JP5991624B2 - コラーゲン非線維化成形体及びその製造方法 - Google Patents

コラーゲン非線維化成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、魚類由来コラーゲンを用いたコラーゲン非線維化成形体及びその製造方法に関し、特には、コラーゲン非線維化透明膜若しくはコラーゲン非線維化多孔体及びその製造方法に関する。本発明のコラーゲン非線維化成形体(例えば、コラーゲン非線維化透明膜、若しくはコラーゲン非線維化多孔体)は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料、移植用材料、及び薬物送達担体として、有用に用いることができる。
コラーゲンは、生体内のタンパク質の30%を占め、骨格支持及び細胞接着などの機能を有する重要なタンパク質であり、例えば、骨・軟骨、靭帯・腱、角膜実質、皮膚、肝臓、筋肉などの組織を構成する主成分である。そのため、コラーゲンを用いた成形体(生体材料)は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・靭帯・角膜実質・皮膚・肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、止血材料、癒着防止材など)、又は薬物送達担体として有用であり、特に再生医療による大型組織再生には必要不可欠である。しかし、その力学特性が十分でないため、臨床現場における使用は限定されていた。
従来、コラーゲンを用いた成形体としては、可溶性コラーゲンを試験管内で線維化して得られるコラーゲン線維を含む成形体が報告されている。例えば、非特許文献1及び2には、ウシ由来コラーゲンを用いて、コラーゲン線維を含むコラーゲン薄膜が得られたことが開示されている。このコラーゲン薄膜は、コラーゲンゲルをガラス化(少なくとも2週間の乾燥)することにより、ある程度の強度を有するものである。また、特許文献1は、魚皮由来のコラーゲンを線維化し、得られたゲルを凍結乾燥し、更に熱脱水架橋又は化学架橋(カルボジイミド、グルタルアルデヒド、スクシンイミドなどの水溶液)することにより、得られるコラーゲン膜を開示している。更に、特許文献2は、魚皮由来コラーゲンを、線維化と同時に溶液中にて架橋剤で化学架橋させ、伸縮性のコラーゲン成形体を開示している。
これらの成形体はコラーゲン線維を含むものであり、得られた成形体をガラス化又は架橋することによって、その機械的強度を上昇させるものである。前記非特許文献1に記載のコラーゲン薄膜は、高密度のコラーゲン線維が互いに絡み合った、ガラス化された膜である。
しかしながら、これらの成形体の強度は、再生医療用の足場材料、又は移植用材料として十分なものではなく、例えば非特許文献1及び2に記載のコラーゲン薄膜が、その周囲をナイロンフレームにより補強することによって、細胞培養基材として実用化されているのみである。
特表2003−534858号公報 特開2005−334625号公報
「薬学雑誌」(日本)2010年、第130巻、p.565−574 「ジャーナル・オブ・バイオテクノロジー(Journal of BIOTECHNOLOGY)」(ドイツ)2007年、第131巻、p.76−83
従来、コラーゲンを含む成形体は、非特許文献1又は2に記載のように線維化させることによって、強度を上げていた。しかしながら、コラーゲンを線維化させることにより強度は上昇するが、成形体の透明性が低下するという問題があった。例えば、コラーゲンの成形膜は、角膜の移植材料としても期待されている。しかしながら、角膜の移植材料として用いる場合は、一定以上の透明度を有し、且つ一定以上の強度を有することが要求される。
従って、本発明の目的は、非線維化のコラーゲン成形体において、一定以上の透明度を有し、且つ一定以上の強度を有するコラーゲンの非線維化成形体を提供することである。
具体的には、本発明の目的は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・靭帯・角膜実質・皮膚・肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、止血材料、癒着防止材など)、又は薬物送達担体に用いることのできる、十分な強度を有するコラーゲン非線維成形体を提供することである。例えば、本発明の目的の1つは、角膜の移植材料として用いることのできるコラーゲン非線維化透明膜を提供することである。また、本発明の別の目的は、細胞培養基材として、細胞培養において、通常の顕微鏡を用いて、細胞を観察することのできる透明度の高いコラーゲン膜を提供することである。更に、本発明の目的の1つは細胞を内部まで均一に播種可能で且つ強度の高い軟骨や弾性率が優れアルブミン産生能を有する肝臓などの組織を再生可能なコラーゲン非線維化多孔体を提供することである。
従来コラーゲンの成形体は、ブタ又はウシのコラーゲンを用いて、線維化することによって作製されていた。具体的にはコラーゲンを用いた成形体は、通常、酢酸や塩酸などの酸性溶液にブタ又はウシのコラーゲンを溶解させ、これを適度な塩濃度において、pHを中性に調整することで、コラーゲンを線維化し、作製されるものである。従って、得られる成形体は、その中に塩を含んでおり、コラーゲンとしての純度が低く、生体材料としての、十分な強度が得られなかった。更に、コラーゲン線維は、配向性が無いため、透明な膜材料を作製することが困難であった。
本発明者らは、細胞培養基材、再生医療用の足場材料、又は移植用材料として、十分な強度を有し、更に透明度の高いコラーゲン膜について、鋭意研究した結果、魚類由来のコラーゲン(特には、魚鱗由来のコラーゲン)を線維化せずに成形することにより、高い強度を有し、透明度の高い透明膜が得られることを見出した。また、透明で純度が高い膜を作製するためには、ゲルが塩を含まないこと、及び線維化していないコラーゲン分子が緻密に絡まった構造であることが重要であることを見出した。そして、二酸化炭素及び魚類コラーゲンが溶解したコラーゲン酸性溶液を用いることによって、コラーゲンが線維化せずに、高密度で、且つ高強度のコラーゲン非線維化透明膜を製造できることを見出した。本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、コラーゲン分子が緻密に絡まりあい、引張強度が30MPa以上を示す優れた膜であった。更に、グルタルアルデヒド蒸気を用いる架橋方法によって、コラーゲン非線維化透明膜が膨潤することなく、更に強度を向上させることが可能であることを見出した。更に、魚類由来のコラーゲンを用い、線維化しないコラーゲン非線維化多孔体は、高い気孔率を有し、強度の優れた多孔体を得ることができることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
なお、本明細書において、「非線維化」とは、コラーゲン細線維を形成していないことを意味するものであり、I型コラーゲンの5分子が1/4ずつ長軸方向にずれて自己組織化するナノ線維を形成していないことを意味するものではない。
すなわち、本発明は、
[1]魚類由来コラーゲンを用いることを特徴とする、コラーゲン非線維化成形体、
[2]前記魚類由来コラーゲンが、魚鱗由来コラーゲンである、[1]に記載の成形体、
[3]前記非線維化成形体が非線維化透明膜であって、重量法による密度が0.4g/cm以上であり、且つ引張強度が30MPa以上である、[1]又は[2]に記載のコラーゲン非線維化成形体、
[4]表面粗さが30nm以下である、[3]に記載のコラーゲン非線維化成形体、
[5]500nm〜700nmの範囲の波長の光を90%以上透過する、[3]又は[4]に記載のコラーゲン非線維化成形体、
[6]コラーゲンが架橋されており、引張強度が50MPa以上である、[3]〜[5]のいずれかに記載のコラーゲン非線維化成形体、
[7]前記非線維化成形体が、気孔率80%以上の非線維化多孔体である、[1]又は[2]に記載のコラーゲン非線維化成形体、
[8]多孔体の平均孔径が80μm以上である、請求項7に記載のコラーゲン非線維化成形体、
[9]コラーゲンが架橋されている、[7]又は[8]に記載のコラーゲン非線維化成形体、
