JP4447559B2 - 靴下 - Google Patents

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Description

本発明は靴下に関するものであり、より詳細には着用者の土踏まずと靴下とのフィット感が向上し、土踏まずを引き上げることで高い運動性能を発揮できる靴下に関するものである。
従来より、着用者の足の動きをサポートし運動性能を高めることを目的とした靴下や足へのフィット性向上を目的とした靴下など、各種の靴下が開示されている。着用者の足に着目した場合、土踏まずは体重を支えたり、体への負担を軽減したり、歩行の動作そのものを促すという大切な役割がある。しかし、疲労の蓄積や体重によって土踏まずのアーチは落ち込んでしまう。そして、土踏まずのアーチが落ち込んだ状態では体への負担が増えるため、高い運動性能を発揮することができないと言われている。
特許文献1には、靴下の土踏まず部分にフィットするクッションを取り付け、土踏まず部に接する部位を盛り上がった構造にすることにより、土踏まず部分にここちよい刺激を与えることを目的とした靴下が開示されている。
また、特許文献2には、踵骨***部の一部を足底で横切り、くるぶしの後側を通り、アキレス腱の中央部分を避けてその両脇部近傍を通って上に延び、腓腹筋の筋腹の長手方向両脇部近傍外側に沿って膝関節下近傍の上辺部片まで到達している第1の強面状部材と、土踏まずの一部を横切り足背部の一部までカバーして筒状になり、足背部側から前側において足首方向に伸びてほぼ筒状に足首も覆っている第2の強面状部材とが充当されている下腿部保護用衣料が開示されている。
また、特許文献3には、中足骨靭帯に対応する足裏部及びその両側部に当接する部分を高弾性材で構成し、中足骨靭帯に対応する足表部に当接する部分を低弾性材で構成し、着用したときに両側部から締め付けることで中足骨靭帯を横アーチ状の再生方向に矯正することを特徴とする靴下が開示されている。
実開平6−20407号公報 特開平8−158105号公報 特開2005−42213号公報
しかしながら、前記特許文献1の靴下では、土踏まず部の形状が着用者によって様々であるため万人に対応することが難しい。例えば、土踏まず部のアーチが小さい人の場合、クッションによる土踏まずへの刺激は大きくなるが、シューズを履いた時に違和感をおぼえやすくなる。逆に土踏まず部のアーチが大きい人の場合、土踏まずに対する刺激が小さくなり、目的とする効果が得られない。また特許文献2の靴下では、土踏まず部から足甲部にかけて緊締力が強い部分を筒状に配置するため、足の中でも外的刺激に敏感な足甲部にかかる圧が高くなり、着用感が不快となる。また特許文献3の靴下では、高弾性材の周り(両端)が低弾性材で構成されているために、高弾性材による両側部からの締め付ける力が、低弾性材の低伸長力に置き換わり、中足骨靭帯を横アーチ状の再生方向に充分に矯正することができない。
そこで、本発明の靴下では、弾性力の強い素材と弱い素材とを適所に配置することにより、着用者の土踏まずと靴下のフィット感を向上させ、また過度の締め付け感を感じることなく、土踏まずを引き上げることで高い運動性能を発揮できる靴下を提供することを目的とする。
そこで本発明の靴下では、前記の課題を解決し、高い運動性能を発揮できる靴下に関する発明をするに至った。即ち、本発明の靴下は、少なくとも高弾性領域と低弾性領域を含む2種類以上の弾性力の領域で構成される靴下であって、少なくとも以下の(A)の領域を前記高弾性領域で構成し、前記高弾性領域以外の領域を低弾性領域で構成したことを特徴とする靴下である。
(A)土踏まず部を横切る領域と踵骨上方を横切る領域とを結ぶ一連の領域。
また、前記(A)の領域内の足裏から内甲側にいたる部分が、少なくとも以下の(A−10)の部分を含むことを特徴とする靴下である。
(A−10)親指中足骨の後方部、楔状骨の略全体、舟状骨の前方部又は略全体、距骨の下方部又は略全体
また、前記(A)の領域内の足裏から外甲側にいたる部分が、少なくとも以下の(A−20)の部分を含むことを特徴とする靴下である。
(A−20)小指中足骨の後方部、立法骨の略全体、踵骨の前方部、距骨の下方部又は略全体
さらに、高弾性領域のうち、土踏まず部を横切る領域の長手方向の幅は10mm以上200mm未満であり、踵骨の上方を横切る部分は5mm以上200mm以下であり、かつ、土踏まず部を横切る高弾性領域は、ニットとミスを用いることにより、裏面から見たとき、FTY糸及びDCY糸がダイヤ柄のように構成されている。
また、前記高弾性領域において、踵骨上方を横切る部分から内甲側の側部及び/又は外甲側の側部にいたる領域が、それ以外の領域よりも厚みを有することを特徴とする靴下である。
また、本発明の靴下では、足裏の土踏まず部から内甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力がそれ以外の領域の張力よりも大きくなっている。さらに足裏の土踏まず部から外甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力がそれ以外の領域の張力よりも大きくなっている。
具体的には、前記靴下の長手方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB1、前記低弾性領域の値をB2とした場合、B2>B1であり、かつB1が10%以上300%以下の範囲、B2が15%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が5%以上あるようになっている。
