JP4434375B2 - 測距装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測距装置、詳しくは、カメラ等に利用可能な測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の測距ポイントについて測距を行うオートフォーカス機能を有するカメラは種々提案されている。たとえば特開平10−142490号公報には、撮影画面内の広い範囲にわたり多数の測距ポイントを有し、撮影毎にその全ての測距ポイントを測距する測距装置を備えるカメラが開示されている。
【0003】
さらに近年、背景の影響を受けないように工夫されたカメラも提案されている。特開平5−7326号公報には、撮影画面内のエッジ部分を検出してゲート信号を発生して測距枠を設定し、背景の影響を受けないように工夫する測距装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−142490号公報に開示された測距装置は、撮影毎に全ての測距ポイントにおいて測距を行うので、非常にタイムラグが大きくなり使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
また、タイムラグを短縮するために、非常に高速な処理回路やマイコン等を使用すると、大きなコストアップとなり、汎用的なカメラには採用できないという問題がある。
【0006】
さらに上記特開平5−7326号公報に開示された測距装置は、ビデオ信号から高域成分を検出するコントラスト方式による山登りオートフォーカス装置に限定されている。このコントラスト方式はフォーカスレンズをスキャンしながら、最も高周波成分が大きくなるフォーカスレンズの位置を検出するので、非常にタイムラグが大きくシャッタチャンスを逃してしまうという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、広範囲な測距領域を有する測距装置であってもタイムラグを増大させることなく、かつ背景に影響を受けずに主要被写体に対して正確なオートフォーカス処理を行い得る測距装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の第1の測距装置は、複数の画像を有し、被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、上記撮像素子の出力に基づいて主要被写体を検出し、当該主要被写体の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、上記撮像素子の画素の積分量を示すモニタ信号の抽出範囲を設定するモニタ選択手段と、上記モニタ選択手段の設定する範囲のモニタ信号に基づいて、上記撮像信号の積分動作を制御する積分制御手段と、上記積分制御手段が上記撮像素子の積分制御を実行して上記撮像素子より得られた、被写体像を2像に分割した撮像信号に関して相関演算を行うことにより測距動作を行う測距手段と、を具備し、上記モニタ選択手段は、上記輪郭抽出手段により抽出された主要被写体領域に対する適正な撮像信号が得られるように、上記モニタ信号の抽出範囲を上記主要被写体領域の抽出された輪郭の内部に対応する上記撮像素子の画素領域に設定することを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するために本発明の第2の測距装置は、被写体に補助光を照射する補助光手段と、上記撮像素子の出力より定常光成分を除去する定常光除去手段と、をさらに備え、上記輪郭抽出手段は、上記補助光手段で被写体を照射し、上記定常光除去手段で定常光成分を除去した撮像素子の出力に基づいて被写体の輪郭を抽出することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態である測距装置の構成を示したブロック図である。
【0014】
図に示すように、本実施形態の測距装置は、当該測距装置を備えるカメラ全体における各回路の制御を司るマイクロコンピュータ11と、後述する測距光学系100により形成される被写体像を撮像して電気信号であるセンサデータに変換するAFエリアセンサ12と、フォーカシーングレンズ14を駆動するフォーカスレンズ駆動部13と、該フォーカシーングレンズ14の移動量に対応するパルス信号を発生するフォーカスレンズエンコーダ15と、撮影画面に対応し、複数に分割された測光用受光素子23aの発生する光電流信号を処理して測光出力を発生する測光部23と、シャッタを駆動してフィルムに対する露出を行うシャッタ駆動部16と、撮影時の補助光源としてストロボ20aを発光させるストロボ回路部20と、カメラ内部の情報をLCD等の表示素子により表示する表示部19と、レリーズボタンに連動したスイッチである1RSW(ファーストレリーズスイッチ)17及び2RSW(セカンドレリーズスイッチ)18と、オートロード、1駒巻き上げ、巻き戻しのフィルム駆動動作を行うフィルム駆動部21と、撮影レンズのズーム動作を行うズームレンズ駆動部22と、カメラの姿勢(縦、横)を検出し、マイクロコンピュータ11に対して出力するカメラ姿勢検出部120と、で主要部が構成される。
【0015】
マイクロコンピュータ11は、その内部に、CPU(中央処理装置)11a、ROM11b,RAM11c,A/DコンバータADC11dを有する。このうちCPU11aは、ROM11bに格納されたシーケンスプログラムに従って一連の動作を行う。
【0016】
マイクロコンピュータ11はさらにEEPROM11eを有しており、オートフォーカス(AF)、測光・露出演算等に関する補正データをカメラ毎に記憶している。また、EEPROM11eには、後述する撮影画面内の主要被写体を検出するための各種パラメータ等が格納されている。
【0017】
AFエリアセンサ12は、撮像領域12aである水平方向と垂直方向に二次元状に配置された受光素子群とその処理回路12bとを備えている。そして、受光素子(フォトダイオード)への入射光により発生する電荷を画素毎の画素増幅回路により電圧に変換するとともに増幅して出力する。マイクロコンピュータ11は、このAFエリアセンサ12の積分動作の制御、センサデータの読み出し制御を行い、AFエリアセンサ12の出力するセンサデータを処理して測距演算を行なうようになっている。
【0018】
またAFエリアセンサ12は、定常光除去回路12cを有している。この定常光除去回路12cは、マイクロコンピュータ11の制御下に定常光を除去するか否かを切り換る機能を有する。
