JP4765703B2 - 可変動弁機構の制御装置 - Google Patents

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本発明は、エンジンの吸気弁の作動特性を可変制御する可変動弁機構の制御装置に関し、特に、吸気弁の目標作動特性を簡易に設定する技術に関する。
エンジンにおける吸入空気量の制御として、スロットル弁の制御によらず、主として吸気弁の作動特性(開閉時期及びリフト量(リフト特性))を可変制御することで、目標トルクとなるような吸入空気量(シリンダ吸入空気量)を実現しようとするものがある(特許文献1)。
特開2002−256905号公報
しかし、上記従来の技術のように吸気弁の作動特性によって吸入空気量を制御する場合には、作動特性のみならず運転条件等によっても吸入空気量の変化が大きいことから、エンジン運転条件毎の緻密な適合が必要となるため、マップを多用(次元数の増大を含む)せざるを得ず、演算負荷が増大するという問題がある。
また、吸気弁の作動特性を可変制御する構成では、吸気弁の開期間と排気弁の開期間とが重なり合うバルブオーバーラップ期間を制御することで、燃焼室内の残留ガス量(内部EGR量)を増大させて排気エミッション(NOx排出量)の低減を図ることも可能であり、その実現も望まれるところであるが、残留ガス量を増加し過ぎると燃焼が不安定となってしまうことから、残留ガス量、すなわち、バルブオーバーラップ期間(吸気弁の作動特性)を高精度に制御する必要があり、吸気弁の作動特性制御に関して、さらなるマップの多用や演算負荷の増大を招いてしまうおそれがある。
このように、吸気弁の作動特性制御については、マップの多用を回避し、演算負荷の小さな制御手法(目標作動特性の演算手法等)が望まれていた。
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、吸気弁の作動特性を制御するに際し、マップの多用を回避し、演算負荷を軽減できる可変動弁機構の制御装置を提供することを目的とする。
このため、本発明は、エンジンの吸気弁の作動特性を可変制御する可変動弁機構の制御装置であって、エンジン運転条件に基づいて、シリンダ内に残留させる残留ガス量の目標値である目標残留ガス量を設定する目標残留ガス量設定手段と、前記目標残留ガス量を達成するように前記吸気弁の目標開時期を設定し、設定した目標開時期に基づいて前記可変動弁機構を制御する制御手段と、を含んで構成され、前記制御手段は、前記吸気弁の開時期からバルブオーバーラップ期間中にシリンダ内への吸入が実際に開始される時期である実効上死点までの期間バルブオーバーラップ期間中の所定時期における吸気弁通過ガス量を乗算した値を2で除算する、バルブオーバーラップ期間中にシリンダ内から吸気ポートへと吹き返すガスの量である吹き返しガス量を算出するための演算式有し、前記目標残留ガス量から算出した目標吹き返しガス量と、前記演算式とに基づいて、前記吸気弁の目標開時期を算出することを特徴とする。
本発明では、シリンダにおけるガスの(吸気弁、排気弁を介した)出入りの実際の物理現象に即してバルブオーバーラップ期間中の吹き返しガス量を算出するモデル(演算式)を構築し、このモデル(演算式)を利用して吸気弁の目標開時期を設定(算出)する。これにより、吸気弁の開時期制御(目標開時期の設定)に際し、エンジン運転条件毎に設定されたマップ等は不要であり、比較的簡単な演算処理のみで済むという効果がある。なお、上記モデル(演算式)としては、例えば、バルブオーバーラップ期間中の吸気弁通過ガス量、シリンダ内への吸入が実際に開始される実効上死点等を算出した上で、吸気弁開時期から実効上点までの期間、及びあらかじめ設定した所定時期における吸気弁通過ガス量を用いて吹き返しガス量を推定するものがあり、このような演算式と、運転条件に応じて設定される目標吹き返しガス量とに基づいて吸気弁の目標開時期を設定している(すなわち、演算式から目標吹き返しガス量を実現する吸気弁開時期を算出(逆算)するようにしている)。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関(エンジン)1の概略構成を示している。
図1において、エンジン1の吸気通路101には、吸気上流側から電子制御式のスロットル弁102、燃料噴射弁103及び吸気弁104が配設されている。ここでは、各気筒の吸気ポート101aに燃料噴射弁103が設けられる、いわゆるMPI方式を採用しているが、筒内に直接燃料を噴射する方式(直噴エンジン)としてもよい。
スロットル弁102は、その開度(スロットル開度)に応じて吸入空気量を制御することが可能である。但し、本実施形態では、主として吸気弁104の作動特性を可変(制御)することで吸入空気量を制御することとし、スロットル弁102は補助的に用いるようにしている。燃料噴射弁103は、入力される噴射信号によって開弁駆動され、制御された吸入空気量のもとで所定の当量比を達成するのに必要な量の燃料を噴射する。そして、吸気弁104が開駆動されることにより、吸入空気及び燃料の混合気が筒内(シリンダ内)に導入される。なお、吸気弁104は、その上方に設けられた動弁機構105によって開閉駆動される。
この動弁機構105は、図2に示すように、吸気弁104のリフト特性(リフト量)及び作動角を連続的に変更できるVEL機構105aと、吸気弁104の作動角の中心位相を連続的に変更できるVTC機構105bと、を含んで構成されている。
VEL機構105aは、図2、3に示すように、クランクシャフトの回転に連動して回転し、気筒列方向に延びる駆動軸151と、この駆動軸151の外周に相対回転可能に取り付けられ、バルブリフタ141を介して吸気弁104を開閉駆動する揺動カム152と、駆動軸151の外周に固定された偏心カム153と、この偏心カム153に相対回転可能に外嵌するリング状リンク154と、駆動軸151と略平行に設けられた制御軸155と、この制御軸の外周に偏心して固定された制御カム156と、この制御カム156に相対回転可能に外嵌し、その一端でリング状リンク154と連携(連結)されたロッカアーム157と、このロッカアーム157の他端と揺動カム152とを連携(連結)するロッド状リンク158とを含んで構成される。そして、電磁アクチュエータ161によってギヤ列162を介して制御軸155を回転させることにより、ロッカアーム157の揺動中心が変化して、吸気弁104のリフト特性及び作動角を連続的に変化させるものである。
