JP4438479B2 - エンド−1,4−βグルカナーゼ - Google Patents

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Description

本発明は工業用酵素として有用なエンド−1,4−βグルカナーゼ、それらをコードする遺伝子に関する。
エンド−1,4−βグルカナーゼは、グルコースがβ−1,4結合した多糖類を加水分解する酵素の総称であり、植物由来のセルロース、リケナンなどを分解できる。セルロースは植物細胞壁の主成分であり、衣料、紙、建築材料などに有効利用されるバイオマスの代表的存在である。また、リケナンは、地衣類の葉状体に存在するグルコースがβ−1,3、β−1,4結合した多糖類で地衣澱粉とも呼ばれる貯蔵多糖である。セルロースやリケナンの分解によって生ずるオリゴ糖からグルコースを経て燃料物質やより高付加価値の代謝物質へと変換が可能である。また、植物細胞をプロトプラスト化する際には必須の酵素である。従って、エンド−1,4−βグルカナーゼは、世界各国で以前から精力的に研究されている酵素の一つである(例えば、特許文献1及び2参照)。
更に近年、遺伝子工学の発展に伴い産業用酵素の生産も遺伝子組換えにより大量生産されるようになってきている。エンド−1,4−βグルカナーゼについても例外ではなく既に数多くの遺伝子についてクローニング、塩基配列の決定がなされ、実生産に用いられている例もある(例えば、特許文献3及び4参照)。
従って、本発明の目的は産業用酵素として有用なエンド−1,4−βグルカナーゼを見出し、それをコードする遺伝子の取得並びにその遺伝子を用いた大量かつ単一のエンド−1,4−βグルカナーゼを製造する方法を確立することにある。
村尾沢夫ら、セルラーゼ、講談社サイエンティフィック、1987 Tommeら、Advances in Microbial Physiology、37巻、pp 1-75、1995 国際公開第91/17243号パンフレット 特開平10−313859号公報

本発明者は、自然界からエンド−1,4−βグルカナーゼ生産菌のスクリーニングを行ったところ、上記目的に適う酵素を生産する微生物を見出し、更に当該微生物からエンド−1,4−βグルカナーゼをコードする遺伝子をクローン化することにより本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質:
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)(a)のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つエンド−1,4−βグルカナーゼ活性を有するタンパク質、当該タンパク質をコードする遺伝子、当該遺伝子を含有する組換えベクター、該組換えベクターを有する形質転換体を提供するものである。
本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼを用いればセルロースやリケナンのような多糖を分解し、燃料物質やより高付加価値の代謝物質へと変換するシステムの構築が可能となる。また、本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子を用いれば有用な酵素を単一且つ大量に生産することが可能である。
本発明のタンパク質(以下、「エンド−1,4−βグルカナーゼ」ともいう)は、(a)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、又は(b)(a)のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つエンド−1,4−βグルカナーゼ活性を有するタンパク質であり、本発明の遺伝子は、当該タンパク質をコードするDNAである。
ここで、配列番号1に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列とは、配列番号1のアミノ酸配列と等価のアミノ酸配列を意味し、1若しくは数個、好ましくは1〜10個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、依然としてエンド−1,4−βグルカナーゼ活性を保持する配列をいい、付加には、両末端への1〜数個のアミノ酸の付加が含まれる。
なお、当該等価のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、自然界から取得すること以外にも部位特異的突然変異誘発法等の公知の手法を利用して調製することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット[Mutan-super Express Km キット(タカラ)]等を用いて変異を導入し調製することができる。
