JP4439135B2 - 静電チャック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PVD装置、CVD装置、イオンプレーティング装置、蒸着装置等の成膜装置やエッチング装置において、例えば半導体ウエハ等の被加工物を保持するのに用いる静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、PVD装置、CVD装置、イオンプレーティング装置、蒸着装置等の成膜装置やエッチング装置では、被加工物を精度良く固定するため、平坦かつ平滑に仕上げられた板状体の表面に強制的に吸着させることが行われており、この吸着手段として、静電吸着力を利用した静電チャックが用いられている。
【0003】
これら成膜装置やエッチング装置に用いられる従来の静電チャックは、板状セラミック体の内部やその一方の主面(一方の最も広い面)に静電吸着用電極を備えるとともに、上記板状セラミック体の他方の主面(他方の最も広い面)を吸着面としたもので、静電吸着用電極に電圧を印加して被加工物との間に誘電分極によるクーロン力や微少な漏れ電流によるジョンソン・ラーベック力等の静電吸着力を発現させることにより、被加工物を吸着面に強制的に吸着固定させることができるようになっており、この時、被加工物の保持精度は、吸着面の面精度に倣うことから、吸着面全体を平滑かつ平坦に仕上げたものが用いられていた。
【0004】
一方、これら成膜装置やエッチング装置では、その多くが真空中での処理のため、被加工物の温度を如何に均一に保つか、また各種処理時に発生する熱を如何に外部へ逃がすかが重要な要件となっている。また、被加工物の処理時間を短くするためには、成膜やエッチングに要する本来の時間以外の時間、即ち被加工物を吸着面に載せてから静電吸着力により吸着保持するまでの時間及び吸着面から被加工物を離脱させるまでの時間を短縮することも重要な要件となっている。
【0005】
しかしながら、従来の静電チャックの吸着面は、前述したように平滑かつ平坦に仕上げられているため、静電吸着用電極への通電を止めても直ちに被加工物を離脱させることができないといった課題があった。
【0006】
即ち、静電チャックによる吸着原理は、板状セラミック体の吸着面近傍と、被加工物の当接面近傍にそれぞれ極性の異なる電荷を帯電または誘電分極させることにより静電吸着力を発現させ、被加工物を吸着面に吸着させるのであるが、被加工物を離脱させるため、静電吸着用電極への通電を止めても板状セラミック体の吸着面近傍の電荷が直ちになくならず、残留吸着力として残るため、被加工物を吸着面より直ちに離脱させることができなかった。
【0007】
また、吸着面を平滑かつ平坦に仕上げたとしても、ミクロ的に見ると、静電チャックの吸着面と被加工物との間には、吸着面の表面粗さや加工傷等の凹凸、あるいは被加工物の反り等により実際に接触している面積が小さく、さらに真空中では大気中にくらべて熱伝導量が小さいこと、被加工物の中央部は周縁部に比較して熱引けが悪いこと等の理由によって、成膜時やエッチング時に被加工物に発生した熱を均一に逃がすことができず、被加工物の温度分布を一様にすることができないため、成膜時の膜厚みが不均一となったり、エッチング時の形状に悪影響を与えるといった課題があった。
【0008】
そこで、図6に示すように、吸着面23に様々なパターン形状を有する深さ数十〜数百μm程度のガス溝24を形成するとともに、上記ガス溝24に、Heガス等の熱伝導性ガスを供給するためのガス導入孔25を備えた静電チャック21が提案されている(特開平12−349140号公報、特開平9−283608号公報、開平7−86385号公報等参照)。
【0009】
このような静電チャック21によれば、吸着面23にガス溝24を設け、被加工物Wとの接触面積を少なくすることができるため、静電吸着用電極26への通電を止めた時、板状セラミック体22の吸着面近傍に存在する電荷が少なく残留吸着力を小さくできるため、被加工物Wの離脱性を高めることができるといった利点があった。
【0010】
しかしながら、このような静電チャック21では、吸着面23にガス溝24を設けたことにより、吸着面23と直接接触している部分の被加工物Wの温度と、ガス溝24と接している部分の被加工物Wの温度との間には温度差が発生し、この温度差を小さくするため、被加工物Wを静電吸着力により吸着面23に吸着させている際には、被加工物Wとガス溝24とで構成される空間にガス導入孔25よりHe等の熱伝導性ガスを供給することで、ガス溝24と被加工物Wとの間の熱伝達特性を高め、吸着面23と被加工物Wとの間の熱伝達効率に近づけることにより、被加工物Wの温度分布が一様となるように制御することが行われているが、このように被加工物Wとガス溝24とで構成される空間にHe等の熱伝導性ガスを供給したとしても、吸着面23の占める割合が多く、吸着面23とガス溝24とが交互に配置された構造となっていること、被加工物Wの中央部は周縁部に比較して熱引けが悪いこと等から十分に満足できるものではなく、被加工物Wのさらなる温度均一性が要求されていた。
