JP4433140B2 - 印刷制御装置、印刷制御方法、印刷制御プログラム、色変換テーブルおよびインク量決定方法 - Google Patents
印刷制御装置、印刷制御方法、印刷制御プログラム、色変換テーブルおよびインク量決定方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷制御装置、印刷制御方法、印刷制御プログラム、色変換テーブルおよびインク量決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷装置によって形成される画像においては印刷媒体の種類によって画質が大きく異なるので、画像を印刷する際にはユーザがその用途に応じて印刷媒体の種類を使い分けることが多い。印刷媒体には多くの種類があるが、例えば、光沢紙と普通紙のように光沢の異なる媒体が存在し、写真等の高画質印刷に光沢紙を利用し、最高の画質を要求しないときに普通紙を利用するなどしている。普通紙においては、紙面上に記録されたインクが吸収されやすく、インクが吸収され過ぎて紙面が現れるなど、所望の発色が得られないことがある。そこで、従来、特許文献1に記載された色剤を含まない無色インクを有色インクと共に使用して、安定的に画質改善を行うことが行われていた(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−60059号公報
【特許文献2】
特願2003−66997号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術においては、有色インクとともに無色インクを記録するので印刷媒体が波打ったり印刷媒体上でインクのにじみが発生しやすくなってしまう。
すなわち、印刷装置においては、印刷媒体の波打ち防止、インクのにじみ防止、粒状感の低減、バンディングの防止など種々の視点に基づいて単位面積あたりに記録可能なインク記録率の上限を決めている。しかし、有色インクに対して一定の比率となるように無色インクを記録すると、インク記録率が大きな場合に印刷媒体の波打ちやインクのにじみが発生してしまう。無色インクをどのように記録するとしても、高インク記録率側での考慮なしに単純に無色インクを記録すると、印刷媒体の波打ちやインクのにじみが発生する。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することが可能な印刷制御装置、印刷制御方法、印刷制御プログラム、色変換テーブルおよびインク量決定方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明では無色インクと有色インクとをあわせた状態でのインク記録率の上限を、印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率とする。このインク記録率の制限で印刷するために、本発明では印刷に際してインク量を決定するに際して、有色インクの最大記録率を印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率より小さくし、当該最大インク記録率を限度として上記無色インクと有色インクとを上記印刷媒体に記録するように構成する。
【0006】
かかる構成により、無色インクと有色インクとをあわせた状態で印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率を超えることがないので、印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することができる。尚、有色インクの最大記録率が大きい方が有色インク無記録時と最大記録時との階調差が大きく、階調表現が豊かになり得る。しかし、本発明では、あえて有色インクの最大記録率を印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率より小さい値に抑えているので、無色インクと有色インクとをともに記録する状態で最大記録率を超えないようにすることができる。
【0007】
また、本発明においては、印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することを目的としているので、印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率としては、印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止可能な最大のインク記録率であればよいが、むろん、他の視点、すなわち、粒状感の低減、バンディングの防止を加味した状態での最大インク記録率であってもよい。
【0008】
ここで、有色インクとしては溶媒内に有色の色剤が含まれたインクであって、印刷媒体に記録されたときに有色の色として見えるインクであればよい。無色インクは、有色インクの発色性を改善させることができるインクであればよく、例えば有色インクと同様の光沢を有し、色剤が含まれないことによって無色透明のインクを採用可能である。より具体的には、特開平8−60059号公報に記載のインク等を使用することができる。これらのインクによれば、普通紙における発色ムラを低減することができるし、耐水性、耐光性を向上させることができる。さらに、有色インクの組み合わせによって表現可能な色の領域、すなわち、色域を広くすることができる。
【0009】
有色インクの記録率は、印刷装置にて使用する有色インクを複数色組み合わせて画素の色を表現する場合を含めて単位面積あたりに記録されるインクの多少を示す値であればよい。通常のコンピュータで扱う色は色成分毎に階調表現されるので、階調値0〜最大階調値までが各色毎のインク記録率0〜100%に対応しているといえる。むろん、複数色のインクカートリッジを搭載する印刷装置において、各色毎のインク記録率を0〜100%とすれば、全インクを含めた状態でインク記録率の上限が100%を超えるが、100%を超えた状態で有色インク等のインク記録率を考えてもよいし、全インクを含めた状態の上限を特定の値に規格化してもよい。いずれにしても各色毎のインク記録量を積算して印刷媒体上に記録されるインクの記録量を評価できる指標であればよい。
【0010】
