(実施形態1)
本実施形態では、図2に示すように、宴会場や会議室のような部屋であって、必要に応じて間仕切り5を設けることにより複数の空間に分割して用いることができるような比較的広い部屋に本発明を適用する場合を想定する。図示例では、1部屋を最大で3つのエリアA1〜A3に分割可能であり、さらに各エリアA1〜A3をそれぞれ2つのゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32に分割可能である場合を示している。図2に示す左右のエリアA1,A3は上下の2つのゾーンZ11,Z12,Z31,Z32に分割可能であり、中央のエリアA2は内外の2つのゾーンZ21,Z22に分割可能になっている。部屋内には同形状である照明器具3が1列7台でマトリクス状に配列され、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32に少なくとも1台の照明器具3が含まれるように、ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32が設定される。
各照明器具3は信号線4に接続されており、信号線4は各列の照明器具3をそれぞれ一直線上で接続するように配線され、さらに、隣接する各2列の照明器具3を接続している一直線上の信号線4は一端同士が互いに接続されている。したがって、室内のすべての照明器具3は1本の蛇行した信号線4に接続される。各照明器具3は信号線4を通して調光レベルが指示されることによって光出力を制御する機能を有している。ここに、調光レベルは0〜100%の範囲で指示され、調光レベルの100%は定格点灯(全点灯)を意味し、調光レベルの0%はオフを意味する。また、0%より大きく20%未満である調光レベルは用いられず、照明器具3の点灯時には20%以上の範囲のみが用いられる。
各照明器具3の調光レベルは、信号線4に接続された親機1または子機2に設けたスイッチSW1,SW2などからなる操作部11,21(図1参照)を操作することにより指示される。親機1は1部屋に1台だけ設けられ、子機2は部屋に設けることができるエリアA1〜A3の最大数に応じて適宜台数が設けられる。調光レベルは、ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を単位として制御され、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32に含まれる照明器具3には同じ調光レベルが与えられる。また、親機1にはゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32ごとの照明器具3の調光レベルの組合せが「シーン」として複数登録されており、親機1および子機2の操作部11,21では親機1に登録されたシーンから所望のシーンを選択することが可能になっている。つまり、1つのシーンを親機1または子機2の操作部11,21によって選択すれば、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の照明器具3には選択したシーンの調光レベルが与えられる。
本実施形態の親機1および子機2は、後述するように、ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を単位として1個または複数個のゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32に対応付けることができ、対応付けたゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32に含まれる照明器具3が制御対象になる。図示例では、6個のゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を形成してあり、各エリアA1〜A3に親機1または子機2を2台ずつ設けることとして子機2を5台設け、親機1と子機2とを併せて6台設けてある。
親機1および子機2では、制御対象であるいずれかの照明器具3を点灯させる4種類のシーンと、制御対象であるのすべての照明器具3を消灯させるシーンとの5種類のシーンを選択することができる。親機1と子機2とには、それぞれシーンを選択するための押釦スイッチからなるスイッチSW1,SW2が設けられており、スイッチSW1,SW2の操作によって5種類のシーンのいずれかを択一的に選択する。たとえば、親機1と子機2とにシーン選択するためのスイッチSW1,SW2を5個ずつ設けることによって、5種類のシーンを択一的に選択することができる。また、図示例のように、親機1と子機2とにシーンを選択するためのスイッチSW1,SW2を4個ずつ設け、4個のスイッチSW1,SW2が択一的にオンになるようにして、制御対象のいずれかの照明器具3を点灯させる4種類のシーンをスイッチSW1,SW2に対応付けて選択し、4個のスイッチSW1,SW2のいずれかがオンである状態で当該スイッチSW1,SW2をオフにすることにより、親機1または子機2が制御対象としているすべての照明器具3を消灯させるシーンを選択するようにしてもよい。
ここにスイッチSW1,SW2を5個ずつ設けることによって、1個のスイッチSW1,SW2を消灯に対応付けている場合には、このスイッチSW1,SW2を点灯と消灯との切換に用いるのが望ましい。また、親機1および子機2において1個ずつのスイッチSW1,SW2を点灯/消灯の切換に用いる場合には、消灯の操作を行ったときに、消灯前のシーンS1〜S4を親機1に記憶させるシーン記憶部を設けておくのが望ましい。この構成を採用することによって、点灯/消灯の切換を行うスイッチSW1,SW2によって消灯から点灯に切り換えたときに、消灯前のシーンS1〜S4を再現させることが可能になる。この動作を行うために、親機1および子機2において5個ずつのスイッチSW1,SW2が必要であるが、消灯前のシーンS1〜S4は親機1が記憶しているから、子機2においてシーンS1〜S4を記憶する必要がなく、親機1の動作を決めるプログラムを変更するだけであって比較的低コストで上記機能を付加することが可能である。なお、照明器具3が消灯している状態からシーンS1〜S4を選択するスイッチSW1、SW2を操作すれば、当該シーンS1〜S4を選択することができる。
ところで、親機1では、上述した消灯を含む5種類のシーンを組にして「パターン」として登録してあり、パターンを選択することによって、スイッチSW1,SW2により選択可能なシーンの種類を変更することができる。パターンは、間仕切り5によるエリアA1〜A3の分割の仕方に対応付けられており、間仕切り5を用いずに部屋全体を使用するパターンP1と、間仕切り5により部屋を3つのエリアA1〜A2に分割するパターンP2と、エリアA2とエリアA3との間にのみ間仕切り5を設けるパターンP3と、エリアA1とエリアA2との間にのみ間仕切り5を設けるパターンP4とが選択可能になっている。
パターンP1では、親機1と子機2とのどちらもが、すべてのゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の照明器具3を制御対象とし、シーンの種類としては、たとえば、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の照明器具3に与える調光レベルを、それぞれ100%、100%、100%、100%、100%、20%とするシーンS1(A1A2A3−P1)と、それぞれ100%、100%、100%、100%、20%、100%とするシーンS2(A1A2A3−P1)と、それぞれ30%、30%、100%、100%、100%、100%とするシーンS3(A1A2A3−P1)と、それぞれ30%、100%、30%、100%、30%、100%とするシーンS4(A1A2A3−P1)と、それぞれ消灯するシーンS5(A1A2A3−P1)とが選択可能になる。なお、括弧内の符号は、ハイフンの左側が制御対象となるエリア名を意味し、ハイフンの右側がパターン名を意味する。
また、パターンP2では、親機1と子機2とが、それぞれ2個ずつのゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の照明器具3を制御対象にする。つまり、図2において、エリアA1に設けた親機1と子機2とはエリアA1のゾーンZ11,Z12に含まれる照明器具3を制御対象とし、エリアA2に設けた2台の子機2はエリアA2のゾーンZ21,Z22に含まれる照明器具3を制御対象とし、エリアA3に設けた2台の子機2はエリアA3のゾーンZ31,Z32に含まれる照明器具3を制御対象とする。つまり、各エリアA1〜A3ごとに親機1および子機2でそれぞれ5種類ずつのシーンが選択可能になり、パターンP2には合計15種類のシーンが含まれることになる。たとえば、エリアA1の親機1および子機2は、ゾーンZ11,Z12の照明器具3のみを制御対象とし、照明器具3に与える調光レベルを、それぞれ100%、100%とするシーンS1(A1−P2)と、それぞれ100%、100%とするシーンS2(A1−P2)と、それぞれ30%、30%とするシーンS3(A1−P2)と、それぞれ30%、100%とするシーンS4(A1−P2)と、それぞれ消灯するシーンS5(A1−P2)とが選択可能になる。また、エリアA2の子機2は、ゾーンZ21,Z22の照明器具3のみを制御対象とし、照明器具3に与える調光レベルを、それぞれ100%、100%とするシーンS1(A2−P2)と、それぞれ100%、100%とするシーンS2(A2−P2)と、それぞれ100%、100%とするシーンS3(A2−P2)と、それぞれ30%、100%とするシーンS4(A2−P2)と、それぞれ消灯するシーンS5(A2−P2)とが選択可能になる。同様に、エリアA3の子機2は、ゾーンZ31,Z32の照明器具3のみを制御対象とし、照明器具3に与える調光レベルを、それぞれ100%、20%とするシーンS1(A3−P2)と、それぞれ100%、100%とするシーンS2(A3−P2)と、それぞれ30%、30%とするシーンS3(A3−P2)と、それぞれ30%、100%とするシーンS4(A3−P2)と、それぞれ消灯するシーンS5(A3−P2)とが選択可能になる。