【0011】
また、吸着面23に様々なパターン形状を有するガス溝24を形成したものでは、ガス溝24によって区画される領域の吸着面23の周縁にはシャープエッジが形成されており、被加工物Wがシリコンウエハのように比較的硬度の低いものである場合、その吸着時や離脱時の摺動によって傷付けられたり、エッジ部が欠けてパーティクルが発生するため、このパーティクルが被加工物Wに付着すると、成膜精度やエッチング精度に悪影響を与える恐れもあった。
【0012】
【発明の目的】
本発明の目的は、被加工物の温度分布が均一になるように吸着保持することができるとともに、被加工物の離脱性に優れ、かつ吸着時や離脱時におけるパーティクルの発生の少ない静電チャックを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、板状セラミック体の内部又は一方の主面に静電吸着用電極を設け、上記板状セラミック体の他方の主面には、その外周部を残して凹部を形成し、この凹部底面の周縁部にはガス溝を、凹部底面の中央部には滑らかな窪みをそれぞれ設け、上記ガス溝を除く凹部底面を第一吸着面とするとともに、上記外周部を第二吸着面として静電チャックを構成したものである。
【0014】
また、この静電チャックにおいて、窪み及びガス溝を除く凹部底面は、板状セラミック体の一方の主面と平行な平坦面とし、この平坦面から第二吸着面までの高さを0.5μm〜5μmとすることが好ましく、さらには上記板状セラミック体の他方の主面を上方から見た時、上記第一吸着面の面積に対する上記窪みの面積の比率を1%〜15%とし、かつ上記凹部底面の平坦面から上記窪みの底面までの深さを1μm〜10μmとすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は本発明に係る静電チャックの一例を示す斜視図、図2(a)は図1の静電チャックに被加工物を載せた時の状態を示す断面図、図2(b)は図1の静電チャックを用いて被加工物を吸着保持した時の状態を示す断面図である。
【0017】
図1,図2に示すように、本発明の静電チャック1は、シリコンウエハ等の被加工物Wと同程度の大きさを有する円盤状をした板状セラミック体2の一方の主面(一方の最も広い面)に静電吸着用電極3を備えるとともに、上記板状セラミック体2の他方の主面(他方の最も広い面)には、その外周部を残してその平面形状が円形をした凹部4を備え、この凹部底面5の周縁には円環状のガス溝7を備えるとともに、凹部底面5の中央には滑らかな窪み10を形成したもので、ガス溝7を除く凹部底面5を被加工物Wの第一吸着面11とするとともに、上記外周部(凹部4を除く板状セラミック体2の他方の主面)を被加工物Wの第二吸着面12としてある。
【0018】
ここで、本発明の静電チャック1において、凹部底面5は、窪み10及びガス溝7を除く凹部底面5を、板状セラミック体2の一方の主面と平行な平坦面17としてあり、この平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)は、比較的浅く、具体的には0.5〜5μmとしてある。
【0019】
上記静電吸着用電極3は、イオンプレーティング法、PVD法、CVD法、スパッタリング法、メッキ法等の膜形状手段により板状セラミック体2の一方の主面に形成してあり、その材質としてはTi,W,Mo,Ni等の金属やその炭化物等により形成することができる。
【0020】
また、板状セラミック体2には、ガス溝底面8に開口するガス導入孔9を間隔を開けて穿孔してあり、このガス導入孔9よりガス溝7を介してHe等の熱伝達性ガスを被加工物Wと凹部4とで形成される空間に供給するようになっている。
【0021】
なお、この静電チャック1は、板状セラミック体2の一方の主面側に、金属材料からなるベース板13をガラスや樹脂系接着剤等の接合剤層18にて接合してあり、ベース板13には、ガス導入孔9と連通するガス供給孔14を備えるとともに、静電吸着用電極3と連通する電極取出孔15を穿孔してあり、この電極取出孔15より静電吸着用電極3に接合された給電端子16を取り出すようになっている。
【0022】
ここで、板状セラミック体2の他方の主面に凹部4及び窪み10を形成する手段としては、ブラスト加工やエッチング加工によっても形成することができるが、好ましくはロータリー加工機を用いた研削加工にて製作することが好ましく、このロータリー加工機を用いれば、研磨代が残った粗加工の状態から仕上げ加工まで一貫して加工することができ、また、精度良く仕上げることができる。