インク量決定手段においては、印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率を限度として有色インクと無色インクとを印刷媒体に記録するようにインクの量を決定し、これにより、高インク記録率で過剰にインクが記録されないようにすることができればよい。このための構成としては種々の構成を採用可能であるが、例えば、インク記録率が所定値を超える所定値域において高インク記録率となるほど上記無色インクの記録率を逓減させることにより実現可能である。
【0011】
すなわち、本発明においては有色インクとともに無色インクを記録することによって普通紙における発色を向上しているので、全インク記録率において有限の無色インクを使用することが好ましい。しかし、低インク記録率から高インク記録率に渡って有色インクに対して一定の比率となるよう無色インクを記録した場合、有色インクと無色インクとの双方で印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率を超えないようにすると、有色インクの最大記録率が印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率より大きく低下してしまう。この場合、有色インクの記録率の階調値域が狭くなり、階調性が落ちてしまう。
【0012】
そこで、低インク記録率から高インク記録率に渡って有色インクに対して一定の比率となるよう無色インクを記録するとしても、インク記録率が所定値を超える所定値域においては、高インク記録率となるほど上記無色インクの記録率を逓減させる。かかる構成によれば、インク記録率が所定値を超える高インク記録率域で無色インクの使用量が逓減するものの、有色インクの最大記録率の低下を抑えることができ、階調性の低下を抑えることができる。印刷対象画像のインク量を決定する際には予め決められた色変換テーブルによって印刷対象画像の色を特定の表色系で表現した画像データについて印刷装置で使用するインクで色を指定した表色系に色変換する際に有色インクと無色インクとのインク量を決定する構成等、種々の構成を採用可能である。むろん、色変換テーブル以外にも、両表色系を関数によって対応づけたプロファイルによって色変換を行う構成等種々の構成を採用可能である。
【0013】
さらに、印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止するための構成として、有色インクと無色インクと上記印刷媒体に記録するようにインクの量を決定するに際し、吐出量が異なるインク滴に対しては所定の基準に対する無色インクの量を示す所定の比率を異なる値として各インクの量を決定する構成を採用してもよい。
【0014】
すなわち、所定の基準に対する所定の比率を規定して無色インクの量を決定する構成において、有色インクの吐出量が異なるインク滴に対して共通の比率にすると、吐出量が多いインク滴では有色インクに対して無色インクが相対的に多くなり、吐出量が少ないインク滴では有色インクに対して無色インクが相対的に少なくなる。適切な無色インク量は有色インクの吐出量に比例するとは限らず、むしろ、有色インクの増減に対して比例して無色インク量を増減すると印刷媒体の波打ちやインクのにじみが発生しやすい。
【0015】
しかし、吐出量の異なるインク滴のそれぞれについて無色インクの量を示す所定の比率を異なる値にすれば、吐出量の異なるインク滴のそれぞれについて適切に無色インクの量を調整することができる。この結果、吐出量の異なるインク滴のそれぞれにおいて確実に印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することができる。尚、所定の比率としては、有色インクのインク量に対する比率であってもよいし、単位面積当たりに記録可能なインク量に対する比率であってもよい。前者の場合は所定の基準が有色インクのインク量になるし、後者の場合は所定の基準が印刷媒体上の単位面積当たりに記録可能なインク量になる。
【0016】
インク滴の吐出量が異なる状況としては、種々の状況があり得る。例えば、インクジェットプリンタにおいてヘッドからインクを吐出する際に作用させる力の大きさを変更すれば、異なる吐出量とすることができる。このようにインクを吐出する際に作用させる力の大きさを変更する構成としてもさらに種々の状況があり、一画素に対して大中小のインク滴を吐出可能に構成する場合や、印刷モード(例えば解像度)によって一回あたりのインク滴の吐出量を変更する場合等種々の場合を含む。
【0017】
さらに、以上のように単独の印刷装置においてインク滴の吐出量を変更する他、異なる印刷装置において一回あたりのインク滴の吐出量が異なる場合について本発明を適用することも可能である。例えば、同じインクジェット駆動方式の印刷装置同士であっても、機種が異なる場合に一回あたりのインク滴の吐出量を変更することもあり、この場合に本発明を適用することによって、どのような機種においても必要充分な無色インクを使用しつつも印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することができる。
【0018】
また、インク滴の吐出量毎に無色インク量を変更するための構成例として、吐出量が多いインク滴に対する上記所定の比率を吐出量がそれより少ないインク滴より小さくする構成を採用可能である。かかる構成によれば、吐出量が大きなインク滴に対して不必要に多量の無色インクを記録することが無く、容易に印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することができる。
【0019】
さらに、所定の比率で無色インクの量を規定する際に当該所定の比率を異なる値とし、これによって異なる吐出量のインク滴で無色インクの量を略同一にする構成を採用してもよい。すなわち、有色インクとともに無色インクを記録すると発色を向上することができるが、無色インクの量が多いほど発色がよくなるのではなく、ある程度の無色インクを記録するのであれば、インク滴の吐出量が異なっていてもその効果は変わらず、発色を向上させることができる。そこで、異なる吐出量のインク滴について略同一量の無色インクとすれば、異なる吐出量のインク滴のそれぞれについて必要充分な範囲で発色を向上させることができる。また、必要以上に無色インクを記録することを防止し、発色の向上と同時に印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することができる。