本発明の配列番号1に示すエンド−1,4−βグルカナーゼ(以下、Egl−546Hと表記する)のアミノ酸配列と従来公知のエンドグルカナーゼのアミノ酸配列とその同一性を比較するとBacillus lautasPL236株の生産するエンドグルカナーゼB(Jorgensen & Hansen, Gene, 93,55-60,1990)との同一性が最も高く、64.4%であった。次いでBacillus sp. CBS669.39株由来のエンドグルカナーゼ(欧州特許1275712A2号公報)との同一性は59%、Bacillus haloduransが生産するエンド−1,4−βグルカナーゼ(Takamiら、Nucleic Acids Res.,28,4317-433,2000)との同一性は57.7%であり、いずれも本発明の遺伝子からコードされるエンドグルカナーゼと中程度の同一性を示した。このことは、Egl−546Hが新規なエンド−1,4−βグルカナーゼであることを示唆するものであり、従って配列番号1に示したアミノ酸配列と最大65%以上の同一性を有するエンド−1,4−βグルカナーゼは本発明に含まれる。
即ち、本発明においては、配列番号1に示すアミノ酸配列において相当する配列を適切にアライメントした時、65%以上の同一性を有するエンド−1,4−βグルカナーゼを包含するものである。本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列における同一性が、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、最も好ましくは95%以上であることが望ましい。
尚、ここで述べるアミノ酸配列の同一性は、Lipman-Pearson法 (Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を1として解析を行うことにより算出される。
本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子は、上記のとおり、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該アミノ酸配列と等価のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものであればよいが、配列番号2に示す塩基配列又は該塩基配列の1若しくは数個以上の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子又は該塩基配列からなるDNAにストリンジエントな条件下でハイブリダイズするアルカリプロテアーゼをコードするDNAを含有する遺伝子であるものが好ましい。
ここで「ストリンジエントな条件下」とは、例えばMolecular cloning - a Laboratory manual 2nd edition (Sambrookら、1989)に記載の条件等が挙げられる。例えば、6XSSC(1XSSCの組成:0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5% SDS、5Xデンハート及び100mg/mLニシン***DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼは、その遺伝子を例えばバチルス属に属する微生物、好ましくはBacillus sp. KSM-N546株(FERM P−19729)等から、ショットガン法、PCR法を用いクローニングし、適当なベクターと宿主菌を用いて大量に生産することができる。
本発明遺伝子を用いてエンド−1,4−βグルカナーゼを生産するには、目的とする宿主内で遺伝子を発現するのに適した任意のベクターに、上記エンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子を組込み、該組換えベクターを用いて宿主を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、当該培養液からエンド−1,4−βグルカナーゼを採取すればよい。
培養は微生物の資化可能な炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従って行えばよい。
かくして得られた培養物中からのエンド−1,4−βグルカナーゼの採取及び精製は、一般の方法に準じて行うことができる。即ち、培養物から遠心分離又は濾過することで菌体を除き、得られた培養上清液から常法手段により目的酵素を濃縮することができる。このようにして得られた酵素液又は乾燥粉末はそのまま用いることもできるが更に公知の方法により結晶化や造粒化することができる。
本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼの特徴としては、次のような性質が好ましい。即ち、分子量約60kDa(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)、最適反応pHを5付近(酢酸緩衝液)、最適温度を55℃付近に有することが望ましい。
本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子は、例えば下記の菌学的性質を有するバチルス エスピー KSM−N546株等からクローン化することができる。
(バチルス エスピー KSM−N546株の菌学的性質)
A:形態学的性質
