JP4454225B2 - ラセミメタロセン錯体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、式I:
【0002】
【化9】
Figure 0004454225
【0003】
[但し、Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン又は周期表第III族の遷移元素又はランタニドを表し、
Xが同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、OR10又はNR1011を表し、
nが、1〜4の整数であり、M−2の原子価に相当し、
及びRが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、上述の基は、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}で部分的又は完全に置換されていても良く、
〜Rが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、隣接する基R〜Rが、炭素原子数4〜15個を有する飽和、部分的飽和又は不飽和の環式基を形成していても良く、そして上述の基が、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}で部分的又は完全に置換されていても良く、
10及びR11がそれぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、アルキルアリール、フルオロアルキル又はフルオロアリール(それぞれ、アルキル基の炭素原子数が1〜10個及びアリール基の炭素原子数が6〜20個である)を表し、
Y及びYが同一でも異なっていても良く、それぞれ、
【0004】
【化10】
Figure 0004454225
=BR12、=AlR12、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR12、=CO、=PR12又は=P(O)R12を表し、
このR12が、同一又は異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10フルオロアリール、C〜C10アリール、C〜C10アルコキシ、C〜C10アルケニル、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アリールアルケニル又はC〜C40アルキルアリールを表すか、或いは2個の基R12がそれらに結合する原子と共に環を形成し、
上記Mが、珪素、ゲルマニウム又は錫を表し、そして
mが0、1、2、3を表し、或いは
Yが架橋せず、2個の基R’及びR’’を表し、
このR’及びR’’が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、或いは隣接する基R又はRと合体して飽和、部分飽和又は不飽和の炭素原子数4〜15個の環式基を形成し、そして上述の基はヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す}で部分的又は完全に置換されていても良い。]
で表される架橋又は非架橋遷移金属−芳香族錯体を、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体と反応させ、このようにして得られた反応混合物に、フリーラジカル又はフリーラジカル形成剤を添加して若しくは添加することなく、−78〜250℃に加熱し、そして必要により、続いてその架橋フェノールリガンド又は2個の非架橋フェノールリガンドを取り替えて、モノ置換又はジ置換生成物を形成することを特徴とするラセミメタロセン錯体の製造方法;
式IIIで表されるラセミメタロセン錯体:
【0005】
【化11】
Figure 0004454225
【0006】
[但し、Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン又は周期表第III族の遷移元素又はランタニドを表し、
が、下式
【0007】
【化12】
Figure 0004454225
【0008】
{但し、R及びRが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R(Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す)を表し、且つ上述の基はヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27(R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す)で部分的又は完全に置換されていても良く、
〜Rが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R(Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す)を表し、隣接する基R〜Rが炭素原子数4〜15個の飽和、部分的飽和又は不飽和の環式基を形成しても良く、そして上述の基は−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27(R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す)で部分的又は完全に置換されていても良く、
Y及びYが同一でも異なっていても良く、それぞれ、
【0009】
【化13】
Figure 0004454225
=BR12、=AlR12、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR12、=CO、=PR12又は=P(O)R12を表し、
このR12が、同一又は異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10フルオロアリール、C〜C10アリール、C〜C10アルコキシ、C〜C10アルケニル、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アリールアルケニル又はC〜C40アルキルアリールを表すか、或いは2個の基R12がそれらに結合する原子と共に環を形成し、
上記Mが、珪素、ゲルマニウム又は錫を表し、そして
mが0、1、2、3を表し、或いは
Yが架橋せず、2個の基R’及びR’’を表し、
上記R’及びR’’が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R(Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す)を表し、或いは隣接する基R又はRと合体して飽和、部分飽和又は不飽和の炭素原子数4〜15個の環式基を形成し、そして上述の基はヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27(R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す)で部分的又は完全に置換されていても良い。}
で表される基を表し、
13〜R17が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキル、C〜C15アリール又はアルキルアリール{隣接基は合体して炭素原子数4〜15個の環式基を形成しても良く}、或いはSi(R18{但し、R18が、同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール又はC〜C10シクロアルキルを表す}を表し、
Zが、
【0010】
【化14】
Figure 0004454225
【0011】
{但し、R19〜R23が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキル、C〜C15アリール又はアルキルアリール(隣接基は合体して炭素原子数4〜15個の環式基を形成しても良く)、或いはSi(R24(但し、R24が、相互に独立してC〜C10アルキル、C〜C15アリール又はC〜C10シクロアルキルを表す)を表す}を表し、或いは
16とZが合体して−[T(R25)(R26)]−E−{但し、Tが同一でも異なっていても良く、それぞれケイ素、ゲルマニウム、錫又は炭素を表し、R25及びR26がそれぞれ水素、C〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表し、qが1、2、3又は4を表す}
を表し、
Eが
【0012】
【化15】
Figure 0004454225
又はA{但し、Aが、−O−、−S−、
【0013】
【化16】
Figure 0004454225
【0014】
(但し、R27がC〜C20アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル又はSi(R28(但し、R28が、同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル又はアルキルアリールを表す)を表す}を表す。]
で表されるラセミメタロセン錯体;及び
式IIIで表されるラセミメタロセン錯体の、触媒としての、又はオレフィン性不飽和成分の重合用の触媒化合物としての、或いは立体選択性反応の試薬又は触媒としての使用に関する。
【0015】
オレフィンの立体選択性重合に加えて、有機化合物の鏡像選択性合成により、元素周期表第III〜VI族遷移金属のキラルメタロセン錯体の興味ある用途が益々増加している。例えば、R. Waymouth, P. Pino, J. Am. Chem. Soc. 112(1990), pp. 4911-4914に記載のプロキラル物質(例、プロキラルオレフィン)又はWO92/9545に記載のプロキラルケトン、イミン及びオキシム(Prochiral ketones, imines and oximes)の鏡像選択性水素化を挙げることができる。
