JP4463702B2 - 伸縮性コラーゲン成形体、その製造方法および用途 - Google Patents

伸縮性コラーゲン成形体、その製造方法および用途 Download PDF

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Description

本発明はゴム様の物性を有する伸縮性コラーゲン成形体およびその製造方法に関する。さらに詳しく言えば、特に魚類由来のコラーゲン線維を架橋してなるゲルを熱処理することにより得られる伸縮性コラーゲン成形体、その製造方法およびそれを用いた細胞担体および医療用材料に関する。
コラーゲンは、少なくとも部分的に螺旋構造(コラーゲン螺旋)を有するタンパク質または糖タンパク質として定義される。これは、3本のポリペプチド鎖から形成される3重螺旋で、分子量10万程度の各ポリペプチド鎖にはグリシン残基が3個目ごとに、またその他のアミノ酸残基としてプロリン残基、ヒドロキシプロリン残基が高頻度に現れる。コラーゲンは無脊椎動物あるいは脊椎動物の組織、特に皮膚から多く抽出することができる。コラーゲン分子には構造の違いによって19種類の型の存在が報告されており、さらに同じ型に分類されるコラーゲンにも数種類の異なる分子種が存在する場合がある。
中でも、I、II、III型およびIV型コラーゲンが主にバイオマテリアルの原料として用いられている。I型はほとんどの結合組織に存在し、生体内に最も多量に存在するコラーゲン型である。特に腱、真皮および骨に多く、工業的にはコラーゲンはこれらの部位から抽出される場合が多い。II型は軟骨を形成するコラーゲンである。III型は少量ではあるがI型と同様の部位に存在することが多い。IV型は基底膜を形成するコラーゲンである。I、IIおよびIII型はコラーゲン線維として生体内に存在し、主に組織あるいは器官の強度を保つ役割をはたしている。IV型は線維形成能力を有しないが、4分子で構成される網目状会合体を形成し、基底膜における細胞分化に関与しているとされる。本明細書において、以下コラーゲンという呼称はI、II、III型あるいはそれら2種類以上の混合物を示すこととする。
コラーゲン線維は上記コラーゲン分子の自己集合体であり、コラーゲン分子が直列かつ並列にパッキングされた特異的な線維構造を有する。工業的には酸、アルカリ、あるいはタンパク質分解酵素を用いて組織内コラーゲン線維から可溶化されたコラーゲンが製造される。
可溶性コラーゲンは、コラーゲン分子が数分子以下の集合体にまで微細化されていて、水あるいは塩水溶液に溶解して均一な透明溶液を形成する。一度可溶化されたコラーゲン分子は条件次第では試験管内でコラーゲン線維を再形成することが知られている。この現象は線維化(fibril formationあるいはfibrillation)と呼ばれ、その性質についてはBiochemical Journal 316, p1〜11(1996)(非特許文献1)に詳細に記載されている。
コラーゲンに熱を加えるとコラーゲンの三重螺旋構造がほぐれ、それぞれのポリペプチド鎖がランダムコイル状の熱変性物を与える。そのような構造変化を起こす温度は変性温度と呼ばれ、熱変性物はゼラチンと呼ばれる。ゼラチンはコラーゲンに比べ水溶性が高い他に、生体内プロテアーゼに対する感受性が高いことが知られている。溶媒の条件によってはゼラチンがコラーゲン螺旋構造を部分的に回復することが知られている。ゼラチンはコラーゲン線維形成能を失っているが、部分的にコラーゲン螺旋構造を回復させることでコラーゲン線維形成能を回復できることが知られている。
コラーゲンの変性温度は溶液状態の時に最も低くなる。また、コラーゲンは一般に生物原料から得られるが、生物から得たコラーゲンの変性温度はその生物の生活環境温度と密接に関係していると言われる。水溶液でのコラーゲンの変性温度は、哺乳類では38℃前後であるが、魚類はおおむね哺乳類よりも低く、特に鮭等の寒流系の魚類では20℃を下回る場合もある。
コラーゲンは、細胞の接着や増殖を促す、抗原性が低い、生体親和性が高い、生分解性である、などの多くの優れた性質から、細胞実験用材料および医療用材料など様々な用途に有効に使用されている。コラーゲンがこれらの目的で使用される場合、綿状物、フィルム、スポンジ、ゲルなど用途に応じて種々の形態で使用される。例えば、止血剤としては綿状物およびフィルム、人工皮膚としてはスポンジ、細胞実験用材料としてはゲルが主に好ましい形態として用いられている。しかし、これらコラーゲン材料は一般的に含水状態で脆く伸縮性に乏しいため、細胞実験用材料や医療用材料への応用が制限される場合があった。
例えば、近年、通常の静的培養系(in vitro)での細胞の特性が生体内での力学的刺激を受ける系と多くの点で異なることが指摘されるに至り、簡便に力学的刺激を与える細胞実験装置の要望が高まっている。このような細胞実験装置には細胞接着性と伸縮性をあわせ持つ細胞担体が必要とされ、例えば細胞接着タンパク質であるフィブロネクチンをコートしたシリコーン膜が用いられている(Am J Physiol 274(5 Pt 2), H1532-1538 (1998):非特許文献2)。しかし、多くの細胞は生体内でコラーゲンを主な足場としており、そのような細胞に対して生体内擬似環境を与えるためにはコラーゲンを用いて細胞担体を作製することが好ましい。しかし、従来のコラーゲン材料は伸縮性に乏しく、力学的刺激を与える細胞実験装置への適用は困難であった。