また、前記靴下の周方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB3、前記低弾性領域の値をB4とした場合、B4>B3であり、かつB3が20%以上500%以下の範囲、B4が30%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が10%以上あるようになっている。

本発明の靴下では、土踏まず部を横切る領域と踵骨上方を横切る領域とを結ぶ一連の領域を高弾性領域で構成することで、着用者の土踏まずを引き上げ、後述するアーチ部の各種の機能性を高めることができる。また、着用者の土踏まずと靴下のフィット感が向上する。
また、土踏まず部から足甲部にかけて筒状に緊締力の強い素材を配置した靴下とは異なり、足甲部に過度の締め付け感を感じることなく土踏まずに刺激を与えることできるので、血行を良くしむくみを抑え疲労を軽減することができ、高い運動性能を発揮できる。
また、高弾性領域が土踏まず部を横切る領域から踵骨上方を横切る領域まで繋がっており、間に低弾性領域を含まないことで、土踏まずを引き上げる力が高弾性領域以外の素材の伸長力に置き換わることなく、効率良く発明品の効果を発揮することができる。
また、高弾性領域において、踵骨上方を横切る部分から内甲側の側部及び/又は外甲側の側部にいたる領域が、それ以外の領域よりも厚みを有することで、素足でシューズを履いたときに生じる空間を靴下の前記の厚み部分が埋めるので、シューズとのフィット感が向上する。また土踏まず部に厚みを与えた場合はインソールとのフィット感が向上するので、インソールの機能を十分発揮させることができる。
まず、人体の足及びアーチの構造について説明すると、足は7個の足根骨(立方骨、舟状骨、踵骨、距骨、第1楔状骨、第2楔状骨、第3楔状骨)、5個の中足骨(第1〜第5中足骨)及び14個の趾骨を骨格として、多数の腱と筋肉から成り立っており、前記の骨と骨とは靭帯で強く結合されている。そして骨や靭帯によって結合された足底には後述する3種類のアーチが形成されており、それぞれのアーチはアーチ形状を維持するために筋肉や靭帯等によって上方へ引き上げられている。
図1は人体の足の構造を示しており、図1(a)は左足を外側から見た図、図1(b)は左足を内側から見た図、図1(c)は左足を底面側から見た図である。
立位状態での人体の足には、以下の三種類のアーチが存在する。
1.踵骨70、距骨71、舟状骨72、内側の楔状骨73、親指(第1)中足骨75で構成され、舟状骨72及び楔状骨73付近を頂点とし、踵部分Aと親指つけ根部分Bを結ぶ内側縦アーチAB。
2.踵骨70、立方骨74、小指(第5)中足骨76で構成され、踵立方関節付近を頂点とし、踵部分Aと小指つけ根部分Cとを結ぶ外側縦アーチAC。
3.中足骨間または趾骨間で構成され、人差指(第2)中足骨付近を頂点とし、親指つけ根部分Bと小指つけ根部分Cとを結ぶ横アーチBC。
アーチの高さの程度を示す指標としてはアーチ高が使用される。アーチ高とは足底部を水平な床面に置いた時の床面から、舟状骨粗面72a(足の内側に位置する舟状骨の突起であり、肌表面から触れた際に確認できる突起)までの距離のことであり、アーチが沈んだ状態ではアーチ高は低くなる。
これらのアーチには、運動時にバネとして働き地面からの衝撃を緩和吸収し体のバランスを保つ働き、運動時の体重支持及び体重移動を円滑にする働き、足はこびをスムーズにする働き等がある。
具体的には、アーチは足底にかかる負荷を分散して支え、歩行時の着地による衝撃を吸収し、重心をスムーズに移動させるように働く。着地時において、地面と足底部が接する際の衝撃により、アーチが沈むことでクッションの役割を果たし、衝撃を緩和する。衝撃を緩和した後にアーチは復元する。しかし、アーチは衝撃が繰り返しかかることで徐々に元の形状にまで戻らなくなる。つまり、アーチ高は負荷がかかっていない初期のアーチ高よりも低くなる。アーチ高が低くなると、衝撃を受けた時にアーチの変化量が小さくなるため、アーチのクッションとしての機能が悪くなり、衝撃の緩和が不充分となる。それが原因で足部や下腿部、膝部、腰部などに負担が増え、足の疲れや膝部、腰部の痛みなどを引き起こす。
次に、図2を用いて本発明に係る靴下の実施の形態における高弾性領域10(図2では斜線部分で示す)と低弾性領域20の配置について説明する。図2(a)は左足用の靴下を外側から見た図、図2(b)は左足用の靴下を内側から見た図、図2(c)は左足用靴下を底面側から見た図である。図2はいずれも着用状態の靴下を示しており、着用者の骨格部分は点線で示す。
本発明の靴下1では、前記三種類のアーチのうち、踵部分Aと親指つけ根部分Bを結ぶ内側縦アーチABと、踵部分Aと小指つけ根部分Cとを結ぶ外側縦アーチACの二種類の縦アーチに着目する。そして、足裏における土踏まず部を横切る領域R1と踵骨上方を横切る領域R2とを繋いで一連の高弾性領域10とすることで、着用者の土踏まず部におけるアーチ部が高弾性領域の弾性力によって引き上げられ、着用者の土踏まずと靴下のフィット感が向上すると共に、アーチを高い位置で維持することでアーチの各種の働きを高めることができる。なお、本発明の説明において、単に「アーチ部」と記載する場合は、内側縦アーチABと外側縦アーチACの二つのアーチを示すこととする。
高弾性領域10のうち、足裏から内甲側にいたる部分11においては、少なくとも親指中足骨75の一部、楔状骨73の一部及び舟状骨72の一部を含むことが好ましい。より詳細には、親指中足骨75の後方部、楔状骨73の略全体、舟状骨72の前方部又は略全体、距骨71の下方部又は略全体を含むことが好ましい。内側縦アーチABを引き上げるのに適しているからである。