【0016】
更に、例えば、W. Kaminsky et al., Angew. Chem. 101 (1989), pp. 1304-1306に記載の鏡像選択性オリゴマー化による光学活性アルケンの製造、及びR. Waymouth, G. Coates, J. Am. Chem. Soc. 113 (1991), pp. 6270-6271に記載の1,5−ヘキサジエンの鏡像選択性環化重合を挙げることができる。
【0017】
上述の用途は、一般にメタロセン錯体のラセミ形、即ちメソ化合物無しでの使用が求められる。従来技術のメタロセン合成で得られるジアステレオマーの混合物(ラセミ(rac.)体及びメソ(meso)形)の場合、メソ形はまず除去しなければならない。メソ形は廃棄されなければならないので、ラセミメタロセン錯体の収率は低下する。
【0018】
本発明の目的は、メソ異性体を実質的に含まない(NMR測定精度の範囲で含まない)ラセミメタロセン錯体を選択的に製造する方法を見出すことにある。他の目的は、オレフィン重合の初めに、触媒として直接又は触媒中に使用することができる、又は変性後、例えば「補助リガンド」の置換後、オレフィン重合の初めに、触媒として直接又は触媒中に使用することができる、或いは立体選択性合成において試薬又は触媒として使用することができる、ラセミメタロセン錯体を見出すことにある。
【0019】
本発明者等は、上記目的は、請求の範囲に規定された方法により、ラセミメタロセン錯体III、及びこれらをオレフィン性不飽和成分の重合用の触媒として又は触媒中に使用すること、或いは立体選択性反応の試薬又は触媒として使用することにより達成されることを見出した。
【0020】
メタロセン錯体に関連する、用語「メソ形」、「ラセミ化合物」及び「エナンチオマー」も公知であり、例えばRheingold et al., Organometalics 11 (1992), pp.1869-1876に規定されている。
【0021】
本発明では、表現「実質的にメソを含まない」とは、少なくとも90%の化合物がラセミ化合物で存在していることを意味する。
【0022】
本発明に従い使用される架橋又は非架橋遷移金属−芳香族錯体は、式Iを有する:
【0023】
【化17】
Figure 0004454225
【0024】
式Iにおいて、Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン又は周期表第III族の遷移元素又はランタニドを表し、
Xが同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、OR10又はNR1011を表し、
nが、1〜4の整数であり、M−2の原子価に相当し、
及びRが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、上述の基は、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}で部分的又は完全に置き換わっていても良く、
〜Rが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、隣接する基R〜Rが、炭素原子数4〜15個を有する飽和、部分的飽和又は不飽和の環式基を形成していても良く、そして上述の基が、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}で部分的又は完全に置換されていても良く、
10及びR11がそれぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、アルキルアリール、フルオロアルキル又はフルオロアリール(それそれ、アルキル基の炭素原子数が1〜10個及びアリール基の炭素原子数が6〜20個を有する)を表し、
Y及びYが同一でも異なっていても良く、それぞれ、
【0025】
【化18】
Figure 0004454225
=BR12、=AlR12、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR12、=CO、=PR12又は=P(O)R12を表し、
このR12が、同一又は異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10フルオロアリール、C〜C10アリール、C〜C10アルコキシ、C〜C10アルケニル、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アリールアルケニル又はC〜C40アルキルアリールを表すか、或いは2個の基R12がそれらに結合する原子と共に環を形成し、
上記Mが、珪素、ゲルマニウム又は錫を表し、そして
mが0、1、2、3を表し、或いは
Yが、架橋せず2個の基R’及びR’’を表し、
このR’及びR’’が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表すか、或いは隣接する基R又はRと合体して飽和、部分飽和又は不飽和の炭素原子数4〜15個の環式基を形成し、そして上述の基はヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}で部分的又は完全に置換されていても良い。
【0026】
好ましい金属Mは、チタン、ジルコニウム及びハフニウムであり、特にジルコニウムが好ましい。
【0027】
好適な置換基Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素(好ましくは塩素)、さらにC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、i−ブチル(好ましくはtert−ブチル)である。更に有用な置換基Xは、アルコキシド、即ち−OR10又はアミド、即ち−NR1011[但し、R10及びR11がそれぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、フルオロアルキル又はフルオロアリール(それそれ、アルキル基の炭素原子数が1〜10個及びアリール基の炭素原子数が6〜20個である]が挙げられる。このような基Xとしては、例えばメチル、エチル、i−プロピル、tert−ブチル、フェニル、ナフチル、p−トリル、ベンジル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニルを挙げることができる。
【0028】
置換基R及びRは、同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}、置換基としてC〜C10アルキル(例、メチル、エチル又はプロピル)を有していても良い3〜8員のシクロアルキルである。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、好ましくはシクロヘキシル、ノルボルニルを挙げることができる。置換基R及びRはまた、C〜C15アリール(例、フェニル、ナフチル)、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール(例、p−トリル)、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル(例、ベンジル、ネオフィル)であり、或いはトリオルガノシリル、例えばSi(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}であっても良く、例えばトリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルを挙げることができる。勿論、上記の基は、ヘテロ原子、例えばS−、N−、O−又はハロゲン含有構造体で部分的又は完全に置換することができる。このような置換された基R及びRとしては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル及びペンタフルオロフェニルを挙げることができる。
【0029】
好ましい置換基R及びRとしては、大容量の空間を占めるものである。このような置換基は、通常、嵩高い(バルキー)置換基と呼ばれ、立体障害を起こし得る。
【0030】
本発明では、これらの基は、一般に、大量の空間を占める、即ち嵩高い基である有機基又は有機ケイ素基であるが、フッ素及び好ましくは塩素、臭素及びヨウ素でもある。このような有機基又は有機ケイ素基の炭素原子数は通常3個以上である。
【0031】
好ましい非芳香族の嵩高い基としては、α位置又はより高い位置で分岐している有機基又は有機ケイ素基を挙げることができる。このような基の例としては、分岐した、C〜C20脂肪族、C〜C20アリール脂肪族及びC〜C10環状脂肪族の基、例えばイソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−メチル−2−フェニルプロピル(ネオフィル)、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル(2−ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イル(1−ノルボルニル)、アダマンチル(adamantyl)を挙げることができる。更にこのタイプの適当な基としては、炭素原子数3〜30個の有機ケイ素基で、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリトリルシリル又はビス(トリメチルシリル)メチルを挙げることができる。
【0032】
好ましい嵩高い芳香族基としては、一般にC〜C20アリール基、例えばフェニル、1−又は2−ナフチル、或いは好ましくは、C〜C10アルキル置換又はC〜C10シクロアルキル置換芳香族基、例えば2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、メシチルを挙げることができる。
【0033】