[10](1)二酸化炭素及び魚類由来コラーゲンを含む、コラーゲン酸性溶液を調製する工程、及び(2)コラーゲンを成形し、コラーゲン成形体を得る工程、を含む、コラーゲン非線維化成形体の製造方法、
[11](1)二酸化炭素及び魚類由来コラーゲンを含む、コラーゲン酸性溶液を調製する工程、(2)コラーゲンを成形し、コラーゲン成形体を得る工程、及び(3)前記コラーゲン成形体を乾燥する工程、を含む、[10]に記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法、
[12](1)二酸化炭素及び魚類由来コラーゲンを含む、コラーゲン酸性溶液を調製する工程、(2)コラーゲンを成形し、コラーゲン成形体を得る工程、(3)前記コラーゲン成形体を乾燥する工程、及び(4)乾燥したコラーゲン成形体を架橋する工程を含む、[10]又は[11]に記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法、
[13]前記魚類由来コラーゲンが、魚鱗由来コラーゲンである、[10]〜[12]のいずれかに記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法、
[14]前記コラーゲン成形体が、コラーゲン非線維化透明膜である、[10]〜[13]のいずれかに記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法、又は
[15]前記コラーゲン成形体が非線維化多孔体である、[10]〜[13]のいずれかに記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法、
に関する。
また、本発明は、(1)酸性溶液に、コラーゲンを溶解させる工程、(2)コラーゲン溶液を成形槽に注入し、コラーゲン成形膜を得る工程、(3)前記コラーゲン成形膜を乾燥させる工程、を含む、コラーゲン非線維化透明膜の製造方法に関する。
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の製造方法の好ましい態様においては、コラーゲン非線維化透明膜を架橋する工程を含む。
本発明のコラーゲン非線維化成形体(例えば、コラーゲン非線維化透明膜又はコラーゲン非線維化多孔体)は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料、移植用材料、又は薬物送達担体として有用であり、医療現場における力学強度不足による操作性の問題を解決することができる。例えば、本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、従来存在しなかった、高密度のコラーゲン非線維化透明膜であり、線維化が起こっていないにもかかわらず、非常に高い機械強度を示す。また、架橋を行うことにより、引張強度が飛躍的に高まり、例えば、グルタルアルデヒドの蒸気を利用した化学架橋により50MPa以上の引張強度を実現することができる。更に、500nmにおける光の透過率が90%以上であり、非常に高い透過度を示す。この透過度は細胞培養用の皿(ディッシュ)とほぼ同等であり、細胞培養基材として、本発明のコラーゲン非線維化透明膜を用いた場合、細胞形態の観察が容易である。特に、本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、十分な強度と、透明性とを有しているため、ヒトの角膜の移植材料として有用である。
更に、本発明のコラーゲン非線維化成形体の製造方法によれば、製造工程中のコラーゲンゲルが塩を含まないため、塩を除去するための洗浄作業等が不要であり、従って、製造コストの削減が可能である。また、本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、コラーゲン純度が極めて高いなどの特徴を有している。
加えて、本発明のコラーゲン非線維化成形体の原料は、魚類由来のコラーゲンであるが、この理由は魚類由来のコラーゲンは、人獣共通感染症がほとんど存在しないからである。従って、魚類由来のコラーゲンを用いることにより、ウシ(牛海綿状脳症(BSE))由来、ブタ(***)由来又は鳥(インフルエンザ)由来のコラーゲンを用いた成形体(材料)よりも、再生医療用の足場材料、又は移植用材料として、安全に使用することができる。更に、魚類由来のコラーゲン(特には魚鱗由来のコラーゲン)を用いることにより、線維化していない成形体にも係らず、十分な強度を得ることができるものである。魚類由来のコラーゲンを用いることにより、ウシ又はブタ由来のコラーゲンと比較して、高い強度を得られることについては、十分に解析されているわけではないが、魚類由来コラーゲン(特には、魚鱗由来コラーゲン)は、分子間の相互作用が、ウシやブタ由来のコラーゲンと比較して高いと考えられ、それによって高い強度を得ることができるものと考えられる。しかしながら、本発明はこのような推定によって、限定されるものではない。
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の外観を示す。 コラーゲン非線維化透明膜(架橋なし)及び架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の300〜700nmの波長における光学密度を示したグラフである。なお、コントロールの細胞培養皿はポリスチレン製である。 コラーゲン非線維化透明膜(架橋なし)及び架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の引張強度試験の結果を示すグラフである。○:コラーゲン非線維化透明膜(架橋なし)、□:架橋されたコラーゲン非線維化透明膜。 (A)コラーゲン非線維化透明膜(架橋なし)及び(B)架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の走査型電子顕微鏡像を示す。 (A)コラーゲン非線維化透明膜(架橋なし)の原子間力顕微鏡像を示す。左の写真は高さ像を示し、右の写真は位相差像を示す。コラーゲン分子が絡まった構造であり、表面粗さ(RMS)が5.7nmである。(B)架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の原子間力顕微鏡像を示す。左の写真は高さ像を示し、右の写真は位相差像を示す。コラーゲン分子が絡まった構造であり、表面粗さ(RMS)が4.6nmである。 魚鱗コラーゲン(A)及びブタ真皮コラーゲン(B)の透明膜の形態を、原子間力顕微鏡による撮影した写真である。 グルタルアルデヒドにより、架橋処理を行ったコラーゲン非線維化透明膜の架橋度(A)、膨潤率(B及びC)を示したグラフである。 架橋されていないコラーゲン非線維化透明膜(実施例1)及び架橋コラーゲン非線維化透明膜(実施例4〜8)の300〜700nmの波長における光学密度を示したグラフである。 二酸化炭素含有酸性溶液により製造した、(未架橋)コラーゲン多孔体(a)、熱脱水架橋コラーゲン多孔体(b)、及びGA架橋コラーゲン多孔体(c)の外観を示す写真である。 (A)(未架橋)コラーゲン多孔体(a)、熱脱水架橋コラーゲン多孔体(b)、及びGA架橋コラーゲン多孔体(c)に蒸留水を滴下した直後の写真である。GA架橋を導入することで吸水性が向上している。(B)(未架橋)コラーゲン多孔体(a)、熱脱水架橋コラーゲン多孔体(b)、及びGA架橋コラーゲン多孔体(c)に蒸留水を滴下して10分後の写真である。 1重量%のGA架橋コラーゲン多孔体(A)、及び5重量%のGA架橋コラーゲン多孔体(B)の走査型電子顕微鏡による構造を示した写真である。コラーゲン濃度を高くすることで孔径が小さくなっている。 実施例10及び11で作製した架橋比線維化コラーゲン多孔体の弾性値5及び粘性値を示したグラフである。
[1]コラーゲン非線維化成形体
本発明のコラーゲン非線維化成形体は、魚類由来コラーゲンを用いたものである。
(コラーゲン)