また、高弾性領域10のうち、足裏から外甲側にいたる部分12においては、少なくとも小指中足骨76の一部、立法骨74の一部及び踵骨70の一部を含むことことが好ましい。より詳細には、小指中足骨76の後方部、立法骨74の略全体、踵骨70の前方部、距骨71の下方部又は略全体を含むことことが好ましい。外側縦アーチACを引き上げるのに適しているからである。
また、高弾性領域を足裏側から見た場合、内甲側の領域の方が外甲側の領域に比べて、ややつま先側に位置することが好ましい。一般的に内側縦アーチの山の方が外側縦アーチの山に比べてつま先側に位置するからである。
高弾性領域のうち、土踏まず部を横切る領域の長手方向の幅W1は10mm以上200mm未満程度であることが好ましい。10mmより小さい場合は、足裏の局所部に圧力が加わるため着用感が不快となる。200mmより大きい場合は、内側縦アーチ、外側縦アーチ以外の部位にも圧力が加わるため、目的外の骨格および筋肉に負担がかかり、運動性能の向上が望めなくなる。
土踏まずの引き上げを目的とした従来の靴下やサポーター類は、土踏まず部から足甲部にかけて筒状に弾性力の強い素材を配置しているため、足の中でも外的刺激に敏感な足甲部にかかる圧力が高くなり、着用感が不快となっていたが、本発明の靴下では高弾性素材が足甲部には配置されていないため、そのような不具合は解消される。
高弾性領域10のうち、踵側の配置を踵骨70の上方を横切る部分13としたのは、踵骨上部にある凹部77(アキレス腱部分)に高弾性領域10の生地素材がフィットしやすいためである。また前記領域における長手方向の幅W2は5mm以上200mm以下であることが好ましい。5mmより小さい場合は、局所部に圧力が加わりアキレス腱に食い込むため着用感が不快になる。200mmより大きい場合は、下腿部や踵部にも圧力が加わるため、下腿部の筋肉の動きを妨げることや踵部に余分な圧力が加わることで運動性能を低下させる。
前記のように本発明の靴下は、高弾性領域が土踏まず部を横切る領域から踵骨上方を横切る領域にかけて一連で繋がっており、間に低弾性領域を含まないことで、土踏まず部を引き上げる力が、高弾性領域以外の素材(低弾性領域等)の伸長力に置き換わりにくい。そのため、土踏まず部から踵骨上方にかけて土踏まず部を引き上げる力が連続的に繋がり、効率良く土踏まず部を持ち上げることができる。
また、足裏の土踏まず部から内甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力及び、足裏の土踏まず部から外甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力がそれ以外の領域の張力よりも大きくなっている。
本発明の説明では、人体の各部位によって靴下の各部位、領域等を説明しているが、これは靴下を着用した際の着用者の各部位に該当する部分を表している。
本発明の靴下では、高弾性領域が前記説明した領域に配置されていればよく、それ以外の低弾性領域が配置される範囲については特に限定はされない。例えば、靴下の丈の長さは膝下、膝上等どのような長さであっても良い。またタイツ等の下衣であってもよい。
また、本発明の靴下では、高弾性領域が前記説明した領域に配置されていれば、靴下内に高弾性領域及び低弾性領域以外の弾性領域を含むことも可能である。
本発明において、高弾性領域を実現する方法としては、ポリウレタンを用いるなど素材で戻りが強いものを用いる方法、糸をニットせずにタックやミスをさせたり、別の糸を足したりすることによって伸びにくい組織を作るなど組織を用いる方法、その他樹脂等を用いる方法などが挙げられる。
本発明における高弾性領域及び低弾性領域の弾性力について、靴下の長手方向と周方向の伸長率を用いて説明する。まず長手方向については、30mm×20mm幅における17.7N(1800gf)加重時の伸長率が、高弾性領域、低弾性領域ともに30%以上であることが好ましい。また、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率は、高弾性領域の値をB1、低弾性領域の値をB2とした場合、B2>B1であり、かつB1が10%以上300%以下の範囲、B2が15%以上の範囲であることが好ましい。また、本発明の効果を充分に得るためには、高弾性領域と低弾性領域との伸長率の差が5%以上あることが好ましい。
前記のB1が10%より小さい場合は、高弾性領域の締め付けが強すぎるために痛みを感じることとなる。B1の値が300%より大きい場合は、締め付けが緩すぎるので本発明の効果を得ることができない。B2の値が15%より小さい場合は、低弾性領域の締め付けが強すぎることとなる。
次に周方向については、30mm×20mm幅における17.7N(1800gf)加重時の伸長率が、高弾性領域、低弾性領域ともに100%以上であることが好ましい。また、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率は、高弾性領域の値をB3、低弾性領域の値をB4とした場合、B4>B3であり、かつB3が20%以上500%以下の範囲、B4が30%以上の範囲であることが好ましい。また、本発明の効果を充分に得るためには、高弾性領域と低弾性領域との伸長率の差が10%以上あることが好ましい。
前記のB3が20%より小さい場合は、高弾性領域の締め付けが強すぎるために痛みを感じることとなる。B3の値が500%より大きい場合は、締め付けが緩すぎるので本発明の効果を得ることができない。B4の値が30%より小さい場合は、低弾性領域の締め付けが強すぎることとなる。
前記の伸長率の範囲内であれば、高弾性領域は適度な締め付け感を与えることができる。また、低弾性領域における前記の伸長率の範囲は、通常の靴下の伸長率と同等の範囲であり、靴下の着用が充分可能な伸張性とズレや弛みを生じない弾性力を有する。