【0019】
フォーカスレンズ駆動部13は、撮影レンズ130の一部であるフォーカシーングレンズ14を駆動し、フォーカスレンズエンコーダ15は、該フォーカシーングレンズ14の移動量に対応するパルス信号を発生する。マイクロコンピュータ11は測距演算結果に基づき、フォーカスレンズ駆動部13に駆動信号を出力し、フォーカスエンコーダ15の出力をモニタしてフォーカスレンズ14の位置制御を行う。
【0020】
測光部23は、撮影画面に対応し、複数に分割された測光用受光素子23aの発生する光電流信号を処理して測光出力を発生する。マイクロコンピュータ11はこの測光出力を上記ADコンバータADC11dによりAD変換して測光・露出演算を行う。
【0021】
シャッタ駆動部16は、マイクロコンピュータ11の制御下にシャッタを駆動してフィルムに対する露出を行う。
【0022】
ストロボ回路部20は、撮影時の補助光源としてストロボ20aを発光させる機能を備え、マイクロコンピュータ11の制御下にストロボ20a発光のための充電、発光制御がなされる。またストロボ回路部20は、ストロボ20aを測距動作時のオートフォーカス補助光として使用する際に、マイクロコンピュータ11の制御下に発光制御を行う。
【0023】
表示部19は、マイクロコンピュータ11の制御下にカメラ内部の情報をLCD等の表示素子により表示する。
【0024】
1RSW(ファーストレリーズスイッチ)17、2RSW(セカンドレリーズスイッチ)18はレリーズボタンに連動したスイッチであって、レリーズボタンの第1段階の押し下げにより1RSW17がオンし、引き続いて第2段階の押し下げで2RSW18がオンする。マイクロコンピュータ11は1RSW17のオンでAF,測光動作を行い、2RSW18のオンで露出動作、フィルム巻き上げ動作を行う。
【0025】
フィルム駆動部21は、マイクロコンピュータ11の制御下にオートロード、1駒巻き上げ、巻き戻しのフィルム駆動動作を行い、ズームレンズ駆動部22は、同じくマイクロコンピュータ11の制御下に撮影レンズのズーム動作を行う。また、マイクロコンピュータ11に対して撮影レンズの焦点距離情報を出力する。
【0026】
カメラ姿勢検出部120は、カメラの姿勢(縦、横)を検出し、マイクロコンピュータ11に対して出力する。
【0027】
次に、このような構成を成す本実施形態の測距装置の動作について説明する。
図2は、本実施形態の測距装置において、マイクロコンピュータ11のメインルーチンを示すフローチャートである。
【0028】
まず、不図示の電源SWがオンされるかあるいは電池が挿入されるとマイクロコンピュータ11が動作を開始し、ROM11bに格納されたシーケンスプログラムを実行する。そして、マイクロコンピュータ11はカメラ内の各ブロックの初期化、EEPROM11e内のAF、測光等の調整・補正データをRAM11cに展開する(ステップS101)。
【0029】
次にマイクロコンピュータ11は1RSW17の状態を検出し、該1RSW17がオン操作を待つ(ステップS102)。ここで、該1RSW17がオンされるとマイクロコンピュータ11はオートフォーカス(AF)動作を行うよう該当回路を制御する(ステップS103)。続いて測光・露出演算処理(ステップS104)を行い、2RSW18の状態を検出する(ステップS105)。
【0030】
このステップS105で2RSW18がオンされると、マイクロコンピュータ11はシャッタ動作を行うよう指示してフィルムに露出し(ステップS106)、フィルムを1駒巻き上げる(ステップS107)。
【0031】
一方、上記ステップS102において1RSW17がオンしていないとき、マイクロコンピュータ11は1RSW17、2RSW18以外のスイッチの入力を検出する(ステップS108)。ここで他のスイッチ入力を検出すると当該スイッチ入力に応じた処理、たとえばズームスイッチのアップ、ダウンスイッチ入力に対してはズームアップ、ダウン処理を行うよう各回路に指示する(ステップS109)。
【0032】
次に、本実施形態の測距装置における測距光学系について説明する。
図3は、本実施形態の測距装置における測距光学系100を示した説明図であり、光学系、AFエリアセンサ配置を示している。また、図4は、三角測距の原理により被写体距離を求める方法を説明するための図である。
【0033】
当該測距光学系100は、いわゆる外光パッシブ方式により被写体までの距離を測定するようになっており、図3に示すように、受光レンズ101、102は基線長Bを隔てて配置され、被写体103の像を2像に分割してAFエリアセンサ12の受光領域12aに結像させるようになっている。
【0034】
図4に示すように上記2像の相対的な位置差xは三角測距の原理によって、受光レンズの焦点距離fと基線長Bとから、被写体距離Lは以下の式による。
【0035】
L=(B・f)/x
上述した測距演算はマイクロコンピュータ11によって行われる。より具体的には、AFエリアセンサ12の受光領域12aに測距ブロックを設定して2像に対応するセンサデータを用いて相関演算を行い、上記2像の相対的な位置差xを検出する。
【0036】
次に、図5を参照して上記AFエリアセンサ12の構成について説明する。
図5に示すように、AFエリアセンサ12は、撮影画面に対応する複数の画素53と、積分動作を制御するためにモニタ選択回路57と、水平シフトレジスタ56、垂直シフトレジスタ54と、固定パターンノイズ除去回路55とを備える。
【0037】
上述したようにAFエリアセンサ12には、撮影画面に対応して複数の画素53が配置されるが、この複数の画素のうち一画素50は、受光素子であるフォトダイオード52と、フォトダイオード52の出力する信号電荷を電圧信号に変換するための増幅器51(蓄積容量58を含む)と、を備えている。なお増幅器51には定常光成分を除去する機能も含まれている。
【0038】
上記モニタ選択回路57は、マイクロコンピュータ11からの司令に基づく画素範囲について積分量を示すモニタ信号を作成し出力する。
【0039】
水平シフトレジスタ56、垂直シフトレジスタ54は、マイクロコンピュータ11からの司令により制御され、各画素の信号出力を選択して出力する。
【0040】
固定パターンノイズ除去回路55は、各画素の信号出力に含まれる固定パターンノイズを除去するための回路である。
【0041】
