JP4442418B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、実際の空燃比を目標の空燃比へ収束させる内燃機関の空燃比制御装置に関する。
内燃機関においては、実際の空燃比を目標の空燃比へ収束させるための空燃比制御が行われる。空燃比制御を行う内燃機関としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
空燃比制御では、空燃比フィードバック制御を通じて、目標の空燃比に対する実際の空燃比の一時的な乖離を補償するためのフィードバック補正値を算出するとともに、空燃比学習制御を通じて、目標の空燃比に対する実際の空燃比の定常的な乖離を補償するための空燃比学習値を算出する。そして、これらフィードバック補正値と空燃比学習値とが加味されて最終的な燃料噴射量の算出が行われる。
特開平10−103138号公報
ところで、内燃機関においては、インジェクタから噴射された燃料が十分に霧化しないとき、そうした十分に霧化されていない燃料が潤滑油へ混入することにより、燃料による潤滑油の希釈(いわゆる燃料希釈)が生じるようになる。そして、潤滑油に混入している燃料(希釈燃料)が潤滑油の温度上昇にともなって蒸発し、ブローバイガス還元装置等を介して再度燃焼室へ供給されるようになると、空燃比がこうした燃料の影響を受けて変化するようになる。
ここで、蒸発した希釈燃料が燃焼室へ供給されることにより、実際の空燃比が目標の空燃比に対して定常的にリッチ側へ乖離する傾向があるとすると、空燃比学習値が燃料噴射量を減量する(空燃比をリーン側へ向けて変化させる)値に更新される。また、リッチ側への乖離の度合いが大きいときほど、空燃比学習値による燃料噴射量の補正度合いが大きくなる。
空燃比学習値がこうした値に設定されている状態において、内燃機関の温度が過度に低い状態で始動された場合、次のようなことが問題となる。
即ち、内燃機関の温度が過度に低いことにより希釈燃料の蒸発が生じないにもかかわらず、空燃比学習値が燃料噴射量を減量する値に設定されているため、実際の空燃比が過度にリーンとなることに起因して失火をまねくようになる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、失火の発生を抑制することのできる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
<請求項1>
請求項1に記載の発明は、燃料噴射量の算出に際して空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、該空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値の大きさを燃料希釈の度合いに応じて変更することを要旨としている。
上述のように、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、現在の空燃比学習値と本来設定されるべき空燃比学習値(現在の空燃比が目標の空燃比となるように燃料噴射量を補正する空燃比学習値(要求学習値))との間に大きな乖離が生じている場合にあっても、現在の空燃比学習値にガードをかけることで現在の空燃比と目標の空燃比とのずれを小さくして失火の発生を抑制することが可能となる。ただし、ガード値の大きさが適切に設定されていない場合には、空燃比学習値にガードをかけても結局は失火をまねくようになるため、現在の空燃比学習値と要求学習値とのずれに応じてガード値の大きさを設定することが必要となる。
内燃機関においては、希釈燃料の蒸発が生じている状態のとき、潤滑油から蒸発して燃焼室へ供給される燃料量が燃料希釈の度合いに応じて変化する。これにより、空燃比学習値は、蒸発して燃焼室へ供給される燃料量、即ち燃料希釈の度合いを反映した値に更新される。このため、現在の空燃比学習値と要求学習値との間にずれが生じている場合、このずれの大きさは燃料希釈の度合いと相関を有することになる。
上記構成では、こうしたことを考慮して、空燃比学習値のガード値を設定するとともにこの値の大きさを燃料希釈の度合いに応じて変更するようにしているため、空燃比学習値による燃料噴射量の補正度合いを適切に制限することが可能となる。これにより、失火の発生を抑制することができるようになる。なお、ガード値の大きさと燃料希釈の度合いとの関係について、具体的には、請求項2に記載の態様をもって設定することができる。この場合、失火の発生がより的確に抑制されるようになる。
<請求項2>
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記燃料希釈の度合いが大きくなるにつれて前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いが小さくなるように前記ガード値の大きさを変更することを要旨としている。
<請求項3>
請求項3に記載の発明は、燃料噴射量の算出に際して空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、該空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値の大きさを希釈燃料の蒸発度合いに応じて変更することを要旨としている。
内燃機関においては、希釈燃料の蒸発が生じている状態のとき、潤滑油から蒸発して燃焼室へ供給される燃料量が希釈燃料の蒸発度合いに応じて変化する。これにより、空燃比学習値は、蒸発して燃焼室へ供給される燃料量、即ち希釈燃料の蒸発度合いを反映した値に更新される。このため、現在の空燃比学習値と要求学習値との間にずれが生じている場合、このずれの大きさは希釈燃料の蒸発度合いと相関を有することになる。
上記構成では、こうしたことを考慮して、空燃比学習値のガード値を設定するとともにこの値の大きさを希釈燃料の蒸発度合いに応じて変更するようにしているため、空燃比学習値による燃料噴射量の補正度合いを適切に制限することが可能となる。これにより、失火の発生を抑制することができるようになる。なお、ガード値の大きさと希釈燃料の蒸発度合いとの関係について、具体的には、請求項4に記載の態様をもって設定することができる。この場合、失火の発生がより的確に抑制されるようになる。
<請求項4>
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記希釈燃料の蒸発度合いが大きくなるにつれて前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いが小さくなるように前記ガード値の大きさを変更することを要旨としている。
<請求項5>
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記空燃比学習値の更新を禁止しているとき、前記ガード値による前記空燃比学習値のガードを有効にすることを要旨としている。
空燃比学習値の更新が禁止されているときは、実際の空燃比が空燃比学習値に反映されない。このため、現在の空燃比学習値が要求学習値から大きくずれている場合には、こうした状態が継続されるようになる。
上記構成では、こうしたことを考慮して、空燃比学習値の更新を禁止しているときに空燃比学習値のガードを行うようにしているため、的確に失火の発生を抑制することができるようになる。
<請求項6>
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記空燃比学習値の更新を許可しているとき、前記ガード値による前記空燃比学習値のガードを無効にすることを要旨としている。
空燃比学習値の更新が許可されているときは、実際の空燃比が空燃比学習値に反映される。このため、現在の空燃比学習値が要求学習値から大きくずれている場合にあっても、こうしたずれが小さくされるようになる。
上記構成では、こうしたことを考慮して、空燃比学習値の更新を許可しているときは空燃比学習値のガードを行わないようにしているため、空燃比学習値が不要にガードされることを回避することができるようになる。
<請求項7>
請求項7に記載の発明は、燃料噴射量の算出に際して空燃比フィードバック補正値及び空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、前記フィードバック補正値を算出する空燃比フィードバック制御と前記空燃比学習値を算出する空燃比学習制御とを行う内燃機関の空燃比制御装置において、前記空燃比学習制御を実行していないとき、前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値を設定し、前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いについて、前記空燃比フィードバック制御を実行していないときの前記制限度合いを、前記空燃比フィードバック制御を実行しているときの前記制限度合いよりも大きく設定し且つ燃料希釈の度合いに応じて設定することを要旨としている。
上述のように、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、現在の空燃比学習値と本来設定されるべき空燃比学習値(現在の空燃比が目標の空燃比となるように燃料噴射量を補正する空燃比学習値(要求学習値))との間に大きな乖離が生じている場合にあっても、現在の空燃比学習値にガードをかけることで現在の空燃比と目標の空燃比とのずれを小さくして失火の発生を抑制することが可能となる。
ところで、現在の空燃比学習値と要求学習値との間に大きなずれが生じている場合において、空燃比フィードバック制御が行われていないときは、そうしたずれがフィードバック補正値により小さくされることがない。一方で、空燃比フィードバック制御が行われているときは、そうしたずれがフィードバック補正値を通じて小さくされる。
従って、空燃比フィードバック制御が行われていないときと、空燃比フィードバック制御が行われていないときとでは、ガード値による空燃比学習値の制限度合いに対する要求が異なる。即ち、空燃比フィードバック制御が行われていないときは、フィードバック補正値による燃料噴射量の補正がないため、空燃比フィードバック制御が行われているときに比べて空燃比学習値の制限度合いを大きくする必要がある。
上記構成では、こうしたことを考慮して、空燃比学習値のガード値を設定するとともにその大きさを空燃比フィードバック制御の実行状態に応じて設定するようにしているため、失火の発生を抑制することができるようになる。
<請求項8>
請求項8に記載の発明は、燃料噴射量の算出に際して空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、現在の空燃比学習値が希釈燃料の蒸発中に更新された値であること且つ希釈燃料の蒸発が生じていないことを検出したとき、前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値の大きさを燃料希釈の度合いに応じて設定することを要旨としている。
現在の空燃比学習値が希釈燃料の蒸発中に更新された値である場合において、希釈燃料の蒸発が生じていないときは、現在の空燃比学習値が要求学習値から大きくずれていると予測される。
上記構成では、こうしたことを考慮して、上記条件が成立しているときに空燃比学習値のガード値を設定するようにしているため、失火を抑制することができるようになる。
<請求項9>
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いを燃料希釈の度合いに応じて変更することを要旨としている。
希釈燃料が蒸発している状態においては、空燃比学習値が燃料希釈の度合いを反映して更新される。
上記構成では、こうしたことを考慮して、燃料希釈の度合いに応じて空燃比学習値の制限度合いを変更するようにしているため、失火の発生をより的確に抑制することができるようになる。
<請求項10>
請求項10に記載の発明は、請求項7または8に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いを希釈燃料の蒸発度合いに応じて変更することを要旨としている。
希釈燃料が蒸発している状態においては、空燃比学習値が希釈燃料の蒸発度合いを反映して更新される。
上記構成では、こうしたことを考慮して、希釈燃料の蒸発度合いに応じて空燃比学習値の制限度合いを変更するようにしているため、失火の発生をより的確に抑制することができるようになる。
<請求項11>
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、現在の空燃比学習値を第1の空燃比学習値とし、現在の空燃比が目標の空燃比となるように燃料噴射量を補正する空燃比学習値を第2の空燃比学習値とし、前記空燃比学習制御が実行されていないとき且つ前記第1の空燃比学習値と前記第2の空燃比学習値とのずれが基準値よりも大きいときの前記ガード値をガード値Aとし、前記空燃比学習制御が実行されていないとき且つ前記第1の空燃比学習値と前記第2の空燃比学習値とのずれが基準値よりも大きいとき且つ前記空燃比フィーバック制御が実行されているときの前記ガード値をガード値Bとしたとき、このガード値Bによる前記空燃比学習値の制限度合いを前記ガード値Aによる前記空燃比学習値の制限度合いよりも大きく設定することを要旨としている。
<請求項12>
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記空燃比学習制御が実行されていないとき且つ前記第1の空燃比学習値と前記第2の空燃比学習値とのずれが基準値よりも大きいとき且つ前記空燃比フィーバック制御が実行されていないときの前記ガード値をガード値Cとしたとき、このガード値Cによる前記空燃比学習値の制限度合いを前記ガード値Bによる前記空燃比学習値の制限度合いよりも大きく設定することを要旨としている。
<請求項13>
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記ガード値Cによる前記空燃比学習値の制限度合いを燃料希釈の度合い及び希釈燃料の蒸発度合いに応じて変更することを要旨としている。
<請求項14>
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、希釈燃料の蒸発度合いが基準度合いを下回るときには、希釈燃料の蒸発度合いが同基準度合いを上回るときよりも前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いが大きく設定されることを要旨としている。
<請求項15>
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記ガード値は、前記燃料噴射量を減量する方向への補正度合いに制限を加えるものであることを要旨としている。
本発明を具体化した実施形態について、図1〜図15を参照して説明する。
<エンジンの構造>
図1に、エンジン(筒内噴射式内燃機関)の構造を示す。
エンジン1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とを備えて構成されている。
シリンダブロック2には、複数のシリンダ21が備えられている。
シリンダ21には、ウォータージャケット22が形成されている。
各シリンダ21内には、ピストン23が配置されている。また、シリンダ21の内周面とピストン23の頂面とシリンダヘッド3とに囲まれて燃焼室24が区画形成されている。
ピストン23は、コネクティングロッド25を介してクランクシャフト26と連結されている。
シリンダブロック2において、シリンダ21の下方には、クランクケース4がシリンダブロック2と一体に形成されている。
クランクケース4の下部には、オイルパン5が取り付けられている。
オイルパン5には、エンジン1の潤滑油51が貯留されている。
シリンダヘッド3には、インテークポート31及びエキゾーストポート34が設けられている。
インテークポート31には、インテークマニホールド32が接続されている。また、インテークマニホールド32には、インテークパイプ33が接続されている。インテークパイプ33、インテークマニホールド32及びインテークポート31により、外部から燃焼室24へ空気を流通させるための吸気通路が構成されている。
エキゾーストポート34には、エキゾーストマニホールド35が接続されている。また、エキゾーストマニホールド35には、エキゾーストパイプ36が接続されている。エキゾーストパイプ36、エキゾーストマニホールド35及びエキゾーストポート34により、燃焼室24から外部へ排気を流通させるための排気通路が構成されている。
インテークバルブ37は、インテークポート31の開閉状態を切り替える。
エキゾーストバルブ38は、エキゾーストポート34の開閉状態を切り替える。
イグニッションプラグ39は、燃焼室24の混合気に点火する。
インジェクタ3Aは、燃焼室24へ燃料を直接噴射する。
エンジン1においては、ブローバイガス還元装置6を通じてクランクケース4内のガスをインテークパイプ33へ供給することが可能となっている。
エンジン1は、電子制御装置9を通じて統括的に制御される。なお、燃料噴射制御装置は、電子制御装置9を含めて構成されている。
電子制御装置9は、中央演算処理装置91、リードオンリーメモリ92、ランダムアクセスメモリ93、バックアップメモリ94、インプットポート95及びアウトプットポート96を備えて構成される。
・中央演算処理装置91は、エンジン制御にかかる演算処理を実行する。
・リードオンリーメモリ92は、エンジン制御に必要なプログラムやマップ等を予め記憶している。
・ランダムアクセスメモリ93は、中央演算処理装置の演算結果を一時的に記憶する。
・バックアップメモリ94は、演算結果や記憶されたデータをエンジン停止後も保存する。
・インプットポート95は、外部からの信号を中央演算処理装置91へ入力する。
・アウトプットポート96は、中央演算処理装置91からの信号を外部へ出力する。
電子制御装置9のインプットポート95には、エンジン1の運転状態を検出する以下の各種センサが接続されている。
回転速度センサ71は、クランクシャフト26の回転速度を検出する。回転速度センサ71を通じて検出されたデータは、エンジン回転速度NEとして電子制御装置9に入力される。
吸気量センサ72は、エンジン1に吸入された空気量を検出する。吸気量センサ72を通じて検出されたデータは、吸入空気量GAとして電子制御装置9に入力される。
水温センサ73は、ウォータージャケット22内の冷却水の温度を検出する。水温センサ73を通じて検出されたデータは、冷却水温度THWとして電子制御装置9に入力される。
酸素センサ74は、排気の酸素濃度に基づいて混合気の空燃比を検出する。
酸素センサ74は、空燃比が理論空燃比をまたいで変化するときに出力電圧が急変する特性を有する。酸素センサ74の出力電圧は、空燃比が理論空燃比よりも大きい(空燃比が理論空燃比に対してリーン)のときには、理論空燃比に対応した出力電圧(基準電圧Vd)よりも小さい値を示す。一方で、空燃比が理論空燃比よりも小さい(空燃比が理論空燃比に対してリッチ)のときには、理論空燃比に対応した出力電圧(基準電圧Vd)よりも大きい値を示す。酸素センサ74の出力電圧は、出力電圧Voとして電子制御装置9に入力される。
電子制御装置9のアウトプットポート96は、イグニッションプラグ39及びインジェクタ3A等に接続されている。電子制御装置9は、上記各センサの検出データ等に基づいて、イグニッションプラグ39の点火時期を調整する点火時期制御、インジェクタ3Aの燃料噴射量を調整する燃料噴射制御、及び混合気の空燃比を調整する空燃比制御等の各種制御を行う。
<潤滑油の燃料希釈>
エンジン1においては、インジェクタ3Aから噴射された燃料が十分に霧化されないとき(主にエンジン冷間時)、多量の燃料がシリンダ21の内周面に付着するとともにこの燃料が潤滑油と混ざり合うため、潤滑油の燃料希釈が生じる。そして、こうした燃料を含む潤滑油は、ピストン23の往復運動にともなってオイルパン5へかき落とされる。ちなみに、吸気ポートへ向けて燃料を噴射するエンジンにおいても、エンジンの温度が過度に低い場合にはこうした燃料希釈が生じるようになる。
オイルパン5の潤滑油内に混入している燃料(希釈燃料)が潤滑油の温度上昇にともなって蒸発すると、蒸発した燃料がブローバイガス還元装置6を介してインテークパイプ33へ供給される。このため、エンジン1においては、クランクケース4からインテークパイプ33へ供給される燃料量が加味されて最終的な燃料噴射量の設定が行われる。
<燃料噴射量設定処理>
図2を参照して、「燃料噴射量設定処理」について説明する。
本処理は、電子制御装置9を通じて、所定の周期毎に繰り返し実行される。
[ステップS110]エンジン回転速度NE及び吸入空気量GAに基づいて、燃料噴射量の基本値(基本燃料噴射量Qbse)を算出する。
[ステップS120]基本燃料噴射量Qbse、フィードバック補正係数FAF、空燃比学習値KGi及びその他の補正係数Cに基づいて、インジェクタ3Aに対する燃料噴射量の指令値(最終燃料噴射量Qfin)を設定する。即ち、下記計算式を通じて最終燃料噴射量Qfinを算出する。