他のパターンP3,P4についても同様であって、パターンP3ではエリアA1,A2の親機1および子機2がゾーンZ11,Z12,Z21,Z22の照明器具3を制御対象とし、エリアA3の子機2がゾーンZ31,Z32の照明器具3を制御対象とするのであり、またパターンP4ではエリアA1の親機1および子機2がゾーンZ11,Z12の照明器具3を制御対象とし、エリアA2,A3の子機2がゾーンZ31,Z32の照明器具3を制御対象とする。したがって、パターンP3,P4にはそれぞれ10種類のシーンが含まれることになる。
上述したパターンP1〜P4とシーンと各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の調光レベルとの関係の一例を表1に示す。表1に示す関係は調光シーン設定テーブルとして親機1に登録され、間仕切り5による部屋の分割の仕方に応じて親機1で所望のパターンP1〜P4を選択すると、当該パターンP1〜P4において規定したシーンを親機1および各子機2で選択することが可能になる。
親機1および子機2は、それぞれ信号線4に接続される通信部12,13を備え、子機2での操作部11の操作が信号線4を通して親機1に通知される。また、照明器具3も信号線4に接続される通信部32を備え、親機1からの指示(調光レベル)が照明器具3に伝送される。通信部12,22,32は個別部品または専用の集積回路により構成される。また、親機1と特定の子機2との間および親機1と特定の照明器具3との間で通信可能となるように、子機2および照明器具3にはアドレスが設定されている。子機2および照明器具3にはアドレスの設定のためのDIPスイッチが設けられ、親機1には子機2および照明器具3に設定されたアドレスを記憶する記憶部13が設けられる。ここに、子機2および照明器具3では、DIPスイッチに代えてEEPROMのような不揮発性メモリを用いてアドレスを記憶するようにしてもよい。このような不揮発性メモリによるアドレスの設定を行う場合には、子機2および照明器具3に与えられている固有の識別子(たとえば、製品のシリアル番号など)を用いて親機1が子機2および照明器具3との間で個別に通信を行い、現場に応じたアドレスを親機1から子機2および照明器具3に設定することが可能になる。
上述したように、照明器具3はゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を単位として制御されるから、各照明器具3に個別にアドレスを設定する必要はなく、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32に含まれる照明器具3には同一のアドレスを付与する。このように、照明器具3にはゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32単位で同一のアドレスが付与されるから、以下では照明器具3に設定されるこのアドレスをゾーンアドレスと呼ぶ。つまり、親機1がゾーンアドレスを用いて照明器具3にアクセスすることによって、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32内の照明器具3は、同時一斉に調光レベルを受け取ることになる。つまり、複数台の照明器具3が含まれるゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32であっても、ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32内のすべての照明器具3に対して調光レベルを同時一斉に与えることが可能になり、照明器具3ごとに個別に調光レベルを伝送する場合に比べて短時間で調光レベルを指示することができ、操作部11,21の操作から照明器具3の光出力を遅滞なく変化させることができる。
親機1は、図1に示すように、操作部11および通信部12のほかマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略称する)を主構成要素とする制御部10を備え、制御部10には上述した記憶部13が付設される。記憶部13にはEEPROMのような不揮発性メモリが用いられ、内容の書換が可能であることはもちろん、停電時においても内容が消滅しないようになっている。記憶部13には、親機1および子機2に設けた操作部11,21の操作と照明器具3の点灯状態とを対応付けるための上述した調光シーン設定テーブルも格納される。
親機1の操作部11は、スイッチSW1のほか、照明器具3の点灯・消灯の状態を示す発光ダイオード(図示せず)および文字表示の可能な液晶表示器DPを備える。スイッチSW1は、上述のようにシーンを選択する際に用いられるとともに、パターンP1〜P4の選択にも用いられる。さらに、液晶表示器DPの表示内容を確認しながらスイッチSW1を操作することによって調光シーン設定テーブルの作成にも用いられる。記憶部13に調光シーン設定テーブルが格納されている状態では、親機1に設けた操作部11でパターンP1〜P4を選択することにより、調光シーン設定テーブルの内容に応じて親機1および子機2で選択可能なシーンが規定されるから、この状態で親機1のスイッチSW1で制御部10にシーンが指示されるか、子機2のスイッチSW2の操作により信号線4を通して制御部10にシーンが指示されると、制御部10では記憶部13の調光シーン設定テーブルを参照することによって、当該シーンに対応する各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32ごとの照明器具3の調光レベルを抽出し、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を単位としてゾーンアドレスを用いて照明器具3に通信部12を通して調光レベルを伝送し、各照明器具3の光出力を調節する。なお、記憶部13は制御部10に内蔵してもよい。
子機2は、親機1と同様に、操作部21および通信部22のほかマイコンを主構成要素とする制御部20を備える。子機2の操作部21は、複数個のスイッチSW2とともに照明器具3の点灯・消灯の状態を示す発光ダイオードを備える。スイッチSW2は、親機1のスイッチSW1と同様にシーンを選択することができ、スイッチSW1が操作されると制御部20は通信部22を通して親機1に対して、子機2のアドレスとともにスイッチSW1の操作内容を通知する。つまり、子機2の操作部21が操作されると、スイッチSW2のオンオフの情報が子機2のアドレスとともに親機1に伝送され、どの子機2のどのスイッチSW2が操作されたかを親機1に認識させる。親機1では、いずれかのパターンP1〜P4が選択されているから、子機2とスイッチSW2とが特定されると、調光シーン設定データを参照することによってシーンを特定することができ、当該シーンにおける各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32ごとの調光レベルを各照明器具3に対してゾーンアドレスを用いて伝送する。
ところで、照明器具3は、ランプ31および通信部32のほかに、マイコンを主構成要素とする点灯回路制御部30およびランプ31を点灯させる点灯回路部33を備える。ランプ31は蛍光ランプを想定しており、点灯回路部33は、点灯回路制御部30からの指示によって蛍光ランプを調光点灯させることが可能なものを用いる。たとえば、点灯回路部33としてインバータ回路を含むものを用い、インバータ回路からランプ31に供給する電力を制御することにより、ランプ31を調光点灯させる。点灯回路制御部30は、通信部32を通して親機2から受け取った調光レベルで点灯回路部33を制御する。
上述したように、間仕切り5による部屋の分割の仕方に対応付けたパターンP1〜P4を決め、パターンP1〜P4ごとにゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を単位として照明器具3の調光レベルの組合せをシーンとして規定するから、間仕切り5の位置変更に対して、パターンP1〜P4の変更のみで対応可能になる。また、子機2は親機1に対してどのシーンを選択したかの情報のみを伝送すればよいから、スイッチSW2の操作内容を信号線4を通して親機1に伝送するだけの簡単な構成でよく、比較的低コストで小型に構成することができる。また、パターンP1〜P4およびシーンに対応する照明器具3の調光レベルは親機1が調光シーン設定テーブルとして管理する構成であるから、調光シーン設定テーブルの管理や変更が容易である。
