JP4427005B2 - 変速システム及びそれを備えた動力出力システム - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンからの動力を変速して出力する変速システム及びそれを備えた動力出力システムに関する。
変速システムを備えた動力出力システムの関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1の動力出力システムは、エンジンと、第1及び第2モータジェネレータと、第1及び第2遊星歯車と、を備えたハイブリッド型の動力出力システムである。第1遊星歯車のサンギアとキャリアとリングギアのいずれか2つの回転要素が、第2遊星歯車のサンギアとキャリアとリングギアのいずれか2つの回転要素と直接連結されていることで、4つの回転要素が共線図上に配列された遊星歯車機構が形成される。そして、共線図上で両端に位置する2つの回転要素に第1及び第2モータジェネレータをそれぞれ接続し、残りの2つの回転要素の一方にエンジンを接続し、残りの2つの回転要素の他方を駆動出力部としている。特許文献1の動力出力システムにおいては、共線図上で両端に位置する2つの回転要素に第1及び第2モータジェネレータのトルクを加えた状態で、エンジンの動力を変速して駆動出力部から出力している。
その他にも、下記特許文献2〜6による動力出力システムが開示されている。
特開2002−281607号公報 特開平8−308021号公報 特開2000−62483号公報 特開平11−332018号公報 特開昭50−20410号公報 特開2003−164007号公報
特許文献1において、変速比(エンジンの回転速度/駆動出力部の回転速度)の可変範囲を広げようとすると、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータの間における電気パス(動力パス)が増大する。この電気パスが行われる際には動力損失が生じるため、電気パスの増大とともに動力伝達効率が低下してしまう。このように、特許文献1においては、変速比の可変範囲を広げながら動力伝達効率を向上させることが困難であるという問題点がある。
本発明は、変速比の可変範囲を広げることができるとともに動力伝達効率を向上させることができる変速システム及びそれを備えた動力出力システムを提供することを目的とする。
本発明に係る変速システム及びそれを備えた動力出力システムは、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る変速システムは、複数の変速用回転要素が共線図上で入力側回転要素と出力側回転要素の間に配置されるように入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素が組み合わされた機構であって、複数の変速用回転要素のいずれかにトルクが加えられた状態で入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力可能な変速機構と、第1及び第2モータジェネレータのトルクを入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中のそれぞれ異なる回転要素に選択的に加えることが可能な切替機構と、切替機構により第1及び第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素の組み合わせを複数通りの組み合わせの中で変更しながら変速機構による変速動作を実行し、且つ該複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータのトルクを2つの変速用回転要素にそれぞれ加える第1変速モードが含まれるように該回転要素の組み合わせを変更する制御装置と、を備えることを要旨とする。
本発明の一態様では、変速機構は、複数の変速用回転要素のいずれかにトルクが加えられた状態で、出力側回転要素と逆回転する入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力する機構であり、制御装置は、入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の互いに逆回転する2つの回転要素に第1及び第2モータジェネレータのトルクをそれぞれ加えるように切替機構により第1及び第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素の組み合わせを複数通りの組み合わせの中で変更しながら変速機構による変速動作を実行し、且つ該複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータのトルクを互いに逆回転する2つの変速用回転要素にそれぞれ加える第1変速モードが含まれるように該回転要素の組み合わせを変更することが好適である。また、本発明の一態様では、制御装置は、前記複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを変速用回転要素に加え且つ第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを出力側回転要素に加える第2変速モードが含まれるように、前記回転要素の組み合わせを変更することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、前記複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを変速用回転要素に加え且つ第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを入力側回転要素に加える第3変速モードが含まれるように、前記回転要素の組み合わせを変更することが好適である。
また、本発明の一態様では、変速機構には3以上の変速用回転要素が設けられており、制御装置は、前記複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータのトルクを前記第1変速モードと異なる組み合わせの2つの変速用回転要素にそれぞれ加える第4変速モードが含まれるように、前記回転要素の組み合わせを変更することが好適である。
また、本発明の一態様では、切替機構は、第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素を第1モータジェネレータの回転速度を変化させることなく変更することが可能であり、制御装置は、第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素の変更により前記回転要素の組み合わせを変更するときには、第1モータジェネレータの回転速度を変化させないように第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更することが好適である。この態様では、第1モータジェネレータの回転速度を変化させることなく切替機構により第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素を入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の互いに逆回転する2つの第1変更用回転要素間で変更可能なように、第1モータジェネレータのトルクがその方向を反転させるための第1同期用回転要素を介して第1変更用回転要素のいずれかに加えられることが好適である。さらに、第1同期用回転要素として第1モータジェネレータのトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアが設けられていることが好適である。
また、本発明の一態様では、切替機構は、第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく変更することが可能であり、制御装置は、第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素の変更により前記回転要素の組み合わせを変更するときには、第2モータジェネレータの回転速度を変化させないように第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更することが好適である。この態様では、第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の互いに逆回転する2つの第2変更用回転要素間で変更可能なように、第2モータジェネレータのトルクがその方向を反転させるための第2同期用回転要素を介して第2変更用回転要素のいずれかに加えられることが好適である。さらに、第2同期用回転要素として第2モータジェネレータのトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアが設けられていることが好適である。