Qfin ← Qbse×FAF×KGi×C

フィードバック補正係数FAFは、目標の空燃比(理論空燃比)に対する実際の空燃比(実空燃比)の一時的なずれを補償するための値として算出される。
空燃比学習値KGiは、理論空燃比に対する実空燃比の定常的なずれを補償するための値として算出される。また、エンジン1の負荷(吸入空気量GA)の大きさに応じて設定された複数の学習領域i毎に更新される。空燃比学習値KGiの添え字「i」は、学習領域iとの対応関係を示す。即ち、エンジン1の負荷が学習領域xにある場合には、最終燃料噴射量Qfinの算出に際して、学習領域xに対応する空燃比学習値KGxが選択される。
なお、本実施形態では、エンジン負荷に応じて設定された複数の学習領域iのうち、最も低負荷側の学習領域iに対応した空燃比学習値KGiを低負荷学習値KGLとする。また、最も高負荷側の学習領域iに対応した空燃比学習値KGiを高負荷学習値KGHとする。
<空燃比制御>
エンジン1においては、実空燃比を理論空燃比へ収束させるための空燃比制御が行われる。また、空燃比制御として、フィードバック補正係数FAFを算出する空燃比フィードバック制御と、空燃比学習値KGiを算出する空燃比学習制御とが行われる。なお、空燃比フィードバック制御は、後述の「フィードバック補正係数算出処理」を通じて行われる。また、空燃比学習制御は、後述の「空燃比学習値算出処理」を通じて行われる。
<空燃比フィードバック制御の概要>
図3及び図4を参照して、空燃比フィードバック制御におけるフィードバック補正係数FAFの算出態様について説明する。
図3は、酸素センサ74の出力電圧Vo及びフィードバック補正係数FAFの時間経過に対する推移の一例を示している。
図4は、フィードバック補正係数FAFの変化態様の一例を示している。
〔1〕「出力電圧Voが基準電圧Vdよりも大きい状態が継続しているとき」
このとき、フィードバック補正係数FAFから積分量LIが減算される。即ち、フィードバック補正係数FAFが点P1に位置する状態にあるとすると、積分量LIの減算が行われることにより、フィードバック補正係数FAFが点P2に位置する状態へ変化する。こうした積分量LIの減算が所定の周期毎に継続して実行される制御(いわゆる積分制御)を通じて、フィードバック補正係数FAFは徐々に小さくなる。この積分制御が行われるときのフィードバック補正係数FAFの減少傾向は、積分量LIが大きくなるほど急になり、同積分量LIが小さくなるほど緩やかになる。
そして、上述のようなフィードバック補正係数FAFを徐々に小さくする処理が継続されると、空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側へと変化し、これにともなって出力電圧Voが基準電圧Vdよりも大きい値から小さい値へと変化するようになる。
〔2〕「出力電圧Voが基準電圧Vdよりも大きい値から小さい値へと変化したとき」
このとき、フィードバック補正係数FAFにスキップ量RSが加算される。即ち、フィードバック補正係数FAFが点P3に位置する状態にあるとすると、スキップ量RSの加算が行われることにより、フィードバック補正係数FAFが点P4に位置する状態へ変化する。こうしたスキップ量RSを加算する制御(いわゆるスキップ制御)を通じて、フィードバック補正係数FAFは積分制御時よりも大きく変化する。
スキップ量RSは、空燃比が理論空燃比に対してリーン側からリッチ側へと一気に反転しない値に設定されている。従って、フィードバック補正係数FAFにスキップ量RSが加算された後においても、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるとともに出力電圧Voが基準電圧Vdよりも小さい状態が続くようになる。
〔3〕「出力電圧Voが基準電圧Vdよりも小さい状態が継続しているとき」
このとき、フィードバック補正係数FAFに積分量RIが加算される。即ち、フィードバック補正係数FAFが点P4に位置する状態にあるとすると、積分量RIの加算が行われることにより、フィードバック補正係数FAFが点P5に位置する状態へ変化する。こうした積分量RIの加算が所定の周期毎に継続して実行される積分制御を通じて、フィードバック補正係数FAFは徐々に大きくなる。この積分制御が行われるときのフィードバック補正係数FAFの増加傾向は、積分量RIが大きくなるほど急になり、同積分量RIが小さくなるほど緩やかになる。
そして、上述のようなフィードバック補正係数FAFを徐々に大きくする処理が継続されると、空燃比が理論空燃比に対してリーン側からリッチ側へと変化し、これにともなって出力電圧Voが基準電圧Vdよりも小さい値から大きい値へと変化するようになる。
〔4〕「出力電圧Voが基準電圧Vdよりも小さい値から大きい値へと変化したとき」
このとき、フィードバック補正係数FAFからスキップ量LSが減算される。即ち、フィードバック補正係数FAFが点P6に位置する状態にあるとすると、スキップ量LSの減算が行われることにより、フィードバック補正係数FAFが点P7に位置する状態へ変化する。こうしたスキップ量LSを減算するスキップ制御を通じて、フィードバック補正係数FAFは積分制御時よりも大きく変化する。
スキップ量LSは、空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側へと一気に反転しない値に設定されている。従って、フィードバック補正係数FAFからスキップ量LSが減算された後においても、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるとともに出力電圧Voが基準電圧Vdよりも大きい状態が続くようになる。
<空燃比フィードバック処理>
図5及び図6を参照して、空燃比フィードバック処理について説明する。
本処理は、電子制御装置9を通じて所定の周期毎に繰り返し実行される。
[ステップS210]空燃比フィードバック制御を行うための条件が成立しているか否かを判定する。ここでは、次の各条件が成立しているか否かについて判定する。
[a]エンジン始動時ではない。
[b]燃料カットが行われていない。
[c]酸素センサ74が活性化している。
電子制御装置9は、ステップS210の判定処理を通じて、エンジン1の状態について次のように判断する。
(a)上記各条件の全てが成立しているとき、エンジン1の状態が空燃比フィードバック制御を適切に行うことのできる状態であると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS220の処理が行われる。
(b)上記各条件のうち少なくとも一つが成立していないとき、エンジン1の状態が空燃比フィードバック制御を適切に行うことのできない状態である判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS250の処理が行われる。
[ステップS220]酸素センサ74の出力電圧Voが基準電圧Vd未満か否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS220の判定処理を通じて、実空燃比について次のように判断する。
(a)出力電圧Voが基準電圧Vd未満のとき、実空燃比が理論空燃比よりもリーン側の値であると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS230の処理が行われる。
(b)出力電圧Voが基準電圧Vd未満のとき、実空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の値であると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS240の処理が行われる。
[ステップS230]前回の制御周期における酸素センサ74の出力電圧Voが基準電圧Vd未満であったか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS230の判定処理を通じて、実空燃比の変化傾向ついて次のように判断する。
(a)前回の制御周期の出力電圧Voが基準電圧Vd未満のとき、実空燃比が理論空燃比よりもリーン側の値にある状態が継続されていると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS232の処理が行われる。
(b)前回の制御周期の出力電圧Voが基準電圧Vd以上のとき、実空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の値からリーン側の値へ反転したと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS234の処理が行われる。
[ステップS232]フィードバック補正係数FAFに所定の積分量RI(RI>0)を加算した値を新たなフィードバック補正係数FAFとして設定する。即ち、下記計算式