極めて好ましい置換基R及びRは、i−プロピル、tert−ブチル、トリメチルシリル、シクロヘキシル、i−ブチル、トリフルオロメチル、3,5−ジメチルフェニルである。
【0034】
好ましい置換パターンでは、式IのR及びRは、同一であることである。
【0035】
置換基R〜Rは同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}、置換基としてC〜C10アルキル(例、メチル、エチル又はプロピル)を有していても良い3〜8員のシクロアルキルである。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、好ましくはシクロヘキシル、ノルボルニルを挙げることができる。置換基R〜Rはまた、C〜C15アリール(例、フェニル、ナフチル)、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール(例、p−トリル)、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル(例、ベンジル、ネオフィル)であり、或いはトリオルガノシリル、例えばSi(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}であっても良く、例えばトリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルを挙げることができる。R〜Rは、隣接する基が、炭素原子数4〜15個を有する飽和、部分的飽和又は不飽和の環式基を形成するように相互に結合しても良い。基RとR及び/又は基RとRが、C架橋により結合し、ベンゾ縮合環(ナフチル誘導体)を形成することが好ましい。勿論、上述の基R〜Rは、ヘテロ原子、例えばS−、N−、O−又はハロゲン含有構造要素で部分的又は完全に置換することができる。このような置換された基R〜Rとしては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル及びペンタフルオロフェニルを挙げることができる。
【0036】
基RとRが同一で、それぞれ水素を表し、そしてR、R、R、Rが上記の基であることが特に好ましい。
【0037】
使用可能な架橋基のY及びYは下記の基である:
【0038】
【化19】
Figure 0004454225
=BR12、=AlR12、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR12、=CO、=PR12又は=P(O)R12
[但し、R12が、同一又は異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10フルオロアリール、C〜C10アリール、C〜C10アルコキシ、C〜C10アルケニル、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アリールアルケニル又はC〜C40アルキルアリールを表すか、或いはR12とR13又はR12とR14が、それぞれそれらに結合する原子と共に環を形成し、
上記Mが、珪素、ゲルマニウム又は錫を表す。]
【0039】
式(I)(m≠0)の環構造は本発明の方法には有利であり、m=1〜3の環の大きさが好ましい。
【0040】
好ましい架橋要素Y及びYは、メチレン(−CH−)、S、O、−C(CH−であり、この場合、式Iのmが1又は2であることが好ましく;Yは同一であることが極めて好ましく、それぞれ酸素である。式Iのmが0であるフェノキシド型構造、即ち芳香族環が相互に結合し、好ましくはビフェノール誘導体を形成することが好ましい。
【0041】
本発明に従い使用することができる式Iの非架橋遷移金属−芳香族錯体の中では、 Yが、基R’及びR’’を表し、このR’及びR’’が同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}を表すか、或いは置換基としてC〜C10アルキル(例、メチル、エチル又はプロピル)を有していても良い3〜8員のシクロアルキルを表す錯体が好ましい。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、好ましくはシクロヘキシル、ノルボルニルを挙げることができる。置換基R’及びR’’はまた、C〜C15アリール(例、フェニル、ナフチル)、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール(例、p−トリル)、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル(例、ベンジル、ネオフィル)であり、或いはトリオルガノシリル、例えばSi(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}であっても良く、例えばトリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルを挙げることができる。勿論、上記の基は、ヘテロ原子、例えばS−、N−、O−又はハロゲン含有構造要素で部分的又は完全に置換することができる。このような置換された基R’及びR’’としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル及びペンタフルオロフェニルを挙げることができる。
【0042】
R’及びR’’は同一であることが好ましい。非架橋遷移金属−芳香族錯体は、R、R、R’及びR’’が同一であるものが特に好ましい;置換パターンが、R、R、R’及びR、R、R’’はHで、R、R、R、Rが上述で規定された基、好ましくはtert−ブチル、しかしHではない場合の錯体が極めて好ましい。(I)のフェノール性基は、上述置換様式を有するビフェノキシド基が好ましい。
【0043】
架橋又は非架橋の遷移金属−芳香族錯体Iは、一般に当該技術者に公知の方法で製造される。
【0044】
架橋又は非架橋の遷移金属フェノキシド錯体の合成は、例えばC. J. Schaverien, J. Am. Chem. Soc. (1995), 3008-3012頁に記載されている。有用と分かっている別の手順は、次のものである:反応を一般に−78〜110℃で行い、好ましくは初め約20℃で行い、その後還流下に反応を完結させる。ビフェノールをまず溶剤(例、テトラヒドロフラン(THF))中で水素化ナトリウム又はn−ブチルリチウムを用いて脱プロトン化し、そしてその後遷移金属化合物、例えばハロゲン化物(例、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのテトラクロリド)を、有利にはビス−THF付加体の形で添加する。反応終了後、一般に、生成物を塩を除去することにより得、その後それを結晶化させる。非架橋遷移金属フェノキシド錯体の製造は、例えばH. Yasuda et al., J. Organomet. Chem. 473 (1994), 105-116頁に記載されているように行うことができる。
【0045】
架橋又は非架橋の遷移金属−芳香族錯体Iは、一般に合成経路で導入される1〜4当量のルイス塩基を更に含んでいる。このようなルイス塩基の例としては、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル、又はTMEDA等のアミンを挙げることができる。しかしながら、ルイス塩基を含まない形の遷移金属−芳香族錯体も、例えば減圧下に乾燥することにより、又は合成において他の溶剤を選択することにより得ることができる。このような方法は当業者に公知のものである。
【0046】
本発明のラセミメタロセン錯体は、以下に示すように、架橋又は非架橋の遷移金属−芳香族錯体Iを、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体と反応させ、次いで得られた混合物をフリーラジカル又はフリーラジカル形成剤の存在又は不存在下に加熱することにより製造される。
【0047】
遷移金属−芳香族錯体Iとしては、Mがジルコニウムで、R及びRが上述の好ましい意味を有するものが好ましい。極めて好適な錯体としては、ジクロロビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラート)ジルコニウム・(THF)、ジクロロビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラート)ジルコニウム・(DME)、ジクロロビス(2,6−ジメチルフェノラート)ジルコニウム・(THF)、ジクロロビス(2,6−ジメチルフェノラート)ジルコニウム・(DME)、ジクロロビス(2,4,6−トリメチルフェノラート)ジルコニウム・(THF)、ジクロロビス(2,4,6−トリメチルフェノラート)ジルコニウム・(DME)、及び実施例で述べたジルコニウムフェノキシド化合物を挙げることができる。
【0048】
好適なアルカリ金属又はアルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体は、一般に、本発明に従い使用される遷移金属−芳香族錯体Iとの反応後、実質的にメソ異性体を含まないラセミメタロセン錯体を選択的に与えるものである。
【0049】
本発明のラセミメタロセン錯体は架橋され得るが、されなくても良い。一般に、メタロセンの非架橋シクロペンタジエニル型リガンドの回転に対する高い障害、特に20〜80℃における障害(H−及び/又は13C−NMR分光法により測定し得る)は、メタロセン錯体にとっては充分であるので、それらをメソ形に変換することなくラセミ形で単離することを可能にする。これを保証する回転に対する障害は通常20kJ/molを超えるものである。
【0050】
好適なアルカリ金属又はアルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体は、式IIで表されるものである:
【0051】
【化20】
Figure 0004454225
【0052】