例えば、人工皮膚については、創傷部において治癒に適した環境を付与して組織修復を促進するためにコラーゲンスポンジが好ましく用いられている。しかし、コラーゲンスポンジは伸縮性に乏しく、関節部およびその近傍の創傷部への適用においてはコラーゲンスポンジが破れる場合があった。また、創傷部へ適用する際の縫合に耐えうる強度がコラーゲンスポンジ自体に不足しているため、合成高分子を組み合わせる(特開2001-104346号公報:特許文献1)等の手間がかかるという問題があった。また、創傷部の治癒に伴い合成高分子を取り除く必要があるが、その際、治癒部に再度損傷を与えてしまう場合があった。
例えば、人工血管については、生体適合性、抗血栓性を考慮して、平滑筋を含有し、内皮細胞の層を内腔面上に形成できるような平滑な内腔面を有する、人工的な筒状物質を形成したハイブリッド型人工血管モデルが提唱されている。
このようなモデルとして、具体的には、平滑筋を混合させたゲル状のコラーゲンを筒状構造体に成型するモデルが提唱されている(Science 231, p397-400 (1986):非特許文献3、ASAIO journal p383-388 (1994):非特許文献4)。このモデルによれば、短時間で平滑な内腔面を有する人工血管を形成することができる。しかしながら、このような筒状構造体は脆弱であるため、作製直後はピンセットで持ち上げることができないほどに強度が低く、生体内に存在する力学的な環境に耐えることができないという問題があった。
そこで、比較的高い機械的強度を有する生分解性または非生分解性の筒状の構造体に平滑筋細胞を含有させた培養溶液を直接播種させ、これによって内腔面が平滑になるまで培養させた後に内皮細胞を播種させるモデルも提唱されている(特開2001-78750号公報:特許文献2)。これらモデルによれば、機械的強度に優れ、動脈レベルの人工血管としても耐えられるものである。しかしながら、生分解性または非生分解性の筒状構造体は、疎水性が強く、細胞の接着、および増殖が著しく悪いことが知られている。このため、平滑な内腔面を形成するまで筒状構造体内の平滑筋細胞を培養させるのに数ヶ月という長い培養時間を要するという問題があった。これは、人工血管を必要とする患者の状況を考慮すると実用的なものであるとはいえなかった。また、当該モデルによれば、その低い伸縮性ゆえに、移植後に自己の血管との間で摩擦が生じて、結合部に切れ目が生じ、血液が漏れる恐れがあるという問題もあった。
コラーゲン成形体に伸縮性と高い機械強度を同時に付与できれば、上述の問題点が解決されることが期待されるが、そのような特性を有するコラーゲン成形体およびその製造方法は、いまだ開示されていない。
さらに、従来コラーゲン材料の原料となるコラーゲンは、そのほとんどが牛皮など家畜の組織から採取されているが、近年、BSE(牛海綿状脳症)問題が顕在化し、牛皮由来を含む家畜由来の原料を用いたコラーゲン製品により、人間に対して病原体が感染する危険性を潜在的に指摘されるに至った。そこで安全性と資源量等の観点から、魚類由来コラーゲンが化粧品材料および食品材料として俄に脚光を浴び、コラーゲンゲルの原料として変性温度の低い魚類由来コラーゲンを用いることが重要になりつつある。しかし、魚類由来コラーゲンは、危険性が低い反面、変性温度が低いために材料としての熱安定性が不十分な場合が多いため、細胞担体や医療用材料の原料としては家畜由来コラーゲンに比べ不利であると考えられている。
以上に述べた従来のコラーゲン成形体おける伸縮性不足あるいは強度不足などの問題点は、一般的な家畜由来コラーゲン成形体の細胞担体あるいは医療用材料への幅広い応用を制限してきた。さらに、少なくとも37℃での熱安定性が必要な医療用材料を魚類由来コラーゲンから製造する方法としては不十分であった。
Biochemical Journal 316, p1〜11 (1996) Am J Physiol 274(5 Pt 2), H1532-1538 (1998) Science 231, p397-400 (1986) ASAIO journal p383-388 (1994) 特開2001-104346号公報 特開2001-78750号公報
従って、本発明は、細胞担体および医療用材料として幅広く使用し得る、優れた伸縮性、機械強度を有する、特に魚類由来のコラーゲン成形体およびその製造方法の提供を目的とする。
従来のコラーゲン成形体は伸縮性や機械強度が不十分であり、用途によっては細胞担体あるいは医療用材料として使用が困難である場合がある。また、少なくとも37℃での熱安定性が必要な医療用材料を魚類由来コラーゲンから製造する方法としては不十分である。
