JP4463377B2 - 半導体装置およびその作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に形成した薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)でなる回路を設けた半導体装置とその作製方法に関する。特に、TFTの活性層とする半導体層と基板との間に設ける絶縁膜に関するものである。このような絶縁膜はブロッキング層或いは下地膜とも呼ぶ。本発明は良好なTFTの特性を得ると共にTFTの劣化を防止するのに好適な絶縁膜の構成およびその作製方法に関する。
【0002】
本発明の半導体装置は、TFTやTFTで作製された半導体回路を有する表示装置やイメージセンサなどの電気光学装置を含むものであり、更に本発明の半導体装置は、これらの表示装置および電気光学装置を搭載した電子機器を範疇に含んでいる。
【0003】
【従来の技術】
近年、結晶質半導体層で活性層を形成した薄膜トランジスタ(以下、TFTと省略する)を用い、画素のスイッチング素子としたり、駆動回路を形成したアクティブマトリクス型の表示装置が、高精細で高画質の画像表示を実現する手段として注目されている。結晶質半導体層の材料には、例えば、非晶質シリコン層をレーザーアニール法や熱アニール法などの方法で結晶化させた結晶質シリコン層が好適に用いられている。結晶質シリコン層を用いたTFTは高い電界効果移動度を実現でき電流駆動能力が高いので、微細加工が可能となり、画素部の高開口率化も可能となった。
【0004】
このようなアクティブマトリクス型の表示装置において、大面積でかつ安価な表示装置を実現するためには、石英基板よりも安価なガラス基板を用いることが前提となり、耐熱温度の理由から製造工程における最高温度は600〜700℃以下とすることが要求されている。しかしながら、ガラス基板にはナトリウム(Na)などのアルカリ金属が微量に含まれているので、少なくともガラス基板のTFTが形成される側の表面には酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などからなるブロッキング層を形成し、アルカリ金属元素がTFTの活性層に混入しないようにしておく必要があった。
【0005】
ガラス基板上に作製されるTFTは、トップゲート型とボトムゲート型(或いは逆スタガ型)の構造が知られていた。トップゲート型は活性層の基板側とは反対側の面に少なくともゲート絶縁膜とゲート電極とが設けられた構造となっている。そして、活性層がゲート絶縁膜と接する反対側の面(以降、本明細書では便宜上バックチャネル側と記す)には上述のようなブロッキング層が形成されている。
【0006】
TFTの特性は、代表的パラメータとして電界効果移動度、しきい値電圧(以下、Vthと省略する)などで表すことができる。Vthは図23(A)で示すように、(ドレイン電流(以下、Idと省略する)1/2対ゲート電圧(以下、Vgと省略する)特性において、直線領域を外挿してVg軸と交差する電圧値として求めることができる。また、Vth近傍またはそれ以下におけるドレイン電流とゲート電圧の関係はサブスレッショルド特性とも呼ばれ、スイッチング素子としてTFTの性能を決める重要な特性である。このサブスレッショルド特性の良さを表す定数としてサブスレッショルド係数(以下、S値と省略して記す)が用いられている。S値は図23(B)で示すようにサブスレッショルド特性を片対数グラフにプロットしたときにドレイン電流が一桁変化するのに要するゲート電圧として定義される。そしてS値が小さければ小さいほど、TFTは高速で低消費電力の動作が可能となる。また、駆動回路に形成するシフトレジスタ回路では、S値が大きいと(サブスレッショルド特性が悪いと)リーク電流による電荷消失が起こって致命的な動作不良を引き起こすことになる。
【0007】
ところで、Vthの値は回路を動作させる上で、nチャネル型TFTで0.5〜2.5V、pチャネル型TFTで−0.5〜−2.5V程度とすると良いが、意図しない原因によって活性層がn型の導電型となってしまうと、Vthが−4〜−3V程度にシフトしてしまうことがある。すると、nチャネル型TFTはゲート電圧を印加しない状態でもオン状態となり、設計通りにスイッチング特性を得ることができなくなり、回路を動作させることができなくなる。
【0008】
Vthの値を制御するために、活性層のチャネル形成領域に1×1016〜5×1017atoms/cm3程度濃度でp型を付与する不純物元素を添加する方法がとられている。このような処置をチャネルドープと呼び、TFTの作製工程では重要なものとなっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
トップゲート型のTFTにおいて、ゲート電極に電圧が印加されるとその極性によってはガラス基板中のアルカリ金属元素のうちイオン化したものが活性層側に引き寄せられる。そして、ブロッキング層の質が悪いと容易に活性層に混入し、TFTの電気的な特性を変動させ、経時的な信頼性も確保できなくなる。
【0010】
ブロッキング層として窒化シリコン膜を用いると、不純物イオンのブロッキング効果は高いが、トラップ準位が多く、また内部応力が大きいので活性層に直接接して形成するとTFTの特性に問題が生じる懸念があった。一方、酸化シリコン膜は窒化シリコン膜よりもバンドギャップが広く絶縁性に優れ、トラップ準位も少ない長所がある。しかし、吸湿性があり不純物イオンに対するブロッキング効果が低い短所があった。
【0011】
このようなブロッキング層を設け、その上に非晶質半導体層を形成してレーザーアニール法や熱アニール法で結晶質半導体層を形成すると、ブロッキング層の内部応力が変化する。そのことによって結晶質半導体層に歪みを与え、このような状況でTFTを完成させたとしても、VthやS値などの電気的特性が目標値からずれてしまう。その結果、所望の電圧でTFTを動作させることが不可能となる。
【0012】
チャネルドープは、Vthを制御するために効果的な方法であるが、同一の基板上に、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTの両方を形成してCMOS回路などを形成するとき、Vthが−4〜−3V程度にシフトしていると、一回のチャネルドープで両方のTFTのVthを制御することは困難であった。すなわち、nチャネル型TFTのVthを0.5〜2.5V、pチャネル型TFTのVthを−0.5〜−2.5Vとするために添加しなければならない不純物元素の量は同じでなかった。チャネルドープを2回行うと、工程数が増え、製造コストが高くなる要因となってしまった。
【0013】
本発明は、VthやS値に代表されるTFTの特性がばらつくことなく作製することが可能で、安定な特性が得られるTFTおよびその作製方法を提供し、そうようなTFTを用てアクティブマトリクス型の液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の問題点を解決するために、本発明はTFTのバックチャネル側に、SiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(A)と、SiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(B)とを積層させたブロッキング層を設ける。このような酸化窒化シリコン膜の積層構造とすることにより、基板からのアルカリ金属元素の汚染を防止し、かつTFTに与える内部応力によるストレスの影響を緩和することができる。
【0015】
酸化窒化シリコン膜の作製方法は、プラズマCVD法や減圧CVD法やECR―CVD法などを用いる。原料ガスにはSiH4、NH3、N2Oを用いる。組成比は原料ガスの供給量を制御してやるか、反応圧力や、放電電力、放電周波数、基板温度などの成膜に係わるパラメーターを調節することで可能である。NH3は酸化窒化シリコン膜の窒化を補うものであり、供給量を適宣調節することで効果的に酸化窒化シリコン膜の窒素の含有量を制御することができる。
【0016】
酸化窒化シリコン膜(A)は、含有する酸素濃度を20atomic%以上30atomic%以下、窒素濃度を20atomic%以上30atomic%以下とする。或いは、酸素に対する窒素の組成比を0.6以上1.5以下とする。また、酸化窒化シリコン膜(B)は、含有する酸素濃度を55atomic%以上65atomic%以下、窒素濃度を1atomic%以上20atomic%以下とする。或いは、酸素に対する窒素の組成比を0.01以上0.4以下とする。酸化窒化シリコン膜(A)の水素濃度は10atomic%以上20atomic%以下とし、酸化窒化シリコン膜(B)の水素濃度は0.1atomic%以上10atomic%以下とする。
【0017】
アルカリ金属元素のブロッキング性を高めるためには、酸化窒化シリコン膜の窒素含有量を増やすことで膜を緻密化する必要がある。しかし、酸化窒化シリコン膜に含有する窒素の割合を高めると、トラップ準位が増加し、また内部応力が大きくなるので、この上に直接活性層を形成することは適していない。従って、窒素含有量が酸素含有量よりも少ない別の組成を有する酸化窒化シリコン膜を設ける。
【0018】
また、非晶質半導体層よりも先に形成するブロッキング層は、非晶質半導体層の結晶化の工程前後で内部応力が変化する。そこで、結晶質半導体層への影響を考慮すると、内部応力の変化量が小さいことが必要になる。このような特性をブロッキング層に備えるためには、酸化窒化シリコン膜の組成と膜厚に適当な範囲が必要であり、本発明はそのような値を見出したものである。
【0019】
アルカリ金属元素に対するブロッキング性は、ガラス基板に密接して設ける酸化窒化シリコン膜(A)を10〜150nm、好ましくは20〜60nmの厚さで設け、その上に酸化窒化シリコン膜(B)を10〜250nm、好ましくは20〜100nmの厚さで設ける。
【0020】
そして、酸化窒化シリコン膜(A)は、密度が8×1022/cm3以上2×1023/cm3以下とし、酸化窒化シリコン膜(B)は、密度が6×1022/cm3以上9×1022/cm3以下とする。このような酸化窒化シリコン膜(A)のフッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合水溶液の20℃におけるエッチングレートは60〜70nm/min(500℃、1時間+550℃、4時間の熱処理後では、40〜50nm/min)であり、酸化窒化リコン膜(B)のエッチングレートは110〜130nm/min(500℃、1時間+550℃、4時間の熱処理後では、90〜100nm/min)である。ここで定義したエッチングレートはエッチング溶液として、NH4HF2を7.13%、NH4Fを15.4%含む水溶液を用い、20℃のときに得られる値である。
【0021】
ブロッキング層は酸化窒化シリコン膜(A)と酸化窒化リコン膜(B)とを積層させて形成するので、積層した状態での内部応力を考慮する必要があり、結晶化工程の前後における内部応力の変化量が1×104Pa以下となるようにする。
【0022】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
本実施形態では、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTでなるCMOS回路の作製工程を説明する。合わせて、本発明に至る過程を説明する。本発明の実施形態を図1と図2を用いて説明する。ここではCMOS回路を形成するのに必要なnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを同一基板上に作製する方法について工程に従って詳細に説明する。そして、TFTのVthやS値を所望の値にするのに適したブロッキング層の組成および構造を明らかにした。
【0023】
<ブロッキング層の形成と非晶質半導体層の形成:図1(A)>
図1(A)において、基板101にはコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラス基などに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどを用いる。このようなガラス基板には微量ではあるがナトリウムなどのアルカリ金属元素が含まれていた。そして、ガラス歪み点よりも10〜20℃程度低い温度であらかじめ熱処理しておいても良い。この基板101のTFTを形成する表面には、基板101から前記アルカリ金属元素やその他の不純物の汚染を防ぐためにブロッキング層102を形成する。ブロッキング層102は、SiH4、NH3、N2Oから作製する酸化窒化シリコン膜(A)102aと、SiH4、N2Oから作製する酸化窒化シリコン膜(B)102bで形成する。酸化窒化シリコン膜(A)102aは10〜100nm(好ましくは20〜60nm)の厚さで形成し、酸化窒化シリコン膜(B)102bは10〜200nm(好ましくは20〜100nm)の厚さで形成する。
【0024】
酸化窒化シリコン膜(A)と酸化窒化シリコン膜(B)は公知の成膜法で形成すれば良いが、プラズマCVD法を用いることが最も好ましい。その時の代表的な作製条件を表1に示す。また、表1には対比として層間絶縁膜に使用するのに適した作製条件も示し、酸化窒化シリコン膜(C)とした。ガス流量比はそれぞれ表1に示す条件とし、他の作製条件においては、酸化窒化シリコン膜(A)は、基板温度325℃、反応圧力40Pa、放電電力密度0.41W/cm2、放電周波数60MHzとした。酸化窒化シリコン膜(B)の作製条件は、基板温度400℃とし、ガス流量比以外の他の作製条件は酸化窒化シリコン膜(A)と同様にした。酸化窒化シリコン膜(C)は酸化窒化シリコン膜(B)に対してガス流量比を異ならせ、さらに反応圧力93Pa、放電電力密度0.12W/cm2、放電周波数13.56MHzとした。
【0025】
【表1】
Figure 0004463377
【0026】
このような条件で作製された酸化窒化シリコン膜(A)〜(C)の諸特性を表2にまとめて示す。表2には、ラザフォード・バックスキャッタリング・スペクトロメトリー(Rutherford Backscattering Spectrometry:以下、RBSと省略して記す。使用装置 システム;3S−R10、加速器;NEC3SDH pelletron エンドステーション;CE&A RBS−400)から求めた水素(H)、窒素(N)、酸素(O)、シリコン(Si)の組成比と密度、フーリエ変換赤外分光法(以下、FT−IRと記す。使用装置 Nicolet Magna-IR 760)から求めたN−H結合とSi−H結合の密度、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液(ステラケミファ社製、商品名LAL500)の20℃におけるエッチング速度、および熱アニールによる内部応力の変化量を示す。内部応力の測定器はIonic System社製のModel-30114を使用し、シリコンウエハー基板上に作製した試料で測定した。内部応力の表記で(+)の記号は引張り応力(膜を内側にして変形する応力)を表し、(―)の記号は圧縮応力(膜を外側にして変形する応力)を表している。