次に、図6を参照して、本実施形態における撮影画面(ワイドとテレ)と測距領域との関係について説明する。
上述したように、本実施形態の測距装置は外光測距方式を採用しているので、撮影画面と測距領域とにはパララックスが存在する。このため本実施形態では撮影光学系の焦点距離情報(ズーム情報)に応じて測距に使用する領域を限定する。このような焦点距離の変化に応じた測距エリア位置補正データはEEPROM11eに予め記憶されており、マイクロコンピュータ11の初期化とともにRAM11dに展開されている。そして、ズーム動作に応じてこの補正データを参照してAFエリアセンサ12の受光領域内の測距動作に使用する測距領域を決定する。さらにこの測距領域範囲内のセンサデータにより測距演算を行う。
【0042】
またマイクロコンピュータ11はAFエリアセンサ12に対してこの測距領域内に対応する積分制御用ピークモニタを発生するように制御信号を出力する。そしてAFエリアセンサ12は、指定された測距エリアの範囲内のピーク信号をマイクロコンピュータ11に対して出力する。マイクロコンピュータ11はこのモニタ信号を参照して積分量が所定のレベルとなるように制御する。
【0043】
本実施形態ではかかる工夫により撮影画面外において被写体の影響を受けないようにすることが可能となった。また、センサデータを読み出す際にも、上記撮影画面に対応する測距領域補正データを参照して不要な撮影画面外のセンサデータは読みとばしてRAM11cに格納しない。あるいはAFエリアセンサ12に読み出し範囲設定信号を出力して設定された範囲内のセンサデータだけ出力するようにしている。
【0044】
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施形態の測距装置におけるオートフォーカス(AF)ルーチンを説明する。
【0045】
まず、マイクロコンピュータ11はAFエリアセンサ12に積分制御信号を出力して、積分動作を行うよう指示する(ステップS201)。次にAFエリアセンサ12から所定範囲内のピーク(最も明るい画素)出力に対応するモニタ信号が出力される。マイクロコンピュータ11はこのモニタ信号を参照しながら、AFエリアセンサ12の受光部の受光量が適正となるように積分時間を調節する。
【0046】
この後マイクロコンピュータ11は、AFエリアセンサ12に読み出しクロックCLKを出力し(ステップS202)、センサデータ(画素データ)をADコンバータADC11dに出力させ、AD変換して読み出しRAM11cに格納する。
【0047】
さらにマイクロコンピュータ11は、主要被写体を抽出する処理を行い(ステップS203)、抽出された主要被写体領域内に複数の測距エリアを設定する(ステップS204)。また、上記複数の測距エリアについて測距演算を行い(ステップS205)、得られた測距データが所定の条件(信頼性の有無等)を満足するか否かを判別する(ステップS206)。
【0048】
このステップS206で測距結果が所定の条件を満足していれば、マイクロコンピュータ11は、この所定の条件を満たす複数の測距データについて平均処理を行い(ステップS207)、その結果得られた測距データを採用する。そして、上記採用した測距データに基づいてフォーカシングレンズ14を駆動(ステップS208)して、リターンする。
【0049】
一方、上記ステップS206において測距結果が所定の条件を満足しない場合は、マイクロコンピュータ11は、上記主要被写体領域内のセンサデータが適正となるように制御して再度積分を行う。すなわち、AFエリアセンサ12内のモニタ選択回路57を制御して、主要被写体領域内に対応する画素のみについてモニタ信号を取得し、たとえばそれらの最大値をモニタ出力としてマイクロコンピュータ11に出力させるように設定する(ステップS209)。
【0050】
そしてこの後、再びステップS201に戻り、再度積分、読み出し、測距処理をやり直す。この場合は、主要被写体の領域内のセンサデータが測距演算を行うために適正となるよう積分制御を行うので、主要被写体について良好な測距データが得られる。
【0051】
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施形態の測距装置における主要被写体検出動作について説明する。
【0052】
この主要被写体検出ルーチンでは、特に主要被写体として人物を想定して、人物を検出する。なお、AFエリアセンサ12により2個の画像が得られるが、主要被写体検出に使用する画像データ(センサデータ)はどちらか一方の画像でもよいし、両方の画像を使用してもよい。AFエリアセンサ12のセンサデータは、マイクロコンピュータ11内のRAM11cに格納されており、このセンサデータに基づいて以下の処理を行う。
【0053】
まず、処理の概要について説明する。
最初にマイクロコンピュータ11は平滑化処理を行う(ステップS301)。この処理は画像中のランダムノイズを除去する処理であり、当該ノイズをフィルタ処理やフーリエ変換によって除去する。なお除去されるランダムノイズはAFエリアセンサ12自体が有するランダムノイズや、AFエリアセンサ12の電源電圧変動等の外的ノイズにより発生するノイズである。
【0054】
次にマイクロコンピュータ11は差分処理を行う(ステップS302)。この処理においてマイクロコンピュータ11はセンサデータに対して差分処理を行い、エッジ検出を行う処理でエッジの候補領域とその強度が与えられる。
【0055】
この後マイクロコンピュータ11は2値化処理を行う(ステップS303)。この処理においてマイクロコンピュータ11は画像に対して閾値処理によりある値以下の部分を抽出して2値画像を求める。
【0056】
さらにマイクロコンピュータ11は連結・図形融合処理(ステップS304)を行い、続いて細線化処理(ステップS305)を行う。この処理によりエッジに対応するある幅を有する図形が得られるので、細線化アルゴリズムを適用して、線幅を約1にする。
【0057】
この後マイクロコンピュータ11は、画像の形状を判別して主要被写体を抽出する形状判定処理を行い(ステップS306)、リターンする。
【0058】
次に上記各ステップの処理についてさらに詳しく説明する。
(1)ステップS301:平滑化処理
この平滑化処理は画像内に混入するランダムノイズを除去する処理である。この処理には種々の方法が知られるが、近傍領域内の画素値の中央値(メディアン)を求めるメディアンフィルタや、近傍領域を小領域に分け、小領域毎に分散を求めて分散が最小の小領域を求め、その平均値を出力するエッジ保存フィルタ等が有効である。