本発明者らは、前記問題点を改善すべく鋭意研究を重ねた結果、架橋剤により架橋されたコラーゲン線維からなるゲルを熱処理することで、従来の方法では困難であった伸縮性と高い機械強度をあわせ持つコラーゲン成形体の製造に成功した。また、これが細胞担体および医療用材料として極めて有用であることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は下記のコラーゲン成形体およびその製造方法、およびそのコラーゲン成形体を用いた細胞担体および医療用材料を提供する。
1.伸縮性コラーゲン成形体。
2.コラーゲンが魚類から得られたものである前記1に記載の伸縮性コラーゲン成形体。
3.架橋剤により架橋された前記1または2に記載の伸縮性コラーゲン成形体。
4.架橋剤が水溶性カルボジイミドである前記3に記載の伸縮性コラーゲン成形体。
5.架橋剤により架橋されたコラーゲン線維からなるゲルを熱処理する工程を含む伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
6.ラーゲン溶液に対し、線維化を惹起させる溶媒と架橋剤溶液とを混合してゲルを製造する工程を含む前記5に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
7.コラーゲンの線維化途上に線維同士を架橋剤により架橋することによってゲルを製造する工程を含む前記5または6に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
8.魚類から得られたコラーゲンを使用する前記5乃至7のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
9.線維化を惹起させる溶媒が、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩およびTrisから選ばれる緩衝能を有する塩水溶液である前記6に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
10.架橋剤として水溶性カルボジイミドを線維化を惹起させる溶媒に溶かした溶液を使用する前記6に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
11.コラーゲン溶液のコラーゲン濃度が0.01〜3.0(w/v)%の範囲である前記6に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
12.用いられる架橋剤の濃度が、熱処理前のコラーゲンゲルにおける架橋剤終濃度として15mM〜80mMの範囲である前記6に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
13.コラーゲン溶液と線維化を惹起させる溶媒および架橋剤溶液との混合を、コラーゲンの変性温度+5℃以下の温度で行う前記7に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
14.コラーゲン溶液と線維化を惹起させる溶媒および架橋剤溶液とを混合した後、コラーゲンの変性温度+5℃以下の温度で少なくとも1時間インキュベートしてゲルを得る、前記7に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
15.熱処理温度が30〜200℃の温度である前記5乃至14のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
16.前記5乃至14のいずれか1項に記載の方法で製造された伸縮性コラーゲン成形体。
17培養細胞に伸縮刺激を与えるための細胞担体として用いられる前記1乃至4および前記16のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体。
18.前記1乃至4および前記16のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる細胞担体または医療用材料。
19.前記1乃至4および前記16のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる人工血管用基材。
20.前記1乃至4および前記16のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる美容整形用皮下埋め込みコラーゲン。
21.前記1乃至4および前記16のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる人工腱用基材。
22.前記1乃至4および前記16のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる人工硬膜。
発明の実施の形態