式IIにおいて、Mが、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Baを表し、
13〜R17が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキル、C〜C15アリール又はアリールアルキル{これらの隣接する基は炭素原子数4〜15個の環式基を形成している}、又はSi(R18{R18が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキルを表す}を表し、
Zが、
【0053】
【化21】
Figure 0004454225
【0054】
{但し、R19〜R23が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキル、C〜C15アリール又はアルキルアリール(これらの隣接基は合体して炭素原子数4〜15個の環式基を形成しても良く)、或いはSi(R24(但し、R24が、相互に独立してC〜C10アルキル、C〜C15アリール又はC〜C10シクロアルキルを表す)を表す}を表し、或いは
16とZが合体して−[T(R25)(R26)]−E−{但し、Tが同一でも異なっていても良く、それぞれケイ素、ゲルマニウム、錫又は炭素を表し、R25及びR26がそれぞれ水素、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表し、nが1、2、3又は4を表す}
を形成し、
Eが
【0055】
【化22】
Figure 0004454225
又はA{但し、Aが、−O−、−S−、
【0056】
【化23】
Figure 0004454225
【0057】
(但し、R27がC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(但し、R28が、同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル又はアルキルアリールを表す)を表す}を表し、
Be、Mg、Ca、Sr、Baに対してはp=1、Li、Na、K、Rb、Csに対してはp=2である。
【0058】
式IIの好ましい化合物は、Mがリチウム、ナトリウム、特にマグネシウムを表すものである。特に好ましくは、式II a)で表される化合物である:
【0059】
【化24】
Figure 0004454225
【0060】
式II a)において、Mがマグネシウムであり、R17及びR23が水素以外の置換基、例えばC〜C10アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、i−ブチル、へキシル)、更にC〜C10アリール(例、フェニル)、又はトリアルキルシリル(例、トリメチルシリル)を表し、T(R2526)はビス−C〜C10アルキルシリル又はビス−C〜C10アリールシリル(例、ジメチルシリル、ジフェニルシリル)、さらに1,2−エテンジイル、メチレンを表し、そして基R13〜R15及びR19〜R25は前記規定通りであり、特にインデニル型環又はベンゾインデニル型環を形成する化合物が特に好ましい。
【0061】
極めて好ましい化合物IIとしては、実施例で記載のもの及び
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム、
ジエチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ペンチル−5−メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム、
【0062】
ジメチルシランジイルビス(2,4,7−トリメチルインデニル)マグネシウム、
1,2−エタンジイルビス(1−{2,4,7−トリメチルインデニル})マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)マグネシウム、
フェニル(メチル)シランジイルビス(2−メチルインデニル)マグネシウム、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチル−6−イソプロピルインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−1−ベンゾインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−1−ベンゾインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−フェニル−1−ベンゾインデニル)マグネシウム、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)マグネシウム、
フェニルメチルシランジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)マグネシウム、
エタンジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)マグネシウム、
【0063】
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−1−テトラヒドロベンゾインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−{3,5−トリフルオロメチル}フェニル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−イソプロピル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−ナフチル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−{3,5−トリフルオロメチル}フェニル−1−インデニル)マグネシウム、
エタンジイルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)マグネシウム、
エタンジイルビス(2−メチル−4−ナフチル−1−インデニル)マグネシウム
エタンジイルビス(2−メチル−4−{3,5−ジ−(トリフルオロメチル)}フェニル−1−インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)−(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
【0064】
ジメチルシランジイルビス(2−シクロヘキシル−4−フェニルインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−ブチル−4−フェニルインデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルゲルマンジイルビス(2−メタ−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジエチルシランジイルビス(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−ブチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)−(4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−ブチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル−6−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイル(2−エチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)−2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
ジメチルシランジイル(2−メチル−4−ナフチルインデニル)−(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)マグネシウム、
及びこれらの化合物の、例えばTHF、DME、TMEDAとのそれぞれのルイス塩基付加体。
【0065】
このようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物IIは、文献に公知の方法、例えば、好ましくは有機金属化合物又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水素化物と、適当なシクロペンタジエン型炭化水素との好ましくは化学両論的反応により得ることができる。好適な有機金属化合物は、例えばn−ブチルリチウム、ジ−n−ブチルマグネシウム又は(n,s)−ジブチルマグネシウム(Bomag)である。
【0066】
架橋又は非架橋の遷移金属−芳香族錯体Iと、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体(好ましくは式II又はII a))との反応は、通常、有機溶剤中又は懸濁媒質中(好ましくはルイス塩基溶剤を含む溶剤混合物中)で、−78〜250℃(好ましくは0〜100℃)で行われる。好適な溶剤としては、脂肪族炭化水素(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、芳香族炭化水素(例、トルエン、オルト−、メタ−若しくはパラ−キシレン、又はイソプロピルベンゼン(クメン))、エーテル(例、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル又はジメトキシエタン(DME))、アミン(例、ジイソプロピルアミン、テトラメチルエタンジアミン(TMEDA)又はピリジン)を挙げることができる。好適な溶剤混合物としては、トルエンとTHFとの混合物、トルエンとDMEとの混合物、又はトルエンとTMEDAとの混合物を挙げることができ、この場合、ルイス塩基は一般に溶剤混合物に対して0.1〜50モル%、好ましくは1〜20モル%存在する。遷移金属−芳香族錯体のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体とのモル比は、通常0.8:1〜1:1.2の範囲であり、1:1が好ましい。