本発明のコラーゲン非線維化成形体に含まれるコラーゲンは、魚類由来コラーゲンである。前記魚類由来コラーゲンの由来としては、例えば、テラピア、ゴンズイ、ラベオ・ロヒータ、カトラ、コイ、雷魚、ピラルク、タイ、ヒラメ、サメ、及びサケなどを挙げることができるが、後述の変性温度の観点から、水温の高い川、湖沼、又は海に生息する魚類が好ましい。このような魚類として、具体的には、オレオクロミス属の魚類を挙げる事ができ、特にはテラピアが好ましい。オレオクロミス属の魚類からは、変性温度が比較的高いコラーゲンを取得でき、例えば日本や中国で食用として養殖されているナイルテラピア(Oreochromis niloticus)は入手が容易であり、大量のコラーゲンを取得することができる。
魚類由来コラーゲンを取得する魚の部位も、限定されるものではない。例えば、鱗、皮、骨、軟骨、ひれ、筋肉及び臓器(例えば、浮き袋)等を挙げることができるが、鱗が好ましい。鱗は、魚臭の原因となる脂質が少ないからである。また、魚類の鱗由来のコラーゲンは、細胞との接着性に優れているからである。特に、魚鱗由来のコラーゲンは、分子間の相互作用が強いと考えられ、強度の高い成形体を得ることができる。
例えば、魚類のI型コラーゲンは、分子量約10万のポリペプチド鎖が3本集まって「3重らせん構造(トロポコラーゲン)」を作っており、分子量は約30万である。長さ300nmで、直径1.5nmの1本の硬い棒のような形態をしている。魚類のI型コラーゲンが特異な「3重らせん構造(トロポコラーゲン)」を作るのは、ポリペプチド鎖のアミノ酸の配列が関与している。ポリペプチド鎖は3個のアミノ酸が並んだユニット「G−X−Y」のつながりからできている。Gはグリシンを表し、Xはプロリン、そしてYはヒドロキシプロリンであることが多い。ヒドロキシプロリンは、通常のタンパク質に含まれておらず、コラーゲンに特有のアミノ酸であるが、ヒドロキシプロリンの水酸基と水和水との水素結合によって3重らせん構造が安定すると考えられている。コラーゲンは、アミノ基及びカルボキシル基を有する両性高分子であり、酸性溶液中でプラスに帯電し、アルカリ溶液中でマイナスに帯電する性質があり、更に中性付近では見掛け上、中性の電荷となる。3重らせん構造(トロポコラーゲン)のコラーゲン分子は、塩濃度、塩の種類や温度に強く依存するが、中性付近でコラーゲン細線維を形成する。ここで、I型コラーゲンは5分子が1/4ずつ長軸方向にずれて自己組織化し、ナノ線維を形成する。更に、このナノ線維が集合してコラーゲン細線維をつくる。
なお、本発明のコラーゲン非線維化透明膜においては、コラーゲン溶解液が塩を含まず、線維化を起こすイオン強度及びpHとならないために、非線維化成形体とすることが可能である。
コラーゲンは、温度が上昇すると3本のポリペプチドからなる「3重らせん構造」が解けて、3本のポリペプチドがばらばらになり、ゼラチンとなる。コラーゲンからゼラチンへの変化を変性と呼び、一度変性が起きると、再び温度を低下させても「3重らせん構造」に戻すことは困難である。コラーゲンの変性温度は、通常そのコラーゲンが由来する生物の棲息温度より、若干高い程度であり、従って、水中に生息している魚類の鱗のコラーゲンの変性温度は、それほど高くない。
本発明に用いることのできる魚類由来コラーゲンは、その変性温度によって、限定されるものではないが、変性温度の高い魚類由来コラーゲンが好ましく、具体的には20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、28℃以上が更に好ましく、30℃以上が最も好ましい。しかしながら、変性温度が20℃未満の魚鱗由来コラーゲンであっても、変性温度以下で、操作を行うことにより、本発明のコラーゲン非線維化成形体を得ることができる。
魚類由来コラーゲンの取得方法は、コラーゲンの3重らせん構造が破壊されない方法であれば、特に限定されないが、例えば、特開2006−257014号公報に開示された取得方法によって得ることができる。以下に、代表例として、鱗由来のコラーゲンの製造方法について説明する。
先ず、集めた鱗から魚皮や鰭などの不要物を水洗により取り除く。必要に応じて、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類やアセトンなどの親水性有機溶剤、界面活性剤、塩化ナトリウムなどの塩類、水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液などを用いて、鱗表面に付着したコラーゲン以外のたんぱく質や脂質など、臭気の原因とされている物質を鱗から除去してもよい。
更に、脱灰処理溶液中で、1〜48時間、攪拌羽根を用いて緩やかに攪拌し、鱗に含まれる無機成分(リン酸カルシウム)を除去する。処理溶液は、無機成分を溶解できればよく、塩酸やリン酸などの無機酸、酢酸、クエン酸などの有機酸、エチレンジアミン4酢酸などの水溶液を用いればよいが、汎用的に利用されている塩酸や酢酸が好ましく用いられる。使用量は、特に制限する必要はなく、脱灰終了後の鱗を水洗すれば良い。
このようにして夾雑物を除去した鱗を、プロテアーゼを添加した酸性溶液中で2時間〜72時間、攪拌羽根などを用いて緩やかに攪拌することでコラーゲン分子間の架橋が切断されて可溶化したコラーゲンが抽出される。この抽出工程以降の操作は、コラーゲンの変性を防ぐため、変性温度以下、望ましくは変性温度−5℃以下で行うべきである。
プロテアーゼの種類は、酸性溶液中で高い活性を有する、ペプシン、プロクターゼ、パパイン、又はプロテアーゼMが好ましく用いられる。溶液のpHは、プロテアーゼの活性が高くなる範囲を用いればよく、一般にpH2〜5程度である。プロテアーゼの使用量は、特に限定する必要はないが、通常は魚鱗の乾燥重量に対して1〜15%程度であり、鱗が均一に攪拌できる程度の液量となるように濃度を決定すれば良い。使用する酸は、特に制限されないが、塩酸や酢酸、クエン酸、リンゴ酸など、生物に対して安全性の高いものから選ぶことが望ましく、特に塩酸や酢酸が好ましく用いられる。このような方法により、コラーゲン分子の両末端に存在する非螺旋領域(テロペプチド)が分解されたコラーゲン(アテロ化コラーゲン)を抽出することができる。
このようにして可溶化したコラーゲンは、遠心分離、濾過などによって可溶化していない魚鱗残渣と分離する。魚鱗残渣は、プロテアーゼを添加した酸性溶液中で処理することで、再度、可溶化したコラーゲンを抽出することができるため、2〜4回程度繰り返して収率を高めてもよい。
このようにして得られたコラーゲン溶液には、プロテアーゼやコラーゲン以外のタンパク質、ゼラチン(変性コラーゲン)などを含むため、必要に応じて精製する。精製方法について述べると、可溶化したコラーゲン溶液に、塩化ナトリウムなどの塩類を加え、塩濃度を上昇させることで、コラーゲンを析出(塩析)させる。例えば、可溶化したコラーゲン水溶液中に塩化ナトリウムを終濃度1Mになるように添加し、5分〜24時間程度静置することで、コラーゲンが析出する。
水酸化ナトリウムなどを添加して、pHを中性以上にすることでも析出することができる。例えば、pH7〜9程度になるまで水酸化ナトリウム溶液を添加し、5分〜24時間程度静置することで、コラーゲンが析出する。このようなコラーゲンの析出は、溶液が白濁することで容易に確認できる。
析出したコラーゲンは遠心分離や濾過など、一般的な固液分離方法により回収し、これを酸性溶液中で緩やかに攪拌して再溶解する。例えば、pH2〜4程度の塩酸溶液中で1〜48時間程度ゆるやかに攪拌すればよい。このようにして、コラーゲンを精製することができ、繰り返すことで更に純度を高めることができる。精製工程で使用した塩類は、透析膜などを用いて純水に対して脱塩することで除去することができる。
[1−1]コラーゲン非線維化透明膜
本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、引張強度が30MPa以上であり、重量法による密度が0.4g/cm以上である。