なお、上述した親機1と子機2と照明器具3との間の伝送方式はどのようなものでも採用することが可能であり、たとえば集中制御方式として、親機1が子機2を循環的にアクセスすることによって指定したアドレスの子機2からのスイッチSW2の操作の情報を受け取り、ゾーンアドレスを用いて照明器具3に調光レベルの指示を与える動作のほか、分散制御方式として、親機1と子機2とを通信ノードとしては対等に扱い、子機2から親機1に対して送信元アドレスと送信先アドレスとを指定してスイッチSW2の操作の情報を伝送し、親機1は照明器具3に対してゾーンアドレスを指定して調光レベルの指示を与える動作とすることも可能である。いずれの場合も、親機1から照明器具3に対しては、送信先アドレス(ゾーンアドレス)のみを指定すればよいから送信元アドレスは不要であり、またゾーンアドレスによって照明器具3に調光レベルを伝送するから、照明器具3には個別のアドレスは不要であって、各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32に複数台の照明器具3が含まれていても、ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32毎に1回ずつ調光レベルを伝送するだけで、照明器具3に所望の調光レベルを与えることが可能になる。つまり、各照明器具3に個別に調光レベルを伝送する場合に比較すると、信号線4のトラフィックを大幅に低減することができる。
なお、上述した実施形態では部屋を3個のエリアA1〜A3に分割する例を示したが、エリアの個数についてはとくに制限はないのは言うまでもない。
(実施形態2)
実施形態1では、親機1に設けた操作部11を用いてパターンP1〜P4を選択しているが、本実施形態は間仕切り5の位置に応じてパターンP1〜P4を自動的に選択するものである。本実施形態で用いる間仕切り5は、間仕切り壁であって部屋内での設置位置が定められているものとする。また、部屋において間仕切り5を設置する場所には設置用部材が取り付けられており、設置用部材に対して定められた間仕切り5を装着することによって部屋を分割することができるようになっている。以下では、間仕切り5および設置用部材をエリア分割部材と呼ぶ。なお、エリア分割部材には、間仕切り5を移動させるために部屋に設けたレールも含むものとする。
本実施形態では、エリア分割部材に、図3に示す構成の間仕切り子機6を設け、間仕切り5が定位置に設置されているか否かを間仕切り子機6から親機1に通知するようにしてある。間仕切り子機6は、間仕切り5が定位置に装着されたか否かを検出する位置検出部61と、位置検出部61による検出結果を親機1に通知するための送信部62とを備える。位置検出部61の検出結果はマイコンを主構成要素とする制御部60を通して送信部62に与えられ、制御部60では位置検出部61での検出結果の正否を判断し、また位置検出部61の検出結果が送信部62を通して親機1に確実に伝送されるように送信部62の伝送タイミングなどを制御する機能を有する。さらに、間仕切り子機6には内部回路に電源を供給する電源部63が設けられる。電源部63は、商用電源のような交流電源から内部回路の電源を生成する構成、または電池から内部回路の電源を生成する構成を採用することができる。位置検出部61は間仕切り5が定位置に装着されているか否かを検出すればよいから、間仕切り5の有無を検出するスイッチを位置検出部61として用いる。つまり、図2において間仕切り5を示している部位に、間仕切り5の装着の有無を検知可能なスイッチを配置する。送信部62は、信号線4に接続して有線で親機1との通信を行う構成のほか、赤外線や電波を伝送媒体とする無線で親機1と通信を行う構成であってもよい。
親機1には実施形態1と同様の調光シーン設定テーブルが登録されているものとし、間仕切り5を用いずに部屋全体を1つの空間とするパターンP1と、2枚の間仕切り5を用いて部屋を3個のエリアA1〜A3に分割するパターンP2と、図2における右側の間仕切り5のみを用いて部屋を2分割するパターンP3と、図2における左側の間仕切り5のみを用いて部屋を2分割するパターンP4とが選択可能であるものとする。上述のように間仕切り子機6は、各間仕切り5に対応したエリア分割部材にそれぞれ設けられ、各間仕切り子機6には子機2と同様にそれぞれ固有のアドレスが設定される。したがって、親機1は2枚の間仕切り5がそれぞれ定位置に装着されたか否かを間仕切り子機6からの通知によって知ることが可能になる。つまり、親機1では2台の間仕切り子機6から位置検出部61での検出結果の通知を受け取り、両者の検出結果を組み合わせることによって、2枚の間仕切り5が定位置に装着されていない状態と、2枚の間仕切り5がともに定位置に装着された状態と、いずれか1枚の間仕切り5のみが定位置に装着された2つの状態との合計4状態を親機1で知ることが可能になる。
上述した4状態はそれぞれパターンP1〜P4に対応するから、間仕切り子機6からの通知内容によって親機1はパターンP1〜P4を自動的に選択することができる。たとえば、間仕切り5が用いられていない状態であってパターンP1が選択されているときに、図2の左側の間仕切り5が装着されたことが間仕切り子機6から親機1に通知されたとすると、親機1では右側の間仕切り5に対応した間仕切り子機6から間仕切り5の装着の通知がないことによってパターンP4を選択する。また、パターンP4が選択された状態において、右側の間仕切り5に対応した間仕切り子機6からも間仕切り5の装着が親機1に通知されたときには、親機1においてパターンP2を選択する。また、パターンP2が選択された状態において、左側の間仕切り5に対応した間仕切り子機6から間仕切り5を外した旨の通知がなされると、親機1ではパターンP3を選択する。以上のように、親機1では間仕切り子機6からの間仕切り5の装着状態が通知されることによって、間仕切り5の位置に応じたパターンP1〜P4を自動的に選択する。
すなわち、部屋を間仕切り5によって分割したときに、親機1を操作することなくパターンP1〜P4を自動的に選択するから、使用者がパターンP1〜P4の設定操作を行うことなく所望のパターンP1〜P4が選択され、利便性が向上する。他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
実施形態2では、エリア分割部材に間仕切り子機6を設けることによって間仕切り5の装着の有無を親機1に通知する構成を採用しているが、親機1に間仕切り5との距離を計測する測距センサを付加したり、親機1とは別に設けた測距センサでの計測結果を親機1に通知したりすることによって、測距センサによる計測結果を用いて間仕切り5の装着の有無を検出してもよい。
図4は、各間仕切り5までの距離をそれぞれ計測する測距センサ7a,7bを親機1に設けた例を示しており、2枚の間仕切り5の有無を測距センサ7a,7bで検出するために、親機1をエリアA2に設置している。すなわち、各測距センサ7a,7bでは親機1を設置している位置から対応する各間仕切り5までの距離をそれぞれ計測し、親機1では各測距センサ7a,7bにより計測した距離が規定した範囲内であれば、各測距センサ7a,7bに対応付けた間仕切り5が定位置に装着されていると判断し、範囲外であれば間仕切り5が外されていると判断する。たとえば、図4(a)に示す例では、両測距センサ7a,7bにより計測した距離が規定した範囲内になるから、親機1では両間仕切り5が装着されていると判断してパターンP1を選択する。また、図4(b)に示す例では、測距センサ7aにより計測した距離は規定した範囲内になるが、測距センサ7bにより計測した距離は範囲外になるから、親機1では、左側の間仕切り5が装着され、右側の間仕切り5は外されていると判断し、パターンP4を選択する。他の構成および機能は実施形態2と同様である。なお、本実施形態では、最大2枚の間仕切り5を用いるから2個の測距センサ7a,7bを中央のエリアA2に配置しているが、測距センサは(間仕切り5の枚数−1)個が必要であり、部屋内に設置可能な間仕切り5の最大枚数に応じて測距センサの個数および配置を決めるのは言うまでもない。
(実施形態4)
上述した各実施形態では、各エリアA1〜A3および各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32が固定的に設定されている例を示したが、本実施形態は、間仕切り5の位置に応じてゾーンを自動的に設定する構成を採用している。実施形態2と同様に、部屋内において間仕切り5を設置可能な位置は規定されており、間仕切り5を設置可能な位置には間仕切り子機6の位置検出部61が設けられる。
本実施形態では、図5に示すように、部屋内の5箇所の位置E1〜E5に間仕切り5を設置可能としてあり、室内には6個のエリアA1〜A6が形成される。ここで、上述した実施形態と同様に、各エリアA1〜A6にそれぞれ2個以上のゾーンを形成するとすれば、12個以上のゾーンが形成される。また、間仕切り5の位置の組合せ数であるパターンの数は32になる。このような多くのパターンを調光シーン設定テーブルに設定するには手間がかかる上に、すべてのパターンを設定したとしても実際には使用しないパターンが含まれると考えられる。また、間仕切り5の位置によっては複数のエリアA1〜A6が1つの空間として利用されるから、このような場合に1つの空間として利用される範囲においてゾーンを設定すればよいにもかかわらず、各エリアA1〜A6がそれぞれ複数のゾーンに分割されていると調光シーン設定テーブルのデータ数が多くなる。そこで、本実施形態では、実際に間仕切り5を設置したときに、当該パターンについてのみ調光シーン設定テーブルを作成し、しかも、間仕切り5を介して1つの空間として利用される範囲においてゾーンを自動的に設定することによって、調光シーン設定テーブルの作成を容易にしている。