【0067】
続いて反応混合物を、フリーラジカル又はフリーラジカル形成剤の存在下又は非存在下に、−78〜250℃、好ましくは20〜150℃、特に80〜110℃に暖める又は加熱する工程により、より高い収率、一般に80〜100%、好ましくは95〜100%のラセミ錯体(I)がもたらされる。使用可能なフリーラジカルは、酸素及び2,2’−6,6’−テトラメチルピリミジンN−オキシド(TEMPO)である。フリーラジカル形成剤としては、上記温度範囲において及び/又は照射時に、分解してフリーラジカルを形成する全ての有機及び無機の化合物を使用することができ、その化合物の例としては、過酸化物、ジアシルペルオキシド(例、ベンゾイルペルオキシド、アセチルペルオキシド)、ペルオキシジカルボナート、ペルエステル、アゾアルカン、亜硝酸塩又はエステル、次亜塩素酸塩又はエステル、ポリハロメタン、N−クロロアミンを挙げることができる。メタロセン(I)が、シクロペンタジエニル型のリガンドとして、ベンゾ縮合インデニル系(例、ジメチルシリルビス(2−メチルベンゾインデニル))を含む場合、フリーラジカル形成剤を使用することが好ましい。
【0068】
本発明に従い製造されるラセミメタロセン錯体は、式IIIで表される錯体であることが好ましい:
【0069】
【化25】
Figure 0004454225
【0070】
上記式IIIにおいて、
Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン又は周期表第III族の遷移元素又はランタニドを表し、
が、下式
【0071】
【化26】
Figure 0004454225
【0072】
{但し、R及びRが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R(Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す)を表し、記載の基は、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27(R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す)で部分的又は完全に置換されていても良く、
〜Rが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、隣接する基R〜Rが炭素原子数4〜15個の飽和、部分的飽和又は不飽和の環式基を形成しても良く、そして記載の基は−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27(R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す)で部分的又は完全に置換されていても良く、
Y及びYが同一でも異なっていても良く、それぞれ、
【0073】
【化27】
Figure 0004454225
=BR12、=AlR12、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR12、=CO、=PR12又は=P(O)R12を表し、
このR12が、同一又は異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10フルオロアリール、C〜C10アリール、C〜C10アルコキシ、C〜C10アルケニル、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アリールアルケニル、C〜C40アルキルアリールを表すか、或いは2個の基R12がそれらに結合する原子と共に環を形成し、
上記Mが、珪素、ゲルマニウム又は錫を表し、そして
mが0、1、2、3を表し、或いは
Yが架橋せず、2個の基R’及びR’’を表し、
上記R’及びR’’は同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R(Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す)を表すか、或いは隣接する基R又はRと合体して飽和、部分飽和又は不飽和の炭素原子数4〜15個の環式基を形成し、そして記載の基は、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27(R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す)で部分的又は完全に置換されていても良い。}
で表される基を表し、
13〜R17が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキル、C〜C15アリール又はアルキルアリール{隣接基は合体して炭素原子数4〜15個の環式基を形成しても良く}、或いはSi(R18{但し、R18が、同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール又はC〜C10シクロアルキルを表す}を表し、
Zが、
【0074】
【化28】
Figure 0004454225
【0075】
{但し、R19〜R23が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキル、C〜C15アリール又はアルキルアリール(隣接基は合体して炭素原子数4〜15個の環式基を形成しても良く)、或いはSi(R24(但し、R24が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール又はC〜C10シクロアルキルを表す)を表す}を表し、或いは
16とZが合体して−[T(R25)(R26)]−E−{但し、Tが同一でも異なっていても良く、それぞれケイ素、ゲルマニウム、錫又は炭素を表し、R25及びR26がそれぞれ水素、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表し、qが1、2、3又は4を表し、
Eが
【0076】
【化29】
Figure 0004454225
又はAを表し、このAが、−O−、−S−、
【0077】
【化30】
Figure 0004454225
【0078】
(但し、R27がC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル又はSi(R28を表し、このR28が、同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル又はアルキルアリールを表す)を表す}を形成する。
【0079】
式IIIの好ましい化合物は、Mがチタン、ハフニウム、又は特にジルコニウムを表す場合のものである。更に、式IIIの架橋化された化合物(アンサメタロセン)で、R17及びR23が水素以外の置換基、例えばC〜C10アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、i−ブチル、へキシル)、更にC〜C10アリール(例、フェニル)、又はトリアルキルシリル(例、トリメチルシリル)を表し、T(R2526)がビス−C〜C10アルキルシリル又はビス−C〜C10アリールシリル(例、ジメチルシリル、ジフェニルシリル)、さらに1,2−エテンジイル、メチレンを表し、そして基R13〜R15及びR19〜R25が前記規定通りであり、特にインデニル型環又はベンゾインデニル型環を形成する化合物が特に好ましい。
【0080】
極めて好ましい化合物IIIとしては、実施例で記載のもの、及び
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジエチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
【0081】
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ペンチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1−1’−ビ−2−フェノキシド、
1,2−エタンジイルビス(1−{2,4,7−トリメチルインデニル})ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
フェニル(メチル)シランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチル−6−イソプロピルインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
【0082】
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−1−ベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−1−ベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−フェニル−1−ベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
フェニルメチルシランジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
エタンジイルビス(2−メチル−1−ベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−1−テトラヒドロベンゾインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
【0083】