FAF ← FAF+RI

を通じて、フィードバック補正係数FAFを算出する。
[ステップS234]フィードバック補正係数FAFに所定のスキップ量RS(RS>0)を加算した値を新たなフィードバック補正係数FAFとして設定する。即ち、下記計算式

FAF ← FAF+RS

を通じて、フィードバック補正係数FAFを算出する。なお、スキップ量RSは積分量RIよりも十分に大きい値として設定されている。
[ステップS240]前回の制御周期における酸素センサ74の出力電圧Voが基準電圧Vd以上であったか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS240の判定処理を通じて、実空燃比の変化傾向ついて次のように判断する。
(a)前回の制御周期の出力電圧Voが基準電圧Vd以上のとき、実空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の値にある状態が継続されていると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS242の処理が行われる。
(b)前回の制御周期の出力電圧Voが基準電圧Vd未満のとき、実空燃比が理論空燃比よりもリーン側の値からリッチ側の値へ反転したと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS244の処理が行われる。
[ステップS242]フィードバック補正係数FAFから所定の積分量LI(LI>0)を減算した値を新たなフィードバック補正係数FAFとして設定する。即ち、下記計算式

FAF ← FAF−LI

を通じて、フィードバック補正係数FAFを算出する。
[ステップS244]フィードバック補正係数FAFから所定のスキップ量LS(LS>)を減算した値を新たなフィードバック補正係数FAFとして設定する。即ち、下記計算式

FAF ← FAF−LS

を通じて、フィードバック補正係数FAFを算出する。なお、スキップ量LSは積分量LIよりも十分に大きい値として設定されている。
[ステップS250]フィードバック補正係数FAFを「1.0」に設定する。この場合、フィードバック補正係数FAFに基づく基本燃料噴射量Qbseの補正は実質的に行われないことになる。なお、ステップS232、S234、S242、S244及びS250のいずれかの処理が行われた後、本処理が一旦終了される。
[ステップS260]フィードバック補正係数FAFにガード値(上限ガード値GFAFU及び下限ガード値GFAFL)を適用する。なお、ガード値は、別途の処理を通じて設定される。
フィードバック補正係数FAFは、ガード値を通じてその大きさが次のように制限される。
(a)フィードバック補正係数FAFの上限値は上限ガード値GFAFUに制限される。即ち、フィードバック補正係数FAFが上限ガード値GFAFU以上の値に設定されている場合、フィードバック補正係数FAFが上限ガード値GFAFUと同じ大きさに設定されて、最終燃料噴射量Qfinの算出が行われる。
(b)フィードバック補正係数FAFの下限値は下限ガード値GFAFLに制限される。即ち、フィードバック補正係数FAFが下限ガード値GFAFL以下の値に設定されている場合、フィードバック補正係数FAFが下限ガード値GFAFLと同じ大きさに設定されて、最終燃料噴射量Qfinの算出が行われる。
<空燃比学習制御の概要>
実空燃比と理論空燃比とが定常的に乖離する傾向を有していない場合、フィードバック補正係数FAFは、基準値である「1.0」を中心としてその近傍で変動するようになる。従って、フィードバック補正係数FAFの平均値は略「1.0」と等しくなる。
一方、例えばインジェクタ3Aにおける噴射特性の固体差や、潤滑油からの希釈燃料の蒸発に起因して実空燃比が理論空燃比からリッチ側或いはリーン側に定常的に乖離する傾向がある場合、フィードバック補正係数FAFは、基準値である「1.0」とは異なる値を中心としてその近傍で変動するようになる。従って、フィードバック補正係数FAFの平均値は、その乖離傾向に応じて「1.0」とは異なる値に収束するようになる。
空燃比学習制御では、空燃比学習値KGiによる燃料噴射量の補正を通じて、フィードバック補正係数FAFが過度に「1.0」から離れた値とならないようにすることで、空燃比フィードバック制御の制御精度の向上を図るようにしている。
空燃比学習値KGiは、フィードバック補正係数FAFが大きくなるほど大きい値にされるとともに、フィードバック補正係数FAFが小さくなるほど小さい値とされる。従って、空燃比学習値KGiによって燃料噴射量を補正することで、フィードバック補正係数FAFが「1.0」を含む所定範囲内へと収束するようになる。なお、空燃比学習値KGiは、空燃比学習処理を通じて求められる。この際、燃料希釈の度合いが大きいことによりなり、潤滑油からの燃料蒸発量が増大することに起因して実空燃比が理論空燃比から乖離する傾向を生じた場合、空燃比学習値KGiにはこうした傾向が反映されるようになる。
<空燃比学習処理>
図7を参照して、「空燃比学習処理」について説明する。
本処理は、電子制御装置9を通じて所定の周期毎に繰り返し実行される。
[ステップS310]空燃比学習制御を行うための条件が成立しているか否かを判定する。ここでは、次の各条件が成立しているか否かについて判定する。
[a]冷却水温度THWが暖機完了時の温度(暖機水温THWH)以上。
[b]空燃比フィードバック制御が実行されている。
電子制御装置9は、ステップS310の判定処理を通じて、エンジン1の状態について次のように判断する。
(a)上記各条件の全てが成立しているとき、エンジン1の状態が空燃比学習制御を適切に行うことのできる状態であると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS320の処理が行われる。
(b)上記各条件のうち少なくとも一つが成立していないとき、エンジン1の状態が空燃比学習制御を適切に行うことのできない状態である判断する。この判定結果が得られたときは、本処理が一旦終了される。
[ステップS320]酸素センサ74の出力電圧Voが基準電圧Vdをまたいで変化したとき、即ちスキップ制御が行われたときのフィードバック補正係数FAFについて、前回のスキップ制御時のフィードバック補正係数FAF(スキップ時補正係数FAFS1)と前々回のスキップ制御時のフィードバック補正係数FAF(スキップ時補正係数FAFS2)との平均値(補正係数平均値FAFAV)を算出する。即ち、下記計算式

FAFAV ← (FAFS1+FAFS2)/2

を通じて、補正係数平均値FAFAVの算出を行う。
[ステップS330]補正係数平均値FAFAVが判定値α未満か否かを判定する。なお、判定値αは、「1.0」よりも小さい値に設定されている。
電子制御装置9は、ステップS330の判定処理を通じて、実空燃比について次のように判断する。
(a)補正係数平均値FAFAVが判定値α未満のとき、実空燃比が理論空燃比に対してリッチ側に乖離する傾向があると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS332の処理が行われる。
(b)補正係数平均値FAFAVが判定値α以上のとき、実空燃比が理論空燃比に対してリッチ側に乖離する傾向はないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS340の処理が行われる。
[ステップS332]実空燃比が理論空燃比に対してリッチ側に乖離する傾向を補償するために、空燃比学習値KGiをより小さい値に更新する。ここでは、現在の学習領域iに対応する空燃比学習値KGiから所定値LGを減じ、減算した後の値(KGi−LG)を新たな空燃比学習値KGiとして設定する。即ち、下記計算式