上述した機能を実現するために、各照明器具3にそれぞれ個別のアドレスを設定してあり、また親機1の記憶部13には、照明器具3の個別のアドレスと照明器具3の位置とを対応付けたテーブルをあらかじめ登録してある。照明器具4の個別のアドレスは図5において「ADD:n」と記載している符号の「n」の部分である。また、図示例では照明器具3を部屋内にマトリクス状に配列しているから、行番号xと列番号yとを組み合わせて「x−y」の形で照明器具3の位置を表している。したがって、図示例では、「ADD:1」の位置は「1−1」であり、「ADD:2」の位置は「2−1」であり、「ADD:5」の位置は「1−2」になる。なお、照明器具3の個別のアドレスは位置と対応付けられていればよく、図5のように順番に並んでいなくてもよい。
本実施形態では、間仕切り5を所望位置に設置すると、間仕切り5の設置位置が親機1に通知され、親機1では間仕切り5の設置位置に応じて適宜の条件でゾーンを自動的に設定する。ゾーンを形成する条件は、たとえば以下のように規定することが可能である。
1.間仕切り5を介して分割された1個の空間は2個または4個のゾーンで構成する。
2.1個のゾーンは個別のアドレスが連続した2台以上の照明器具3で構成する。
3.1個のゾーンに3台以上の照明器具3を含める場合は、同列に異なるゾーンを設定しない(たとえば、図5では「ADD:1」と「ADD:3」とは同ゾーンに含まない)。
上述した条件は一例であって、ゾーンを形成する条件は適宜に設定すればよい。また、このような条件は親機1に組み込んで製品とすればよいが、現場に応じた条件を親機1に設定できるようにしてもよい。
しかして、ゾーンを設定する作業は以下の手順で行うことになる。すなわち、間仕切り5を所望の位置(たとえば、位置E1)に配置すると、当該位置の位置検出部61から間仕切り5が設置されたことが親機1に通知される。親機1は、間仕切り5で分割された各空間ごとに、上述のような適宜の条件を適用してゾーンを決定する。間仕切り5を位置E1に設置した場合には、エリアA1には4台の照明器具3が含まれるから、位置「1−1」「1−2」の2台の照明器具3と、位置「1−3」「1−4」の2台の照明器具3とがそれぞれゾーンを形成する。また、エリアA2〜A6に含まれる照明器具3によって、4個のゾーンが形成される。たとえば、エリアA2、A3、A4がそれぞれ1個ずつのゾーンを形成し、またエリアA5とエリアA6とが一括されて1個のゾーンを形成する。
上述のようにして親機1が各ゾーンに含める照明器具3を割り振った後に、親機1は各照明器具3に対してゾーンアドレスを伝送する。つまり、親機1において各ゾーンに含める照明器具3が決定されるから、各ゾーンに含まれる照明器具3を単位としてゾーンアドレスを各照明器具3に伝送し、各照明器具3にゾーンアドレスを記憶させる。このようにして各照明器具3にゾーンアドレスを記憶させた後に、親機1において調光シーン設定テーブルを作成すれば、以後は実施形態1と同様にして、ゾーンを単位として照明器具3の調光レベルを制御することが可能になる。このようにして設定される調光シーン設定テーブルは、実施形態1における1種類のパターンと等価である。このような調光シーン設定テーブルは、親機1に複数組を記憶させることが可能である。また、実施形態1のように、各エリアA1〜A6を2個ずつのゾーンに分割するのではなく、間仕切り5の位置に応じてゾーンを設定するから、各調光シーン設定テーブルに含まれるゾーンの個数が低減される。このように、間仕切り5によって部屋内を自由に分割することができるのはもちろんのこと、分割した各空間を構成するゾーンが自動的に設定されるから、調光シーン設定テーブルの作成の手間を大幅に省力化することができる。また、調光シーン設定テーブルの個数を、実際に間仕切り5を設置すると想定される組合せ数分とすれば、利用可能な間仕切り5の枚数が比較的多くなっても調光シーン設定テーブルの作成が比較的容易になる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。また、調光シーン設定テーブルを親機1に設定した後には、実施形態2と同様に、間仕切り3の設置によって調光シーン設定テーブル(パターン)を自動的に選択するようにしてもよい。
なお、上述した例では間仕切り5を1枚だけ用いる場合を示しているが、2枚以上の間仕切り5を用いる場合であっても、ゾーンに分割する条件を適宜に設定しておくことで、ゾーンを自動的に設定することが可能である。
(実施形態5)
実施形態4の構成では、間仕切り5の位置を検出するためにあらかじめ定めた位置E1〜E5に位置検出部61を設けているが、本実施形態は、実施形態3と同様に測距センサを設けることによって間仕切り5の位置を検出するものである。ここでは、説明を簡単にするために、図6の左右方向に沿って配置されるレール上を1枚の間仕切り5がスライド自在に移動することによって、部屋を左右に分割する場合について説明する。この場合、間仕切り5が1枚であるから測距センサ7は1台あればよい。測距センサ7は、間仕切り5との距離を計測することによって、基準位置E0からの間仕切り5の位置を求めるものである。また、親機1には図6の左右方向における照明器具3の長さ寸法L1と照明器具3の配置間隔L2(基準位置E0から照明器具3の一端までの距離と、左右方向に隣接する一対の照明器具3の各一端間の距離とは等しいものとする)とが与えられているものとする。
本実施形態では、使用者が所望位置に間仕切り5を移動させると、測距センサ7により間仕切り5までの距離が計測される(計測のためのトリガは親機1で与えるようにすればよいが、所定の時間間隔で計測を繰り返すようにしてよい)。測距センサ7から間仕切り5までの距離がわかれば、親機1では距離の演算によって、間仕切り5が、照明器具3に重なっている位置であるか、隣接する一対の照明器具3の間に位置しているかがを認識することができる。したがって、間仕切り5が隣接する一対の照明器具3の間に位置していれば、当該位置を実施形態4の位置E1〜E5と読み替えることによって、ゾーンを自動的に設定することが可能になる。ただし、本実施形態の構成では、間仕切り5を規定した位置から選択して設置するのではなく、図6における左右方向の任意の位置に間仕切り5を配置可能としているから、照明器具3の位置に間仕切り5が重なることがある。そこで、照明器具3の位置に間仕切り5が重なる場合に当該照明器具3を点灯させるか、消灯させるかの別、および点灯の場合に間仕切り5に対して左右どちらの空間に含めるかなどを設定可能としておく。このような設定は、親機1または間仕切り子機6において行えるようにしておく。
間仕切り子機6において設定可能とする場合には、間仕切り子機6に設けた操作部(図示せず)によって、照明器具3を点灯させるか消灯させるかの選択を行い、測距センサ7により計測した距離だけではなく、選択した情報も併せて親機1に送信する。親機1では、受信した情報に基づいて、間仕切り5の位置に属する照明器具3のアドレスに対して「消灯」であれば、これらの照明器具3はゾーンに含めず、「点灯」であれば、これらの照明器具3を間仕切り5により分割されている2空間のいずれかに所属させて実施形態4と同様にしてゾーンを自動的に設定する。
一方、親機1において間仕切り5に重なる照明器具3の点灯と消灯とを選択可能にしている場合には、操作部21に設けた液晶表示器DPとスイッチSW1とを用いて間仕切り5に重なる照明器具3を点灯させるか消灯させるかをあらかじめ選択しておき、測距センサ7から間仕切り5までの距離の計測結果を受け取ったときに、間仕切り5が照明器具3に重なっているか否かの判断とともに、重なっている場合には選択されている条件に従ってゾーンを自動的に決定する。他の構成および動作は実施形態4と同様である。
(実施形態6)
上述した各実施形態では、間仕切り5を用いて部屋を複数の空間に分割する場合に、間仕切り5の位置に応じて各子機2で選択可能な調光レベルを変更していたが、本実施形態では間仕切りを用いずに照明空間の適宜箇所に設けたセンサで検知する情報に基づいて照明器具3の調光レベルを変更するものである。したがって、本実施形態の対象となる照明空間は部屋に限らず、1つのフロアを共有する照明空間に適用可能である。
本実施形態では、図7に示すように、各エリアA1〜A3にそれぞれセンサ8が配置される。各センサ8は、信号線4に接続され検出した情報を親機1に伝送する機能を有する。つまり、各センサ8には照明器具3と同様にアドレスが設定される。親機1はフェーダを備えており、フェーダを用いることによって照明器具3の調光レベルを調節することが可能になっている。
センサ8は、人感センサと明るさセンサとの少なくとも一方を想定しており、図8に示すように、センシングを行う検知部81と、信号線4に接続され検知部81での検知結果を親機1に通知するための通信部82とを備える。センサ8が人感センサであれば、検知部81は、センサ8を設けている各エリアA1〜A3内の人の存否を検出し、センサ8が明るさセンサであれば、検知部81は、センサ8の設置位置(各エリアA1〜A3を代表する部位)の明るさを検出する。図示例では各エリアA1〜A3がそれぞれ2個のゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32からなり、センサ8は実施形態1の子機2に相当するから、エリアA1〜A3を単位としてアドレスが設定される。以下では、センサ8のアドレスをセンサアドレスと呼ぶ。