【0023】
また、このロータリー加工機を用いて凹部底面5の中央に滑らかな窪み10を形成するには、往復運動する砥石の加工速度を凹部底面5の中央部で故意に遅くしたり、凹部底面5の中央部での砥石の抜けを大きくすることによって製作することができる。
【0024】
そして、この静電チャック1により被加工物Wを固定するには、図2(a)に示すように、被加工物Wの周縁部が板状セラミック体2の第二吸着面12と当接するように、被加工物Wを板状セラミック体2の他方の主面側に載せた状態で、給電端子16間に通電すると、静電吸着用電極3と被加工物Wとの間に静電吸着力が発現し、被加工物Wを板状セラミック体2の他方の主面に吸着固定することができるようになっている。
【0025】
この時、被吸着物Wは、図2(b)に示すように、被加工物Wの中央部は第一吸着面側に引っ張られて第一吸着面11の平坦部17と当接するのに対し、被加工物Wの周縁部は第一吸着面11より高い位置にある第二吸着面12と当接しているため、被加工物Wは結果的にその中央部が下凸となるように湾曲した状態で固定されることになるのであるが、本件発明者の研究によれば、成膜精度やエッチング精度等の各種処理精度を高めるためには、板状セラミック体2の他方の主面全体を平坦な吸着面とし、被加工物Wを吸着した時の平坦度を高めるよりも、被加工物Wの温度分布を一様にする方が重要であることを突き止め、各種処理精度に大きな影響を与えない凹部4の高さ(h)について研究したところ、上述したように、0.5〜5μmとすれば良いことを見出した。
【0026】
即ち、凹部4の高さ(h)が5μmを超えると、吸着時における被加工物Wの平面度が悪くなりすぎるため、成膜時には膜厚みが不均一となり、エッチング時には形状悪化を引き起こすなど各種処理精度に悪影響を与えるとともに、被加工物Wを吸着保持するのに十分な静電吸着力が得られなくなるからであり、逆に凹部4の高さ(h)が0.5μm未満となると、後述するように被加工物Wと凹部4とで構成される空間に熱伝導性ガスを供給した時、被加工物Wと第二吸着面12との隙間からの漏れ量が多くなり過ぎ、成膜時やエッチング時における環境(真空度等)に影響を与え、結果として各種処理精度に悪影響を与える恐れがあるからである。
【0027】
なお、ここで言う凹部の高さ(h)とは、凹部底面5をなす平坦面17から第二吸着面12までの高さのことを言う。
【0028】
次に、ガス導入孔9よりガス溝7と被加工物Wとで形成される空間にHe等の熱伝導性ガスを数1000パスカル(Pa)の圧力で供給することにより、被加工物Wと凹部底面5との間の熱伝達特性を高めるのであるが、第一吸着面11の全面が平坦であると、被加工物Wの中央部は周縁部と比較して熱引けが悪いため、中央部の温度分布が周縁部より高くなり、被加工物W全体の温度分布を均一にすることができないのであるが、本発明の静電チャック1では、凹部底面5の中央部に滑らかな窪み10を設け、凹部底面5の周縁に設けたガス溝7から熱伝導性ガスが凹部4の中央部に流れ易くなるようにし、中央部における熱伝達特性を高めるようにしてあることから、被加工物全体の温度分布を極めて均一にすることができ、この後、成膜やエッチング等の各種処理を施した時に、被加工物Wに熱が発生したとしてもその温度均一性が阻害されることがない。
【0029】
さらに、本発明の静電チャック1によれば、板状セラミック体2の他方の主面には、その外周部を残して凹部4を設け、被加工物Wの周縁部を第二吸着面12に吸着させ、かつ被加工物Wの中央部を第一吸着面11に吸着させるようにしてあることから、被加工物Wとの接触面積を少なくでき、その結果、静電吸着用電極3への通電を止めれば、直ちに被加工物Wを離脱させることができ、被加工物Wの離脱時間を大幅に低減することができる。
【0030】
ところで、このような効果を奏するためには、第ニ吸着面12の幅(t)を1mm〜10mmとすることが好ましい。なぜなら、第ニ吸着面12の幅(t)が1mm未満となると、この部分での静電吸着力が小さく、第ニ吸着面12に被加工物Wの周縁部を当接しておくことができず、凹部4に供給した熱伝導性ガスが外部に漏れ易くなるからであり、逆に、第ニ吸着面12の幅(t)が10mmを超えると、吸着時に被加工物Wの中央部が下凸に滑らかに湾曲できず、第一吸着面11と固定接触できなくなるため、熱伝導性ガスを導入した際に被加工物Wの第一吸着面11に対応した部分で熱伝導が変化し、被加工物Wの面内の温度分布差が大きくなるといった不都合があるからである。なお、第ニ吸着面12の幅(t)はその外周にわたって必ずしも一様である必要性はなく、部分的に狭い箇所や広い箇所があっても良いが、このような場合、第ニ吸着面12の狭い箇所の幅(t)は1mm以上、第ニ吸着面12の広い箇所の幅(t)は10mm以下となるようにすることが好ましく、さらには1〜5mmとすることが良い。