本発明の方法によって得られるコラーゲン成形体は、コラーゲンの細胞接着性を損なうことなく優れた伸縮性および機械強度が付与されている。このため、従来のコラーゲン成形体では伸縮性の不足あるいは機械強度の不足により困難であった用途への応用が期待できるほか、変性温度の低い魚類由来コラーゲンを原料にすることが可能である。
本発明は、架橋剤により架橋されたコラーゲン線維からなるゲルを熱処理することにより、優れた伸縮性および機械強度をあわせ持つゴム様コラーゲン成形体の製造方法およびそのコラーゲン成形体を提供することを要旨とする。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるコラーゲンは、線維化能を有するものであればその型について特に限定されるものではないが、工業的な利用という観点から、収量の多いI型コラーゲンあるいはそれを主成分とするコラーゲンが好ましい。
本発明に用いられるコラーゲンは、線維化能を有するものであればその分子構造について特に限定されるものではない。コラーゲン分子の両末端に存在する非螺旋領域(テロペプチド)は抗原性を有するという報告がある。用途によっては除去されるべき場合があるが、線維化能を有する限りはテロペプチドが除去されていても除去されていなくても構わない。
本発明に用いられるコラーゲンは、線維化能を有するものであればその変性について特に限定されるものではない。一度変性させたコラーゲンでも、部分的にコラーゲン螺旋構造を回復し、線維化能を回復することが知られている。本発明を達成するには、線維化能の観点から、螺旋率(%)が50以上であることが好ましい。上記螺旋率(%)とはJournal of Food Chemistry 60, p1233 (1995)に記載されている螺旋回復率(%)と同義である。すなわち、旋光度計で測定した比旋光度より求めた螺旋回復率(%)のことを示す。
本発明に用いられるコラーゲンは、線維化能を有するものであればその由来について特に限定されるものではないが、資源量およびコラーゲン収率の観点から脊椎動物の真皮に由来するコラーゲンが好ましく用いられる。なかでも、BSE等の病原体を保有する可能性が家畜よりも潜在的に低い魚類真皮コラーゲン、例えば、鮭皮、サメ皮、マグロ皮、タラ皮、カレイ皮等、特に好ましくは鮭皮が用いられる。
本発明におけるコラーゲン線維とは、文献(Journal of Agricultural Food Chemistry 48, p2028〜2032 (2000))の走査型電子顕微鏡写真に示されているような糸状構造のことを意味する。
本発明に用いられる架橋剤は、タンパク質を架橋でき、水溶性を有するものであれば特に限定されるものではない。タンパク質の架橋剤については、文献(Biomaterials 18, p95〜105(1997))に詳細に記載されている。中でも、アルデヒド系、カルボジイミド系、エポキシド系およびイミダゾール系架橋剤が経済性、安全性および操作性の観点から好ましく用いられる。特に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド・スルホン酸塩などの水溶性カルボジイミドを後述の線維化を惹起させる溶媒に溶かした溶液として使用することが好ましい。
本発明に用いられる架橋剤が水溶性カルボジイミドの場合、N−ヒドロキシコハク酸イミドを共存させることで架橋効率を高めることができる。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法は、架橋剤により架橋されたコラーゲン線維からなるゲルを熱処理する工程を特徴としている。架橋剤により架橋されたコラーゲン線維からなるゲルを作製するための具体的方法としては、以下の4つの方法が挙げられる。
A.コラーゲン溶液と線維化を惹起させる溶媒を混合してコラーゲン線維からなるゲルを作製した後、当該ゲルを架橋剤溶液に浸漬して架橋する方法。
B.コラーゲン溶液に対し、線維化を惹起させる溶媒を用いた架橋剤の溶液を混合する方法。
C.コラーゲン溶液に対し、線維化を惹起させる溶媒を混合し、それと同時あるいはその後に架橋剤溶液を加える方法。
D.コラーゲン溶液に対し、架橋剤溶液を加え、その後線維化を惹起させる溶媒を混合する方法。
これらの方法により、架橋が導入されたコラーゲン線維からなるコラーゲンゲルが作製される。
特に方法B〜Dにより、コラーゲン線維表面だけでなくコラーゲン線維内にも架橋が導入されるため、優れた伸縮性と機械強度を有するコラーゲン成形体を与えるコラーゲンゲルが製造される。操作性の観点から、Bの方法によりコラーゲンゲルを製造することが特に好ましい。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの製造に用いられるコラーゲン溶液のpHは、コラーゲン原料の製造方法に応じて変わる。コラーゲンは主に、酸性水溶液で抽出される酸可溶化コラーゲンと、アルカリ水溶液で抽出されるアルカリ可溶化コラーゲンに分けられる。本発明に用いられるコラーゲン溶液が酸可溶化コラーゲン溶液の場合、そのpHは2.0〜6.0の間であることが好ましい。pHが2.0よりも低い場合、コラーゲン分子が加水分解を受ける場合があり好ましくない。