JP6602828B2 - アルミニウム合金材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、陽極酸化法による加飾表面処理が施されたアルミニウム合金材及びその製造方法に関する。
従来、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末機など通信機器端末製品の筐体に代表される機械部品などには、アルミニウム合金が用いられている。アルミニウム合金は、表面処理性に優れており、工業的にすでに量産技術が確立されている陽極酸化法による加飾表面処理を施すことにより、様々な色調を表現して優れた意匠性を実現することができる。
この種のアルミニウム合金としては、特許文献1に記載された表面処理アルミニウム材が知られている。この表面処理アルミニウム材は、A1100アルミ二ウム合金からなるアルミ構成材の表面に構成された粗面化表面と、この粗面化表面を含むアルミ構成材の表面に陽極酸化処理により形成された陽極酸化皮膜層と、最外層を形成する塗膜層とを有するものであり、その粗面化表面の表面粗さRzを3μm以上、陽極酸化皮膜層の膜厚を6〜25μm、塗膜層の鉛筆硬度を6H以上とすることで、塗膜層の塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性を向上させている。
特開2002−69696号公報
しかしながら、上述した特許文献1を含め従来のアルミニウム合金は、その表面に陽極酸化法を用いた加飾表面処理を施すことにより、メタリックな色調を有する陽極酸化皮膜を形成できるが、セラミックス調の色調を有する陽極酸化皮膜を形成することが困難であった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、セラミックス調の色調を有する陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム合金材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、凹凸構造であり、該凹凸構造の被処理面に対し、下地処理を行うことにより形成された粗面化面を有するアルミニウム合金を含む基材と、前記粗面化面上に形成された陽極酸化皮膜とを備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、アルミニウム合金を含む基材の被処理面に対し、第1の梨地処理により表面粗さRaが0.48μm〜0.62μmである凹凸構造を形成し、前記凹凸構造の被処理面に対し、苛性処理、中和処理、および第2の梨地処理を含む下地処理を行うことにより、表面粗さRaが0.30μm〜0.40μmとなる粗面化面を形成し、前記粗面化面に対し、陽極酸化法を用いて陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする。
本発明によれば、セラミックス調の色調を有する皮膜が形成されたアルミニウム合金材およびその製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るアルミニウム合金板の縦断面を模式的に示す概略縦断面図である。 本実施形態に係るアルミニウム合金板が備える基材の表面構造を説明するための図である。 本実施形態に係るアルミニウム合金板の製造方法を示すフローチャートである。 実施例1に係るアルミニウム合金板とその比較例1とのL値の測定結果を示す図である。 実施例2に係るアルミニウム合金板とその比較例2とのL値の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は本実施形態に係るアルミニウム合金板の縦断面を模式的に示す概略縦断面図であり、図2は本実施形態に係るアルミニウム合金板が備える基材の表面構造を説明するための図である。図1に示されるようにアルミニウム合金板10は、基材12と、陽極酸化皮膜14と、と備える。基材12は、板状または立体に形成されたアルミニウム合金からなるものであり、1000系、5000系、6000系、7000系等のアルミニウム合金を用いることが好ましい。1000系のアルミニウム合金板としては1050、1070、1100などが挙げられ、5000系のアルミニウム合金板としては5052などが挙げられ、6000系のアルミニウム合金板としては6063、6061などが挙げられる。7000系のアルミニウム合金板としてはZK75などが挙げられる。
