JP4439150B2 - パンツ型使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着用感が良く、防漏性に優れたパンツ型の使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パンツ型の使い捨ておむつは高月齢児や成人失禁者等に広く利用されている。
斯かるパンツ型のおむつは、下着のパンツと同じように着用できるものであるため、着用感を下着に近づけるような工夫されている一方、おむつとしての基本的性能(吸収性、防漏性など)を備えている必要がある。市販のパンツ型おむつがウエスト開口部やレッグ開口部に、ギャザーを形成させるように弾性部材を配しているのもこのためである。特に、レッグ弾性部材は、排尿部及び排便部に近接しているので防漏性に重要な意味を持っている。
【0003】
一般的なパンツ型おむつにおけるレッグ弾性部材は、レッグ開口部に沿った形で配されている。レッグ弾性部材の配設態様としては、製造的な観点から、おむつを幅方向に横断させることなく、おむつの腹側部から股下部を経由して背側部に亘って弾性部材を配するものと、腹側部及び背側部から別々の弾性部材を一方のレッグ開口部に沿って股下部まで配し、それをおむつ幅方向の反対側へ横切らせて、各々腹側部及び背側部迄、他方のレッグ開口部に沿わせて配するものが一般的である。後者の態様のおむつとして、腹側部から配した弾性部材と背側部から配した弾性部材を股下域で交差させ、股下中央部に、両弾性部材によって閉じた空間を形成するようにしたものが市販されているが、当該空間は、両弾性部材が固定された外装材料等の自由度を規制してしまうので股下におけるフィット性に欠けるきらいがある。また、股下域において弾性伸縮性を有する場合には当該部位における吸収体が幅方向に縮むために吸収体を有効活用しにくいということがある。
【0004】
従って、本発明の目的は、着用感が良く、防漏性に優れており、大便後の処理を容易に行うことのできるパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型の使い捨ておむつにおいて、前記レッグ開口部には、その周縁に沿ってレッグ弾性領域が形成されており、該レッグ弾性領域は、腹側部から股下部に亘って配された複数本の第1弾性部材と、背側部から股下部に亘って配された複数本の第2弾性部材とを備えて形成されており、股下部における第1及び第2弾性部材は、前記レッグ開口部の周縁に沿って配されたギャザー形成部と該ギャザー形成部からおむつ幅方向中央に向かって延出する延在部とを有しており且つおむつ幅方向中央に達しない位置に端部を有しており、前記延在部における、前記ギャザー形成部と該延在部との境界近傍における前記複数本の第1及び第2弾性部材の最小配設幅が、それぞれ、前記ギャザー形成部における前記複数本の第1及び第2弾性部材の最大配設幅よりも狭いことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつを提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の第1実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつ1は、図1及び図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及びこれら両シート間に介在された液保持性の吸収体4を備え、腹側部Aの両側縁部と背側部Bの両側縁部とが互いに接合されて、ウエスト開口部D及び一対のレッグ開口部E,Eが形成されているパンツ型の使い捨ておむつである。
【0007】
本実施形態の使い捨ておむつ1において、吸収体4は、中央部分が括れた砂時計状であり、表面シート2及び裏面シート3も該吸収体4の外形に合わせて略同様の形状とされている。また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の長手方向の両側縁の外方において互いに接合され、吸収体4の長手方向端縁から延出した部分において互いに接合されている。
【0008】