VTC機構105bは、クランクシャフトに対する駆動軸151の回転位相を変化させるものであり、公知の、いわゆるバルブタイミング制御機構を用いることができる。詳細な説明は省略するが、ここでは、クランクシャフトと同期して回転するカムスプロケット163と駆動軸151との間に中間ギヤを介装してヘリカルギヤ列を形成し、中間ギヤを前後方向(軸方向)に移動させることにより、駆動軸151のカムスプロケット163(クランクシャフト)に対する回転位相を変化させるようにしている。
再び図1に戻って、シリンダヘッドHには、燃焼室109の上部中央に臨ませて点火プラグ106が設けられており、この点火プラグ106によって、筒内に導入された混合気への点火が行われる。
燃焼排気は、燃焼室109から排気弁108を介して排気通路107に排出され、図示しない排気浄化触媒等によって浄化された後、大気中に放出される。なお、排気弁108は、排気側カム軸110に設けられた駆動カム111によって、その作動角(リフト特性)及び作動角の中心位相が一定のまま開閉駆動される。もちろん、吸気弁104側と同様の動弁機構(異なる構成のものであってもよい)を設けて、その作動角、リフト及び/又は作動角の中心位相を変更可能としてもよい。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントローラ(ECU)201には、アクセル開度(アクセル操作量)APOを検出するアクセルセンサ211、クランクシャフトの回転位置を検出するクランク角センサ212、吸気通路101内の圧力(ここでは、吸気コレクタ内圧力であり、以下「吸気圧力」という)Pmを検出する吸気圧力センサ213、吸気通路101内の温度(すなわち、吸気弁104の吸気上流側の空気温度のことであり、以下「吸気温度」という)Tmを検出する吸気温度センサ214、及び排気通路107内の圧力(以下「排気圧力」という)Peを検出する排気圧力センサ215、排気通路10内の温度(以下「排気温度」という)Teを検出する排気温度センサ216等の各種センサから検出信号が入力される。なお、エンジン回転速度Neはクランク角センサ212の検出結果に基づいて算出される。
そして、ECU201は、アクセル開度APOやエンジン回転速度Ne等のエンジン運転条件に基づいて各種のエンジン制御を実行するとともに、動弁機構105の制御も実行する。かかる動弁機構105の制御には、吸気弁104の開時期制御(以下「開時期制御」という」と、吸気弁104のリフト特性及び作動角制御(以下単に「リフト特性制御」という)とが含まれる。ここで簡単に説明しておくと、本実施形態に係る開時期制御は、NOx排出量の低減や燃費の向上等を図るために、エンジン運転条件に基づいて目標残留ガス量(内部EGR量)tQRESを設定し、この目標残留ガス量tQRESが得られるよう(を達成するよう)に吸気弁104の開時期IVOを制御するものである。また、本実施形態に係るリフト特性制御は、エンジン運転条件に基づいてエンジン1が発生すべきトルク(目標トルク)tTEを演算し、この目標トルクtTEを達成するのに必要な目標新気量(目標トルク相当の目標新気量)tQcylを算出し、この目標新気量tQcylに基づいて吸気弁104のリフト特性(及び作動角)を制御するものである。
以下、本実施形態における開時期制御、リフト特性制御について順に説明するが、その前に、かかる制御において特に重要な値(実効上死点TDCR、吹き返しガス量QIFB、実効IVC、IVCオフセット量IVCOFS等)を説明しておく。
図4は、(a)吸気弁104及び排気弁108の作動特性(リフト特性をそれぞれVLIFTi、VLIFTeと記す)と、(b)単位クランク角当たりのシリンダ流入ガス量(シリンダ吸入空気量)DLTQとを示している。
バルブオーバーラップ時(吸気弁開時期IVOから排気弁閉時期EVCまでの期間)の初期段階においては、シリンダ内の残留ガスが吸気弁104を経て吸気ポートへと吹き返す。この吹き返したガス(以下「吹き返しガス」という)の量QIFBは、単位クランク角当たりのシリンダ内流入ガス量(単に「シリンダ吸入空気量」ともいう)DLTQが「負」となっている期間の積算値である(すなわち、図中の「A」で示す部分に相当する)。その後、このシリンダ内から吸気ポートへの吹き返しが終了し、シリンダ内へと空気(ガス)が吸入され始める。本実施形態では、この吹き返しから流入に切り換わる時(すなわち、シリンダ吸入空気量DLQが「負」から「正」に転じるクランク角であり、実際の吸気行程開始時期に相当する)を実効上死点TDCRとしている。この実効上死点TDCRは、シリンダ内圧力Pcが低下して吸気圧力Pmに一致する点(時期)でもある。
そして、この実効上死点TDCR以降においては、上記吹き返しガスも新気とともにシリンダ内に吸入されることになる。このため、吸気行程開始から吸気行程終了までのシリンダ内流入ガス量(シリンダ吸入空気量)Qcyl0は、図に示すように、吹き返しガス量QIFBとシリンダ吸入新気量Qvyl(図中の「B」で示す部分に相当する)との和となる。なお、図からも明らかなように、実際には、吸気弁閉時期IVCよりも前にシリンダ内への空気(ガス)の吸入が終了する。このシリンダ内への空気(ガス)の吸入が終了するとき(言い換えると、シリンダ内で吸入空気の圧縮が実質的に開始される時期)が、実際の吸気行程終了時期に相当するのであり、この時期を実効閉時期IVCRとしている。そして、この実効閉時期IVCRの、設定上の吸気弁閉時期IVCからのオフセット量を「IVCオフセット量IVCOFS」としている。
ここで、本実施形態においては、シリンダ内圧力Pc、実効上死点TDCR、吹き返しガス量QIFBを以下のようにして算出することで、演算負荷の軽減を図っている。
A.実効上死点TDCRの算出
(1)シリンダ内圧力の近似