KGi ← KGi−LG

を通じて新たな空燃比学習値KGiを算出する。
[ステップS340]補正係数平均値FAFAVが判定値β以上か否かを判定する。なお、判定値βは、「1.0」よりも大きい値に設定されている。
電子制御装置9は、ステップS330の判定処理を通じて、実空燃比について次のように判断する。
(a)補正係数平均値FAFAVが判定値β以上のとき、実空燃比が理論空燃比に対してリーン側に乖離する傾向があると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS342の処理が行われる。
(b)補正係数平均値FAFAVが判定値β未満のとき、実空燃比が理論空燃比に対してリーン側に乖離する傾向はないと判断する。即ち、補正係数平均値FAFAVが「β>FAFAV>α」の範囲にあるとき、補正係数平均値FAFAVが基準値「1.0」の近傍で変動しており、実空燃比が理論空燃比から乖離する傾向はないと判断する。この判定結果が得られたときは、空燃比学習値KGiの更新が行われることなく本処理が一旦終了される。
[ステップS342]実空燃比が理論空燃比に対してリーン側に乖離する傾向を補償するために、空燃比学習値KGiをより大きい値に更新する。ここでは、現在の学習領域iに対応する空燃比学習値KGiに所定値RGを加え、加算した後の値(KGi+RG)を新たな空燃比学習値KGiとして設定する。即ち、下記計算式