【0020】
このように、異なる吐出量のインク滴について無色インクの量を略同一にするための構成として、インク滴の吐出量の逆比とそれぞれの吐出量のインク滴に対する上記所定の比率の比とを略同一とする構成を採用してもよい。この構成においては、異なる吐出量のインク滴で吐出量の多い方について上記所定の比率が相対的に小さく、吐出量の少ない方について上記所定の比率が相対的に大きく、吐出量の逆比と所定の比率の比が一致していることによって双方の無色インクの量が略同一になる。
【0021】
尚、上記所定の比率は異なる吐出量のインク滴のそれぞれについて予め決められていればよく、単位面積当たりに記録するインク滴の数の増減に応じて比率が変動してもよい。かかる構成であっても異なる吐出量のインク滴同士で単位面積当たりに記録するインク滴の数が同一である場合に上記所定の比率が異なっていれば、異なる吐出量のインク滴のそれぞれについて適切に無色インクの量を調整することができる。従って、上記請求項4,請求項5にかかる構成と請求項1〜請求項3にかかる構成の双方を組み合わせた発明を実施することが可能である。
【0022】
このように無色インクの記録量を調整する手法は必ずしも実体のある装置に限られるものではなく、請求項6に記載した発明のように方法の発明としても有効である。また、上述の印刷制御装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としては、各種の態様を含むものである。また、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
【0023】
発明の思想の具現化例として印刷制御装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用される。むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。むろん、請求項7に記載した発明のようにプログラムの発明として特定することもできる。
【0024】
さらに、一般の印刷装置においては印刷対象を示す第1画像データを取得し、印刷装置で使用するインクの使用量に対応させつつ色を特定した第2画像データに色変換して印刷を実施する場合が多い。かかる構成においては色変換テーブルによって色変換を実施しており、本発明を適用する態様として、色変換テーブルを請求項8のように構成することも可能である。すなわち、色変換テーブルによって、第2画像データによって記録されるインクの記録率が所定値を超える所定値域において高インク記録率となるほど上記無色インクの記録率が逓減するよう色変換すれば、この色変換に基づく印刷により、無色インクを使用しつつも印刷媒体の最大インク記録率を超えないようにすることができる。
【0025】
また、異なる色変換テーブルにおける第2画像データによって記録される有色インクの記録率、すなわち、変換によって特定されるインク記録率が共通である場合に異なる無色インクの記録率となるように色変換テーブルを規定しておけば、吐出量の異なるインク滴のそれぞれにおいて確実に印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することができる。
【0026】
さらに、印刷装置におけるインク量を決定する手法として請求項9にかかるインク量決定方法として発明を特定することも可能である。すなわち、印刷装置毎にインク吐出量が異なる場合や、同一機種において印刷モードが異なることによってインク吐出量が異なる場合、多階調を確保するために径の異なるインク滴を吐出するような場合において、吐出量が異なるインク滴に対して上記所定の比率を異なる値とすることにより、各場合において確実に印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷制御装置の構成:
(1−1)印刷制御処理:
(1−2)インク記録率の詳細:
(2)第2実施形態にかかるインク記録率の詳細:
(3)他の実施形態:
【0028】
(1)印刷制御装置の構成:
図1は本発明にかかる印刷制御装置となるコンピュータの概略構成を示すブロック図である。コンピュータ10は演算処理の中枢をなす図示しないCPUや記憶媒体としてのROMやRAM等を備えており、HDD15等の周辺機器を利用しながら所定のプログラムを実行することができる。コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ18も接続されている。さらに、プリンタ40とはUSB用I/O19bを介して接続されている。
【0029】
本実施形態におけるプリンタ40は複数色のインクを充填するインクカートリッジを色毎に着脱可能な機構を備えており、この機構にCMYKlclmCL(シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック,ライトシアン,ライトマゼンタ,無色インク(クリアインク))の各インクのカートリッジ41a〜41gを搭載する。CMYKlclmの各インクは溶媒内に有色の色剤が混入しており、印刷媒体に記録されたときに各色剤の色を発色する有色インクである。プリンタ40においては、これらの有色インクを組み合わせて多数の色を形成可能であり、これにより印刷媒体上に画像を形成する。
【0030】
CLインクはこれら有色インクで形成される画像の画質を向上するためのインクであり、本実施形態においては各有色インクと同様の光沢を有するとともに溶媒内に有色の色剤が存在しないことによって無色になっている。当該CLインクは有色インクとともに使用されることにより、インクが印刷媒体内に含浸しやすい普通紙であっても有色部分に光沢を付加することができ、発色を改善することができる。具体的には、CLインクを使用しない状態と比較してプリンタ40にて印刷可能な色の色域を広くすることができる。
【0031】
