JP4440404B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、ポリエステル系樹脂シートを用いて構成された化粧シートに関するものである。
また、本発明は、印刷模様を構成する着色用組成物が、水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする、水性インキ組成物を用いて構成されたものであることを特徴とする化粧シートでもある。
【0002】
【従来の技術】
建築物の内外、家具や家電製品の表面、もしくはその他の身の回りの品々の表面等に、美化と保護を目的として化粧シートを貼ることがよく行われている。
この化粧シートは、適当な基材シートに、着色、印刷、凹凸加工(=エンボス加工)等を行って、美観を与えたものであり、基材シートとしては、紙、プラスチック、もしくは金属箔等が用途に応じて使い分けられている。
【0003】
従来、基材シートとしては、特にポリ塩化ビニル樹脂(以下、塩ビ樹脂と略称する。)を素材とする塩ビ樹脂シートが使用されることが多かった。塩ビ樹脂は可塑剤の添加量により硬軟度合いを調節することが容易であり、熱融着や凹凸加工に向き、印刷インキや接着剤が付着しやすく、また、自身では燃えにくい難燃性を有している等の利点が多く、その上、多用されていることにより、価格が安いからである。
【0004】
しかし、塩ビ樹脂は、その構造中に塩素を含有することにより、欠点も有している。例えば、塩素が原因となって経時的に塩ビ樹脂シートが変色したり、あるいは退色することがあるし、焼却処分する際に、有害な、いわゆるダイオキシンを発生する等である。
【0005】
そこで、塩ビ樹脂シートに代わる樹脂のシートが種々検討され、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、もしくはポリエステル樹脂の各シートが検討された。
このうち、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、機械的強度、特に引張強度が高いため、検討が行われている。
【0006】
しかし、ポリエステル樹脂シートを使用して、塩ビ樹脂の塩素に由来する欠点を回避しても、化粧シートの印刷模様の部分は、有機溶剤を含むインキ組成物を用いて構成されるのが普通なので、取り扱いや乾燥によって生じる有機溶剤のガスの処理は勿論だが、基材シート中にインキ組成物中の有機溶剤が浸透して残存するため、化粧シートとして使用した際に、経時的に有害な有機溶剤がにじみ出す欠点がある。
【0007】
また、一般的なポリエステル樹脂シートを使用すると、ポリエステル樹脂の利点はあるものの、熱融着や凹凸加工がしづらい、印刷インキや接着剤が付着しにくい等、塩ビ樹脂シートにくらべ、加工上の困難さがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題の一つは、ポリエステル樹脂シートを使用して、化粧シートを構成するにあたり、インキ組成物に由来する有機溶剤の浸透、にじみ出しを回避することである。また、本発明の他の課題は、ポリエステル樹脂シートの利点を極力維持しつつ、その欠点を回避することである。また、本発明の課題は、ダブリングシートの様式の化粧シートにおいて、インキ組成物に由来する有機溶剤の浸透、にじみ出しを回避するか、もしくはポリエステル樹脂シートの欠点を回避することでもある。
【0009】
【課題を解決する手段】
上記の課題のうち、インキ組成物に由来する有機溶剤の浸透、にじみ出しについては、インキ組成物を構成する溶剤もしくは分散剤を水又は/及び有機溶剤の中で有害性のないアルコール類とし、それらに溶解ないし分散する樹脂をバインダーとすることにより解決できた。
また、ポリエステル樹脂シートの欠点は、非結晶質ポリエステル樹脂シートを使用することにより、解決することができた。
【0010】
第1の発明は、基材シートが着色されたポリエステル系樹脂シートからなり、前記基材シートの表側の面には印刷模様による化粧が施されており、前記印刷模様は水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする着色用組成物により構成され、前記印刷模様上は、塩素を含有しない透明合成樹脂を溶融押出しすることにより形成された透明合成樹脂層により被覆され、前記透明合成樹脂層の上面には球状粒子を含有する硬化性樹脂で形成された表面保護層が積層されていることを特徴とする化粧シートに関するものである。第2の発明は、第1の発明において、前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂であることを特徴とする化粧シートに関するものである。