JP4447559B2 - 靴下 - Google Patents
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Description
特許文献1には、靴下の土踏まず部分にフィットするクッションを取り付け、土踏まず部に接する部位を盛り上がった構造にすることにより、土踏まず部分にここちよい刺激を与えることを目的とした靴下が開示されている。
また、特許文献2には、踵骨***部の一部を足底で横切り、くるぶしの後側を通り、アキレス腱の中央部分を避けてその両脇部近傍を通って上に延び、腓腹筋の筋腹の長手方向両脇部近傍外側に沿って膝関節下近傍の上辺部片まで到達している第1の強面状部材と、土踏まずの一部を横切り足背部の一部までカバーして筒状になり、足背部側から前側において足首方向に伸びてほぼ筒状に足首も覆っている第2の強面状部材とが充当されている下腿部保護用衣料が開示されている。
また、特許文献3には、中足骨靭帯に対応する足裏部及びその両側部に当接する部分を高弾性材で構成し、中足骨靭帯に対応する足表部に当接する部分を低弾性材で構成し、着用したときに両側部から締め付けることで中足骨靭帯を横アーチ状の再生方向に矯正することを特徴とする靴下が開示されている。
そこで、本発明の靴下では、弾性力の強い素材と弱い素材とを適所に配置することにより、着用者の土踏まずと靴下のフィット感を向上させ、また過度の締め付け感を感じることなく、土踏まずを引き上げることで高い運動性能を発揮できる靴下を提供することを目的とする。
(A)土踏まず部を横切る領域と踵骨上方を横切る領域とを結ぶ一連の領域。
また、前記(A)の領域内の足裏から内甲側にいたる部分が、少なくとも以下の(A−10)の部分を含むことを特徴とする靴下である。
(A−10)親指中足骨の後方部、楔状骨の略全体、舟状骨の前方部又は略全体、距骨の下方部又は略全体。
また、前記(A)の領域内の足裏から外甲側にいたる部分が、少なくとも以下の(A−20)の部分を含むことを特徴とする靴下である。
(A−20)小指中足骨の後方部、立法骨の略全体、踵骨の前方部、距骨の下方部又は略全体。
さらに、高弾性領域のうち、土踏まず部を横切る領域の長手方向の幅は10mm以上200mm未満であり、踵骨の上方を横切る部分は5mm以上200mm以下であり、かつ、土踏まず部を横切る高弾性領域は、ニットとミスを用いることにより、裏面から見たとき、FTY糸及びDCY糸がダイヤ柄のように構成されている。
また、前記高弾性領域において、踵骨上方を横切る部分から内甲側の側部及び/又は外甲側の側部にいたる領域が、それ以外の領域よりも厚みを有することを特徴とする靴下である。
また、本発明の靴下では、足裏の土踏まず部から内甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力がそれ以外の領域の張力よりも大きくなっている。さらに足裏の土踏まず部から外甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力がそれ以外の領域の張力よりも大きくなっている。
具体的には、前記靴下の長手方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB1、前記低弾性領域の値をB2とした場合、B2>B1であり、かつB1が10%以上300%以下の範囲、B2が15%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が5%以上あるようになっている。
また、前記靴下の周方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB3、前記低弾性領域の値をB4とした場合、B4>B3であり、かつB3が20%以上500%以下の範囲、B4が30%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が10%以上あるようになっている。
また、土踏まず部から足甲部にかけて筒状に緊締力の強い素材を配置した靴下とは異なり、足甲部に過度の締め付け感を感じることなく土踏まずに刺激を与えることできるので、血行を良くしむくみを抑え疲労を軽減することができ、高い運動性能を発揮できる。
また、高弾性領域が土踏まず部を横切る領域から踵骨上方を横切る領域まで繋がっており、間に低弾性領域を含まないことで、土踏まずを引き上げる力が高弾性領域以外の素材の伸長力に置き換わることなく、効率良く発明品の効果を発揮することができる。
