JP5339044B2 - 真空成形用化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、真空成形用化粧シートに関するものである。
従来より、住宅用の造作材、建具等の建築資材、例えばキッチン扉や机用部材等の様な、三次元立体形状に意匠性を付与する化粧材の製造に当たっては、目的とする化粧材の三次元立体形状に予め成形した木材合板、木質繊維板、パーティクルボードなど木質系基材等の表面上に、熱可塑性樹脂製の化粧シートを加熱軟化しつつ展張し、該化粧シートの化粧材用基材側の空間を減圧し、必要に応じ反対側の空間を加圧することにより、該化粧シートを前記化粧材用基材の表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ貼着積層する、いわゆる真空成形法が広く採用されている。
上記真空成形法としては、化粧シートの加熱及び化粧シートの化粧材用基材側の空間と反対側の空間との圧力差による化粧シートの化粧材用基材表面への押圧力の負荷を、化粧シートの化粧材用基材とは反対側に展張したシリコーンゴム膜等の可撓性且つ弾力性のメンブレンゴムを介して行う、いわゆるメンブレンプレス法と、該メンブレンゴムを使用せずに、化粧シートを直接加熱すると共に、化粧シート自体を押圧力負荷媒体として行う、いわゆるメンブレンレスプレス法とがある。我が国においては、従来よりメンブレンプレス法の真空成形機が中心として用いられている。
これらの真空成形に用いられる化粧シートの基材シートとして、従来は、塩化ビニル樹脂シートが多用されてきたが、最近では、それに替わってポリオレフィン系樹脂シート等の非塩ビ系の樹脂シートが使用されるようになってきた。しかし、基材シートとしてポリオレフィン系樹脂を用いると、真空成形積層法等で化粧シートをラミネートする場合に、化粧シートの立体形状追従性が不十分となったり、熱成形加工の適正条件幅に制限を受けたり、或いは、化粧シートが延ばされる部分でネッキングが発生して局所的に不均一な伸びが発生したりする等の真空成形性が十分でないという問題を生じていた。また、Vカット加工等の折曲加工性が十分でなく、白化、亀裂、割れ等の問題を生じていた。
これらの問題を解決すべく、化粧シートの基材シートとしてポリオレフィン樹脂、非晶質ポリエステル樹脂等を用いた改良についての提案がなされている(特許文献1〜4参照)。
特開2002−36460号公報 特開2002−36474号公報 特開2002−67242号公報 特開2002−67243号公報
真空成形後の基材(被着体)上の化粧シート表面を鏡面仕上げが必要とされる用途分野においては、化粧材用基材として中密度繊維板(木質繊維を原料とする成型板の一種で、木材チップを細かく裁断し、蒸煮・解繊したものに接着剤となる合成樹脂を加えて板状に成形したもので、MDFともいわれる。)等の木質を使用する場合に、成形加工時に加熱された非晶質ポリエステル樹脂シートが軟化して化粧材用基材の表面に存在する微細な凹凸形状の影響を受けて、成形品表面の鏡面性(不陸性)が低下するという問題点がある。
本発明は、前記問題点を解決して真空成形用化粧シートが基材に隙間なく完全に密着しても、真空成形後の化粧シート表面に被着体であるMDF(中密度繊維板)、パーティクルボード等の表面の微細な凹凸の発生を抑制して、鏡面性に優れる化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも2層の非晶質ポリエステルフィルム間にウレタン接着剤層をラミネートすることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)に関する発明である。
(1)非晶質ポリエステルフィルムからなる基材シート(A)と装飾層(B)から形成される印刷シート(E)と、非晶質ポリエステルフィルムからなる透明層(C)とが、接着層(F)を介して接着されてなる真空成形用の化粧シート(G)であって、
化粧シート(G)の120℃における貯蔵弾性率(JIS K7244−1及び7244−4に準拠し、試験片の幅5mm、長さ20mのシートを開始温度25℃、終了温度150℃、昇温速度3℃/分、測定周波数10Hzの条件下にて測定した値)が700万Pa以上であることを特徴とする、真空成形用化粧シート。
(2)前記接着層(F)がガラス転移温度(Tg)−40〜100℃のウレタン系接着剤からなる接着層であることを特徴とする前記(1)記載の真空成形用化粧シート。
(3)前記接着層(F)が1〜100μmの厚みに形成された層であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の真空成形用化粧シート。
(4)前記装飾層(B)が隠蔽層(B1)、絵柄層(B2)、又は隠蔽層(B1)と該隠蔽層(B1)上に設けられた絵柄層(B2)からなることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の真空成形用化粧シート。
(5)前記基材シート(A)の厚みが50〜500μmであり、透明層(C)の厚みが50〜500μmである、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の真空成形用化粧シート。
本発明によれば、真空成形後に真空成形用化粧シートが被着体に隙間なく十分に密着していても、該化粧シート表面に被着体であるMDF(中密度繊維板)、パーティクルボード等の表面の微細な凹凸、を発生させないで、鏡面性に優れる真空成形用化粧シートを提供することを目的とする。