KGi ← KGi+RG

を通じて新たな空燃比学習値KGiを算出する。
<燃料希釈に起因する失火>
ところで、エンジン1の運転中に希釈燃料が蒸発すると、実空燃比が理論空燃比に対して定常的にリッチ側へ乖離する傾向となるため、空燃比学習値KGiがこうした乖離を補償すべく基本燃料噴射量Qbseを減量する値(実空燃比をリッチ側からリーン側へ変化させる値)に更新される。そして、これ以降にエンジン1が停止された後において、エンジン1が過度に温度の低い状態で始動されたとすると、次のような不具合をまねくようになる。
即ち、希釈燃料の蒸発が生じないことにより実空燃比が希釈燃料の影響を受けないにもかかわらず、上述のような態様をもって設定された空燃比学習値KGiを通じて基本燃料噴射量Qbseの補正が行われることにより、最終燃料噴射量Qfinは本来設定されるべき値(希釈燃料の蒸発がない状態に適合した値(要求噴射量))よりも小さい値に設定される。
このとき、現在の空燃比学習値KGiにおける希釈燃料の影響度合いが小さい、即ち同空燃比学習値KGiが更新されたときの希釈燃料の蒸発量が少量であれば、実空燃比と理論空燃比との乖離度合いは小さくなる。一方で、空燃比学習値KGiが更新されたときの希釈燃料の蒸発量が多い場合には、最終燃料噴射量Qfinが要求噴射量を大幅に下回った値となるため、実空燃比が過度にリーンとなることに起因して失火をまねくようになる。そこで、本実施形態では、こうした失火の発生を抑制するために、以下に説明する「学習値ガード処理」を行うようにしている。
<学習値ガード処理の概要>
上述のように、希釈燃料の蒸発が生じていない(あるいは生じているものの蒸発量が極めて微量である)ことに起因して現在の空燃比学習値KGiと本来設定されるべき空燃比学習値(現在の空燃比が目標の空燃比となるように燃料噴射量を補正する空燃比学習値(要求学習値))との間に大きな乖離が生じている場合、空燃比学習値KGiにガードをかけることで実空燃比と理論空燃比とのずれを小さくして失火の発生を抑制することが可能となる。なお、要求学習値は、希釈燃料の蒸発が生じていない状態に適合した空燃比学習値に相当する。
上記にて想定した状況においては、空燃比学習値KGiが要求学習値よりも過度に小さい値となることにより失火をまねくようになるため、空燃比学習値KGiの下限ガード値GLの大きさを適切に設定することが要求される。
ここで、下限ガード値GLに要求される大きさは、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して空燃比学習値KGiと要求学習値とが大きく乖離していると仮定した状況のもとで、主に次の[条件A]〜[条件C]が成立しているか否かによって大きく異なってくる。
[条件A]:空燃比学習制御が行われている。
[条件B]:空燃比学習値と要求学習値とのずれが許容される大きさである。
[条件C]:空燃比フィードバック制御が行われている。
即ち、上記各条件を考慮して下限ガード値GLを設定することで、下限ガード値GLによる空燃比学習値KGiの制限度合いが過度に小さいことにより実空燃比が過度にリーンとなる、あるいは下限ガード値GLによる空燃比学習値KGiの制限度合いが過度に大きいことにより実空燃比が過度にリッチなるといった事態を回避することができるようになる。
なお、下限ガード値GLによる空燃比学習値KGiの制限度合いは、下限ガード値GLの大きさが「0」のときに最も大きくなる。即ち、空燃比学習値KGiによる基本燃料噴射量Qbseの補正が実質的に行われなくなる。そして、下限ガード値GLの大きさが「0」から離れた値となるほど、空燃比学習値KGiに対する制限度合いが小さくなる。
ちなみに、空燃比学習値KGiの制限度合いが大きくなるほど、空燃比学習値KGiによる基本燃料噴射量Qbseの補正度合いは小さくなる。即ち、空燃比学習値KGiによる補正を行う前の燃料噴射量(空燃比学習値KGiを乗算する前の基本燃料噴射量Qbse)と、空燃比学習値KGiによる補正を行った後の燃料噴射量(空燃比学習値KGiを乗算した後の基本燃料噴射量Qbse)との差は、空燃比学習値KGiの制限度合いが大きくなるにつれて小さくなる。
本実施形態では、上記[条件A]〜[条件C]に基づいて、運転状態を以下の[運転状態A]〜[運転状態D]に区分している。そして、運転状態毎に下限ガード値GLを設定するようにしている。
[運転状態A]:[条件A]が成立している状態。
[運転状態B]:[条件A]が成立していない一方で、[条件B]が成立している状態。
[運転状態C]:[条件A]及び[条件B]が成立していない一方で、[条件C]が成立している状態。
[運転状態D]:[条件A]、[条件B]及び[条件C]がともに成立していない状態。
以下、各運転状態における下限ガード値GLの設定態様について説明する。
〔1〕[運転状態A]
この場合、フィードバック補正係数FAFによる燃料噴射量の補正、及び空燃比学習値KGiの更新が行われるため、空燃比学習値KGiと要求学習値とが大きく乖離していたとしても、実空燃比が理論空燃比に対して過度にリーン側の値となるおそれはない。このため、下限ガード値GLは設定されない。なお、下限ガード値GLを設定する別途の要求がある場合には、これに従って下限ガード値GLを設定することができる。
〔2〕[運転状態B]
この場合、空燃比学習値KGiと要求学習値とのずれが許容される大きさであるため、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因する失火のおそれはない。ただし、空燃比学習値KGiの更新が行われないエンジン冷間時には、良好な燃焼状態が得られないことに起因して失火をまねくことが懸念される。なお、上記許容されるずれの大きさとは、希釈燃料の蒸発が生じていない場合においても、空燃比が過度にリーンとなることのない大きさを示す。
そこで、「学習値ガード処理」では、こうしたことを考慮して、[運転状態B]での失火の発生を抑制することのできる下限ガード値GLとして第1ガード値GdAを設定するようにしている。本実施形態では、第1ガード値算出マップ(図8)を通じて第1ガード値GdAの算出が行われる。即ち、冷却水温度THWをパラメータとして第1ガード値GdAが算出される。なお、同マップにおいては、冷却水温度THWが高くなるにつれて第1ガード値GdAの絶対値が大きくなる。
〔3〕[運転状態C]
この場合、空燃比学習値KGiと要求学習値とのずれが許容されない大きさであるため、空燃比学習値KGiと要求学習値とが大きく乖離しているとすると、実空燃比が理論空燃比に対して過度にリーン側の値となるおそれがある。一方で、フィードバック補正係数FAFを通じて燃料噴射量の補正が行われるため、空燃比学習値KGiと要求学習値とのずれはフィードバック補正係数FAFを通じてある程度補償される。ただし、フィードバック補正係数FAFに対してガード値が設定されているとともに、空燃比学習値KGiの更新が停止されているため、フィードバック補正係数FAFによる実空燃比のずれの補償には限界がある。
そこで、「学習値ガード処理」では、こうしたことを考慮して、[運転状態C]での失火の発生を抑制することのできる下限ガード値GLとして第2ガード値GdBを設定するようにしている。本実施形態では、第2ガード値算出マップ(図9)を通じて第2ガード値GdBの算出が行われる。即ち、冷却水温度THWをパラメータとして第2ガード値GdBが算出される。なお、同マップにおいては、冷却水温度THWが高くなるにつれて第2ガード値GdBの絶対値が大きくなる。
〔4〕[運転状態D]
この場合、空燃比学習値KGiと要求学習値とのずれが許容されない大きさであるため、空燃比学習値KGiと要求学習値とが大きく乖離しているとすると、実空燃比が理論空燃比に対して過度にリーン側の値となるおそれがある。また、フィードバック補正係数FAFによる燃料噴射量の補正が行われないため、空燃比学習値KGiと要求学習値とのずれがフィードバック補正係数FAFを通じて補償されることがない。
そこで、「学習値ガード処理」では、こうしたことを考慮して、[運転状態D]での失火の発生を抑制することのできる下限ガード値GLとして第3ガード値GdCを設定するようにしている。本実施形態では、第3ガード値算出マップ(図10)を通じて第3ガード値GdCの算出が行われる。即ち、冷却水温度THW及び希釈燃料量FD(潤滑油に混入している希釈燃料の推定値(燃料希釈の度合い))をパラメータとして第3ガード値GdCが算出される。なお、同マップにおいては、冷却水温度THWが高くなるにつれて第3ガード値GdCの絶対値が大きくなる。
<各ガード値の関係>
図11に、各ガード値の関係を示す。
エンジン1においては、冷却水温度THWが低くなるほど燃料が霧化しにくくなる。このため、各ガード値は冷却水温度THWが低くなるにつれて「0」に近づくように設定されている。即ち、冷却水温度THWが低くなるほど、下限ガード値GLによる空燃比学習値KGiの制限度合いが大きくなる。なお、冷却水温度THWが基準水温THWX未満の場合は、上記分類した運転状態にかかわらず実空燃比が過度にリーンとなることに起因する失火の可能性が高くなるため、各ガード値は最も小さい値に設定されている。
[運転状態D]においては、フィードバック補正係数FAFによる燃料噴射量の補正が行われないため、空燃比学習値KGiと要求学習値とのずれが、[運転状態C]に比べてより大きく実空燃比のリーン側への乖離に寄与するようになる。従って、第3ガード値GdCは、第2ガード値GdBよりも「0」に近い値(空燃比学習値KGiの制限度合いがより大きい値)に設定されている。
[運転状態B]においては、空燃比学習値KGiと要求学習値とのずれが許容される大きさであるため、実空燃比が過度にリーン側の値となる度合いは[運転状態C]よりも小さい。従って、第1ガード値GdAは、第2ガード値GdBよりも「0」から離れた値(空燃比学習値KGiの制限度合いがより小さい値)に設定されている。なお、第1ガード値GdAと第2ガード値GdBとを同じ値に設定することもできる。