また、高弾性領域において、踵骨上方を横切る部分から内甲側の側部及び/又は外甲側の側部にいたる領域が、それ以外の領域よりも厚みを有することで、素足でシューズを履いたときに生じる空間を靴下の前記の厚み部分が埋めるので、シューズとのフィット感が向上する。また土踏まず部に厚みを与えた場合はインソールとのフィット感が向上するので、インソールの機能を十分発揮させることができる。
立位状態での人体の足には、以下の三種類のアーチが存在する。
1.踵骨70、距骨71、舟状骨72、内側の楔状骨73、親指(第1)中足骨75で構成され、舟状骨72及び楔状骨73付近を頂点とし、踵部分Aと親指つけ根部分Bを結ぶ内側縦アーチAB。
2.踵骨70、立方骨74、小指(第5)中足骨76で構成され、踵立方関節付近を頂点とし、踵部分Aと小指つけ根部分Cとを結ぶ外側縦アーチAC。
3.中足骨間または趾骨間で構成され、人差指(第2)中足骨付近を頂点とし、親指つけ根部分Bと小指つけ根部分Cとを結ぶ横アーチBC。
本発明の靴下1では、前記三種類のアーチのうち、踵部分Aと親指つけ根部分Bを結ぶ内側縦アーチABと、踵部分Aと小指つけ根部分Cとを結ぶ外側縦アーチACの二種類の縦アーチに着目する。そして、足裏における土踏まず部を横切る領域R1と踵骨上方を横切る領域R2とを繋いで一連の高弾性領域10とすることで、着用者の土踏まず部におけるアーチ部が高弾性領域の弾性力によって引き上げられ、着用者の土踏まずと靴下のフィット感が向上すると共に、アーチを高い位置で維持することでアーチの各種の働きを高めることができる。なお、本発明の説明において、単に「アーチ部」と記載する場合は、内側縦アーチABと外側縦アーチACの二つのアーチを示すこととする。
また、高弾性領域10のうち、足裏から外甲側にいたる部分12においては、少なくとも小指中足骨76の一部、立法骨74の一部及び踵骨70の一部を含むことことが好ましい。より詳細には、小指中足骨76の後方部、立法骨74の略全体、踵骨70の前方部、距骨71の下方部又は略全体を含むことことが好ましい。外側縦アーチACを引き上げるのに適しているからである。
また、高弾性領域を足裏側から見た場合、内甲側の領域の方が外甲側の領域に比べて、ややつま先側に位置することが好ましい。一般的に内側縦アーチの山の方が外側縦アーチの山に比べてつま先側に位置するからである。
また、足裏の土踏まず部から内甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力及び、足裏の土踏まず部から外甲側を通り踵骨上方にいたる方向の張力がそれ以外の領域の張力よりも大きくなっている。
また、本発明の靴下では、高弾性領域が前記説明した領域に配置されていれば、靴下内に高弾性領域及び低弾性領域以外の弾性領域を含むことも可能である。
前記のB1が10%より小さい場合は、高弾性領域の締め付けが強すぎるために痛みを感じることとなる。B1の値が300%より大きい場合は、締め付けが緩すぎるので本発明の効果を得ることができない。B2の値が15%より小さい場合は、低弾性領域の締め付けが強すぎることとなる。
次に周方向については、30mm×20mm幅における17.7N(1800gf)加重時の伸長率が、高弾性領域、低弾性領域ともに100%以上であることが好ましい。また、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率は、高弾性領域の値をB3、低弾性領域の値をB4とした場合、B4>B3であり、かつB3が20%以上500%以下の範囲、B4が30%以上の範囲であることが好ましい。また、本発明の効果を充分に得るためには、高弾性領域と低弾性領域との伸長率の差が10%以上あることが好ましい。
前記のB3が20%より小さい場合は、高弾性領域の締め付けが強すぎるために痛みを感じることとなる。B3の値が500%より大きい場合は、締め付けが緩すぎるので本発明の効果を得ることができない。B4の値が30%より小さい場合は、低弾性領域の締め付けが強すぎることとなる。
また足甲部における低弾性領域の衣服圧が20.0kPaより大きい場合は、足甲部に力がかかりすぎるため、長時間着用すると痛みを感じることとなる。
また、前記のA1及びA2の関係がA1<A2となった場合は、土踏まず部の持ち上げよりも足甲部の圧迫を感じるため、着用した時に違和感が生じると共に本発明の効果を得ることができない。さらに足甲部の領域の衣服圧が土踏まず部の領域の衣服圧よりも大きく、その差が2.0kPa以上の場合は、違和感や不快感を強く感じることとなる。(なお、同一の素材で全体が構成される通常のソックスでは、足甲部の領域の衣服圧が土踏まず部の領域の衣服圧よりも0.5〜1.0kPa程度大きくなる。)