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−{3,5−トリフルオロメチル}フェニル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−イソプロピル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−ナフチル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−{3,5−トリフルオロメチル}フェニル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
エタンジイルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
エタンジイルビス(2−メチル−4−ナフチル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
エタンジイルビス(2−メチル−4−{3,5−ジ−(トリフルオロメチル)}フェニル−1−インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
【0084】
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイル(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)(2−イソプロピル−4−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−シクロヘキシル−4−フェニルインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−ブチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルゲルマンジイルビス(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジエチルシランジイルビス(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−ブチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
【0085】
ジメチルシランジイル(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−ブチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)6−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイル(2−エチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド、
ジメチルシランジイル(2−メチル−4−ナフチルインデニル)−(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド
を挙げることができる。
【0086】
ラセミメタロセン錯体、好ましくは式IIIの錯体を、一般に更に変性することができる。
【0087】
特に、錯体IIIにおける架橋されたビフェノキシドリガンドXを完全に又は半分に分解するか、或いは1個又は両方の非架橋のフェノキシドリガンドを1置換又は2置換により分解することができ、所望により別に使用することができる。好適な分解(置換)方法としては、ラセミメタロセン化合物、好ましくは式IIIの化合物と、SOCl、四塩化ケイ素、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、アルミニウムトリクロリド又はブレーンステッド酸(例、ハロゲン化水素、即ちHF、HBr、HI、好ましくはHCl)との反応であり、これらは一般にそれ自体で、又は水溶液又は有機溶剤溶液(例、ジエチルエーテル又はTHF)として使用される。好適な溶剤としては、脂肪族炭化水素(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、芳香族炭化水素(例、トルエン、オルト−、メタ−若しくはパラ−キシレン、又はイソプロピルベンゼン(クメン))、エーテル(例、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル又はジメトキシエタン(DME))、アミン(例、ジイソプロピルアミン、テトラメチルエタンジアミン(TMEDA)又はピリジン)を挙げることができる。特に好適な溶剤としては、ルイス塩基を含有する、炭化水素及びエーテル又はアミン、或いは両方の混合物、例えばトルエンとTHFとの混合物、トルエンとDMEとの混合物、又はトルエンとTMEDAとの混合物を挙げることができ、この場合、ルイス塩基は一般に溶剤混合物に対して0.01〜50モル%、好ましくは0.1〜10モル%存在する。特に有用な「置換試薬」としては、カルボン酸ハロゲン化物、例えば、アセチルクロリド、フェニルアセチルクロリド、2−チオフェンアセチルクロリド、トリクロロアセチルクロリド、トリメチルアセチルクロリド、O−アセチルマンデロイルクロリド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸クロリド、2,6−ピリジンカルボン酸クロリド、tert−ブチルアセチルクロリド、クロロアセチルクロリド、4−クロロフェニルアセチルクロリド、ジクロロアセチルクロリド、3−メトキシフェニルアセチルクロリド、アセチルブロミド、ブロモアセチルブロミド、アセチルフルオリド、ベンゾイルフルオリドを挙げることができ、これらは一般に前述の溶剤中で、又はそれ自体で使用される。これにより、通常、式III(X=F、Cl、Br、I)に類似のジハライド、或いはフェノール性リガンドの部分(半分)置換の場合はモノハライドが得られる。更に好適な置換方法は、ラセミメタロセン錯体、好ましくは式IIIの錯体と、有機アルミニウム化合物、例えばトリ−C〜C10アルキルアルミニウム(例、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム)との反応である。これにより、現在の知識に基づいて、III(X=有機基、例えばC〜C10アルキル(例、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル))に類似の有機化合物、及び例えば有機アルミニウムビナフトキシドが得られる。錯体IIIのリガンドXが2個の非架橋フェノキシドである場合、類似の方法を使用することもできる。
【0088】
開裂反応において、成分は、モノ置換又はジ置換生成物が得られるか否かに拘わらず化学量論比で使用される。
【0089】
開裂反応は、一般にメタロセン錯体の立体化学を保持して行われる;即ちメタロセン錯体のラセミ形をメソ形に変換されることはない。むしろ、特に上述の塩素化法を用いた場合、rac−選択性を、一般に、出発(ビ)フェノキシド又は出発ビスフェノキシド錯体の立体化学を維持しながら、増加させることができる。
【0090】
本発明の方法により、メタロセン錯体のラセミ形を極めて選択的に得ることができる。架橋(ブリッジ)の隣に水素以外のリガンドを有する架橋インデニル型又はベンゾインデニル型メタロセンを、特に有利に得ることができる。
【0091】
本発明に従い製造されたラセミ金属錯体、特に式IIIの錯体又はこれらの上述の誘導体(例えば、フェノキシドリガンドの置換により得ることができる)を、オレフィン性不飽和化合物(例、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン又はスチレン)の重合用の触媒として又は触媒組成物の中に使用することができる。これらの使用は、プロキラルのオレフィン性不飽和化合物(例、プロピレン又はスチレン)立体選択性重合に特に有利である。本発明のラセミメタロセン錯体が「メタロセン成分」として機能し得る適当な触媒又は触媒組成物は、通常、メタロセニウムイオンを形成し得る化合物により得ることができ、この方法は、例えばEP−A−0700935、第7頁、34行〜第8頁、21行及び式(IV)及び(V)に記載されている。更なるメタロセニウムイオンを形成し得る化合物としては、アルミノキサン(RAlO)、例えばメチルアルミノキサンを挙げることができる。
【0092】
本発明に従い製造されたラセミメタロセン錯体、特に式IIIの錯体又はこれらの上述の誘導体(例えば、フェノキシドリガンドを分解することにより得ることができる)は、立体選択性の、特に有機合成における立体選択性の試薬又は触媒又は触媒組成物にも使用することができる。例えば、C=Cの2重結合又はC=O若しくはC=Nの2重結合の立体選択性還元又は立体選択性アルキル化を挙げることができる。
【0093】
【実施例】
略語
bpo=1,1’−ビ−2−フェノキシド
bip=3,3’,5,5’−テトラ−tert−t−ブチル−1,1’−ビ−2−フェノキシド
【0094】
[rac−選択性が熱異性化により達成された実施例]
[実施例1]
rac−MeSi(2−Me−ind)Zr[3,3’,5,5’−(t−Bu)−1,1’−ビ−2−フェノキシド]の製造
rac−MeSi(2−Me−ind)Zr(bip) (4C)
0.64g(1.95ミリモル)のMeSi(2−Me−ind)Li及び1.39g(1.95ミリモル)のCl(THF)Zr(bip)を混合して乾燥させ、約15mlのトルエン/THFの10:1混合物(容量比)を加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。これにより橙色溶液及び白色沈殿(LiCl)が形成した。粗混合物のH−NMRスペクトルは、約1:1の異性体比を示した。反応混合物を80℃で5時間撹拌した。これにより、H−NMRスペクトルは、約16:1のrac/meso比を示した。溶液をろ過し、溶剤混合物を高真空下に除去した。これにより、黄色の泡状のMeSi(2−Me−ind)Zr(bip)を1.17g(74%)を得た。これはNMR分光法によれば純粋であり、16:1のrac/meso比を有するものであった。黄色の泡をヘキサンに溶解させ、−30℃に冷却した。1日経過後、ろ過により、微結晶性黄色粉末の純粋なラセミのMeSi(2−Me−ind)Zr(bip)を0.35g(22%)得た。