裏面シート3の外側(おむつ外表面側)には、2枚の外層不織布が配されており、該外層不織布は、吸収体4の長手方向の両端縁及び両側縁よりも使い捨ておむつの外方に向けて延出し、延出した外層不織布により、ウエスト開口部Dの周縁部及びレッグ開口部E,Eの周縁部が形成されている。そして、2枚の外層不織布間に、ウエスト弾性部材6、レッグ弾性部材71,72及び胴廻り弾性部材9が配されて、ウエスト弾性領域(ウエストギャザー)60、レッグ弾性領域(レッグギャザー)70及び胴回り弾性領域(胴回りギャザー)90が形成されている。尚、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は一体化されて吸収性本体10を形成しており、該吸収性本体10は、2枚の外層不織布からなる外層体5に接合固定されている。また、吸収体4の両側縁に沿って立体ギャザー8が形成されている。
【0009】
而して、第1実施形態の使い捨ておむつ1における一対のレッグ開口部には、その周縁に沿ってレッグ弾性領域が形成されており、該レッグ弾性領域は、腹側部Aから股下部Cに亘って配された複数本(3本)の第1弾性部材71と、背側部Bから股下部Cに亘って配された複数本(3本)の第2弾性部材72とを備えて形成されており、股下部Cにおける第1及び第2弾性部材71,72は、前記レッグ開口部の周縁に沿って配されたギャザー形成部71a,72aと該ギャザー形成部71a,72aからおむつ幅方向中央に向かって延出する延在部71b,72bとを有しており且つおむつ幅方向中央に達しない位置に端部71c,72cを有しており、延在部71b,72bにおける、ギャザー形成部71a,72aと該延在部71b,72bとの境界近傍における、前記複数本の第1及び第2弾性部材の最小配設幅W1,W2が、それぞれ、前記ギャザー形成部71a,71aにおける前記複数本の第1及び第2弾性部材の最大配設幅W3,W4よりも狭くなされている(W1<W3,W2<W4)。
【0010】
ここで、複数本の第1(第2)弾性部材の配設幅とは、複数本の第1(第2)弾性部材の内の両外側に位置する弾性部材の外側縁同士間の距離であり、図2に示すように、おむつを展開且つ伸長させた状態において、複数本の第1(第2)弾性部材の内の真中の弾性部材(例えば4本の場合は内側2本の何れでも良い)の法線(接線に直交する直線)に沿って測定する。
尚、第1実施形態における第1及び第2弾性部材71,72は、各々帯状をなしており3本づつ並列に配されている。
【0011】
第1実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1によれば、斯かる構成を有するため、以下の効果が奏される。
即ち、股下域(おむつ長手方向における、両側部に延在部71b,72bが存在する部位及びその近傍)C1で吸収体4が幅方向に大きく縮まない上に、ほぼ環状のレッグ弾性領域に配された第1及び第2弾性部材71,72の股下部Cにおける終点(後述する交差部K及びその近傍)には、着用中に引っ張り力が集中して加わるので、その近傍にある吸収体4側部が着用者側に持ち上げられ、股下部Cの全域にわたって高い吸収性能を発揮する。
【0012】
詳述すると、第1実施形態においては、第1弾性部材71と第2弾性部材72とが、股下部Cにおいて互いに交差しており、その交差部Kより内側まで各弾性部材71,72が延在している。
第1及び第2弾性部材71,72におけるギャザー形成部71a,72aと延在部71b,72bの境界は、第1及び第2弾性部材それぞれの接線が、おむつを幅方向に2等分するおむつ中央線(長手方向に延びる中央線)に対して45度の角度をなす位置であり、第1実施形態におけるギャザー形成部と延在部との境界は、前記交差部Kの位置とほぼ一致している。
【0013】
そして、延在部71b,72bにおける、第1及び第2弾性部材の交差部Kの近傍においては、複数本の第1弾性部材71同士間の間隔が、腹側部A寄りのギャザー形成部における間隔よりも狭くなっており、複数本の第2弾性部材72同士間の間隔も、背側部B寄りのギャザー形成部における間隔よりも狭くなっている。但し、第1及び第2弾性部材の端部71c,72cは、接着剤が一部塗布されていないことがあり、この場合には、設計意図に反して各弾性部材の配設幅が拡がったり、逆に狭まったりすることがあるが、当該箇所(端部)は、本発明の効果に大きな寄与を与えるものではないので、ギャザー形成部と延在部の境界近傍から除く。
【0014】