照明器具3には、実施形態1と同様に、ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を単位とするゾーンアドレスが設定される。また、各センサ8のセンサアドレスは、たとえば表2に示すように、当該センサ8を配置したエリアA1〜A3を形成する2個ずつのゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32のゾーンアドレスに対応付けられ、かつ各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の照明器具3に与える調光レベルに対応付けられる。すなわち、本実施形態では親機1の調光シーン設定テーブルが表2のような内容になる。表2はセンサ8が人感センサである場合であって、各センサ8が人の存在を検知したときの各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の調光レベルを示しているが、センサ8が明るさセンサである場合には、閾値を設定することによって、センサ8での検出値と閾値との大小に応じて調光レベルを設定したり、検出される明るさを複数区間に分割して各区間ごとに調光レベルを設定したりする。
親機1から照明器具3に対して実施形態1と同様にゾーンアドレスを用いて調光レベルを与えるから、親機1から照明器具3への伝送信号には、送信元のアドレスは不要であって、たとえば、図9に示すように、スタートビットSTとストップビットSPとの間に、送信先アドレスデータADと調光レベルデータ(LV)とを含んでいればよい。
ここでは、エリアA1に配置したセンサ8(表2ではセンサ(エリアA1)として示している)により人の存在が検出される場合を例として動作を説明する。この場合、センサアドレスがエリアA1に対応しているセンサ8から親機1に対して人の検出が通知されるから、親機1では表2のような調光シーン設定テーブルを参照することによって、2個のゾーンZ11,Z12にそれぞれ100%の調光レベルを与えることを抽出する。抽出された情報に従って、親機1はゾーンアドレスを用いて各ゾーンZ11,Z12の照明器具3にアクセスし、各ゾーンZ11,Z12ごとに100%の調光レベルを与える。エリアA2,A3に配置したセンサ8から人の検出が通知された場合も同様であって、調光シーン設定テーブルを参照することで、調光レベルを伝送すべきゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32および与える調光レベルを決定する。なお、本実施形態では、センサ8で人が検出されると、当該センサ8を配置したゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の照明器具3のみを対象として調光レベルを与えているが、調光シーン設定テーブルを適宜に設定することによって、他のゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の照明器具3にも調光レベルを与えることが可能である。
本実施形態の構成では、実施形態1と同様に、照明器具3に設定したゾーンアドレスを用いて親機1から調光レベルを与えるから、親機1から照明器具3に伝送する伝送信号には送信元の情報を含める必要がない上に、1回のアクセスで複数台の照明器具3に調光レベルを同時に与えることができ、センサ8での検出結果に照明器具3の動作を対応付けることは、親機1に設けた調光シーン設定テーブルが行うから、各照明器具3に個別に調光レベルをあらかじめ設定しておくことなく、所望の照明器具3をセンサ8の検出に連動させて所望の調光レベルで点灯させることが可能になる。なお、本実施形態において子機2を設ける場合には、子機2のアドレスをセンサ8のアドレスとは別に設定し、また子機2でのスイッチSW2の操作とセンサ8で検出した情報との組合せ方を親機1において規定しておくことが必要になる。さらに、本実施形態では各エリアA1〜A3に2個ずつのゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32を設定しているが、ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22,Z31,Z32の設定方法は実施形態1と同様であって、本実施形態に限定されるものではない。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
(実施形態7)
本実施形態は、実施形態6と同様に、センサ8の出力に基づいて照明器具3に与える調光レベルを決定するものであって、センサ8には人感センサを用いている。したがって、本実施形態においても図7を参照する。いま、人が移動する場合を想定すると、人の移動に伴って各照明器具3の調光レベルを変化させたい場合と変化させたくない場合とが生じる。そこで、本実施形態では、人の存在・不在を検出する検知部81を備えた人感センサとしての各センサ8において、人の存在を検出している状態から不在になった時点で親機1にただちに通知するのではなく、人が不在になったことを検出してから所定時間の経過後に親機1に通知するためにタイマを設けている。
本実施形態では、親機1において表3に示す内容の調光シーン設定テーブルが設定されているものとする。表3の例では、エリアA1とエリアA2とに設けたセンサ8の一方で人が検出されると、ゾーンZ11,Z12の照明器具が100%で点灯し、ゾーンZ21,Z22の照明器具3が70%で点灯する。また、エリアA3に設けたセンサ8で人が検出されるとゾーンZ31の照明器具3が70%で点灯し、ゾーンZ32の照明器具3が100%で点灯する。この例では、人がエリアA1からエリアA2に移動したり、エリアA2からエリアA1に移動したりすることによって、センサ8に内蔵したタイマの時限が終了しても、照明器具3の光出力に変化は生じない。たとえば、人がエリアA1からエリアA2に移動した場合を想定すると、エリアA1に存在するセンサ8で人が検知されなくなってからタイマの時限時間が経過したとしても、エリアA2に設けたセンサ8で人が検知されているから、表3のような調光シーン設定テーブルを参照することによって、照明器具3の光出力に変化を与えないのである。言い換えると、エリアA1,A2に関して表3のように各ゾーンZ11,Z12,Z21,Z22の調光レベルを等しく設定しておけば、両エリアA1,A2のセンサ8は等価になり、センサ8を並列接続した場合と同様の制御が可能になる。
一方、エリアA1に存在するセンサ8で人が検出されなくなってからタイマの時限時間が経過した時点で、他のエリアA2,A3のセンサ8においても人が検出されなければ、表3において照明器具3の点灯を指示する組合せがないから、親機1ではすべての照明器具3を消灯させる。図7に示す例では、1個のエリアA1〜A3に1個のセンサ8を配置しているが、1個のエリアA1〜A3に複数個のセンサ8を配置することも可能である。この場合には、各エリアA1〜A3に設けた複数個のセンサ8のいずれもが人を検出しない状態(タイマが時限動作した場合は時限動作の終了後)に、当該エリアA1〜A3に人が存在しなくなったと判断する。
本実施形態の構成では、複数個のエリアA1〜A3に存在するセンサ8を等価に扱うことができ、2個のエリアA1〜A3に存在するセンサ8の検出結果に基づいて、両エリアA1〜A3の照明器具3の調光レベルを変更せず、あたかも両センサ8が並列接続されているかのように照明器具3の調光レベルを制御することが可能になる。その結果、たとえば、エリアA1に存在するセンサ8が人を検出することによりエリアA1,A2の照明器具3を点灯させた後、エリアA1(エリアA1のセンサ8による人の検知範囲)から人が移動し、エリアA2に設けたセンサ8により人が検知されるようになると、エリアA1に人がまだ残っているにもかかわらず照明器具3が消灯してしまうという不都合を回避することができる。また、センサ8での検出結果は親機1において組み合わせているから、照明器具3においては調光レベルを親機1から受け取るのみであって、照明器具3ではセンサ8の検出結果に対する判断が不要であるから、照明負荷3の点灯状態をセンサ8での検出結果に連動させる構成を容易かつ安価に実現できる。他の構成および動作は実施形態6と同様である。
(実施形態8)
本実施形態は、図10に示すように、2個のエリアA1,A2を有し、エリアA1に4個のゾーンZ11〜Z14を設け、エリアA2に2個のゾーンZ21,Z22を設けている。また、エリアA1には2台の子機2を配置している。各子機2は親機1に設けたフェーダと同様に、照明器具3の調光レベルを指示可能な操作部21を備える。ここでは、操作部21として調光レベルを増加させるアップスイッチと調光レベルを減少させるダウンスイッチとを備えるものを想定する。アップスイッチおよびダウンスイッチは、1回の押操作によって調光レベルを規定の1段階だけ増減させ、また規定時間を超えて押操作を継続すると調光レベルを連続的に増減させる機能を備える。
本実施形態は、実施形態6および実施形態7と同様に、センサ8を備える。図示例では、ゾーンZ12,Z22,Z32にそれぞれセンサ8を配置しており、ゾーンZ12に配置したセンサ8は明るさセンサであり、ゾーンZ22,Z32に配置したセンサは人感センサになっている。つまり、エリアA1には明るさセンサと人感センサとが配置される。明るさセンサは、床面や机上面の照度を検出するものであって天井に設置され、鉛直下方の照度を監視する。本実施形態は、明るさセンサで検出される照度を一定に保つように照明器具3の調光レベルを制御する機能を備える。ここでは、ゾーンZ11,Z12の照明器具3について明るさセンサによる調光レベルの制御を行い、ゾーンZ21,Z22,Z31,Z32の照明器具3について人感センサによる制御を行うものとする。