(引張強度)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の引張強度は30MPa以上であり、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは50MPa以上である。30MPa未満では、生体材料として使用した場合に、十分な強度を得ることができないからである。更に、架橋を行うことにより、本発明のコラーゲン非線維化透明膜の引張強度は、50MPa以上とすることができ、架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の引張強度は、好ましくは60MPa以上であり、より好ましくは70MPa以上であり、最も好ましくは80MPa以上である。
また、引張強度の上限は、特に限定されるものではないが、200MPa以下が好ましく、150MPa以下がより好ましく、120MPa以下が最も好ましい。200MPaを超えると、移植した際に周辺組織と結合しないことがある。
引張強度試験は、常法に従って行うことができる。すなわち、幅10mm、長さ20〜30mmの試験片を、ロードセル間の距離が10mmとなるように両端を固定し、速度0.5mm/分で引っ張り、破断時の伸び(%)及び応力(g)を、引張試験機(Orientec;STA−1150)を用いて測定する。測定は、5個の試験片について行い、その平均値を求める。なお、試験片の厚みは、マイクロメータにより計測し、引張強度を計算する。
(密度)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、重量法による密度が、好ましくは0.4g/cm以上であり、より好ましくは0.5g/cm以上であり、更に好ましくは0.6g/cm以上であり、最も好ましくは0.8g/cm以上である。密度が0.4g/cm未満であると機械的強度が不足するからである。また、密度の上限は、特に限定されるものではないが、1.2g/cm以下が好ましく、1.15g/cm以下がより好ましく、1.1g/cm以下が最も好ましい。1.2g/cmを超えると、乾燥工程における不純物が混入していることがある。重量法による密度は、コラーゲン非線維化透明膜の重量を体積で割ることによって計算することができる。
(表面粗さ)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の表面粗さは、極めて低いものであるが、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは20nm以下であり、最も好ましくは10nm以下である。30nmを超えると、コラーゲン分子だけではなく線維が混合していることがある。表面粗さが小さいことは、本発明のコラーゲン膜が、コラーゲン線維膜ではなく、コラーゲン分子からなるコラーゲン非線維膜であることを示している。すなわち、本発明のコラーゲン非線維化透明膜の表面が滑らかであるのは、コラーゲン細線維を含まず、表面にコラーゲン線維による凹凸の構造が現れないからである。表面が滑らかであることによって、本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、光を散乱せずに透過性の優れた膜である。
表面粗さは、以下の方法によって測定することができる。市販のカンチレバー及び原子間力顕微鏡を用いて表面粗さを測定できる。測定範囲を4μmとして、一定速度(0.7Hzから1.2Hz)で走査させ、高さ像(立体像)を計測する。更に原子間力顕微鏡に付随しているソフトウェアで面粗さ(表面粗さ)を計算することで得られる。
(透過率)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の透過率(透明度)は、極めて高いものであり、例えば、細胞培養用のポリスチレンのプレートの透過率に近いものである。本発明のコラーゲン非線維化透明膜の透過率は、480〜700nmのいずれかの波長における透過率が90%以上でもよいが、500〜700nmの範囲において90%以上であることが好ましく、480〜700nmの範囲において、90%以上であることが更に好ましい。また、架橋していないコラーゲン非線維化透明膜の透過率は、400〜700nmの範囲において、90%以上であることが最も好ましい。
透過率を測定する膜厚は、特に限定されるものではないが、1μm〜1mmの膜厚の範囲において90%以上の透過率を示す。
透過率は、以下の方法によって測定することができる。コラーゲン非線維化透明膜を細胞培養皿(ポリスチレンディッシュ)に貼り付け、例えばパワースキャンHT(DSファーマバイオメディカル)により波長300〜700nmの範囲でスキャンを行うことによって測定することができる。透過率は、吸光度(O.D.)から次の式、透過率=1/10^O.D.×100で算出することができる。
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、好ましくは1μm〜1mmであり、より好ましくは2〜500μmであり、最も好ましくは3〜100μmである。1μm未満であると、乾燥過程でやぶれることがあり、1mmを超えると表面の平滑性が失われることがある。また、本発明のコラーゲン非線維化透明膜の膜厚のバラツキも、特に限定されるものではないが、平均膜厚の±40%以内が好ましく、±35%以内がより好ましく、±30%以内がより好ましい。膜厚のバラツキが40%を超えると、コラーゲン非線維化透明膜に強度の強い部分と強度の弱い部分とが混在し、引張強度などの機械的強度が低下する原因となることがある。
(コラーゲン非線維化透明膜の構造)
図4に示されるように、本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、コラーゲン細線維を含まないものであり、線維化されていないコラーゲン膜である。また、図5に示されているように、本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、コラーゲン分子(トポコラーゲン)を含み、表面の平滑性が高い膜である。本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、コラーゲン分子が緻密に絡まりあっているため引張強度(30MPa以上)が高く、後述の架橋を行うことにより、更に強度を向上させることが可能である。
(架橋)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、架橋されていてもよい。架橋により力学特性を更に向上させることが可能である。コラーゲン非線維化透明膜は、コラーゲン細線維を含まないため、架橋はコラーゲン分子(3重らせん構造)の間で起ると考えられる。このコラーゲン分子間の架橋により、コラーゲン非線維化透明膜の引張強度は、驚異的に向上する。具体的には、架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の引張強度は、70MPa以上であり、好ましくは80MPa以上であり、より好ましくは90MPa以上である。また、架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の引張強度の上限は、特に限定されるものではないが、200MPa以下が好ましく、150MPa以下がより好ましく、120MPa以下が最も好ましい。200MPaを超えると、移植した際に周辺組織と結合しないすることがある。
(架橋度)
架橋の程度は、架橋度によって特定することができる。架橋度の特定方法は限定されるものではないが、例えば、コラーゲンをグルタルアルデヒドで架橋した場合、アミノ基が架橋に使用されるため、自由アミノ基を測定することにより、架橋度を測定することができる。具体的には、トリニトロベンゼンスルホン酸を用いたTNBS法により、自由アミノ基量を定量することができる。
本発明の架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の架橋度は、特に限定されないが、下限は好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上であり、最も好ましくは30%以上である。上限は好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、最も好ましくは75%以下である。5%未満であるとコラーゲン素材が酵素により分解されやすく、90%を超えると生体内で分解が殆んどされなくなるからである。