圧力センサーには、エアーパック式圧力センサー、シート状圧力センサーなどがあるが、これらのセンサーによって計測された衣服圧はアンプなどを通してパソコンやデータコレクターなどに表示される。本発明ではマネキンの足甲部及び土踏まず部にエアーパック式圧力センサーを貼り付け、その上から靴下を履かせることで、足甲部及び土踏まず部にかかる衣服圧を計測する。エアーパック式圧力センサーは(株)エイエムアイ・テクノ製のAMI3037シリーズ(φ20)を使用し、衣服圧変換器(アンプ)は(株)エイエムアイ・テクノ製のAMI3037−2を使用し、データコレクターには安立計器(株)製のAM−7052を使用する。
(1)高弾性領域は低弾性領域に比べて、弾性糸の構成比率を高くする。
(2)高弾性領域は低弾性領域に比べて、弾性糸の繊度を太くする。
(3)高弾性領域は低弾性領域に比べて、張力の高い素材の弾性糸を使用して編物を製造する。
(4)高弾性領域には樹脂をコーティングする。
(5)高弾性領域に生地を張り合わせる。
また、組織によってストレッチ特性を出すためには、一例として次のような手段を取ることができる。
(6)高弾性領域は低弾性領域に比べて、編みこむ糸を増やし、編み密度を高くする
(7)高弾性領域は低弾性領域に比べて、度目などを詰め、編み密度を高くする。
(8)高弾性領域は低弾性領域に比べて、組織を構成する糸の少なくとも1本をタック又はフロートする。
ラミネートする生地の弾性力を「強弱」と変えることでラミネート生地に「強弱」の弾性力を持たせることが可能である。または同一の生地の重ねる枚数を変えることでも生地に「強弱」の弾性力を持たせることが可能である。ラミネート生地は生地を一層で使用する場合と比較して、生地に大きな荷重がかかった際にある一定の伸長率以上になりにくく、高弾性領域に用いるのに適している。しかし、上記低弾性領域の弾性力の範囲内であれば、低弾性領域として用いることも可能である。
本実施例では編機として、ロナティー社製コンピュータ制御丸編機を使用した。編機の径は3.75インチであり、針本数は200本である。コンピュータ制御により200本の針の上下動を8段階で制御することでニット、タック、ミスや糸のループの長さを調節することができ、200本以下の針で編み、成型途中で針の本数を200本までなら増やしていくこともできる。
FTY糸及びDCY糸がミスすることで伸びにくい組織になるため、弾性力は強くなる。また、FTY糸及びDCY糸がミスをしている部位において、FTY糸及びDCY糸は収縮する方向に力が働き、アクリル糸とFTY糸及びDCY糸のコース方向の力の均衡を保つために、アクリル糸によって構成されているニット部位が凸状になる。そのため、凹凸のある組織ができ、見た目の厚みを大きくすることができる。
履き口部分のアクリル糸だけで編まれた組織を折り返し、本体と縫製することで着用感の良い履き口部分となる。つま先部の編み終わり部分と本体を縫製することで、指の形に合ったつま先部となる。
まず、比較品1及び比較品2の仕様について説明する。
比較品1の靴下は、糸使いがアクリル糸(32/−)、ナイロンにポリウレタンをカバーリングしているFTY糸及びDCY糸(70/70)及び綿糸(30/−)の3種類からなり、アクリル糸とFTY糸及びDCY糸、綿糸が靴下の全体を構成している。
土踏まず部から足甲部にかけては、FTY糸及びDCY糸がニット、ニット、ミス、ミスという組織を繰り返すことにより、リブ組織が構成されている。リブ組織以外の部分はパイル組織で構成されており、アクリル糸がパイルとなって肌面に触れるようになっている。このような構成とすることで、土踏まず部から足甲部にかけては他の領域よりも締め付けが強い組織が筒状に配置される。
履き口部分のアクリル糸だけで編まれた組織を折り返し、本体と縫製することで着用感の良い履き口部分となる。つま先部の編み終わり部分と本体を縫製することで、指の形に合ったつま先部となる。
比較品2の靴下は、比較品1で用いたパイル編みで靴下全体を構成しており、糸使い、成型方法等も比較品1と同じである。
実施例、比較品1及び比較品2の靴下を着用して長時間歩行を行った前後でのアーチの落ち込み程度を評価した。アーチの落ち込みの程度を表す指標として、被験者が立位状態である時のアーチ高の値に着目した。一般的にアーチ高が低くなる事は、アーチが沈んでいることを示している。被験者は足のサイズが25.0cm〜27.0cmである健康な男性20名である。評価は以下の手順で行った。