【0095】
中のH−NMRスペクトル:表Bに示す。C中の13C−NMRスペクトル(25℃、600MHz):161.1,141.2,135.3,134.8,134.3,131.8,130.9,129.7,126.0,126.8,124.9,123.3,121.8,111.6,92.4,34.3,32.5,32.1,31.8,18.8,2.55。マス・スペクトル(EI−MS/70eV)は、m/e812−821で分子イオンピークを示し、典型的なアイソトープ分布を有していた。元素分析:測定:C73.64%、H7.73%、Zr11.06%;計算:C73.74%、H7.67%、Zr11.20%。
【0096】
[表B]
錯体rac−4CのH−NMRシフト(ppm、C、25℃、600MHz)
【0097】
【表1】
Figure 0004454225
【0098】
[実施例2]
MeSi(2−Me−ind−4−Ph)Zr[3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノキシド]の製造
MeSi(2−Me−4−Ph−ind)Zr(bip)
A)ZrCl(THF)の合成
3.1g(43.0ミリモル)のTHFを、80mlのトルエン中の4.99g(21.41ミリモル)のZrClの懸濁液に、0℃(氷浴中で冷却して)で15分間に亘ってゆっくり滴下した。懸濁液を室温まで暖め、1時間撹拌した。
【0099】
B)(3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノラート)Liの合成
17.0ml(45.56ミリモル)の2.68モルBuLiトルエン溶液を、120mlのトルエン及び3.1g(43.0ミリモル)のTHF中に8.79g(21.4ミリモル)の3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノールを溶解した液に、0℃(氷浴中で冷却して)で20分間に亘ってゆっくり滴下した。透明な溶液を室温まで暖め、1時間撹拌した。
【0100】
C)ClZr(3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノキシド)(THF)の合成
反応B)で得られたジリチウムビフェノキシドを、反応A)で得られたZrCl(THF)懸濁液に、窒素中でシリンジにより加えた。フラスコに残ったジリチウムビフェノキシド溶液の残渣を10mlのトルエンを用いてリンスした。懸濁液を室温で4時間撹拌した。
【0101】
D)MeSi(2−Me−4−Ph−ind)Liの合成
16.4ml(43.95ミリモル)の2.68モルBuLiトルエン溶液を、110mlのトルエン及び5g(69.33ミリモル)のTHF中に9.8g(20.90ミリモル)のMeSi(2−Me−4−Ph−indH)を溶解した液に、室温で20分間に亘ってゆっくり滴下した。淡黄色の懸濁液を60℃に加熱し、1時間撹拌し、そして室温まで冷却した。
【0102】
E)MeSi(2−Me−4−Ph−ind)Zr(bip)の合成
C)で得られた懸濁液を、D)で得られたMeSi(2−Me−4−Ph−ind)Li懸濁液にシリンジを用いて、室温、窒素中で加えた。添加終了後、懸濁液は黄橙色に変化した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物のH−NMRスペクトルは、約1:1のrac−meso比を示した。懸濁液を85℃で9時間撹拌した。粗混合物のH−NMR分光分析により、約15:1のrac−meso比を示した。この際、不純物の又は分解生成物を示す信号は無かった。懸濁液をろ過し、白色沈殿を少量のトルエンで洗浄し、そしてろ液を集め、高真空で蒸発させ、約1/4の容積にした。数日後、橙色の結晶性沈殿が生成し、これをろ過、続いて乾燥することにより単離した。純粋なラセミのMeSi(2−Me−4−Ph−ind)Zr(bip)を8g(39.5%)得た。同様の形式の手順を行うことにより(複数回結晶化)、純粋なラセミのMeSi(2−Me−4−Ph−ind)Zr(bip)を17.1g(85%)得た。
【0103】
MeSi(2−Me−ind−4−Ph)Zr(3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノキシド)の元素分析:測定:C77.0%、H7.4%;計算:C77.0%、H7.3%。
【0104】
中のH−NMRスペクトル:表Cに示す。
【0105】
[表C]
錯体のH−NMRシフト(ppm、C、25℃、200MHz)
【0106】
【表2】
Figure 0004454225
【0107】
[実施例3]
MeSi(2−Me−4−(4−t−Bu−Ph)−ind)Zr(3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノキシド)の製造
MeSi(2−Me−4−(4−t−Bu−Ph)−ind)Zr(bip)
A)ZrCl(THF)の合成
3.8g(52.7ミリモル)のTHFを、100mlのトルエン中の5.45g(23.38ミリモル)のZrClの懸濁液に、0℃(氷浴中で冷却して)で15分間に亘ってゆっくり滴下した。懸濁液を室温まで暖め、1時間撹拌した。
【0108】
B)(3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノラート)Liの合成
18.3ml(49.1ミリモル)の2.68モルBuLiトルエン溶液を、130mlのトルエン及び3.8g(52.7ミリモル)のTHF中に9.6g(23.38ミリモル)の3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノールを溶解した液に、0℃(氷浴中で冷却して)で20分間に亘ってゆっくり滴下した。透明淡黄色溶液を室温まで暖め、1時間撹拌した。
【0109】
C)ClZr(3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノキシド)(THF)の合成
反応B)で得られたジリチウムビフェノキシドを、反応A)で得られたZrCl(THF)懸濁液に、窒素中でシリンジにより加えた。フラスコに残った残渣を10mlのトルエンを用いてリンスした。懸濁液を室温で4時間撹拌した。
【0110】
D)MeSi(2−Me−4−(4’−t−Bu−Ph)−ind)Liの合成
17.5ml(46.9ミリモル)の2.68モルBuLiトルエン溶液を、150mlのトルエン及び6g(83.20ミリモル)のTHF中に13.0g(22.38ミリモル)のMeSi(2−Me−4−(4’−t−Bu−Ph)−indH)を溶解した液に、室温で20分間に亘ってゆっくり滴下した。淡黄色の懸濁液を60℃に加熱し、1時間撹拌し、そして室温まで冷却した。
【0111】
E)MeSi(2−Me−4−(4’−t−Bu−Ph)−ind)Zr(bip)の合成
C)で得られた懸濁液を、D)で得られたMeSi(2−Me−4−(4’−t−Bu−Ph)−ind)Li懸濁液にシリンジを用いて、室温、窒素中で加えた。添加終了後、懸濁液は淡黄色に変化した。反応混合物室温で12時間撹拌した。反応混合物のH−NMRスペクトルは、約1:2のrac−meso比を示した。懸濁液を85℃で9時間撹拌した。粗混合物のH−NMR分光分析により、約15:1のrac−meso比を示した。この際、不純物の又は分解生成物を示す信号は無かった。懸濁液をろ過し、白色沈殿を少量のトルエンで洗浄し、そしてろ液を集め、高真空で蒸発させ、約1/4の容積にした。室温で結晶化、ろ過及び乾燥を繰り返した。その結果。純粋なラセミのMeSi(2−Me−4−(4’−t−Bu−Ph)−ind)Zr(bip)を合計で21.1g(88%)得た。
【0112】
MeSi(2−Me−4−(4’−t−Bu−Ph)−ind)Zr(3,3’,5,5’−テトラ−t−Bu−1,1’−ビ−2−フェノキシド)のH−NMRシフト(ppm、C、25℃、200MHz)
【0113】
【表3】
Figure 0004454225
【0114】
<フリーラジカル源の添加及び加熱によりrac−選択性が達成された実施例(異性化)>
【0115】
[実施例4]
MeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(bip)(5C)の製造
0.89g(2.10ミリモル)のMeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr及び1.50g(2.10ミリモル)のCl(THF)Zr(bip)を混合して乾燥し、約15mlのトルエン/THFの10:1混合物(容量比)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。これにより、橙色溶液及び白色沈殿(LiCl)が生成した。粗反応混合物のH−NMRスペクトルは、約1:1の異性体比を示した。反応混合物をろ過した。0.30g(1.92ミリモル)のTEMPOを、ろ液に室温で添加し、反応混合物を75℃で1時間加熱した。粗混合物のH−NMRスペクトルは、純粋なラセミのMeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(bip)であることを示した。高真空下での蒸発によるろ液の濃縮及び室温での複数結晶化により、rac−MeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(bip)を1.6g(1.76ミリモル;84%)得た。
【0116】
