JP4432715B2 - エンジンのシリンダ吸入空気量制御装置及びシリンダ吸入空気量制御方法 - Google Patents
エンジンのシリンダ吸入空気量制御装置及びシリンダ吸入空気量制御方法 Download PDFInfo
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Description
X=√{(2κ/(κ―1))×((P0/Pm)2/κ−(P0/Pm)(κ+1)/κ)} ・・・(1b)
QMAX=(Pm/(Ra・Tm))×(VIVC−VTDC) ・・・(2)
本実施形態では、筒内圧力P0として断熱膨張下での圧力Pctrを採用した関係上、エンジン1の運転領域全体で吸入空気の流れが理論的にチョークし、吸入空気が音速で筒内に流入することとなり、(1b)式の圧力比P0/Pmは、常に臨界圧力比(=(2/(κ+1))κ/(κ―1)=const)を示すこととなる。このため、この基準シリンダ吸入空気量QDを、特に「仮想ソニック吸入空気量」と呼ぶこととする。
ここで、シリンダ吸入空気量Qcylの特性を、吸入空気の流れがチョークするものとした第1の領域とこれ以外の第2の領域とに分けて定義する。第1の領域において、この特性は、下式(4)により与えられる。これは、(3)式の圧力比RPが臨界圧力比(=const)であることから明らかであり、(4)式は、シリンダ吸入空気量Qcylが吸気圧力Pmに比例し、吸気温度Tmの平方根の逆数に比例することを示している。他方、第2の領域において、この特性は、筒内の状態変化が準静的に進行するものとして、下式(5)により与えられる。これは、吸気弁閉時期IVCに筒内が吸気通路101内の密度及び温度で充填されたものとした場合の気体の状態方程式から明らかであり、(5)式は、シリンダ吸入空気量Qcylが吸気脈動分を加味した実際の吸気圧力Pm(=Pmave+ΔPmivc)に比例し、実際の吸気温度Tm(=Tmave+ΔTmivc)の逆数に比例することを示している。なお、(5)式において、Pmave,Tmaveは、平均又は代表の吸気圧力及び吸気温度を示し、ΔPmivc,ΔTmivcは、吸気弁閉時期IVCにおける吸気圧力Pmivc及び吸気温度Tmivcの平均吸気圧力Pmave及び平均吸気温度Tmaveに対する変化量を示している。また、本実施形態に関し、記号∝は、左辺の値が右辺の値に比例することを示すものとする。
Qcyl∝Pm×(Tm)-1/2 ・・・(4)
b)DLTQ≒0:
Qcyl∝Pcylivc×(Tcylivc)-1
=Pmivc×(Tmivc)-1
=(Pmave+ΔPmivc)×(Tmave+ΔTmivc)-1 ・・・(5)
このように得られた2つの特性を内包するものとして、第1及び第2の領域を含む運転領域全体に渡る、最も確からしい1つの特性を近似により設定する。本実施形態では、流れの状態に応じて変化させ得る2つの係数をK1,K2として、この1つの特性を次式(6)により定義する。なお、係数K1,K2は、いずれも0以上、かつ1以下の値をとり、シリンダ吸入空気量Qcylと理論最大吸入空気量QMAXとの比に応じ、これが大きいときほど大きな値に設定される(図7のブロックB201a,B202a)。
吸気脈動分を加味した実際のシリンダ吸入空気量Qcylは、(6)式の特性をもとに、静的なシリンダ吸入空気量をQcyl0とし、かつ吸気脈動分ΔPmivc,ΔTmivcを加味した場合のものとこの吸気脈動分を0とした場合のものとの比をRpulとして、次式(7)及び(8)により与えられる。
Rpul={(Pmave+K1・ΔPmivc)/Pmave}×{(Tmave+K1・ΔTmivc)/Tmave}-1/(2-K2) ・・・(8)
この(8)式から圧力補正項及び温度補正項を抽出し、夫々シリンダ吸入空気量の圧力補正係数PRATE、温度補正係数TRATEとして設定する。