基材12の表面には、後述する物理的梨地処理と下地処理とにより凹凸構造(テクスチャ)を有し且つ図2に示されるように当該凹凸構造表面が更に粗面化されて凹部122aと凸部122bとが形成された粗面化面122が形成されている。以後、主たる凹凸構造を第1の凹凸構造、当該第1の凹凸構造表面に形成された凹凸構造を第2の凹凸構造と称して説明する。粗面化面122は、上記2段階の凹凸構造により、その表面のL値が80以上であり、所謂白色化している。
陽極酸化皮膜14は、工業的にすでに量産技術が確立されている陽極酸化法により形成された所定の膜厚を有するアルミナ層からなり、その表面には膜厚方向に延在する細孔が複数形成されている。また、本実施形態においては、陽極酸化皮膜14に対して着色処理が施されており、少なくとも細孔の内には図示しない有機系または無機系染料が充填されている。この細孔は後述する封孔処理により閉塞されている。また、陽極酸化皮膜14は、その表面に鏡面加工が施されており、その表面粗さRaは5.0nm〜16.0nmであることが好ましく、6.0nm〜15.0nmであることがより好ましい。この陽極酸化皮膜14の膜厚は、12μm〜20μmが好ましく、15μm±1μmがより好ましい。
本実施形態においては、白色化した粗面化面122上に着色された陽極酸化皮膜14が形成されることにより、陽極酸化皮膜14の色調を淡く、即ちパステルカラー調にすることができ、延いてはセラミックス調の陽極酸化皮膜14を実現することができる。
以上に説明したアルミニウム合金板10の製造方法を図を参照しつつ詳細に説明する。図は本実施形態に係るアルミニウム合金板の製造方法を示すフローチャートである。
に示されるように、先ず上述した基材12の所望の被処理面に対し、鏡面化処理を施す(S101)。ここでの鏡面化処理では、被処理面の表面粗さRaを12.0nm〜16.0nmとすることが好ましく、13.0nm〜15.0nmとすることがより好ましい。このような鏡面化処理としては、既存の方法を用いることができ、例えばラッピング研磨加工、ポリシング加工(鏡面研磨)が挙げられる。
ラッピング研磨加工は、ラップ盤と呼ばれる平面の台上に基材12を置き、ラップ盤と基材12の研磨面(被処理面)との間に、砥粒としてラップ剤を挟み、基材12に上から圧力を加えてスライディングさせる研磨方法である。ラッピング研磨加工を用いた場合の研磨条件は、スラリーにアルミナ砥粒研磨剤、パッドに不織布などを用い、パッド圧力を380g/cm〜400g/cm、線速度を40.0m/min〜43.0m/minの条件で行うことが好ましい。また、ポリシング加工は、織布、不織布、合成樹脂、合成皮革、不織布の樹脂加工品、あるいはこれらの複合品などからなる研磨パッドと基材12の研磨面を接触させ、接触部に砥粒を含むポリシング液を流しながら、基材12に圧力を加えてスライディングさせる研磨方法である。ポリシング加工を用いた場合の研磨条件は、スラリーにシリカ砥粒研磨剤、パッドにスエードパッドなどを用い、圧力を140g/cm〜160g/cm、線速度を40.0m/min〜42.0m/minとすることが好ましい。
鏡面化処理後、基材12の鏡面化した被処理面に対し、粗面化処理(梨地処理)を施し、第1の凹凸構造と第2の凹凸構造とを形成する。このような粗面化処理としては、物理的手法と化学的手法とを用いることができるが、本実施形態においては物理的に被処理面を粗面化する物理的梨地処理(第1の梨地処理)であるブラスト処理(S102)と、エッチングなどの化学的梨地処理(第2の梨地処理)を含む下地処理(S103)とを併用する方法を採用する。
先ず、ブラスト処理について説明する。ブラスト処理は、基材12の鏡面化した被処理面に対し粉末を吹き付けて所定の表面粗さを有する第1の凹凸構造を形成する処理である。ここでの被処理面の表面粗さRaは、0.48μm〜0.62μmとすることが好ましい。
ブラスト処理に用いる粉末としては、従来のブラスト処理で用いられるものを用いてもよいが、ジルコニアビーズを用いることが好ましい。ジルコニアビーズは、強度、靭性が高く、破砕しにくい、他の材料と比較して耐衝撃性にも優れているなどの特徴があり、微細テクスチャの形成には最適な材料である。また、ジルコニアビーズの形状は球状であることも均一な表面粗面化、マットの質感の梨地の実現にとって好ましい。原料ビーズの形状には多角形、円柱形などもあるが、球状に比べると均一な粗面化を得ることは難しい。球状のビーズとしては、ジルコニアビーズ以外にガラスビーズもあるが、耐久性においてジルコニアの方が10倍以上と優れている。以上の理由から、本実施形態に係る粗面化処理を実現する手法としては、球状のジルコニアビーズを用いることが好ましい。ビーズのサイズは、#170〜#400、好ましくは#205を用いる。#170の粒径は90〜45μm、#400は30〜63μmと粒径のばらつき幅があるのに対し、#205の平均粒径は63μmと粒径のばらつきが少なく、均一に被処理面を粗面化できるため、微細な表面凹凸構造の形成には最適である。