尚、CLインクはこのような光沢の付加以外にも種々の利点があり、有色インクに付加されることにより、有色インクのみの状態と比較して耐水性、耐光性を向上することが可能である。本実施形態におけるプリンタ40は、いわゆるインクジェット方式のプリンタであり、各インクが充填されたヘッドの内部でインクに対して力を作用させ各インクを吐出する。このとき、ピエゾ素子に対して電圧を印加してインクに対して吐出力を作用させてもよいし、ヘッド内でバブルを形成してインクに対して吐出力を作用させてもよい。
【0032】
本実施形態としては、CMYKlclmCLの各インク滴の吐出量が一定の場合について説明するが、むろん、インク滴の吐出量を3段階に変化させる構成など種々の構成に本発明を適用することが可能である。また、インクジェット方式の他にもレーザー方式等、種々のプリンタに対して本発明を適用可能である。さらに、図1に示すようにCMYKlclmの6色の有色インクを使用する構成が必須ではなく、CMYKの4色やCMYKlclmDY(ダークイエロー)の7色を使用する構成であってもよい。むろん、他の色、例えばR(レッド)やV(バイオレット)をlclmインクの代わりに使用してもよいし、Kインクについて濃淡インクを使用してもよい。
【0033】
本コンピュータ10の構成は簡略化して説明しているが、パーソナルコンピュータとして一般的な構成を有するものを採用することができる。むろん、本発明が適用されるコンピュータはパーソナルコンピュータに限定されるものではない。この実施形態はいわゆるデスクトップ型コンピュータであるが、ノート型であるとか、モバイル対応のものであっても良い。また、コンピュータ10とプリンタ40の接続インタフェースも上述のものに限る必要はなくパラレルインタフェースやSCSI接続,無線接続など種々の接続態様を採用可能であるし、今後開発されるいかなる接続態様であっても同様である。
【0034】
さらに、本実施形態においてはコンピュータ10によって印刷制御装置を構成しているが、プリンタ40に搭載するプログラム実行環境によって本発明にかかる印刷制御処理を実施可能に構成し、プリンタ40に対して直接的に接続されるデジタルカメラから画像データを取得して印刷制御処理を行ってもよい。むろん、同様の構成においてデジタルカメラにて印刷制御処理を実施してもよいし、他にも分散処理によって本発明にかかる印刷制御処理を実施するなど種々の構成を採用可能である。画像を取り込むスキャナと画像を印刷するプリンタとが一体となったいわゆる複合機において本発明にかかる印刷制御処理を行ってもよい。
【0035】
本実施形態にかかるコンピュータ10では、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ18における画像データ等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。
【0036】
APL25は、カラー画像のレタッチ等を実行可能なアプリケーションプログラムであり、利用者は当該APL25の実行下において上記操作用入力機器を操作して当該カラー画像をプリンタ40にて印刷させることができる。すなわち、APL25は利用者の指示によりHDD15に記録された画像データ15aをRAMに読み出して、ディスプレイDRV23を介して当該画像データ15aに基づく画像をディスプレイ18上に表示させる。利用者が上記入力機器を操作するとその操作内容が入力機器DRV22を介して取得されて内容が解釈されるようになっており、APL25はその操作内容に応じて印刷指示やレタッチなど種々の処理を行う。
【0037】
上記画像データ15aはRGB(レッド,グリーン,ブルー)の各色成分を階調表現して各画素の色を規定したドットマトリクス状のデータであり、本実施形態では各色256階調であり、sRGB規格に従った表色系を採用した画像データである。本実施形態においてはこの画像データ15aを例にして説明するが、YCbCr表色系を採用したJPEG画像データやCMYK表色系を採用した画像データ等、種々のデータを採用可能である。むろん、Exif2.2規格(Exifは社団法人電子情報技術産業協会の登録商標)に準拠したデータ、Print Image Matching(PIM:PIMはセイコーエプソン株式会社の登録商標)に対応したデータ等について本発明を適用することもできる。
【0038】
APL25にて印刷指示がなされると上記PRTDRV21が駆動され、PRTDRV21はディスプレイDRV23にデータを送出して、印刷媒体や画質,印刷速度などの印刷条件を示す情報を入力させるための図示しないUIを表示する。上記キーボード31やマウス32等を操作して利用者が当該UIにて印刷に必要な情報を入力すると、上記PRTDRV21の各モジュールが起動され、各モジュールによって上記画像データ15aの各画素データに対する処理が実施され、印刷データが生成される。生成された印刷データはUSB用I/O19bを介してプリンタ40に出力され、プリンタ40は当該印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0039】
(1−1)印刷制御処理:
より具体的には、PRTDRV21は印刷を実行するために画像データ取得モジュール21aと色変換モジュール21bとハーフトーン処理モジュール21cと印刷データ生成モジュール21dとを備えており、図2に示すフローに従って印刷制御処理を実施する。上記APL25で画像データ15aを読み出し、レタッチ処理等の後に印刷実行指示がなされると、上記PRTDRV21が起動される。そして、上記画像データ取得モジュール21aは上記APL25によって印刷実行指示がなされた画像を示す画像データ15aをステップS100にて取得する。このとき、画像データ15aの画素数に過不足があれば印刷に必要な画素を確保するため適宜解像度変換処理を行う。
【0040】
色変換モジュール21bは各画素の色を示す表色系を変換するモジュールであり、HDD15に記録されたLUT(色変換テーブル)15bを適宜参照して画像データ15aのsRGB表色系をプリンタ40が搭載するインク(CMYKlclmCL)を成分とするCMYKlclmCL表色系に変換する。ここで、実際に色を発色するのはCMYKlclmの各インクであるが、CLインクを記録する状態と記録しない状態とでは印刷媒体上の発色が変わるので、CLインクが無色であるものの、CMYKlclmCL表色系としてCLが含まれた状態に変換することを色変換としている。