【0027】
【表2】
Figure 0004463377
【0028】
酸化窒化シリコン膜(A)は酸素に対する窒素の組成比が0.91であり、酸化窒化シリコン膜(B)の0.12と比較して、窒素の含有比率が高くなる条件とした。このとき、酸化窒化シリコン膜(A)では酸素に対する水素の組成比が0.62となり、酸化窒化シリコン膜(B)では0.03であった。その結果膜の密度が高まり、ウエットエッチング速度は酸化窒化シリコン膜(B)の96nm/min(熱アニール後)と比較して酸化窒化シリコン膜(A)44nm/min(熱アニール後)となり、速度が遅くなることから緻密な膜であることが推定できた。ウエットエッチング速度から比較すると、酸化窒化シリコン膜(C)は酸化窒化シリコン膜(B)よりも速く、密度が小さい膜であることが推定できる。
【0029】
勿論、酸化窒化シリコン膜の作製条件は表1に限定されるものではない。酸化窒化シリコン膜(A)は、SiH4とNH3とN2Oとを用い、基板温度250〜450℃、反応圧力10〜100Pa、電源周波数13.56MHz以上を用い、放電電力密度0.15〜0.80W/cm2として、水素濃度10〜30atomic%、窒素濃度20〜30atomic%、酸素濃度20〜30atomic%、密度8×1022〜2×1023/cm3、上記フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液エッチング速度が40〜70nm/minとなるようにすれば良い。一方、酸化窒化シリコン膜(B)は、SiH4とN2Oとを用い、基板温度250〜450℃、反応圧力10〜100Pa、電源周波数13.56MHz以上を用い、放電電力密度0.15〜0.80W/cm2として、水素濃度0.1〜10atomic%、窒素濃度1〜20atomic%、酸素濃度55〜65atomic%、密度6×1022〜9×1022/cm3、上記フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液エッチング速度が90〜130nm/minとなるようにすれば良い。
【0030】
また、表2では結合水素量、ウエットエッチング速度、内部応力については膜の堆積後の値と、熱処理(500℃、1時間+550℃、4時間:結晶化の工程における処理条件と同等なもの)後の値を示した。表2の特性から明らかなように、この熱処理によって酸化窒化シリコン膜から水素が放出され、また膜が緻密化して引張り応力が大きくなる方向へ変化した。
【0031】
次に、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質構造を有する半導体層103aを、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で形成する。本実施形態では、プラズマCVD法で非晶質シリコン膜を55nmの厚さに形成した。非晶質構造を有する半導体膜としては、非晶質半導体膜や微結晶半導体膜があり、非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。また、ブロッキング層102と非晶質半導体層103aとは両者を連続形成しても良い。例えば、ブロッキング層102bをプラズマCVD法で成膜後、反応ガスをSiH4、N2OからSiH4とH2或いはSiH4のみに切り替えれば、一旦大気雰囲気に晒すことなく連続形成できる。その結果、ブロッキング層102bの表面の汚染を防ぐことが可能となり、作製するTFTの特性バラツキやしきい値電圧の変動を低減させることができる。
【0032】
<結晶化の工程:図1(B)>
そして、公知の結晶化技術を使用して非晶質半導体層103aから結晶質半導体層103bを形成する。例えば、レーザーアニール法や熱アニール法(固相成長法)、またはラピットサーマルアニール法(RTA法)を適用すれば良い。RTA法では、赤外線ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを光源に用いる。或いは特開平7−130652号公報で開示された技術に従って、触媒元素を用いる結晶化法で結晶質半導体層103bを形成することもできる。結晶化の工程ではまず、非晶質半導体層が含有する水素を放出させておくことが肝要であり、400〜500℃で1時間程度の熱処理を行い含有する水素量を5atom%以下にしてから結晶化させることが望ましい。
【0033】
結晶化をレーザーアニール法にて行う場合には、パルス発振型または連続発光型のエキシマレーザーやアルゴンレーザーをその光源とする。パルス発振型のエキシマレーザーを用いる場合には、レーザー光を線状に加工してレーザーアニールを行う。レーザーアニール条件は実施者が適宣選択するものであるが、例えば、レーザーパルス発振周波数30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜500mJ/cm2(代表的には300〜400mJ/cm2)とする。そして線状ビームを基板全面に渡って照射し、この時の線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜98%として行う。このようにして結晶質半導体層を形成することができる。
【0034】
その他にも個体レーザーであるYAGレーザー、YVO4レーザー、YAlO3レーザー、YLFレーザーなどを用いることができる。これらの個体レーザーは1064nmの基本波よりは、むしろその第2高調波(532nm)、第3高調波(355nm)、第4高調波(266nm)が利用される。光の侵入長により、第2高調波(532nm)を用いる場合には半導体膜の表面及び内部から、第3高調波(355nm)や第4高調波(266nm)の場合にはエキシマレーザーと同様に半導体膜の表面から加熱して結晶化を行うことができる。
【0035】
非晶質半導体膜の結晶化条件の一例は、Nd:YAGレーザーのパルス発振周波数を1〜10kHzとし、レーザーエネルギー密度を100〜500mJ/cm2(代表的には100〜400mJ/cm2)として、シリンドリカルレンズなどを含む光学系にて形成した線状レーザー光306をその長手方向に対し垂直な方向に走査して(或いは、相対的に基板を移動させて)する。線状レーザー光の線幅は100〜1000μm、例えば400μmとする。このようにして熱結晶化法とレーザー結晶化法を併用することにより、結晶性の高い結晶質半導体膜を形成することができる。
【0036】
熱アニール法による場合にはファーネスアニール炉を用い、窒素雰囲気中で600〜660℃程度の温度でアニールを行う。いずれにしても非晶質半導体層を結晶化させると原子の再配列が起こり緻密化するので、作製される結晶質半導体層の厚さは当初の非晶質半導体層の厚さ(本実施例では55nm)よりも1〜15%程度減少した。
【0037】
<島状半導体層形成、マスク層形成:図1(C)>
そして、結晶質半導体層103b上にフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングによって結晶質半導体層を島状に分割して島状半導体層104、105aを形成し活性層とする。ドライエッチングにはCF4とO2の混合ガスを用いた。その後、プラズマCVD法や減圧CVD法、またはスパッタ法により50〜100nmの厚さの酸化シリコン膜によるマスク層106を形成する。例えば、プラズマCVD法による場合、オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl Orthosilicate:TEOS)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させ、100〜150nm代表的には130nmの厚さに形成する。
【0038】
<チャネルドープ工程:図1(D)>
そしてフォトレジストマスク107を設け、nチャネル型TFTを形成する島状半導体層105aにしきい値電圧を制御する目的で1×1016〜5×1017atoms/cm3程度の濃度でp型を付与する不純物元素を添加する。半導体に対してp型を付与する不純物元素には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。ここではイオンドープ法でジボラン(B26)を用いホウ素(B)を添加した。ホウ素(B)添加は必ずしも必要でなく省略しても差し支えないが、ホウ素(B)を添加した半導体層105bはnチャネル型TFTのしきい値電圧を所定の範囲内に収めるために形成することができた。
【0039】
<n-ドープ工程:図1(E)>
nチャネル型TFTのLDD領域を形成するために、n型を付与する不純物元素を島状半導体層105bに選択的に添加する。半導体に対してn型を付与する不純物元素には、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)など周期律表第15族の元素が知られている。フォトレジストマスク108を形成し、ここではリン(P)を添加すべく、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法を適用した。形成される不純物領域109におけるリン(P)濃度は2×1016〜5×1019atoms/cm3の範囲とする。本明細書中では、不純物領域109に含まれるn型を付与する不純物元素の濃度を(n-)と表す。
【0040】
<マスク層除去、レーザー活性化、ゲート絶縁膜形成:図1(F)>
次に、マスク層106を純水で希釈したフッ酸などのエッチング液により除去した。そして、図1(D)と図1(E)で島状半導体層105bに添加した不純物元素を活性化させる工程を行う。活性化は窒素雰囲気中で500〜600℃で1〜4時間の熱アニールや、レーザーアニールなどの方法により行うことができる。また、両方の方法を併用して行っても良い。本実施例では、レーザー活性化の方法を用い、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)を用い、線状ビームを形成して、発振周波数5〜50Hz、エネルギー密度100〜500mJ/cm2として線状ビームのオーバーラップ割合を80〜98%として走査して、島状半導体層が形成された基板全面を処理した。尚、レーザー光の照射条件には何ら限定される事項はなく、実施者が適宣決定すれば良い。
【0041】
次に、ゲート絶縁膜110をプラズマCVD法またはスパッタ法を用いて40〜150nmの厚さでシリコンを含む絶縁膜で形成する。例えば、120nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(B)で形成すると良い。その他に、ゲート絶縁膜を他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0042】
<第1の導電層の形成:図2(A)>
ゲート絶縁膜上には、ゲート電極を形成するために導電層を成膜する。この導電層は単層で形成しても良いが、必要に応じて二層あるいは三層といった積層構造とすることもできる。本実施例では、導電性の窒化物金属膜から成る導電層(A)111と金属膜から成る導電層(B)112とを積層させた。導電層(B)112はタンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金か、前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金膜、Mo−Ta合金膜)で形成すれば良く、導電層(A)111は窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)膜、窒化モリブデン(MoN)などで形成する。また、導電層(A)111はタングステンシリサイド、チタンシリサイド、モリブデンシリサイドを適用しても良い。導電層(B)112は低抵抗化を図るために含有する不純物濃度を低減させると良く、特に酸素濃度に関しては30ppm以下とすると良かった。例えば、タングステン(W)は酸素濃度を30ppm以下とすることで20μΩcm以下の比抵抗値を実現することができた。
【0043】
導電層(A)111は10〜50nm(好ましくは20〜30nm)とし、導電層(B)112は200〜400nm(好ましくは250〜350nm)とすれば良い。本実施例では、導電層(A)111に30nmの厚さのTaN膜を、導電層(B)112には350nmのTa膜を用い、いずれもスパッタ法で形成した。TaN膜はTaをターゲットとしてスパッタガスにArと窒素との混合ガスを用いて成膜した。TaはスパッタガスにArを用いた。また、これらのスパッタガス中に適量のXeやKrを加えておくと、形成する膜の内部応力を緩和して膜の剥離を防止することができる。α相のTa膜の抵抗率は20μΩcm程度でありゲート電極に使用することができるが、β相のTa膜の抵抗率は180μΩcm程度でありゲート電極とすすには不向きであった。TaN膜はα相に近い結晶構造を持つので、この上にTa膜を形成すればα相のTa膜が容易に得られた。尚、図示しないが、導電層(A)111の下に2〜20nm程度の厚さでリン(P)をドープしたシリコン膜を形成しておくことは有効である。これにより、その上に形成される導電膜の密着性向上と酸化防止を図ると同時に、導電層(A)または導電層(B)が微量に含有するアルカリ金属元素がゲート絶縁膜110に拡散するのを防ぐことができる。いずれにしても、導電層(B)は抵抗率を10〜500μΩcmの範囲ですることが好ましい。
【0044】
<ゲート電極形成:図2(B)>
次に、フォトレジストマスク113を形成し、導電層(A)111と導電層(B)112とを一括でエッチングしてゲート電極114、115を形成する。例えば、ドライエッチング法によりCF4とO2の混合ガス、またはCl2を用いて1〜20Paの反応圧力で行うことができる。ゲート電極114、115は、導電層(A)から成る114a、115aと、導電層(B)から成る114b、115bとが一体として形成されている。この時、nチャネル型TFTのゲート電極115は不純物領域109の一部と、ゲート絶縁膜110を介して重なるように形成する。また、ゲート電極は導電層(B)のみで形成することも可能である。
【0045】
<p+ドープ工程:図2(C)>