また、高弾性領域及び低弾性領域では、同じ領域内の全ての場所での伸長率が同じである必要はなく、前記の伸長率の範囲内であれば、同じ領域内で場所によって伸長率に変化を与えてもよい。
伸長率は、定速伸長法(JIS L 1096 6.14.1.A法)に準拠して行う。測定装置として、TENSILON万能型引張試験機(UTM−III−200、東洋ボールドウイン社製)を用い、引張強度を200mm/分とし、試料生地の大きさは、巾が20mm、長さが50mm、つかみ間隔が30mmとした。引張加重は、4.9N(500gf)、17.7N(1800gf)の2種類とした。本発明の説明の際に用いる伸長率、荷重はこの測定方法によるものである。また、実際に測定を行なう際は、測定対象となる部分のみの素材で試料生地を編成し測定する。
本発明において、弾性力とは、伸長に対する素材の抵抗力のことである。
本発明の靴下では、前記のように構成することで、足裏の土踏まず部から内甲側を通り踵骨上方にいたる方向に張力が働いている。また足裏の土踏まず部から外甲側を通り踵骨上方にいたる方向に張力が働いている。前記の方向における張力はそれ以外の領域の張力(例えば、足甲部の周方向および長手方向の張力、足首部の周方向および長手方向の張力)に比べて大きくなっている。
本発明の靴下では、土踏まず部における高弾性領域の衣服圧の値をA1、足甲部における低弾性領域の衣服圧の値をA2としたとき、A1>A2である。
また、前記土踏まず部における高弾性領域の衣服圧が2.0kPa以上20.0kPa以下であり、前記足甲部における低弾性領域の衣服圧が0kPa以上20.0kPa以下である。また、前記の高弾性領域の衣服圧は3.0kPa以上7.0kPa以下の場合に土踏まず部を引き上げる効果が最も発揮される。足甲部における低弾性領域の衣服圧は6.0kPa以下の場合に最も快適な着用感を得ることができる。
土踏まず部における高弾性領域の衣服圧が2.0kPaより小さい場合は、締め付けが緩くなりアーチ部を充分に持ち上げることができない。また20.0kPaより大きい場合は力がかかりすぎるため、長時間着用すると土踏まず部に痛みを感じることとなる。
また足甲部における低弾性領域の衣服圧が20.0kPaより大きい場合は、足甲部に力がかかりすぎるため、長時間着用すると痛みを感じることとなる。
また、前記のA1及びA2の関係がA1<A2となった場合は、土踏まず部の持ち上げよりも足甲部の圧迫を感じるため、着用した時に違和感が生じると共に本発明の効果を得ることができない。さらに足甲部の領域の衣服圧が土踏まず部の領域の衣服圧よりも大きく、その差が2.0kPa以上の場合は、違和感や不快感を強く感じることとなる。(なお、同一の素材で全体が構成される通常のソックスでは、足甲部の領域の衣服圧が土踏まず部の領域の衣服圧よりも0.5〜1.0kPa程度大きくなる。)
前記の衣服圧は、人体またはマネキンに圧力センサーを貼り付け、靴下を履かせることで測定することができる。
圧力センサーには、エアーパック式圧力センサー、シート状圧力センサーなどがあるが、これらのセンサーによって計測された衣服圧はアンプなどを通してパソコンやデータコレクターなどに表示される。本発明ではマネキンの足甲部及び土踏まず部にエアーパック式圧力センサーを貼り付け、その上から靴下を履かせることで、足甲部及び土踏まず部にかかる衣服圧を計測する。エアーパック式圧力センサーは(株)エイエムアイ・テクノ製のAMI3037シリーズ(φ20)を使用し、衣服圧変換器(アンプ)は(株)エイエムアイ・テクノ製のAMI3037−2を使用し、データコレクターには安立計器(株)製のAM−7052を使用する。
図1に示すように、圧力センサーを取り付ける位置(着用者の皮膚表面)T1、T2は、土踏まず部T1が舟状骨を通る足の周上でかつ床面から垂直距離が15mmの位置、足甲部T2が舟状骨の上方の位置とした。
測定は人体とマネキンの両方で可能である。但し、人体の場合は足の形状や寸法などは個人差が非常に大きく、また、骨格と筋肉の付き方が複雑であるので、定量的な計測を行うことが困難である。そのため、日本人の基本身体寸法を元に作られた足部、下腿部、膝部からなる後述するマネキンを用いた評価を示す。本発明の説明に用いる衣服圧の値は前記の測定方法でマネキンを用いて測定した値である。
測定に使用したマネキンについて説明すると、成人日本人男性300人に対して3次元足型計測機を用いて、足長、足囲、足幅、インステップ囲長、踵幅、内不踏長、外不踏長、足囲最高点高、インステップ囲最高点高、第1指足角度、第5指足角度、舟状骨点高(アーチ高)、外果端高、内果端高、外果最突点高、内果最突点高、踵の傾斜角度、下腿最小囲、下腿最大囲、下腿最小囲高、下腿最大囲高、膝囲、下腿長などの項目を中心に約160000点の座標データを計測した。それらのデータを平均化し、成人日本人男性の平均的な足型の座標点を割り出した。そのデータを3次元CADにて特異な点をスムージング処理し、コンピュター上に成型し、このデータを3次元成型機に入力し、石こうを切削することで、足型マネキンを作成することができる。
図3は前記の足型マネキン(左足)を示した図であり、図3(a)は足の甲側から見た模式図、図3(b)は足先側から見た拡大図、図3(c)は足甲を外側から見た拡大図、図4は下腿部全体を示した図である。また表1及び表2に図に示した前記の足型マネキン80に関する、部位、部位の定義、図中の符号、寸法を示す。
Figure 0004447559
Figure 0004447559