親機1には、調光シーン設定テーブルとして、表4のような内容が設定される。表4を表2と比較すればわかるように、明るさセンサが制御の対象とするゾーンZ11,Z12の照明器具3に対しては「連動禁止」が指定してあり、人感センサが制御の対象とするゾーンZ21,Z22,Z31,Z32の照明器具3に対してはそれぞれ調光レベルが設定される。「連動禁止」が指定されているゾーンZ11,Z12の照明器具3については、親機1から照明器具3への調光レベルの送信が禁止される。また、調光シーン設定テーブルの内容を設定する際には、センサ8として明るさセンサが登録され、明るさセンサに対応付けるゾーンZ11,Z12が入力されると、当該ゾーンZ11,Z12については、調光レベルの入力を禁止するようになっている。
明るさセンサは、明るさセンサによる制御の対象であるゾーンZ11,Z12の照明器具3に対して親機1を介さずに検出値を直接伝送し、照明器具3の調光レベルを制御する。つまり、明るさセンサには制御の対象となるゾーンZ11,Z12のゾーンアドレスが登録されており、当該ゾーンアドレスを指定して検出値を信号線4に送出するのである。また、明るさセンサには、照度の目標値が設定されており、検出値が目標値に保たれるように照明器具3に対する調光レベルを指示する。
なお、親機1から照明器具3およびセンサ8にゾーンアドレスを設定する場合には、照明器具3に対して明るさセンサに設定されるゾーンアドレスと同じゾーンアドレスの設定を許容する機能を親機1に設けておき、ゾーンアドレスの設定を行う際に、明るさセンサと明るさセンサが制御の対象とする照明器具3に同一のゾーンアドレスを設定する。明るさセンサと照明器具3とに、このような関連付けを行うことによって、親機1を介さずに明るさセンサから照明器具3に対して調光レベルを直接伝送することが可能になる。人感センサに基づく制御は、実施形態6または実施形態7と同様の動作になる。
本実施形態の構成では、親機1に設けた調光シーン設定テーブルにおいて「連動禁止」の設定を可能とし、「連動禁止」が設定されているゾーンZ11,Z12に対しては、親機1において調光シーン設定テーブルに対して調光レベルの設定を禁止するとともに、親機1から照明器具3への調光レベルの送信も禁止する。一方、明るさセンサと明るさセンサの制御対象である照明器具3とには同じゾーンアドレスを設定し、明るさセンサから照明器具3に調光レベルを直接伝送する。このような動作によって、センサ8に連動させて照明器具3の調光レベルを制御する際に、すべてのセンサ8での検出情報を親機1に通知する場合に比較して、親機1での信号処理の負荷が軽減されるとともに、信号線4のトラフィックを低減することができ、とくに明るさセンサの検出値のように連続的に伝送する場合に、親機1における信号処理の負荷および信号線4のトラフィックの軽減効果が高くなる。他の構成および動作は実施形態6と同様である。
(実施形態9)
本実施形態は、特定の照明器具3に設定されているゾーンアドレスの確認を容易にするための技術であって、特定のゾーンZ1〜Z6に属する照明器具3のゾーンアドレスを取得するために、親機1との間で無線(赤外線または電波)によるデータ通信が可能なリモコン装置9を用いる。リモコン装置9は親機1の動作モードを切り換える機能と、親機1からゾーンアドレスを受信する機能を有する。
リモコン装置9は、図11に示すように、マイコンを用いた制御部90を備え、スイッチからなる操作部91の操作に対応した処理を行う。制御部90には通信部92が接続され、通信部92では赤外線または電波を媒体として双方向のデータ通信を行う。また、制御部90には、必要に応じて液晶表示器のような表示部93が接続される。表示部93を設ける場合には、通信部92で受信した受信内容を表示する。また、表示部93に代えて受信を報知するブザーを設けてもよい。リモコン装置9の内部回路には電池を備えた電源部94から給電される。
本実施形態では、図12に示すように、各照明器具3に、それぞれ個別のアドレスが設定されており(照明器具3の個別のアドレスを「ADD:n」という形で示している)、また、各照明器具3および各センサ8にはそれぞれ異なるゾーンアドレスが設定されているものとする。個別のアドレスおよびゾーンアドレスは、照明器具3およびセンサ8に設けた不揮発性のメモリからなる記憶部に格納される。センサ8としては人感センサを用いる。図12に示す例では、24台の照明器具3を配置し、4台の照明器具3ごとに1台のセンサ8を配置している。つまり、照明器具3は4行6列になるようにマトリクス状に配列してあり、2行2列の照明器具3によって1つのゾーンZ1〜Z6を形成し、各ゾーンZ1〜Z6の中央にセンサ8を配置してある。
リモコン装置9を用いて各照明器具3のゾーンアドレスを獲得する手順を以下に説明する。この作業を行うために、まず、リモコン装置9を操作することによって親機1を特定情報取得モードに移行させる。リモコン装置9は、親機1に対して特定情報取得モードへの切換を指示すると一定時間後に受信待機の状態に移行する。
一方、リモコン装置9から特定情報取得モードへの移行が指示された親機1は、すべての照明器具3およびセンサ8に対して、特定情報取得モードのコマンドを送信する。照明器具3およびセンサ8は特定情報取得モードのコマンドを受信すると、その時点の制御状態を変更することなく維持する。ただし、後述するようにリモコン装置9を携帯する使用者が所望のセンサ8の近傍に到達するまでは特定情報取得モードに移行しないように、特定情報取得モードのコマンドを受信した照明器具3およびセンサ8では、一定時間後にモードの移行を実施する。
リモコン装置9を携帯する使用者が所望のセンサ8の近傍(センサ8を含むゾーンZ1〜Z6内)に移動し、手を振るなどの動作を行うことによって、当該センサ8において人の存在が検出される(ここでは、焦電型赤外線センサのような微分型の検知部81を備えている場合を想定している)。センサ8では、特定情報取得モードにおいて人を検出すると、人の検出をゾーンアドレスとともに親機1に通知する。親機1には、照明器具3およびセンサ9のゾーンアドレスとゾーンZ1〜Z6との対応関係があらかじめ記憶されているから、センサ8からゾーンアドレスが通知されると、どのゾーンZ1〜Z6に対応するかを読み出す。また、ゾーンZ1〜Z6がわかれば、ゾーンZ1〜Z6に属する照明器具3の固有のアドレスやゾーンアドレスを親機1の記憶内容から獲得することができる。
親機1においてゾーンZ1〜Z6が特定されると、親機1は特定情報取得モードを解除するコマンドを各照明器具3およびセンサ8に送信する。つまり、照明器具3およびセンサ8は通常の動作が可能になる。このように、親機1においてゾーンZ1〜Z6を獲得した後に特定情報取得モードをすぐに解除しているのは、特定情報取得モードを長時間にわたって継続すると、親機1に対して人の検出が何度も通知され、親機1での処理が煩雑になるからである。
特定情報取得モードの解除後に、親機1は、センサ8のゾーンZ1〜Z6を受信したことをリモコン装置9に通知する。リモコン装置9では、親機1からの通知を受信すると、受信待機の状態から送信可能な状態に復帰する。ここに、親機1が獲得したゾーンZ1〜Z6と照明器具3の個別のアドレスおよびゾーンアドレスとは親機1に表示してもよいが、親機1からリモコン装置9にゾーンZ1〜Z6と照明器具3の固有のアドレスとゾーンアドレスとを転送することによってリモコン装置9にゾーンZ1〜Z6と照明器具3の固有のアドレスおよびゾーンアドレスを表示するようにすれば利便性が高まる。
なお、上述した例では、リモコン装置9を送信可能な状態と受信待機の状態とに切り換えるようにしているが、リモコン装置9において送信と受信とを各別に行うことを可能とした構成であれば、状態の切換は必ずしも必要ではない。もっとも、受信待機の状態においてノイズを受信することによる誤動作を生じることもあるから、受信待機の期間を制限するほうが不要な情報を受信する可能性を低減することができる。
上述した構成を採用することにより、センサ8が属するゾーンZ1〜Z6と照明器具3の固有のアドレスおよびゾーンアドレスとを容易に獲得することができ、利便性が高くなる。すなわち、一般的に照明器具3およびセンサ8に設定した固有のアドレスやゾーンアドレスを取得しようとすれば、これらの情報の設定時に紙などに書き写すような作業が必要であるが、本実施形態の構成を採用することによって、リモコン装置9を用いて必要な情報を必要なときに獲得できるから、書き写しの作業が不要になる。また、リモコン装置9の操作によって獲得される照明器具3の個別のアドレスとゾーンアドレスとセンサ8のゾーンアドレスとは、人の位置に対応付けられるから、位置情報を親機1などに登録しておく必要がなく、親機1でのデータの設定作業が容易になる。また、親機1またはリモコン装置9において獲得した情報を表示させるから、照明器具3やセンサ8に表示する必要がなく、照明器具3やセンサ8に表示用の部材を設けることによるコスト増が生じない。
なお、人感センサに代えて明るさセンサを用いるようにし、明るさセンサに対して光ビームを照射するなどして明るさセンサを指定すれば、明るさセンサを人感センサと同様に用いることが可能である。また、上述の例は、照明器具3のゾーンアドレスとセンサ8のゾーンアドレスとが異なる場合を例示したが、両者が同じである場合には、センサ8のゾーンアドレスが明器具3のゾーンアドレスであるから、親機1においてセンサ8のゾーンアドレスをゾーンZ1〜Z6に対応付けて登録する作業が不要になる。他の構成および動作は他の実施形態と同様である。