(膨潤率)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜は膨潤率が高く、ダルベッコスリン酸緩衝溶液―(カルシウム、マグネシウムを含まない)に対しても耐性を有するものである。
本発明のコラーゲン線維膜の膨潤率は、特に限定されないが、上限は好ましくは600%以下、より好ましくは500%以下である。なお、下限は100%以上であり、本明細書で膨潤率100%は、全く膨潤しないことを意味する。600%を超えるとコラーゲンが分散してしまうからである。
[1−2]コラーゲン非線維化多孔体
本発明のコラーゲン非線維化多孔体は、気孔率80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。気孔率が80%以上であると、多孔体内部への細胞や組織の侵入性に優れているからである。本発明のコラーゲン非線維化多孔体は、線維化せずに、高い気孔率を達成することができることから、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・靭帯・角膜実質・皮膚・肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、止血材料、癒着防止材など)又は薬物送達担体などに用いることができる。
(水浸透性)
本発明のコラーゲン非線維化多孔体は、適当な水浸透性を有することが好ましい。この水浸透性は、細胞培養を行う際に、多孔体の中にまで細胞が侵入できるかどうかの目安として重要であるからである。後述の実施例に示すように、GA架橋コラーゲン多孔体(c)は、未架橋(a)及び熱脱水架橋(b)を行った多孔体と比較して吸水性がよく、細胞培養用の用途としては好ましい。
(粘弾性特性)
本発明のコラーゲン非線維化多孔体の弾性値は、特に限定されるものではないが、2.0kPa〜10MPaが好ましく、20kPa〜2MPaがより好ましい。2.0kPa〜10MPaであることによって、細胞を播種した際に多孔体内部への侵入性及び操作性に優れているからである。
本発明のコラーゲン非線維化多孔体の粘性値は、特に限定されるものではないが、1.0〜500kPaが好ましく、1.5〜100kPaがより好ましい。1.0〜500kPaであることによって、細胞を播種した際に内部への侵入性及び操作性に優れているからである。
(平均孔径)
本発明の多孔体の平均孔径は、特に限定されるものではないが、50〜500μmが好ましく、80〜300μmがより好ましい。50〜500μmであることによって、細胞や組織が材料内部に侵入しやすく、細胞培養基材や移植材料として最適であるからである。
多孔体の平均孔径は、水銀圧入法又は走査型電子顕微鏡観察によって、測定することができる。以下に走査型電子顕微鏡観察による平均孔径の測定法を記載する。作製した多孔体を任意の高さで断面を作製し、帯電防止のため、白金などによるコーティング(20nm以下)を行う。観察の際には、加速電圧10kV以下で行う。倍率は、1000倍以下が好ましく、100個以上の孔径を計測する。これにより、孔径の分布を計算し、その平均値を求めることで平均孔径を測定することが可能である。
[2]コラーゲン成形体の製造方法
本発明のコラーゲン成形体の製造方法は、(1)二酸化炭素及びコラーゲンを含む、コラーゲン酸性溶液を調製する工程(以下、コラーゲン酸性溶液調製工程と称する)及び(2)コラーゲンを成形し、コラーゲン成形体を得る工程(以下、コラーゲン成形工程と称する)を含む。本発明のコラーゲン成形体の製造方法においては、前記コラーゲン酸性溶液を使用することを除けば、基本的には、従来のコラーゲン成形体の製造方法に従って、コラーゲン成形体を製造することができる。
(コラーゲン)
本発明のコラーゲン成形体の製造方法に用いるコラーゲンは、特に限定されるものではなく、前記「[1]コラーゲン非線維化成形体」の欄に記載のコラーゲンを用いることができる。
(コラーゲン酸性溶液)
コラーゲン酸性溶液は、例えば、水性溶媒に二酸化炭素をバブリングする方法、又は水性溶媒にドライアイスを投入する方法によって作製することができる。二酸化炭素の溶解量は、特に限定されないが、コラーゲンを溶解させるためには、溶媒のpHを2〜4とすることが好ましい。従って、pH4以下になるように、二酸化炭素を溶解させることが望ましい。
(成形体)
本発明のコラーゲン成形体の製造方法によって製造される成形体は、コラーゲンを含むものであれば、特に限定されるものではないが、コラーゲン膜、又はコラーゲン多孔体、を挙げることができる。コラーゲン成形体の形状も特に限定されるものではなく、例えば、フィルム状、シート状、又はスポンジ状の形態のものを挙げることができる。
(コラーゲン酸性溶液調製工程)
コラーゲン酸性溶液調整工程は、例えば、(1)溶媒に二酸化炭素を溶解することによって二酸化炭素酸性溶液を調整し、その二酸化炭素酸性溶液にコラーゲンを溶解してもよい。また、(2)溶媒に二酸化炭素及びコラーゲンを同時に溶解させて、コラーゲン酸性溶液を製造してもよい。
(コラーゲン成形工程)
コラーゲン成形工程においては、前記のコラーゲン酸性溶液を成形槽に注入し、乾燥させることによって、線維化を起こさずに、コラーゲン成形体を得ることもできる。
(乾燥工程)
乾燥工程において、成形体からの溶媒の除去、及び乾燥を行う。この乾燥工程によって、成形体の密度が上昇し、機械的強度を向上させることができる。
特に、コラーゲン多孔体を乾燥させる方法としては、コラーゲンの3重らせん構造が破壊される変性温度以上の温度を使用しない限り、限定されるものではなく、例えば凍結乾燥法、キャスト法、風乾法、及び自然乾燥法を用いることができる。凍結乾燥法を用いる場合、得られたコラーゲンゲルを、0℃からマイナス80℃程度まで急速、一定速度、又は段階的に凍結し、凍結したコラーゲンゲルを、真空状態で水分を昇華させることによって、乾燥したコラーゲン多孔体を得ることができる。
(架橋工程)
本発明のコラーゲン成形体の製造方法は、更にコラーゲン成形体を架橋する工程を含むことができる。架橋は、コラーゲン分子間で起こってもよい。
架橋方法は、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、物理架橋又は化学架橋を挙げることができる。物理架橋としては、熱架橋(熱脱水(DHT)架橋)、紫外線(UV)照射、又はγ線照射を挙げることができ、例えば、熱架橋の場合は、コラーゲン成形体を100℃〜140℃の真空中において、1〜48時間処理することによって、架橋する。しかしながら、高温での処理によりコラーゲンが変性することもあることから、変性温度以下での化学架橋が好ましい。
化学架橋に用いる架橋剤としては、グルタルアルデヒド(GA)、ポリエポキシ化合物、カルボジイミド、イソシアネート、又はゲニピンなどの化学架橋剤を用いることができる。化学架橋の場合は、架橋剤を溶媒に溶解させ、魚鱗由来コラーゲン非線維化膜を浸漬することによって、架橋を行うことができる。例えば、GA溶液を用いる場合は、濃度0.5〜2.0%の範囲を用いると均一に架橋を導入することが可能である。しかしながら、好ましくは25%GA溶液又はそれを希釈した溶液をデシケータ内に入れ、コラーゲン成形体を、陰圧下で20℃〜40℃程度の温度で、1時間から24時間処理する。GAを気化させることで均一に内部まで架橋を導入することが可能である。架橋を行うことによって、コラーゲン成形体の強度が向上する。
以下に、本発明のコラーゲン非線維化成形体の1つであるコラーゲン非線維化透明膜の製造方法に述べる。
[2−1]コラーゲン非線維化透明膜の製造方法
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の製造方法は、(1)酸性溶液に、コラーゲンを溶解させる工程、(以下、コラーゲン溶解工程と称する)(2)コラーゲン溶液を成形槽に注入し、コラーゲン成形膜を得る工程(以下、コラーゲン成形工程と称する)、(3)前記コラーゲン成形膜を乾燥させる工程(以下、脱水・乾燥工程と称する)を含む。