次いで、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域とする不純物領域117を形成する。ここでは、ゲート電極114をマスクとしてp型を付与する不純物元素を添加し、自己整合的に不純物領域を形成する。このとき、nチャネル型TFTを形成する島状半導体層はフォトレジストマスク116で被覆しておく。そして、不純物領域117はジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で形成する。この領域のボロン(B)濃度は3×1020〜3×1021atoms/cm3となるようにする。本明細書中では、ここで形成された不純物領域117に含まれるp型を付与する不純物元素の濃度を(p+)と表す。
【0046】
<n+ドープ工程:図2(D)>
次に、nチャネル型TFTのソース領域またはドレイン領域を形成する不純物領域118の形成を行った。ここでは、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法で行い、この領域のリン(P)濃度を1×1020〜1×1021atoms/cm3とした。本明細書中では、ここで形成された不純物領域118に含まれるn型を付与する不純物元素の濃度を(n+)と表す。不純物領域117にも同時にリン(P)が添加されるが、既に前の工程で添加されたボロン(B)濃度と比較して不純物領域117に添加されたリン(P)濃度はその1/2〜1/3程度なのでp型の導電性が確保され、TFTの特性に何ら影響を与えることはなかった。
【0047】
<保護絶縁層形成、活性化工程、水素化工程:図2(E)>
その後、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型を付与する不純物元素を活性化する工程を熱アニール法で行う。この工程はファーネスアニール炉を用いれば良い。その他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)で行うことができる。アニール処理は酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜600℃で行うものであり、本実施例では550℃で4時間の熱処理を行った。また、アニール処理の前に、50〜200nmの厚さの保護絶縁層119を酸化窒化シリコン膜や酸化シリコン膜などで形成すると良い。酸化窒化シリコン膜は表1のいずれの条件でも形成できるが、その他にも、SiH4を27SCCM、N2Oを900SCCMとして反応圧力160Pa、基板温度325℃、放電電力密度0.1W/cm2で形成すると良い。
【0048】
レーザーアアニール法による結晶化は、エキシマレーザーや、YAGレーザー、YVO4レーザー、YAlO3レーザー、YLFレーザーなどで行う。YAGレーザーなどの個体レーザーは基本波から第2、第3高調波のいずれかを適用すると良い。
【0049】
活性化の工程の後、さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行い、島状半導体層を水素化する工程を行った。この工程は熱的に励起された水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0050】
<層間絶縁層、ソース配線およびドレイン配線形成、パッシベーション膜形成:図2(F)>
活性化および水素化の工程が終了したら、保護絶縁層上にさらに酸化窒化シリコン膜または酸化シリコン膜を積層させ、層間絶縁層120を形成する。酸化窒化シリコン膜は保護絶縁層119と同様にしてSiH4を27SCCM、N2Oを900SCCMとして反応圧力160Pa、基板温度325℃とし、放電電力密度を0.15W/cm2として、500〜1500nm(好ましくは600〜800nm)の厚さで形成する。
【0051】
そして、層間絶縁層120および保護絶縁層119TFTのソース領域またはドレイン領域に達するコンタクトホールを形成し、ソース配線121、124と、ドレイン配線122、123を形成する。図示していないが、本実施例ではこの電極を、Ti膜を100nm、Tiを含むアルミニウム膜300nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続して形成した3層構造の積層膜とした。
【0052】
次に、パッシベーション膜125として、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を50〜500nm(代表的には100〜300nm)の厚さで形成する。さらに、この状態で水素化処理を行うとTFTの特性向上に対して好ましい結果が得られた。例えば、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行うと良く、あるいはプラズマ水素化法を用いても同様の効果が得られた。
【0053】
こうして基板101上に、nチャネル型TFT134とpチャネル型TFT133とを完成させることができた。pチャネル型TFT133には、島状半導体層104にチャネル形成領域126、ソース領域127、ドレイン領域128を有している。nチャネル型TFT134には、島状半導体層105にチャネル形成領域129、ゲート電極115と重なるLDD領域130(以降、このようなLDD領域をLovと記す)、ソース領域132、ドレイン領域131を有している。このLov領域のチャネル長方向の長さは、チャネル長3〜8μmに対して、0.5〜3.0μm(好ましくは1.0〜1.5μm)とした。図2ではそれぞれのTFTをシングルゲート構造としたが、ダブルゲート構造でも良いし、複数のゲート電極を設けたマルチゲート構造としても差し支えない。
【0054】
このように作製したTFTの特性を評価した。TFTで形成した回路を所望の駆動電圧で正常に動作させるために着目する特性は、Vth、S値、電界効果移動度などであり、ここでは特にVthとS値について着目した。TFTのサイズはpチャネル型およびnチャネル型TFT共にチャネル長L=8μm、チャネル幅W=8μmであり、nチャネル型TFTにはLDDとしてLov=2μmを設けてある。
【0055】
図3は、チャネルドープをしていないnチャネル型TFTのS値とVshiftの関係を、各種ブロッキング層の膜厚をパラメータとして示したものである。ここで、Vshiftとは図23(C)に示すように、ドレイン電流(Id)対ゲート電圧(Vg)のサブスレッショルド特性において、傾きが最大になる点に引かれた接線がId=1×10-12Aの水平線と交差する電圧値として定義する。Vshiftは小さいほど良く、理想的にはVshift=0Vであることが望ましい。図3に示すデータでは、S値とVshiftの間には明らかな相間が見られ、Vshiftが0Vに近づくほどS値が小さくなり、TFTの特性として理想的な状態になって行くことが明らかである。
【0056】
図3では、nチャネル型TFTのVshiftの値ブロッキング層102を構成する酸化窒化シリコン膜(A)と酸化窒化シリコン膜(B)との膜厚について検討した結果である。図3でプロットしたデータはいずれもチャネルドープをしていない試料のものであり、Vshiftの値を所定の範囲内にするには最適な膜厚の組み合わせがあることを示している。例えば、Vshiftをー1.5〜―0.5Vの範囲にするには、酸化窒化シリコン膜(A)の厚さを50nmまたは200nmとし、酸化窒化シリコン膜(B)の厚さを30nmまたは200nmとすれば良いことがわかる。
【0057】
図4(A)〜(F)は、nチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTにおけるVth、S値、Vshiftの第1のブロッキング層102aの膜厚依存性を示す。第2のブロッキング層102bの厚さは200nm一定とした。第1のブロッキング層102aの膜厚の変化50〜200nmに対して特性の変化は観測されていない。
【0058】
また、図5(A)〜(F)は、nチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTにおけるVth、S値、Vshiftの第2のブロッキング層102bの膜厚依存性を示す。第1のブロッキング層102aの厚さは50nm一定とした。図5に示すデータには、第2のブロッキング層102bに酸化窒化シリコン膜(B)を適用した場合と、酸化窒化シリコン膜(C)を適用した場合とを示した。その結果、まず第2のブロッキング層102bが厚くなるとS値が悪くなり、Vthの変動も大きくなった。その傾向は酸化窒化シリコン膜(C)を適用した場合において顕著であった。その原因は十分明らかでないが、表2で示したように酸化窒化シリコン膜(B)と(C)とではウエットエッチング速度に差があり、酸化窒化シリコン膜(B)のようにウエットエッチング速度が遅く、緻密で硬い膜の方が良いことが明らであった。
【0059】
図6は、ブロッキング層102のアルカリ金属元素の汚染防止効果を、2次イオン質量分析法(SIMS)で測定した結果を示す。測定に用いた装置は、Physical Electronics社製Model-6600であり、試料は、ガラス基板上にまず酸化窒化シリコン膜(A)を50nmの厚さに密接形成し、その上に酸化窒化シリコン膜(B)を125nm、さらにシリコン膜を50nm形成し、ファーネスアニール炉を用い熱アニール法による結晶化温度(500℃で1時間と、550℃で4時間の熱アニール処理)で処理したものである。図6のデータは、シリコン(Si)と酸素(O)と窒素(N)の分布を2次イオン強度で表し、その分布に対するナトリウム(Na)の分布を定量化して示した。その結果、ガラス基板から酸化窒化シリコン膜(A)への拡散もしくはしみ出しは観測されず、酸化窒化シリコン膜(A)の膜厚が50nmでも十分ブロッキング層として効果があることが確認できた。
【0060】
図7は、前述の結晶化温度における処理前後のブロッキング層の内部応力変化に対するVshiftの変化を示す。酸化窒化シリコン膜(A)と酸化窒化シリコン膜(B)との膜厚の組み合わせについて検討されているが、内部応力の変化量が少ない程Vshiftが小さくなることが明らかとなった。
【0061】
完成したTFTにおいてnチャネル型TFTでは、S値を0.10V/dec以上0.30V/dec以下、Vthを0.5V以上2.5V以下、電界効果移動度は120cm2/V・sec以上250cm2/V・sec以下とすることができる。また、pチャネル型TFTでは、S値を0.10V/dec以上0.30V/dec以下、Vthを−0.5V以上−2.5V以下、電界効果移動度は80cm2/V・sec以上150cm2/V・sec以下とすることができる。このようにバックチャネル側に設ける酸化窒化シリコン膜を用いたブロッキング層の膜厚および膜質には最適な範囲があり、適した組み合わせとすることによりTFTの特性を安定化させることができる。
【0062】
[実施形態2]
実施形態1で示したブロッキング層を設けることで、図3で示したようにVthをー0.5〜―1.5V程度の範囲とすることができ、チャネルドープ工程を簡略化することができる。実施形態1と同様にして図1(C)までの工程を行い、基板101上にブロッキング層102、島状半導体層104、105、マスク層106を形成する。そして、図21に示すようにしきい値電圧を制御する目的で実施形態1と同様に、イオンドープ法でジボラン(B26)を用いホウ素(B)を添加して、ボロン(B)が添加された島状半導体層104b、105bを形成する。これは特別にフォトレジストマスクを設けずに行う全面チャネルドープ工程とする。添加するボロン(B)濃度を1×1016atoms/cm3で添加するとnチャネル型TFTのVthを0.5〜2.5Vの範囲にすることができた。このボロン(B)濃度では、pチャネル型TFTのVthは殆ど変化せず、−0.5〜―1.5Vの範囲であった。その他の方法として、非晶質半導体層を形成するときにジボラン(B26)を同時に添加しても同様な効果を得ることができる。以降は図1(E)以降の工程を実施形態1と同様にして行えば図2(F)に示す構造のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを形成できる。ここでチャネル形成領域126、129には図21で添加した濃度のボロン(B)が含まれている。このような工程とすることで、チャネルドープ用のフォトマスクを1枚削減でき、実施形態1と比較して工程数を削減することができる。
【0063】
[実施形態3]
本実施形態では、Vthの値を精密に制御する形態について示す。まず、実施形態1と同様にして図1(C)までの工程を行い、基板101上にブロッキング層102、島状半導体層104、105、マスク層106を形成する。そして、図22(A)で示すように実施形態2と同様にして全面チャネルドープ工程を行い、ボロン(B)が添加された島状半導体層104b、105bを形成する。さらに、図22(B)に示すように、フォトレジストマスク107を形成し、1×1016〜5×1017atoms/cm3程度の濃度でp型を付与する不純物元素を添加して、ボロン(B)が添加された島状半導体層105cを形成する。以降は図1(E)以降の工程を実施形態1と同様にして行えば図2(F)に示す構造のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを形成できる。ここでチャネル形成領域126、129には図21で添加した濃度のボロン(B)が含まれている。このような工程とすることで、nチャネル型TFTのVthを0.5〜2.5Vの範囲に精密に制御することが可能となり、pチャネル型TFTのVthを−0.5〜―1.5Vの範囲とすることができる。
【0064】
【実施例】
[実施例1]
本発明の実施例を図8〜図12を用いて説明する。ここでは画素部の画素TFTと、画素部の周辺に設けられる駆動回路のTFTを同一基板上に作製する方法について工程に従って詳細に説明する。但し、説明を簡単にするために、制御回路ではシフトレジスタ回路、バッファ回路などの基本回路であるCMOS回路と、サンプリング回路を形成するnチャネル型TFTとを図示することにする。
【0065】
図8(A)において、基板201にはバリウムホウケイ酸ガラス基板やアルミノホウケイ酸ガラス基板を用いる。本実施例ではアルミノホウケイ酸ガラス基板を用いた。この時ガラス歪み点よりも10〜20℃程度低い温度であらかじめ熱処理しておいても良い。この基板201のTFTを形成する表面には、基板201からのアルカリ金属元素をはじめとする不純物拡散を防ぐために、酸化窒化シリコン膜(A)202aを50nmの厚さに形成し、さらにその上に酸化窒化シリコン膜(B)202bを100nmを積層させてブロッキング層202とする。
【0066】