TRATE={(Tmave+K1・ΔTmivc)/Tmave}-1/(2-K2) ・・・(10)
ECU201は、設定した目標新気量tQcylを圧力及び温度補正係数PRATE,TRATEで除算して、この目標新気量を静的な成分tQcyl0に変換するとともに、変換した目標新気量tQcyl0によりブロックB101の変換テーブルを検索して、仮想ソニック吸入空気量QDを算出する。既述の通り、この仮想ソニック吸入空気量QDは、吸入空気の流れがチョークしているものとした場合に得られるシリンダ吸入空気量であるから、吸気ポート101aの総開口面積ΣAに比例する特性を持つ。このため、この仮想ソニック吸入空気量QDをもとに、目標とする総開口面積tAsuminを算出し、これに基づいて目標吸気作動角tθeventを設定することができる。
QIFB=ΣAiv×(Δθ/(6・Ne))×Pe/(√(Ra・Te))×VIFB×K3 ・・・(12)
VIFB=√{(2κ/(κ―1))×((Pm/Pe)2/κ−(Pm/Pe)(κ+1)/κ)} ・・・(13)
図7は、補正係数算出部の構成を示している。この部分により圧力補正係数PRATE及び温度補正係数PRATEが算出され、目標吸気作動角設定部(図4)に提供される。補正係数算出部は、ブロックB201において、後述する脈動変化量算出部により算出された脈動圧力変化量ΔPmivcをもとに、(9)式により圧力補正係数PRATEを算出する。係数K1は、0以上、かつ1以下の範囲内で、比Qcyl/QMAXが大きくなり、筒内の状態変化が準静的なものに近付くのに従い2次的に増大する(ブロックB201a)。また、ブロックB202において、後述する脈動変化量算出部により算出された脈動温度変化量ΔTmivcをもとに、(10)式により温度補正係数TRATEを算出する。係数K2も、係数k1と同様に0以上、かつ1以下の範囲内で、比Qcyl/QMAXが大きくなるのに従い2次的に増大する(ブロックB202a)。
ΔTmivc=ΔTmivc0×Pm/Patm ・・・(15)
図9は、理論最大吸入空気量算出部の構成を示している。この部分により理論最大吸入空気量QMAXが算出され、目標吸気作動角設定部(図4)に提供される。理論最大吸入空気量算出部は、吸気弁104の設定閉時期IVC及びオーバーラップ中心角OVLCNT等をもとに、(2)式により理論最大吸入空気量QMAXを算出する。なお、既述の通り、理論最大吸入空気量QMAXの算出期間PRDQMAXは、実効上死点TDCRから実効閉時期IVCRまでの期間に設定している。実効上死点TDCRは、オーバーラップ中心角OVLCNTから上死点のオフセット量TDCOFSだけ遅角させた時期として算出する。このオフセット量TDCOFSは、図10に示す傾向のマップからの検索により推定する。この図10のマップにおいて、オフセット量TDCOFSは、エンジン回転数Neが高く、かつオーバーラップ期間中の開口面積(たとえば、前半開口面積ΣAiv)が小さいときほど大きな値に設定されている。また、実効閉時期IVCRは、設定閉時期IVCから吸気弁閉時期のオフセット量IVCOFSだけ進角させた時期として算出され、このオフセット量IVCOFSは、図11に示す傾向のマップからの検索により推定する。この図11のマップにおいて、オフセット量IVCOFSは、エンジン回転数Neが高く、かつ吸気弁104の弁リフトVLIFTi(たとえば、最大弁リフト)が小さいときほど大きな値に設定されている。
Claims (8)
- エンジンの筒内に吸入される空気の量であるシリンダ吸入空気量を、吸気弁の作動特性を変更して制御する装置であって、
目標とするシリンダ吸入空気量である目標新気量を算出する目標新気量算出手段と、
算出された目標新気量に基づいて吸気弁の作動特性に関する所定の制御パラメータを設定するパラメータ設定手段と、を含んで構成され、
