JP4450552B2

JP4450552B2 - 薄葉衛生用紙

Info

Publication number: JP4450552B2
Application number: JP2002362192A
Authority: JP
Inventors: 繁夫石川; 浩大野
Original assignee: Daio Paper Corp
Current assignee: Daio Paper Corp
Priority date: 2002-12-13
Filing date: 2002-12-13
Publication date: 2010-04-14
Anticipated expiration: 2022-12-13
Also published as: JP2004188078A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄葉衛生用紙に係り、特に柔らかくかつ滑らかな薄葉衛生用紙に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、生活環境の変化に伴って、使用者にとって、柔らかくかつ滑らかな薄葉衛生用紙は好まれる傾向にある。
【０００３】
柔軟性を確保するためには、特許第３１８０９１６号に示されているように、たとえば第４級アンモニュウム塩を添加することが知られている。また、特許第２８０６９７４号に示されているように、ポリシロキサン物質を添加することも知られている。
【特許文献１】
特許第３１８０９１６号公報
【特許文献２】
特許第２８０６９７４号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、柔軟性のみを付与したとしても、滑らかさを兼ね備えていないと肌触りが悪い。肌触りに影響する「滑らかさ」を得るためには、潤滑剤を添加することが考えられるが、実際にこれに適した潤滑剤を見出し難い。
【０００５】
したがって、本発明の主たる課題は、柔らかさのみでなく、かつ滑らかな薄葉衛生用紙を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
＜請求項１項記載の発明＞
二枚重ね一組としたものの一枚のＪＩＳＰ８１２４に基づいて測定された米坪が７〜４０ｇ／ｍ ² であり、
（ａ）脂肪酸エステル系化合物及び（ｂ）脂肪酸アミド系化合物が、乾燥質量基準でパルプ原料１００質量部に対して０．００２〜１０質量部で、かつ、（ａ）／（ｂ）の比が５〜５００の比率で内添され、
紙の幅方向断面におけるパルプ繊維が占める面積を除く空隙の面積率が５０％以上であり、
かつ、クレープ形状が、クレープの流れ方向の頂点距離が０．１ｍｍ以下であることを特徴とするティシュペーパー。
【０００７】
＜請求項２項記載の発明＞
脂肪酸エステル系化合物として、カチオン性の脂肪酸エステル系化合物とノニオン性の脂肪酸エステル系化合物との２種類の化合物が添加されている請求項１記載のティシュペーパー。
【０００８】
【０００９】
＜請求項３項記載の発明＞
紙の幅方向断面における隣接するパルプ繊維間距離が１μｍ以上であるパルプ繊維数が、全パルプ繊維数中に占める割合が５０％以上であることを特徴とする請求項１又は２記載のティシュペーパー。
【００１０】
＜請求項４項記載の発明＞
保湿剤を混合した柔軟剤が内添で添加されている請求項１〜３のいずれか１項に記載のティシュペーパー。
【００１１】
＜請求項５項記載の発明＞
カレンダー処理がなされていない請求項１〜４のいずれか１項に記載のティシュパーパー。
【００１２】
＜請求項７項記載の発明＞
クレープの幅方向長さが０．５ｍｍ以下である請求項１〜５のいずれか１項に記載のティシュペーパー。
【００１３】
【００１４】
【００１５】
【００１６】
（作用効果）
本発明者は、滑らかさは、クレープ形状に大いに関係することを突き止めた。すなわち、図１に示すように、クレープの（用紙）流れ方向の頂点距離Ｌが０．１ｍｍ以下、クレープの幅方向長さＷが０．５ｍｍ以下であるものが望ましいことを知見した。
【００１７】
クレープの流れ方向の頂点距離Ｌが短く０．１ｍｍ以下であると、滑らかさを与える。他方、クレープの幅方向長さＷが０．５ｍｍを超えると、薄葉衛生用紙を肌に当てて流れ方向に移動させて清拭するときの滑らかさを阻害する。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに詳説する。
本発明では、図２に模式的に示すように、紙の幅方向断面における、パルプ繊維Ｆが占める面積を除く空隙の面積率（すなわち図２における単位面積Ｓ中のパルプ繊維Ｆを除く非ハッチング領域の面積率）が５０％以上が望ましい。この面積率が高いと、柔らかさ感を与える。過度に当該面積率が高いと、強度の低下を与え、またコシがないものとなる。
【００１９】
特に、さらに、紙の幅方向断面における、隣接するパルプ繊維間距離Ｄが１μｍ以上であるパルプ繊維数が、全パルプ繊維数中に占める本数割合が５０％以上であり、最適には５μｍ以上が５０％以上であるものが望ましい。これについても、同様で、本数割合が高いと、柔らかさ感を与える。過度に当該本数割合が高いと、強度の低下を与える。
【００２０】
後の実施例で示すように、従来例において、本発明に係る形態の製品は存在しない。
【００２１】
表面特性の指標としてのＭＭＤとしては、９．０以下、特に８．５以下であるものが望ましい。
この表面特性の試験には、カトーテック株式会社製「摩擦感テスターＫＥＳＳＥ」を用いることができる。測定に際しては、図３に示すように、横断面直径０．５ｍｍのピアノ線からなり、その接触面の長さは５ｍｍである摩擦子を、紙試料に１０ｇの接触圧で接触させながら、移動方向に２０ｇ／ｃｍの張力を紙試料に与えつつ、０．１ｃｍ／秒の速度で２ｃｍ移動させたときの、摩擦係数を測定する。そして、摩擦係数の平均偏差（摩擦子を移動させたときの表面厚さの変動、すなわち摩擦係数を摩擦距離（移動距離＝２ｃｍ）で割った値）がＭＭＤである。
【００２２】
ソフトネスとしては、１．５以下、特に１．４以下であるものが望ましい。
【００２３】
本発明の薄葉衛生用紙を得るためには、各種の要素を選定することより得ることができる。すなわち、パルプ原料としてのＬＢＫＰとＮＢＫＰの配合比率、パルプの種類（繊維粗度、あるいは原料となる樹木の種類や樹齢）、叩解度、抄紙水分、カレンダー隙間・圧力・材質、薬液の添加及びその量などにより調整することが可能である。パルプは、古紙パルプを配合しないものが望ましい。
【００２４】
さらに、引張強度、縦横比、クレープ形状（クレープ率、クレープの高低差等）、水分率、密度、紙力剤の添加、薬液の添加及びその量等により調整することが可能である。表面特性は、パルプ配合、カレンダー条件、抄紙水分、ドクターの刃先角度、ブレード角度、接着・剥離強度のバランス、クレープ率、薬液の添加及びその量などにより調整することが可能である。
【００２５】
本発明の薄葉衛生用紙は、２枚重ねで一組（２プライ）としたものに適用であきる。二枚重ね一組としたものの一枚のＪＩＳＰ８１２４に基づいて測定された米坪が７〜４０ｇ／ｍ²である。米坪が、７ｇ／ｍ²未満であると、抄造が困難となる。４０ｇ／ｍ²を超えると紙厚が増すと硬くなる。
【００２６】
本発明におけるクレープ形状を得るに際して、大きく影響するものに添加剤の添加である。
【００２７】
すなわち、カチオン性の脂肪酸エステル系薬液とノニオン性の脂肪酸エステル系薬液との両薬液添加されているのが望ましい。さらに、（ａ）これらの一方叉は両方の脂肪酸エステル系薬液、および（ｂ）脂肪酸アミド系薬液を内添により添加することが望ましい。添加剤の添加をスプレー塗布や転写塗布などの外添で行うことも考えられるが、効果がきわめて小さいので、内添、すなわち抄紙原料に混入して抄紙する方法が特に望ましい。
【００２８】
薬液の添加量としては、乾燥質量基準でパルプ原料１００質量部に対して０．００２〜１０質量部が望ましい。また、（ａ）／（ｂ）の比は、５〜５００が望ましい。
【００２９】
（ａ）の脂肪酸エステル系薬液は繊維に付着すると繊維内部に浸透して、乾燥時にルーメン（内孔部）の内部同士が水素結合して潰れるのを防ぎ、よって嵩高くふんわりした紙質とすることができる。ただしカチオン性がないと、単独では繊維に定着しにくく効果が発揮しにくい。
【００３０】
また、脂肪酸アミドは、繊維１本１本の表面をコーティングし、表面に滑性を出し、紙表面の滑らかさを向上させることができる。
【００３１】
必要によりグリセリンやポリエチレングリコールなどの保湿剤を内添することができる。
【００３２】
【実施例】
市販のティシュペーパーと本発明に係るティシュペーパーについて、各種の比較を行った。いずれも、２枚重ねで一組（２プライ）としたものである。結果を表１に示す。
【００３３】
官能評価は、５点評価によるものである。また、空隙面積率及び本数割合の測定に際しては、サンプルを６枚重ね、その上下にＯＨＰシートを重ねた状態で、鋭利な髭剃り用片刃にて９０度の角度で切断し、切断サンプルの断面を１０００倍のＳＥＭ写真で撮像し、その写真から判断するものである。
【００３４】
【表１】