以下、本発明を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の真空成形用化粧シート(以下、「化粧シート(G)」ということがある)の一実施態様を示す断面模式図である。
図1において、非晶質ポリエステルフィルムからなる基材シート(A)15と装飾層(B)14から形成される印刷シート(E)と、非晶質ポリエステルフィルムからなる透明層(C)12に更に電離放射線硬化性樹脂層からなる表面保護層(D)11が形成された積層シートとが、接着層(F)13を介して接着されている。
尚、図1に示す通り、装飾層(B)14は、隠蔽層(B1)22と絵柄層(B2)21から形成することもできる。
〔1〕真空成形用化粧シート
以下に本発明の化粧シート(G)を構成する、印刷シート(E)、透明層(C)、及び接着層(F)について説明する。
(1)透明層(C)
透明層(C)は、少なくとも非晶質ポリエステルフィルムから形成される層である。
(i)透明層(C)を形成する非晶質ポリエステルフィルム
透明層(C)は、装飾層(B)が透視可能な様に、透明又は半透明(無着色又は着色)である樹脂層であって、ポリオレフィン系樹脂等の他の熱可塑性樹脂から形成することも可能ではある熱成形加工性、真空成形後の化粧シートの立体形状の角部における白化防止等の観点から本発明においては透明層(C)として非晶質ポリエステル樹脂を使用する。
本発明で使用する非晶質ポリエステル樹脂としては、酸成分及びジオール成分から縮合反応等により合成される樹脂で非晶質を呈する樹脂であれば特に制限されるものではない。例えば、酸成分としては、テレフタル酸以外に、イソフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸、又は脂環式ジカルボン酸、或いは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
また、ジオール成分としては、飽和二価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ドデカメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、2.2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルS、その他の芳香族ジオ−ル等を使用することができる。更に、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、その他を添加して共重縮合させて変成することもできる。非晶質ポリエステル樹脂は、通常、ジオール及び酸成分の合計が3種以上となる様に、これらの、1種又は2種以上のジオール成分と、1種又は2種以上の酸成分との共重合体として得られる。
例えば、イーストマンケミカル社製の「Eastar PETG 6763」の場合は、酸成分にはテレフタル酸を、ジオール成分にはエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールを併用した共重合樹脂である。エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの割合を調整する事で、結晶化速度を約ゼロとする事ができると言われている。また、この割合を調整する事で、物性を調整する事も出来る。
上記非晶質ポリエステル樹脂として上記以外に市販されているものとして、例えば、鐘紡(株)製の「カネボウPETシート」(商品名)、帝人(株)製の「テイジンテトロンシート」(商品名)、電気化学工業(株)製の「デンカA−PETシート」(商品名)、東洋紡績(株)製の「東洋紡PETMAXシート」(商品名)、長瀬産業(株)製の「NAGASE A−PETシート」(商品名)、ポリテック(株)製の「ポリテックA−PETシート」(商品名)、SAEHAN社製の「SAEHAN APET SEET」(商品名)、三菱化学(株)の「ノバクリアー」(商品名)、三井・デュポンポリケミカル社製の「シーラーPT」(商品名)等が例示できる。
非晶質とは結晶化を全く起こさない様な樹脂でも良いが、本発明の次の文章に記載する硬化を奏する限り、非結晶性を呈する部分と共に結晶性を呈する部分を有する樹脂でも良く、また、非晶質ポリエステル樹脂には結晶性ポリエステル樹脂が混合されていても良い。
透明層(C)に非晶質ポリエステル樹脂を使用する事により、真空成形性等の成形性、折曲加工性、及び被着体への接着性が特に良好となる限り、透明層(C)に用いられるシートは、単層の他に2層、3層等の複層構成であっても良く、2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる積層シートであっても良い。透明層(C)の厚さは、使用目的により通常、50〜500μm程度が好ましく、50〜300μmがより好ましい。
本発明に係る透明層(C)は無色透明であっても良いが、着色透明又は着色不透明(着色隠蔽性)とすることもできる。透明層(C)を着色するには、後述する隠蔽層(B1)及び絵柄層(B2)で記載するような公知の着色剤を樹脂中に添加すれば良い。
また、透明層(C)中には、その透明性又は半透明性を損なわない範囲で必要に応じ、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加しても良い。