pHが6.0よりも高い場合、コラーゲンが十分に可溶化されない場合があり好ましくない。一方、本発明に用いられるコラーゲン溶液がアルカリ可溶化コラーゲン溶液の場合、pHは5.5〜10の間であることが好ましい。pHが5.5よりも低い場合、コラーゲンが十分に可溶化されない場合があり好ましくない。pHが10よりも高い場合、コラーゲン分子が加水分解を受ける場合があり好ましくない。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの製造に用いられるコラーゲン溶液の溶媒としては、酸性溶媒の場合、最終用途から見て安全で、工業用として広く使用されている水、あるいは塩酸、酢酸、クエン酸、フマル酸等の水溶液が望ましい。中性〜アルカリ性の場合、上記と同様の理由から、水、あるいはリン酸塩、酢酸塩、Tris等の水溶液が望ましい。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの製造に用いられるコラーゲン溶媒の溶質濃度としては、用いられるコラーゲンが可溶化されるpHを溶媒に付与できれば特に限定されるものではない。しかし、溶質濃度が高すぎると、溶質によっては目的範囲のpHを付与できない場合、コラーゲンの線維化を阻害する場合、あるいは得られるゲルの細胞接着性などの物性を阻害する場合があり好ましくない。好ましくは1.0M以下であり、より好ましくは0.50M以下である。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの製造に用いられるコラーゲン溶液には、熱安定性の高いコラーゲンゲルを得るという本発明の効果を阻害しない範囲であれば、コラーゲンゲルの機能をさらに高めるべく種々の機能性物質を加えることができる。具体的には、細胞増殖因子などの機能性タンパク質、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ乳酸、β1−3グルカン、キチン、あるいはキトサンなどの機能性多糖類が挙げられる。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの製造に用いられるコラーゲン溶液のコラーゲン濃度としては、コラーゲンの溶解性、溶液の粘性あるいはゲルの物性の観点から0.01〜3.0(w/v)%の範囲であることが好ましい。濃度が0.01(w/v)%よりも低い場合、ゲルの強度が不足する場合があり好ましくない。濃度が3.0(w/v)%よりも高い場合、コラーゲン溶液の粘性が高すぎてゲルの製造が困難になる場合があり好ましくない。好ましくは0.05〜2.0(w/v)%の範囲である。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの製造に用いられる架橋剤の濃度としては、架橋剤溶液の濃度よりもむしろコラーゲンゲルにおける架橋剤終濃度が重要である。架橋度および架橋速度の観点から、終濃度として15mM〜80mMの範囲であることが好ましい。架橋剤の終濃度が15mMよりも低い場合、架橋度が不足して、コラーゲン成形体の伸縮性および機械強度が低下する場合があり好ましくない。架橋剤の終濃度が80mMよりも高い場合、架橋剤の共存によるコラーゲン線維化の阻害が顕著になり、コラーゲン成形体の伸縮性および機械強度が低下する場合があり好ましくない。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの製造に用いられるコラーゲンの線維化を惹起する溶媒としては、特に限定されるものではない。しかし、細胞担体あるいは医療材料などの最終用途を考慮すれば、細胞毒性が無いかあるいは低く、工業用として広く使用されているリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、Tris等の緩衝能を有する塩水溶液が用いられることが好ましい。コラーゲンの線維化に適するpHは、コラーゲンの種類によって変化するがpH5〜9の範囲である場合が多く、その範囲で高い緩衝能を有するリン酸塩が特に好ましく用いられる。該溶媒の溶質濃度については、上述のコラーゲンゲルの製造に用いられるコラーゲン溶液の溶媒の溶質濃度に準ずる。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲン溶液と線維化を惹起させる溶液あるいは架橋剤溶液と混合する操作は、これらの溶液温度を、変性温度を大きく超えない温度に保って行われる。特に混合後の溶液温度が重要である。混合溶液の温度がコラーゲンの変性温度を大きく超える場合、架橋反応は起こるもののコラーゲンが変性して線維化能を減じ、得られるコラーゲン成形体の伸縮性が損なわれる場合があり好ましくない。好ましくは使用するコラーゲンの変性温度+5℃以下であり、より好ましくは使用するコラーゲンの変性温度以下である。
上記のコラーゲンの変性温度は、Journal of Food Chemistry 60, p1233(1995)に記載されている、コラーゲン溶液を段階的に加温した場合のコラーゲン溶液の旋光度変化から決定される値である。