まず、本実施形態においては、図5に示すように、バルブオーバーラップ期間中(IVO〜EVC)のおけるシリンダ内圧力Pcは、吸気弁開時期IVOから排気弁閉時期EVCにかけて、排気圧力Peから吸気圧力Pmに直線的に変化するものと近似する。これにより、バルブオーバーラップ期間中の各時期におけるシリンダ圧力Pcは、かかる近似に基づいて容易に算出されることになる。
(2)近似特性線L1(本発明に係る第1近似特性線に相当する)の設定
バルブオーバーラップ期間の後半における排気弁通過ガス量(ここでは、単位クランク角辺りのガス量とする。以下同じ)DQexの特性を近似的に表す近似特性線L1は、バルブオーバーラップ期間の後半における複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおける排気弁通過ガス量DQexに基づいて設定する。
本実施形態では、近似特性線L1の設定に関する複数の時期として、図6に示すように、排気弁閉時期EVCの点A、及び吸気弁開時期IVOから排気弁閉時期EVCまでを略3:1に内分する時期CA1の点Bの2つの点(時期)を採用している。点A(排気弁閉時期EVC)を採用するのは、排気弁通過ガス量DQexaが0であるので演算が簡素化できるからである。一方、点Bについては、排気弁通過ガス量のクランク角CAに対する線形性が認められる範囲内の点(時期)として実験等により決定したものである。なお、排気弁通過ガス量DQexは、排気弁108の開口面積が小さい場合は、この開口面積に比例する特性を有することから、上記実験等に代えて、排気弁108のリフト特性VLIFTeがクランク角CAに対して直線的に変化(減少)する領域を特定し、この領域内の任意の点を選択して点Bとしてもよい(したがって、IVOからEVCを3:1に内分する時期に限られない)。点Bにおける排気弁通過ガス量DQexbは、次式(1)により算出する。
Figure 0004765703
ここで、Aevは点Bにおける排気弁開口面積である。また、Reは排気のガス定数、κeは排気の比熱比であり、いずれも目標当量比TFBYAに基づいて算出することができる。なお、Δtは所定クランク角Δθを時間換算した値であり、ここではΔt=Δθ/(6・Ne)の演算式によって算出される。そして、点A(EVC、0)と点B(CA1、DQexb)とを通る直線を近似特性線L1として設定する。
(3)近似特性線L2(本発明に係る第2近似特性線に相当する)の設定
バルブオーバーラップ期間中のシリンダ内ガス量変化分の特性を近似的に表す近似特性線L2は、バルブオーバーラップ期間中の複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおけるシリンダ内ガス量変化分DLTMに基づいて設定する。
本実施形態では、近似特性線L2の設定に関する複数の時期として、図7に示すように、シリンダ内容積Vcが最も小さくなる時期である上死点(設定上の上死点であり、以下「幾何上死点」という)の点C、吸気弁開時期IVOの点Dの2つの点(時期)を採用している。幾何上死点TDCにおけるシリンダ内ガス量変化分DLTMTDCは0であり、吸気弁開時期IVOにおけるDLTMIVOは次式(2)を用いて算出する。ここでは、シリンダ内温度を排気温度Teで近似し、ガス定数としては排気のガス定数Reを用いる。これは、幾何上死点TDCまでは、シリンダ内が排気で占められているからである。
Figure 0004765703
ここで、Pcは吸気弁開時期IVOにおけるシリンダ内圧力であり、上述した近似(図5)から求めることができ、Vcは吸気弁開時期IVOにおけるシリンダ内容積Vcであり、幾何学的に算出可能である。また、シリンダ内圧力Pc、シリンダ内容積Vcの時間当たりの変化率dPc、dVcは、クランク角当たりの変化率に、エンジン回転速度Neに応じた係数を乗算することにより得られる。そして、点C(TDC、0)、点D(IVO、DLTMIVO)を通る直線を近似特性線L2として設定する。以上のようにして2つの近似特性線L1、L2を設定したら、その交点Eを特定し、交点Eの時期を実効上死点TDCRとして算出する(図7参照)。
B.吹き返しガス量QIFBの算出
(4)近似特性線L3(本発明に係る第3近似特性線に相当する)の設定
バルブオーバーラップ期間の前半における吸気弁通過ガス量DQinの特性を近似的に表す近似特性線L3は、バルブオーバーラップ期間の前半における複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおける吸気弁通過ガス量DQinに基づいて設定する。
本実施形態では、近似特性線L3の設定に関する複数の時期として、図8に示すように、吸気弁開時期IVOの点F、及び吸気弁開時期IVOから排気弁閉時期EVCまでを約1:1に内分する時期CA2の点Gの2つの点(時期)を採用している。点F(吸気弁開時期IVO)を採用するのは、吸気弁通過ガス量DQintが0であるので演算が簡素化できるからである。一方、点Gについては、吸気弁通過ガス量のクランク角CAに対する線形性が認められる範囲内の点(時期)として実験等により決定したものである。なお、排気弁通過ガス量DQexと同様に、吸気弁通過ガス量DQinも吸気弁104の開口面積が小さい場合は、この開口面積に比例する特性を有することから、上記実験等に代えて、吸気弁104のリフト特性VLIFTeがクランク角CAに対して直線的に変化(減少)する領域を特定し、この領域内の任意の点を選択して点Gとしてもよい(IVOからEVCを1:1に内分する時期に限られない)。なお、点Gにおける吸気弁通過ガス量DQingは、この時期の吸気弁開口面積をAivとして次式(3)により算出される。
Figure 0004765703
そして、点F(IVO、0)と点G(CA2、DQing)とを通る直線を近似特性線L3として設定する。このとき、近似特性線L3の横軸(X軸)に対する角度αを吸気弁通過ガス量変化度(バルブオーバーラップ期間前半の吸気弁通過ガス量変化度であり、吹き返しガス量変化度を意味する)として求めておく(なお、図中の特性線L3′は、吸気弁通過ガスの向きを考慮しない吸気弁通過ガス量(すなわち、絶対値)を示している)。
(5)近似特性線L4(本発明に係る第4近似特性線に相当する)の設定