【0041】
LUT15bはsRGB表色系とCMYKlclmCL表色系とのそれぞれによって色を表現するとともに両者を対応づけ、複数の色についてこの対応関係を記述したテーブルである。従って、sRGB表色系で表現した任意の色に関し、その周りの色であってLUT15bに規定されたsRGBの色を参照すれば補間演算によって当該任意の色に対応したCMYKlclmCL表色系の色を算出することができ、色変換を実施することができる。
【0042】
尚、本実施形態におけるLUT15bは、CMYKlclmCLの各インクを組み合わせて得られる複数の色についてパッチを印刷し、当該パッチを測色することによってRGB表色系での色との対応関係を規定して作成されているが、本発明においてかかる構成が必須になるわけではない。すなわち、本発明においては有色インクとともに無色インクを記録して印刷する構成において、インク記録率が所定の値を超える値域で無色インクの記録率を逓減させ、または異なる吐出量のインク滴について所定の基準に対するCLインクの比率を変更することができればよい。従って、LUTにおいてはCLインクを除いたCMYKlclm表色系とsRGB表色系について対応関係を規定し、色変換後のCMYKlclmデータからインク記録率を算出すると共に、各インク記録率に応じてCLインクを付加する構成を採用してもよい。
【0043】
色変換モジュール21bはステップS110,S120にて上述の色変換を実施しており、ステップS110においてHDD15からLUT15bを取得し、ステップS120において当該LUT15bを参照した補間演算によって色変換を実施する。すなわち、印刷対象の画像を示す画像データにおいてはsRGB表色系で各画素の色を表現しており、LUTを参照して各画素の色の周りに存在する色を抽出し、補間演算を実施して各画素の色をCMYKlclmCL表色系で表現した色に変換する。
【0044】
色変換処理によって生成されたCMYKlclmCLデータは各色成分についての階調データであり、色成分毎のインク記録率に相当する。LUT15bは後述するように、高インク記録率(高階調)で有色インクに対してCLインクを過剰に付加しないように作成されている。従って、当該LUT15bを参照した色変換により、過剰なCLインク量とならないように色変換を実施することができる。
【0045】
尚、本明細書においては説明を省略したが、印刷媒体や解像度毎に異なるLUTを予め用意しておくことも可能であるので、ステップS110においては印刷モードや印刷条件等を示すデータによって印刷媒体や解像度を把握し、対応するLUTを選択するように構成してもよい。ハーフトーン処理モジュール21cは、CMYKlclmCL表色系で表現された各画素の階調値を変換してインク滴の記録密度で表現するためのハーフトーン処理を行うモジュールであり、ステップS130にてこのデータに基づいてハーフトーン処理を行う。すなわち、プリンタ40の各画素についてインク滴の吐出/非吐出を決定する。
【0046】
さらに、印刷データ生成モジュール21dはかかるハーフトーン処理後のデータを受け取って、ステップS140において各データがプリンタ40で使用される順番に並べ替え、ステップS150では一回の主走査にて使用されるデータをプリンタ40に出力する。すなわち、プリンタ40においてはインク吐出デバイスとして吐出ノズル列が搭載されており、当該ノズル列では副走査方向に複数の吐出ノズルが並設されるため、副走査方向に数ドット分離れたデータが同時に使用される。そこで、主走査方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンタ40にて同時にバッファリングされるようにステップS140にて順番に並べ替える。
【0047】
ステップS150では、印刷データ生成モジュール21dが並べ替え処理後のデータに画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、上記USB用I/O19bを介してプリンタ40に出力する。ステップS160では画像を構成する全ラスタについて処理が終了したか否かを判別し、全ラスタについて処理が終了したと判別されるまでステップS100を繰り返す。全ラスタについて処理が終了すると、プリンタ40に対して画像を形成するために必要なすべてのデータ転送され、プリンタ40にて印刷媒体上に画像が形成される。
【0048】
(1−2)インク記録率の詳細:
本発明では、上述のように高インク記録率で有色インクに対してCLインクを過剰に付加しないようにLUT15bを作成しており、以下有色インクに対して無色のCLインクを付加する様子を具体的に説明する。本実施形態においては、有色インクとCLインクの総量が印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率を超えないようにLUT15bを作成している。図3はこの様子を説明する説明図である。図3(a),(b)ともに横軸は有色インクのインク記録率であり、図3(a)の縦軸はCLインクの記録率であり、図3(b)の縦軸もインク記録率であり、CLインクの記録率と有色インクの記録率を加えあわせた値を細線,有色インクの記録率を太線にて示している。
【0049】
ここで、各色インクの記録率の値域は0〜100%であり、各色のCMYKlclmCLデータの階調値域0〜255と一対一に対応する。すなわち、各色の階調値は上記ハーフトーン処理によって階調値の大きさに応じた単位面積当たりのインク記録率でドットを吐出するように変換されるので、上記LUT15bに規定された各色の階調値から各色のインク記録率を評価することができる。従って、LUT15bに規定されたCMYKlclmCLの階調値から得られるインク記録率についてCLインク単独で評価すればCLインクの記録率となるし、CMYKlclmインクについて足し合わせれば有色インクの記録率となるし、CMYKlclmCLインクについて足し合わせればCLインクの記録率と有色インクの記録率を加えあわせた値となる。
【0050】