高弾性領域において、踵骨上方を横切る部分13から内甲側の側部及び外甲側の側部14にいたる領域は、それ以外の領域に比べて生地に厚みがあることが好ましい。この領域は靴と靴下との間に若干の隙間を生じる領域であるため、この部分に厚みを持たせることで靴と靴下とのフィット性を高めることができるからである。具体的には、着用していない状態において他の領域と比較して1mm以上15mm以下の厚みを有することが好ましい。1mmより小さい場合は、靴下と靴の間の空間を充分に埋めることができず、フィット性を高めることができない。15mmより大きい場合は厚すぎるためにシューズを履くのに不適である。厚みを付与する部分は、踵骨上方から内甲側の側部及び踵骨上方から外甲側の側部のどちらか一方のみに設けても良い。また、土踏まず部に同様に厚みを与えた場合はインソールとのフィット感が向上する。
厚み部分の編成方法としては、厚みを持たせる部位にそれ以外の部位に使用する糸以外の糸を挿入する方法がある。例をあげると、カットボスなどである。また、厚みを持たせる部位に編みこまれる伸縮性の高い糸をタック又はミスをすることで凹凸のある組織ができ、見かけの厚みを厚くする方法がある。例をあげると、フロート編みなどである。また、厚みを持たせる部位を構成する糸のパイル長を長くすることで厚みを出す方法がある。また、樹脂でコーティングをする方法等がある。
本発明の靴下に用いる弾性糸は、ポリウレタン系弾性糸、ポリエステル系弾性糸及びナイロン系弾性糸から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。ストレッチ性が高く、靴下に適しているからである。前記弾性糸は、ベアヤーン(裸糸)又は表面にポリエステル繊維もしくはナイロン繊維が被覆されたカバーリングヤーンのどちらでも良い。高捲縮仮撚加工を施して伸縮性を持たせたポリエステル、ナイロン等の高捲縮仮撚加工糸を生地の少なくとも一部あるいは全部に使用することも可能である
靴下を織物または編物で構成する場合は、ポリウレタン糸等の伸縮性を有する弾性糸を少なくとも一部に使用しているものが好ましい。
本発明の靴下における編物の組織としては、天竺、リブ編み、パール編み、鹿の子組織等のシングル編組織、スムース組織等のダブル編組織を挙げることができる。
靴下に用いられる編み組織は、基本的には表面を編成する編み針によって、1層の組織しか編成できないが、1つの給糸口から表面を構成する糸、裏面を構成する糸を編機に給糸することで表面と裏面を異なる糸で構成することも可能である。例えば、天竺組織で表面にポリエステル糸、裏面にポリウレタン糸を配するといわゆるストレッチ天竺(ベア天竺)を編成することができる。
また、靴下を成型する編機として、ロナティー社製、マテック社製、サントニ社製、ペントリーナ社、サンジャコモ社製丸編み機などがある。これらの丸編機はコンピュータ制御もしくは機械的制御で編み針の動きを制御することが可能で、任意の箇所を任意の編組織、任意の糸で編成することが可能である。よって、高弾性領域と低弾性領域をシームレスで生地を構成することが可能である。高弾性領域を構成するためには、カットボスと呼ばれる手法を用いて、ストレッチ性の低い糸やキックバック性の強い糸を編み生地に挿入し、任意の箇所の弾性力を強くすることができる。靴下を成型中に丸編機の針本数を増減させることで足の形状に合った靴下を成型することができる。
各部分の素材によるストレッチ特性を出すためには、一例として次のような手段を取ることができる。
(1)高弾性領域は低弾性領域に比べて、弾性糸の構成比率を高くする。
(2)高弾性領域は低弾性領域に比べて、弾性糸の繊度を太くする。
(3)高弾性領域は低弾性領域に比べて、張力の高い素材の弾性糸を使用して編物を製造する。
(4)高弾性領域には樹脂をコーティングする。
(5)高弾性領域に生地を張り合わせる。
また、組織によってストレッチ特性を出すためには、一例として次のような手段を取ることができる。
(6)高弾性領域は低弾性領域に比べて、編みこむ糸を増やし、編み密度を高くする
(7)高弾性領域は低弾性領域に比べて、度目などを詰め、編み密度を高くする。
(8)高弾性領域は低弾性領域に比べて、組織を構成する糸の少なくとも1本をタック又はフロートする。
生地素材に「強弱」の弾性力を持たせ、高弾性領域および低弾性領域に適合させる方法をさらに具体的に説明すると、前記(1)〜(3)に記載の方法としては、ポリウレタン糸、高捲縮仮撚加工糸(以下、伸縮糸とする。)の混率の「大小」でそれぞれ生地素材に「強弱」の弾性力を持たせることができる。混率に変化を与える方法としては、伸縮糸の太さを「太細」と変えることで混率の「大小」を出す方法、伸縮糸の太さは同じで生地中に配する割合を「多少」と変えることで混率の「大小」を出す方法がある。さらに、繊度は同一だが、材質や加工方法が異なることで、弾性特性が異なる伸縮糸を使用し、生地素材に「強弱」の弾性力を持たせる方法がある。また、伸縮糸の混率が一定の場合に編密度を「密疎」とかえることでも可能である。
前記(4)〜(5)に記載の方法としては、シリコンなどの樹脂を高弾性領域にコーティングすることでソックスに「強弱」の弾性力を持たせる方法がある。樹脂の種類、コーティングの厚みなどによって弾性力の強弱をつけることができる。また、高弾性領域に生地を複数枚張り合わせることによってソックスに「強弱」の弾性力を持たせる方法としては、伸縮性のある編物または織物をラミネート加工して二層にした二層ラミネート生地、伸縮性のあるポリウレタンシート等の樹脂製シートを伸縮性のある編物または織物ではさみ込みラミネート加工して三層にした三層ラミネート生地にすることで弾性力を高めることができる。