【0059】
上記メディアンフィルタは、画像のエッジがなまってしまう副作用があるが、エッジ保存フィルタはエッジがなまらないのでより有効である。また、その他にフーリエ変換による方法もある。
【0060】
(2)ステップS302:差分処理によるエッジ検出処理
このステップでは、マイクロコンピュータ11はセンサデータs(i,j)について(図23参照)、以下のような処理を行うことによりエッジ検出を行う。
【0061】
1次微分オペレータによる手法では、x方向の微分およびy方向の微分をそれぞれ以下の式により計算する。
Δxs(i,j)=s(i,j)−s(i−1,j)
Δys(i,j)=s(i,j)−s(i,j−1)
この結果、図9(a)に示すようなデータが得られる。
【0062】
また、2次微分オペレータによる手法では以下の式により求められる。
Δ^2xs(i,j)=s(i−1,j)−2s(i,j)−s(i+1,j)
Δ^2ys(i,j)=s(i,j−1)−2s(i,j)−s(i,j+1)
2次微分オペレータの一種であるラプラシアン・オペレータは、エッジの肩の部分を強調するので、正の領域から負の領域に移行する。そして“0”になる部分を求めることによってエッジが求められる(図9(b))。
【0063】
具体的な処理方法としては、空間フィルタテーブル(重みテーブル)との積和演算を行う。
図10は、上記空間フィルタテーブルの例を示した説明図である。この図10中、
図10(a)は1次微分オペレータ(横方向)
図10(b)は1次微分オペレータ(縦方向)
図10(c)はラプラシアンオペレータ
図10(d)はソーベルオペレータ(X方向、Y方向の1次微分、絶対値データ変換、加算)
をそれぞれ示す。
【0064】
また、当該処理の演算式は以下に示す通りである。
【数1】
本実施形態では、以上の空間フィルタを、状況に応じて適宜選択して使用する。
【0065】
なお、全画像について差分処理をする場合は、比較的演算が簡単で高速な1次微分オペレータ、ラプラシアンオペレータを使用する。一方、撮影画面内の一部の画像に関して差分処理を行う場合は、演算がやや複雑で演算時間が大きいが効果は大きいソーベルオペレータを選択して使用する。
【0066】
また、低輝度でAFエリアセンサ12の積分時間が長い場合は、1次微分オペレータまたはラプラシアンオペレータを使用し、一方高輝度で積分時間が小さい場合は、ソーベルオペレータを使用することによりAFタイムラグとしてのバランスをとってもよい。
【0067】
(3)ステップS303:2値化処理(閾値処理)
この2値化処理を図11に示すフローチャートを参照して説明する。
当該2値化処理においてマイクロコンピュータ11はまず、画像内の各輝度を示す画素値の出現頻度を表わすヒストグラムを作成し(ステップS401)、次に閾値設定処理を行う(ステップS402)。ここで、ヒストグラムに基づいて閾値を決定する手法は種々知られているが、たとえばモード法では、上記のうちで頻度が最小の輝度値を閾値(スレッシュレベル)として、2値化処理を行なう(図12参照)。
【0068】
上記ステップS402において閾値が設定された後、マイクロコンピュータ11は2値化を行う(ステップS403)。
【0069】
なお、閾値設定の他の手法としては、取り出す図形の面積がある程度わかっている場合に有効なp−タイル法、図形の境界部分に閾値が設定されるように定める微分ヒストグラム法、濃度値の集合を2つのクラスに分けたときのクラス間の分離が最もよくなるようにパラメータtを求める判別分析法、画像位置に応じて閾値を変化させる可変閾値法等の手法が知られている。
【0070】
本実施形態では、これらの手法を状況に応じて適宜選択して使用する。たとえばヒストグラムの形状を判別して明確な最小値が存在するか否かを判定し、明確な場合はモード法を採用する。一方、不明確な場合は判別分析法を採用する。
【0071】
このようにヒストグラムの形状判別を行い、その結果に応じて閾値設定方法を変更する。ヒストグラムの形状判別方法については、図13に示すようにたとえば(谷)極値でありかつ頻度最小値a、2番目に小さい値bを求め、その差b−aを判別値dthと比較して、所定値dthより大きい場合、最小値aの輝度値を閾値として採用する。一方、所定値以下の場合は、画像位置に応じて閾値を変化させる可変閾値法を採用する。
【0072】
ここで、上記閾値設定処理を図13及び図14に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。
マイクロコンピュータ11は、図13に示す如き最小値aと2番目に小さい頻度bを求める(ステップS501)。次に、この差(b−a)と所定の判定値dthとを比較する(ステップS502)。そして、差(b−a)が判定値dthより大きい場合は、最小値aに対応する輝度値Baを閾値として採用する(ステップS504)。一方、差(b−a)が判定値dth以下の場合は可変閾値法を採用する(ステップS505)。
【0073】
撮影画面全体に対応する画像での2値化の場合は、最初にモード法により閾値を設定して2値化処理を行う。そして、2値化画像を評価した結果が良好ではない場合は画像を複数のブロックに分割して、分割ブロック毎にヒストグラムを作成し、改めて分割ブロック毎に閾値を設定するようにしてもよい。
【0074】
(4)ステップS304:ラベリング・図形融合処理
マイクロコンピュータ11は、画像中で同じ輝度値の画素が互いに連結している連結部分の魂に対してラベリングを行う。つまり異なる連結部分に対して異なるラベルを貼り付けて区別して領域(連結領域)を分離する(図17ラベリング1〜9参照)。
【0075】
また図形融合処理では、画像に含まれている穴のような面積の小さい図形や点状の図形は、本質的に有効でないばかりか、ノイズとして後の処理に悪影響を及ぼす可能性があるので、除去する必要がある。そのためマイクロコンピュータ11は、元の図形を膨らませたり縮めたりしてノイズ成分を除去する。
【0076】
(5)ステップS305:細線化処理
この処理は、得られた2値画像を対象としてその中に含まれる各々の連結領域に対して連結性を損なうことなく線幅1の線図形まで細める処理である。すなわち、任意の太さの線状の図形において、その幅方向の画素を順次取り除くことにより線図形の中心線を求める。
【0077】
(6)ステップS306:形状判断処理