次に、下地処理について説明する。下地処理は、基材12の粗面化された被処理面に形成された第1の凹凸構造の表面に更に微細な凹凸(第2の凹凸構造)を形成し、粗面化面122を形成する処理である。ここでの粗面化面122の表面粗さRaは、0.30μm〜0.40μmとすることが好ましい。
本実施形態に係る下地処理は、苛性処理(S103a)、中和処理(S103b)、及び化学的梨地処理(S103c)の3つの処理からなる。具体的には、先ず、基材12の被処理面に対して、やや高濃度(250g/L)の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を使用し、20〜50sec、好ましくは30sec苛性処理を施す(S103a)。次に、当該被処理面に対して、硝酸を使用し、30sec中和処理を施す(S103b)。次に、当該被処理面に対して、アルカリエッチング液を用いて温度40〜50℃、50〜70sec、好ましくは60secの化学的梨地処理を施す(S103c)。これにより、図2に示されるような凹部122aと凸部122bとを有する粗面化面122を形成することができる。なお、アルカリエッチング液としては、一般的なエッチング処理で使用されているものを用いればよく、例えばフッ化アンモニウム+硫酸アンモニウム、水酸化ナトリウム+フッ化アンモニウム等が挙げられる。
以上に説明した粗面化処理、すなわち物理的梨地処理および下地処理を併用することにより、基材12の色調であるメタリック調の銀色であった被処理面を、白色化することが可能となる。
下地処理後、粗面化面122に対し、陽極酸化法を用いた加飾表面処理(着色アルマイト処理)を行い(S104)、着色された陽極酸化皮膜14の形成を行う。本実施形態に係る加飾表面処理は、陽極酸化処理(S104a)及び着色処理(S104b)の2つの処理からなる。具体的には、粗面化面122に対し、陽極酸化処理を行い、陽極酸化皮膜14を形成する(S104a)。陽極酸化処理には、一般的に行われている陽極酸化法を適用することができる。例えば、溶液に濃度187.5g/Lの硫酸(溶存アルミ11.6g/L)用いて、電圧12〜15V、温度〜20℃で陽極酸化を施す手法が挙げられる。
陽極酸化膜14形成後、陽極酸化皮膜14に対し、着色処理を行い陽極酸化皮膜14を着色する(S104b)。着色処理は、例えば、有機系染料または無機系染料による浸漬、または当該染料の塗布による陽極酸化皮膜14の細孔への充填などを適用してもよいが、本実施形態においては浸漬着色を採用する。浸漬着色の条件は、製作する色に適した染料によって条件は異なるため、個別に狙いの色になるように浸漬時間を調整することが好ましい。これにより、新たな塗布/着色層を陽極酸化皮膜14上に形成することなく、陽極酸化皮膜14自体を着色することが可能となる。
以上により着色された陽極酸化皮膜14は、原色系(又は原色調)の色調のものとなる。ここでの「原色」とは光沢の無い仕上がり面を意味しており、以後ラッピングの光沢仕上げを「セラミックス調」と呼ぶこととする。
陽極酸化皮膜14形成後、陽極酸化皮膜14に対し、封孔処理を行うと共に(S105)、ポリシング研磨処理を行うことにより(S106)、陽極酸化皮膜14をその色調がパステルカラー色といったセラミックス調の色調、質感を有する皮膜とすることができ、本フローは終了となる。本実施形態における封孔処理及びポリシング研磨処理は、一般的に行われている方法を適用することができる。例えば、封孔処理は酢酸ニッケル系封孔処理剤を用いて温度95℃、時間30分の条件で行うことができる。また、ポリシング研磨処理は、スラリーにシリカ砥粒研磨剤、パッドにスエードパッド等を用いて、圧力を370g/cm〜400g/cm、線速度を50.0m/min〜55.0m/minの条件で行うことができる。
以上に説明した本実施形態によれば、従来のアルミニウム合金に対する陽極酸化法及び着色処理によるアルミナ層の形成はそのままに、陽極酸化法の前処理を工夫する、即ち物理的梨地処理と下地処理とを含む本実施形態に係る粗面化処理を行うのみで、セラミックス調に調整された陽極酸化皮膜14を形成することが可能となる。このように陽極酸化皮膜14がセラミックス調に形成されることで、ブルー、レッド、ピンク、イエロー、グリーン、パープル色などを淡い色彩、即ちパステルカラー調の色調を表現することが可能となる。また、表面に塗布層などの新たな層を形成する塗装を必要としないため、膜厚を薄くすることができると共に、極めて簡単に、且つ低コストでセラミックス調に調整されたアルミニウム合金板を作製することができる。