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の製造方法によって、本発明のコラーゲン非線維化透明膜を製造することができる。しかしながら、本発明のコラーゲン非線維化透明膜は、本発明のコラーゲン非線維化透明膜の製造方法以外の方法によっても製造することが可能である。
(コラーゲン)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の製造方法に用いるコラーゲンとしては、前記の「[1]コラーゲン非線維化成形体」の項に記載のコラーゲンを用いることができる。
(コラーゲン溶解工程)
コラーゲン溶解工程においては、酸性溶液に、コラーゲンを溶解させる。
本明細書において、水性溶媒は水と有機溶媒とを混合した溶媒を意味する。有機溶媒としては水と混和し、コラーゲンを溶解することができれば、限定されるものではないが、好ましくは低級アルコールであり、例えば炭素数1〜4の低級アルコール(すなわち、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、又はtert−ブチルアルコール)を用いることができる。このような低級アルコールは、製造にかかるコストが、比較的低廉である。
コラーゲン酸性溶液は、例えば、水性溶媒に二酸化炭素をバブリングする方法、又は水性溶媒にドライアイスを投入する方法によって作製することができる。二酸化炭素の溶解量は、特に限定されないが、コラーゲンを溶解させるためには、溶媒のpHを2〜4とすることが好ましい。従って、pH4以下になるように、二酸化炭素を溶解させることが望ましい。
このように調整された酸性溶液に、前記コラーゲンを溶解させ、可溶化コラーゲン溶液を得ることができる。酸性溶液は、高濃度のコラーゲンを溶解することができ、例えば5%以上の高粘度の可溶化コラーゲン溶液を得ることができる。
(コラーゲン成形工程)
コラーゲン成形工程においては、前記の可溶性コラーゲン溶液を成形槽に注入し、コラーゲン成形膜を得る。
(脱水・乾燥工程)
脱水・乾燥工程において、コラーゲン成形膜からの水性溶媒の除去、及び乾燥を行う。この脱水・乾燥工程によって、コラーゲン分子の密度が上昇し、機械的強度を向上させることができる。
脱水及び乾燥は、ゲルの上面から水性溶媒を蒸発させることによって、行うことができる。また、ゲルの上面及び下面を、水性溶媒が通過しない平滑なプレートなど覆い、側面からのみ徐々に脱水させることにより行うことができる。また、平滑なプレートで覆うことによって、得られるコラーゲン成形膜の膜厚を均一にすることができ、機械的強度を上昇させることが可能である。プレートは、特に限定されるものではないが、ポリスチレン、シリコーン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル又はガラスを挙げることができるが、得られたコラーゲン成形膜との解離性がよいことから、ポリスチレンが好ましい。
脱水及び乾燥の時間は、水性溶媒が90%以上除去される時間であれば、特に限定されないが、3時間〜14日が好ましく、5時間〜7日がより好ましく、12時間〜3日が最も好ましい。
(架橋工程)
本発明のコラーゲン非線維化透明膜の製造方法は、更にコラーゲン非線維化透明膜を架橋する工程を含むことができる。コラーゲン非線維化透明膜は、コラーゲン細線維を含まないため、架橋は、コラーゲン非線維化透明膜内の、コラーゲン分子(トポコラーゲン)の間で起こると考えられる。
架橋方法は、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、物理架橋又は化学架橋を挙げることができる。物理架橋としては、熱架橋(熱脱水(DHT)架橋)、紫外線(UV)照射、又はγ線照射を挙げることができ、例えば、熱架橋の場合は、コラーゲン非線維化透明膜を100℃〜140℃の真空中において、1〜12時間処理することによって、架橋する。しかしながら、高温での処理によりコラーゲンが変性することもあることから、変性温度以下での化学架橋が好ましい。
化学架橋に用いる架橋剤としては、グルタルアルデヒド(GA)、ポリエポキシ化合物、カルボジイミド、イソシアネート、又はゲニピンなどの化学架橋剤を用いることができる。化学架橋の場合は、架橋剤を溶媒に溶解させ、コラーゲン非線維化透明膜を浸漬することによって、架橋を行うことができる。例えば、GA溶液を用いる場合は、濃度0.5〜2.0%の範囲を用いると均一に架橋を導入することが可能である。しかしながら、コラーゲン非線維化透明膜を溶媒に浸漬することによって、膜が膨潤することもあるため、架橋剤の蒸気を用いて架橋させる方法が好ましい。例えば、25%GA溶液又はそれを希釈した溶液をデシケータ内に入れ、コラーゲン非線維化透明膜を、減圧下で20℃〜40℃程度の温度で、1時間から24時間処理することで均一に内部まで架橋を導入することが可能である。架橋を行うことによって、コラーゲン非線維化透明膜の強度が向上する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《製造例1:魚類由来コラーゲンの製造》
テラピアの鱗からのコラーゲンの製造方法を以下に記載する。
テラピアの鱗を水で十分洗浄し、更に10%塩化ナトリウム溶液で十分洗浄し、鰭などの夾雑物を除去した後、室温にて乾燥した。含水率は18.5%であった。
このテラピア鱗1kgをpH2の塩酸溶液9kgに分散し、1Mの塩酸溶液を添加しながらpHを2に保った状態で、25℃、2時間穏やかに攪拌し、鱗に含まれる無機成分を溶かしだした。これをザルにあげて、十分水洗した後、総重量が4kgとなるようにpH2の塩酸溶液を添加した。
これに、ペプシン(和光純薬 1:10000)24gを添加し、攪拌羽根を用いて25℃、24時間、穏やかに攪拌して、鱗からコラーゲンを溶かし出した。これをザルにあげて、鱗残渣と分離した後、更に遠心分離(10000G,60min)により上澄を回収して微細な鱗残渣と分離した。これに、ペプシンを0.5g添加し、25℃、24時間保持した。
得られた溶液(2.4kg)を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したあと、終濃度が1.0Mになるように塩化ナトリウムを加えて緩やかに攪拌した。25℃、30min静置して塩析したあと、遠心分離(10000G,20min)により上澄を除去し、コラーゲンの沈殿物を回収した。この沈殿物にpH3の塩酸溶液400mLを加え、5℃、24時間緩やかに攪拌して溶解した。この塩析精製工程を3回繰り返し、テラピア鱗コラーゲン塩酸水溶液を得た。得られたテラピア鱗コラーゲン塩酸水溶液を、セルロースチューブの透析膜に入れて蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。
《実施例1》
本実施例では、1mmの高さのコラーゲン水溶液から、コラーゲン非線維化透明膜を作製した。
二酸化炭素(炭酸ガス)を蒸留水にバブリングし、pH3.0の酸性溶液を調整した。この酸性溶液に、製造例1で得た凍結乾燥されたコラーゲンを1重量%になるように溶解させ、コラーゲン溶液を得た。シリコーン板(1mm厚さ)に直径18mmの円筒形の穴をあけ、下面をシリコーン板で被覆し、成形槽とした。前記の1重量%のコラーゲン溶液を、円筒形の穴に1mmの高さまで滴下し、28度で一晩乾燥させた。乾燥前のコラーゲン成形膜の体積は0.254cmであり、含まれるコラーゲンの重量は2.54mgである。乾燥させたコラーゲン非線維化透明膜は厚さ8.7±0.4μmであり、従って得られたコラーゲン非線維化透明膜の密度は、1.034g/cmである。図1にその外観を示す。
《実施例2》
本実施例では、1mmの高さのコラーゲン水溶液から、架橋されたコラーゲン非線維化透明膜を作製した。
実施例1で得られたコラーゲン非線維化透明膜及び25%のグルタルアルデヒドをデシケータに入れた。デシケータを真空状態にし、グルタルアルデヒドを蒸発させた。37度にて、24時間静置することで、コラーゲン非線維化透明膜に化学架橋を導入した。
《透過率の測定》
前記実施例1及び2で得られたコラーゲン非線維化透明膜及び架橋されたコラーゲン非線維化透明膜の透過率を測定した。ピンセットでそれぞれのコラーゲン非線維化透明膜を細胞培養皿(ポリスチレンディッシュ)に貼り付け、パワースキャンHT(DSファーマバイオメディカル)により波長300〜700nmの範囲でスキャンを行った。