また、本発明の一態様では、切替機構は、入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中で、第1モータジェネレータを結合する回転要素と第2モータジェネレータを結合する回転要素の少なくとも一方を選択的に切り替えることが可能であり、制御装置は、切替機構により第1モータジェネレータを結合する回転要素と第2モータジェネレータを結合する回転要素の少なくとも一方を切り替えることで、前記回転要素の組み合わせを変更することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータを結合した回転要素がともに回転しているときに、第1及び第2モータジェネレータの一方を回生運転するとともに第1及び第2モータジェネレータの他方を力行運転する電気パスを行いながら変速機構による変速動作を実行することが好適である。この態様では、各変速用回転要素は、入力側回転要素の回転速度と出力側回転要素の回転速度の比がその各々に対応して設定された値を超えるときから、その回転方向が正転方向から逆転方向に反転する回転要素であり、制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの一方を、逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれか1つに結合した状態で回生運転するとともに、第1及び第2モータジェネレータの他方を、正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれか1つに結合した状態で力行運転することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータをそれぞれ異なる回転要素に結合した状態で、第1及び第2モータジェネレータの両方を回生運転することで、出力側回転要素に結合された負荷のエネルギーを回生する回生動作を実行することが好適である。この態様では、制御装置は、回生動作の実行時に、切替機構により第1及び第2モータジェネレータを結合する回転要素の組み合わせを変更することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを変速用回転要素のいずれか1つに加えた状態で、切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を切り替えることで、前記回転要素の組み合わせを変更することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを略0に制御するときに、切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を切り替えることが好適である。この態様では、制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを加えた回転要素の回転が略停止するときに、第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを0に制御することが好適である。
また、本発明の一態様では、各変速用回転要素は、入力側回転要素の回転速度と出力側回転要素の回転速度の比がその各々に対応して設定された値を超えるときから、その回転方向が正転方向から逆転方向に反転する回転要素であり、制御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を切り替えるときに、切り替え前の回転要素が正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれかである場合は、第1及び第2モータジェネレータの他方を、逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれか1つに結合し、切り替え前の回転要素が逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれかである場合は、第1及び第2モータジェネレータの他方を、正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれか1つに結合することが好適である。この態様では、制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの他方を、逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれか1つに結合した場合は、第1及び第2モータジェネレータの一方及び他方をそれぞれ力行運転及び回生運転し、第1及び第2モータジェネレータの他方を、正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれか1つに結合した場合は、第1及び第2モータジェネレータの一方及び他方をそれぞれ回生運転及び力行運転することが好適である。
また、本発明の一態様では、第1及び第2モータジェネレータの他方の回転速度を変化させることなく切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を互いに逆回転する回転要素間で切り替え可能なように、第1及び第2モータジェネレータの他方がトルクの方向を反転させるための同期用回転要素を介して切り替え前の回転要素または切り替え後の回転要素に結合されることが好適である。
また、本発明の一態様では、切替機構は、第1モータジェネレータを入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の2つの第1結合用回転要素に結合することが可能であり、制御装置は、切替機構により第1モータジェネレータを2つの第1結合用回転要素に結合することで変速比を固定することが好適である。この態様では、切替機構により第1モータジェネレータが回転速度の異なる2つの第1結合用回転要素に結合可能なように、第1モータジェネレータが第1同期用回転要素を介して第1結合用回転要素のいずれかに結合されることが好適である。
また、本発明の一態様では、切替機構は、第2モータジェネレータを入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の2つの第2結合用回転要素に結合することが可能であり、制御装置は、切替機構により第2モータジェネレータを2つの第2結合用回転要素に結合することで変速比を固定することが好適である。この態様では、切替機構により第2モータジェネレータが回転速度の異なる2つの第2結合用回転要素に結合可能なように、第2モータジェネレータが第2同期用回転要素を介して第2結合用回転要素のいずれかに結合されることが好適である。
また、本発明の一態様では、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータの結合状態を切り替える結合機構を備え、制御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータをそれぞれ異なる回転要素に結合した状態で、結合機構により第1モータジェネレータと第2モータジェネレータを結合することで変速比を固定することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、前記回転要素の組み合わせを、入力側回転要素の回転速度と出力側回転要素の回転速度の比に応じて変更しながら変速機構による変速動作を実行することが好適である。
また、本発明の一態様では、変速機構は、各々がサンギアとキャリアとリングギアを回転要素として含む複数の遊星歯車により構成された遊星歯車機構であって、該遊星歯車機構が2自由度の回転自由度を有するように各遊星歯車の回転要素のいずれかが他の遊星歯車の回転要素のいずれかと結合または共用化された遊星歯車機構を有し、入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素が、前記遊星歯車機構の回転要素により構成されていることが好適である。
また、本発明に係る変速システムは、変速用回転要素が共線図上で入力側回転要素と出力側回転要素の間に配置されるように入力側回転要素と出力側回転要素と変速用回転要素が組み合わされた機構であって、変速用回転要素に第1モータジェネレータのトルクが加えられた状態で入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力可能な変速機構と、第2モータジェネレータのトルクを入力側回転要素と出力側回転要素のいずれかに選択的に加えることが可能で、且つ第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく変更することが可能な切替機構と、切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更しながら変速機構による変速動作を実行し、且つ該回転要素の変更時には第2モータジェネレータの回転速度を変化させないように該回転要素を変更する制御装置と、を備えることを要旨とする。