【００３５】
この結果によれば、本発明の製品は官能評価において、「柔らかさ」「滑らかさ」のいずれも高い評価となった。
【００３６】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、柔らかさのみでなく、かつ滑らかな薄葉衛生用紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる薄葉衛生用紙表面におけるクレープを示す説明図であり、（ａ）は表面図、（ｂ）はＢ−Ｂ線矢視図である。
【図２】紙の幅方向断面図である。
【図３】ＭＭＤの試験方法の説明図である。
【符号の説明】
Ｆ…パルプ繊維。

Claims

二枚重ね一組としたものの一枚のＪＩＳＰ８１２４に基づいて測定された米坪が７〜４０ｇ／ｍ ² であり、
（ａ）脂肪酸エステル系化合物及び（ｂ）脂肪酸アミド系化合物が、乾燥質量基準でパルプ原料１００質量部に対して０．００２〜１０質量部で、かつ、（ａ）／（ｂ）の比が５〜５００の比率で内添され、
紙の幅方向断面におけるパルプ繊維が占める面積を除く空隙の面積率が５０％以上であり、
かつ、クレープ形状が、クレープの流れ方向の頂点距離が０．１ｍｍ以下であることを特徴とするティシュペーパー。
脂肪酸エステル系化合物として、カチオン性の脂肪酸エステル系化合物とノニオン性の脂肪酸エステル系化合物との２種類の化合物が添加されている請求項１記載のティシュペーパー。
紙の幅方向断面における隣接するパルプ繊維間距離が１μｍ以上であるパルプ繊維数が、全パルプ繊維数中に占める割合が５０％以上であることを特徴とする請求項１又は２記載のティシュペーパー。
保湿剤を混合した柔軟剤が内添で添加されている請求項１〜３のいずれか１項に記載のティシュペーパー。
カレンダー処理がなされていない請求項１〜４のいずれか１項に記載のティシュパーパー。
クレープの幅方向長さが０．５ｍｍ以下である請求項１〜５のいずれか１項に記載のティシュペーパー。