以下、本発明の実施例1及び実施例2について図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
基材12に6000系(Al−Mg−Si)合金である「A6063S−T5」を用いた。なお、T5は、溶体化処理を施さないで人工時効のみ施したものである。
先ず、この基材12の被処理面を鏡面化処理により研磨し、鏡面となるよう平坦化した。ここでの鏡面化処理の条件は、まず、ラッピングではスラリーにCLEALITE(登録商標)50(アルミナ砥粒研磨剤)2倍希釈、パッドに不織布パッドを用いて、圧力:390g/cm、線速度:41.8m/minの条件で行った。次に、ポリシングとしてスラリーにCOMPOL(登録商標)80(シリカ砥粒研磨剤)2倍希釈、パッドにスエードパッドを用い、圧力:150g/cm、線速度:41.8m/minの条件で行った。鏡面化処理後の基材12の表面粗さRaは14.0nmであった。次に、ブラスト処理を用いた物理的梨地処理を行った。粉末はジルコニアビーズ#205(粒径〜63μm)を用いた。物理的梨地処理後の基材12の表面粗さRaは0.55μmであった。物理的梨地処理後、被処理面に下地処理を施した。下地処理として、先ず、やや高濃度(250g/L)の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を用いて苛性処理を30sec行った。苛性処理後、硝酸を用いて中和処理を30sec行った。中和処理後、アルカリエッチング液としてフッ化アンモニウム系薬液を用いて、温度45℃で化学的梨地処理を60sec行い、基材12に平坦面124を有する粗面化面122を形成した。粗面化面122の表面粗さRaは0.32μmであった。
次に、加飾表面処理として粗面化面122上に陽極酸化法による皮膜の形成を行った。陽極酸化処理の条件は一般的に行われている方法を適用した。具体的には、溶液に硫酸を用いて、電圧15Vで、膜厚が略15μmとなるよう陽極酸化処理を行い、陽極酸化皮膜14を形成した。次に、形成した陽極酸化皮膜14に対し着色処理として浸漬着色を行った。着色処理には、TAC BLUE SLH(ブルー503)溶液を用い、条件は濃度5g/L、温度55℃とし、陽極酸化皮膜14をブルーの色調の皮膜として形成した。
加飾表面処理後、封孔処理した後、陽極酸化皮膜14表面に対し、ラッピング研磨処理としてのポリシング研磨処理をしてこれを鏡面化した。封孔処理の条件は、酢酸ニッケル系封孔処理剤を用いて95℃、30分行った。ポリシング研磨処理の条件は、スラリーにCOMPOL(登録商標)80(シリカ砥粒研磨剤)2倍希釈、パッドにスエードパッドを使用し、圧力:390g/cm、線速度:53.7m/minの条件で行った。
以上により作製したアルミニウム合金板10に対し、ラッピング研磨処理後の陽極酸化皮膜14のL値を測定した。測定には、コニカミノルタ社製の分光測色計である「CM−512mA」を用いた。当該分光測色計は、1回の測定で3方向(25°、45°、75°)から照明し、1方向から受光する方式(マルチアングル方式、3方向リング照明・1方向受光)であるため、角度ごとに違って見える色の変化をとらえることができる。したがって、目視評価と同様に、異なる3方向からの測定値を得ることができ、自動車外装などのメタリック・パール塗装色や内装シボ部材などの評価に適している。測定の視野角度は2°とし、測定回数は2回とした。
図4は、実施例1に係るアルミニウム合金板とその比較例1とのL値の測定結果を示す図である。本発明に関わる実施例に対しで測定したL値は、視野角2°、照射角度25°では43.54、照射角度45°では17.97、照射角度75°では3.01であった。なお、実施例1に係るアルミニウム合金板の表面粗さRaは、12.5nmであった。
図4に示される比較例1は、上述した粗面化処理を行わず、基材12に対して鏡面化処理後に直接陽極酸化処理を施したアルミニウム合金板に対し再度鏡面化処理した表面に対する測定結果である。このL値は、照射角度25°では8.88、照射角度45°では2.32、照射角度75°では0.80であった。なお、比較例1に係るアルミニウム合金板の表面粗さRaは、14.8nmであった。
図4に示されるように、本実施例に係るアルミニウム合金板10の陽極酸化皮膜14のL値は、照射角度25°で測定した場合の平均値が43.565であった。一方、比較例1のアルミニウム合金板の陽極酸化皮膜のL値は、平均値が9.09であった。以上のことから、本実施例に係る陽極酸化皮膜14は、そのL値が比較例1と比べて約480%大きい値であった。同様に、照射角度45°で測定した場合、本実施例に係る陽極酸化皮膜14は、そのL値が比較例1と比べて約750%大きい値であり、照射角度75°で測定した場合、本実施例に係る陽極酸化皮膜14は、そのL値が比較例1と比べて約360%大きい値であった。このような高いL値により、陽極酸化皮膜14は、非メタリックでセラミックス調の質感と色調の外観を発現したものと推察される。