なお、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系等の有機物の紫外線吸収剤の他に、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
(ii)その他
本発明の透明層(C)には、耐摩耗性、耐傷付性や耐汚染性等を付与する目的で、該透明層(C)上に表面保護層(D)を積層してもよい。表面保護層(D)は、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して形成することが望ましい。
表面保護層(D)に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する電離放射線硬化性樹脂と、その他の所望の成分とからなる組成物である。
表面保護層(D)に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すれば良く、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用される重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。以下に代表例を記載する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロ
ペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、中でもラジカル重合性不飽和基を持つアクリレート系オリゴマーが好ましく、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
表面保護層(D)に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。シリコーン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性樹脂との相乗効果により、主に化粧シートに耐汚染性等の表面物性を付与する目的で添加されるものである。シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、又は片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基が(メタ)アクリル基であれば特に限定されず、該有機基を1〜6つ有する変性シリコーンオイルを好ましく用いることができる。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
上記シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、表面保護層(D)の表面張力が所望の範囲となるように適宜調節すれば良いが、耐汚染性の向上とその使用効果を十分に得る観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.5〜4質量部が好ましく、1.0〜2.5質量部がより好ましい。また、シリコーン(メタ)アクリレートの官能基当量(分子量/官能基数)としては、例えば1000〜20000の条件を有するものが挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる表面保護層(D)の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
前記耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでも良い。有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
前記耐摩耗性向上剤としては、例えば、有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。粒径は、通常膜厚の10〜200%程度とする。
前記重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
前記充填剤としては、例えば硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
前記着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
前記赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
前記表面保護層(D)の形成に電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる場合は、まず、重合性モノマーや重合性オリゴマー等の電離放射線硬化性樹脂、必要に応じて用いられるシリコーン(メタ)アクリレート、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して得られる、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製する。この電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、透明層(C)の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はないが、必要に応じて溶剤を添加しても良い。