第3の発明は、基材シートが着色されたポリエステル系樹脂シートからなり、前記基材シートの表側の面には印刷模様による化粧が施されており、前記印刷模様は水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする着色用組成物により構成され、前記印刷模様上は、塩素を含有しない透明合成樹脂を溶融押出しすることにより形成された透明合成樹脂層により被覆され、前記透明合成樹脂層の表面にはエンボスによる凹部が形成され、該凹部には水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする着色組成物が充填されていることを特徴とする化粧シートに関するものである。第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明において、前記基材シートが、非結晶質ポリエステル樹脂シートであることを特徴とする化粧シートに関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における化粧シートは、基材シートの材質、印刷模様中のバインダーに特徴を有するものであり、これらの点を除くと、化粧シートの断面構造自体は、プラスチックシートを基材とした化粧シートとして、従来からあるものである。
【0012】
図1は、本発明の化粧シートの例を示す断面図である。
図1に示す例において、化粧シート1は、透明な基材シート3の下面に、印刷用のプライマー層4を介して印刷模様5が積層された構造を有しており、印刷模様5は上側の絵柄5aと下側の着色層5bとからなっている。また、最上面には表面保護層が積層されている。
【0013】
図1に示す化粧シート1は、透明な基材シート3の裏側に印刷模様5を有する「裏刷り」が行われているので、「バックプリントシート」、あるいは省略して「バックプリント」と呼ばれるものである。基材シート3を通して印刷模様が透視できるよう、透明であることが必要である。ただし、透明とは、無色透明および有色透明を含む。
各層のうち、表面保護層2は省くこともある。また、プライマー層4は、基材シート3と印刷模様5の間の接着力が十分得られる場合には不要である。印刷模様5を構成する二つの層のうち、絵柄5aのみで隠蔽性が生じる場合には省略が可能である。
【0014】
図1に示す化粧シート1の製造は、透明な基材シート2の下面に順次、符号4、5aおよび5bの各層を積層し、最表面の表面保護層2は、符号4、5aおよび5bの各層を形成する各工程の前、各工程の間、もしくはすべての工程の終了後に積層することにより行える。
【0015】
図2は、本発明の化粧シートの他の例を示す断面図である。
図2に示す例において、化粧シート1は、透明な基材シート3と、着色された基材シート7の2枚の基材シートが、間に、上から順に、接着剤層6、印刷模様5、およびプライマー層4の各層を介して積層しているものである。また、最上面には表面保護層が積層されている。
【0016】
図2に示すような、2枚の基材シート3、7が積層された二重構造とされたものは、「ダブリングシート」、あるいはエンボスを伴うものは「ダブリングエンボスシート」と呼ばれるものである。
基材シート3側から眺めるために、上側の基材シート3は「バックプリント」の場合と同様、透明であることが必要である。ただし、透明とは、無色透明および有色透明を含む。
また、下側の基材シート7は、化粧シート1に隠蔽性を付与するために、着色されていることが普通であり、好ましくはさらに隠蔽性を有している。ただし、用途によっては、下側の基材シート7が透明であることもあり得る。
【0017】
各層のうち、表面保護層2は省くこともある。また、接着剤層6は、熱融着で積層が可能な場合には省くこともできるが、熱融着の場合でも、接着剤層6、あるいは、接着剤層6に代えてプライマー層を有していてもよい。下側の基材シート7と印刷模様5との間のプライマー層4は、基材シート7と印刷模様5との間の接着力が十分得られる場合には不要である。
また、印刷模様5は、下側の基材シート7が着色されていれば、バックプリントの場合のように絵柄5aと着色層5bとに分ける必要はない。
【0018】
図2に示す化粧シート1の製造は、下側の化粧材シート7の上面に、プライマー層4、および印刷模様6を順に積層し、印刷模様5上に、接着剤層6を介するか介することなく、上側の基材シート3を積層し、最表面の表面保護層2は、予め基材シート3の上面に積層しておくか、もしくは下側の基材シート7の上方に上側の基材シート3を積層した後に積層することにより、行える。
【0019】
以上の2例の化粧シート1は、プラスチックシートを基材シートとする化粧シートの典型例であるが、本発明においては、プラスチックシートを基材シートとし、少なくとも印刷模様5が施されることにより化粧が施された化粧シートの他の構造を採ってもよい。
例えば、最も簡略な化粧シートとして、図3に示すように、基材シート3の上面にプライマー層4、印刷模様5を順に積層した、表(おもて)刷りの構造のものであってもよく、さらに表面保護層2で最表面が被覆されていてもよい。