斯かる構成を有するため、当該部位では、弾性部材による弾性伸縮性の影響がおむつ長手方向に関して最低限に抑えられていると共に、狭い面積に伸縮力が集中して加わる構造となっている。そして、交差部(ギャザー形成部と延在部との境界)Kの近傍における、複数本の第1又は第2弾性部材の配設幅が広い場合に比べると剛性の高い領域が狭められるので、股下域C1における、着用者の脚の動きに対する弾性部材が固定された外装材料の追従性が高まる。また、股下部の硬さが低減されるので、特に脚を閉じた時に感じられるような股下部の違和感が低減される。弾性部材の収縮力が狭い面積に集中するので、吸収体が高い剛性を持つものであっても、ポケット構造を形成し易く、高い防漏性を有することとなる。他方、ギャザー形成部においては、弾性部材の配設幅W3,W4が広くなっているため、脚周りを締め付ける力が広い面積に分散されることで、優しく締め付け、跡付きの防止になる。
【0015】
上記効果を効率良く発現させる観点から、ギャザー形成部と延在部との境界近傍における複数本の第1弾性部材71の最小配設幅W1と、ギャザー形成部71aにおける複数本の第1弾性部材71の最大配設幅W3との比(W1/W3)は0.05〜0.5、特に0.1〜0.3であることが好ましく、同様の観点から、前記最小配設幅W1は5〜20mmが好ましく、前記最大配設幅W3は10〜50mmが好ましい。
また、ギャザー形成部と延在部との境界近傍における複数本の第2弾性部材72の最小配設幅W2と、ギャザー形成部72aにおける複数本の第1弾性部材72の最大配設幅W4との比(W2/W4)並びに最小配設幅W2及び最大配設幅W4の好ましい範囲は、比(W1/W3)並びに幅W1及び幅W3と同様である。
【0016】
しかも、本実施形態のおむつ1は、第1及び第2弾性部材71,72の端部71c,72cが、おむつ幅方向中央(おむつを幅方向に2等分する中央線)に達しない位置にあり、股下域を横断する弾性部材がないので、吸収体が幅方向に縮んで吸収効率が低下することを防止でき、更によれたり、壊れたりしずらい。
また、一般に、大便の処理を行う際には、パンツの側部接合を引き剥がして着用者のお尻の下に展開したおむつがくるように脱がし、着用者のお尻を持ち上げてお尻を拭く等の作業を行うが、このとき、従来のパンツ型おむつにおいては、股下を横断する弾性部材を契機として吸収体が着用者側に大きく屈曲し、作業の邪魔になることがある。特に、股下で弾性部材が交差する形状の場合、広い面積に亘って屈曲を助長する。これに対して、本実施形態のパンツ型使い捨ておむつにおいては、股下部を横断させない態様で、第1及び第2弾性部材を配してあるため、作業の邪魔となるような高い屈曲部の形成を防止することができる。
【0017】
また、本実施形態の使い捨ておむつ1においては、第1及び第2弾性部材71,72のおむつ幅方向中央側の一部が吸収体4と重なっているため、これらの弾性部材により、吸収体4が体と反対側に凸のポケット構造を作出し、その保形性は高くなる。そのため、尿、便両方に対する防漏効果が高くなる。また大便処理を行う時も、当該ポケットに便が収納され、偶発的に便が移行して着用者や保護者の肌に付いたり、おむつからはみ出したりすることを防ぐことができる。
【0018】
また、本実施形態の使い捨ておむつにおける、左右一対の第1及び第2弾性部材は、それぞれ股下部を幅方向に横断させて配した弾性部材をおむつの幅方向中央部において切断分割して設けられている。そのため、製造の容易という、股下部を弾性部材が横断するタイプの従来おむつ(特にいわゆる横流れ方式で製法するおむつ)の利点を損なうことがない。尚、切断により生じた端部の近傍は、伸張状態が解除されて弾性伸縮性を発現しない。
【0019】
更に、第1及び第2弾性部材は、それぞれ吸収体と重なる部位においては、弾性伸縮性を発現しないようになされており、そのため、吸収体側部において、吸収体を幅方向に縮める作用がないまま、適度な剛性が与えられるので、着用者の股下部へのフィット性が高まり、更に吸収体のポケット構造が形成され易い。
【0020】
以下、本発明の第2実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつについて説明する。第2実施形態のおむつ1’は、股下部Cにおける第1及び第弾性部材の配設態様が相違する点においてのみ第1実施形態と相違するため、第2実施形態については、主として第1実施形態との相違点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、好ましい態様を含めて、第1実施形態に関して上述した説明が適宜適用される。
【0021】