ここで連結領域の面積はその連結領域に属する画素の個数である。周囲長は連結領域のまわりに境界に位置する画素の個数である。ただし、斜め方向は水平、垂直方向に対して√2倍に補正する。
【0078】
画像の形状を判定するために、以下の係数eが使用される。
【0079】
e=(周囲長)^2/(面積)
eは、形状が円形の時に最小値を示し、形状が複雑になるほど大きい値を示す。
【0080】
人物の顔はほぼ円形に近いと考えられるので、上記eと所定値とを比較して対称画像が人物の顔か否かを判定する。
【0081】
また上記連結領域面積も所定値と比較して、対称画像人物の顔か否かを判定する。また、形状判定に先立ち、面積を所定範囲の値と比較して所定範囲以外の場合は人物ではない画像と判別して、形状判定処理を行わないようにしてもよい。このようにして演算量を減少させてAFタイムラグを縮小させることができる。
【0082】
図15は、上記形状判定処理ルーチンを示したフローチャートである。
図に示すように、マイクロコンピュータ11は、抽出領域があるか否かを判別し(ステップS601)、抽出領域がない場合はリターンする。ここで抽出領域がある場合は抽出領域の面積Sを求め、所定範囲内であるか否かを判別する(ステップS602)。そして抽出領域面積Sが所定範囲の場合はステップS603に移行し、所定範囲内ではない場合はステップS607に移行する
上記ステップS602において抽出領域面積Sが所定範囲の場合は、マイクロコンピュータ11は形状判定値eを算出し、所定範囲内か否かを判別する(ステップS603)。そして、所定範囲内の場合は人物であると判定する(ステップS604)。
【0083】
この後マイクロコンピュータ11は、全抽出領域について形状判定したか否かを判別し(ステップS605)、終了している場合はリターンする。一方、終了していない場合は、次の抽出領域を設定して(ステップS606)、上記ステップS602に移行して上記処理を繰り返し実行する。
【0084】
一方、マイクロコンピュータ11は、上記ステップS602において抽出領域面積Sが所定範囲にない場合、及び上記ステップS603において形状判定値eが所定範囲内にない場合は、共に人物以外の被写体と判定する(ステップS607)。この後、上記同様に全抽出領域について形状判定したか否かを判別する(ステップS605)。
【0085】
ここで、図16乃至図18を参照して本実施形態における人物判定画像について説明する。
【0086】
図16は、本実施形態における人物判定画像の一例を示した図であり、撮影画面の対応するAFエリアセンサ12の画像領域当該画像である。なお、この画像を原画像とする。
【0087】
図17は、図16に示す原画像を用いて差分処理、2値化処理を施した後の画像を示す図である。
図に示すようにエッジ部分(輪郭)のみ抽出された画像となっている。また、抽出エリアにラベリング処理を施している(ラベリング1〜9)。
【0088】
図18は、本実施形態における人物判定領域および人物判定領域内の設定した複数の測距エリアを示す説明図である。
図に示すように、本実施形態では、人物の顔と判定された領域301が抽出され、人物判定領域301内の複数の測距エリアを設定し測距するようになっている。
【0089】
なお、図7のステップS209において、マイクロコンピュータ11は人物判定領域301内の画素に対応する領域にモニタ範囲を設定するようAFエリアセンサ12に対して司令を出力する。
【0090】
この領域のモニタ信号に基づいて再度積分動作を行うことにより、逆光時の高輝度背景の影響を受けて人物判定領域のセンサデータがつぶれてしまうのを防止でき、人物判定領域301に対して最適なセンサデータが得られ、高精度な測距演算を行うことが可能となる。
【0091】
次に形状判定の別の手法として、予め主要被写体のパターンを記憶しておき基準画像とし、この基準画像とパターンマッチング処理を行うことによって抽出する手法を、図19乃至図21を参照して説明する。
【0092】
図19は、形状判定の別の手法において使用する人物判定画像の例を示した図であり、撮影画面の対応するAFエリアセンサ12の画像領域当該画像である。なお、この画像を原画像として以下、形状判定の別の手法を説明する。
【0093】
図20は、図19に示す原画像を用いて差分処理、2値化処理を施した後の画像を示す図である。
【0094】
図に示すようにエッジ部分(輪郭)のみ抽出された画像となっている。また、抽出エリアにラベリング処理を施している(ラベリング1〜9)。当該別手法においては、予めEEPROM11eに記憶されている主要被写体のパターン300を基準画像とし(図22参照)、この基準画像300と、上記2値化処理後の画像との間でパターンマッチング処理(相関演算)を行うことによって、人物像を抽出する。
【0095】
上記基準画像300は、図22に示すように、被写体距離変化に対応して複数の相似パターンA、B…が準備されており、撮影レンズの焦点距離(ズーム駆動部22からの情報)等の条件に応じて選択される。
【0096】
また、カメラの姿勢に応じて複数のパターンが準備されており、カメラ姿勢検出部120の出力に基づいて姿勢を判別し、パターンを選択することができる。
【0097】
さらに人物パターンに限らず、さまざまな物体のパターンが準備されており、人物パターンが検出できない場合に、予め決められた優先順位に従って選択されたパターンマッチング処理がなされる。
【0098】
図21は、当該別手法における人物判定領域および人物判定領域内の設定した複数の測距エリアを示す説明図である。
【0099】
図に示すように、当該別手法では、人物と判定された領域が抽出され人物判定領域302内の複数の測距エリアを設定して測距を行う。これら複数の測距エリアの測距結果は、平均処理や最至近選択等の処理により一個の測距データにまとめられレンズ駆動が行われる。
【0100】
なお、図7のステップS209においては、マイクロコンピュータ11は人物判定領域302内の画素に対応する領域にモニタ範囲を設定するようAFエリアセンサ12に対して司令を出力する。そして、この領域のモニタ信号に基づいて再度AFエリアセンサ12の積分動作を行うことにより、人物判定領域302に対して最適なセンサデータが得られ、高精度な測距演算が可能である。
【0101】
以上説明したように、本第1の実施形態の測距装置によると、主要被写体の輪郭を検出し、広範囲な測距エリアのうちで輪郭内について重点的に測距を行うので、背景に影響されることなく主要被写体に正確にピントをあわせることが可能となり、かつ、タイムラグを縮小した測距装置を提供することができる。
