷が増大することはない。
【0080】
一方更に、本実施形態のECU1では、4ms時間割込ルーチンにて、受信間隔が正常に戻ったと判定したならば(S340:NO)、受信割込ルーチンの起動を許可するだけでなく、その時点でSCI15の受信バッファ25に格納されている通信データをRAM13に転送するようにしている(S360)。
【0081】
このため、受信間隔が正常に戻った後の信頼性の高い受信データを、極力早期にRAM13へ転送することができ、制御性を向上させることができる。
つまり、4ms時間割込ルーチンで受信間隔が正常に戻ったと判定された後に、SCI15により次の通信データが受信されて、それに伴い起動される受信割込ルーチンでS190の受信処理が行われれば、RAM13に正常な受信データが転送されることとなるが、それよりも1回前に受信された正常な受信データをRAM13に転送することができ、その分、最新の受信データを用いた制御をいち早く開始できるからである。
【0082】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、 上記実施形態では、定期ルーチンとしての時間割込ルーチンの起動間隔を、受信間隔(通信間隔)の正常範囲の下限値に設定したが、そのルーチンの起動間隔は、受信間隔の正常範囲内の値であれば良い。但し、上記実施形態の如く正常範囲の下限値に設定すれば、受信間隔が正常範囲よりも短くなってから正常範囲内に復帰したことを、いち早く検知し易くなるという点で有利である。
【0083】
また、上記実施形態のECU1は、車両内通信システムを構成するものであったが、本発明は、車両用以外のECUに対しても全く同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の車両内通信システムを説明する説明図であり、(A)はそのシステムの構成を表し、(B)は通信データのフォーマットを表している。
【図2】 実施形態の電子制御装置(ECU)の構成を説明する説明図である。
【図3】 電子制御装置のマイコンで実行される受信割込ルーチンを表すフローチャートである。
【図4】 電子制御装置のマイコンで実行される4ms時間割込ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】 受信間隔が正常範囲よりも長くなった場合の作用を説明するタイムチャートである。
【図6】 受信間隔が正常範囲よりも短くなった場合の作用を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
1,1a,1b…ECU(電子制御装置)、3…通信線、5…マイコン(マイクロコンピュータ)、7…通信ドライバ回路、9…CPU、11…ROM、13…RAM、15…SCI(シリアル通信インターフェース)、17…バス、19…入力バッファ、21…出力バッファ、23…受信用シフトレジスタ、25…受信バッファ、27…送信バッファ、29…送信用シフトレジスタ、31…入出力回路、33…制御回路

Claims (3)

  1. 通信相手の装置と通信線を介して接続されると共に、
    前記通信相手の装置から一定時間毎に送信される1フレーム分の通信データを受信して受信バッファに格納する毎に、受信割込要求を発生する通信手段を備え、
    前記受信割込要求に応じて起動される受信割込ルーチンにて、前記通信手段の受信バッファから所定の記憶手段へ前記通信データを転送する受信処理を行い、
    更に、前記記憶手段内のデータを用いて制御対象を制御するように構成された電子制御装置において、
    前記受信割込ルーチンでは、
    当該受信割込ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの時間間隔に基づいて、前記通信手段による前記通信データの受信間隔が正常な範囲よりも長い異常(以下、第1種異常という)が発生したか否かと、前記受信間隔が正常な範囲よりも短い異常(以下、第2種異常という)が発生したか否かとを判定すると共に、前記第1種異常が発生していると判定した場合には、当該受信割込ルーチンにて前記受信処理が行われるのを禁止し、前記第2種異常が発生していると判定した場合には、当該受信割込ルーチンにて前記受信処理が行われるのを禁止すると共に、以後当該受信割込ルーチンが起動されるのを禁止する異常モード検出対応処理が行われるようになっており、
    更に、前記異常モード検出対応処理により前記受信割込ルーチンの起動が禁止されている場合には、予め定められた所定時間毎に起動される定期ルーチンにて、前記通信手段による前記通信データの受信間隔が正常に戻ったか否かを判定すると共に、前記受信間隔が正常に戻ったと判定したならば、前記受信割込ルーチンが起動されるのを許可すること、
    を特徴とする電子制御装置。
  2. 請求項1に記載の電子制御装置において、
    前記定期ルーチンの起動周期は、前記正常な範囲内の値に設定されていると共に、
    前記定期ルーチンでは、当該定期ルーチンが前回起動されてから今回起動されるまでの間に前記通信手段が前記通信データを1回だけ受信したか否かを判定して、前記通信データを1回だけ受信していれば、前記受信間隔が正常に戻ったと判定すること、
    を特徴とする電子制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子制御装置において、
    前記定期ルーチンにて、前記受信間隔が正常に戻ったと判定したならば、前記受信割込ルーチンが起動されるのを許可すると共に、その時点で前記通信手段の受信バッファに格納されている通信データを前記記憶手段に転送すること、
    を特徴とする電子制御装置。
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