バルブオーバーラップ期間の前半における排気弁通過ガス量DQexの特性を近似的に表す近似特性線L4は、バルブオーバーラップ期間の前半における複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおける排気弁通過ガス量DQexに基づいて設定する。
本実施形態では、近似特性線L4の設定に関する複数の時期として、図9に示すように、吸気弁開時期IVOの点D、及び近似特性線L2とL3との交点Hと同じ時期CA3である点Iの2つの点(時期)を採用している。点Dを採用するのは、吸気弁開時期IVOでは吸気弁通過ガス量が0であるため、排気弁通過ガス量DQexがシリンダ内ガス量変化分DLTMと等しくなるからである。また、点Iを採用するのは、近似特性線L2とL3との交点Hは、シリンダ内ガス量変化分DLTMのすべてが吸気弁通過ガス量DQinとなる時期を示しており、この時期における排気弁通過ガス量DQexは0となるからである。そして、点D(IVO、DLTMIVO)と点I(CA3、0)とを通る直線を近似特性線L4として設定する。
(6)近似特性線L5の設定
バルブオーバーラップ期間の後半における吸気弁通過ガス量DQinの特性を近似的に表す近似特性線L5は、バルブオーバーラップ期間の後半における複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおける吸気通過ガス量DQinに基づいて設定する。
本実施形態では、近似特性線L5の設定に関する複数の時期として、図10に示すように、近似特性線L1とL4との交点Jと同じ時期CA4で近似特性線L3上にある点K、及び実効上死点TDCRの点Mの2つの点(時期)を採用している。交点Jはバルブオーバーラップ期間が前半から後半へと切り換わる時期を示しているから、点Kはバルブオーバーラップ期間の後半開始時の吸気弁通過ガス量DQinを示すことになり、実効上死点TDCRはシリンダ内への実際の吸入が開始される時期であるから、吸気弁通過ガス量DQinは0になる(負から正へと切り換わる)。そして、バルブオーバーラップ期間の後半における吸気弁通過ガス量は点Kから点Mへと直線的に変化するものと近似して、点Kと点Mとを通る直線を近似特性線L5として設定する。
(7)吹き返しガス量QIFBの算出(近似)
本実施形態では、図11に示すように、近似特性線L3、L5及び横軸(X軸:シリンダ内流入ガス量=0)により囲まれる領域の面積(三角形FKMの面積:ハッチングで示す領域)を吹き返しガス量QIFBとする。したがって、吹き返しガス量QIFBは次式(4)により算出される。かかる式(4)が本発明に係る(吹き返しガス量を算出するための)演算式に相当する。
Figure 0004765703
式(4)において、DQin(CA4)は時期CA4(すなわち、バルブオーバーラップ期間が前半から後半へと切り換わる時期)における吸気弁通過ガス量であり、本発明に係る所定時期における吸気弁通過ガス量に相当するものである(但し、これに限るものではない)。
図12は、以上のようにして算出した吹き返しガス量(近似)と実際の吹き返しガス量(図4のX部に相当する部分である)とを比較したものである。このように、比較的簡単な演算式(式(4))を用いて近似したものであるが、実際の吹き返しガス量の挙動に非常に近いことが確認できる。つまり、吹き返しガス量QIFB、実効上死点TDCR、吸気弁開時期IVO及びDQin(CA4における吸気弁通過ガス量)は、上記式(4)の関係を有しており、そのうちの3つの値が分かれば、上記式(4)より残りの値も求めることが可能であることを示している。
C.開時期制御(目標吸気弁開時期tIVOの設定)
次に、本実施形態に係る開時期制御について説明する。
本実施形態に係る開時期制御は、エンジン運転条件に基づいて設定される目標新気量tQcyl0及び目標残留ガス率tREGR(%)から目標残留ガス量tQRESを算出し、この目標残留ガス量tQRESからすきま容積部ガス量QGAPを減算して目標吹き返しガス量tQIFBとする。そして、この目標吹き返しガス量tQIFBと上記演算式(4)とに基づいて、該目標吹き返しガス量tQIFBを実現する吸気弁開時期を目標開時期tIVOとして算出する。つまり、上記式(4)における吹き返しガス量QIFBを目標吹き返しガス量tQIFBとし、演算式(4)を解くことによって、目標吸気弁開時期tIVOを算出するのである。なお、目標残留ガス率tREGRは、吸気行程終了時におけるシリンダ内の総ガス量に対するシリンダ内残留ガス量の目標割合を示すものである。
図13は、目標吸気弁開時期tIVOを算出するブロック図である。
乗算部B11では、エンジン運転条件に応じて設定される目標新気量tQcyl及び目標残留ガス率tREGRに基づいて、次式(5)により目標残留ガス量tQRESを算出する。
Figure 0004765703
残留ガス量QRESは、バルブオーバーラップ期間中にシリンダ内から吸気ポート101aへと吹き返すガスの量である吹き返しガス量QIFBと、シリンダ内のすきま容積部に残留するすきま容積部ガス量QGAPとを合わせたものであるから、目標残留ガス量tQRESから目標とする状態におけるすきま容積部ガス量QGAPを減算すれば吹き返しガス量QIFBの目標値である目標吹き返しガス量tQIFBとなる。そこで、減算部B12では、目標残留ガス量tQRESから目標すきま容積部ガス量tQGAPを減算して目標吹き返しガス量tQIFBを算出している。なお、本実施形態における目標すきま容積部ガス量tQGAPは、後述するように、目標実効上死点tTDCR時にシリンダ内に残るガス量として算出している(すなわち、目標実効上死点tTDCRにおけるシリンダ内容積VtTDCRをすきま容積としている)。これは、上述したように、実効上死点TDCRが実際の吸入が開始される(吹き返しが終了する)時期であることに基づくものである。