【0102】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、その構成は図1に示す限りにおいて上記第1の実施形態と同様である。したがってここでは差異のみの言及に留め、作用において異なる部分のみを説明する。
【0103】
本第2の実施形態の測距装置は、上記第1の実施形態に比して主要被写体検出ルーチンのみを異にし、その他の構成、作用は第1の実施形態と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0104】
図24は、本第2の実施形態の測距装置における主要被写体検出ルーチンを示したフローチャートである。
【0105】
図に示すように、まずマイクロコンピュータ11は、プリ主要被写体検出を行い(ステップS701)、撮影画面全体に対応するAFエリアセンサ12のセンサデータよりおおまかに主要被写体の位置を求める。次に、マイクロコンピュータ11は、本主要被写体検出を行い(ステップS702)、プリ主要被写体検出の結果に基づいて検出ブロックを新たに設定し、このブロック内で詳細に主要被写体本検出を行う。
【0106】
ここで、上記プリ主要被写体検出(プリ検出)ルーチンについて図25を参照して詳しく説明する。
【0107】
このプリ主要被写体検出では、マイクロコンピュータ11は、まず全領域内のセンサデータについて差分処理を行う(ステップS801)。その後、全領域内のセンサデータに関するヒストグラムを作成し、閾値を設定して2値化処理を行う(ステップS802)。さらに、2値化処理結果についてラベリング処理を行い(ステップS803)、ラベリングされた連結領域につい形状判定処理を行う(ステップS804)。
【0108】
この後、マイクロコンピュータ11は上記ステップS804において求めた形状判定処理結果より抽出エリアを仮決定する(ステップS805)。なお、本第2の実施形態においては、処理時間短縮のために当該プリ検出を行う際、センサデータを所定画素毎に間引いたり、加算平均をとって処理画素数を減らすようにしている。
【0109】
次に、上記主要被写体本検出(本検出)ルーチンについて図26を参照して詳しく説明する。
【0110】
この主要被写体本検出では、マイクロコンピュータ11は、まず上記プリ主要被写体検出処理の結果に基づいて、抽出エリアを含む検出ブロック305を設定する(ステップS901、図27参照)。次に、マイクロコンピュータ11は上記検出ブロック内について差分処理を行い(ステップS902)、該ブロック内のセンサデータに基づいてヒストグラムを作成してブロック毎に閾値を決定する(ステップS903)。
【0111】
この後マイクロコンピュータ11はブロック毎に2値化処理(ステップS904)、ラベリング処理(ステップS905)、形状判定処理(ステップS906)を行い、抽出エリアを決定する(ステップS907)。
【0112】
このように撮影画面に対応するAFエリアセンサ12の画素部分のセンサデータ全体について、エッジ検出して輪郭より主要被写体をおおまかに検出する。
【0113】
そして、その結果に基づいて検出領域付近に新たな検出ブロックを設定し、詳細に主要被写体検出を行うので、閾値を最適に設定することができ、良好な2値化画像が得られ、主要被写体検出精度を大幅に向上させることができる。
【0114】
また、処理時間がやや長くなるのを許容するならば、最初から撮影画面に対応するAFエリアセンサ12の画素領域を複数のブロックに分割して、ブロック毎に本検出(図26参照)を行ってもよい。すなわち、ブロック毎にヒストグラム作成、閾値設定、2値化処理、形状判定処理を行い、主要被写体エリアを抽出する。このとき分割ブロックの大きさを、撮影レンズの焦点距離(ズーム駆動部22からの情報)等の条件に応じて可変(広角側で大、望遠側で小)としてもよい。
【0115】
また、ストロボ20a、ストロボ回路部20による被写体への投光動作と同時に、AFエリアセンサ12による積分動作を行い、かつ定常光除去回路12cを動作させて得られるセンサデータについて主要被写体検出を行ってもよい。
【0116】
主要被写体と背景の輝度が非常に近く、エッジ(輪郭)を検出しにくい場合であっても、上記投光により距離の差による反射光量の差が発生するので、精度よくエッジ(輪郭)検出を行うことができる。
【0117】
このように、本第2の実施形態の測距装置によると、主要被写体の輪郭を検出して広範囲な測距エリアのうちで輪郭内について重点的に測距を行うので、背景に影響されることなく主要被写体に正確にピントをあわせることが可能となり、かつ、タイムラグを縮小した測距装置を提供することができる。
【0118】
次に、本発明の第3の実施形態の測距装置について説明する。
図28は、本第3の実施形態である測距装置を備えるカメラの主要構成を示したブロック図である。
当該カメラは、いわゆるスーパーコンビネーションAFと称されるオートフォーカス方式を採用したカメラであって、カメラ全体の制御を司るCPU501と、被写体像を受像して光電変換した後に上記CPU501に測距情報を提供する測距部502と、CPU501の制御下に被写体に向けてストロボ光を発光する発光源505aと、この発光源505aの発光を制御する回路505と、測距種別情報あるいは主要被写体の判別の可否情報を音声として発する音声信号発生回路507と、で主要部が構成される。
【0119】
上記測距部502は、2つの受光レンズから被写体光を入射して光電変換するエリアセンサ502a、502bと、このエリアセンサ502a、502bの出力をA/D変換して各画素のデジタル値をカメラ制御用のマイクロコンピュータである上記CPU501に対して出力するA/D変換回路502cと、CPU501の制御下にエリアセンサ502a、502bの出力より定常光を除去する定常光除去回路511と、を備えている。
【0120】
上記定常光除去回路511は被写体から定常的に入射する直流的な光の信号を除去する回路であり、エリアセンサ502a、502bで受光した発光源505aからのパルス光のみを出力信号とする作用をする回路である。
【0121】
CPU501の制御の下、定常光除去回路511を作動させた状態で発光回路505により発光源505aが発光すると、被写体520からの反射信号光を受けたエリアセンサ502a上には、図29に示す如き像が結ばれる。なお、この図29において、黒で示す部分が光を入射したところを示している。