ラミネートする生地の弾性力を「強弱」と変えることでラミネート生地に「強弱」の弾性力を持たせることが可能である。または同一の生地の重ねる枚数を変えることでも生地に「強弱」の弾性力を持たせることが可能である。ラミネート生地は生地を一層で使用する場合と比較して、生地に大きな荷重がかかった際にある一定の伸長率以上になりにくく、高弾性領域に用いるのに適している。しかし、上記低弾性領域の弾性力の範囲内であれば、低弾性領域として用いることも可能である。
前記(6)に記載の方法としては、編みこむ糸を増やすことで、編み密度が高まり、互いの糸の摩擦抵抗が増え、伸長しにくくなることを利用してソックスに「強弱」の弾性力を持たせる方法がある。例えば、カットボスのように必要な部位にだけ編みこむ糸を増やす方法がある。特に、編みこむ糸をポリウレタン等の高伸縮糸にすると効果的である。
前記(7)に記載の方法としては、度目を詰めることで、編み密度が高まり、互いの糸の摩擦抵抗が増え、伸長しにくくなることを利用してソックスに「強弱」の弾性力を持たせる方法がある。高弾性領域の度目を詰め、低弾性領域の度目をあまくすると最も効果が出る。
前記(8)に記載の方法としては、組織を構成する糸をタックまたはフロートすることによってつっぱりやすくなることを利用してソックスに「強弱」の弾性力を持たせる方法がある。単位面積あたりのタック、フロートが多くなるほど、また、連続して編目をフロートするほど、弾性力が強くなる。例えば、この部分において挿入されるゴム糸(DCY)のフロート幅を1×1、2×1、3×1、4×1などと任意に変更することによりキックバックのパワーを調整することができる。
高弾性領域および低弾性領域における「強弱」の弾性力は、一定伸長率の荷重の大小で確認することができる。すなわち、弾性力の強い生地は荷重が大きく、弱い生地は荷重が小さい。
本発明の靴下は、丸編機で成型後、つま先部に縫目が無いリンキングや縫目が入るロッソなどがある。
以下、実施例について説明する。本実施例の形状は図2(a)〜(c)で説明したところと同様である。なお、発明を実施するための最良の形態において既に説明した部分は、説明を省略する。
本実施例では編機として、ロナティー社製コンピュータ制御丸編機を使用した。編機の径は3.75インチであり、針本数は200本である。コンピュータ制御により200本の針の上下動を8段階で制御することでニット、タック、ミスや糸のループの長さを調節することができ、200本以下の針で編み、成型途中で針の本数を200本までなら増やしていくこともできる。
また、靴下を成型する編機として、ロナティー社製、マテック社製、サントニ社製、ペントリーナ社製、サンジャコモ社丸編み機などがある。これらの丸編機はコンピュータ制御もしくは機械的制御で編み針の動きを制御することが可能で、任意の箇所を任意の編組織、任意の糸で編成することが可能である。よって、高弾性領域と低弾性領域をシームレスで生地を構成することが可能である。高弾性領域を構成するためには、カットボスと呼ばれる手法を用いて、ストレッチ性の低い糸やキックバック性の強い糸を編み生地に挿入し、つま先部と踵部以外の任意の箇所を高弾性領域とすることができる。つま先部や踵部を成型中に丸編機の針本数を増減させることで足の形状に合った靴下を成型することができる。
本実施例の靴下の糸使いは、アクリル糸(32/−)、ナイロンにポリウレタンをカバーリングしているFTY糸及びDCY糸(70/70)及び綿糸(30/−)の3種類からなり、アクリル糸とFTY糸及びDCY糸が靴下の全体を構成しており、綿糸が部分的に使用されている。
本実施例の靴下では、土踏まず部を横切る領域(内甲側は親指中足骨から楔状骨及び舟状骨を含む部分、外甲側は小指中足骨から立法骨を含む部分)から踵骨の上方にいたる領域が一連の高弾性組織となっており、アクリル糸、FTY糸、DCY糸、及び綿糸によって構成した。アクリル糸は全てニットしている。FTY糸及びDCY糸については、1コース目はミス、ミス、ニット、ミス、ミス、2コース目はミス、ニット、ミス、ニット、ミス、3コース目はニット、ミス、ミス、ミス、ニット、4コース目はミス、ニット、ミス、ニット、ミス、5コース目はミス、ミス、ニット、ミス、ミスになっており、5コース×5ウェールの組織を繰り返すことにより、裏面から見たとき、FTY糸及びDCY糸がダイヤ柄のように構成されている。
FTY糸及びDCY糸がミスすることで伸びにくい組織になるため、弾性力は強くなる。また、FTY糸及びDCY糸がミスをしている部位において、FTY糸及びDCY糸は収縮する方向に力が働き、アクリル糸とFTY糸及びDCY糸のコース方向の力の均衡を保つために、アクリル糸によって構成されているニット部位が凸状になる。そのため、凹凸のある組織ができ、見た目の厚みを大きくすることができる。
前記の高弾性組織のうち、内甲側において舟状骨から踵骨にかけての部分、外甲側において立法骨から踵骨にかけての部分では綿糸をカットボスとして挿入した。綿糸は全てニットしており、針の上下する高さを調節することでループが大きくなり、裏面から見たときパイル状になるようにした。このように編成することで他の部位に比べて更に厚みを出すことが可能である。また、弾性力を強くすることもできる。
本実施例の靴下は着用していない状態で、通常の高弾性組織部分の厚みが2.8mm、高弾性組織部分のうち綿糸をカットボスとして挿入した部分の厚みが3.2mm、それ以外の領域の厚みが1.9mmとなっている。
前記の高弾性領域以外の領域は低弾性領域となっており、アクリル糸とFTY糸及びDCY糸によって構成した。アクリル糸が表面に、FTY糸が裏面に現れるようにした伸びのあるリブ編み組織にすることで弾性力を弱めた。