本発明の一態様では、変速機構は、変速用回転要素に第1モータジェネレータのトルクが加えられた状態で、出力側回転要素と逆回転する入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力する機構であり、制御装置は、入力側回転要素と出力側回転要素のうち変速用回転要素と逆回転する回転要素に第2モータジェネレータのトルクを加えるように切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更しながら変速機構による変速動作を実行し、第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更可能なように、第2モータジェネレータのトルクがその方向を反転させるための同期用回転要素を介して互いに逆回転する入力側回転要素と出力側回転要素のいずれかに加えられることが好適である。この態様では、同期用回転要素として第2モータジェネレータのトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアが設けられていることが好適である。
また、本発明の一態様では、切替機構は、入力側回転要素と出力側回転要素の中で、第2モータジェネレータを結合する回転要素を選択的に切り替えることが可能であり、制御装置は、第1モータジェネレータのトルクを変速用回転要素に加えた状態で、切替機構により第2モータジェネレータを結合する回転要素を切り替えることで、第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、変速用回転要素及び切替機構により第2モータジェネレータを結合した回転要素がともに回転しているときに、第1及び第2モータジェネレータの一方を回生運転するとともに第1及び第2モータジェネレータの他方を力行運転する電気パスを行いながら変速機構による変速動作を実行することが好適である。この態様では、制御装置は、切替機構により第2モータジェネレータを出力側回転要素に結合した状態では、第1モータジェネレータを回生運転するとともに第2モータジェネレータを力行運転し、切替機構により第2モータジェネレータを入力側回転要素に結合した状態では、第2モータジェネレータを回生運転するとともに第1モータジェネレータを力行運転することが好適である。
また、本発明の一態様では、制御装置は、第2モータジェネレータのトルクを略0に制御するときに、切替機構により第2モータジェネレータを結合する回転要素を切り替えることが好適である。この態様では、制御装置は、第1モータジェネレータのトルクを加えた変速用回転要素の回転が略停止するときに、第2モータジェネレータのトルクを0に制御することが好適である。
また、本発明に係る動力出力システムは、動力を発生可能なエンジンと、力行運転及び回生運転が可能な第1及び第2モータジェネレータと、本発明に係る変速システムと、を備えることを要旨とする。
本発明の一態様では、出力側回転要素に第3モータジェネレータのトルクを加えることが可能であるのが好適である。この態様では、制御装置は、第3モータジェネレータを回生運転することで、出力側回転要素に結合された負荷のエネルギーを回生する回生動作を実行することが好適である。
また、本発明の一態様では、エンジンの回転を拘束することが可能な回転拘束機構を備え、制御装置は、回転拘束機構によりエンジンの回転を拘束した状態で第1及び第2モータジェネレータのいずれかの動力により出力側回転要素を駆動するモータ駆動動作を実行することが好適である。
本発明によれば、第1及び第2モータジェネレータのトルクを加える変速機構の回転要素の組み合わせを変更することで、変速比を広範囲に変化させても、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータの間における電気パス(動力パス)を低減することができ、第1及び第2モータジェネレータを運転する際の動力損失を低減することができる。その結果、変速比の可変範囲を広げることができるとともに動力伝達効率を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態の構成」
図1は、本発明の実施形態に係る変速システムを備えた動力出力システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る動力出力システムは、ハイブリッド型の動力出力システムであり、以下に説明するエンジンENG、モータジェネレータMG1,MG2、変速機構SGM、動力断続機構CLT1,CLT2、回転拘束機構LCK、及びコントローラCONTを備えている。なお、本実施形態に係る動力出力システムの適用例としては、車両の駆動システムに適用する例が挙げられる。
動力を発生可能なエンジンENGの出力軸は変速機構SGMと結合されており、エンジンENGが発生した動力は変速機構SGMに伝達される。一方、力行運転及び回生運転が可能なモータジェネレータMG1,MG2の回転子は変換ギアTRG11,TRG12とそれぞれ結合されており、モータジェネレータMG1,MG2が発生した動力は変換ギアTRG11,TRG12にそれぞれ伝達される。
変速機構SGMは、各々がサンギアとキャリアとリングギアを回転要素として含む複数の遊星歯車により構成された遊星歯車機構を備えている。図1に示す構成例では、変速機構SGMは、サンギアSG1とキャリアCR1とリングギアRG1を回転要素として含む遊星歯車と、シングルピニオン遊星歯車とダブルピニオン遊星歯車とがキャリア及びリングギアを共用化した構成でサンギアSG2,SG3とキャリアCR2とリングギアRG2を回転要素として含むラビニヨ(Ravigneaux)型遊星歯車と、を備えている。サンギアSG1とサンギアSG2が結合されており、リングギアRG1とキャリアCR2が結合されている。そして、サンギアSG1,SG2がエンジンENGの出力軸と結合されており、サンギアSG3が出力用ギアOUTと結合されている。また、リングギアRG2がその外周にて伝達ギアTRG2と噛み合っており、キャリアCR2が伝達ギアTRG3と噛み合っている。そして、出力用ギアOUTが同期ギアSYG1を介して伝達ギアTRG1と噛み合っており、キャリアCR1が同期ギアSYG2を介して伝達ギアTRG4と噛み合っている。
動力断続機構CLT1は、変換ギアTRG11と伝達ギアTRG1,TRG3との結合状態を切り替えることで、両者間における動力の断続を行う。動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11と伝達ギアTRG1が結合されたときは、モータジェネレータMG1と出力用ギアOUTが同期ギアSYG1を介して結合され、モータジェネレータMG1のトルクが同期ギアSYG1を介して出力用ギアOUTに加わる。ここでの同期ギアSYG1は、モータジェネレータMG1のトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアとして構成される。一方、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11と伝達ギアTRG3が結合されたときは、モータジェネレータMG1とキャリアCR2が結合され、モータジェネレータMG1のトルクがキャリアCR2に加わる。また、ここでの動力断続機構CLT1については、モータジェネレータMG1を出力用ギアOUTとキャリアCR2のいずれか一方に結合可能なように構成してもよいし、モータジェネレータMG1を出力用ギアOUTとキャリアCR2の両方に結合可能なように構成してもよい。
動力断続機構CLT2は、変換ギアTRG12と伝達ギアTRG2,TRG4との結合状態を切り替えることで、両者間における動力の断続を行う。動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12と伝達ギアTRG2が結合されたときは、モータジェネレータMG2とリングギアRG2が結合され、モータジェネレータMG2のトルクがリングギアRG2に加わる。一方、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12と伝達ギアTRG4が結合されたときは、モータジェネレータMG2とキャリアCR1が同期ギアSYG2を介して結合され、モータジェネレータMG2のトルクが同期ギアSYG2を介してキャリアCR1に加わる。ここでの同期ギアSYG2は、モータジェネレータMG2のトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアとして構成される。また、ここでの動力断続機構CLT2については、モータジェネレータMG2をリングギアRG2とキャリアCR1のいずれか一方に結合可能なように構成してもよいし、モータジェネレータMG1をリングギアRG2とキャリアCR1の両方に結合可能なように構成してもよい。