【0031】
また、熱伝導性ガスの漏れを抑制するには、第二吸着面12の表面粗さを滑らかに仕上げ、被加工物Wが吸着保持された時に隙間ができるだけ少なくなるようにする必要があり、具体的には算術平均粗さ(Ra)で0.6μm以下とすることが良い。
【0032】
さらに、本発明の静電チャック1では、第二吸着面12と凹部側面6との交差部にシャープエッジが形成されることになるが、凹部4の高さ(h)が0.5〜5μmと浅く、静電吸着力により被加工物Wを吸着保持したとしても第二吸着面12と凹部側面6とで構成されるシャープエッジには大きな押圧力が作用し難いため、欠け等が発生し難いものの、好ましくはR面等の面取りを施しておくことが良い。
【0033】
一方、板状セラミック体2の他方の主面を上方から見た時、第一吸着面11の面積に対する窪み10の面積の比率は1%〜15%とするとともに、第一吸着面11の平坦面17から窪み10の底面までの深さ(s)は1μm〜10μmとすることが好ましい。
【0034】
即ち、第一吸着面11の面積に対する窪み10の面積の比率が1%未満であったり、第一吸着面11の平坦面17から窪み10の底面までの深さ(s)が1μm未満であると、第一吸着面11全体に対して窪み10が占める割合が小さすぎたり、窪み10が浅すぎるため、凹部4の中央に熱伝導性ガスを導いて熱伝達特性を高める効果が小さく、被加工物Wの温度ばらつきを抑えるという効果が十分に発揮できないからであり、また、第一吸着面11の平坦面17から窪み10の底面までの深さ(s)が10μmを超えると、凹部4の中央へ流れる熱伝導性ガスの流量が多くなりすぎて被加工物Wの中央部における温度が周縁部よりも低くなり、被加工物Wの温度ばらつきを抑えることができなくなるからであり、さらに、第一吸着面11の面積に対する窪み10の面積の比率が15%を超えると、静電吸着力により被加工物Wが窪み10の表面に倣って吸着され、被加工物Wの平面度が悪くなりすぎ、成膜時には膜厚みが不均一となり、エッチング時には形状悪化を引き起こすなど各種処理精度に悪影響を与えるからである。
【0035】
なお、本発明において、滑らかな窪み10とは、鋭利な角部を持たず、平滑な表面にて形成された窪み10のことである。
【0036】
さらに、第一吸着面11は被加工物Wと接することから、できるだけ平滑に仕上げることが好ましく、具体的には第一吸着面11の表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で1.2μm以下とすることが好ましい。
【0037】
ところで、板状セラミック体2を形成する材質としては、アルミナ質焼結体、窒化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、イットリウム−アルミニウム−ガーネット質焼結体(以下、YAG質焼結体という)、単結晶アルミナ(サファイア)を用いることができ、これらの中でも窒化アルミニウム質焼結体は熱伝達率が50W/m・k以上、高いものでは熱伝達率100W/m・k以上を有し、熱伝導性に優れることから、被加工物Wの均熱性を高める点で好ましく、また、単結晶アルミナ(サファイア)を用いれば、セラミック焼結体と違いボイドや脱粒がないため、パーティクルの発生を極力嫌う場合に好適である。
【0038】
また、この板状セラミック体2の一方の主面から他方の主面までの厚み(H)は0.5mm〜2mmとすることが好ましい。なぜなら、板状セラミック体2の厚み(H)は、静電吸着力に影響を与えるからで、2mmを超えると、実用的な静電吸着力が得られないからであり、逆に板状セラミック体2の厚み(H)が0.5mm未満となると、板状セラミック体2の他方の主面に凹部4及び窪み10やガス溝7を形成した時、板状セラミック体2の一方の主面から窪み10の底面やガス溝底面8までの距離が0.3mm未満となり、静電吸着用電極3に電圧をかけた際に絶縁破壊を起こす恐れがあるからである。
【0039】
以上、本実施例では板状セラミック体2の一方の主面に静電吸着用電極3を備えた静電チャック1を例にとって説明したが、図3(a)(b)に示すように、板状セラミック体2の内部に静電吸着用電極3を埋設し、板状セラミック体2の他方の主面に、その外周部を残して高さ(h)が0.5〜5μmの凹部4を設け、この凹部底面5の周縁部にガス溝7を形成するとともに、凹部底面5の中央には滑らかな窪み10を設け、ガス溝7を除く凹部底面5を被加工物Wとの第一吸着面11とするとともに、凹部4の外周部を第二吸着面12とした静電チャック1にも適用できることは言う迄もない。
【0040】