<第3ガード値と希釈燃料量との関係>
図12を参照して、第3ガード値GdCと希釈燃料量FDとの関係について説明する。
図12(a)に示すように、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、現在の空燃比学習値KGiと要求学習値KGTとが乖離している場合を想定する。
このとき、空燃比学習値KGiが、要求学習値KGTを中心とした所定範囲(上限要求学習値KGTA(要求学習値KGT+所定値A)から下限要求学習値KGTB(要求学習値KGT−所定値A)までの範囲)内の値であれば、空燃比フィードバック制御や空燃比学習制御の実行・停止にかかわらず、失火をはじめとした燃焼状態の悪化を回避することができる。即ち、現在の空燃比学習値KGiと要求学習値KGTとが乖離している場合においては、上限ガード値GU及び下限ガード値GLが上記所定範囲内に収まるように設定することで、失火等の発生を抑制することが可能となる。
ここで、実空燃比が理論空燃比から定常的に乖離する傾向となる原因が、(a)「インジェクタ3Aにおける噴射特性の固体差」及び(b)「希釈燃料の蒸発」の2つだけであるとすると、要求学習値KGTは、(a)による実空燃比のずれのみを補償する値に設定されている。即ち、要求学習値KGTは、空燃比学習値の基準値「1.0」に対して、(a)に応じた分(噴射特性分学習値DfA)だけ小さい値に設定されている。一方で、空燃比学習値KGiは、これら(a)及び(b)による実空燃比のずれを補償する値に設定されている。即ち、空燃比学習値KGiは、空燃比学習値の基準値「1.0」に対して、(a)に応じた分(噴射特性分学習値DfA)と(b)に応じた分(蒸発分学習値DfB)とをあわせた分だけ小さい値に設定されている。
従って、希釈燃料の蒸発が生じていないことにより、現在の空燃比学習値KGiと要求学習値KGTとにずれが生じている場合、このずれの大きさ(蒸発分学習値DfB)は、同空燃比学習値KGiの更新が行われたときの希釈燃料の蒸発量(蒸発して燃焼室24へ供給される量)に応じた大きさとなる。なお、希釈燃料の蒸発量は、燃料希釈の度合い(希釈燃料量FD)と相関があるため、上記蒸発分学習値DfBを希釈燃料量FDに応じた大きさとみなすこともできる。
ところで、希釈燃料の蒸発時においては、燃料噴射量の多いエンジン高負荷時ほど実空燃比に対する希釈燃料の影響が小さくなる。このため、高負荷学習値KGHは複数の空燃比学習値KGiのなかで最も要求学習値KGTに近い値を示す。一方で、空燃比学習値KGiへのガード値の設定に際しては、本来、要求学習値KGTを基準とすることが望ましいが、この学習値は実際に把握されている値ではないため、上記高負荷学習値KGHを基準とすることが適当な設定態様となる。
図12(b)に示すように、高負荷学習値KGHと要求学習値KGTとが一致している場合、空燃比学習値KGiの上限ガード値GUは上限要求学習値KGTAに等しくなる。即ち、上限ガード値GUの大きさは、上限要求学習値KGTAと要求学習値KGTとの差の絶対値(上限側ガード量GAU)となる。また、下限ガード値GLは下限要求学習値KGTBに等しくなる。即ち、下限ガード値GLの大きさは、下限要求学習値KGTBと要求学習値KGTとの差の絶対値(下限側ガード量GAL)となる。
そして、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、高負荷学習値KGHと要求学習値KGTとにずれが生じている場合(図12(a))、蒸発分学習値DfBが大きくなるにつれて、高負荷学習値KGHを基準としたときの下限ガード値GLの大きさが減少するようになる。即ち、高負荷学習値KGHを基準として下限ガード値GLを設定する場合、下限ガード値GLの大きさを下限側ガード量GAL以下にするためには、蒸発分学習値DfBの増加量に応じて下限ガード値GLの大きさを減少させる必要がある。
蒸発分学習値DfBは、上述のように希釈燃料量FDと相関を有する値であるため、希釈燃料量FDに応じて下限ガード値GL(第3ガード値GdC)の大きさを設定することによっても、下限ガード値GL(第3ガード値GdC)の大きさを適切に下限ガード量GAL以下とすることが可能となる。従って、本実施形態では、エンジン運転状態等に基づいて把握することのできる希釈燃料量FDをパラメータとして第3ガード値GdCを設定している。
こうした態様をもって第3ガード値算出マップが設定されていることにより、同マップにおいては、希釈燃料量FDが増加するにつれて第3ガード値GdCが「0」に近づく方向へ変化する(空燃比学習値KGiの制限度合いが大きくなる)傾向を示す。なお、第2ガード値算出マップにおいても、基本的には上述した考えに基づいて第2ガード値GdBが設定されている。また、フィードバック補正係数FAFによる燃料噴射量の補正分を考慮して、第3ガード値GdCよりも「0」から離れた値(空燃比学習値KGiの制限度合いがより小さい値)に設定されている。
<学習値ガード処理>
図13〜図15を参照して、「学習値ガード処理」について説明する。
本処理は、電子制御装置9を通じて、所定の周期毎に繰り返し実行される。
[ステップS410]空燃比学習制御(空燃比学習処理)が行われているか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS410の判定処理を通じて、実空燃比について次のように判断する。
(a)空燃比学習制御が行われているとき、実空燃比が過度にリーン側の値となることはないと判断する。この判定結果が得られたときは、本処理が一旦終了される。
(b)空燃比学習制御が行われていないとき、実空燃比が過度にリーン側の値となるおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS420の処理が行われる。
[ステップS420]高負荷学習値KGHと低負荷学習値KGLとの差の絶対値(学習値差△KG)が、基準差XKG以上か否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS420の判定処理を通じて、現在の空燃比学習値KGiついて次のように判断する。
(a)学習値差△KGが基準差XKG以上のとき、空燃比学習値KGiが希釈燃料の蒸発が生じている状態のもとで更新された値であると判断する。即ち、現在希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、実空燃比が過度にリーン側の値となるおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS430の処理が行われる。
(b)学習値差△KGが基準差XKG未満のとき、空燃比学習値KGiが希釈燃料の蒸発が生じていない状態のもとで更新された値であると判断する。即ち、現在希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、実空燃比が過度にリーン側の値となるおそれはないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS422の処理が行われる。なお、ステップS420の条件が満たされていない(希釈燃料量FDが基準希釈量XFD未満)のときは、[運転状態B]に相当する。
ちなみに、蒸発した希釈燃料が燃焼室24へ供給されている状態においては、実空燃比に対する希釈燃料の影響度合い、即ち空燃比学習値KGiの大きさがエンジン1の負荷に応じてことなる。エンジン1の低負荷時は、高負荷時に比べて燃料噴射量が少ないため、空燃比学習値KGi(低負荷学習値KGL)が高負荷学習値KGHよりも小さい値となる。低負荷学習値KGLと高負荷学習値KGHとの差は、燃焼室24へ供給される希釈燃料の量とともに大きくなる傾向にあるため、ステップS420の判定処理を通じて、空燃比学習値KGiについて上述のように判断することが可能となる。
[ステップS422]下限ガード値GLを設定する。ここでは、第1ガード値算出マップ(図8)に冷却水温度THWを適用して、第1ガード値GdAを算出する。そして、この第1ガード値GdAを下限ガード値GLとして設定する。
[ステップS430]燃料希釈の度合いが基準の度合いよりも大きいか否かを判定する。ここでは、別途の処理を通じて推定された希釈燃料量の推定値(希釈燃料量FD)を参照し、この希釈燃料量FDと基準希釈量XFDとの比較結果に基づいて、燃料希釈の度合いが基準の度合いよりも大きいか否かについて判定する。なお、希釈燃料量FDは、シリンダ21の温度またはその指標値等に基づいて把握することができる。
電子制御装置9は、ステップS430の判定処理を通じて、現在の空燃比学習値KGiの大きさについて次のように判定する。
(a)希釈燃料量FDが基準希釈量XFD以上のとき、空燃比学習値KGiの大きさは、希釈燃料の蒸発が生じていない場合において、実空燃比を過度にリーン側の値へ変化させる大きさであると判断する。即ち、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因する失火のおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS440の処理が行われる。
(b)希釈燃料量FDが基準希釈量XFD未満のとき、空燃比学習値KGiの大きさは、希釈燃料の蒸発が生じていない場合において、実空燃比を過度にリーン側の値へ変化させる大きさではないと判断する。即ち、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因する失火のおそれはないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS422の処理が行われる。なお、ステップS430の条件が満たされていない(希釈燃料量FDが基準希釈量XFD未満)のときは、[運転状態B]に相当する。