以上のように、動力断続機構CLT1,CLT2は、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを変速機構SGMのそれぞれ異なる回転要素に選択的に加えることが可能である。なお、ここでの動力断続機構CLT1,CLT2は、例えば噛合クラッチ(ドッグクラッチ)やシンクロメッシュ(同期噛合機構)により構成することができる。そして、動力断続機構CLT1,CLT2による結合及びその解除(動力の断続)は、例えば電磁アクチュエータ(図示せず)の駆動制御により行うことができる。
回転拘束機構LCKは、エンジンENGの出力軸(サンギアSG1,SG2)の回転を拘束することが可能である。ここでの回転拘束機構LCKは、例えば電磁アクチュエータにより構成することができる。
図1に示す構成の変速機構SGM(遊星歯車機構)において、サンギアSG3、リングギアRG2、キャリアCR2(リングギアRG1)、キャリアCR1、及びサンギアSG1(サンギアSG2)の5つの回転要素の回転速度は、図2の共線図に示す共線関係にある。ただし、図2の共線図において、Z1,Z2,Z3,Z4は、変速機構SGM(遊星歯車機構)を構成する各回転要素(ギア)の歯数から求まる定数である。図2の共線図では、遊星歯車機構の各回転要素がサンギアSG3、リングギアRG2、キャリアCR2、キャリアCR1、及びサンギアSG1の順に配列されるように組み合わされていることで、モータジェネレータMG1,MG2と結合可能なリングギアRG2とキャリアCR2とキャリアCR1が、エンジンENGの出力軸に結合されたサンギアSG1と出力用ギアOUTに結合されたサンギアSG3との間に配置されている。ここでの遊星歯車機構は、2自由度の回転自由度を有する機構であり、サンギアSG3、リングギアRG2、キャリアCR2、キャリアCR1、及びサンギアSG1の5つの回転要素のうち2つの回転要素の回転速度が決まると、残りの3つの回転要素の回転速度も決まる。そして、変速機構SGMは、リングギアRG2、キャリアCR2、及びキャリアCR1のいずれかにトルクが加えられた状態で、サンギアSG1(SG2)に入力されたエンジンENGからの動力を変速してサンギアSG3と結合された出力用ギアOUTから出力することができる。出力用ギアOUTから出力された動力は、出力用ギアOUTに結合された負荷(図示せず)に伝達されることで、例えば車両の駆動等の負荷の駆動に用いられる。
エンジンENGが回転しており且つ車両が前進(出力用ギアOUTが正転方向に回転)しているときは、図2の共線図に示すように、サンギアSG1の回転方向(エンジンENGの回転方向)はサンギアSG3の回転方向(出力用ギアOUTの正転方向)と逆転する。ここで、サンギアSG1の回転速度(エンジンENGの回転速度Ne)とサンギアSG3の回転速度(出力用ギアOUTの回転速度Nout)の比、すなわち変速比(Ne/Nout)がZ4/(Z1+Z2+Z3)より小さいときは、図2(A)の共線図に示すように、リングギアRG2、キャリアCR2、及びキャリアCR1が正転方向に回転する。ただし、出力用ギアOUTの回転速度Noutは、出力用ギアOUTが正転する方向を正とし、エンジンENGの回転速度Neは、エンジンENGが出力用ギアOUTの正転方向と逆転する方向を正としている。変速比(Ne/Nout)が増大してZ4/(Z1+Z2+Z3)を超えたときから、図2(B)の共線図に示すように、キャリアCR1の回転方向が正転方向から逆転方向に反転する。そして、変速比(Ne/Nout)が増大して(Z3+Z4)/(Z1+Z2)を超えたときから、図2(C)の共線図に示すように、キャリアCR2の回転方向が正転方向から逆転方向に反転する。さらに、変速比(Ne/Nout)が増大して(Z2+Z3+Z4)/Z1を超えたときから、図2(D)の共線図に示すように、リングギアRG2の回転方向が正転方向から逆転方向に反転する。なお、エンジンENG、出力用ギアOUT、及び伝達ギアTRG2,TRG3,TRG4に結合される遊星歯車機構の各回転要素の組み合わせは、図1に示す構成に限るものではなく、例えばエンジンENGをサンギアSG3に結合して出力用ギアOUTをサンギアSG1(SG2)に結合する等の他の組み合わせを採ることもできる。
コントローラCONTは、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、入出力ポートと、を備える。このコントローラCONTには、図示しない各センサにより検出されたエンジンENGの回転速度Neを示す信号、モータジェネレータMG1,MG2の回転速度Nmg1,Nmg2を示す信号、及び出力用ギアOUTの回転速度Noutを示す信号等が入力ポートを介して入力されている。一方、コントローラCONTからは、エンジンENGの運転状態を制御するためのエンジン制御信号CS_ENG、モータジェネレータMG1,MG2の運転状態を制御するためのモータ制御信号CS_MG1,CS_MG2、動力断続機構CLT1,CLT2の結合状態(電磁アクチュエータの駆動状態)を制御するための動力断続制御信号CS_CLT1,CS_CLT2、及び回転拘束機構LCKの拘束状態を制御するための回転拘束制御信号CS_LCK等が出力ポートを介して出力されている。
「実施形態の変速動作」
次に、本実施形態に係る動力出力システムにおいて、コントローラCONTにより変速比を変更しながら負荷(車両)を駆動する制御を、図3〜6に示す共線図を用いて説明する。本実施形態においては、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2のトルクを加える回転要素の組み合わせを、以下に説明する複数通りの組み合わせの中で変更しながら変速機構SGMによる変速動作を実行する。
まずコントローラCONTがモータジェネレータMG1,MG2のトルクを加える回転要素の組み合わせを変更する動作を、図3,4の共線図を用いて説明する。ここで、変速比(Ne/Nout)が(Z2+Z3+Z4)/Z1より大きく、リングギアRG2とキャリアCR2とキャリアCR1がともに逆転方向に回転している状態(図3(A)の共線図に示す状態)を考える。この状態においては、コントローラCONTは、図3(A)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1への動力断続制御信号CS_CLT1によりモータジェネレータMG1を正転方向に回転している出力用ギアOUT(サンギアSG3)に結合することで、モータジェネレータMG1のトルクを出力用ギアOUTに加える。さらに、コントローラCONTは、動力断続機構CLT2への動力断続制御信号CS_CLT2によりモータジェネレータMG2を、逆転方向に回転しているリングギアRG2とキャリアCR2とキャリアCR1とサンギアSG1の中で最も回転速度の低いリングギアRG2に結合することで、モータジェネレータMG2のトルクをリングギアRG2に加える。その際には、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2を回生運転するとともにモータジェネレータMG1を力行運転するように、モータ制御信号CS_MG1,CS_MG2によりモータジェネレータMG1,MG2のトルク(図3(A)の共線図の矢印に示す方向)をそれぞれ制御することで、モータジェネレータMG2からモータジェネレータMG1への動力パス(電気パス)を行う。この状態での出力用ギアOUTのトルクToutとエンジンENGのトルクTeの比、すなわち変速比Tout/Teは、定数Z1,Z2,Z3,Z4、及びモータジェネレータMG1,MG2のトルクTmg1,Tmg2を用いて表すことができ、(Z2+Z3+Z4)/Z1以上の大変速比が得られる。さらに、モータジェネレータMG1,MG2のトルクTmg1,Tmg2を制御することで、変速比Tout/Teを連続的に制御することができるので、CVT(無段変速機)機能を実現することができる。以下、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2を出力用ギアOUT及びリングギアRG2にそれぞれ結合した状態を大変速比モードとする。この大変速比モードにおいては、モータジェネレータMG1,MG2のトルクは、出力用ギアOUT及びリングギアRG2にそれぞれ加えられる。