なお、化粧を施す手段としては、印刷模様を施す以外にも、着色、表面の艶の調整、エンボス加工、もしくは凹部への着色剤の充填(ワイピング塗装と呼ばれる。)等の各手段があり、本発明においては、印刷模様を施すことに加え、これらの各手段を単独で、もしくは複数、施してあってもよい。
【0020】
発明の化粧シート1において、基材シートとしては、ポリエステル樹脂シートを用いることが望ましい。ダブリングシートの場合には、いずれか一方の化粧シート、好ましくは下側の基材シートをポリエステル樹脂シートとするとよい。
ポリエステル樹脂シートを構成するポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂、もしくはポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)樹脂がある。
これらポリエステル樹脂シートとしては、汎用性から、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂シートを使用することが多い。
【0021】
ポリエステル樹脂シートの厚みとしては、用途にもよるが、50μm〜150μm程度が普通である。ただ、小さい対象や曲率の小さい円柱側面に貼るとき、ごく平らな面に貼るとき等は、50μm未満の薄いものも使用することがあるし、逆に、基材シートに剛性が要求されるときは、150μmを越えた厚いものも使用することがある。
また、ポリエステル樹脂シートは、そのままでは接着性が乏しいため、印刷又は接着に関与する面にコロナ放電処理等の接着性向上のための処理を行なって、接着性を改善しておくとよい。
【0022】
上記のポリエステル樹脂シートは、前記したように、ポリエステル樹脂の利点はあるものの、熱融着や凹凸加工がしづらい、印刷インキや接着剤が付着しにくい等、従来、化粧シートの基材シートとして使用されることが多い塩ビ樹脂シートにくらべ、加工上の不利がある。
【0023】
これらの困難性を解消し得るものとして、本発明においては、テレフタル酸とエチレングリコールの縮合物を単位とする、ポリエステル樹脂の中では最も知られているポリエチレンテレフタレート樹脂のエチレングリコール部分の一部をシクロヘキサンジメタノールで置き換えたポリエステル、即ち、酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールであって、好ましくは、エチレングリコール部分とシクロヘキサンジメタノール部分とがほぼ交互に繰り返されており、非結晶性(もしくは非晶質)であるポリエステル樹脂からなるシートを使用することがより好ましい。
このポリエステル樹脂からなるシートとしては、イーストマンケミカル社製のPETGをシート化したものが入手できる。
【0024】
ダブリングシートの場合に、上側となる基材シート3としては、ポリエステル樹脂シート以外のものも使用でき、例えばポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を架橋させたアイオノマー樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が使用できる。
これらの樹脂のシートは、一旦シート状としてからラミネートするか、もしくは、溶融してスリットから押出しつつ下側の基材シート7に塗布することにより、下側の基材シート7と、印刷模様5、接着剤層6等を介して積層することができる。
【0025】
プライマー層4は、基材シート3、7と印刷模様5の接着性を高めるためのものであり、ポリエステル樹脂シートは接着性が乏しいため、このプライマー層4を介在させるとよい。
プライマー層を構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等がある。
これらの樹脂は単独、若しくは2種以上を混合して塗料組成物、又はインキ組成物とし、適宜な塗布手段、又は印刷手段を用いてプライマー層4を形成することができる。
【0026】
印刷模様5は、本発明の化粧シート1に、外観意匠的な価値を与えるためのものである。印刷模様を施すための印刷手法としては、接着性を考慮する際にバインダーの選択範囲が広いグラビア印刷法が適しているが、これ以外の手法によってもよい。
【0027】
絵柄5aの絵柄模様は任意のものでよく、用途に合わせて選択する。
バックプリントシートの場合、絵柄5aを設けたのとは反対側から眺めるものであるので、左右のある模様の場合は、左右を逆に作成した、いわゆる逆版を用いて印刷する。ダブリングシートの場合で、下側の基材シート7側に印刷するときは、絵柄5aの左右の向きを考慮しなくてよいが、もしも、上側の基材シート3の裏側の面に印刷する場合には、逆版を用いて印刷するとよい。
【0028】
バックプリントシートの場合、絵柄5aの濃度の低い部分や、印刷の網点の間では、下層が透けて見えるので、絵柄5aに加えて、さらに下面に着色層5bを形成するとよい。着色層5bは、絵柄5aのハイライトの部分を補い、印刷模様の一部を形成する。