(a)細胞の形及び大きさ:桿菌(0.3〜0.6×1.5〜4.3μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子の形、大きさ、位置、膨潤の有無:楕円形、0.4〜0.6×0.8〜1.4μm、中央準端、膨潤無し
(e)グラム染色:陽性
B:生理学的性質
(a)硝酸塩の還元:陽性
(c)VPテスト:陰性
(d)インドールの生成:陰性
(e)硫化水素の生成:陰性
(f)デンプンの加水分解:陽性
(g)カゼインの加水分解:陰性
(h)ゼラチンの液化:陽性
(i)クエン酸の利用:陽性
(j)プロピオン酸の利用:陰性
(k)チロシン分解:陰性
(l)フェニルアラニン分解:陰性
(m)レシチナーゼ反応:陰性
(n)カタラーゼ:陽性
(o)オキシダーゼ:陽性
(p)生育の温度範囲:15〜50℃
(q)生育における酸素の影響:嫌気条件下で生育する。
(r)pH5.7における生育:生育せず
(s)pH6.8における生育:生育する
(t)pH9.0における生育:生育する
(u)グルコースからのガス産生:陰性
(v)塩化ナトリウム耐性:2%塩化ナトリウム存在下で生育する。
(w)糖の資化:グルコース、アラビノース、キシロース、マンニトールを利用し、酸を生成する。
以上、KSM−N546株は耐アルカリ性細菌であり、且つグラム陽性、カタラーゼ陽性の有胞子桿菌であることからバチルス属細菌であると判断された。そこで本菌株の形態学、生理学的性質についてBergey's manual of Systematic Bacteriology (第9版)に準じ比較検討した結果、本菌株はバチルス コアギュランスに近縁な菌種であると考えられた。しかし、その性質は既知のバチルス コアギュランスとは完全には一致せず、他のバチルス属菌の諸性質とも一致しないため、新規なバチルス属細菌として本菌株を独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターへバチルス エスピー KSM−N546株(FERM P−19729)として寄託した。
上記のKSM−N546株からのエンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子のクローニング方法としては、既知の手段、例えばショットガン法、PCR法を用いて行うことができる。
また、本発明のエンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子を含む組換えベクターを作製するには、宿主菌体内で複製維持が可能であり、該酵素を安定に発現させることができ、該遺伝子を安定に保持できるベクターにエンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子を組込めばよい。かかるベクターとしては大腸菌を宿主とする場合、pUC18、pBR322、pHY300PLK等が挙げられ、枯草菌を宿主にする場合、pUB110、pHSP64(Sumitomoら、Biosci. Biotechnol. Biocem., 59, 2172-2175, 1995)あるいはpHY300PLK等が挙げられる。
かくして得られた組換えベクターを用いて宿主菌を形質転換するにはプロトプラスト法、コンピテントセル法、エレクトロポレーション法等を用いて行うことができる。宿主菌としては特に制限されないがBacillus属(枯草菌)等のグラム陽性菌、Escherichia coli(大腸菌)等のグラム陰性菌、Streptomyces属(放線菌)、Saccharomyces属(酵母)、Aspergillus属(カビ)等の真菌が挙げられる。
得られた形質転換体は、資化しうる炭素源、窒素源、金属塩、ビタミン等を含む培地を用いて適当な条件下で培養すればよい。かくして得られた培養液から、一般的な方法によって酵素の採取、精製を行い、凍結乾燥、噴霧乾燥、結晶化により必要な酵素形態を得ることができる。
実施例1 エンド−1,4−βグルカナーゼ生産菌のスクリーニング
少量の日本各地の土壌サンプルを10mLの滅菌水に懸濁し、80℃、15分間熱処理した。室温で冷却した後、0.1mLの上清を以下の組成を有する寒天平板培地に塗布した[3.0%(w/v)トリプティケースソイブロス(BBL)、2.0% リン酸膨潤セルロース(セルロースパウダーKCフロック W−100Gより調製,日本製紙)(別滅菌)、1.5% 寒天、0.005% トリパンブルー(メルク社:別滅菌)、0.01%炭酸ナトリウム(別滅菌)]。30℃で7〜10日間培養し、コロニーの周りにハローを形成したものをアルカリセルラーゼ生産菌株として選択した。
実施例2 バチルス エスピー KSM−N546株のゲノムDNAの調製
バチルス エスピー KSM−N546株の培養は、2.0%(w/v)ポリペプトンS(大日本製薬)、0.1%カルボキシセルロース(A10MC)、0.1%酵母エキス(ディフコ)、1.0% 魚肉エキス(和光純薬)、0.15%リン酸1カリウム、0.035%硫酸マグネシウム7水塩、0.3%炭酸ナトリウム(別滅菌)から成る培地を用い、30℃、40時間振盪(125rpm)して行った。得られた培養液約300mLから遠心分離(12000xg、15分、5℃)により菌体を回収した。この菌体から斉藤・三浦の方法(Biochim. Biophys. Acta, 72, 619-629, 1963)によりゲノムDNAを調製した。