目標吸気弁開時期演算部B13では、目標吹き返しガス量tQIFB、目標実効上死点tTDCR、吸気弁通過ガス量(吹き返しガス量)変化度(変化割合)α、時期CA4(バルブオーバーラップ期間が前半から後半に切り換わる時期)及び演算式(4)を用いて目標吹き返しガス量tQIFBを達成する吸気弁開時期を目標吸気弁開時期tIVOとして算出する。具体的には、図14及び下式(6)に示すように、(第3近似特性線L3、第5近似特性線L5及び横軸(X軸)を各辺とする)三角形の面積の公式から目標吸気弁開時期tIVOと目標実効上死点tTDCRまでの期間(a+b)を算出し、この算出結果を目標実効上死点tTDCRから減算して目標吸気弁開時期tIVOとする。なお、ここで用いる目標実効上死点tTDCR、吸気弁通過ガス量(吹き返しガス量)変化度(変化割合)α及び時期CA4の算出については後述する(図15参照)。
Figure 0004765703
図15は、目標すきま容積部ガス量tQGAPを算出するブロック図である。ここでは、以下のように、目標すきま容積部ガス量tQGAPのほかにも、目標実効上死点tTDCR、吸気弁通過ガス量変化度α、及びバルブオーバーラップ期間が前半から後半に切り換わる時期CA4が算出される。
目標吸気圧力設定部B21では、エンジン運転条件(Ne、APO等)に基づいて目標吸気圧力tPmを設定する。
目標排気圧力算出部B22では、吸気圧力Pmが目標吸気圧力tPmとなったときの排気圧力Peに相当する目標排気圧力tPeを算出(推定)する。かかる算出(推定)は後述する(図16参照)。
目標実効上死点算出部B23では、目標吸気圧力tPm、目標排気圧力tPe、実際の吸気弁開時期(現在の開時期)IVO、実際の吸気弁の作動角(リフト特性)θeventに基づいて、上述した「A.実効上死点TDCRの算出」及び「B.吹き返しガス量QIFBの算出」における各処理に準じて、目標実効上死点tTDCR、バルブオーバーラップ期間が前半から後半に切り換わる時期CA4、及び、吸気弁通過ガス量変化度αを算出する。すなわち、吸気弁の現在の開時期IVO(REIVO)と現在作動角θevent(REVEL)とから現在の吸気弁104の作動特性(開閉時期、リフト特性)を把握し(排気弁108の作動特性は一定である)、かかる現在の吸気弁104の作動特性のもとで、バルブオーバーラップ期間中におけるシリンダ内圧力Pcが、目標排気圧力tPeから目標吸気圧力tPmに直線的に変化するものと近似して上記A.Bにおける各演算処理を行い、(目標)実効上死点tTDCR、時期CA4及び吸気弁通過ガス量変化度αを算出する。そして、ここで算出した目標実効上死点tTDCRをすきま容積算出部B24に出力するとともに、目標実効上死点tTDCR、時期CA4及び吸気弁通過ガス量変化度αを、図13の目標吸気弁開時期演算部B13に出力する。
すきま容積算出部B24では、目標実効上死点tTDCR時のシリンダ内容積VtTDCRを算出し、これをすきま容積とする。かかる算出は、目標実効上死点tTDCRに基づいて図に示すようなテーブルを検索することにより行う。
すきま容積部ガス量算出部B25では、すきま容積(すなわち、目標実効上死点時におけるシリンダ内容積)VtTDCRに、吸気圧力が目標吸気圧力となったときの密度(すなわち、目標密度)tρを乗算して目標すきま容積部ガス量tQGAPと(=VtTDCR×tρ)する。なお、ここでは、全てのガス(すなわち、残留ガスも)が新気であるものとして取り扱い、また、吸気温度は変化しないものとしており、目標(空気)密度tρは次式(7)で表すことができる(rρ:現在の密度、rPm:現在の吸気圧力)。
Figure 0004765703
算出した目標すきま容積部ガス量tQGAPは、図13の減算部B12に出力される。
図16は、目標排気圧力tPeを算出(推定)するブロック図であり、図15の排気圧力算出部B22で実行されるものである。
まず、目標排気ガス量算出部B31では、エンジン回転速度Ne、基本燃料噴射パルス幅Tp及び目標当量比TFBYAに基づき、次式(8)により目標とする状態における排気ガス量(目標排気ガス量)MFEXGを算出する。これは、排気ガス量(質量)=新気量+燃料量(質量)との考えに基づくものである。但し、これは一例であり、他の算出方法であってもよい。なお、CYLINDERは気筒数である。
Figure 0004765703
ガス定数算出部B32では、目標当量比TFBYAに基づき、図に示すようなテーブルを検索して排気のガス定数Reを算出する。
目標排気圧力算出部B33では、目標排気ガス量MFEXG、排気のガス定数Re、バルブオーバーラップ中のガス温度(≒排気温度Te)及び大気圧Patmに基づいて、次式(7)により目標排気圧力tPeを算出する。かかる式(7)は、基本的には、層流域における圧力損失(ハーゲン−ポアゾイユの式により算出)と、乱流域における圧力損失(ダルシー−ワイバッハの式により算出)との和(及び大気圧)によって各部位(触媒等)の圧力損失を求め、各部位の圧力損失と大気圧とを加算することで排気圧力を近似算出するものであり、実験等によってその精度が確認されたものである。
Figure 0004765703
但し、KTBF、KLMFはそれぞれ乱流係数、層流係数であり、機種毎(触媒等)によって決まる(適合)値である。このようにして算出された目標排気圧力tPeは、図15の目標実効上死点算出部B23に出力される。但し、上記式(9)は一例であり、目標とする状態(目標吸気圧力tPmとなったとき)における排気圧力を目標排気圧力tPeとして算出(推定)できればどのような方法を用いてもよい。より簡易な例としては、実際の吸気圧力rPmと排気圧力rPeとを検出し、この検出した両者の関係から目標吸気圧力tPmとなったときの排気圧力(目標排気圧力)tPeを算出するようなことも可能である。
D.リフト特性制御(目標吸気弁作動角(目標リフト特性)tθeventの設定)
図17は、目標吸気弁作動特性tθeventを設定するブロック図である。
加算部B101では、次式(10)に示すように、目標新気量tQcylに目標吹き返しガス量tQIFBを加算して、バルブオーバーラップ期間中にシリンダ内に吸い込まれるガス量に相当する目標シリンダ吸入空気量tQcyl0とする。
Figure 0004765703
次に、除算部B102は、目標シリンダ吸入空気量tQcyl0を最大吸入空気量QMAXで除算し、次の変換部B103では、図に示すようなテーブルを用いて、除算部B102の算出結果、すなわち(tQcyl0/QMAX)を(ソニック吸入空気量Q/QMAX)に変換する。