前記パラメータ設定手段は、吸気弁の作動特性に応じた開口面積でソニック流として吸入した場合に得られるシリンダ吸入空気量を仮想ソニック吸入空気量QDとし、かつ吸気の開始から終了までの行程容積を吸気弁上流における吸入空気の密度及び温度で充填した場合に得られるシリンダ吸入空気量を理論最大吸入空気量QMAXとして、実際のシリンダ吸入空気量Qcylに関して第1の比QD/QMAXと第2の比Qcyl/QMAXとの間の一義的な関係が設定され、エンジンの運転時において、前記目標新気量と前記関係とに基づいて前記仮想ソニック吸入空気量を算出するとともに、算出した仮想ソニック吸入空気量に基づいて前記制御パラメータを演算及び設定するエンジンのシリンダ吸入空気量制御装置。 - 前記パラメータ設定手段は、前記目標新気量をシリンダ吸入空気量Qcylとして前記第2の比を算出し、算出した第2の比に基づいて前記関係により前記仮想ソニック吸入空気量を算出する請求項1に記載のエンジンのシリンダ吸入空気量制御装置。
- 前記目標新気量は、目標とするエンジントルクに対応するシリンダ吸入空気量である請求項1又は2に記載のエンジンのシリンダ吸入空気量制御装置。
- 前記目標新気量算出手段により算出された目標新気量に対し、吸気通路内における気柱振動に起因するシリンダ吸入空気量の変動分を排除する補正を施す目標新気量補正手段を更に含んで構成される請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンのシリンダ吸入空気量制御装置。
- 前記目標新気量補正手段は、筒内へ向かう吸入空気の流れがチョークする第1の領域とこの第1の領域以外の第2の領域とが定められ、前記第1の領域では、前記変動分に応じた目標新気量の補正量を実質的に0とする一方、前記第2の領域では、前記気柱振動分を加味した実際の吸気圧力の逆数に比例し、かつ前記気柱振動分を加味した実際の吸気温度に比例する特性により、前記補正を行う請求項4に記載のエンジンのシリンダ吸入空気量制御装置。
- 前記第1及び第2の比の関係を設定するうえで、前記仮想ソニック吸入空気量の算出期間として、筒内圧力が吸気圧力に低下する実効上死点以降の期間が採用されるとともに、
前記目標新気量算出手段により算出された目標新気量から、吸気弁開期間と排気弁開期間とのオーバーラップ期間に筒内から吸気通路内に吹き返す吹返ガス量を減算する吹返ガス量減算手段を更に含んで構成される請求項1〜5のいずれかに記載のエンジンのシリンダ吸入空気量制御装置。 - 前記パラメータ設定手段は、前記理論最大吸入空気量を、筒内圧力が吸気圧力に低下する実効上死点から、筒内で吸入空気の圧縮が実際に開始される吸気弁の実効閉時期までのシリンダ吸入空気量として算出する請求項1〜6のいずれかに記載のエンジンのシリンダ吸入空気量制御装置。
- エンジンの筒内に吸入される空気の量であるシリンダ吸入空気量を、吸気弁の作動特性を変更して制御する方法であって、
吸気弁の作動特性に応じた開口面積でソニック流として吸入した場合に得られるシリンダ吸入空気量を仮想ソニック吸入空気量QDとし、かつ吸気の開始から終了までの行程容積を吸気弁上流における吸入空気の密度及び温度で充填した場合に得られるシリンダ吸入空気量を理論最大吸入空気量QMAXとして、実際のシリンダ吸入空気量Qcylに関して第1の比QD/QMAXと第2の比Qcyl/QMAXとの間の一義的な関係を予め設定し、実際の運転に際し、目標とするシリンダ吸入空気量をQcylとして、この目標新気量Qcylを前記関係により前記仮想ソニック吸入空気量に変換するとともに、変換した仮想ソニック吸入空気量に基づいて吸気弁の作動特性を変更するエンジンのシリンダ吸入空気量制御方法。
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