但し、図3の横軸については、全インク色について100%のインク記録率でインクを記録した状態を100%として規格化している。本実施形態において、印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率は当該規格化したスケールで50%であり、この50%を超えると印刷媒体の波打ち、インクのにじみ、粒状感の悪化、バンディングが生じ得る。一方、有色インクについては、印刷媒体に記録しない状態から印刷媒体に対して最大限インクを記録した状態で表現可能な色の範囲が決まり、なるべく多くのインクを記録すると色域が大きくなって階調性が向上する。
【0051】
しかし、一般に、各有色インクは印刷媒体上に多く記録されるほどインク記録率の増加に対する明度変化が小さくなる。従って、高階調域で有色インクの最大記録率を印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率より小さくしても色域の大きさに与える影響は少ない。そこで、本発明においては、高階調域で有色インクの最大記録率を印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率より5%小さくし、有色インクの最大記録率を45%としている。この程度であれば有色インク記録率を小さくしても広い色域を維持することができる。この様子は、図3(b)の太線にて示している。
【0052】
このように広い色域を維持した有色インクに加えてCLインクを記録することによってさらに色域を大きくすることができ、本実施形態において、高インク記録率域以外では有色インクがどのような値であったとしてもCLインクを略一定の割合で記録している。すなわち、CLインクの記録率は図3(a)に示すように、有色インク記録率が所定値40%を超えるまでは一定値10%であり、所定値40%を超えると逓減し、有色インク記録率が45%になるとCLインクの記録率が5%となる。従って、有色インクの記録率が45%である時にCLインクの記録率である5%を加えると50%となり、印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率に一致する。
【0053】
この様子が図3(b)の細線に示してある。同図に示すようにCLインクおよび有色インクの記録率を加えあわせたものは、全インク記録率域に渡って50%を超えることが無く、印刷媒体の波打ち、インクのにじみを防止するとともに粒状感の悪化およびバンディングも同時に防止することができる。尚、本実施形態において、有色インクを使用しない場合(有色インク記録率が0)にはCLインクも記録しないようになっているが、印刷媒体の波打ち、インクのにじみを防止するためには、高インク記録率(図3においては40%以上)以外の領域において種々の構成を採用可能であり、図3に示す構成には限定されない。
【0054】
(2)第2実施形態にかかるインク記録率の詳細:
上記第1の実施形態においては、インク滴の吐出量が一定の場合について広い色域を確保しながら印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止する構成を採用していたが、印刷媒体の波打ちやインクのにじみを防止するという意味では、異なるインク滴の吐出量に対する対策を講じると好ましいことがある。そこで、異なるインク滴の吐出量について考慮した構成を第2実施形態として説明する。
【0055】
インク滴の吐出量が異なる構成としては、単独のプリンタにおいてモードによってインク滴の吐出量を変更するような場合や、複数のプリンタのそれぞれにおいてデフォルトの吐出量が異なる場合など、種々の場合がある。前者の場合としては、例えば、同じ機体において解像度や印刷媒体の種類が異なる場合が該当し、上記図1に示す構成と同様のハードウェア構成によって実現可能である。
【0056】
但し、異なる吐出量のインク滴毎に、CLインクの有色インクに対する比率を異なる値とするため、HDD15には異なる吐出量のインク滴のそれぞれに対応させたLUTを記録しておく。印刷制御処理としても図2に示す処理とほぼ同様であるが、ステップS110においてはプリンタ40でのインク滴の吐出量に応じたLUTを選択する。むろん、モード毎に異なるLUTを選択する構成と等価である。
【0057】
後者の場合としては、例えば、各インク滴の吐出量がプリンタの機種毎に異なる場合が該当し、各プリンタを制御する印刷制御装置としては、上記図1と同様のハードウェア構成によって実現可能である。各印刷制御装置において、HDD15には各プリンタにおけるインク滴の吐出量に応じたLUTを記録しておく。いずれにしても、異なる吐出量のインク滴毎に異なるLUTが予め用意され、HDD15に記録されており、図4,図5においてはそれぞれのLUTをLUT150a,150bとして示している。
【0058】
図4は、異なる吐出量のインク滴における異なるLUT150a,150bでのインク量を説明する説明図であり、図5はLUT150a,150bでのインク記録率を説明する説明図である。図4の左側に示すようにLUT150a,150bではRGBデータとCMYKlclmCLデータとを対応づけており、本実施形態において、CLインクの付加量は図5(a)に示すようにCLインク記録率によって決められている。すなわち、上記図3(a)と同様に、有色インクの記録率に対して高インク記録率(40%以上)の値域以外では略一定のインク記録率となっている。
【0059】
但し、インク記録率が略一定の値であっても、LUT150a,150bのそれぞれで比較すると当該略一定の値は相互に異なる値であり、図5(a)に示すように前者が10%、後者が7.5%である。尚、有色インクの高インク記録率域とインク記録率0に対するCLインク記録率は図3と同様に決められている。すなわち、有色インク記録率0に対してはCLインク記録率も0となり、高インク記録率域に対してはCLインク記録率が逓減するようにしてある。以上のように、本実施形態においては、異なる吐出量のインク滴毎にCLインクの記録率を異なる値にして有色インクに付加しており、これにより各インク滴のそれぞれについて好ましい量でCLインクを記録することができる。
【0060】
すなわち、粒状感を感じさせず、バンディングを発生させないために印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率(図5に示す例では50%)が与えられたとき、CLインクと有色インクの記録率の和がこの最大インク記録率以下であってもCLインクの付加によって印刷媒体の波打ちやにじみが生じてしまうことがある。また、この印刷媒体の波打ちやにじみが生じ得るCLインク記録率はインク滴の吐出量毎に異なることがある。