大変速比モードにおいて、変速比(Ne/Nout)が減少して(Z2+Z3+Z4)/Z1に等しくなると、図3(B)の共線図に示すように、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2のトルクが加えられたリングギアRG2の回転が停止する。このときは、コントローラCONTは、モータジェネレータMG1のトルクを0に制御することで、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2の間の動力パス(電気パス)を0にすることができる。そして、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2のトルクを回転が停止した(あるいはほぼ停止した)リングギアRG2に加えるとともにモータジェネレータMG1のトルクを0(あるいは0に近い微少値)に制御した状態で、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する変速機構SGMの回転要素をサンギアSG3から切り替える。ここでは、図3(B)の共線図に示すように、モータジェネレータMG1を結合する回転要素を、逆転方向に回転しているキャリアCR2とキャリアCR1とサンギアSG1の中で最も回転速度の低いキャリアCR2に切り替える。この切り替えによって、モータジェネレータMG1のトルクを加える変速機構SGMの回転要素を、正転方向に回転するサンギアSG3から逆転方向に回転するキャリアCR2に切り替えることができる。さらに、切り替え時点においては、モータジェネレータMG1のトルクは0(あるいは0に近い微少値)であるため、回転要素の切り替えによるトルク変動を抑えることができる。なお、リングギアRG2の回転が停止したか否かについては、エンジンENGの回転速度Ne及び出力用ギアOUTの回転速度Noutから判定することができる。
動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する回転要素を逆転方向に回転するキャリアCR2に切り替えた状態から、変速比(Ne/Nout)が減少して(Z2+Z3+Z4)/Z1より小さくなると、図4(A)の共線図に示すように、リングギアRG2が正転方向に回転する。ここでは、コントローラCONTは、逆転方向に回転するキャリアCR2に結合されたモータジェネレータMG1を回生運転するとともに正転方向に回転するリングギアRG2に結合されたモータジェネレータMG2を力行運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルク(図4(A)の共線図の矢印に示す方向)をそれぞれ制御する。これによって、モータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2への電気パスを行う。この状態での変速比Tout/Teは、(Z3+Z4)/(Z1+Z2)と(Z2+Z3+Z4)/Z1との間の変速比となり、大変速比モードより小さい変速比が得られる。さらに、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを制御することで、変速比Tout/Teを連続的に制御することができ、CVT機能を実現することができる。以下、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2をキャリアCR2及びリングギアRG2にそれぞれ結合した状態を中変速比モードとする。この中変速比モードにおいては、モータジェネレータMG1,MG2のトルクは、キャリアCR2及びリングギアRG2にそれぞれ加えられる。
中変速比モードにおいて、変速比(Ne/Nout)が減少して(Z3+Z4)/(Z1+Z2)に等しくなると、図4(B)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1のトルクが加えられたキャリアCR2の回転が停止する。このときは、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2のトルクを0に制御することで、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2の間の電気パスを0にすることができる。そして、コントローラCONTは、モータジェネレータMG1のトルクを回転が停止した(あるいはほぼ停止した)キャリアCR2に加えるとともにモータジェネレータMG2のトルクを0(あるいは0に近い微少値)に制御した状態で、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する変速機構SGMの回転要素をリングギアRG2から切り替える。ここでは、図4(B)の共線図に示すように、モータジェネレータMG2を結合する回転要素を、逆転方向に回転しているキャリアCR1とサンギアSG1の中で最も回転速度の低いキャリアCR1に切り替える。この切り替えによって、モータジェネレータMG2のトルクを加える変速機構SGMの回転要素を、正転方向に回転するリングギアRG2から逆転方向に回転するキャリアCR1に切り替えることができる。さらに、切り替え時点においては、モータジェネレータMG2のトルクは0(あるいは0に近い微少値)であるため、回転要素の切り替えによるトルク変動を抑えることができる。なお、キャリアCR2の回転が停止したか否かについては、エンジンENGの回転速度Ne及び出力用ギアOUTの回転速度Noutから判定することができる。
動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素を逆転方向に回転するキャリアCR1に切り替えた状態から、変速比(Ne/Nout)が減少して(Z3+Z4)/(Z1+Z2)より小さくなると、図4(C)の共線図に示すように、キャリアCR2が正転方向に回転する。ここでは、コントローラCONTは、逆転方向に回転するキャリアCR1に結合されたモータジェネレータMG2を回生運転するとともに正転方向に回転するキャリアCR2に結合されたモータジェネレータMG1を力行運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルク(図4(C)の共線図の矢印に示す方向)をそれぞれ制御する。これによって、モータジェネレータMG2からモータジェネレータMG1への電気パスを行う。この状態での変速比Tout/Teは、(Z3+Z4)/(Z1+Z2)以下の小変速比となり、中変速比モードより小さい変速比が得られる。さらに、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを制御することで、CVT機能を実現することができる。以下、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2をキャリアCR2及びキャリアCR1にそれぞれ結合した状態を小変速比モードとする。この小変速比モードにおいては、モータジェネレータMG1,MG2のトルクは、(中変速比モードと異なる組み合わせの)キャリアCR2及びキャリアCR1にそれぞれ加えられる。
なお、変速比(Ne/Nout)が増大する場合も、変速比(Ne/Nout)が減少する場合と同様の動作により、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを加える回転要素の組み合わせを変更することができる。例えば小変速比モードにおいて、逆転方向に回転するキャリアCR1に結合されたモータジェネレータMG2を回生運転するとともに正転方向に回転するキャリアCR2に結合されたモータジェネレータMG1を力行運転する状態から、変速比(Ne/Nout)が増大して(Z3+Z4)/(Z1+Z2)に等しくなり、キャリアCR2の回転が停止したときを考える。このときは、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2を結合する回転要素を、逆転方向に回転するキャリアCR1から正転方向に回転するリングギアRG2とサンギアSG3の中で最も回転速度の低いリングギアRG2に切り替える。これによって、小変速比モードから中変速比モードに移行する。その後、変速比(Ne/Nout)が増大して(Z3+Z4)/(Z1+Z2)より大きくなり、キャリアCR2が逆転方向に回転したときは、コントローラCONTは、キャリアCR2に結合されたモータジェネレータMG1を回生運転するとともにリングギアRG2に結合されたモータジェネレータMG2を力行運転する。
以上のように、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2のトルクをそれぞれ加える変速機構SGMの2つの回転要素の組み合わせを、大変速比モードと中変速比モードと小変速比モードの中で、サンギアSG1の回転速度(エンジンENGの回転速度Ne)とサンギアSG3の回転速度(出力用ギアOUTの回転速度Nout)の比(変速比)に応じて変更する。
次に、コントローラCONTにより各変速比モードを選択するためのより具体的な動作を、図5,6の共線図を用いて説明する。