次に、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質構造を有する半導体層203aを、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で形成する。本実施例では、プラズマCVD法で非晶質シリコン膜を55nmの厚さに形成した。非晶質構造を有する半導体膜としては、非晶質半導体膜や微結晶半導体膜があり、非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。また、ブロッキング層202と非晶質シリコン層203aとは同じ成膜法で形成することが可能であるので、両者を連続形成しても良い。下地膜を形成した後、一旦大気雰囲気に晒さないことでその表面の汚染を防ぐことが可能となり、作製するTFTの特性バラツキやしきい値電圧の変動を低減させることができる。(図8(A))
【0067】
そして、公知の結晶化技術を使用して非晶質シリコン層203aから結晶質シリコン層203bを形成する。例えば、レーザーアニール法や熱アニール法(固相成長法)を適用すれば良いが、ここでは特開平7−130652号公報で開示された技術に従って、触媒元素を用いる結晶化法で結晶質シリコン層203bを形成した。まず、重量換算で10ppmの触媒元素を含む水溶液をスピンコート法で塗布して触媒元素を含有する層を形成した(図示せず)。触媒元素にはニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などである。結晶化の工程では、まず400〜500℃で1時間程度の熱処理を行い、非晶質シリコン膜の含有水素量を5atom%以下にする。そして、ファーネスアニール炉を用い、窒素雰囲気中で550〜600℃で1〜8時間の熱アニールを行う。以上の工程までで結晶質シリコン膜を得ることができる。この状態で表面に残存する触媒元素の濃度は3×1010〜2×1011atoms/cm2であった。その後、結晶化率を高めるためにレーザーアニール法を併用しても良い。例えば、XClエキシマレーザー(波長308nm)を用い、光学系で線状ビームを形成して、発振周波数5〜50Hz、エネルギー密度100〜500mJ/cm2として線状ビームのオーバーラップ割合を80〜98%として照射する。このようにして、結晶性シリコン膜203bを得る。(図8(B))
【0068】
そして、結晶質シリコン膜203bをエッチング処理して島状に分割し、島状半導体層204〜207を形成し活性層とする。その後、プラズマCVD法や減圧CVD法、またはスパッタ法により50〜100nmの厚さの酸化シリコン膜によるマスク層208を形成する。例えば、減圧CVD法でSiH4とO2との混合ガスを用い、266Paにおいて400℃に加熱して酸化シリコン膜を形成する。(図8(C))
【0069】
そしてチャネルドープ工程を行う。まず、フォトレジストマスク209を設け、nチャネル型TFTを形成する島状半導体層205〜207の全面にしきい値電圧を制御する目的で1×1016〜5×1017atoms/cm3程度の濃度でp型を付与する不純物元素としてボロン(B)を添加した。ボロン(B)の添加はイオンドープ法で実施しても良いし、非晶質シリコン膜を成膜するときに同時に添加しておくこともできる。ここでのボロン(B)添加は必ずしも必要でないが、ボロン(B)を添加した半導体層210〜212はnチャネル型TFTのしきい値電圧を所定の範囲内に収めるために形成することが好ましかった。このチャネルドープ工程は、実施形態2または実施形態3で示した方法で行っても良い。(図8(D))
【0070】
駆動回路のnチャネル型TFTのLDD領域を形成するために、n型を付与する不純物元素を島状半導体層210、211に選択的に添加する。そのため、あらかじめフォトレジストマスク213〜216を形成した。ここではリン(P)を添加すべく、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法を適用した。形成された不純物領域(n-)217、218のリン(P)濃度は2×1016〜5×1019atoms/cm3のとする。また、不純物領域219は、画素部の保持容量を形成するための半導体層であり、この領域にも同じ濃度でリン(P)を添加した。(図9(A))
【0071】
次に、マスク層208をフッ酸などにより除去して、図8(D)と図9(A)で添加した不純物元素を活性化させる工程を行う。活性化は、窒素雰囲気中で500〜600℃で1〜4時間の熱アニールや、レーザーアニールの方法により行うことができる。また、両者を併用して行っても良い。本実施例では、レーザー活性化の方法を用い、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)を用い、線状ビームを形成して、発振周波数5〜50Hz、エネルギー密度100〜500mJ/cm2として線状ビームのオーバーラップ割合を80〜98%として走査して、島状半導体層が形成された基板全面を処理した。尚、レーザー光の照射条件には何ら限定される事項はなく、実施者が適宣決定すれば良い。
【0072】
そして、ゲート絶縁膜220をプラズマCVD法またはスパッタ法を用いて40〜150nmの厚さでシリコンを含む絶縁膜で形成する。例えば酸化窒化シリコン膜(B)で形成する。ゲート絶縁膜には、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。(図9(B))
【0073】
次に、ゲート電極を形成するために第1の導電層を成膜する。本実施例では導電性の窒化物金属膜から成る導電層(A)221と金属膜から成る導電層(B)222とを積層させた。ここでは、Taをターゲットとしたスパッタ法で導電層(B)222をタンタル(Ta)で250nmの厚さに形成し、導電層(A)221は窒化タンタル(TaN)で50nmの厚さに形成した。(図9(C))
【0074】
次に、フォトレジストマスク223〜227を形成し、導電層(A)221と導電層(B)222とを一括でエッチングしてゲート電極228〜231と容量配線232を形成する。ゲート電極228〜231と容量配線232は、導電層(A)から成る228a〜232aと、導電層(B)から成る228b〜232bとが一体として形成されている。この時、駆動回路に形成するゲート電極229、230は不純物領域217、218の一部と、ゲート絶縁膜220を介して重なるように形成する。(図9(D))
【0075】
次いで、駆動回路のpチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域を形成するために、p型を付与する不純物元素を添加する工程を行う。ここでは、ゲート電極228をマスクとして、自己整合的に不純物領域を形成する。nチャネル型TFTが形成される領域はフォトレジストマスク233で被覆しておく。そして、ジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で不純物領域(p+)234を1×1021atoms/cm3の濃度で形成した。(図10(A))
【0076】
次に、nチャネル型TFTにおいて、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域の形成を行った。レジストのマスク235〜237を形成し、n型を付与する不純物元素が添加して不純物領域238〜242を形成した。これは、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法で行い、不純物領域(n+)238〜242の(P)濃度を5×1020atoms/cm3とした。不純物領域238には、既に前工程で添加されたボロン(B)が含まれているが、それに比して1/2〜1/3の濃度でリン(P)が添加されるので、添加されたリン(P)の影響は考えなくても良く、TFTの特性に何ら影響を与えることはなかった。(図10(B))
【0077】
そして、画素部のnチャネル型TFTのLDD領域を形成するために、n型を付与する不純物添加の工程を行った。ここではゲート電極231をマスクとして自己整合的にn型を付与する不純物元素をイオンドープ法で添加した。添加するリン(P)の濃度は5×1016atoms/cm3とし、図9(A)および図10(A)と図10(B)で添加する不純物元素の濃度よりも低濃度で添加することで、実質的には不純物領域(n--)243、244のみが形成される。(図10(C))
【0078】
その後、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型を付与する不純物元素を活性化するために熱処理工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用いた熱アニール法、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)で行うことができる。ここではファーネスアニール法で活性化工程を行った。熱処理は酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜600℃で行うものであり、本実施例では550℃で4時間の熱処理を行った。
【0079】
この熱アニールにおいて、ゲート電極228〜231と容量配線232形成するTa膜228b〜232bは、表面から5〜80nmの厚さでTaNから成る導電層(C)228c〜232cが形成される。その他に導電層(B)228b〜232bがタングステン(W)の場合には窒化タングステン(WN)が形成され、チタン(Ti)の場合には窒化チタン(TiN)を形成することができる。また、窒素またはアンモニアなどを用いた窒素を含むプラズマ雰囲気にゲート電極228〜231を晒しても同様に形成することができる。さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱アニールを行い、島状半導体層を水素化する工程を行った。この工程は熱的に励起された水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0080】
本実施例のように、島状半導体層を非晶質シリコン膜から触媒元素を用いる結晶化の方法で作製した場合、島状半導体層中には微量(1×1017〜1×1019atoms/cm3程度)の触媒元素が残留した。勿論、そのような状態でもTFTを完成させることが可能であるが、残留する触媒元素を少なくともチャネル形成領域から除去する方がより好ましかった。この触媒元素を除去する手段の一つにリン(P)によるゲッタリング作用を利用する手段があった。ゲッタリングに必要なリン(P)の濃度は図10(B)で形成した不純物領域(n+)と同程度であれば良く、ここで実施される活性化工程の熱アニールにより、nチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTのチャネル形成領域から触媒元素を不純物領域238〜242に偏析させゲッタリングをすることができた。その結果不純物領域238〜242には1×1017〜1×1019atoms/cm3程度の触媒元素が偏析した。(図3(D))
【0081】
図13(A)および図14(A)はここまでの工程におけるTFTの上面図であり、A−A'断面およびC−C'断面は図10(D)のA−A'およびC−C'に対応している。また、B−B'断面およびD−D'断面は図15(A)および図16(A)の断面図に対応している。図13および図14の上面図はゲート絶縁膜を省略しているが、ここまでの工程で少なくとも島状半導体層204〜207上にゲート電極228〜231と容量配線232が図に示すように形成されている。
【0082】
活性化および水素化の工程が終了したら、ゲート配線とする第2の導電層を形成する。この第2の導電層は低抵抗材料であるアルミニウム(Al)や銅(Cu)を主成分とする導電層(D)で形成する。いずれにしても、第2の導電層の抵抗率は0.1〜10μΩcm程度とする。さらに、チタン(Ti)やタンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から成る導電層(E)を積層形成すると良い。本実施例では、チタン(Ti)を0.1〜2重量%含むアルミニウム(Al)膜を導電層(D)245とし、チタン(Ti)膜を導電層(E)246として形成した。導電層(D)245は200〜400nm(好ましくは250〜350nm)とすれば良く、導電層(E)246は50〜200(好ましくは100〜150nm)で形成すれば良い。(図11(A))
【0083】
そして、ゲート電極に接続するゲート配線を形成するために導電層(E)246と導電層(D)245とをエッチング処理して、ゲート配線247、248と容量配線249を形成た。エッチング処理は最初にSiCl4とCl2とBCl3との混合ガスを用いたドライエッチング法で導電層(E)の表面から導電層(D)の途中まで除去し、その後リン酸系のエッチング溶液によるウエットエッチングで導電層(D)を除去することにより、下地との選択加工性を保ってゲート配線を形成することができた。
【0084】
図13(B)および図14(B)はこの状態の上面図を示し、A−A'断面およびC−C'断面は図11(B)のA−A'およびC−C'に対応している。また、B−B'断面およびD−D'断面は図15(B)および図16(B)のB−B'およびD−D'に対応している。図13(B)および図14(B)において、ゲート配線147、148の一部は、ゲート電極128、129、131の一部と重なり電気的に接触している。この様子はB−B'断面およびD−D'断面に対応した図15(B)および図16(B)の断面構造図からも明らかで、第1の導電層を形成する導電層(C)と第2の導電層を形成する導電層(D)とが電気的に接触している。
【0085】
第1の層間絶縁膜250は500〜1500nmの厚さで酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜で形成する。本実施例では、SiH4を27SCCM、N2Oを900SCCM、として反応圧力160Pa、基板温度325℃で放電電力密度0.15W/cm2で形成した。その後、それぞれの島状半導体層に形成されたソース領域またはドレイン領域に達するコンタクトホールを形成し、ソース配線251〜254と、ドレイン配線255〜258を形成する。図示していないが、本実施例ではこの電極を、Ti膜を100nm、Tiを含むアルミニウム膜300nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続して形成した3層構造の積層膜とした。
【0086】