ここで、シリンダ吸入空気量Qcyl0、ソニック吸入空気量Q及び最大吸入空気量QMAXによる(Q/QMAX)と(Qcyl0/QMAX)との関係について説明する。
ソニック吸入空気量Qは、吸気弁104の作動特性に応じた開口面積でソニック流として吸入した場合のシリンダ吸入空気量であり、次式(11)で算出される。
Figure 0004765703
但し、(ΣA)は所定クランク角Δθ毎に検出(算出)される吸気弁開口面積の積分値(総開口面積)である。また、Δtは、上述したように、所定クランク角Δθを時間換算した値であり、ここではΔt=Δθ/(6・Ne)の演算式によって算出される。
ここで、吸気弁104を通過する吸入空気がソニック流の場合、吸気弁104の前後圧力比(Pc/Pm)は、常に臨界圧力比(={2/(κ+1)}(κ/κ−1))を示すことになるので固定値(定数)qSONICとなる。よって、上記式(11)は、次式(12)で表すことができ、本実施形態ではこれを用いる。
Figure 0004765703
かかるソニック吸入空気量Qは、具体的には、図18に示すブロック図により算出される。図18において、総開口面積算出部B211は、現在吸気弁開時期IVO及び吸気弁閉時期IVCから吸気弁104の作動特性(開閉時期及びリフト特性)を把握して実効上死点TDCRを算出するとともに(上記「A.実効上死点の算出」参照)、この実効上死点TDCRから吸気弁閉時期IVCまでの吸気弁104開期間中における単位クランク角(Δθ)毎の吸気弁開口面積Aを上記把握した作動特性から算出し、各算出値を積算して総開口面積(ΣA)とする。
乗算部B212は、吸気温度Tmと空気のガス定数Raとを乗算し、変換部B213は、図に示すようなテーブルを検索して乗算部B212の算出結果(Ra・Tm)をその平方根{√(Ra・Tm)}に変換する。さらに、除算部B214は、吸気圧力Pmを前記平方根{√(Ra・Tm)}で除算し、乗算部B215は、除算部B214の算出結果に定数qSONICを乗算する({Pm・qSONIC/(√(Ra・Tm)})。
そして、乗算部B216は、総開口面積演算部B211の算出結果(ΣA)に乗算部B215の算出結果({Pm・qSONIC/√(Ra・Tm)}を乗算し、乗算部B217は、さらに積分間隔時間Δt{=Δθ/(6・Ne)}を乗算する。これにより、上記(12)式に示すソニック吸入空気量Qが算出される。
一方、最大吸入空気量QMAXは、吸気行程開始から終了までのシリンダ行程容積を吸気弁104上流側の(吸気)状態で充填した場合のシリンダ吸入空気量であり、次式(13)で算出される。
Figure 0004765703
但し、VIVCは吸気弁閉弁時におけるシリンダ容積であり、VTDCは上死点におけるシリンダ容積である。ところで、静的に見れば、上記式(13)に示すように、吸気弁閉時期におけるシリンダ容積から上死点におけるシリンダ容積を減算した値が(シリンダ)行程容積になるのであるが、上述したように、実際には、実効上死点TDCRが吸気行程開始時期(点)であり、実効閉時期IVCRが吸気行程終了時期(点)となっている。そのため、本実施形態では、次式(14)に示すように、上記式(13)における吸気弁閉弁時シリンダ容積VIVCに代えて実効閉時期IVCRにおけるシリンダ容積VIVCRを、上死点シリンダ容積VTDCに代えて実効上死点TDCRにおけるシリンダ容積VTDCRを採用している。
Figure 0004765703
かかる最大吸入空気量QMAXは、具体的には、図19に示すブロック図により算出される。図19において、実効閉時期演算部B221は、吸気弁閉時期IVCからIVCオフセット量IVCOFSを減算して実効閉時期IVCRを算出する。ここで、IVCオフセット量IVCOFSは、エンジン回転速度Ne及び吸気弁104のリフト特性VLIFTi(例えば、最大リフト特性)に基づいて、図20に示すようなマップを参照して算出する。IVCオフセット量IVCOFSは、エンジン回転速度Neが高く、リフト特性VLIFTiが小さいほど大きくなる特性を有している。
実効閉時期シリンダ容積演算部B222は、算出した実効閉時期IVCRに基づいて、図に示すようなテーブルを検索して実効閉時期シリンダ容積VIVCRを算出する。なお、ここでは、(設定上の)吸気弁閉時期IVCからIVCオフセット量IVCOFSを減算することで実効閉時期IVCRを求めるようにしているが、これは一例であり、実際の吸気行程終了時期を実効閉時期IVCRとして求めることができれば、他の方法で求めてもよい。
一方、上記「A.実効上死点TDCRの算出」に基づいて実効上死点TDCRを算出し、実効上死点シリンダ容積演算部B223は、実効上死点IVCRに基づき図に示すようなテーブルを検索して実効上死点シリンダ容積VTDCRを算出する。なお、実効上死点TDCRの算出方法についてもこれに限られない。
そして、有効行程容積演算部B224は、実効閉時期シリンダ容積VIVCRから実効上死点シリンダ容積VTDCRを減算して実効行程容積(VIVCR−VTDCR)を算出し、乗算部B225は、吸気圧力Pmを空気のガス定数Raと吸気温度Tmとの積で除算した{Pm/(Ra・Tm)}を、実効行程容積(VIVCR−VTDCR)に乗算する。これにより、上記(13)式に示す最大吸入空気量QMAXが算出される。
ここにおいて、吸気弁104の作動特性に応じた実際のシリンダ吸入空気量をQcylとすると、(ソニック吸入空気量Q/最大吸入空気量QMAX)と(シリンダ吸入空気量Qcyl0/最大吸入空気量QMAX)との間に一義的な関係があることが確認されており、この関係をあらかじめ記憶しておけば、一方の値(例えば、Qcyl0/QMAX)に基づいて、これに対応する他方の値(Q/QMAX)を直ちに求めることができる(すなわち、変換することができる)。そして、かかる関係を示したものが、上記変換部B103におけるテーブルであり、これにより、除算部B102の算出結果である{(目標)シリンダ吸入空気量tQcyl0/最大吸入空気量QMAX}を{(目標)ソニック吸入空気量tQ/最大吸入空気量QMAX}へと変換することができる。