本発明品の成型では、履き口部分、足首部分、足部分、つま先部分の順に編んでいく。始めはアクリル糸のみで編み、20mm編んだところでFTY糸及びDCY糸も加えて編んでいく。踵部分の成型時は一部の針だけが上下運動を繰り返し、残りの針は止めておき、針は円周運動から円弧運動に切り替える。円弧運動中、踵部の最も膨らみのある部位の成型にかけて上下運動する針の数を増やしていき、最も膨らみのある部位を越した後、上下運動する針の数を減らしていく。そうすることで、踵部分を凸状に成型することができる。つま先部分の成型時は、一部の針の上下運動を止めておき、残りの針を動かし、円周運動から円弧運動に切り替える。円弧運動中、上下運動をする針の数を減らしていく。そうすることで、つま先部分を丸みのある編地にすることができる。
履き口部分のアクリル糸だけで編まれた組織を折り返し、本体と縫製することで着用感の良い履き口部分となる。つま先部の編み終わり部分と本体を縫製することで、指の形に合ったつま先部となる。
土踏まず部を横切る高弾性領域の長手方向の幅W1は55mmとした。こうすることで、他の余分な部分には力がかからないので、着用感もよく足に悪影響を与えず、アーチ部を効果的に引き上げることができる。
踵骨上方を横切る高弾性域の長手方向の幅W2は15mmとした。こうすることで、高弾性組織が踵骨上方で充分に保持され、靴下がずれ落ちることがなく、またアーチ部を引き上げている高弾性部も継続して維持することができる。そして前記の厚みがあることで靴下と靴との間にできる空間を埋めるため、靴を履いた時の着用感が向上する。
本実施例の靴下の土踏まず部における高弾性領域の衣服圧は4.2kPa、足甲部における低弾性領域の衣服圧は3.5kPaである。また本実施例の靴下における各領域の伸長率の値を以下の表3に示す。
Figure 0004447559
前記の実施例に加えて、比較品1及び比較品2を用いて以下に示す各種の評価を行った。
まず、比較品1及び比較品2の仕様について説明する。
(比較品1)
比較品1の靴下は、糸使いがアクリル糸(32/−)、ナイロンにポリウレタンをカバーリングしているFTY糸及びDCY糸(70/70)及び綿糸(30/−)の3種類からなり、アクリル糸とFTY糸及びDCY糸、綿糸が靴下の全体を構成している。
土踏まず部から足甲部にかけては、FTY糸及びDCY糸がニット、ニット、ミス、ミスという組織を繰り返すことにより、リブ組織が構成されている。リブ組織以外の部分はパイル組織で構成されており、アクリル糸がパイルとなって肌面に触れるようになっている。このような構成とすることで、土踏まず部から足甲部にかけては他の領域よりも締め付けが強い組織が筒状に配置される。
土踏まず部における衣服圧は3.1kPa、足甲部における衣服圧は5.1kPaである。
成型は、履き口部分、足首部分、足部分、つま先部分の順に編んでいく。始めはアクリル糸のみで編み、20mm編んだところでFTY糸及びDCY糸、綿糸も加えて編んでいく。踵部分の成型時は一部の針だけが上下運動を繰り返し、残りの針は止めておき、針は円周運動から円弧運動に切り替える。円弧運動中、踵部の最も膨らみのある部位の成型にかけて上下運動する針の数を増やしていき、最も膨らみのある部位を越した後、上下運動する針の数を減らしていく。そうすることで、踵部分を凸状に成型することができる。つま先部分の成型時は、一部の針の上下運動を止めておき、残りの針を動かし、円周運動から円弧運動に切り替える。円弧運動中、上下運動をする針の数を減らしていく。そうすることで、つま先部分を丸みのある編地にすることができる。
履き口部分のアクリル糸だけで編まれた組織を折り返し、本体と縫製することで着用感の良い履き口部分となる。つま先部の編み終わり部分と本体を縫製することで、指の形に合ったつま先部となる。
(比較品2)
比較品2の靴下は、比較品1で用いたパイル編みで靴下全体を構成しており、糸使い、成型方法等も比較品1と同じである。
土踏まず部における衣服圧は1.1kPa、足甲部における衣服圧は1.5kPaである。
図5に実施例、比較品1、比較品2の衣服圧のグラフを示す。
(歩行前後のアーチ高の測定評価)
実施例、比較品1及び比較品2の靴下を着用して長時間歩行を行った前後でのアーチの落ち込み程度を評価した。アーチの落ち込みの程度を表す指標として、被験者が立位状態である時のアーチ高の値に着目した。一般的にアーチ高が低くなる事は、アーチが沈んでいることを示している。被験者は足のサイズが25.0cm〜27.0cmである健康な男性20名である。評価は以下の手順で行った。
1)疲労感が無い裸足の状態で、水平な床面の上で立位状態の被験者の左右のアーチ高を計測する。
2)その後、靴下を着用し、ウォーキングシューズを履く。
3)25℃60%の環境下で、被験者は時速5.0kmになるように設定したトレッドミル上を2時間連続で歩行する。
4)歩行後、水平な床面の上で立位状態の被験者の左右のアーチ高を計測する。
以上の測定によって得られた被験者20名の左右のアーチ高の平均値を図6に示す。
実施例では、歩行前後で殆どアーチ高が変わらなかった。これは実施例ではアーチ部を支える構造になっているためアーチ部の形状を保つことができたものと考えられる。アーチ部がクッションとしての機能を発揮し続けることで衝撃を緩和したため、歩行後の足の疲れは小さかった。比較品1は、歩行後のアーチ高が低くなっていた。これは土踏まず部の衣服圧が弱くアーチ部を支える力が弱いため、アーチ部の形状を保つことができなかったからである。アーチ部のクッションとしての機能が悪くなり、衝撃を緩和することができなくなるので、歩行後の足の疲れは大きかった。また、足甲部は締め付けによる痛みを感じた。比較品2は、歩行後のアーチ高が低くなっていた。比較品2はアーチ部を支える構造になっていないため、アーチ部の形状を保つことができなかった。アーチ部のクッションとしての機能が悪くなり、衝撃を緩和することができなくなるため、歩行後の足の疲れは大きかった。比較品2のように締め付けがない構造では、歩行によりアーチ高が4mm低下するが、実施例では1mmの低下に抑えられている。