【0029】
本発明において、印刷模様5、従って、印刷模様5を構成する絵柄5a、および着色層5bは、水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする着色用組成物により構成されている。
この理由は、前記したように、基材シートとしてポリエステル樹脂シートを使用することにより、塩素に由来する欠点を回避したとしても、印刷模様5に残留する有機溶剤が、化粧シートとして使用した際に、経時的ににじみ出しやすく、しかも一般的な有機溶剤は有害であるからである。
【0030】
バインダーとして使用する具体的な樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、もしくはポリオール類が挙げられ、これらは、水もしくはアルコール類、または水とアルコールとの混合溶剤に溶解ないし分散するものである。
ポリオールとしては、セルロース、変性セルロース、ポリビニルアルコール樹脂、ジオールもしくはグリコール類に基づく高分子樹脂等があり、変性セルロースとしては、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、もしくは酢酸酪酸セルロース等のセルロースエステル、置換されたセルロース、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース等がある。
樹脂を水もしくはアルコール類に溶解ないし分散させるためには、エマルジョン化、疎水基の親水基化、マイクロカプセル化、またはこれら以外の手法もある。
【0031】
上記のバインダー樹脂は、1種または2種類以上を用い、染料もしくは顔料からなる着色剤、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合し、水又は/及びアルコール類により溶解ないし分散させて、インキ組成物とし、このインキ組成物を使用して印刷することにより、印刷模様が形成される。配合比は、例えば、バインダー樹脂5〜20重量部、着色剤1〜10重量部、水およびアルコール類の合計で20〜100重量部である。
溶解ないし分散させる際のアルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、もしくはn−ブタノール等の脂肪族アルコールのうち、比較的低級のものであり、これらのうちから1種または2種以上を選択して使用する。
水とアルコール類は各々単独でも使用し得るが、溶解性の点でアルコール類を使用することが有利であり、実際には水とアルコール類を混合して用いることが多い。
【0032】
接着剤層6は、ダブリングシートにおいて、基材シート7上に、プライマー層を介するか介さないで積層された印刷模様5上に、さらに、透明な基材シート3を貼り合わせるためのものである。
この貼り合わせにおいて、接着される両方の面の接着性が乏しいときは、接着剤を一方あるいは両方の面に塗布した後、一旦乾燥させ、その後、重ねて加圧し、圧着するドライラミネーションが適している。
接着剤としては、アクリルポリオールとイソシアネートからなるアクリルウレタン系等のポリウレタン系のものを使用する事が好ましい。
ただ、接着剤を用いるときは残存する有機溶剤の問題もあるので、接着剤によらない溶融押出し法(エクストルージョンコーティング法)による方が好ましい。
【0033】
表面保護層2は、化粧シート1の表面の物理的もしくは化学的な耐久性を向上させるためのもので、主に化粧シート1の表面の耐擦傷性を向上させ、また、化粧シート1が適用される環境において接触する機会のある種々の物質による汚染を生じにくくさせるためのものである。
【0034】
表面保護層2としては、化粧シート1の外観を損なわないものであることが好ましく、透明な樹脂の塗膜で構成することが普通である。樹脂としては、熱可塑性樹脂も使用できるが、より高い耐久性を持つ熱硬化性樹脂を使用することが、より好ましい。
表面保護層2に、一層の高い耐久性を付与したいときは、紫外線、電子線等の電離放射線を照射して架橋硬化させるタイプの電離放射線硬化性樹脂組成物を使用し、塗布後、電離放射線を照射して硬化させることもできる。
【0035】
表面保護層2の形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものを使用する。電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
【0036】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
【0037】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0038】
通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
【0039】
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