変速比(Ne/Nout)が(Z2+Z3+Z4)/Z1より大きく、大変速比モードを選択するときは、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11と伝達ギアTRG1を結合するとともに、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12と伝達ギアTRG2を結合する。この結合によって、図5(A)の共線図に示すように、モータジェネレータMG1を同期ギアSYG1を介して出力用ギアOUTに結合することができるとともに、モータジェネレータMG2をリングギアRG2に結合することができる。したがって、大変速比モードを実行することができ、モータジェネレータMG1のトルクを同期ギアSYG1を介して出力用ギアOUTに加えるとともに、モータジェネレータMG2のトルクをリングギアRG2に加えることができる。
変速比(Ne/Nout)が(Z2+Z3+Z4)/Z1に等しいときは、リングギアRG2の回転が停止する。ここで、出力用ギアOUTと伝達ギアTRG1との間に設けられた同期ギアSYG1による変換比(ギア比)をZ2/Z1に設定することで、リングギアRG2の回転が停止したときに、変換ギアTRG11の回転を伝達ギアTRG1の回転及び伝達ギアTRG3の回転の両方と同期させることができる。したがって、コントローラCONTは、図5(B)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する(モータジェネレータMG1のトルクを加える)回転要素を、モータジェネレータMG1の回転速度Nmg1を変化させることなく、サンギアSG3(出力用ギアOUT)とキャリアCR2の間で切り替えることができる。これによって、大変速比モードと中変速比モードとの間の切り替えをモータジェネレータMG1の回転速度Nmg1を変化させないように行うことができる。ここでの回転要素の切り替えの際には、切り替え前の回転要素の結合を解除してから切り替え後の回転要素の結合を行ってもよいし、切り替え後の回転要素の結合を行ってから切り替え前の回転要素の結合を解除してもよい。また、ここでの同期ギアSYG1については、出力用ギアOUTと伝達ギアTRG1との間に設ける代わりに、キャリアCR2と伝達ギアTRG3との間に設けることもできる。このように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する回転要素を出力用ギアOUTとキャリアCR2の間で切り替えるときには、モータジェネレータMG1が同期ギアSYG1を介して切り替え前の回転要素または切り替え後の回転要素に結合される。
変速比(Ne/Nout)が(Z3+Z4)/(Z1+Z2)と(Z2+Z3+Z4)/Z1との間の値であり、中変速比モードを選択するときは、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11と伝達ギアTRG3を結合するとともに、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12と伝達ギアTRG2を結合する。この結合によって、図6(A)の共線図に示すように、モータジェネレータMG1をキャリアCR2に結合することができるとともに、モータジェネレータMG2をリングギアRG2に結合することができる。したがって、中変速比モードを実行することができ、モータジェネレータMG1のトルクをキャリアCR2に加えるとともに、モータジェネレータMG2のトルクをリングギアRG2に加えることができる。
変速比(Ne/Nout)が(Z3+Z4)/(Z1+Z2)に等しいときは、キャリアCR2の回転が停止する。ここで、キャリアCR1と伝達ギアTRG4との間に設けられた同期ギアSYG2による変換比(ギア比)をZ2/Z3に設定することで、キャリアCR2の回転が停止したときに、変換ギアTRG12の回転を伝達ギアTRG2の回転及び伝達ギアTRG4の回転の両方と同期させることができる。したがって、コントローラCONTは、図6(B)の共線図に示すように、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する(モータジェネレータMG2のトルクを加える)回転要素を、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2を変化させることなく、リングギアRG2とキャリアCR1の間で切り替えることができる。これによって、中変速比モードと小変速比モードとの間の切り替えをモータジェネレータMG2の回転速度Nmg2を変化させないように行うことができる。ここでの回転要素の切り替えの際には、切り替え前の回転要素の結合を解除してから切り替え後の回転要素の結合を行ってもよいし、切り替え後の回転要素の結合を行ってから切り替え前の回転要素の結合を解除してもよい。また、ここでの同期ギアSYG2については、キャリアCR1と伝達ギアTRG4との間に設ける代わりに、リングギアRG2と伝達ギアTRG2との間に設けることもできる。このように、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素をリングギアRG2とキャリアCR1の間で切り替えるときには、モータジェネレータMG2が同期ギアSYG2を介して切り替え前の回転要素または切り替え後の回転要素に結合される。
変速比(Ne/Nout)が(Z3+Z4)/(Z1+Z2)より小さく、小変速比モードを選択するときは、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11と伝達ギアTRG3を結合するとともに、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12と伝達ギアTRG4を結合する。この結合によって、図6(C)の共線図に示すように、モータジェネレータMG1をキャリアCR2に結合することができるとともに、モータジェネレータMG2を同期ギアSYG2を介してキャリアCR1に結合することができる。したがって、小変速比モードを実行することができ、モータジェネレータMG1のトルクをキャリアCR2に加えるとともに、モータジェネレータMG2のトルクを同期ギアSYG2を介してキャリアCR1に加えることができる。
「実施形態の他の動作」
次に、車両(出力用ギアOUTの回転)が停止している状態でエンジンENGを始動する場合の動作について説明する。その場合、コントローラCONTは、図7(A)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11(モータジェネレータMG1)と伝達ギアTRG1(出力用ギアOUT)を結合するとともに、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12(モータジェネレータMG2)と伝達ギアTRG2(リングギアRG2)を結合する。その状態で、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2のトルク(図7(A)の共線図の矢印に示す方向)によりリングギアRG2を逆転方向に回転駆動する。それとともに、コントローラCONTは、リングギアRG2に作用するモータジェネレータMG2からのトルクに対する反力(図7(A)の共線図の矢印に示す方向)を、モータジェネレータMG1から出力用ギアOUTに作用させる。これによって、エンジンENGのクランキングを行う。なお、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2とキャリアCR1を結合し、モータジェネレータMG2のトルクによりキャリアCR1を逆転方向に回転駆動することによってもエンジンENGを始動することができる。ただし、モータジェネレータMG1,MG2を出力用ギアOUT及びリングギアRG2にそれぞれ結合した状態でエンジンENGを始動した方が、エンジンENGの始動後に速やかに大変速比モードに移行することができる。
エンジンENGの始動後に停止状態の車両を前進(出力用ギアOUTを正転駆動)させるときは、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2によりリングギアRG2の回転(逆転方向)を停止させる方向のトルク(図7(B)の共線図の矢印に示す方向)を加えるとともに、モータジェネレータMG1により出力用ギアOUTを正転駆動する方向のトルク(図7(B)の共線図の矢印に示す方向)を加える。図7(B)の共線図に示すように、出力用ギアOUTが正転方向に回転(車両が前進)したら、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2を回生運転するとともにモータジェネレータMG1を力行運転することで、モータジェネレータMG2からモータジェネレータMG1への電気パスを行う。