(実施形態10)
実施形態9ではリモコン装置9が親機1ととの間で無線によるデータ通信を行っているから、リモコン装置9と親機1との間の距離が大きくなることがあり、低コストで実現できる赤外線を伝送媒体とするときにデータ通信が困難になることがある。そこで、本実施形態では、照明器具3からリモコン装置9に対して赤外線によるデータ通信を可能としている。また、照明器具3にはセンサ8から人の検出が通知される端子が信号線4に接続される端子とは別に設けられる。また、リモコン装置9には表示機能を備えるものを用いる。
実施形態9と同様に、リモコン装置9から親機1に対して特定情報取得モードを指示し、リモコン装置9を携帯する使用者が所望のセンサ8の近傍に移動し当該センサ8によって検出されると、センサ8のゾーンアドレスが親機1に通知される。本実施形態では、センサ8が人を検出すると、センサ8と同ゾーンZ1〜Z6(図12参照)に配置された照明器具3に対しても人の検出を通知するのであって、照明器具3ではセンサ8から人の検出が通知されると、リモコン装置9に対して無線によって個別のアドレスやゾーンアドレスを通知する。リモコン装置9は照明器具3から情報を受け取ると、送信可能な状態に復帰する。また、親機1にはセンサ8から人の検出が通知されているから、親機1において特定情報取得モードの解除が可能になる。
このような構成を採用することによって、親機1とリモコン装置9との間のデータ通信の経路のうち無線を用いる距離が短くなり、比較的広い空間であってもリモコン装置9において赤外線を伝送媒体に用いることが可能になる。
本実施形態では、照明器具3はリモコン装置9に対しては無線による送信のみを可能としているのであって、リモコン装置9から無線による指示を受信してゾーンアドレスをリモコン装置9に直接返送する機能は設けていない。これは、リモコン装置9から赤外線によって照明器具3に対する指示を与えると、複数台の照明器具3が指示を受信する可能性があり、どの位置の照明器具3が指示を受信したかを特定することができなくなるからである。一方、このような混信を避けるには、特定の照明器具3にのみリモコン装置9からの指示を受ける受信部を設けることが考えられるが、照明器具3の設置時に照明器具3ごとに配置を考慮することが必要になり、施工作業が面倒になる。また、無線として電波を用いる場合には、電波法の規定によって、送信元および送信先のIDをあらかじめ登録しなければならず照明器具3の台数が多くなれば登録作業が面倒である。さらに、IDを登録する必要のない微弱な電波を使用することも考えられるが、この場合には赤外線を用いる場合と同様な問題が生じる。
本実施形態では、センサ8により人が検出されると、センサ8と同ゾーンZ1〜Z6に属する照明器具3から固有のアドレスやゾーンアドレスがリモコン装置9に表示されるから、混信の可能性がなく、しかも赤外線を伝送媒体として用いることができるから、比較的低コストで実現できる上に施工時の手間が低減される。他の構成および動作は実施形態9と同様である。
なお、本実施形態において、リモコン装置9が獲得した情報を、作業の終了後に無線を用いて親機1に伝送することによって親機1に表示させるようにすることも可能である。この場合、リモコン装置9からはゾーンアドレスのみを親機1に伝送すれば、親機1に格納されているデータをゾーンアドレスで検索することにより必要な情報を親機1に表示することができる。
実施形態9、実施形態10では、ゾーンアドレスをリモコン装置9によって獲得する技術について説明したが、ゾーンアドレスを獲得する目的は、当該ゾーンZ1〜Z6の照明器具3を制御することであるから、たとえば、特定情報取得モードの解除と同時にゾーンアドレスを指定して点灯や消灯といった制御内容を送信し、ゾーンアドレスにより指定されたゾーンZ1〜Z6の照明器具3において制御内容を実行してもよい。
(実施形態11)
上述した各実施形態では、親機1を1台だけ用いる場合を示したが、本実施形態では、図13に示すように、複数台(図示例は2台)の親機1a,1bを連携させる場合について説明する。以下では、各親機1a,1bに信号線4を介して接続されている照明器具3を配置した空間をフロアFa,Fbと呼ぶことにする。両フロアFa,Fbの間はフロア間仕切り51により分割可能になっている。両親機1a,1bは信号線4とは別に設けた通信線41を介して接続され、各親機1a,1bにそれぞれ設定した個別IDを用いて相互にデータ通信が可能になっている。また、各フロアFa,Fbは、それぞれ3個のエリアA1a〜A3a,A1b〜A3bを有し、各エリアA1a〜A3a,A1b〜A3b間は間仕切り5により分割可能になっている。間仕切り5とフロア間仕切り51とはともに可動であって、フロア間仕切り51が設置されている場合には、各フロアFa,Fbごとに独立して親機1a,1bが照明器具3を制御するのであって、各フロアFa,Fbごとの照明器具3の制御は実施形態6と同様になる。親機1に設けた記憶部13(図1参照)にはメイン領域とサブ領域とが設けられており、フロアFa,Fbをフロア間仕切り51により分割する際にはメイン領域のみのデータを用い、フロア間仕切り51を取り除いて両フロアFa,Fbを連結したときにはサブ領域のデータを併せて用いる。
フロア間仕切り51を用いる場合の動作は実施形態6と同様であるから、以下では、フロア間仕切り51を取り除いて両フロアFa,Fbを1つの空間として使用する場合について説明する。この場合、まず親機1a,1bに対してフロア間仕切り51を取り除いたことが通知される。フロア間仕切り51を取り除いたことの通知は、各親機1a,1bを操作することによって行うことができるが、フロア間仕切り51の位置を検出する手段(実施形態2,3などにおいて説明した位置検出部や測距センサなど)によって通知を自動化するのが望ましい。両親機1a,1bでは通信線41を通して互いの個別IDを交換することによりリンクを確立する。
リンクが確立されると親機1a,1bにおいて記憶部13のメイン領域に格納されている調光シーン設定テーブルのデータのうち、各親機1a,1bが管理している各エリアA1a〜A3a,A1b〜A3bを形成するゾーンZ11a,Z12a,Z21a,Z22a,Z31a,Z32a,Z11b,Z12b,Z21b,Z22b,Z31b,Z32bのゾーンアドレスと、各ゾーンアドレスに調光レベルが設定されているか否かの情報を交換し、各親機1a,1bでは互いに他方の親機1a,1bから受け取った情報を、他方の親機1a,1bに関する管理情報として記憶部13のサブ領域に格納する。
たとえば、各親機1a,1bにおいて記憶部13のメイン領域に表5、表6のような調光シーン設定テーブルがそれぞれ設定されているとすると、親機1aから親機1bに送信される情報によって親機1bのサブ領域に格納される管理情報は、表7のようになる。
上述のようにして、各親機1a,1bが互いに他方の親機1a,1bの調光シーン設定テーブルにおいて各ゾーンアドレスに調光レベルが設定されているか否かの情報を持つことによって、互いに他方の親機1a,1bに設定されている情報を利用することが可能になる。つまり、親機1a,1bに対して信号線4を通して接続されていない照明器具3であっても、互いに他方の親機1a,1bを通して制御することが可能になる。
いま、親機1bを用い、親機1aが管理しているフロアFa内のゾーンZ11a,Z12aに属する照明器具3に調光レベルを与える場合を例として説明する。親機1bの記憶部13のサブ領域には親機1aから伝送された管理情報が格納されており、ゾーンZ11a,Z12aの照明器具3を親機1aによって制御可能であることを認識しているから、ゾーンZ11a,Z12aの照明器具3を制御対象として選択することができる。実施形態1において説明したように、各ゾーンZ11a,Z12aについては5種類のシーンS1〜S5を選択可能であるから、親機1bにおいてフロアFaのゾーンZ11a,Z12aについて、シーンS1を選択することができる。
親機1bがフロアFaのゾーンZ11a,Z12aについてシーンS1を選択すると、親機1b(制御部10(図1参照))では、親機1aの個別ID(M−ID)とゾーンZ11a,Z12aのゾーンアドレス(Z−ADD)と選択したシーンの種類(SC)とを含む電文を生成し、この電文に図14に示すようにスタートビットSTとストップビットSPとを付加した形式の伝送信号を、親機1bから親機1aに対して通信線41を通して送信する。親機1aでは、親機1bから送信された図14のような伝送信号を受信すると、個別IDによって親機1aに対する指示であることを認識し、さらにゾーンアドレス(Z−ADD)とシーンの種類(SC)とを用いて、調光シーン設定テーブルから指示内容に対応した調光レベルを抽出する。調光シーン設定テーブルから調光レベルを抽出した後の処理は、親機1aを単独で用いる場合と同様であって、表5に示した例では、ゾーンZ11a,Z12aに対してそれぞれ調光レベルを100%とする指示を与える。
上述したように、親機1a,1bが互いに他方の調光シーン設定テーブルで管理している照明器具3に対して調光レベルを指示する場合には、先に操作された親機1a,1bがマスタとなり、マスタからの指示を受けた親機1a,1bがスレーブとなって、各フロアFa,Fbに配置された照明器具3の調光レベルが制御される。
上述した例では、親機1a,1bが2台である場合を例示したが、親機を3台以上設ける場合でも、2台の親機1a,1bを用いる場合と同様に、各親機が互いの調光シーン設定テーブルにおけるデータの設定状態を保有することによって、どの親機からもすべての照明器具3の制御が可能になる。