[ステップS440]空燃比フィードバック制御(空燃比フィードバック処理)が行われているか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS440の判定処理を通じて、設定すべきガード値の大きさについて次のように判定する。
(a)空燃比フィードバック処理が行われていないとき、第3ガード値GdCを下限ガード値GLとして設定する必要があると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS442の処理が行われる。
(b)空燃比フィードバック処理が行われているとき、第3ガード値GdCを下限ガード値GLとして設定する必要はないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS450の処理が行われる。
[ステップS442]下限ガード値GLを設定する。ここでは、第3ガード値算出マップ(図10)に希釈燃料量FD及び冷却水温度THWを適用して、第3ガード値GdCを算出する。そして、この第3ガード値GdCを下限ガード値GLとして設定する。
[ステップS450]フィードバック補正係数FAFが基準補正係数XFAFよりも大きいか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS450の判定処理を通じて、実空燃比について次のように判断する。
(a)フィードバック補正係数FAFが基準補正係数XFAFよりも大きい(フィードバック補正係数FAFが基本燃料噴射量Qbseを増量する値に設定されている)とき、実空燃比が理論空燃比に対してリーン側の値であると判断する。即ち、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、空燃比学習値KGiが要求学習値よりも小さい値に設定されていると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS452の処理が行われる。
(b)フィードバック補正係数FAFが基準補正係数XFAF以下(フィードバック補正係数FAFが基本燃料噴射量Qbseを減量する値)のとき、実空燃比が理論空燃比に対してリーン側の値でないと判断する。即ち、希釈燃料の蒸発が生じていないことに起因して、現在の空燃比学習値KGiが要求学習値よりも小さい値に設定されていることはないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS422の処理が行われる。
[ステップS452]下限ガード値GLを設定する。ここでは、第2ガード値算出マップ(図9)に冷却水温度THWを適用して、第2ガード値GdBを算出する。そして、この第2ガード値GdBを下限ガード値GLとして設定する。
[ステップS460]高負荷学習値KGHと低負荷学習値KGLとの差の絶対値(学習値差△KG)が下限ガード値GL以上か否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS460の判定処理を通じて、下限ガード値GLの設定について次のように判断する。
(a)学習値差△KGが下限ガード値GL以上のとき、空燃比学習値KGiが下限ガード値GLよりも小さい値となることがあるため、下限ガード値GLを設定する必要があると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS462の処理が行われる。
(b)学習値差△KGが下限ガード値GL未満のとき、空燃比学習値KGiが下限ガード値GLよりも小さい値となることがないため、下限ガード値GLを設定する必要はないと判断する。この判定結果がえられたときは、「学習値ガード処理」が一旦終了される。
[ステップS462]空燃比学習値KGiに下限ガード値GLを適用する。ここでは、高負荷学習値KGHから下限ガード値GLを減算した値を最終的な空燃比学習値KGiの下限ガード値GLとして設定する。即ち、高負荷学習値KGHを基準として下限ガード値GLを適用する。なお、上限ガード値GUは、別途の処理を通じて設定される。
空燃比学習値KGiは、ガード値(上限ガード値GU及び下限ガード値GL)を通じてその大きさが次のように制限される。
(a)空燃比学習値KGiの上限値は上限ガード値GUに制限される。即ち、空燃比学習値KGiが上限ガード値GU以上の値に設定されている場合、空燃比学習値KGiが上限ガード値GUと同じ大きさに設定されて、最終燃料噴射量Qfinの算出が行われる。
(b)空燃比学習値KGiの下限値は下限ガード値GLに制限される。即ち、空燃比学習値KGiが下限ガード値GL以下の値に設定されている場合、空燃比学習値KGiが下限ガード値GLと同じ大きさに設定されて、最終燃料噴射量Qfinの算出が行われる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、空燃比フィードバック制御の停止中における下限ガード値GL(第3ガード値GdC)の大きさを希釈燃料量FDに応じて設定するようにしている。これにより、実空燃比が過度にリーン側の値となることに起因する失火の発生を抑制することができるようになる。
(2)本実施形態では、下限ガード値GLによる空燃比学習値KGiの制限度合いについて、空燃比フィードバック制御の停止中における制限度合いが空燃比フィードバック制御の実行中における制限度合いよりも大きくなるように下限ガード値GLを設定している。これにより、実空燃比が過度にリーン側の値となることに起因する失火の発生をより好適に抑制することができるようになる。
<変更例>
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態では、第3ガード値GdCを希釈燃料量FDに応じて変更する構成としたが、次のように変更することもできる。即ち、希釈燃料の蒸発度合いに応じて第3ガード値GdCを変更することもできる。なお、希釈燃料の蒸発度合いは、潤滑油の温度またはその指標値等に基づいて推定することができる。
・上記実施形態では、本発明にかかる内燃機関の空燃比制御装置を筒内噴射式内燃機関に適用したが、吸気ポートへ向けて燃料を噴射するポート噴射式内燃機関に適用することもできる。
本発明にかかる内燃機関の空燃比制御装置を具体化した実施形態について、その適用対象となる内燃機関の全体構成を示す構成図。 同実施形態の内燃機関について、電子制御装置を通じて行われる「燃料噴射量設定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態の内燃機関について、酸素センサの出力電圧及びフィードバック補正係数の時間経過に対する推移の一例を示すタイムチャート。 同実施形態の内燃機関について、空燃比フィードバック制御におけるフィードバック補正係数の変化態様の一例を示すタイムチャート。 同実施形態の内燃機関について、電子制御装置を通じて行われる「空燃比フィードバック処理」の処理手順の一部を示すフローチャート。 同実施形態の内燃機関について、電子制御装置を通じて行われる「空燃比フィードバック処理」の処理手順の一部を示すフローチャート 同実施形態の内燃機関について、電子制御装置を通じて行われる「空燃比学習処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態の「学習値ガード処理」にて用いられる第1ガード値算出マップの一例を示す図。 同実施形態の「学習値ガード処理」にて用いられる第2ガード値算出マップの一例を示す図。 同実施形態の「学習値ガード処理」にて用いられる第3ガード値算出マップの一例を示す図。 同実施形態の「学習値ガード処理」を通じて算出される各ガード値について、その関係を示す図。 空燃比学習値と要求学習値との関係を示す図。 同実施形態の内燃機関について、電子制御装置を通じて行われる「学習値ガード処理」の処理手順の一部を示すフローチャート。 同実施形態の内燃機関について、電子制御装置を通じて行われる「学習値ガード処理」の処理手順の一部を示すフローチャート。 同実施形態の内燃機関について、電子制御装置を通じて行われる「学習値ガード処理」の処理手順の一部を示すフローチャート。
符号の説明
1…エンジン。
2…シリンダブロック、21…シリンダ、22…ウォータージャケット、23…ピストン、24…燃焼室、25…コネクティングロッド、26…クランクシャフト。
3…シリンダヘッド、31…インテークポート、32…インテークマニホールド、33…インテークパイプ、34…エキゾーストポート、35…エキゾーストマニホールド、36…エキゾーストパイプ、37…インテークバルブ、38…エキゾーストバルブ、39…イグニッションプラグ、3A…インジェクタ。
4…クランクケース、5…オイルパン、51…潤滑油、6…ブローバイガス還元装置。
71…回転速度センサ、72…吸気量センサ、73…水温センサ、74…酸素センサ。
9…電子制御装置、91…中央演算処理装置、92…リードオンリーメモリ、93…ランダムアクセスメモリ、94…バックアップメモリ、95…インプットポート、96…アウトプットポート。
NE…エンジン回転速度、GA…吸入空気量、Qbse…基本燃料噴射量、Qfin…最終燃料噴射量、C…その他の補正係数。
THW…冷却水温度、THWH…暖機水温、THWX…基準水温。
Vo…出力電圧、Vd…基準電圧。
FAF…フィードバック補正係数、FAFS1,FAFS2…スキップ時補正係数、FAFAV…補正係数平均値、XFAF…基準補正係数、RI,LI…積分量、RS,LS…スキップ量、α,β…判定値、RG,LG…所定値。
KGi…空燃比学習値、i…学習領域、KGL…低負荷学習値、KGH…高負荷学習値、KGTA…上限要求学習値、KGTB…下限要求学習値、XKG…基準差、△KG…学習値差。
FD…希釈燃料量、XFD…基準希釈量。
GFAFU…上限ガード値、GFAFL…下限ガード値、GU…上限ガード値、GL…下限ガード値、GdA…第1ガード値、GdB…第2ガード値、GdC…第3ガード値、GAU…上限側ガード量GAL…下限側ガード量。
DfA…噴射特性分学習値、DfB…蒸発分学習値。