【0061】
特に、にじみについては有色インクに対してCLインクを付加することによって有色インク内の色剤が凝集し易くなったり、隣り合う2色の関係(例えば、黒と黄色とではにじみが目立つ等)によってにじみの程度が異なるなど種々の調整が必要であり、異なる吐出量のインク滴について共通の比率でCLインクを付加すればよいとは限らない。そこで、インク滴の吐出量毎にCLインク記録率を異なる値とすることにより、各吐出量毎に好ましい量のCLインクとすることができ、印刷媒体の波打ちやにじみを防止することができる。
【0062】
図4の右側においては、LUT150a,150bのそれぞれに規定された階調値によって記録されるインク量を有色インクとCLインクとについて示している。この例では、LUT150a,150bのそれぞれについて有色インクの階調値が共通であり、そのハーフトーン処理後のインク記録率も共通である場合について示している。有色インクのインク記録率が共通であるとしてもこの例では各LUT150a,150bに対するインク滴の吐出量が異なるので、有色インクの吐出量は異なる。
【0063】
本実施形態では有色インクの階調値が共通であるものに対してCLインクの階調値が異なる値CLa,CLbとなっており、これによりCLインクの記録率が異なる値(それぞれ10%,7.5%)となっている。CLインクの記録率が異なる値となっていることにより、それぞれ任意のCLインク量とすることができるが、本実施形態においては、両者が略同一のインク量になるようにしている。これは、有色インクの色毎の吐出インクに対して一定の比率となるようにCLインクを記録するより、むしろ、絶対量として所定のCLインクを記録する方が適切である例が存在することを示している。
【0064】
これにより、異なる吐出量のインク滴において印刷媒体の波打ち、インクのにじみを防止するとともに粒状感の悪化およびバンディングも同時に防止することが可能になる。むろん、CLインクのインク量が厳密に等しいことが必要とされるのではなく、異なる吐出量のインク滴に対して略同一のインク量にするとしても±1%以内で差異が生じることを許容し、さらに細かい調整を行うと好ましい。
【0065】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態においては、LUTに規定するCLインクの階調値を調整することによってCLインクのインク記録率を調整し、有色インクとCLインクとの記録率の和が印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率以内になるようにしたり、吐出量が異なるインク滴に対してはCLインクの有色インクに対する比率を異なる値にしたりしていたが、むろん他の構成を採用することも可能である。例えば、プリンタにおいてインクを吐出する際にインクに作用させる力を調整することによって実現することも可能である。
【0066】
図6は、ピエゾ素子に電圧を印加することによってインク滴を吐出させるプリンタPa,Pbにおいて、プリンタPa,Pbにてインク滴の吐出量が異なる場合について例示する図である。同図において、CMYKlclmCLの各色インクを吐出するヘッドを矩形によって模式的に示しており、CMYKlclmの有色インクを吐出するヘッドのピエゾ素子に対して所定の電圧波形を印加することにより、プリンタPaではA(ng),プリンタPbではB(ng)の各有色インクを吐出することを示している。尚、同図に示す例ではA>Bである。
【0067】
同図に示す例ではプリンタPaでは有色インクの吐出量Aに対してα%の吐出量となるようにCLインクを吐出するヘッドのピエゾ素子に対する印加電圧を調整し、プリンタPbでは有色インクの吐出量Bに対してβ%の吐出量となるようにCLインクを吐出するヘッドのピエゾ素子に対する印加電圧を調整している。これによりプリンタPaではa(ng)のCLインクが吐出され、プリンタPbではb(ng)のCLインクが吐出され、本実施形態においては、このインク吐出量がa,bが略同一になるようにしている。
【0068】
すなわち、有色インクに対するCLインクの吐出量比率をα<βとして異なる値にすることによって、有色インクの吐出量が異なる構成においてCLインクの吐出量を略同一になるようにしている。これにより、プリンタPa,Pb毎にCLインクの吐出量を調整することが可能になり、印刷媒体の波打ち、インクのにじみを防止するとともに粒状感の悪化およびバンディングも同時に防止することが可能になる。プリンタPa,Pbによって以上のインク吐出量とするには、プリンタあるいはコンピュータにおいて、有色インクの吐出量A,Bに対して上記a,bを示すデータを対応づけて保持し、あるいは上記α,βを示すデータを対応づけて保持し、このデータを参照しつつ印刷時に有色インクの吐出量A,Bに対してCLインクを調整しつつ印刷を実行すればよい。
【0069】
尚、図6に示す構成においても、むろん、CLインクのインク量が厳密に等しいことが必要とされるのではなく、異なる吐出量のインク滴に対して略同一のインク量にするとしても±1%以内で差異が生じることを許容し、さらに細かい調整を行うと好ましい。また、ピエゾ素子に対する印加電圧を調整することによって、有色インクの最大記録率を印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率より小さくし、印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率を限度として上記CLインクを加えつつ上記印刷媒体に記録する各インクの量を決定する構成を採用してもよい。
【0070】
さらに、上記プリンタPa,Pbはピエゾ素子に対して電圧を印加する構成であったが、ヘッド内にバブルを形成してインクを吐出する構成に対して本発明を適用することも可能である。また、異なるプリンタPa,Pbにてインク滴の吐出量が異なる構成の他、単一のプリンタにおいて解像度や印刷媒体の種類など、印刷モードによってインク滴の吐出量を変更する構成や、各ドットに対して大中小インク滴を吐出可能にすることでインク滴の吐出量を変更する構成など、種々の構成に対して本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 印刷制御装置となるコンピュータの概略構成を示す図である。