このようにして調製された電離放射線硬化性樹脂組成物を、透明層(C)の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると、所望の機能を有する表面保護層(D)が得られる。硬化後の表面保護層(D)の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
次いで、上記の未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚さが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された表面保護層(D)には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
(2)印刷シート(E)
印刷シート(E)は、非晶質ポリエステルフィルムからなる基材シート(A)と装飾層(B)から形成される。装飾層(B)は、隠蔽層(B1)、絵柄層(B2)、又は隠蔽層(B1)と該隠蔽層(B1)上に設けられた絵柄層(B2)から形成される。
(i)基材シート(A)
本発明において、基材シート(A)は、非晶質ポリエステルフィルムにより形成される。
基材シート(A)は、成形加工性、真空成形後の化粧シート立体形状の角部の白化防止等の観点から、透明層(C)と同様に非晶質ポリエステル樹脂から形成される。
基材シート(A)の非晶質ポリエステル樹脂は、透明層(C)に用いる各種非晶質ポリエステル樹脂について記載したのと同様である。尚、基材シート(A)に用いられる非晶質ポリエステル樹脂は、透明層(C)に用いられる非晶質ポリエステル樹脂と同じであっても良いし、異なる非晶質ポリエステル樹脂であっても良い。また、単層の他に2層、3層等の複層構成であっても良く、2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる基材シート(A)であっても良い。基材シート(A)に非晶質ポリエステル樹脂を使用する事により、真空成形性等の成形性、折曲加工性、及び被着体への接着性が特に良好となる。
基材シート(A)は無色透明であっても良いが、着色透明又は着色不透明(着色隠蔽性)であってもよい。基材シート(A)を着色するには、後述する隠蔽層(B1)及び絵柄層(B2)で記載する様な公知の着色剤を樹脂中に添加すれば良い。
本発明に係る基材シート(A)は、通常、樹脂シートとして用意され、その厚さは用途によるが、通常、50〜500μm程度が好ましく、50〜300μmがより好ましい。また、基材シート(A)は単層の他に2層、3層等の複層構成であっても良く、2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる積層シートであっても良い点は、透明層(C)に用いる各種非晶質ポリエステル樹脂について記載したのと同様である。
(ii)装飾層(B)
本発明に係る装飾層(B)は、化粧シートの意匠性を高めるために設けられる層であり、隠蔽層(B1)、絵柄層(B2)、又は隠蔽層(B1)と該隠蔽層(B1)上に設けられた絵柄層(B2)から形成される。
(ii-1)隠蔽層(B1)
隠蔽層(B1)は、基材シート(A)又はMDF等の木質基材の着色を隠蔽する全面ベタ層、又は使用目的によって一部ベタ層であって、この隠蔽層(B1)の上に絵柄層(B2)を積層する場合には、絵柄層(B2)にあわせてその着色が選択される。また、基材シート(A)が隠蔽層として機能する場合は、隠蔽層(B1)を設けなくても良く、基材シート(A)表面上に絵柄層(B2)を印刷することもできる。
隠蔽層(B1)は、通常は印刷インキ或いは塗料でグラビア印刷等の公知の印刷又はグラビアコート、ロールコート等の塗工法により形成すれば良い。隠蔽層(B1)の厚さは実用上1〜10μm程度であり、通常4〜8μm程度である。
(ii-2)絵柄層(B2)
本発明において、所望により、隠蔽層(B1)又は基材シート(A)表面上に積層される絵柄層(B2)は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現する層である。絵柄層(B2)の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字等からなる絵柄である。絵柄層(B2)は、通常は、印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インキジェット印刷等公知の印刷法により形成する。
絵柄層(B2)の厚さは、絵柄模様に応じて適宜選択すれば良い。
(iii)隠蔽層(B1)及び絵柄層(B2)に用いられるインキ又は塗料のバインダー
本発明に係る装飾層(B)を構成する隠蔽層(B1)及び/又は絵柄層(B2)に用いられるインキ又は塗料のバインダーとして、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いは、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂等を、1種又2種以上混合して用いる。但し、塩素化ポリオレフィン樹脂は塩化ビニル樹脂と同様に塩素を含有する樹脂となる為、本発明の非塩化ビニル系の化粧シートとしては、好ましくは使用しない方が良い。上記インキ又は塗料は、上述の各種樹脂よりなるバインダーに加えて、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。