第2実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1’においては、図3に示すように、第1弾性部材71と第2弾性部材72とが、股下部において交差せずに互いに離間しており、延在部71b,72bにおける、ギャザー形成部71a,72aと該延在部71b,72bとの境界近傍において相隣接する第1弾性部材と第2弾性部材との間の離間幅W5が、ギャザー形成部71a,72aにおける第1及び第2弾性部材それぞれの最大配設幅の合計(W3+W4)よりも小さくなされている。
【0022】
第2実施形態のおむつによれば、斯かる構成を有するため、第1実施形態と同様の効果が奏されるのに加えて、弾性部材が重なって大きな剛性を持つ部分がなくなることと、弾性伸縮性による応力が、交差部に集中しないことにより、着用者の股下部における装着感が向上される。
【0023】
上記効果を得る観点から、前記離間幅W5と、前記最大配設幅の合計(W3+W4)との比〔W5/(W3+W4)〕は0.05〜1.5、特に0.1〜1. 0であることが好ましい。また、前記離間幅W5は5〜30mmが好ましく、前記最大配設幅の合計(W3+W4)は20〜100mmが好ましい。
ここで、前記離間幅W5は、おむつ幅方向中央側の端部において最も近接する第1及び第2弾性部材の対向する側縁同士間の距離であり、おむつを展開且つ伸長させた状態においておむつの長手方向に沿って測定する。
【0024】
本発明は、上記実施形態に制限されず種々変更可能である。
本発明の使い捨ておむつにおける各部材の形成材料としては、従来の使い捨ておむつに用いられている各種公知のものを用いることができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、着用感が良く、防漏性に優れており、大便後の処理を容易に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す使い捨ておむつの展開且つ伸張状態を示す一部破断平面図である。
【図3】本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を示す平面図(図2対応図)である。
【符号の説明】
1 パンツ型使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 外層体
70 レッグ弾性領域(レッグギャザー)
71 第1弾性部材(レッグ弾性部材)
71a ギャザー形成部
71b 延在部
71c 端部
72 第2弾性部材(レッグ弾性部材)
72a ギャザー形成部
72b 延在部
72c 端部
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
C1 股下域
Claims (3)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記レッグ開口部には、その周縁に沿ってレッグ弾性領域が形成されており、該レッグ弾性領域は、腹側部から股下部に亘って配された複数本の第1弾性部材と、背側部から股下部に亘って配された複数本の第2弾性部材とを備えて形成されており、
股下部における第1及び第2弾性部材は、前記レッグ開口部の周縁に沿って配されたギャザー形成部と該ギャザー形成部からおむつ幅方向中央に向かって延出する延在部とを有しており且つおむつ幅方向中央に達しない位置に端部を有しており、
第1及び第2弾性部材における前記ギャザー形成部と前記延在部との境界は、第1及び第2弾性部材それぞれの接線が、おむつを幅方向に2等分するおむつ中央線に対して45度の角度をなす位置であり、
前記延在部における、前記ギャザー形成部と該延在部との境界近傍における前記複数本の第1及び第2弾性部材の最小配設幅が、それぞれ、前記ギャザー形成部における該複数本の第1及び第2弾性部材の最大配設幅よりも狭くなっており、
第1弾性部材と第2弾性部材とが、股下部において互いに交差しており、
第1及び第2弾性部材それぞれのおむつ幅方向中央側の一部が、前記吸収体と重なっているパンツ型使い捨ておむつ。 - 第1及び第2弾性部材は、それぞれ前記吸収体と重なる部位において、弾性伸縮性を発現しないようになされている請求項1記載のパンツ型使い捨ておむつ。
- 左右一対の第1及び第2弾性部材は、股下部を幅方向に横断させて配した弾性部材をおむつの幅方向中央部において切断分割して設けられている請求項1又は2記載のパンツ型使い捨ておむつ。
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