【図2】 第2実施形態における印刷制御処理のフローチャートである。
【図3】 第1実施形態におけるインク記録率の説明図である。
【図4】 第2実施形態におけるLUT及びインク量の説明図である。
【図5】 第2実施形態におけるインク記録率の説明図である。
【図6】 他の実施形態におけるインク量の説明図である。
【符号の説明】
10…コンピュータ、15…HDD、15a…画像データ、15b…LUT,、21…プリンタドライバ、21a…画像データ取得モジュール、21b…色変換モジュール、21c…ハーフトーン処理モジュール、21d…印刷データ生成モジュール、22…入力機器ドライバ、23…ディスプレイドライバ、25…APL、31…キーボード、32…マウス、40…プリンタ、41a〜41g…インクカートリッジ
Claims (8)
- 色剤を含む有色インクおよび色剤を含まない無色インクのインク滴を印刷媒体に対して吐出して画像を形成する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
上記有色インクと無色インクとを上記印刷媒体に記録するようにインクの量を決定するに際し、吐出量が異なるインク滴に対しては有色インクのインク量と前記印刷媒体の単位面積当たりに記録可能なインク量に対する無色インクの量を示す所定の比率を異なる値として上記記録する各インクの量を決定するインク量決定手段と、
同インク量決定手段によって決定されたインク量で画像を形成するように上記印刷装置を駆動する印刷実行手段とを備え、
上記インク量決定手段は、吐出量が多いインク滴に対する上記所定の比率を吐出量がそれより少ないインク滴より小さくすることを特徴とする印刷制御装置。 - 上記インク量決定手段は、上記所定の比率を異なる値とすることにより吐出量が異なるインク滴のそれぞれについて無色インクの量を略同一とすることを特徴とすることを特徴とする上記請求項1に記載の印刷制御装置。
- 上記インク量決定手段は、上記有色インクの最大記録率を印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率より小さくし、印刷媒体の単位面積に対して記録可能な最大インク記録率を限度として上記無色インクと有色インクとを上記印刷媒体に記録するように各インクの量を決定することを特徴とする上記請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
- 上記インク量決定手段は、インク記録率が所定値を超える所定値域において高インク記録率となるほど上記無色インクの記録率を逓減させることを特徴とする上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
- 色剤を含む有色インクおよび色剤を含まない無色インクのインク滴を印刷媒体に対して吐出して画像を形成する印刷装置を制御する印刷制御方法であって、
上記有色インクと無色インクとを上記印刷媒体に記録するようにインクの量を決定するに際し、吐出量が異なるインク滴に対しては有色インクのインク量と前記印刷媒体の単位面積当たりに記録可能なインク量に対する無色インクの量を示す所定の比率を異なる値とするとともに吐出量が多いインク滴に対する上記所定の比率を吐出量がそれより少ないインク滴より小さくして上記記録する各インクの量を決定し、同決定されたインク量で画像を形成するように上記印刷装置を駆動することを特徴とする印刷制御方法。 - 色剤を含む有色インクおよび色剤を含まない無色インクのインク滴を印刷媒体に対して吐出して画像を形成する印刷装置を制御する印刷制御プログラムであって、
画像をドットマトリクス状の画素で表現した画像データを取得する画像データ取得機能と、
同画像データが示す画像を上記有色インクおよび無色インクで形成するためのインク量を決定するに際して、吐出量が異なるインク滴に対しては有色インクのインク量と前記印刷媒体の単位面積当たりに記録可能なインク量に対する無色インクの量を示す所定の比率を異なる値として上記記録する各インクの量を決定するインク量決定機能と、
同インク量決定機能によって決定されたインク量で画像を形成するように上記印刷装置を駆動する印刷実行機能とを備え、
上記インク量決定手段は、吐出量が多いインク滴に対する上記所定の比率を吐出量がそれより少ないインク滴より小さくすることを特徴とする印刷制御プログラム。 - 画像を構成する画素の色を特定する第1画像データを入力し、色剤を含む有色インクと色剤を含まない無色インクとを色成分として有する表色系で色を特定する第2画像データに変換する際に参照され、それぞれの画像データの対応関係をデータとして保持する色変換テーブルであって、
同色変換テーブルは異なる吐出量のインク滴毎に異なる色変換テーブルが規定されており、それぞれの対応関係は、複数の色を上記第1画像データで表現した値と上記第2画像データで表現した値とを規定するとともに、異なる色変換テーブルにおける第2画像データによって記録される有色インクの記録率が共通である場合に有色インクのインク量と前記印刷媒体の単位面積当たりに記録可能なインク量に対する無色インクの量を示す所定の比率を異なる値とするとともに吐出量が多いインク滴に対する上記所定の比率を吐出量がそれより少ないインク滴より小さくなるように規定されていることを特徴とする色変換テーブル。 - 色剤を含む有色インクおよび色剤を含まない無色インクのインク滴を印刷媒体に対して記録する印刷装置にて画像を形成する際に使用する上記無色インクと有色インクとの量を決定するインク量決定方法であって、
吐出量が異なるインク滴に対しては有色インクのインク量と前記印刷媒体の単位面積当たりに記録可能なインク量に対する無色インクの量を示す所定の比率を異なる値とするとともに吐出量が多いインク滴に対する上記所定の比率を吐出量がそれより少ないインク滴より小さくして上記無色インクのインク量とすることを特徴とするインク量決定方法。
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