【0122】
また、CPU501には、上述の如きエリアセンサ上の像のパターンを分析するソフトウェア(パターン判別プログラム501a)が組み込まれている。このパターン判別プログラム501aにより、被写体像が人間の形であると判定されれば、これを主要被写体と考えることができることになる。なお、パターン判別プログラムは、上記第1実施形態における図10に示す「主要被写体検出」と同様の処理を行う。
【0123】
次に、本実施形態の測距装置による測距動作を図30に示すフローチャートを参照して説明する。
【0124】
図30は、本第3の実施形態の測距装置における測距ルーチンを示したフローチャートである。
【0125】
CPU501は、まず測距に先立って、いわゆるプリ発光のために発光源505aを作動させて補助光照射を行うとともに、定常光除去回路511を作動させてエリアセンサ502a、502bからの出力より定常光を除去する(ステップS1101)。このプリ発光、定常光除去動作により被写体520の反射信号光のパターンのみが図29に示す如く抽出される。CPU501はその内部プログラムであるパターン判別プログラム501aに基づいて当該反射信号光より被写体像が人間の形であるか否かを判別する(ステップS1102)。
【0126】
次にCPU501は、上記パターン判別プログラム501aに基づく処理により主要被写体の位置を検出する(ステップS1103)。ここでCPU501は、被写体像が人間の形であると判別できる場合には、当該被写体は主要被写体であるとの判定を行いステップS1104に移行する。このときCPU501は、上記パターンを形成する光信号が弱いか否かあるいは十分なコントラストがあるかに基づいてかかる判別を行う。
【0127】
ステップS1104においてCPU501は、測距方式がいわゆるアクティブ方式(信号光をカメラ側から投射して、その反射信号光を用いて測距するタイプ)と、パッシブタイプ(被写体の像信号をもとに測距するタイプ)のいずれの方式を用いるかの選択を行なう。ここで像信号のコントラストが弱いときには再度測距用光(発光源505aによる補助光)を照射して(ステップS1110)、その反射信号光によるアクティブオートフォーカスを、先に求められた主要被写***置、具体的には主要被写体の輪郭領域内部に複数の測距エリアを設定して重点的に行う(ステップS1111)。
【0128】
この後、CPU501は音声信号発生回路507を制御して、アクティブオートフォーカスによる測距であること、および主要被写体の判別の可否情報を音声として発して(ステップS1112)、リターンする。なお、かかる情報に対応した音声パターンを(音声パターン3)とする。
【0129】
一方、上記ステップS1104において、被写体からの反射信号光が弱いと判断された場合、CPU501は、パッシブオートフォーカスの方が適しているとしてステップS1105に分岐する。このステップでは、すでに求められた主要被写***置の像信号の輪郭領域内に複数の測距エリアを設定し重点的に用いたパッシブ方式による測距を行う。
【0130】
この後、CPU501は音声信号発生回路507を制御して、パッシブオートフォーカスによる測距であること、および主要被写体の判別の可否情報を音声として発して(ステップS1106)、リターンする。なお、かかる情報に対応した音声パターンを(音声パターン2)とする。
【0131】
また、上記ステップS1103において主要被写体を検出することができなかった場合は、輝度情報等を加味してアクティブ方式またはパッシブ方式を選択した後、被写体の存在確率の高い画面中央部を重点的に測距する(ステップS1120)。
【0132】
この後、CPU501は音声信号発生回路507を制御して、中央測距による測距であることおよび主要被写体の判別の可否情報を音声として発して(ステップS1121)、リターンする。なお、かかる情報に対応した音声パターンを(音声パターン1)とする。
【0133】
このように、各測距方式、すなわちステップS1105におけるパッシブオートフォーカス、ステップS1111におけるアクティブオートフォーカス、ステップS1120における中央測距の各測距方式毎に、測距種別の情報および主要被写体の判別の可否情報が音声信号発生回路507から発せされる。
【0134】
また、本実施形態は、単にアクティブ方式とパッシブ方式とをハイブリッド的に組み合わせたのではなく、2つの方式を用いて、主要被写体検知まで行っていることを特徴とするものである。
【0135】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、ユーザーにわかりやすく、安心感のある測距を行い得るカメラを提供することができる。
【0136】
以上述べたように、上記各実施形態の測距装置によると、主要被写体の輪郭を検出し、広範囲な測距エリアのうちで輪郭内について重点的に測距を行うので、背景に影響されることなく主要被写体に正確にピントをあわせることが可能であり、かつタイムラグを縮小可能な測距装置を提供することができる。
【0137】
なお、本実施形態の測距装置は外光式測距装置としているが、これに限らず、TTL方式の測距装置にも適用することができ、同様の効果を奏する。
【0138】
[付記]
以上詳述した如き本発明の実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(1)
二次元領域内を撮像する積分型エリアセンサと、
この積分型エリアセンサの積分動作を制御する積分制御手段と、
上記積分型エリアセンサの出力に基づいて、上記二次元領域内に存在する主要被写体を含む領域を抽出する領域抽出手段と、
この領域抽出手段により抽出された領域に対して測距演算を行う測距演算手段と、
この測距演算手段により得られた測距結果を所定の判定条件と比較する比較手段と、
この比較手段による比較結果が所定条件に合致しない場合、上記積分制御手段による制御パラメータを変更してから上記積分型エリアセンサの積分動作を再度実行させる制御手段と、
を具備したことを特徴とする測距装置。
【0139】
(2)
上記領域抽出手段は、上記積分型エリアセンサから出力される画像データに所定の演算処理を行い、画像データに含まれる物体像同士をそれぞれ分離し、分離された各データと特定のパターンとを照合して物体像が人物像であるか否かを判定すると共に、人物像と判定した領域の情報を出力することを特徴とする(1)に記載の測距装置。
【0140】
(3)