コラーゲン溶液に対して線維化および架橋を生じさせる各種溶液を混合する操作において、これらの溶液を混合する方法としては特に限定されるものではないが、線維化による溶液のゲル化によって溶液の流動性が失われる前に、できるだけ均一に混合することが好ましい。容器内に混合溶液を入れて手作業あるいはシェーカーで容器を振る方法、マグネティックスターラーあるいは羽根付き撹拌棒などを用いて機械的に溶液を撹拌する方法が好ましく用いられる。
コラーゲン溶液に対して線維化および架橋を生じさせる各種溶液を混合した後、線維化と架橋反応を十分に起こすために混合溶液をインキュベートする。インキュベート時間としては、高いゲル強度あるいは熱安定性を付与するという観点から、少なくとも1時間以上であることが望ましい。インキュベート温度は、コラーゲンの変性を防ぐという観点から、好ましくはコラーゲンの変性温度+5℃以下であり、より好ましくはコラーゲンの変性温度以下である。
以上の方法により得られる架橋剤により架橋されたコラーゲン線維からなるゲルを熱処理すると、ゲルが熱により収縮し、本発明の伸縮性コラーゲン成形体が得られる。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの熱処理温度は30〜200℃の温度で行われる。30℃未満ではコラーゲンゲルから伸縮性コラーゲン成形体への改質が成されない。温度が高くなるにつれて改質に要する時間が短くなるが、温度が高すぎるとコラーゲンが溶解し、得られるコラーゲン成形体の物性が悪化する場合がある。好ましくは40〜150℃の範囲であり、より好ましくは50〜100℃の範囲である。
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの熱処理時間(x)は熱処理温度によって変わり、t≦−14x+200(t:熱処理温度(℃)、x:熱処理時間(時間))の条件を満たす範囲で行われる。t>−14x+200ではコラーゲンが溶解し、得られるコラーゲン成形体の物性が悪化する場合がある。好ましい熱処理時間はt≦−14x+114の条件を満たす時間(x)である
本発明の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法において、コラーゲンゲルの熱処理方法としては、コラーゲン成形体を乾燥させずに目的の温度を付与できれば特に限定されるものではないが、加熱されるコラーゲンゲルのほとんどは水であるため、水溶液中あるいは湿式オーブンで加熱することが好ましい。乾式オーブン等で加熱するとコラーゲン成形体が乾燥して伸縮性が損なわれる場合がある。
以上の方法により得られた伸縮性コラーゲン成形体の機械強度や熱安定性を更に向上させるために、追加の架橋を行うことができる。追加の架橋は、伸縮性コラーゲン成形体を架橋剤水溶液に浸漬することで行われる。
追加の架橋導入において用いられる架橋剤の種類およびその濃度は上述のコラーゲンゲルの作製に用いられる架橋剤の種類およびその濃度に準ずる。
追加の架橋導入において用いられる架橋剤水溶液の溶媒としては、水および上述のコラーゲンゲルの作製に用いられる架橋剤水溶液の溶媒に準ずる。
以上の方法により得られた伸縮性コラーゲン成形体は、優れた伸縮性と高い機械強度を有しており、同時に熱安定性にも優れる。このため、従来のコラーゲン材料では困難であった用途への応用が期待できるほか、変性温度の低い魚類由来コラーゲンを原料として好適に利用できる。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の記載範囲に限定されるものではない。
はじめに実施例で得たコラーゲン成形体の各種物性値等の測定方法を示す。
1.コラーゲン成形体の破断伸びおよび破断強度の測定
以下の操作により、コラーゲン成形体の破断伸びおよび破断強度を求めた。
幅10mm、厚さ1.2mmの短冊型試験片をチャック間隔15mmになるように両端をチャックで固定し、速度60mm/分で引っ張り、破断時の伸び(%)および応力(g)をレオメーター(CR−200D、サン科学製)を用いて測定した。測定は計5個の試験片について行い、その平均値を求めた。
2.コラーゲン成形体の伸縮性の評価
以下の操作によりコラーゲン成形体の伸縮性を評価した。
内径23mm、厚さ1.2mmの円形試験片の一端を指で押さえ、反対側を平型ピンセットで掴み、楕円形となった試験片の長軸長さが50mmになるように離引っ張った。5秒間保持した後、ピンセットを離して試験片形状を確認した。
3.コラーゲン成形体への細胞接着の観察
(1)コラーゲン成形体上での細胞培養
市販の骨芽細胞(Clonetics製)を血清(Fetal Bovine Serum, GIBCO製)を10%添加したMEMα改変型培地(日水製、以下α−MEMと略す)で培養した。2日おきに培地交換し、セミコンフルエントになったところで細胞を0.02%トリプシン−0.25%EDTA溶液で剥がして新しいプレートにそれぞれ5×103cells/cm2になるように継代培養した。