Claims (15)

  1. 燃料噴射量の算出に際して空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、該空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値の大きさを燃料希釈の度合いに応じて変更する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記燃料希釈の度合いが大きくなるにつれて前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いが小さくなるように前記ガード値の大きさを変更する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 燃料噴射量の算出に際して空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、該空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値の大きさを希釈燃料の蒸発度合いに応じて変更する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記希釈燃料の蒸発度合いが大きくなるにつれて前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いが小さくなるように前記ガード値の大きさを変更する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記空燃比学習値の更新を禁止しているとき、前記ガード値による前記空燃比学習値のガードを有効にする
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記空燃比学習値の更新を許可しているとき、前記ガード値による前記空燃比学習値のガードを無効にする
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 燃料噴射量の算出に際して空燃比フィードバック補正値及び空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、前記フィードバック補正値を算出する空燃比フィードバック制御と前記空燃比学習値を算出する空燃比学習制御とを行う内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記空燃比学習制御を実行していないとき、前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値を設定し、
    前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いについて、前記空燃比フィードバック制御を実行していないときの前記制限度合いを、前記空燃比フィードバック制御を実行しているときの前記制限度合いよりも大きく設定し且つ燃料希釈の度合いに応じて設定する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 燃料噴射量の算出に際して空燃比学習値による補正を行う内燃機関に適用されて、現在の空燃比学習値が希釈燃料の蒸発中に更新された値であること且つ希釈燃料の蒸発が生じていないことを検出したとき、前記空燃比学習値による前記燃料噴射量の補正度合いに制限を加えるガード値の大きさを燃料希釈の度合いに応じて設定する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  9. 請求項7または8に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いを燃料希釈の度合いに応じて変更する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  10. 請求項7または8に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いを希釈燃料の蒸発度合いに応じて変更する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    現在の空燃比学習値を第1の空燃比学習値とし、現在の空燃比が目標の空燃比となるように燃料噴射量を補正する空燃比学習値を第2の空燃比学習値とし、前記空燃比学習制御が実行されていないとき且つ前記第1の空燃比学習値と前記第2の空燃比学習値とのずれが基準値よりも大きいときの前記ガード値をガード値Aとし、前記空燃比学習制御が実行されていないとき且つ前記第1の空燃比学習値と前記第2の空燃比学習値とのずれが基準値よりも大きいとき且つ前記空燃比フィーバック制御が実行されているときの前記ガード値をガード値Bとしたとき、このガード値Bによる前記空燃比学習値の制限度合いを前記ガード値Aによる前記空燃比学習値の制限度合いよりも大きく設定する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  12. 請求項11に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記空燃比学習制御が実行されていないとき且つ前記第1の空燃比学習値と前記第2の空燃比学習値とのずれが基準値よりも大きいとき且つ前記空燃比フィーバック制御が実行されていないときの前記ガード値をガード値Cとしたとき、このガード値Cによる前記空燃比学習値の制限度合いを前記ガード値Bによる前記空燃比学習値の制限度合いよりも大きく設定する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  13. 請求項12に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記ガード値Cによる前記空燃比学習値の制限度合いを燃料希釈の度合い及び希釈燃料の蒸発度合いに応じて変更する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    希釈燃料の蒸発度合いが基準度合いを下回るときには、希釈燃料の蒸発度合いが同基準度合いを上回るときよりも前記ガード値による前記空燃比学習値の制限度合いが大きく設定される
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記ガード値は、前記燃料噴射量を減量する方向への補正度合いに制限を加えるものである
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
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