(官能試験評価)
実施例、比較品1及び比較品2の靴下を用いて、土踏まず部における高弾性領域と足甲部における低弾性領域の着用感の官能評価を行った。被験者は前記のアーチ高の評価と同じ男性20名である。実施例、比較品1、比較品2に対して一対比較(サーストン法)を実施し、着用感に優劣をつけた。
実施例は、土踏まず部における高弾性領域と足甲部における低弾性領域の着用感の両方の官能評価において1位であった。土踏まず部が支えられる感覚があるが、足甲部の締め付け感は殆ど感じることは無かった。そのため充分なフィット感を得ながらも快適な履き心地であった。比較品1は、土踏まず部における高弾性領域の着用感は官能評価において2位、足甲部における低弾性領域の着用感は官能評価において3位であった。土踏まず部が支えられている感覚よりも足甲部の締め付け感の方が大きい。そのため、フィット感はあるが、不快な履き心地であった。比較品2は、土踏まず部における高弾性領域の着用感は官能評価において3位、足甲部における低弾性領域の着用感は官能評価において2位であった。土踏まず部が支えられている感覚はなく、また足甲部の締め付け感が弱すぎる。そのため、フィット感が得られず、不快な履き心地であった。
なお実施例の靴下における低弾性領域部分は前記の弾性力の範囲内であれば必要に応じて任意の構成としてよい。例えば、通気性を有する編組織や、吸湿性または速乾性を有する繊維を用いた組織としてもよい。
前記の実施例では、足首までの丈の靴下について説明したが、本発明の靴下は前記の高弾性領域及び低弾性領域の構成を満たすものであれば、丈の長さはこれに限定されるものではない。
図1(a)は左足を外側から見た図、図1(b)は左足を内側から見た図、図1(c)は左足を底面側から見た図である。 図2は本発明の実施の形態に関する図であり、図2(a)は左足用の靴下を外側から見た図、図2(b)は左足用の靴下を内側から見た図、図2(c)は左足用靴下を底面側から見た図である。 図3は前記の足型マネキン(左足)を示した図であり、図3(a)は足の甲側から見た模式図、図3(b)は足先側から見た拡大図、図3(c)は足甲を外側から見た拡大図である。 図4は足型マネキンの下腿部全体を示した図である。 図5は実施例、比較品1、比較品2における足甲部と土踏まず部との衣服圧を示すグラフである。 図6は実施例、比較品1、比較品2における歩行前後のアーチ高の測定評価を示すグラフである。
符号の説明
1 靴下
10 高弾性領域
11 足裏から内甲側にいたる部分
12 足裏から外甲側にいたる部分
13 踵骨の上方を横切る部分
14 側部
20 低弾性領域
70 踵骨
71 距骨
72 舟状骨
72a 舟状骨粗面
73 楔状骨
74 立方骨
75 親指中足骨
76 小指中足骨
77 凹部
80 足型マネキン
A 踵部分
B 親指つけ根部分
C 小指つけ根部分
AB 内側縦アーチ
AC 外側縦アーチ
BC 横アーチ
R1、R2 領域
T1 土踏まず部の圧力センサー取り付け位置
T2 足甲部の圧力センサー取り付け位置
W1、W2 幅

Claims (3)

  1. 高弾性領域と低弾性領域とを含む靴下であって、少なくとも土踏まず部を横切る領域と踵骨上方を横切る領域とを結ぶ一連の領域を前記高弾性領域で構成し、前記高弾性領域以外の領域を低弾性領域で構成した靴下において、
    前記高弾性領域の足裏から内甲側は、親指中足骨の後方部、楔状骨の略全体、舟状骨の前方部又は略全体、距骨の下方部又は略全体を含み、足裏から外甲側は、小指中足骨の後方部、立法骨の略全体、踵骨の前方部、距骨の下方部又は略全体を含み、
    高弾性領域のうち、土踏まず部を横切る領域の長手方向の幅は10mm以上200mm未満であり、踵骨の上方を横切る部分は5mm以上200mm以下であり、
    土踏まず部を横切る高弾性領域は、ニットとミスを用いることにより、裏面から見たとき、FTY糸及びDCY糸がダイヤ柄のように構成されており、
    前記靴下の長手方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB1、前記低弾性領域の値をB2とした場合、B2>B1であり、かつB1が10%以上300%以下の範囲、B2が15%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が5%以上あり、
    前記靴下の周方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB3、前記低弾性領域の値をB4とした場合、B4>B3であり、かつB3が20%以上500%以下の範囲、B4が30%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が10%以上あることを特徴とする靴下。
  2. 前記土踏まず部における高弾性領域の衣服圧が2.0kPa以上20.0kPa未満であり、前記足甲部における低弾性領域の衣服圧が20.0kPa未満であることを特徴とする請求項1に記載の靴下。
  3. 前記高弾性領域において、踵骨上方を横切る部分から内甲側の側部及び/又は外甲側の側部にいたる領域の厚みが、それ以外の領域の厚みに比べて厚いことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の靴下。
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