次に、パッシベーション膜259として、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜を50〜500nm(代表的には100〜300nm)の厚さで形成する。この状態で水素化処理を行うとTFTの特性向上に対して好ましい結果が得られた。例えば、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行うと良く、あるいはプラズマ水素化法を用いても同様の効果が得られた。なお、ここで後に画素電極とドレイン配線を接続するためのコンタクトホールを形成する位置において、パッシベーション膜259に開口部を形成しておいても良い。(図11(C))
【0087】
図13(C)および図14(C)のはこの状態の上面図を示し、A−A'断面およびC−C'断面は図11(C)のA−A'およびC−C'に対応している。また、B−B'断面およびD−D'断面は図15(C)および図16(C)のB−B'およびD−D'に対応している。図13(C)と図14(C)では第1の層間絶縁膜を省略して示すが、島状半導体層204、205、207の図示されていないソースおよびドレイン領域にソース配線251、252、254とドレイン配線255、256、258が第1の層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して接続している。
【0088】
その後、有機樹脂からなる第2の層間絶縁膜260を1.0〜1.5μmの厚さに形成する。有機樹脂としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用することができる。ここでは、基板に塗布後、熱重合するタイプのポリイミドを用い、300℃で焼成して形成した。そして、第2の層間絶縁膜260にドレイン配線258に達するコンタクトホールを形成し、画素電極261、262を形成する。画素電極は、透過型液晶表示装置とする場合には透明導電膜を用いれば良く、反射型の液晶表示装置とする場合には金属膜を用いれば良い。本実施例では透過型の液晶表示装置とするために、酸化インジウム・スズ(ITO)膜を100nmの厚さにスパッタ法で形成した。(図12)
【0089】
こうして同一基板上に、駆動回路のTFTと画素部の画素TFTとを有した基板を完成させることができた。駆動回路にはpチャネル型TFT301、第1のnチャネル型TFT302、第2のnチャネル型TFT303、画素部には画素TFT304、保持容量305が形成した。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0090】
駆動回路のpチャネル型TFT301には、島状半導体層204にチャネル形成領域306、ソース領域307a、307b、ドレイン領域308a,308bを有している。第1のnチャネル型TFT302には、島状半導体層205にチャネル形成領域309、ゲート電極229と重なるLDD領域(Lov)310、ソース領域311、ドレイン領域312を有している。このLov領域のチャネル長方向の長さは0.5〜3.0μm、好ましくは1.0〜1.5μmとした。第2のnチャネル型TFT303には、島状半導体層206にチャネル形成領域313、Lov領域とLoff領域(ゲート電極と重ならないLDD領域であり、以降Loff領域と記す)とが形成され、このLoff領域のチャネル長方向の長さは0.3〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μmである。画素TFT304には、島状半導体層207にチャネル形成領域318、319、Loff領域320〜323、ソースまたはドレイン領域324〜326を有している。Loff領域のチャネル長方向の長さは0.5〜3.0μm、好ましくは1.5〜2.5μmである。さらに、容量配線232、249と、ゲート絶縁膜と同じ材料から成る絶縁膜と、画素TFT304のドレイン領域326に接続し、n型を付与する不純物元素が添加された半導体層327とから保持容量305が形成されている。図12では画素TFT304をダブルゲート構造としたが、シングルゲート構造でも良いし、複数のゲート電極を設けたマルチゲート構造としても差し支えない。
【0091】
以上の様に本発明は、画素TFTおよび駆動回路が要求する仕様に応じて各回路を構成するTFTの構造を最適化し、半導体装置の動作性能と信頼性を向上させることを可能とすることができる。さらにゲート電極を耐熱性を有する導電性材料で形成することによりLDD領域やソース領域およびドレイン領域の活性化を容易とし、ゲート配線低抵抗材料で形成することにより、配線抵抗を十分低減できる。従って、表示領域(画面サイズ)が4インチクラス以上の表示装置に適用することができる。そして、実施形態で示したように、ブロッキング層202を酸化窒化シリコン膜(A)と酸化窒化シリコン膜(B)で形成することにより、完成したTFTにおいてnチャネル型TFTでは、S値を0.10V/dec以上0.30V/dec以下、Vthを0.5V以上2.5V以下、電界効果移動度は120cm2/V・sec以上250cm2/V・sec以下とすることができる。また、pチャネル型TFTでは、S値を0.10V/dec以上0.30V/dec以下、Vthを−0.5V以上−2.5V以下、電界効果移動度は80cm2/V・sec以上150cm2/V・sec以下とすることができる。その結果、駆動電圧を低くすることができ消費電力を低くすることができる。
【0092】
[実施例2]
本実施例では、実施例1で作製したアクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を説明する。図18に示すように、図12の状態のアクティブマトリクス基板に対し、配向膜601を形成する。通常液晶表示素子の配向膜にはポリイミド樹脂が多く用いられている。対向側の対向基板602には、遮光膜603、透明導電膜604および配向膜605を形成した。配向膜を形成した後、ラビング処理を施して液晶分子がある一定のプレチルト角を持って配向するようにした。そして、画素マトリクス回路と、CMOS回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とを、公知のセル組み工程によってシール材やスペーサ(共に図示せず)などを介して貼りあわせる。その後、両基板の間に液晶材料606を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止した。液晶材料には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図18に示すアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成した。
【0093】
次に、このアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成を、図19の斜視図および図20の上面図を用いて説明する。尚、図19と図20は、図8〜図12と図18の断面構造図と対応付けるため、共通の符号を用いている。また、図20で示すE―E’に沿った断面構造は、図12に示す画素マトリクス回路の断面図に対応している。
【0094】
図19においてアクティブマトリクス基板は、ガラス基板201上に形成された、画素部406と、走査信号駆動回路404と、画像信号駆動回路405で構成される。表示領域には画素TFT304が設けられ、周辺に設けられる駆動回路はCMOS回路を基本として構成されている。走査信号駆動回路404と、画像信号駆動回路405はそれぞれゲート配線231とソース配線254で画素TFT304に接続している。また、FPC(Flexible Print Circuit)731が外部入力端子734に接続され、入力配線402、403でそれぞれの駆動回路に接続している。
【0095】
図20は表示領域406のほぼ一画素分を示す上面図である。ゲート配線248は、図示されていないゲート絶縁膜を介してその下の半導体層207と交差している。図示はしていないが、半導体層には、ソース領域、ドレイン領域、n--領域でなるLoff領域が形成されている。また、263はソース配線254とソース領域324とのコンタクト部、264はドレイン配線258とドレイン領域326とのコンタクト部、265はドレイン配線258と画素電極261のコンタクト部である。保持容量305は、画素TFT304のドレイン領域326から延在する半導体層327とゲート絶縁膜を介して容量配線232、249が重なる領域で形成されている。
【0096】
なお、本実施例のアクティブマトリクス型液晶表示装置は、実施例1で説明した構造と照らし合わせて説明したが、実施例1の構成に限定されるものでなく、実施形態1〜3で示した工程を実施例1に応用して完成させたアクティブマトリクス基板を用いても良い。いずれにしても、本発明におけるブロッキング層を設けたアクティブマトリクス基板であれば自由に組み合わせてアクティブマトリクス型液晶表示装置を作製することができる。
【0097】
[実施例3]
図17は液晶表示装置の入出力端子、表示領域、駆動回路の配置の一例を示す図である。画素部406にはm本のゲート配線とn本のソース配線がマトリクス状に交差している。例えば、画素密度がVGAの場合、480本のゲート配線と640本のソース配線が形成され、XGAの場合には768本のゲート配線と1024本のソース配線が形成される。表示領域の画面サイズは、13インチクラスの場合対角線の長さは340mmとなり、18インチクラスの場合には460mmとなる。このような液晶表示装置を実現するには、ゲート配線を実施例1で示したような低抵抗材料で形成する必要がある。ゲート配線の時定数(抵抗×容量)が大きくなると走査信号の応答速度が遅くなり、液晶を高速で駆動できなくなる。例えば、ゲート配線を形成する材料の比抵抗が100μΩcmである場合には6インチクラスの画面サイズがほぼ限界となるが、3μΩcmである場合には27インチクラスの画面サイズまで対応できる。
【0098】
表示領域406の周辺には走査信号駆動回路404と画像信号駆動回路405が設けられている。これらの駆動回路のゲート配線の長さも表示領域の画面サイズの大型化と共に必然的に長くなるので、大画面を実現するためには実施例1で示したようなアルミニウム(Al)や銅(Cu)などの低抵抗材料で形成することが好ましい。また、本発明は入力端子401から各駆動回路までを接続する入力配線402、403をゲート配線と同じ材料で形成することができ、配線抵抗の低抵抗化に寄与することができる。
【0099】
[実施例4]
本発明を実施して作製されたアクティブマトリクス基板および液晶表示装置は様々な電気光学装置に用いることができる。そして、そのような電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電子機器全てに本発明を適用することがでできる。電子機器としては、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、電子書籍など)、ナビゲーションシステムなどが上げられる。それらの一例を図24に示す。
【0100】
図24(A)はパーソナルコンピュータであり、マイクロプロセッサやメモリーなどを備えた本体2001、画像入力部2002、表示装置2003、キーボード2004で構成される。本発明は表示装置2003やその他の信号処理回路を形成することができる。
【0101】
図24(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示装置2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106で構成される。本発明は表示装置2102やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0102】
図24(C)は携帯情報端末であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示装置2205で構成される。本発明は表示装置2205やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0103】
図24(D)はテレビゲームまたはビデオゲームなどの電子遊技機器であり、CPU等の電子回路2308、記録媒体2304などが搭載された本体2301、コントローラ2305、表示装置2303、本体2301に組み込まれた表示装置2302で構成される。表示装置2303と本体2301に組み込まれた表示装置2302とは、同じ情報を表示しても良いし、前者を主表示装置とし、後者を副表示装置として記録媒体2304の情報を表示したり、機器の動作状態を表示したり、或いはタッチセンサーの機能を付加して操作盤とすることもできる。また、本体2301とコントローラ2305と表示装置2303とは、相互に信号を伝達するために有線通信としても良いし、センサ部2306、2307を設けて無線通信または光通信としても良い。本発明は、表示装置2302、2303に適用することができる。表示装置2303は従来のCRTを用いることもできる。
【0104】
図24(D)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示装置2402、スピーカー部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405で構成される。尚、記録媒体にはDVD(Digital Versatile Disc)やコンパクトディスク(CD)などを用い、音楽プログラムの再生や映像表示、ビデオゲーム(またはテレビゲーム)やインターネットを介した情報表示などを行うことができる。本発明は表示装置2402やその他の信号制御回路に好適に利用することができる。
【0105】
図24(E)はデジタルカメラであり、本体2501、表示装置2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)で構成される。本発明は表示装置2502やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0106】
図25(A)はフロント型プロジェクターであり、光源光学系および表示装置2601、スクリーン2602で構成される。本発明は表示装置やその他の信号制御回路に適用することができる。図25(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、光源光学系および表示装置2702、ミラー2703、スクリーン2704で構成される。本発明は表示装置やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0107】