実施例3 Egl−546H遺伝子断片のクローニング
N546株のゲノムDNA(2μg)を制限酵素HindIIIで37℃、一夜完全分解させた後、エタノール沈殿を行い、得られた沈殿を2.5μLの脱イオン水に溶解した。また、予めHindIIIで処理し、脱リン酸化したpUC18(タカラバイオ)50ngをエタノール沈殿し、沈殿を2.5μLの脱イオン水に溶解した。各溶液を混合し(5μL)、Ligation キット Ver.2(タカラバイオ)の溶液I 5μLを加え16℃、30分間恒温してDNA連結反応を行った。反応液を用いて E. coli HB101株を形質転換し、100μg/mLアンピシリン、0.5%(w/v)カルボキシルメチルセルロース(関東化学)、0.005%トリパンブルー(メルク)を含むLB寒天培地に塗沫した。セルラーゼ生産に伴いハローを形成した形質転換体よりHight Pure Plasmid Purification キット(ベーリンガーマンハイム)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを鋳型に、pUC18のマルチクローニングサイト近傍に相補的なM13 Primer M2及びRV(タカラバイオ)を用い塩基配列を377DNAシークエンサー(P-E アプライド・バイオシステムズ)にて決定した。塩基配列を解析した結果、シグナル配列の途中から上流が欠損していることが判明した為、ゲノムDNAを制限酵素BamH Iで処理し、インバースPCRを行った。即ち、N546株のゲノムDNA(500ng)を制限酵素BamH Iにて完全分解した後、エタノールを添加し、得られた沈殿を脱イオン水10μLに溶解した。この溶液にLigation キット Ver.1(タカラバイオ)の溶液Aを40μL、溶液Bを10μL加えて自己閉環を行った後、エタノールを添加し、得られた沈殿を5μLの脱イオン水に溶解したものを鋳型としてPCRを行った。プライマーは、すでに決定した塩基配列を用いて構築した上流プライマー1(配列番号3)と下流プライマー2(配列番号4)を用いた。PCRは自己閉環溶液0.5μL、各プライマーを2pmol用いLA Taqポリメラーゼ(タカラバイオ)の説明書に従いを行った。反応条件は、94℃ 2分間の熱変性後、94℃ 20秒、60℃ 30秒、72℃ 4分を1サイクルとし16サイクル行った。次いで伸張反応時間を徐々に延長する目的で、94℃ 20秒、60℃ 30秒、72℃ 4分のサイクルにおいて伸張反応(72℃ 4分)を1サイクル毎に20秒間ずつ増加するようにプログラムし、12サイクル反応させた後、72℃10分間放置した。得られたPCR産物を用い1.5%(w/v)アガロースゲル電気泳動を行ったところ、約1.6kbの位置にバンドを確認した。PCR産物をHigh Pure PCR Product Purification キット(ベーリンガー・マンハイム)を用いて精製し、一部を用いてダイレクトシークエンスを行った。
実施例5 形質転換枯草菌によるEgl−546Hの生産
取得したEgl−546Hの成熟領域をコードする遺伝子をBacillus sp. KSM-S237株由来アルカリセルラーゼ(Egl−S237)遺伝子(特願平11−013049)の上流発現領域と下流発現領域の間に導入した。即ち、予めSma Iで処理したpHY300PLK(タカラバイオ)にEgl−S237遺伝子の上流発現領域からターミネーターを含む領域を連結したプラスミドpHYS237から以下のようにEgl-S237の構造遺伝子を除き、そこへEgl-546Hの構造遺伝子を挿入することでプラスミドを作製した。
まず、pHYS237(約100ng)を鋳型とし上流プライマー3(配列番号5)、下流プライマー4(配列番号6)各20pmoL及びPyrobestポリメラーゼ(タカラバイオ)を用い、PCR(反応条件:94℃ 20秒、55℃ 30秒、72℃ 3分を1サイクルとして30サイクル)を行った。得られたPCR産物をHight Pure PCR Purification キット(ベーリンガーマンハイム)にて精製し、BKL キット(タカラバイオ)を用いて末端の平滑化並びに5’末端のリン酸化を行った。その後、制限酵素XbaIにて処理し、Hight Pure PCR Purification キットで精製を行った。
次に、Egl−546H遺伝子断片の取得は、プライマー5(配列番号7)及びプライマー6(配列番号8)を用いPCR(反応条件:94℃ 20秒、60℃ 30秒、72℃ 2分を1サイクルとして30サイクル)を行った。得られたPCR産物をBKL キットにて末端の平滑化及び5‘末端のリン酸化を行った。その後、制限酵素XbaIにて処理し、精製を行った。これら増幅した遺伝子断片をBKLキットに付属のLigation Solutionを用いて連結を行った。このライゲーション溶液を精製、乾燥後3μLの滅菌脱イオン水に溶かし、全量を用いてプロトプラスト法により枯草菌ISW1214株の形質転換を行い、DM3再生培地[0.8%(w/v)寒天(和光純薬)、0.3Mコハク酸二ナトリウム6水和物、0.5%カザミノ酸テクニカル(ディフコ)、0.5%酵母エキス、0.35%リン酸1カリウム、0.15%リン酸2カリウム、0.5%グルコース、0.4%塩化マグネシウム6水和物。