本実施形態の構成を採用することによって、1つの空間に設けた照明器具3を複数台の親機で制御する場合であっても、各親機の管理下である照明器具3に対して他の親機の操作によって調光レベルを与えることができる。たとえば、1台の親機において管理可能な照明器具3の台数に制限がある場合(たとえば、信号線4のインピーダンスにより制限される場合や、親機が管理可能なアドレスの個数により制限される場合)であっても、複数台の親機を用いることによって、制限を越えた台数の照明器具3を制御することが可能になる。しかも、各親機はマスタにもスレーブにもなるから、各親機がすべての照明器具3を管理していないにもかかわらず、空間内のすべての照明器具3に対して、どの親機の操作によっても調光レベルを与えることが可能になる。その結果、各親機に設けた記憶部10(図1参照)の記憶容量を比較的小さくして低コストで提供可能としながらも、照明器具3を配置した空間の仕切方に応じて柔軟に対応することが可能になる。他の構成および動作は実施形態6と同様である。
(実施形態12)
上述した各実施形態では、照明器具3の点灯と消灯との切換と、点灯時の調光レベルの指定とを可能としているが、本実施形態は、照明器具3の点灯および消灯の際に、時間経過に伴って光出力を漸増または漸減するようにしたものである。つまり、フェードインおよびフェードアウトを可能としている。本実施形態では、図15に示すように、照明器具3を7行9列のマトリクス状に配列してあり、図の縦方向において区分することにより4個のゾーンZ1〜Z4を形成している。つまり、2行9列の照明器具3を配列した3個のゾーンZ1〜Z3と、1行9列の照明器具3を配列した1個のゾーンZ4とを形成している。また、信号線4には親機1と子機2とを1台ずつ接続しているものとする。
本実施形態の親機1は、フェードデータを記憶する機能を有している。フェードデータは時間または調光レベルの変化率として与えられており、親機1では各ゾーンZ1〜Z4に調光レベルを与えるときに、フェードインまたはフェードアウトが指定されているときには、前の調光レベルからフェードデータの時間または変化率で新たに指示された調光レベルに到達させる。フェードデータの一例を表8に示す。表8では各ゾーンZ1〜Z4に時間と変化率とを対応付けているが、時間と変化率とは一方のみでよい。時間は秒を単位とし、%で表した調光レベルの1秒当たりの変化を単位としている。
いま、フェードデータとして表8に示す時間を用いるものとし、子機2において1つのシーンを選択したときに、図16(a)に示すように、ゾーンZ1に与える調光レベルが30%から70%に変化するものとする。ゾーンZ1に対するフェードデータは1sであるから、図16(b)のように、時刻t0において各ゾーンZ1〜Z4に調光レベルが指示された時点では、ゾーンZ1の調光レベルは30%であって、時刻t0から1sの間に一定の変化率で調光レベルを70%に到達させる。つまり、調光レベルが40%変化するのに1sを要するから変化率は40%/sであり、調光レベルを指示したときに前の調光レベルと新たな調光レベルとの差が40%であるときには、変化率を40%/sと設定する場合と、時間を1sと設定する場合とは等価になる。ただし、調光レベルを指示したときに前の調光レベルと新たな調光レベルとの差が40%でなければ、フェードデータを時間で与える場合と変化率で与える場合とで光出力の変化率が異なるのは言うまでもない。同様にして、ゾーンZ2〜Z4についても、それぞれ時刻t0から2s後、3s後、4s後に与えられた調光レベルに到達する。
一方、時刻t1のようにゾーンZ1について調光レベルを70%から30%に変化させる指示を与えた場合には、ゾーンZ1では時刻t1から1s後に調光レベルが30%に達し、他のゾーンZ2〜Z4では、それぞれ2s後、3s後、4s後に与えた調光レベルに達するのである。
本実施形態のように、フェードデータを親機1に登録しておくことによって、ゾーンZ1〜Z4を単位としたフェードインおよびフェードアウトが可能になる。他の構成および動作は上述した他の実施形態と同様である。
(実施形態13)
実施形態1で説明した親機1の調光シーン設定テーブルでは、エリアA1〜A3が3個である場合に、各エリアA1〜A3ごとに5種類のシーンを選択可能とするから、1パターンについて最大では15種類分のシーンが作成される。親機1および各子機2において、15種類のすべてのシーンをそれぞれ選択できるように構成することは可能であるが、親機1および各子機2はエリアA1〜A3に対応付けて配置しているから、実施形態1の構成では、親機1と各子機2とがそれぞれ選択するシーンをエリアA1〜A3の範囲に制限している。本実施形態では、各子機2によるシーンの選択範囲を制限する技術の具体例を開示する。
図17に示すように、子機2には、設置するエリアA1〜A3を特定するためのエリア設定部23を設けている。エリア設定部23はDIPスイッチなどを用いて構成され、子機2の操作が有効となるエリアA1〜A3を規定する。たとえば、各1個のエリアA1〜A3のみを有効範囲とする場合には、エリア設定部23では各エリアA1〜A3を1つだけ選択し、子機2の操作の有効範囲を2個のエリアA1〜A3とする場合には2個のエリアA1〜A3を選択し、1台の子機2操作が3個のエリアA1〜A3に対して有効になるようにする場合にはすべてのエリアA1〜A3を選択する。各子機2では5種類ずつのシーン(エリアA1〜A3内のすべての照明器具3を消灯させるシーンを含む)の選択が可能であり、さらに各子機2にはエリア設定部23において操作の有効範囲が規定されるから、両者を組み合わせたデータを親機1に伝送することによって、親機1に登録されている調光シーン設定テーブルのシーンを特定することが可能になる。たとえば、間仕切り5によって3個のエリアA1〜A3に分割しているときには、各エリアA1〜A3に設けた子機2によって該当するエリアA1〜A3とスイッチSW2で選択したシーンの種類とが伝送され、表1に示したパターンP2のうちの1つのシーンを選択することが可能になる。
一方、親機1にはスイッチと表示部とを組み合わせて構成した子機操作禁止設定部14を設けてある。子機操作禁止設定部14は、子機2からエリア設定部23で設定されたエリアA1〜A3とスイッチSW2で選択したシーンの種類とが伝送されたときに、表9に示すような子機操作許可テーブルを参照して、操作を許可するか否かを判断する機能を有している。なお、表9における操作の欄の○は操作が有効であることを示し、×は操作が無効であることを示す。要するに、子機操作許可テーブルは、スイッチSW2が操作された子機2が有効か無効かの判断のために用いる。ここで、子機2が無効である場合には、子機2から受信した内容を破棄する。子機2においてエラーを表示する機能を持つ場合には、親機1が子機2から受信した内容を破棄したときに子機2に対してエラーの情報を返送し、子機2に表示させるようにしてもよい。
上述したように親機1において子機操作禁止設定部14を設けていることにより、1つの空間に複数台の子機2が存在するような場合に、特定の子機2のみの操作を有効にすることが可能になる。また、子機2にエリア設定部14を設けていることによって、間仕切り5によって分割されている他の空間に子機2の操作が及ぶのを禁止することができる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
(実施形態14)
本実施形態は、図18に示すように、照明器具3においてランプ31の着脱を検出するランプ着脱検出部34と、ランプ31の累積点灯時間を計時する時計部35とを設けたものである。一般に、ランプ31の光出力は累積点灯時間に伴って減少し、初期光束に対する光出力の減衰率と累積点灯時間との関係はランプ31の仕様によってほぼ一定であることが知られている。したがって、照明設計の際に初期光束に基づいて照明器具3の台数を決定すると、累積点灯時間が大きくなったときに設計通りの照度が得られなくなる可能性が生じる。また、ランプ31の交換前の最終光束に基づいて照明器具3の台数を決定すると、初期照度が高くなりすぎて無駄に電力を消費することになる。
そこで、本実施形態では、ランプ31をしている間の光束の変化を低減するために、ランプ31の交換直後においては調光レベルを低く設定し、累積点灯時間が増大するのに伴って調光レベルを高くするように制御している。時計部35は照明器具3に電源が供給されていない期間においても累積点灯時間を保存するために、EEPROMのような不揮発性メモリを内蔵している。一方、ランプ脱着検出部34は、たとえば、図19に示すように、ソケット36に押釦スイッチ37を設けることによって実現することができ、ランプ31の交換時に、押釦スイッチ37からランプ31が離れた後に、ランプ31の装着によって押釦スイッチ37が再び押されると、不揮発性メモリに蓄積された累積点灯時間がリセットされるようにしてある。なお、ランプ着脱検出部34としてソケット36に押釦スイッチ37を設ける代わりに、手操作するスイッチを設けてもよい。
照明器具3に設けた点灯回路制御部30では、親機1から調光レベルが与えられると、時計部35で計時している累積点灯時間に応じた倍率を乗じて実際の調光レベルを決定し、ランプ31の交換直後から次の交換までの間の光束を略一定に保つ。このような動作によって、各照明器具31の光出力は累積点灯時間にかかわりなく略一定に保たれるのであって、照明設計を適正に行うことが可能になり、省エネルギになる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。