1)疲労感が無い裸足の状態で、水平な床面の上で立位状態の被験者の左右のアーチ高を計測する。
2)その後、靴下を着用し、ウォーキングシューズを履く。
3)25℃60%の環境下で、被験者は時速5.0kmになるように設定したトレッドミル上を2時間連続で歩行する。
4)歩行後、水平な床面の上で立位状態の被験者の左右のアーチ高を計測する。
実施例、比較品1及び比較品2の靴下を用いて、土踏まず部における高弾性領域と足甲部における低弾性領域の着用感の官能評価を行った。被験者は前記のアーチ高の評価と同じ男性20名である。実施例、比較品1、比較品2に対して一対比較(サーストン法)を実施し、着用感に優劣をつけた。
実施例は、土踏まず部における高弾性領域と足甲部における低弾性領域の着用感の両方の官能評価において1位であった。土踏まず部が支えられる感覚があるが、足甲部の締め付け感は殆ど感じることは無かった。そのため充分なフィット感を得ながらも快適な履き心地であった。比較品1は、土踏まず部における高弾性領域の着用感は官能評価において2位、足甲部における低弾性領域の着用感は官能評価において3位であった。土踏まず部が支えられている感覚よりも足甲部の締め付け感の方が大きい。そのため、フィット感はあるが、不快な履き心地であった。比較品2は、土踏まず部における高弾性領域の着用感は官能評価において3位、足甲部における低弾性領域の着用感は官能評価において2位であった。土踏まず部が支えられている感覚はなく、また足甲部の締め付け感が弱すぎる。そのため、フィット感が得られず、不快な履き心地であった。
10 高弾性領域
11 足裏から内甲側にいたる部分
12 足裏から外甲側にいたる部分
13 踵骨の上方を横切る部分
14 側部
20 低弾性領域
70 踵骨
71 距骨
72 舟状骨
72a 舟状骨粗面
73 楔状骨
74 立方骨
75 親指中足骨
76 小指中足骨
77 凹部
80 足型マネキン
A 踵部分
B 親指つけ根部分
C 小指つけ根部分
AB 内側縦アーチ
AC 外側縦アーチ
BC 横アーチ
R1、R2 領域
T1 土踏まず部の圧力センサー取り付け位置
T2 足甲部の圧力センサー取り付け位置
W1、W2 幅
Claims (3)
- 高弾性領域と低弾性領域とを含む靴下であって、少なくとも土踏まず部を横切る領域と踵骨上方を横切る領域とを結ぶ一連の領域を前記高弾性領域で構成し、前記高弾性領域以外の領域を低弾性領域で構成した靴下において、
前記高弾性領域の足裏から内甲側は、親指中足骨の後方部、楔状骨の略全体、舟状骨の前方部又は略全体、距骨の下方部又は略全体を含み、足裏から外甲側は、小指中足骨の後方部、立法骨の略全体、踵骨の前方部、距骨の下方部又は略全体を含み、
高弾性領域のうち、土踏まず部を横切る領域の長手方向の幅は10mm以上200mm未満であり、踵骨の上方を横切る部分は5mm以上200mm以下であり、
土踏まず部を横切る高弾性領域は、ニットとミスを用いることにより、裏面から見たとき、FTY糸及びDCY糸がダイヤ柄のように構成されており、
前記靴下の長手方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB1、前記低弾性領域の値をB2とした場合、B2>B1であり、かつB1が10%以上300%以下の範囲、B2が15%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が5%以上あり、
前記靴下の周方向については、30mm×20mm幅における4.9N(500gf)加重時の伸長率が、前記高弾性領域の値をB3、前記低弾性領域の値をB4とした場合、B4>B3であり、かつB3が20%以上500%以下の範囲、B4が30%以上の範囲であり、前記高弾性領域と前記低弾性領域との伸長率の差が10%以上あることを特徴とする靴下。 - 前記土踏まず部における高弾性領域の衣服圧が2.0kPa以上20.0kPa未満であり、前記足甲部における低弾性領域の衣服圧が20.0kPa未満であることを特徴とする請求項1に記載の靴下。
- 前記高弾性領域において、踵骨上方を横切る部分から内甲側の側部及び/又は外甲側の側部にいたる領域の厚みが、それ以外の領域の厚みに比べて厚いことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の靴下。
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