0.01%牛血清アルブミン(シグマ)、0.5%CMC(関東化学)0.005%トリパンブルー(メルク)]上でハローを示すコロニーを目的のPCR産物を含む形質転換体として選択した。得られた形質転換体を、3.0%(w/v) ポリペプトンS、3.0% マルトース、0.5% 魚肉エキス、0.1%リン酸1カリウム、0.02%硫酸マグネシウム7水塩及びテトラサイクリン(7.5μg/mL)からなる培地にて30℃、72時間振盪培養した。遠心分離により得られた培養上清中のセルラーゼ活性は1.2U/mLであり、SDS電気泳動を行って検出された主要なタンパク質バンドの分子量は、約60kDaであり、アミノ酸配列から推定される分子量(61.3kDa)とほぼ一致した。
実施例6 Egl−546Hの精製
実施例5により得られた培養液150mLを脱イオン水で4倍に希釈した後、予め50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)により平衡化しておいたSuperQトヨパールカラム(2.5×8.5cm)に添着させた。同緩衝液にて洗浄した後、0.2M 塩化カリウム濃度まで直線濃度勾配法により吸着タンパク質を溶出させた。更に0.5M塩化カリウムにて吸着タンパク質を溶出させた。Egl活性はこの画分に溶出され、限外濾過膜により濃縮、脱塩を行った。得られた酵素液を予め10mMリン酸緩衝液(pH6)にて平衡化しておいたDEAE−トヨパール650M(2.5×4.5cm)へ添着させた。洗浄溶出後、0.3M 塩化カリウム濃度まで直線濃度勾配法により吸着タンパク質を溶出させた。Egl活性は0.2M塩化カリウム濃度付近に溶出されこの画分を集めて限外濾過膜にて濃縮し、諸性質を調べるために用いた。
[酵素活性測定法]
0.1mLの0.5M酢酸緩衝液(pH5.0)、0.4mLの2.5%(w/v)カルボキシメチルセルロース(A01MC;日本製紙)、0.4mLの脱イオン水から成る反応液に0.1mLの適当に希釈した酵素液を加え40℃で20分間反応させた後、1mLのジニトロサリチル酸試薬(0.5%ジニトロサリチル酸、30%ロッシェル塩、1.6%水酸化ナトリウム水溶液)を添加し、沸水中で5分間恒温した。氷水中で急冷し、4mLの脱イオン水を加え535nmにおける吸光度を測定し還元糖の生成量を求めた。尚、ブランクは酵素液を加えずに処理した反応液にジニトロサリチル酸試薬を加えた後、酵素液を添加し、同様に発色させたものを用意した。酵素1単位(1U)は、上記反応条件下において1分間に1μmolのグルコース相当の還元糖を生成する量とした。
参考例1 Egl−546Hの最適反応pH及び温度
クエン緩衝液(pH4〜7)、リン緩衝液(pH6〜8)、トリス−塩酸緩衝液(pH7〜9)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8〜11)、リン酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH12〜12.5)の各緩衝液(50mM)を用いて最適反応pHを調べた結果、N546HセルラーゼはpH5.3のクエン緩衝液中で最も高い反応速度を示した。また、酢酸緩衝液(pH5.0)中、CMC分解に対する最適反応温度は40℃付近に認められた。
参考例2 Egl−546Hの基質特異性
Egl−546Hの酢酸緩衝液(pH5.0)中におけるCMCに対する分解速度を100%とした場合、リケナン、グルコマンナン並びにペクチンに対し、それぞれ251%、177%、38%の相対速度を示した。一方、ラミナリン、カードランには全く作用しなかった。

Claims (6)

  1. 以下の(a)又は(b)のタンパク質:
    (a)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)(a)のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つエンド−1,4−βグルカナーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 請求項1記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  3. 以下の(a)又は(b)のDNAからなるエンド−1,4−βグルカナーゼ遺伝子:
    (a)配列番号2に示す塩基配列で示されるDNA、
    (b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジエントな条件下でハイブリダイズし、且つエンド−1,4−βグルカナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  4. 請求項2又は3記載のいずれかの遺伝子を含有する組換えベクター。
  5. 請求項4記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  6. 宿主が微生物である請求項5記載の形質転換体。
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