上記所定の演算処理は、エッジ抽出処理および二値化処理を含むことを特徴とする(2)に記載の測距装置。
【0141】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、広範囲な測距領域を有する測距装置であっても、主要被写体の領域内に対応する画素のモニタ信号に応じた積分制御を行い、タイムラグを増大させることなく、かつ背景に影響を受けずに主要被写体に対して正確なオートフォーカス処理を行い得る測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である測距装置の構成を示したブロック図である。
【図2】上記第1の実施形態の測距装置において、マイクロコンピュータのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】上記第1の実施形態の測距装置における測距光学系を示した説明図である。
【図4】三角測距の原理により被写体距離を求める方法を説明するための図である。
【図5】上記第1の実施形態の測距装置において、AFエリアセンサの構成を示したブロック図である。
【図6】上記第1の実施形態の測距装置における撮影画面(ワイドとテレ)と測距領域との関係について説明した図である。
【図7】上記第1の実施形態の測距装置におけるオートフォーカス(AF)ルーチンを示したフローチャートである。
【図8】上記第1の実施形態の測距装置における主要被写体検出動作を示したフローチャートである。
【図9】上記第1の実施形態の測距装置において、差分処理によるエッジ検出処理の前後画像を示した線図である。
【図10】上記第1の実施形態の測距装置において、差分処理における空間フィルタテーブルの例を示した説明図である。
【図11】上記第1の実施形態の測距装置において、2値化処理を示したフローチャートである。
【図12】上記第1の実施形態の測距装置において、2値化処理の過程でモード法により閾値を決定する手法を説明するための線図である。
【図13】上記第1の実施形態の測距装置において、閾値設定処理を説明するための線図である。
【図14】上記第1の実施形態の測距装置において、閾値設定処理を示したフローチャートである。
【図15】上記第1の実施形態の測距装置において、形状判定処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図16】上記第1の実施形態の測距装置において、人物判定画像の一例を示した図である。
【図17】上記第1の実施形態の測距装置において、図16に示す原画像を用いて差分処理、2値化処理を施した後の画像を示す図である。
【図18】上記第1の実施形態の測距装置において、人物判定領域および人物判定領域内の設定した複数の測距エリアを示す説明図である。
【図19】上記第1の実施形態の測距装置において、形状判定の別の手法において使用する人物判定画像の例を示した図である。
【図20】上記第1の実施形態の測距装置において、図19に示す原画像を用いて差分処理、2値化処理を施した後の画像を示す図である。
【図21】上記第1の実施形態の測距装置において、形状判定の別の手法における人物判定領域および人物判定領域内の設定した複数の測距エリアを示す説明図である。
【図22】上記第1の実施形態の測距装置におけるEEPROMに記憶されている、形状判定の別の手法における主要被写体のパターンの一例を示した説明図である。
【図23】上記第1の実施形態の測距装置において、差分処理によるエッジ検出処理の際に用いるセンサデータs(i,j)について示した説明図である。
【図24】本発明の第2の実施形態の測距装置における主要被写体検出ルーチンを示したフローチャートである。
【図25】上記第2の実施形態の測距装置におけるプリ主要被写体検出(プリ検出)ルーチンを示したフローチャートである。
【図26】上記第2の実施形態の測距装置における主要被写体本検出(本検出)ルーチンを示したフローチャートである。
【図27】上記第2の実施形態の測距装置における主要被写体本検出において、新たな検出ブロックの一例を示した説明図である。
【図28】本発明の第3の実施形態の測距装置を備えるカメラの主要構成を示したブロック図である。
【図29】上記第3の実施形態の測距装置におけるたエリアセンサ上に結像される像の一例を示した図である。
【図30】上記第3の実施形態の測距装置における測距ルーチンを示したフローチャートである。
【符号の説明】
11…マイクロコンピュータ
12…AFエリアセンサ
12a…画像領域
12b…処理回路
12c…定常光除去回路
13…フォーカスレンズ駆動部
14…フォーカスレンズ
15…フォーカスレンズエンコーダ
16…シャッタ駆動部
17…1RSW
18…2RSW
19…表示部
20…ストロボ回路部
21…フィルム駆動部
22…ズームレンズ駆動部
23…測光部
120…カメラ姿勢検出部
Claims (2)
- 複数の画像を有し、被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、
上記撮像素子の出力に基づいて主要被写体を検出し、当該主要被写体の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、
上記撮像素子の画素の積分量を示すモニタ信号の抽出範囲を設定するモニタ選択手段と、
上記モニタ選択手段の設定する範囲のモニタ信号に基づいて、上記撮像信号の積分動作を制御する積分制御手段と、
上記積分制御手段が上記撮像素子の積分制御を実行して上記撮像素子より得られた、被写体像を2像に分割した撮像信号に関して相関演算を行うことにより測距動作を行う測距手段と、
を具備し、
上記モニタ選択手段は、上記輪郭抽出手段により抽出された主要被写体領域に対する適正な撮像信号が得られるように、上記モニタ信号の抽出範囲を上記主要被写体領域の抽出された輪郭の内部に対応する上記撮像素子の画素領域に設定する
ことを特徴とする測距装置。 - 被写体に補助光を照射する補助光手段と、
上記撮像素子の出力より定常光成分を除去する定常光除去手段と、
をさらに備え、
上記輪郭抽出手段は、上記補助光手段で被写体を照射し、上記定常光除去手段で定常光成分を除去した撮像素子の出力に基づいて被写体の輪郭を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
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