コラーゲン成形体培養には継代数5から10代の間の骨芽細胞を使用した。コラーゲン成形体は培養前に70%エタノール水溶液に24時間浸漬し滅菌した。内径10mmの細胞培養用ポリスチレン製ペトリディッシュ(24穴、NUNC製)にコラーゲン成形体を置いた。α−MEMを1ml添加し、37℃で1時間インキュベートした後、培地を除いた。これを再度繰り返し、コラーゲン成形体を培地で置換した。その後コラーゲン成形体上に1×104cellsの骨芽細胞を播種し、α−MEMを培地として37℃、5%CO2インキュベーター中で培養した。
(2)SEM観察
2日間培養したコラーゲン成形体を1mlのPhosphate buffered saline(PBS)で2回洗浄した。洗浄後、1mlの2.5%グルタルアルデヒド−PBS溶液に1時間浸漬し細胞を固定した。固定後、1mlの滅菌水で2回洗浄した。エタノール濃度が50%、60%、70%、80%、90%の水溶液に各20分ずつ順番に浸漬した。その後100%エタノールに各20分ずつ2回浸漬し、水を完全に除去した。更に酢酸イソアミルに2回各20分浸漬した後、CO2臨界点乾燥を行った。臨界点乾燥した試料にイオンコーター(E−1010、日立製)を用いて金を蒸着し、走査型電子顕微鏡(SEM)用試料とした。SEM観察はJEOL製JSM−6500Fを用いて、倍率15,000倍で行った。
実施例:
1.魚皮からの可溶性コラーゲンの製造
(1)鮭皮の脱脂
魚皮として鮭(シロサケ、学名;Oncorhynchus Keta)の皮を用いた。鱗と身をメスで除去した鮭皮をおよそ3cm四方に細断した。これをクロロホルム/メタノールの等容混合溶媒で3回繰り返して脱脂を行い、メタノールで2回洗浄してクロロホルムを除去したのち、水で3回洗浄してメタノールを除去した。これ以降の工程は、全て4℃で行った。
(2)コラーゲンの抽出およびペプシン消化
上記脱脂鮭皮130gを4℃の0.5M酢酸5Lに浸漬し、4日間静置した。膨潤した鮭皮を医療用ガーゼでろ過し、ろ液を10,000×gで30分遠心して不溶物を沈殿させ、1.5Lの上清を回収した。上清にペプシン粉末50mgを混合して2日間おだやかに撹拌した。
(3)コラーゲンの精製
上記コラーゲン溶液に対し、終濃度5%になるように塩化ナトリウムを加え、ガラス棒で1分間おだやかに撹拌した後、24時間静置した。塩析により生じた白い不溶物を遠心(上記と同様の条件)して沈殿を回収し、沈殿を0.5M酢酸2Lに加え、おだやかに撹拌して溶解した。溶解まで3日間を要した。この操作を一回繰り返して、無色透明なコラーゲン溶液を得た。このコラーゲン溶液を、セルロースチューブを用いて脱イオン水に対して透析した。透析外液のpHが中性を示すまで脱イオン水を繰り返し交換して、得られた中性コラーゲン溶液を凍結乾燥した。白色のスポンジ状コラーゲンが得られた。
2.コラーゲンゲルの作製
(1)0.50%コラーゲン水溶液の調製
上記スポンジ状コラーゲンをシリカゲル入りデシケーターで減圧乾燥し、その精秤値を用いて0.50(w/v)%になるように4℃に予備冷却したpH3.0希塩酸に加え、おだやかに撹拌して溶解した。次に、コラーゲン溶液をポアサイズ10μm、0.65μm、0.45μmのメンブランフィルターで順次ろ過した。ろ液をポリプロピレン製遠沈管(50mL)に20mLづつ小分けした。
(2)架橋剤水溶液の調製
70mMの塩化ナトリウムを含むpH6.8、30mMリン酸ナトリウム緩衝水溶液を溶媒として、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩の100mM水溶液を調製した。得られた架橋剤水溶液をポリプロピレン製遠沈管(50mL)に20mLづつ小分けした。
(3)コラーゲンゲルの作製
以下の操作は全て8℃で行った。上記の0.50%コラーゲン水溶液(20mL)が入っている遠沈管に、上記の架橋剤溶液(20mL)を加え、蓋をした。遠沈管を振り動かして溶液を混合し、内径10cmの細胞培養用ポリスチレン製ペトリディッシュに深さ6mmになるように流し込み、24時間静置してコラーゲンゲルを得た。
3.コラーゲンゲルの熱処理による伸縮性コラーゲン成形体の作製
上記コラーゲンゲルを80℃の湯に浸漬した。ゲルは収縮を始め、およそ2分後に収縮が止まった。さらに1分間放置した後取り出し、実施例の伸縮性コラーゲン成形体を得た。この伸縮性コラーゲン成形体は内径23mm、厚さ1.2mmの円形であった。
4.破断伸びおよび破断強度
上記方法に従って測定した伸縮性コラーゲン成形体の破断伸びおよび破断強度はそれぞれ338(%)および77.6(g)であった。
5.コラーゲン成形体の伸縮性の評価
上記方法に従って、コラーゲン成形体の伸縮性を評価した。内径23mmの円形試料を楕円長軸長さが50mmになるように引っ張った後、引っ張り前とほぼ同じ内径(24mm)に戻った。引っ張り前のコラーゲン成形体、引っ張り時のコラーゲン成形体および引っ張り後のコラーゲン成形体をそれぞれ図1〜3に示す。