CDCl中のH−NMRスペクトル:表Eに示す。CDCl中の13C−NMRスペクトル(25℃、600MHz):158.1,139.1,133.3,133.1,131.8,131.6,130.1,128.9,128.2,127.6,127.2,126.4,125.6,124.1,124.0,121.2,110.8,97.3,35.3,34.0,33.1,31.8,19.1,2.9。マス・スペクトル(EI−MS/70eV)は、m/e906−915で分子イオンピークを示し、典型的なアイソトープ分布を有していた。元素分析:測定:C75.99%、H7.09%、Zr9.83%;計算:C76.18%、H7.27%、Zr9.97%。
【0117】
[表E]
錯体rac−5CのH−NMRシフト(ppm、C、25℃、600MHz)
【0118】
【表4】
Figure 0004454225
【0119】
<アンサ−メタロセンビフェノキシド錯体のフェノキシド置換の実施例>
【0120】
[実施例5]
MeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(3,5−Me−OCとCHCOClとの反応によるMeSi(2−Me−benz[e]ind)ZrClの製造
13gのトルエン中の0.63g(8.02ミリモル)の塩化アセチルを、2.8g(3.74ミリモル)のrac−MeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(3,5−Me−OCを48gのトルエン及び0.6g(8.3ミリモル)のTHFに溶解した液に室温で滴下した。溶液を室温で2日間撹拌した。これにより、淡橙色溶液の黄色味が増加した。数時間後、淡黄色結晶の沈殿の生成が観察された。H−NMRスペクトは、3,5−Me−フェニルアセテートの共鳴の他に、純粋なラセミのMeSi(2−Me−benz[e]ind)ZrClの信号を示した。淡黄色の結晶性沈殿をろ過により単離し、少量のトルエンで洗浄し、高真空下に乾燥した。これにより純粋のラセミMeSi(2−Me−benz[e]ind)ZrCl(bip)を分析的に純粋な形で1.97g(3.42ミリモル;92%)得た。
【0121】
MeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(3,5−Me−OCとCHCOClとの反応によるMeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(3,5−Me−OC)Clの製造
10gのトルエン中の0.26g(3.34ミリモル)の塩化アセチルを、2.5g(3.34ミリモル)のrac−MeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(3,5−Me−OCを60gのトルエン及び0.25g(3.4ミリモル)のTHFに溶解した液に室温で滴下した。溶液を室温で2日間撹拌した。これにより、淡橙色溶液の黄色味が増加した。H−NMRスペクトは、3,5−Me−フェニルアセテートの共鳴の他に、純粋なラセミのMeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(3,5−Me−OC)Clの信号を示した。溶液を高真空下に蒸発し、約1/4にした。数日後、淡黄色結晶の沈殿が生成し、これをろ過し、少量のトルエンで洗浄し、高真空下に乾燥した。これにより純粋のラセミMeSi(2−Me−benz[e]ind)Zr(3,5−Me−OC)Clを分析的に純粋な形で2.0g(90%)得た。
【0122】
MeSi(2−Me−benz[e]ind)ZrCl(3,5−ジ−Me−フェノキシド)の元素分析:測定:C67.5%、H5.3%;計算:C68.8%、H5.3%。
【0123】
MeSi(2−Me−benz[e]ind)ZrCl(3,5−ジ−Me−フェノキシド)のH−NMRシフト(ppm、C、25℃、200MHz)
【0124】
【表5】
Figure 0004454225

Claims (5)

  1. 式I:
    Figure 0004454225
    [但し、Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン又は周期表第III族の遷移元素又はランタニドを表し、
    Xが同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、OR10又はNR1011を表し、
    nが、1〜4の整数であり、且つMの原子価−2に相当し、
    及びRが同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、上述の基は、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}で部分的又は完全に置換されていても良く、
    〜Rが同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、隣接する基R〜Rが、炭素原子数4〜15個を有する飽和、部分的飽和又は不飽和の環式基を形成していても良く、そして上述の基が、ヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28を表し、このR28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す}で部分的又は完全に置換されていても良く、
    10及びR11がそれぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、アルキルアリール、フルオロアルキル又はフルオロアリール(それぞれ、アルキル基の炭素原子数が1〜10個及びアリール基の炭素原子数が6〜20個である)を表し、
    Y及びYが同一でも異なっていても良く、それぞれ、
    Figure 0004454225
    =BR12、=AlR12、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR12、=CO、=PR12又は=P(O)R12を表し、
    このR12が、同一又は異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10フルオロアリール、C〜C10アリール、C〜C10アルコキシ、C〜C10アルケニル、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アリールアルケニル又はC〜C40アルキルアリールを表すか、或いは2個の基R12がそれらに結合する原子と共に環を形成し、
    上記Mが、珪素、ゲルマニウム又は錫を表し、そして
    mが0、1、2、3を表し、或いは
    Yが架橋せず、2個の基R’及びR”を表し、
    このR’及びR”が同一でも異なっていても良く、それぞれ水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C20アルキル、置換基としてC〜C10アルキルを有していても良い3〜8員のシクロアルキル、C〜C15アリール、又はアルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアルキルアリール、アルキル部分の炭素原子数が1〜10個及びアリール部分の炭素原子数が6〜20個のアリールアルキル、Si(R{Rが同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C20アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリールを表す}を表し、或いは隣接する基R又はRと合体して飽和、部分飽和又は不飽和の炭素原子数4〜15個の環式基を形成し、そして上述の基はヘテロ原子、−OR27、−SR27、−N(R27、−P(R27{R27は同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリール又はSi(R28(R28が同一でも異なっていても良く、それぞれC〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、アルキルアリールを表す)を表す}で部分的又は完全に置換されていても良い。]
    で表される架橋又は非架橋遷移金属−芳香族錯体を、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体と反応させ、このようにして得られた反応混合物に、フリーラジカル又はフリーラジカル形成剤を添加して若しくは添加することなく、75〜110℃に加熱することを特徴とするラセミメタロセン錯体の製造方法。
  2. 式IのR及びRが、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−メチル−2−フェニルプロピル(ネオフィル)、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル(2−ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イル(1−ノルボルニル)、アダマンチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリトリルシリル、ビス(トリメチルシリル)メチル、フェニル、1−又は2−ナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル及びメシチルから選択される請求項1に記載の方法。
  3. 式Iのmが0である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 式IのYが同一であり、それぞれ酸素である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. マグネシウム又はリチウムのシクロペンタジエニル誘導体を使用する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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