【0040】
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
【0041】
電離放射線硬化性樹脂組成物は、ロールコーティング、グラビアコーティング、キスコーティング、もしくはスプレイコーティング等により化粧シート1の最表面に塗布し、必要に応じて、一旦乾燥させ、次いで、電離放射線を照射して硬化させ、表面保護層2とする。
【0042】
表面保護層2には、その層の表面の耐摩耗性を向上させる意味で、好ましくは無機質であって、架橋硬化した樹脂よりも高硬度の球状粒子を含有させる。高硬度の球状粒子を添加すると、一層の表面強化が実現される。こで球状粒子は真球である必要はなく、表面が滑らかであればよい。球状粒子の役割は、表面保護層の表面の一部を突出させて、摩耗の原因となる外力を球状粒子上で受け止め、球状粒子自身が次第に磨耗することによって、下層の磨滅を防止する事である。球状粒子としてはα−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイアモンド、黒鉛等があるが、中でも、硬度が高く、球形のものが多い点から、球形のα−アルミナ(昭和電工株式会社の球状アルミナAS−10からAS50)が推奨できる。球状粒子の粒径は、平均粒径で5〜100μmが好ましい。無機質の球状粒子を表面保護層に用いる際に、表面保護層を構成する樹脂中での密着性を上げる意味で、予めシランカップリング剤等で処理するとよい。
【0043】
本発明の化粧シート1には、化粧シート1が製造された後、もしくは製造途中で、エンボス加工を施し、エンボスによって生じた凹部に着色剤を充填し、凹部を着色により強調した化粧シートとすることもできる。凹部に着色剤を充填する手法は「ワイピング塗装」と呼ばれている。
ただ、一般的なワイピング塗装では、用いる塗料が通常の有機溶剤を含有しており残留溶剤の問題が回避できないので、本発明においては、上記したのと同様な、水又は/及びアルコール類とこれらに溶解ないし分散するバインダー樹脂を含む組成物を用いてワイピング塗装を行うのがよい。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、印刷模様を形成する際のインキ組成物に由来する有機溶剤の浸透、にじみ出しがごく少ない化粧シートを提供できる。また、汎用のポリエステル樹脂シートが、熱融着や凹凸加工がしづらい、印刷インキや接着剤が付着しにくい等の欠点を有している点が解消するので、従来の塩ビ樹脂シートを基材とする化粧シートに近似した性能を有する化粧シートを提供できる。また、上記の効果を有したダブリングシート型の化粧シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バックプリント型の化粧シートの断面図である。
【図2】ダブリングシート型の化粧シートの断面図である。
【図3】おもて刷り型の化粧シートの断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 表面保護層
1 透明な基材シート
2 プライマー層
3 印刷模様(5a;絵柄、5b;着色層)
4 接着剤層
5 着色された基材シート
Claims (4)
- 基材シートが着色されたポリエステル系樹脂シートからなり、前記基材シートの表側の面には印刷模様による化粧が施されており、前記印刷模様は水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする着色用組成物により構成され、前記印刷模様上は、塩素を含有しない透明合成樹脂を溶融押出しすることにより形成された透明合成樹脂層により被覆され、前記透明合成樹脂層の上面には球状粒子を含有する硬化性樹脂で形成された表面保護層が積層されていることを特徴とする化粧シート。
- 前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
- 基材シートが着色されたポリエステル系樹脂シートからなり、前記基材シートの表側の面には印刷模様による化粧が施されており、前記印刷模様は水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする着色用組成物により構成され、前記印刷模様上は、塩素を含有しない透明合成樹脂を溶融押出しすることにより形成された透明合成樹脂層により被覆され、前記透明合成樹脂層の表面にはエンボスによる凹部が形成され、該凹部には水又は/及びアルコール類に溶解ないし分散する樹脂をバインダーとする着色組成物が充填されていることを特徴とする化粧シート。
- 前記基材シートが、非結晶質ポリエステル樹脂シートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
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