上記インキ又は塗料に用いる着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルーチタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等を、1種又は2種以上混合して用いる。
上述の隠蔽層(B1)又は絵柄層(B2)は、金属薄膜層等でも良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせでも良い。該金属薄膜層は、全面に設けても、或いは、部分的にパターン状に設けても良い。
(3)接着層(F)
接着層(F)に使用するウレタン系接着剤は、硬化剤の種類選定により接着硬化時間・接着強度任意に変えることのできる2液型が好ましい。本発明において、接着層(F)に使用するウレタン系接着剤は、ポリエステルポリオールとイソシアネートとから成る2液硬化型ウレタン接着剤層が好ましい。
例えば、ウレタン系接着剤として、イソシアネートを硬化剤として用いる2液硬化型ウレタン、ポリエステルポリオール系2液硬化型ウレタンエチレン/アクリル酸コポリマー(EMA)、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー(EBA)等を例示することができる。これらの中からドライラミネートによる接着が好ましいものを適宜選択することができる。
イソシアネートとしては、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられる種々のものを用いることができる。具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のTDI;ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等のMDI;テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ノルボルナン骨格を有するジイソシアネート(NBDI)、および、これらの変成品等が挙げられる。
上記ウレタンプレポリマーに用いられるポリオール化合物は、炭化水素の複数個の水素をヒドロキシ基で置換したアルコール類である。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を、分子中に活性水素を2個以上有する活性水素含有化合物に付加重合させた生成物が挙げられる。
上記活性水素含有化合物としては、例えば、多価アルコール類、アミン類、アルカノールアミン類、多価フェノール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ウレタンプレポリマーの製造時におけるポリオール化合物とイソシアネート基含有化合物とを混合する割合は、ポリオール化合物のヒドロキシ基の数に対するイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基の数の比(NCO/OH)が、1.0以上であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。
接着層(F)には、塗工、印刷等を行なう際の適性等の諸物性を調整、向上させるため、及び耐候性を向上させる等のために、必要に応じて、その他の副材料、体質顔料等の各種添加剤を添加することができる。
例えば紫外線吸収剤を0.1〜5重量%程度含有させることができる。
紫外線吸収剤として例えばフェニルサリチレート(商品名:Salol)、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール(商品名:Tinuvin)、2−ヒドロキシベンゾフェノン、RC=CCR(R電極陰性基)(商品名:UVinul N−35, N−539)等の紫外線吸収剤、Chiba Geigy製ヒンダードアミン系光安定剤(商品名: Tinuvin 700、Tinuvin 744、Tinuvin 765、Tinuvin 622、Tinuvin 144)、Chimosa製ヒンダードアミン系安定剤(商品名:Chimosasorb 944)、アデカ・アーガス化学製ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:Mark LA−57、Mark LA−62、Mark LA−67、Mark LA−63、MarkLA−68)、B.F.Goodrich製ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:Goodrite UV−3034)等のヒンダードアミン系光安定剤を適用し得る。
接着層(F)のガラス転移温度(Tg)は、−40〜100℃が好ましく、好ましくは−20〜50℃がより好ましく、−10〜30℃が更に好ましい。
接着剤の塗布量は5〜30g/m、好ましくは5〜20g/mである。5g/m以下のときは十分な接着強度は得られない。一方30g/mを越えても接着強度の向上は認められないのみならずコスト的に高くなり、真空成形加工の支障をきたす場合がある。
本発明において、成形加工後の化粧シート表面の微細な凹凸の発生が抑制できるのは、基材シート(A)と透明層(C)とを単一層の非晶質ポリエステルフィルムから形成するよりは、該基材シート(A)と透明層(C)間に異なる樹脂から形成される接着層を設けて該層部分を少なくとも3層構造とすることにより、真空成形される温度条件下で該層部分において微細な凹凸の発生を抑制する物理的な作用が発揮されるためと推定される。