また、本実施形態に係る動力出力システムにおいては、エンジンENGが停止している状態でモータジェネレータの動力により車両を駆動する(出力用ギアOUTを回転駆動する)EV走行を行うこともできる。このEV走行により停止状態の車両を前進(出力用ギアOUTを正転駆動)させる場合は、コントローラCONTは、図7(C)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11(モータジェネレータMG1)と伝達ギアTRG1(出力用ギアOUT)を結合するとともに、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12(モータジェネレータMG2)と伝達ギアTRG4(キャリアCR1)を結合する。その状態で、コントローラCONTは、モータジェネレータMG1のトルク(図7(C)の共線図の矢印に示す方向)により出力用ギアOUTを正転方向に回転駆動する。それとともに、コントローラCONTは、出力用ギアOUTに作用するモータジェネレータMG1からのトルクに対する反力(図7(C)の共線図の矢印に示す方向)を、モータジェネレータMG2からキャリアCR1に作用させる。これによって、車両を発進させる。
EV走行により車両が走行している状態(出力用ギアOUTが正転駆動している状態)でエンジンENGを始動するときは、コントローラCONTは、図7(C)の共線図に示す状態から、モータジェネレータMG2によりリングギアRG2の回転を逆転させる方向のトルク(図8(A)の共線図の矢印に示す方向)を増大させることで、エンジンENGのクランキングを行う。図8(A)の共線図に示すように、エンジンENGの始動後に変換ギアTRG12の回転が伝達ギアTRG2の回転と同期したら(キャリアCR2の回転が停止したら)、コントローラCONTは、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素をキャリアCR1からリングギアRG2に切り替えることで、大変速比モードに移行する。
また、本実施形態に係る動力出力システムにおいては、各変速比モードでモータジェネレータMG1,MG2の両方を回生運転することで、車両(負荷)の運動エネルギーを回生する回生制動を実行することもできる。例えば図8(B)の共線図に示す小変速比モードにおいて、車両の運動エネルギーを回生するとき(回生制動時)には、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1,CLT2によりキャリアCR2,CR1にそれぞれ結合されたモータジェネレータMG1,MG2の両方を回生運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルクをそれぞれ制御する。ここでは、コントローラCONTは、キャリアCR1,CR2に作用するトルクTcr1,Tcr2(図8(B)の共線図の矢印に示す方向)が以下の(1)式を満たすように、モータジェネレータMG1,MG2のトルクをそれぞれ制御する。
Tcr1=(Z1+Z2)/(Z1+Z2+Z3)×Tcr2 (1)
小変速比モードにおいて、モータジェネレータMG1,MG2の回生運転によりキャリアCR2の回転が停止しても回生制動を続ける場合は、コントローラCONTは、図8(C)の共線図に示すように、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素をキャリアCR1からリングギアRG2に切り替えることで、中変速比モードに移行する。そして、キャリアCR2及びリングギアRG2にそれぞれ結合されたモータジェネレータMG1,MG2の両方を回生運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルクをそれぞれ制御する。さらに、中変速比モードにおいて、モータジェネレータMG1,MG2の回生運転によりリングギアRG2の回転が停止しても回生制動を続ける場合は、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する回転要素をキャリアCR2から出力用ギアOUT(サンギアSG3)に切り替えることで、大変速比モードに移行する。このように、コントローラCONTは、回生制動の実行時に、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2をそれぞれ結合する回転要素の組み合わせを変更する。
そして、本実施形態に係る動力出力システムにおいては、各変速比モードでモータジェネレータMG1,MG2の両方を力行運転することで、エンジンENGの動力による車両(負荷)の駆動をアシストすることができる。例えば小変速比モードにおいて、車両の駆動をアシストするときには、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1,CLT2によりキャリアCR2,CR1にそれぞれ結合されたモータジェネレータMG1,MG2の両方を力行運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルクをそれぞれ制御する。
さらに、コントローラCONTは、各変速比モードでモータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2の間で電気パスを行うときに、回生運転中のモータジェネレータの発電電力と力行運転中のモータジェネレータの駆動動力が等しくなるようにモータジェネレータMG1,MG2の制御を行うことで、出力用ギアOUTに伝達された動力が、動力損失を無視すると、エンジンENGの動力に等しくなる。また、コントローラCONTは、回生運転中のモータジェネレータの発電電力が力行運転中のモータジェネレータの駆動動力より大きくなるようにモータジェネレータMG1,MG2の制御を行うことで、回生運転中のモータジェネレータの発電をエンジンENGの動力により行うことができる。一方、コントローラCONTは、力行運転中のモータジェネレータの駆動動力が回生運転中のモータジェネレータの発電電力より大きくなるようにモータジェネレータMG1,MG2の制御を行うことで、負荷(車両)の駆動を力行運転中のモータジェネレータの駆動動力によりアシストすることができる。以上のことから、コントローラCONTは、各変速比モードにおいて、エンジン制御信号CS_ENGによりエンジンENGの動力が高効率運転可能な所定値になるようにエンジンENGの運転状態を制御するとともに、負荷(車両)の要求動力とエンジンENGの動力との偏差をモータジェネレータMG1,MG2の動力により補償することができる。
また、本実施形態に係る動力出力システムにおいては、車両が走行している状態(出力用ギアOUTが正転駆動している状態)で、エンジンENGを停止するとともにエンジンENGを再始動することもできる。例えば図9(A)の共線図に示す小変速比モードにおいて、コントローラCONTは、運転状態のエンジンENGを停止した後は、回転拘束機構LCKへの回転拘束制御信号CS_LCKによりエンジンENGの回転をロックする。その状態で、コントローラCONTは、キャリアCR2に結合されたモータジェネレータMG1のトルク(図9(A)の共線図の矢印に示す方向)を制御することで、モータジェネレータMG1の動力により出力用ギアOUTを回転駆動する。あるいは、キャリアCR1に結合されたモータジェネレータMG2のトルクを制御することで、モータジェネレータMG2の動力により出力用ギアOUTを回転駆動する。すなわち、EV走行により車両を駆動する。なお、コントローラCONTは、回転拘束機構LCKによりエンジンENGの回転をロックする代わりに、キャリアCR2に作用するモータジェネレータMG1からのトルクに対する反力(図9(B)の共線図の矢印に示す方向)を、モータジェネレータMG2からキャリアCR1に作用させることもできる。
小変速比モードにおいてエンジンENGを停止した後にエンジンENGを再始動する場合は、コントローラCONTは、回転拘束機構LCKによるエンジンENGの回転のロックを解除する。そして、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2によりキャリアCR1の回転を逆転させる方向のトルク(図9(C)の共線図の矢印に示す方向)を加える。それとともに、コントローラCONTは、キャリアCR1に作用するモータジェネレータMG2からのトルクに対する反力(図9(C)の共線図の矢印に示す方向)を、モータジェネレータMG1からキャリアCR2に作用させる。これによって、エンジンENGのクランキングを行う。