再び図17に戻って、乗算部B104では、変換部B103からの出力値(tQ/QMAX)に最大吸入空気量QMAXを乗算して目標ソニック吸入空気量tQとする。
ソニック吸入空気量Qは上記式(12)で表されるから、除算部B105にて、上記目標ソニック吸入空気量tQを{Pm・qSONIC/√(Ra・Tm)}で除算し、さらに除算部B106にて、Δt{=Δθ/(6・Ne)}で除算することで、吸気弁104の目標総開口面積(tΣA)とすることができる。この目標総開口面積(tΣA)は、目標ソニックtQを得るための開口面積に相当する。
目標作動角設定部B107では、算出した目標総開口面積(tΣA)をクランク角単位に換算し、図に示すようなテーブルを検索することで目標吸気弁作動角tθeventとする(すなわち、開口面積を作動角に変換する)。なお、目標吸気弁作動角tθeventは、目標総開口面積tΣAが大きいほど、大きな値として設定される。
そして、ECU201は、吸気弁104の実際の開時期及び作動角(リフト特性)が設定された目標吸気弁開時期tIVO、目標吸気弁作動角tθeventとなるように、前記動弁機構105を制御する。
この実施形態によると、次のような効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、吸気弁開時期IVOから実効上死点TDCRまでの期間、及びバルブオーバーラップ期間が前半から後半へと切り換わる時期CAにおける吸気弁通過ガス量に基づいて、バルブオーバーラップ期間中にシリンダ内から吸気ポートへと吹き返す吹き返しガス量を算出する演算式(式(4))を有し、この演算式と目標残留ガス量から算出した目標吹き返しガス量とに基づいて、目標吸気弁開時期tIVOを設定(算出)するようにした(式(6)参照)。このため、マップの多用等を招くことなく、目標吸気開時期tIVOを比較的容易に設定することが可能となる。
さらに、本実施形態では、Q/QMAXとQcyl0/QMAXとの関係を変換テーブルとして作成しておき、この変換テーブルと目標シリンダ吸入空気量tQcyl0とにより目標ソニック吸入空気量tQを算出し、算出した目標ソニック吸入空気量tQに基づいて目標吸気作動角tθevent(リフト特性)を設定するようにした。このため、目標吸気作動角tθeventの設定においても、上記変換テーブルを用いることで、マップの多用を回避できる。
以上により、最小限の演算で吸気弁の作動特性(開閉時期、リフト特性)を制御することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るエンジンの概略構成を示す図である。 同上吸気弁の動弁機構(VEL機構+VTC機構)の構成を示す図である。 同上VEL機構の構成を示す図である。 弁作動特性VLIFT及び単位クランク角当たりのシリンダ吸入空気量DLTQの関係を示す図である。 シリンダ内圧力の近似特性線を示す図である。 バルブオーバーラップ期間後半の排気弁通過ガス量の近似特性線(第1近似特性線)を示す図である。 バルブオーバーラップ期間中のシリンダ内ガス量変化分の近似特性線(第2近似特性線)を示す図である。 バルブオーバーラップ期間前半の吸気弁通過ガス量の近似特性線(第3近似特性線)を示す図である。 バルブオーバーラップ期間前半の排気弁通過ガス量の近似特性線(第4近似特性線)を示す図である。 バルブオーバーラップ期間後半の吸気弁通過ガス量の近似特性線(第5近似特性線)を示す図である。 吹き返しガス量(近似)を示す図である。 実際の吹き返しガス量と近似値との関係を示す図である。 目標吸気弁開時期tIVOを設定するブロック図である。 目標吸気弁開時期tIVOの算出を説明するための図である。 目標すきま容積部ガス量tQGAPを算出するブロック図である。 目標排気圧力tPeを算出するブロック図である。 吸気弁目標作動角tθeventを設定するブロック図である。 ソニック吸入空気量QDを算出するブロック図である。 最大吸入空気量QMAXを算出するブロック図である。 実効閉時期IVCRの設定上の吸気弁閉時期IVCからのオフセット量であるIVCオフセット量を設定するマップである。
符号の説明
1…エンジン、101…吸気通路、102…スロットル弁、103…インジェクタ、104…吸気弁、105…動弁機構、105a…VEL機構、105b…VTC機構、106…点火プラグ、107…排気通路、108…排気弁、151…駆動軸、152…揺動カム、153…偏心駆動カム、154…リング状リンク、155…制御軸、156…偏心制御カム、157…ロッカアーム、158…ロッド状リンク、161…電磁アクチュエータ、201…エンジンコントローラ、211…アクセルセンサ、212…クランク角センサ、213…吸気圧力センサ、214…吸気温度センサ、215…排気圧力センサ、216…排気温度センサ

Claims (16)

  1. エンジンの吸気弁の作動特性を可変制御する可変動弁機構の制御装置であって、
    エンジン運転条件に基づいて、シリンダ内に残留させる残留ガス量の目標値である目標残留ガス量を設定する目標残留ガス量設定手段と、
    前記目標残留ガス量を達成するように前記吸気弁の目標開時期を設定し、設定した目標開時期に基づいて前記可変動弁機構を制御する制御手段と、
    を含んで構成され、
    前記制御手段は、前記吸気弁の開時期からバルブオーバーラップ期間中にシリンダ内への吸入が実際に開始される時期である実効上死点までの期間バルブオーバーラップ期間中の所定時期における吸気弁通過ガス量を乗算した値を2で除算する、バルブオーバーラップ期間中にシリンダ内から吸気ポートへと吹き返すガスの量である吹き返しガス量を算出するための演算式有し、
    前記目標残留ガス量から算出した目標吹き返しガス量と、前記演算式とに基づいて、前記吸気弁の目標開時期を算出することを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  2. 前記制御手段は、バルブオーバーラップ期間の後半における複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおける排気弁通過ガス量に基づいて、バルブオーバーラップ期間後半の排気弁通過ガス量の近似特性線である第1近似特性線を設定するとともに、