接着層(F)の厚みは、1〜100μm、好ましくは2〜50μm、更に好ましくは3〜30μmである。接着層(F)の厚みが薄すぎると鏡面が維持できず、一方、厚すぎると真空成形に支障を生ずる。
また、接着層(F)の形成方法は特に限定されるものではないが、通常は、上記樹脂を希釈溶剤で希釈した樹脂液からなるインキ又は塗液として、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工手段により形成する。実用的にはまた、接着剤層中には、更に、インキ(又は塗液)の印刷(又は塗工)適性等の諸物性を調整、向上させる為に、必要に応じて、その他の副材料、例えば、体質顔料等の各種添加剤を添加しても良い。
〔2〕真空成形用化粧シート(G)、その作製方法、及びその用途
(1)真空成形用化粧シート
本発明の真空成形用の化粧シート(G)は、非晶質ポリエステルフィルムからなる基材シート(A)と装飾層(B)から形成される印刷シート(E)と、非晶質ポリエステルフィルムからなる透明層(C)とが、接着層(F)を介して接着されてなるシートであって、120℃における貯蔵弾性率(JIS K7244−1及び7244−4に準拠し、試験片の幅5mm、長さ20mのシートを開始温度25℃、終了温度150℃、昇温速度3℃/分、測定周波数10Hzの条件下にて測定した値)が700万Pa以上であることを特徴とする。
貯蔵弾性率を前記700万Pa以上とすることにより、本発明の化粧シート(G)表面に被着体であるMDF(中密度繊維板)、パーティクルボード等の表面の微細な凹凸の発生を抑制して、鏡面性に優れる真空成形用化粧シートを得ることが可能になる。
尚、本発明において、貯蔵弾性率は、JIS K7244−1及び7244−4に準拠し、試験片の幅5mm、長さ20mのシートを開始温度25℃、終了温度150℃、昇温速度3℃/分、測定周波数10Hzの条件下にて測定される値である。
(2)真空成形用化粧シート(G)の作製方法
本発明の真空成形用の化粧シート(G)を得る際の印刷シート(E)と、透明層(C)の貼り合わせ方法としては、接着剤を使用した貼り合せ方法であればよく、例えば、ドライラミネートなどのラミネート方法が使用できる。
(3)真空成形用化粧シート(G)の用途
本発明の化粧シート(G)の用途は特に限定されず、真空成形により積層可能な各種被着体に用いられる。被着体は各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等である。
被着体としては、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品が挙げられる。
〔3〕真空成形方法
被着体に本発明の化粧シート(G)を積層する真空成形方法としては、例えば、固定枠に固定した化粧シート(G)が軟化する所定の温度になるまでシリコーンゴムシートを介してヒーターで加熱し、加熱され軟化した化粧シート(G)を真空ポンプ等で空気を吸引して化粧材用基材の立体形状にしっかりと密着させる。必要に応じ、更に適宜シリコーンゴムシート側からの圧空押付けを併用しても良い。
化粧シート(G)が化粧材用基材に密着した後、シリコーンゴムシートを化粧シート(G)より放した後、固定枠から成形された化粧シート(G)をはずして真空成形化粧版を得る。真空成形は通常80〜130℃程度、好ましくは110〜125℃程度で行われる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は以下に記載する方法になんら限定されるものではない。以下に実施例、比較例で使用した原材料、及び評価方法を記載する。
(1)原材料
(i)非晶質ポリエステル樹脂
イーストマンケミカル社製、非晶質ポリエステル樹脂、商標:Easter PETG 67631
(ii)電離放射線硬化性樹脂組成物
2官能ウレタンアクリレート(オリゴマー)と、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル(Tg:105℃、重量%平均分子量:62000、数平均分子量:37000)の45:55(重量比)混合物 100重量部
2官能シリコーンメタクリレート 1重量部
コロイダルシリカ(1次粒子径:10〜15nm) 10重量部
(iii)ウレタン樹脂接着剤(ポリエステルポリオールの2液硬化型樹脂)
(2)評価方法
(i)貯蔵弾性率
JIS K7244−1及び7244−4に準拠し、試験片の幅5mm、長さ20mの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置(UBM社製、型式:Rheogel-E4000)を用い、120℃の貯蔵弾性率を測定した。測定は、引張モードで行い、開始温度25℃、終了温度150℃、昇温速度3℃/分、測定周波数10Hzの条件下にて行った。
(ii)基材不陸性
真空成形後の成形品の基材不陸性を目視により、以下の基準で評価した。
◎:成形品の表面凹凸が軽微で、鏡面性が維持されていた。
○:成形品の表面凹凸が認められるものの、成形品の商品性が低下するほどではなかった。
△:成形品の表面凹凸が認められ、成形品の商品性が低下した。
[実施例1]
(i)印刷シート(E)の作製
前記非晶質ポリエステル樹脂に着色剤としてチタン白、黄鉛、弁柄を主体とする着色含量を添加して、黄褐色に着色した溶融樹脂組成物をTダイから押出して、厚さ150μmの隠蔽性の着色樹脂シートを作製した。
次に、この着色樹脂シートの片面に、隠蔽層を全面ベタ層となるようにグラビアコートし、その上に木目模様の絵柄層をグラビア印刷により形成して印刷シートとした。装飾層の厚みは5μmとした。