また、本発明は前述した実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、改良や変更したものでも良いことは言う迄もない。
【0041】
【実施例】
ここで、図1に示す本発明の静電チャック1と図4に示す従来の静電チャック21を用意し、各静電チャック1,21を用いてシリコンウエハを固定し、各ガス導入孔14,25からHeガスを供給した時のシリコンウエハの温度分布を調べる実験を行った。
【0042】
実験にあたり、本発明の静電チャック1は、窒化アルミニウム質焼結体からなる板厚が1mmの板状セラミック体2の一方の主面に、スパッタリング法によりタングステンからなる金属膜を所定のパターン形状に被着して静電吸着用電極3を形成するとともに、板状セラミック体2の他方の主面には、その外周部を残してロータリー加工機にて凹部4を形成し、この時、凹部底面5の中央部には窪み10が形成されるようにした。次に、凹部底面5の周縁部にマシニング加工によって環状のガス溝7を形成した後、各ガス溝底面8に連通するガス導入孔14を穿孔した後、板状セラミック体2の一方の主面に、静電吸着用電極3を覆うように、シリコン系接着剤を介してアルミニウムからなるベース板13を接合し、上記静電吸着用電極3に給電端子16を接合することにより製作した。
【0043】
なお、板状セラミック体2の外径は200mm、第一吸着面11の外径を190mm、窪み10の面積を5000mm2、凹部底面5の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)を3μm、凹部底面5の平坦面17から窪み10の底面までの深さ(s)を5μmとした。
【0044】
一方、従来の静電チャック21は、窒化アルミニウム質焼結体からなる板厚が3mmの板状セラミック体22の一方の主面に、スパッタリング法によりタングステンからなる金属膜を所定のパターン形状に被着して静電吸着用電極26を形成するとともに、板状セラミック体22の他方の主面には、ブラスト加工によって中心から放射状に延びる深さが50μmのガス溝24を3本形成し、ガス溝底面にガス導入孔25を穿孔した後、板状セラミック体22の一方の主面に、静電吸着用電極26を覆うように、シリコン系接着剤を介してアルミニウムからなるベース板を接合し、上記静電吸着用電極26に給電端子を接合することにより製作した。
【0045】
なお、板状セラミック体22の外径は200mm、吸着面23の面積の総和を23020mm2、ガス溝24の面積を570mm2とした。
【0046】
そして、各静電チャック1,21上に、8インチのシリコンウエハを載せ、各静電吸着用電極3,26に通電して静電吸着力を発現させた状態で、ガス導入孔14,25よりHeガスを2666パスカル(Pa)の圧力で供給したときのシリコンウエハの温度分布と平面度を測定した。なお、このときの設定温度を100℃とした。
【0047】
この結果、本発明の静電チャック1は、従来の静電チャック21と比較してシリコンウエハを吸着固定した時の平面度は若干劣るものの、シリコンウエハの温度バラツキが3℃と優れていた。
【0048】
そこで、図1に示す静電チャック1に関し、第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)を異ならせた時のHeガスの漏れ量とシリコンウエハの平面度を測定する実験を行った。
【0049】
第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)とシリコンウエハの平面度との関係は図4に、第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)とHeガスのリーク量については図5にそれぞれ示す通りである。
【0050】
この結果、第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)が5μmを超えると、吸着保持したシリコンウエハの平面度が成膜精度やエッチング精度に影響を与える5μmを超えてしまい、また、第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)が0.5μm未満となると、Heガスの漏れ量が増大する傾向にあった。
【0051】
この結果、第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)は0.5〜5μmとすることが良く、さらに好ましくは3〜5μmとすれば良いことが判る。
【0052】
次に、第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)を3μmとし、窪み10の面積と窪み10の深さを変更することにより、第一吸着面11の面積に対する窪み10の面積が占める割合、及び第一吸着面11の平坦面17から窪み10の底面までの深さ(s)をそれぞれ異ならせた時のシリコンウエハの温度分布と平面度を測定する実験を行った。