なお、図25(C)に、図25(A)および図25(B)における光源光学系および表示装置2601、2702の構造の一例を示す。光源光学系および表示装置2601、2702は光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、ビームスプリッター2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は複数の光学レンズで構成される。図25(C)では液晶表示装置2808を三つ使用する三板式の例を示したが、このような方式に限定されず、単板式の光学系で構成しても良い。また、図25(C)中で矢印で示した光路には適宣光学レンズや偏光機能を有するフィルムや位相を調節するためのフィルムや、IRフィルムなどを設けても良い。また、図25(D)は図25(C)における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801はリフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。尚、図25(D)に示した光源光学系は一例であって図示した構成に限定されるものではない。
【0108】
また、ここでは図示しなかったが、本発明はその他にも、ナビゲーションシステムやイメージセンサの読み取り回路などにも適用することも可能である。このように本願発明の適用範囲はきわめて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施形態1〜3および、実施例1〜3のどのような組み合わせから成る構成を用いても実現することができる。
[実施例5]
本実施例では、実施例1と同様なアクティブマトリクス基板を、エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)材料を用いた自発光型の表示パネル(以下、EL表示装置と記す)に応用する例について説明する。図26(A)はそのEL表示パネルの上面図を示す。図26(A)において、10は基板、11は画素部、12はソース側駆動回路、13はゲート側駆動回路であり、それぞれの駆動回路は配線14〜16を経てFPC17に至り、外部機器へと接続される。
【0109】
図26(A)のA−A'線に対応する断面図を図26(B)に示す。このとき少なくとも画素部の上方、好ましくは駆動回路及び画素部の上方に対向板80を設ける。対向板80はシール材19でTFTとEL材料を用いた自発光層が形成されているアクティブマトリクス基板と貼り合わされている。シール剤19にはフィラー(図示せず)が混入されていて、このフィラーによりほぼ均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられている。さらに、シール材19の外側とFPC17の上面及び周辺は封止剤81で密封する構造とする。封止剤81はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ブチルゴムなどの材料を用いる。
【0110】
このように、シール剤19によりアクティブマトリクス基板10と対向基板80とが貼り合わされると、その間には空間が形成される。その空間には充填剤83が充填される。この充填剤83は対向板80を接着する効果も合わせ持つ。充填剤83はPVC(ポリビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、自発光層は水分をはじめ湿気に弱く劣化しやすいので、この充填剤83の内部に酸化バリウムなどの乾燥剤を混入させておくと吸湿効果を保持できるので望ましい。また、自発光層上に窒化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などで形成するパッシベーション膜82を形成し、充填剤83に含まれるアルカリ元素などによる腐蝕を防ぐ構造としていある。
【0111】
対向板80にはガラス板、アルミニウム板、ステンレス板、FRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、マイラーフィルム(デュポン社の商品名)、ポリエステルフィルム、アクリルフィルムまたはアクリル板などを用いることができる。また、数十μmのアルミニウム箔をPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用い、耐湿性を高めることもできる。このようにして、EL素子は密閉された状態となり外気から遮断されている。
【0112】
また、図17(B)において基板10、ブロッキング層21の上に駆動回路用TFT(但し、ここではnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを組み合わせたCMOS回路を図示している)22及び画素部用TFT23(但し、ここではEL素子への電流を制御するTFTだけ図示している)が形成されている。
ブロッキング層21は実施例1と同様に酸化窒化シリコン膜(A)と酸化窒化シリコン膜(B)とを積層して形成してある。nチャネル型TFTにははホットキャリア効果によるオン電流の低下や、Vthシフトやバイアスストレスによる特性低下を防ぐため、本実施形態で示す構成のLDD領域が設けられている。
【0113】
例えば、駆動回路用TFT22として、図12に示すpチャネル型TFT301とnチャネル型TFT302を用いれば良い。また、画素部のTFTには、駆動電圧にもよるが、10V以上であれば図12に示す第1のnチャネル型TFT304またはそれと同様な構造を有するpチャネル型TFTを用いれば良い。第1のnチャネル型TFT302はドレイン側にゲート電極とオーバーラップするLDDが設けられた構造であるが、駆動電圧が10V以下であれば、ホットキャリア効果によるTFTの劣化は殆ど無視できるので、あえて設ける必要はない。
【0114】
図12の状態のアクティブマトリクス基板からEL表示装置を作製するには、ソース配線、ドレイン配線上に樹脂材料でなる層間絶縁膜(平坦化膜)26を形成し、その上に画素部用TFT23のドレインと電気的に接続する透明導電膜でなる画素電極27を形成する。透明導電膜には酸化インジウムと酸化スズとの化合物(ITOと呼ばれる)または酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができる。そして、画素電極27を形成したら、絶縁膜28を形成し、画素電極27上に開口部を形成する。
【0115】
次に形成する自発光層29は、公知のEL材料(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層)を自由に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。どのような構造とするかは公知の技術を用いれば良い。また、EL材料には低分子系材料と高分子系(ポリマー系)材料がある。低分子系材料を用いる場合は蒸着法を用いるが、高分子系材料を用いる場合には、スピンコート法、印刷法またはインクジェット法等の簡易な方法を用いることが可能である。
【0116】
自発光層はシャドーマスクを用いて蒸着法、またはインクジェット法、ディスペンサー法などで形成する。いずれにしても、画素毎に波長の異なる発光が可能な発光層(赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層)を形成することで、カラー表示が可能となる。その他にも、色変換層(CCM)とカラーフィルターを組み合わせた方式、白色発光層とカラーフィルターを組み合わせた方式があるがいずれの方法を用いても良い。勿論、単色発光のEL表示装置とすることもできる。
【0117】
自発光層29を形成したら、その上に陰極30を形成する。陰極30と自発光層29の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておくことが望ましい。従って、真空中で自発光層29と陰極30を連続して形成するか、自発光層29を不活性雰囲気で形成し、大気解放しないで真空中で陰極30を形成するといった工夫が必要である。本実施例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用いることで上述のような成膜を可能とする。
【0118】
なお、本実施例では陰極30として、LiF(フッ化リチウム)膜とAl(アルミニウム)膜の積層構造を用いる。具体的には自発光層29上に蒸着法で1nm厚のLiF(フッ化リチウム)膜を形成し、その上に300nm厚のアルミニウム膜を形成する。勿論、公知の陰極材料であるMgAg電極を用いても良い。そして陰極30は31で示される領域において配線16に接続される。配線16は陰極30に所定の電圧を与えるための電源供給線であり、異方性導電性ペースト材料32を介してFPC17に接続される。FPC17上にはさらに樹脂層80が形成され、この部分の接着強度を高めている。
【0119】
31に示された領域において陰極30と配線16とを電気的に接続するために、層間絶縁膜26及び絶縁膜28にコンタクトホールを形成する必要がある。これらは層間絶縁膜26のエッチング時(画素電極用コンタクトホールの形成時)や絶縁膜28のエッチング時(自発光層形成前の開口部の形成時)に形成しておけば良い。また、絶縁膜28をエッチングする際に、層間絶縁膜26まで一括でエッチングしても良い。この場合、層間絶縁膜26と絶縁膜28が同じ樹脂材料であれば、コンタクトホールの形状を良好なものとすることができる。
【0120】
また、配線16はシーリル19と基板10との間を隙間(但し封止剤81で塞がれている。)を通ってFPC17に電気的に接続される。なお、ここでは配線16について説明したが、他の配線14、15も同様にしてシーリング材18の下を通ってFPC17に電気的に接続される。
【0121】
ここで画素部のさらに詳細な断面構造を図27に、上面構造を図28(A)に、回路図を図28(B)に示す。図27(A)において、基板2401上には最初にブロッキング層が形成されており、その上に形成されるスイッチング用TFT2402は実施例1の図12の画素TFT304と同じ構造で形成する。ダブルゲート構造とすることで実質的に二つのTFTが直列された構造となり、オフ電流値を低減することができるという利点がある。尚、本実施例ではダブルゲート構造としているがトリプルゲート構造やそれ以上のゲート本数を持つマルチゲート構造でも良い。
【0122】
また、電流制御用TFT2403は図12で示す第1のnチャネル型TFT302を用いて形成する。このTFT構造は、ドレイン側にのみゲート電極とオーバーラップするLDDが設けられた構造であり、ゲートとドレイン間の寄生容量や直列抵抗を低減させて電流駆動能力を高める構造となっている。別な観点からも、構造であることは非常に重要な意味を持つ。電流制御用TFTはEL素子を流れる電流量を制御するための素子であるため、多くの電流が流れ、熱による劣化やホットキャリアによる劣化の危険性が高い素子でもある。そのため、電流制御用TFTにゲート電極と一部が重なるLDD領域を設けることでTFTの劣化を防ぎ、動作の安定性を高めることができる。また、電流によって制御されるEL層は電流制御用TFTの特性ばらつきがそのまま表示斑となってしまう懸念がある。しかし、本発明のようにブロッキング層の応力管理をすることにより、VthやS値が規定の範囲に収めることによりそのばらつきを少なくすることができる。スイッチング用TFT2402のドレイン線35は配線36によって電流制御用TFTのゲート電極37に電気的に接続されている。また、38で示される配線は、スイッチング用TFT2402のゲート電極39a、39bを電気的に接続するゲート線である。
【0123】
また、本実施例では電流制御用TFT2403をシングルゲート構造で図示しているが、複数のTFTを直列につなげたマルチゲート構造としても良い。さらに、複数のTFTを並列につなげて実質的にチャネル形成領域を複数に分割し、熱の放射を高い効率で行えるようにした構造としても良い。このような構造は熱による劣化対策として有効である。
【0124】
また、図28(A)に示すように、電流制御用TFT2403のゲート電極37となる配線は2404で示される領域で、電流制御用TFT2403のドレイン線40と絶縁膜を介して重なる。このとき、2404で示される領域ではコンデンサが形成される。このコンデンサ2404は電流制御用TFT2403のゲートにかかる電圧を保持するためのコンデンサとして機能する。なお、ドレイン線40は電流供給線(電源線)2501に接続され、常に一定の電圧が加えられている。
【0125】
スイッチング用TFT2402及び電流制御用TFT2403の上には第1パッシベーション膜41が設けられ、その上に樹脂絶縁膜でなる平坦化膜42が形成される。平坦化膜42を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される自発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、自発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0126】
また、43は反射性の高い導電膜でなる画素電極(EL素子の陰極)であり、電流制御用TFT2403のドレインに電気的に接続される。画素電極43としてはアルミニウム合金膜、銅合金膜または銀合金膜など低抵抗な導電膜またはそれらの積層膜を用いることが好ましい。勿論、他の導電膜との積層構造としても良い。また、絶縁膜(好ましくは樹脂)で形成されたバンク44a、44bにより形成された溝(画素に相当する)の中に発光層44が形成される。なお、ここでは一画素しか図示していないが、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けても良い。発光層とする有機EL材料としてはπ共役ポリマー系材料を用いる。代表的なポリマー系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)系、ポリビニルカルバゾール(PVK)系、ポリフルオレン系などが挙げられる。尚、PPV系有機EL材料としては様々な型のものがあるが、例えば「H. Shenk,H.Becker,O.Gelsen,E.Kluge,W.Kreuder,and H.Spreitzer,“Polymers for Light Emitting Diodes”,Euro Display,Proceedings,1999,p.33-37」や特開平10−92576号公報に記載されたような材料を用いれば良い。
【0127】