    バルブオーバーラップ期間中の複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおけるシリンダ内ガス量変化分に基づいて、バルブオーバーラップ期間中のシリンダ内ガス量変化分の近似特性線である第2近似特性線を設定し、
    前記第1、第2近似特性線の交点の時期を前記実効上死点として算出することを特徴とする請求項1記載の可変動弁機構の制御装置。
  3. 前記制御手段は、バルブオーバーラップ期間の前半における複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおける吸気弁通過ガス量に基づいて、バルブオーバーラップ期間前半の吸気弁通過ガス量の近似特性線である第3近似特性線を設定するとともに、
    バルブオーバーラップ期間の前半における複数の時期及びこの複数の時期のそれぞれにおける排気弁通過ガス量に基づいて、バルブオーバーラップ期間前半の排気弁通過ガス量の近似特性線である第4近似特性線を設定し、
    前記第1近似特性線と前記第4近似特性線との交点の時期における前記第3近似特性線上の値を、前記所定時期における吸気弁通過ガス量とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の可変動弁機構の制御装置。
  4. 前記第1近似特性線の設定に際し、排気弁開口面積、排気圧力及びシリンダ内圧力に基づいて前記排気弁通過ガス量を算出することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の可変動弁機構の制御装置。
  5. 前記第1近似特性線の設定に際し、前記バルブオーバーラップ期間の前半における複数の時期には吸気弁開時期が含まれることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  6. 前記第2近似特性線の設定に際して、シリンダ内圧力及びシリンダ容積に基づいて前記シリンダ内ガス量変化分を算出することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  7. 前記第2近似特性線の設定に際し、前記バルブオーバーラップ期間中の複数の時期には上死点及び吸気弁開時期の少なくとも一方が含まれることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  8. 前記第3近似特性線の設定に際し、吸気弁開口面積、吸気圧力及びシリンダ内圧力に基づいて前記吸気弁通過ガス量を算出することを特徴とする請求項3〜7のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  9. 前記第3近似特性線の設定に際し、前記バルブオーバーラップ期間の前半における複数の時期には吸気弁開時期が含まれることを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  10. 前記第4近似特性線の設定に際し、前記第2近似特性線と前記第3近似特性線との交点の時期における排気弁通過ガス量を0とすることを特徴とする請求項3〜9のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  11. エンジン運転条件に基づいて目標吸気圧力を設定する目標吸気圧力設定手段と、
    前記目標吸気圧力となったときの排気圧力を目標排気圧力として算出する目標排気圧力算出手段とを更に含んで構成され、
    バルブオーバーラップ期間におけるシリンダ内圧力を、吸気弁開時期から排気弁閉時期にかけて、前記目標排気圧力から前記目標吸気圧力へと直線的に変化するものと近似することを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  12. エンジン運転条件に基づいて設定される目標新気量及び目標残留ガス率に基づいて前記目標残留ガス量を算出し、算出した目標残留ガス量からシリンダのすきま容積部に残留するすきま容積部ガス量を減算して前記目標吹き返しガス量とすることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  13. 前記すきま容積部は、前記実効上死点におけるシリンダ内容積であることを特徴とする請求項12記載の可変動弁機構の制御装置。
  14. 前記可変動弁機構が、前記吸気弁のリフト特性を連続的に変更できるリフト可変機構と、前記吸気弁の作動角の中心位相を連続的に変更できる中心位相可変機構と備え、
    前記制御手段は、エンジン運転条件に基づいて設定される目標新気量に基づいて前記吸気弁の目標リフト特性を設定し、
    前記目標開時期に基づいて前記中心位相可変機構を制御するとともに、前記目標リフト特性に基づいて前記リフト可変機構を制御することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の可変動弁機構の制御装置。
  15. 前記制御手段は、前記吸気弁のリフト量に応じた開口面積でソニック流として吸入した場合のシリンダ吸入空気量をソニック吸入空気量QD、吸気行程の開始から終了までの行程容積を吸気弁上流側の状態で充填した場合のシリンダ吸入空気量を最大吸入空気量QMAX、及び実際のシリンダ吸入空気量をQcylとしたときの(QD/QMAX)と(Qcyl/QMAX)と間に設定される関係と、前記目標新気量とに基づいて、該目標新気量に対応する目標ソニック吸入空気量を算出し、
    算出した目標ソニック吸入空気量に基づいて、前記目標リフト特性を設定することを特徴とする請求項14記載の可変動弁機構の制御装置。
  16. 前記目標ソニック吸入空気量から、該目標ソニック吸入空気量を得るための開口面積を算出し、算出した開口面積に基づいて前記目標リフト特性を設定することを特徴とする請求項14又は請求項15記載の可変動弁機構の制御装置。
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