尚、隠蔽層及び絵柄層は、バインダー樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1重量比の混合樹脂を使用し、着色剤に弁柄及びカーボンブラックを種々の配合比率で使用した着色インキを用いた。
(ii)透明層(C)の作製
前記非晶質ポリエステル樹脂をTダイからの溶融押出法により、厚さ250μmで無着色の透明樹脂層を製膜した。
更に、透明樹脂層の上に下記配合割合の電子線硬化性樹脂組成物をグラビアリバース法で塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrd)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて厚み5μmの表面保護層を得た。
電子線硬化性樹脂組成物
・電子線硬化性樹脂(2官能ウレタンアクリレートと熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル(Tg:105℃、重量平均分子量:62000、数平均分子量:37000)の45:55(重量比)) 100質量部
・2官能シリコンメタアクリレート 1質量部
・コロイダルシリカ(一次粒子径:10〜15nm) 10質量部
(iii)真空成形用化粧シートの形成と評価
次に印刷シート(E)側に乾燥後の膜厚が10μmとなるようにウレタン樹脂接着剤(ガラス転移点 −0.8)を塗布し、表面保護層を有した透明樹脂層とをドライラミネートして、図1に示す化粧シートを得た。
得られた化粧シートについて、貯蔵弾性率と基材不陸性の評価を行なった。
結果を表1と図4に示す。
[実施例2]
印刷シート(E)の厚みを100μmとした以外は、実施例1で行なったと同様に、図1に示す化粧シートを作製し、貯蔵弾性率と基材不陸性の評価を行なった。結果を表1と図4に示す。
[比較例1]
透明層(C)と印刷シート(E)間を接着剤層を設けないで熱融着により接着した以外は実施例1で行なったと同様に、図2に示す化粧シートを作製し、貯蔵弾性率と基材不陸性の評価を行なった。結果を表1と図4に示す。
[比較例2]
透明層を非晶質ポリエステル樹脂とポリブチレンテレフタレートとの混合樹脂(配合割合80:20(重量比))よりなる厚み300μmのシートとし、その上に電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて厚み2μmの表面保護層を得、又、一方の非晶質ポリエステル樹脂の厚みを100μmとし、透明層(C)と印刷シート(E)間を接着剤層を設けないで熱融着により接着した以外は、実施例1で行なったと同様に、図3に示す化粧シートを作製し、貯蔵弾性率と基材不陸性の評価を行なった。結果を表1と図4に示す。
Figure 0005339044
本発明の真空成形用化粧シートの一実施態様を示す断面模式図である。 本願明細書の比較例1で作製した真空成形用化粧シートの断面模式図である。 本願明細書の比較例2で作製した真空成形用化粧シートの断面模式図である。 本願明細書の実施例1、2比較例1、2で得た真空成形用化粧シートの貯蔵弾性率を示すグラフである。
符号の説明
10 実施例1で作製した化粧シート
11 表面保護層(D)
12 透明層(C)
13 接着層(F)
14 装飾層(B)
15 基材シート(A)
21 絵柄層(B2)
22 隠蔽層(B1)
23 電離放射線硬化性樹脂
24 非晶質ポリエステル樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の混合物
31 比較例1で作製した化粧シート
41 比較例2で作製した化粧シート

Claims (5)

  1. 非晶質ポリエステルフィルムからなる基材シート(A)と装飾層(B)から形成される印刷シート(E)と、非晶質ポリエステルフィルムからなる透明層(C)とが、接着層(F)を介して接着されてなる真空成形用の化粧シート(G)であって、
    化粧シート(G)の120℃における貯蔵弾性率(JIS K7244−1及び7244−4に準拠し、試験片の幅5mm、長さ20mのシートを開始温度25℃、終了温度150℃、昇温速度3℃/分、測定周波数10Hzの条件下にて測定した値)が700万Pa以上であることを特徴とする、真空成形用化粧シート。
  2. 前記接着層(F)がガラス転移温度(Tg)−40〜100℃のウレタン系接着剤からなる接着層であることを特徴とする請求項1に記載の真空成形用化粧シート。
  3. 前記接着層(F)が1〜100μmの厚みに形成された層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の真空成形用化粧シート。
  4. 前記装飾層(B)が隠蔽層(B1)、絵柄層(B2)、又は隠蔽層(B1)と該隠蔽層(B1)上に設けられた絵柄層(B2)からなることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の真空成形用化粧シート。
  5. 前記基材シート(A)の厚みが50〜500μmであり、透明層(C)の厚みが50〜500μmである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の真空成形用化粧シート。
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