具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレンビニレン、緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン若しくはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。膜厚は30〜150nm(好ましくは40〜100nm)とすれば良い。但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機EL材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて自発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例ではポリマー系材料を発光層として用いる例を示したが、低分子系有機EL材料を用いても良い。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0128】
本実施例では発光層45の上にPEDOT(ポリチオフェン)またはPAni(ポリアニリン)でなる正孔注入層46を設けた積層構造の自発光層としている。そして、正孔注入層46の上には透明導電膜でなる陽極47が設けられる。本実施例の場合、発光層45で生成された光は上面側に向かって(TFTの上方に向かって)放射されるため、陽極は透光性でなければならない。透明導電膜としては酸化インジウムと酸化スズとの化合物や酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができるが、耐熱性の低い発光層や正孔注入層を形成した後で形成するため、可能な限り低温で成膜できるものが好ましい。
【0129】
陽極47まで形成された時点で自発光素子2405が完成する。なお、ここでいうEL素子2405は、画素電極(陰極)43、発光層45、正孔注入層46及び陽極47で形成されたコンデンサを指す。図28(A)に示すように画素電極43は画素の面積にほぼ一致するため、画素全体がEL素子として機能する。従って、発光の利用効率が非常に高く、明るい画像表示が可能となる。
【0130】
ところで、本実施例では、陽極47の上にさらに第2パッシベーション膜48を設けている。第2パッシベーション膜48としては窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜が好ましい。この目的は、外部とEL素子とを遮断することであり、有機EL材料の酸化による劣化を防ぐ意味と、有機EL材料からの脱ガスを抑える意味との両方を併せ持つ。これによりEL表示装置の信頼性が高められる。
【0131】
以上のように本願発明のEL表示パネルは図28のような構造の画素からなる画素部を有し、オフ電流値の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFTとを有する。従って、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能なEL表示パネルが得られる。
【0132】
図27(B)は自発光層の構造を反転させた例を示す。電流制御用TFT2601は図1のpチャネル型TFT146と同じ構造て形成する。作製プロセスは実施例1を参照すれば良い。本実施例では、画素電極(陽極)50として透明導電膜を用いる。具体的には酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物でなる導電膜を用いる。勿論、酸化インジウムと酸化スズとの化合物でなる導電膜を用いても良い。
【0133】
そして、絶縁膜でなるバンク51a、51bが形成された後、溶液塗布によりポリビニルカルバゾールでなる発光層52が形成される。その上にはカリウムアセチルアセトネート(acacKと表記される)でなる電子注入層53、アルミニウム合金でなる陰極54が形成される。この場合、陰極54がパッシベーション膜としても機能する。こうしてEL素子2602が形成される。本実施例の場合、発光層53で発生した光は、矢印で示されるようにTFTが形成された基板の方に向かって放射される。本実施例のような構造とする場合、電流制御用TFT2601はpチャネル型TFTで形成することが好ましい。
【0134】
以上のような、本実施例で示すEL表示装置は、実施例7の電子機器の表示部として用いることができる。
【0135】
[実施例6]
本実施例では、図28(B)に示した回路図とは異なる構造の画素とした場合の例について図29に示す。なお、本実施例において、2701はスイッチング用TFT2702のソース配線、2703はスイッチング用TFT2702のゲート配線、2704は電流制御用TFT、2705はコンデンサ、2706、2708は電流供給線、2707はEL素子とする。
【0136】
図29(A)は、二つの画素間で電流供給線2706を共通とした場合の例である。即ち、二つの画素が電流供給線2706を中心に線対称となるように形成されている点に特徴がある。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0137】
また、図29(B)は、電流供給線2708をゲート配線2703と平行に設けた場合の例である。尚、図29(B)では電流供給線2708とゲート配線2703とが重ならないように設けた構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を介して重なるように設けることもできる。この場合、電源供給線2708とゲート配線2703とで専有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0138】
また、図29(C)は、図29(B)の構造と同様に電流供給線2708をゲート配線2703と平行に設け、さらに、二つの画素を電流供給線2708を中心に線対称となるように形成する点に特徴がある。また、電流供給線2708をゲート配線2703のいずれか一方と重なるように設けることも有効である。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。図29(A)、図29(B)では電流制御用TFT2704のゲートにかかる電圧を保持するためにコンデンサ2705を設ける構造としているが、コンデンサ2705を省略することも可能である。
【0139】
電流制御用TFT2403として図27(A)に示すような本願発明のnチャネル型TFTを用いているため、ゲート絶縁膜を介してゲート電極(と重なるように設けられたLDD領域を有している。この重なり合った領域には一般的にゲート容量と呼ばれる寄生容量が形成されるが、本実施例ではこの寄生容量をコンデンサ2404の代わりとして積極的に用いる点に特徴がある。この寄生容量のキャパシタンスは上記ゲート電極とLDD領域とが重なり合った面積で変化するため、その重なり合った領域に含まれるLDD領域の長さによって決まる。また、図29(A)、(B)、(C)の構造においても同様にコンデンサ2705を省略することは可能である。
【0140】
尚、本実施例で示すEL表示装置の回路構成は、実施例1で示すTFTの構成から選択して図29に示す回路を形成すれば良い。また、実施例4の電子機器の表示部として本実施例のEL表示パネルを用いることが可能である。
【0141】
【発明の効果】
ガラス基板上に形成したTFTを有する半導体装置において、ガラス基板に密接してSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(A)を形成することで、活性層がアルカリ金属元素などの不純物で汚染されるのを防止することができる。
【0142】
さらに、酸化窒化シリコン膜(A)にSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(B)を積層してブロッキング層とし、これらの膜が含有する酸素、窒素、水素の濃度や、原子密度、エッチング速度、および熱アニールによる内部応力の変化をある範囲内の値とすることにより、TFTのVthやS値などの特性を所望の値とすることができる。
【0143】
このようなTFTを用いれば低消費電力で駆動できるアクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される電気光学装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TFTの作製工程を示す断面図。
【図2】 TFTの作製工程を示す断面図。
【図3】 S値とVshiftとの関係をブロッキング層の膜厚をパラメータとして説明するグラフ図。
【図4】 第1のブロッキング層膜厚に対するVth、Vshift、S値の特性変化を示すグラフ図。
【図5】 第2のブロッキング層膜厚に対するVth、Vshift、S値の特性変化を示すグラフ図。
【図6】 ガラス基板上に酸化窒化シリコン膜(A)と酸化窒化シリコン膜(B)とシリコン膜とを積層し、熱アニールした後のナトリウム(Na)の分布をSIMSで分析した結果を示すグラフ図。
【図7】 ブロッキング層の熱アニールによる内部応力変化量とVshiftの関係を示すグラフ図。
【図8】 画素TFT、保持容量、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図9】 画素TFT、保持容量、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図10】 画素TFT、保持容量、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図11】 画素TFT、保持容量、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図12】 画素TFT、保持容量、駆動回路のTFTの断面図。
【図13】 駆動回路のTFTの作製工程を示す上面図。
【図14】 画素TFT、保持容量のTFTの作製工程を示す上面図。
【図15】 駆動回路のTFTの作製工程を示す上面図。
【図16】 画素TFTの作製工程を示す上面図。
【図17】 液晶表示装置の入出力端子、配線回路配置を示す上面図。
【図18】 液晶表示装置の構造を示す断面図。
【図19】 液晶表示装置の構造を示す斜視図。
【図20】 表示領域の画素を示す上面図。
【図21】 TFTの作製工程を示す断面図。
【図22】 TFTの作製工程を示す断面図。
【図23】 Vth、S値、Vshiftの定義を説明する図。
【図24】 半導体装置の一例を示す図。
【図25】 半導体装置の一例を示す図。
【図26】 EL表示装置の構造を示す上面図及び断面図。
【図27】 EL表示装置の画素部の断面図。
【図28】 EL表示装置の画素部の上面図と回路図。
【図29】 EL表示装置の画素部の回路図の例。
【符号の説明】
101、201 基板
102a、202a 酸化窒化シリコン膜(A)
102b、202b 酸化窒化シリコン膜(B)
103a、203a 非晶質半導体層
103b、203b 結晶質半導体層
104、105、204〜207 島状半導体層
106、208 マスク層
110、220 ゲート絶縁膜
114、115、228〜231 ゲート電極
119 保護絶縁膜
120、250 第1の層間絶縁膜
121、124、251〜254 ソース配線
122、123、255〜258 ドレイン配線
125、259 パッシベーション膜
232 保持容量電極
247、249 ゲート配線
260 第2の層間絶縁膜
261 画素電極

Claims (32)

  1. 基板上にTFTを設けた半導体装置であって、
    前記基板に密接して形成した酸化窒化シリコン膜(A)と、
    該酸化窒化シリコン膜(A)に密接して形成した酸化窒化シリコン膜(B)と、
    該酸化窒化シリコン膜(B)上に形成した半導体層とを有し、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)の酸素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、窒素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、水素濃度は10atomic%以上20atomic%以下であり、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)の酸素濃度は55atomic%以上65atomic%以下であり、窒素濃度は1atomic%以上20atomic%以下であり、水素濃度は0.1atomic%以上10atomic%以下であることを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項において、
    前記TFTは、ゲート絶縁膜の厚さが40〜150nmであり、少なくともチャネル形成領域の半導体層の厚さが25〜80nmであって、前記TFTは、S値が0.10V/dec以上0.30V/dec以下の値を有することを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記TFTのゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層を有することを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項1または2において、
    前記TFTのゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層(A)と、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層(B)とを有することを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項1または2において、
    前記TFTのゲート電極は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層であることを特徴とする半導体装置。
  6. 画素部に設けた画素TFTと、該画素部の周辺に設けた駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを同一の基板上に備えた半導体装置であって、
    前記基板に密接して形成した酸化窒化シリコン膜(A)と、
    該酸化窒化シリコン膜(A)に密接して形成した酸化窒化シリコン膜(B)と、