【0053】
結果は表1に示す通りである。
【0054】
【表1】
Figure 0004439135
【0055】
この結果、表1より判るように、第一吸着面11の面積に対する窪み10の面積が占める割合を1%〜15%とすることで、シリコンウエハの平面度を5μm以下に抑えることができ、第一吸着面11の平坦面17から窪み10の底面までの深さ(s)を1μm〜10μmとすれば、シリコンウエハの温度バラツキを5℃以内とすることができ、シリコンウエハの温度分布を均一にできることが判る。
【0056】
さらに、第一吸着面11の平坦面17から第二吸着面12までの高さ(h)を3μm、第一吸着面11の平坦面17から窪み10の底面までの深さ(s)を5μmとし、窪み10の面積を変更することにより、第一吸着面11の面積に対する窪み10の面積が占める割合を異ならせた時のシリコンウエハの離脱性について調べる実験を行った。
【0057】
結果は表2に示す通りである。
【0058】
【表2】
Figure 0004439135
【0059】
この結果、第一吸着面11の中央部に窪み10を設けることにより、シリコンウエハの離脱時間を10sec以下と、大幅に短縮できることが判る。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、板状セラミック体の内部又は一方の主面に静電吸着用電極を設け、上記板状セラミック体の他方の主面には、その外周部を残して凹部を形成し、この凹部底面の周縁にはガス溝を、凹部底面の中央部には滑らかな窪みをそれぞれ設け、上記ガス溝を除く凹部底面を第一吸着面とするとともに、上記外周部を第二吸着面として静電チャックを構成したことによって、被加工物の温度分布が均一になるように吸着保持することができるため、本発明の静電チャックを用いて成膜処理を施せば、均一な膜厚みを持った膜を被着することができ、また、エッチング処理を施せば、所定形状の加工を行うことができる。
【0061】
また、本発明の静電チャックは、吸着時や離脱時に被加工物を引っ掻くシャープエッジが少ないため、被加工物を傷付けることがなく、パーティクルの発生を従来の静電チャックと比較してさらに低減することができるとともに、被加工物の離脱性にも優れることから、成膜やエッチングのトータル時間を短縮し、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電チャックの一例を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1の静電チャックに被加工物を載せた時の状態を示す断面図、(b)は図1の静電チャックを用いて被加工物を吸着保持した時の状態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る静電チャックの他の例を示す断面図である。
【図4】第一吸着面の平坦面から第二吸着面までの高さ(h)とシリコンウエハの平面度との関係を示すグラフである。
【図5】第一吸着面の平坦面から第二吸着面までの高さ(h)とHeガスのリーク量との関係を示すグラフである。
【図6】従来の静電チャックを示す断面図である。
【符号の説明】
1:静電チャック
2:板状セラミック体
3:静電吸着用電極
4:凹部
5:凹部底面
6:凹部側面
7:ガス溝
8:ガス溝底面
9:ガス導入孔
10:窪み
11:第一吸着面
12:第二吸着面
13:ベース板
14:ガス供給孔
15:電極取出孔
16:給電端子
17:平坦面
18:接合剤層
W:被加工物

Claims (3)

  1. 板状セラミック体の内部又は一方の主面に静電吸着用電極を備え、上記板状セラミック体の他方の主面には、その外周部を残して凹部を有し、該凹部底面の周縁部にはガス溝を備え、かつ上記凹部底面の中央部には窪みを具備してなり、上記ガス溝を除く凹部底面を第一吸着面とするとともに、上記外周部を第二吸着面としたことを特徴とする静電チャック。
  2. 上記窪み及びガス溝を除く凹部底面は、板状セラミック体の一方の主面と平行な平坦面であって、該平坦面から第二吸着面までの高さが0.5μm〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
  3. 上記板状セラミック体の他方の主面を上方から見た時、上記第一吸着面の面積に対する上記窪みの面積の比率が1%〜15%で、かつ上記第一吸着面の平坦面から上記窪みの底面までの深さが1μm〜10μmであることを特徴とする請求項2に記載の静電チャック。
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