(実施例2)
基材12に7000系(Al−Zn−Mg)合金であるUACJ製「ZK75」を用い、加飾表面処理における着色処理以外は実施例1と同様の処理を行った。着色処理には、TAC RED SCH(レッド106)溶液を用い、条件は濃度5g/L、温度55℃とし、陽極酸化皮膜14をレッドの色調の皮膜として形成した。鏡面化処理後の表面粗さRaは14.5nmであった。ブラストによる物理的梨地処理後の基材12の表面粗さRaは0.58μmであった。その後の化学的梨地処理を含めた下地処理後の表面粗さRaは0.35μmであった。また、ラッピング研磨処理後の表面に対するL値は、照射角度25°では50.01、照射角度45°では18.77、照射角度75°では5.66であった。なお、実施例2に係るアルミニウム合金板の表面粗さRaは、9.6nmであった。
実施例1と同様の計測器、同様の条件でL値の計測を行った。図5は、実施例2に係るアルミニウム合金板とその比較例2とのL値の測定結果を示す図である。図5に示される比較例2は、実施例1の比較例1と同様、本実施例における粗面化処理を行わず、本実施例に係る基材12に対して鏡面化処理後に直接陽極酸化処理を施したアルミニウム合金板の測定結果である。このL値は、照射角度25°では13.40、照射角度45°では4.59、照射角度75°では1.86であった。なお、比較例2に係るアルミニウム合金板の表面粗さRaは、6.6nmであった。
図5に示されるように、本実施例に係るアルミニウム合金板10の陽極酸化皮膜14のL値は、照射角度25°で測定した場合の平均値が50.075であった。一方、比較例2のアルミニウム合金板の陽極酸化皮膜のL値は、平均値が13.37であった。以上のことから、本実施例に係る陽極酸化皮膜14は、そのL値が比較例と比べて約375%大きい値であった。同様に、照射角度45°で測定した場合、本実施例に係る陽極酸化皮膜14は、そのL値が比較例2と比べて約410%大きい値であり、照射角度75°で測定した場合、本実施例に係る陽極酸化皮膜14は、そのL値が比較例2と比べて約302%大きい値であった。したがって、陽極酸化皮膜14を実施例1とは異なるレッドの色調としてもこのような高いL値が得られることがわかった。
以上のことから、本発明に係る陽極酸化皮膜14のL値は、本発明に係る粗面化処理を行わない、即ち物理的梨地処理と下地処理とを行わない従来の陽極酸化法で形成した皮膜(金属感を有する皮膜)と比べ、300〜480%大きい値となる。このような高いL値は、加飾表面処理前の粗面化処理によって、粗面化面122をL値80以上の白色化した表面に調整したことに起因と考えられ、このことが結果的にセラミックス調の外観の作製の実現に成功したと考えられる。
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
10 アルミニウム合金板(アルミニウム合金材)
12 基材
122 粗面化面
14 陽極酸化皮膜

Claims (5)

  1. アルミニウム合金を含む基材の被処理面に対し、第1の梨地処理により表面粗さRaが0.48μm〜0.62μmである凹凸構造を形成し、
    前記凹凸構造の被処理面に対し、苛性処理、中和処理、および第2の梨地処理を含む下地処理を行うことにより、表面粗さRaが0.30μm〜0.40μmとなる粗面化面を形成し、
    前記粗面化面に対し、陽極酸化法を用いて陽極酸化皮膜を形成し、
    前記第2の梨地処理において、アルカリエッチング液を用いて前記粗面化面のL値が80以上となるように処理を行う
    ことを特徴とするアルミニウム合金材の製造方法。
  2. 前記第1の梨地処理は、ジルコニアビーズを用いたブラスト処理であることを特徴とする請求項記載のアルミニウム合金材の製造方法。
  3. 前記ジルコニアビーズは、#170〜#400の範囲内のサイズであることを特徴とする請求項記載のアルミニウム合金材の製造方法。
  4. 前記陽極酸化皮膜に対して着色処理を行い、
    前記着色処理後、前記陽極酸化皮膜に対して封孔処理を行い、
    前記封孔処理後にポリシング研磨処理を行う
    ことを特徴とする請求項〜請求項のいずれか一項に記載のアルミニウム合金材の製造方法。
  5. 前記第1の梨地処理に先立って、前記基材を研磨する
    ことを特徴とする請求項〜請求項のいずれか一項に記載のアルミニウム合金材の製造方法。
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