    該酸化窒化シリコン膜(B)上に形成した前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを有し、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)の酸素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、窒素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、水素濃度は10atomic%以上20atomic%以下であり、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)の酸素濃度は55atomic%以上65atomic%以下であり、窒素濃度は1atomic%以上20atomic%以下であり、水素濃度は0.1atomic%以上10atomic%以下であることを特徴とする半導体装置。
  7. 請求項において、
    前記画素TFTは、ゲート絶縁膜の厚さが40〜150nmであり、少なくともチャネル形成領域の半導体層の厚さが25〜80nmであって、前記画素TFTのS値が0.10V/dec以上0.30V/dec以下であることを特徴とする半導体装置。
  8. 請求項において、
    前記画素TFTは、ゲート絶縁膜の厚さが40〜150nmであり、少なくともチャネル形成領域の半導体層の厚さが25〜80nmであって、前記画素TFTのしきい値電圧が0.5V以上2.5V以下であることを特徴とする半導体装置。
  9. 請求項において、
    前記画素TFTは、ゲート絶縁膜の厚さが40〜150nmであり、少なくともチャネル形成領域の半導体層の厚さが25〜80nmであって、前記画素TFTは、電界効果移動度が120cm/V・sec以上250cm/V・sec以下であることを特徴とする半導体装置。
  10. 請求項において、
    前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとは、ゲート絶縁膜の厚さが40〜150nmであり、少なくともチャネル形成領域の半導体層の厚さが25〜80nmであって、前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとは、S値が0.10V/dec以上0.30V/dec以下であることを特徴とする半導体装置。
  11. 請求項において、
    前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとは、ゲート絶縁膜の厚さが40〜150nmであり、少なくともチャネル形成領域の半導体層の厚さが25〜80nmであって、前記駆動回路のnチャネル型TFTのしきい値電圧が0.5V以上2.5V以下であって、前記駆動回路のpチャネル型TFTのしきい値電圧が−0.5V以上−2.5V以下であることを特徴とする半導体装置。
  12. 請求項において、
    前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとは、ゲート絶縁膜の厚さが40〜150nmであり、少なくともチャネル形成領域の半導体層の厚さが25〜80nmであって、前記駆動回路のnチャネル型TFTの電界効果移動度は120cm/V・sec以上250cm/V・sec以下であって、前記駆動回路のpチャネル型TFTの電界効果移動度は80cm/V・sec以上150cm/V・sec以下であることを特徴とする半導体装置。
  13. 請求項乃至12のいずれか一項において、
    前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTのそれぞれのゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層を有することを特徴とする半導体装置。
  14. 請求項乃至12のいずれか一項において、
    前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTのそれぞれのゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層(A)と、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層(B)とを有することを特徴とする半導体装置。
  15. 請求項乃至12のいずれか一項において、
    前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTのそれぞれのゲート電極は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層であることを特徴とする半導体装置。
  16. 請求項1乃至請求項17のいずれか一項において、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)は、密度が8×1022/cm以上2×1023/cm以下であり、前記酸化窒化シリコン膜(B)は、密度が6×1022/cm以上9×1022/cm以下であることを特徴とする半導体装置。
  17. 請求項1乃至16のいずれか一項において、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)は、フッ化水素アンモニウム(NHHF)を7.13%とフッ化アンモニウム(NHF)を15.4%含む混合水溶液の20℃におけるエッチング速度が、40nm/min以上70nm/min以下であり、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)は、フッ化水素アンモニウム(NHHF)を7.13%とフッ化アンモニウム(NHF)を15.4%含む混合水溶液の20℃におけるエッチング速度が、90nm/min以上130nm/min以下であることを特徴とする半導体装置。
  18. 請求項1乃至17のいずれか一項において、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)の厚さが10nm以上150nm以下であり、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)の厚さが10nm以上250nm以下であることを特徴とする半導体装置。
  19. 請求項1乃至18のいずれか一項において、
    前記半導体装置は、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯型情報端末、デジタルカメラ、デジタルビデオディスクプレーヤー、電子遊技機器であることを特徴とする半導体装置。
  20. 基板上にTFTを設けた半導体装置の作製方法において、
    前記基板に密接して酸化窒化シリコン膜(A)と、該酸化窒化シリコン膜(A)に密接して酸化窒化シリコン膜(B)を形成し、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)上に半導体層を形成し、
    前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成し、
    前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程を有し、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)の酸素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、窒素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、水素濃度は10atomic%以上20atomic%以下であり、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)の酸素濃度は55atomic%以上65atomic%以下であり、窒素濃度は1atomic%以上20atomic%以下であり、水素濃度は0.1atomic%以上10atomic%以下であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  21. 請求項20において、
    前記ゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層を有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  22. 請求項20において、
    前記ゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層(A)と、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層(B)とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  23. 請求項20において、
    前記ゲート電極は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層から形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  24. 画素部に設けた画素TFTと、該画素部の周辺に設けた駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを同一の基板上に備えた半導体装置の作製方法において、
    前記基板に密接して酸化窒化シリコン膜(A)と、該酸化窒化シリコン膜(A)に密接して酸化窒化シリコン膜(B)を形成する工程と、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)上に、前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを形成する工程とを有し、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)の酸素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、窒素濃度は20atomic%以上30atomic%以下であり、水素濃度は10atomic%以上20atomic%以下であり
    前記酸化窒化シリコン膜(B)の酸素濃度は55atomic%以上65atomic%以下であり、窒素濃度は1atomic%以上20atomic%以下であり、水素濃度は0.1atomic%以上10atomic%以下であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  25. 請求項24において、
    前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとのゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層を有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  26. 請求項24において、
    前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとのゲート電極は、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンから選ばれた一種を成分とする導電層(A)と、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層(B)とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  27. 請求項24において、
    前記画素TFTと前記駆動回路のnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとゲート電極は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデンから選ばれた一種または複数種を成分とする導電層から形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  28. 請求項25乃至27のいずれか一項において、
    前記ゲート電極を形成した後に、500℃以上700℃以下の温度で熱アニールを行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  29. 請求項20乃至28のいずれか一項において、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)は、密度が8×1022/cm以上2×1023/cm以下で形成し、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)は、密度が6×1022/cm以上9×1022/cm以下で形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  30. 請求項20乃至29のいずれか一項において、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)は、フッ化水素アンモニウム(NHHF)を7.13%とフッ化アンモニウム(NHF)を15.4%含む混合水溶液の20℃におけるエッチング速度が、40nm/min以上70nm/min以下となるように形成し、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)は、フッ化水素アンモニウム(NHHF)を7.13%とフッ化アンモニウム(NHF)を15.4%含む混合水溶液の20℃におけるエッチング速度が、90nm/min以上130nm/min以下となるように形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  31. 請求項20乃至30のいずれか一項において、
    前記酸化窒化シリコン膜(A)の厚さが10nm以上150nm以下で形成し、
    前記酸化窒化シリコン膜(B)の厚さが10nm以上250nm以下で形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  32. 請求項20乃至31のいずれか一項において、
    前記半導体装置は、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯型情報端末、デジタルカメラ、デジタルビデオディスクプレーヤー、電子遊技機器であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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