6.コラーゲン成形体への細胞接着の観察
SEM像を図4に示す。コラーゲン成形体に対し、骨芽細胞が高密度に接着している。
破断伸びおよび破断強度測定値から明らかなように、本発明の伸縮性コラーゲン成形体はゴムの様な優れた伸びと強度を有する。図1〜3から明らかなように、本発明の伸縮性コラーゲン成形体は優れた伸縮性を有する。これらの結果は、ゴムのような伸縮性と強度を有するコラーゲン成形体を製造することができることを示す。
図4から明らかなように、本発明の伸縮性コラーゲン成形体は優れた細胞接着性を有する。この結果は、本発明のコラーゲンゲルが細胞担体あるいは医療用材料の基材として好適に用いられることを示す。
引っ張り前の実施例のコラーゲン成形体の写真である。 引っ張り時の実施例のコラーゲン成形体の写真である。 引っ張り後の実施例のコラーゲン成形体の写真である。 実施例のコラーゲン成形体上での細胞接着の様子である。

Claims (17)

  1. 内径23mm、厚さ1.2mmの円形試料を楕円長軸長さが50mmになるように引っ張った後、内径24mm以内に戻る伸縮性コラーゲン成形体。
  2. コラーゲンが魚類から得られたものである請求項1に記載の伸縮性コラーゲン成形体。
  3. 線維化をしていないコラーゲン溶液に対し、線維化を惹起させる溶媒であるリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩およびTrisから選ばれる緩衝能を有する塩水溶液と架橋剤とを同時期に接触させることによりコラーゲンを線維化および架橋しゲルを得る工程、および得られたゲルを熱処理する工程を含むことを特徴とする伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  4. コラーゲン溶液に対し、線維化を惹起させる前記溶媒を用いた架橋剤の溶液を混合することにより、コラーゲンの線維化途上に線維同士を架橋剤で架橋する請求項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  5. コラーゲン溶液に対し、線維化を惹起させる前記溶媒と架橋剤溶液とを混合することにより、コラーゲンの線維化途上に線維同士を架橋剤で架橋する請求項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  6. コラーゲン溶液に対し、架橋剤溶液を加え、その後線維化を惹起させる前記溶媒を混合することにより、コラーゲンの線維化途上に線維同士を架橋剤で架橋する請求項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  7. 熱処理の後に架橋処理を施す、請求項乃至のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  8. 魚類から得られたコラーゲンを使用する請求項乃至のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  9. コラーゲン溶液と前記溶媒を用いた架橋剤の溶液または前記溶媒および架橋剤溶液との混合を、コラーゲンの変性温度+5℃以下の温度で行う請求項乃至のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  10. コラーゲン溶液と前記溶媒を用いた架橋剤の溶液または前記溶媒および架橋剤溶液とを混合した後、コラーゲンの変性温度+5℃以下の温度で少なくとも1時間インキュベートしてゲルを得る、請求項乃至およびのいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  11. 熱処理温度が30〜200℃の温度である請求項乃至10のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体の製造方法。
  12. 請求項乃至11のいずれか1項に記載の方法で製造された伸縮性コラーゲン成形体。
  13. 請求項1、2および12のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる細胞担体または医療用材料。
  14. 請求項1、2および12のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる人工血管用基材。
  15. 請求項1、2および12のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる美容整形用皮下埋め込みコラーゲン。
  16. 請求項1、2および12のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる人工腱用基材。
  17. 請求項1、2および12のいずれか1項に記載の伸縮性コラーゲン成形体からなる人工硬膜。
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