結果を図2に示す。実施例1のコラーゲン非線維化透明膜は、細胞培養皿と同等の透明性を示すことが分かる。また、実施例2の架橋されたコラーゲン非線維化透明膜は、480m以下でグルタルアルデヒドによる透明度の低下が認められるものの、480nm以上では90%以上の透過率を示した。透過率は、吸光度(O.D.)から次の式、透過率=1/10^O.D.×100で算出した。この際に、ポリスチレンディッシュの吸光度を引き算してコラーゲン透明膜の透過率とした。
《引張強度試験》
引張強度試験を行った。
シリコーン製の成形槽(直径18mm、高さ5mm)に代えて、ポリスチレン製の成形槽(幅45mm×長さ70mm×高さ1mm)を用いたことを除いては、実施例1及び2の操作を繰り返し、コラーゲン非線維化透明膜及び架橋されたコラーゲン非線維化透明膜を得た。
引張強度試験を行うため、幅10mm、長さ20〜30mmの試験片に加工した。なお、作製した膜の厚さは、マイクロメータにより計測し、いずれも8.7±0.4μmであった。
引張試験は、試験片の両端をガラスに張り付け、引張試験機(Orientec;STA−1150)を用いて行った。測定条件は、ロードセル間の距離を10mmとし、0.5mm/分の速度で行った。測定は、5個の試験片について行い、その平均値を求めた。図3にその結果を示す。
架橋されていないコラーゲン非線維化透明膜は、初期の応力変化が小さく、約2%の歪で立ち上がり、約8%の歪で破断した。また、最大応力は56MPaであった。一方、架橋されたコラーゲン非線維化透明膜は、初期の応力変化が大きく、7%の歪で破断した。最大応力は92MPaと高い値を示した。架橋により強度及びヤング率の両方が向上することが分かった。
《コラーゲン膜の構造(表面粗さ)》
実施例1及び2において得られたコラーゲン非線維化透明膜の表面の走査型電子顕微鏡像を、撮影した。それぞれの微鏡像を図4(A)及び図4(B)に示す。写真は、コラーゲン非線維化透明膜に、金を30nmコーティングし、表面を走査型電子顕微鏡により観察したものである。コラーゲン線維は観察されず、また化学架橋を導入した場合も、表面構造の変化は観察されなかった。
更に、実施例1及び2において得られたコラーゲン非線維化透明膜の原子間力顕微鏡像を撮影した。それぞれの微鏡像を図5(A)及び図5(B)に示す。走査型電子顕微鏡では、コラーゲンの構造は観察されなかったが、原子間力顕微鏡ではコラーゲン分子が観察された。
また、原子間力顕微鏡に付属のソフトウェアで面粗さを計算したところ、観測した領域での表面粗さ(RMS)は、それぞれ5.7nm及び4.6nmであり、極めて低いことが分かる。このことから、本発明のコラーゲン膜は、コラーゲン線維膜ではなく、コラーゲン分子からなるコラーゲン非線維膜であることが明らかであった。
《実施例3》
酸性溶液のpH3.0をpH3.8としたこと、及び成形膜の厚さを1mmから2.5mmとしたこと以外は、実施例1の操作を繰り返して、コラーゲン非線維化透明膜を得た。
《比較例1》
製造例1で得た魚類由来コラーゲンに代えて、ブタ真皮由来I型コラーゲン(新田ゼラチン製の)を用いたこと以外は、実施例3の操作を繰り返して、ブタコラーゲン非線維化透明膜を得た。
《引張強度試験》
実施例3及び比較例1で得られた透明膜の引張強度試験を行うため、作製した膜の厚さをマイクロメータにより計測した。いずれも、25±5μmであった。引張強度は、試験片の両端を治具で挟み、引張試験器(Orientec;STA−1150)を用いて行った。測定条件は、ロードセル間の距離を10mmとし、0.5mm/分の速度で行った。測定は5個の試験片について行い、その平均値を求めた。
鱗コラーゲンで作製した膜の引張強度は、ブタ真皮コラーゲンで作製したものと比較して1.32倍の強度を示した。図6に原子間力顕微鏡による作製した魚鱗コラーゲン(A)及びブタ真皮コラーゲン(B)の透明膜の形態を示す。いずれも組織に大きな変化は観測されなかったが、鱗コラーゲンの方が小さなドメインより形成されていることが分かる。
《実施例4〜8》
本実施例では、実施例1で得られた非線維化コラーゲン透明膜に対し、時間を変化させて化学架橋(グルタルアルデヒド架橋)を行った。
10%のグルタルアルデヒド溶液(20mL)と作製した透明膜(網の上)をデシケータ―中におき、減圧させ、37度の乾燥機中に静置した。15分(実施例4)、30分(実施例5)、1時間(実施例6)、2時間(実施例7)、3時間(実施例8)処理した試料を作製した。これにより、グルタルアルデヒドは気化し、コラーゲン非線維化透明膜のコラーゲン同士を架橋させることができる。処理時間が長くなるにつれ、褐色に変化した。
《架橋度の測定》
得られた架橋非線維化コラーゲン透明膜の架橋度を測定した。架橋度は、トリニトロベンゼンスルホン酸を用いたTNBS法により、自由アミノ基量を定量することで行った。
実施例4〜8の作製したコラーゲン透明膜を10mg秤量し、1.0mLの炭酸水素ナトリウム(4重量体積%)/TNBS(0.5重量体積%)を加え、40℃で2時間処理した。更に、3mLの塩酸(6N)を加え、20から40分間80℃の浴槽で処理した。加水分解させた後、15mLの精製水を加え、1mLを分注し、室温まで冷却し、5mLの精製水で希釈した。345nmの波長で吸光度を計測した。自由アミノ基量(Ag−col;mol)/コラーゲン量(g)=(4×吸光度)/(1.46×106(L/mol・cm)・セルの長さ(cm))から算出した。何も処理しないコラーゲンを用いてTNBS法により自由アミノ基量(Acol)を計測した。架橋度(D;%)は(1−Ag−col/Acol)×100により計算した。架橋処理時間と架橋度の関係を図7Aに示す。図に示したように、架橋度は処理時間とともに直線的に上昇した。
《膨潤度》
得られた非線維化コラーゲン透明膜の膨潤率を測定した。膨潤率の測定は、以下のように行った。
実施例4〜8の作製したコラーゲン線維膜を、1時間、2時間、4時間、又は8時間、38℃でダルベッコスPBS―に浸漬し、その後溶液から取り出し、キムワイプで周りの水分を除去した重量変化から計測した。ここで、膨潤率(%)は(WPBS−WDRY)/WDRY×100の式から算出した。図7Bに浸漬時間による膨潤率の変化を示す。架橋時間が1hまでの透明膜は浸漬4hまで膀潤率が線形的に増加した。架橋時間が2h以降の透明膜では、浸漬1時間後からその膀潤率が変化しなかった。また、架橋度と浸漬4時間後の膨潤率は負の相関がみられた(図7C)。
《透過率(吸光度)》
化学架橋したコラーゲン非線維化透明膜の吸光度は分光光度計(UV−2450型)により波長300nm〜800nm範囲でスキャンした。図8に実施例4〜8の透明膜の測定波長による吸光度の変化を示す。架橋した透明膜では波長300nm〜380nm範囲の吸光度が線形的減少した。一方、波長500nm〜800nm範囲ではその吸光度が変化しなかった。
《実施例9:コラーゲン多孔体の製造》
本実施例では、二酸化炭素が溶解したコラーゲン酸性溶液を用いて、コラーゲン多孔体を製造した。
炭酸ガスを先に蒸留水にバブリングしてpH4.0以下の酸性溶液を調整した。これに、製造例1で得られた凍結乾燥コラーゲンコラーゲンを5重量%になるように溶解させた。これを細胞培養皿(48well)に所定量(高さ約2cmまで)入れて、4℃の冷蔵庫に保管した。その後、ゆっくりと温度を−20℃まで下げて凍結させた。完全に凍結させたのち、凍結乾燥機により乾燥を行った。作製されたコラーゲン多孔体の外観を図9(a)に示す。
次に、得られたコラーゲン多孔体を熱脱水架橋した。コラーゲン多孔体を130℃の真空乾燥機中に24時間置き、熱脱水架橋を行った。作製された熱脱水架橋コラーゲン多孔体の外観を図9(b)に示す。
更に、熱脱水架橋コラーゲン多孔体に化学架橋を導入した。得られた熱脱水架橋コラーゲン多孔体とグルタルアルデヒド(GA)溶液(25%)とをデシケータに入れ、真空状態で、37℃で4時間処理した。作製されたGA架橋コラーゲン多孔体の外観を、図9(c)に示す。得られた多孔体の気孔率は95%であった。
得られた多孔体の平均孔径を走査型電子顕微鏡観察により、1000倍の倍率で100個の孔の孔径を測定したところ、150μmであった。
(水浸透性試験)
作製したコラーゲン多孔体の上面に蒸留水を一滴滴下し、その水浸透性の試験を行った。浸透性は細胞培養を行う際に、多孔体の中にまで細胞が侵入できるかどうかの目安として重要である。GA架橋コラーゲン多孔体(c)は、滴下後ただちに吸水した(図10A)。一方で、未架橋(a)と熱脱水架橋(b)を行った多孔体は吸水性が悪いことが分かる。
更に10分後に観測した写真を図10Bに示す。図に示すように、GA架橋コラーゲン多孔体(c)及び熱脱水架橋コラーゲン多孔体(b)は、完全に吸水していた。GA架橋コラーゲン多孔体(c)は、下面にまで吸水していた。
《実施例10》
炭酸ガスを蒸留水にバブリングしてpH4.0以下の酸性溶液を調整した。これに、製造例1で製造したコラーゲンを1重量%になるように溶解させた。得られたコラーゲン溶液を、直径33mmの細胞培養皿に高さが2mmになるように滴下した。4℃で一晩静置して、表面を平坦にした。更に温度をゆっくりと−20℃まで低下させて、完全に凍結させた後、凍結乾燥機による乾燥を行い、コラーゲン多孔体を得た。
次に、得られたコラーゲン多孔体を熱脱水架橋した。コラーゲン多孔体を130℃の真空乾燥機中で24時間置き、熱脱水架橋コラーゲン多孔体を得た。
更に、熱脱水架橋コラーゲン多孔体に化学架橋を導入した。得られた熱脱水架橋コラーゲン多孔体とGAの原液とを、デシケータに入れ、真空状態で、37℃、24時間処理し、GA架橋コラーゲン多孔体を得た。得られた多孔体の気孔率は、99%であった。
得られた多孔体の平均孔径を査型電子顕微鏡観察により、1000倍の倍率で100個の孔の孔径を測定したところ、100μmであった。
(粘弾性特性の測定)
作製したGA架橋コラーゲン多孔体を蒸留水に浸漬させた状態で、粘弾性特性を計測した。計測は線形粘弾性領域の範囲において行った。計測周波数範囲は、0.01Hzから10Hzの範囲で行った。コラーゲン濃度1wt%のGA架橋コラーゲン多孔体は、1Hzにおける弾性値28kPaと粘性値1.5kPaの値を示した(図12A)。
(走査型電子顕微鏡像)
作製したGA架橋コラーゲン多孔体の走査型電子顕微鏡像を図11(A)に示す。構造を観察した部位は、多孔体の中央部分で切断して行った。孔径が100μm以上の大きさを示しており、細胞培養基材や移植材料として最適な大きさであることが分かる。
《実施例11》
コラーゲン濃度を1重量%に代えて、5重量%としたこと以外は、実施例9の操作を繰り返し、コラーゲン多孔体、熱脱水架橋コラーゲン多孔体、及びGA架橋コラーゲン多孔体を得た。
(粘弾性特性の測定)
作製したGA架橋コラーゲン多孔体を蒸留水に浸漬させた状態で、粘弾性特性を計測した。計測は線形粘弾性領域の範囲において行った。計測周波数範囲は、0.01Hzから10Hzの範囲で行った。コラーゲン濃度5wt%のGA架橋コラーゲン多孔体は、1Hzにおける弾性値592kPaと粘性値24.7kPaの値を示した(図12B)。
(走査型電子顕微鏡像)
作製したGA架橋コラーゲン多孔体の走査型電子顕微鏡像を図11(B)に示す。構造を観察した部位は、多孔体の中央部分で切断して行った。孔径が100μm以上の大きさを示しており、細胞培養基材や移植材料として最適な大きさであることが分かる。1重量%の濃度から、コラーゲン濃度を5重量%、にしても多孔構造が維持されることが分かる。また、コラーゲン濃度を高くすることで孔径が小さくなっている。
本発明のコラーゲン非線維化成形体は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・靭帯・角膜実質・皮膚・肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、止血材料、癒着防止材など)又は薬物送達担体として、用いることができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (15)

  1. 魚類由来コラーゲンを用いるコラーゲン非線維化成形体であって、前記魚類由来コラーゲンがトロポコラーゲン及びナノ線維を形成し、そしてコラーゲン細線維を形成していないことを特徴とする、前記コラーゲン非線維化成形体。
  2. 前記魚類由来コラーゲンが、魚鱗由来コラーゲンである、請求項1に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  3. 前記非線維化成形体が、重量法による密度が0.4g/cm以上であり、且つ引張強度が30MPa以上である非線維化透明膜であって、前記引張強度は、幅10mmの試験片を10mmの距離に固定し、速度0.5mm/分で引っ張った場合の、破断時の伸び(%)及び応力(g)並びに試験片の厚みから計算されるものである、請求項1又は2に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  4. カンチレバー及び原子間力顕微鏡を用い、4μmの測定範囲を0.7Hzの速度で走査することによって得られる高さ像から計算される表面粗さが30nm以下である、請求項3に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  5. 500nm〜700nmの範囲の波長の光を90%以上透過する、請求項3又は4に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  6. コラーゲンが架橋されており、引張強度が50MPa以上である、請求項3〜5のいずれか一項に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  7. 前記非線維化成形体が、気孔率80%以上の非線維化多孔体である、請求項1又は2に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  8. 多孔体の平均孔径が80μm以上である、請求項7に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  9. コラーゲンが架橋されている、請求項7又は8に記載のコラーゲン非線維化成形体。
  10. (1)二酸化炭素及び魚類由来コラーゲンを含む、コラーゲン酸性溶液を調製する工程、及び
    (2)コラーゲンを成形し、コラーゲン成形体を得る工程、
    を含む、前記魚類由来コラーゲンがトロポコラーゲン及びナノ線維を形成し、そしてコラーゲン細線維を形成していないコラーゲン非線維化成形体の製造方法。
  11. (1)二酸化炭素及び魚類由来コラーゲンを含む、コラーゲン酸性溶液を調製する工程、(2)コラーゲンを成形し、コラーゲン成形体を得る工程、及び
    (3)前記コラーゲン成形体を乾燥する工程、
    を含む、請求項10に記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法。
  12. (1)二酸化炭素及び魚類由来コラーゲンを含む、コラーゲン酸性溶液を調製する工程、(2)コラーゲンを成形し、コラーゲン成形体を得る工程、
    (3)前記コラーゲン成形体を乾燥する工程、及び
    (4)乾燥したコラーゲン成形体を架橋する工程
    を含む、請求項10又は11に記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法。
  13. 前記魚類由来コラーゲンが、魚鱗由来コラーゲンである、請求項10〜12のいずれか一項に記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法。
  14. 前記コラーゲン成形体が、コラーゲン非線維化透明膜である、請求項10〜13のいずれか一項に記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法。
  15. 前記コラーゲン成形体が非線維化多孔体である、請求項10〜13のいずれか一項に記載のコラーゲン非線維化成形体の製造方法。
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