また、車両を後退(出力用ギアOUTを逆転駆動)させるときは、コントローラCONTは、図10(A)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11(モータジェネレータMG1)と伝達ギアTRG1(出力用ギアOUT)を結合するとともに、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12(モータジェネレータMG2)と伝達ギアTRG4(キャリアCR1)を結合する。その状態で、コントローラCONTは、モータジェネレータMG1のトルク(図10(A)の共線図の矢印に示す方向)により出力用ギアOUTを逆転方向に回転駆動する。それとともに、コントローラCONTは、出力用ギアOUTに作用するモータジェネレータMG1からのトルクに対する反力(図10(A)の共線図の矢印に示す方向)を、モータジェネレータMG2からキャリアCR1に作用させる。これによって、車両を後退させる。
車両が後退している状態(出力用ギアOUTが逆転駆動している状態)でエンジンENGを始動するときは、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2によりキャリアCR1の回転速度(逆転方向)を増大させる方向のトルク(図10(B)の共線図の矢印に示す方向)を加える。それとともに、コントローラCONTは、キャリアCR1に作用するモータジェネレータMG2からのトルクに対する反力(図10(B)の共線図の矢印に示す方向)を、モータジェネレータMG1から出力用ギアOUTに作用させる。これによって、エンジンENGのクランキングを行う。
以上説明したように、本実施形態においては、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを加える変速機構SGMの回転要素の組み合わせを変更する、すなわち変速比モードを切り替えることで、変速比を広範囲に変化させても、モータジェネレータMG1,MG2間の動力パス(電気パス)の増大を抑えることができる。さらに、変速比モードを切り替えることで、エンジンENGから出力用ギアOUTに直接伝達される駆動力(エンジン直達駆動力)を変化させることもできる。そのため、例えば出力用ギアOUTに大きいトルクが要求される場合でも、エンジン直達駆動力を増大させることで、モータジェネレータMG1,MG2間の動力パスの増大を抑えることができる。このように、本実施形態によれば、変速比を広範囲に変化させてもモータジェネレータMG1,MG2間の電気パスによる動力損失を低減することができるので、変速比の可変範囲を広げることができるとともに動力伝達効率を向上させることができる。そして、変速比モードを切り替えるときでも、エンジンENGと出力用ギアOUTとの間における動力伝達状態が維持されるため、出力用ギアOUTへのトルク抜けを防止することができる。さらに、各変速比モードにおいて、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを制御することで、CVT機能を実現することができるので、優れた変速フィールを実現することができる。さらに、油圧を用いることなく変速比モードを切り替えることができるので、油圧の損失による効率低下を抑止することができる。
そして、本実施形態においては、モータジェネレータMG1,MG2の一方を結合する変速機構SGMの回転要素を切り替えて変速比モードを切り替えるときに、切り替え前の回転要素が正転方向に回転する場合は逆転方向に回転する回転要素に切り替え、切り替え前の回転要素が逆転方向に回転する場合は正転方向に回転する回転要素に切り替える。この切り替えによって、モータジェネレータMG1,MG2の出力を抑えることができ、エンジン出力に対するモータジェネレータMG1,MG2の出力負担分を低減することができる。したがって、モータジェネレータMG1,MG2間の電気パスをさらに低減することができ、動力伝達効率をさらに向上させることができる。
また、変速比モードを切り替えるときには、結合する変速機構SGMの回転要素を切り替える方であるモータジェネレータMG1,MG2の一方のトルクを略0に制御することで、回転要素の切り替えによるトルク変動を抑えることができ、回転要素の切り替え時のショックを抑えることができる。さらに、モータジェネレータMG1,MG2の他方のトルクが加えられた変速機構SGMの回転要素の回転が略停止するときに変速比モードを切り替えることで、回転要素の切り替え時点におけるモータジェネレータMG1,MG2間の電気パスを略0にすることができる。
また、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する変速機構SGMの回転要素を切り替えるときには、モータジェネレータMG1が同期ギアSYG1を介して切り替え前の回転要素または切り替え後の回転要素に結合される。この同期ギアSYG1によって、モータジェネレータMG1の回転速度Nmg1を変化させることなくモータジェネレータMG1を結合する回転要素を切り替えることができる。さらに、回転方向を反転させるためのアイドラギアを同期ギアSYG1に用いることで、モータジェネレータMG1を結合する回転要素を互いに逆方向に回転する回転要素間で切り替えることができる。同様に、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する変速機構SGMの回転要素を切り替えるときには、モータジェネレータMG2が同期ギアSYG2を介して切り替え前の回転要素または切り替え後の回転要素に結合される。この同期ギアSYG2によって、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2を変化させることなくモータジェネレータMG2を結合する回転要素を切り替えることができる。さらに、回転方向を反転させるためのアイドラギアを同期ギアSYG2に用いることで、モータジェネレータMG2を結合する回転要素を互いに逆方向に回転する回転要素間で切り替えることができる。したがって、モータジェネレータMG1,MG2を結合する変速機構SGMの回転要素を速やかに切り替えることができ、変速比モードの切り替えを速やかに行うことができる。
また、本実施形態では、各変速比モードにおいて、モータジェネレータMG1,MG2の一方を逆転方向に回転する変速機構SGMの回転要素に結合した状態で回生運転するとともに、モータジェネレータMG1,MG2の他方を正転方向に回転する変速機構SGMの回転要素に結合した状態で力行運転することで、動力循環の発生を抑止することができる。したがって、動力循環による動力伝達効率の低下を抑止することができる。
また、本実施形態では、各変速比モードにおいてモータジェネレータMG1,MG2の両方を回生運転することで、負荷(車両)の運動エネルギーを回生する回生制動を行うことができる。さらに、回生制動の実行の際には、モータジェネレータMG1,MG2の一方を結合する変速機構SGMの回転要素を切り替えて変速比モードを切り替えることで、回生制動の実行を持続することができるので、負荷(車両)の運動エネルギーを効率よく回生することができる。
ここで、本実施形態におけるモータジェネレータMG1,MG2の動作の一例を、従来(特許文献2のハイブリッド車両)と比較して図11に示す。ここで、図11は、上から順に、速度比(Ne/Nout)に対するモータジェネレータ出力/エンジン出力の特性、速度比に対するモータジェネレータトルク/エンジントルクの特性、及び速度比に対するモータジェネレータ回転速度/エンジン回転速度の特性を示す図である。従来(特許文献2)においては、図11に示すように、速度比が電気パスが0となる値から減少するとともに、電気パスが増大する。さらに、速度比が電気パスが0となる値から増大するとともに、電気パスが増大し、且つ動力循環も発生する。これに対して本実施形態(本機構)においては、図11に示すように、幅広い速度比の範囲でエンジン出力に対するモータジェネレータMG1,MG2の出力負担分を低減することができ、電気パスを低減することができる。さらに、速度比が大きい領域での動力循環も抑止することができる。
また、本実施形態に係る動力出力システムによる車両の走行性能曲線の一例を、従来(特許文献2)と比較して図12に示す。図12に示すように、本実施形態(本機構)においては、変速比モードを切り替えることで、エンジン直達駆動力を変化させることができる。そして、高速定常走行領域(図12の破線で囲まれた領域)において動力循環を回避することができ、動力伝達効率を向上させることができる。
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
「モータジェネレータ同士を結合可能な構成例」
図13に示す構成例においては、図1に示す構成例と比較して、変換ギアTRG11と変換ギアTRG12との結合状態を切り替えることで両者間における動力の断続を行う動力断続機構CLT3が設けられている。動力断続機構CLT3により変換ギアTRG11と変換ギアTRG12が結合されたときは、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2が結合される。ここでの動力断続機構CLT3は、例えば噛合クラッチ(ドッグクラッチ)やシンクロメッシュ(同期噛合機構)により構成することができ、動力断続機構CLT3による結合及びその解除(動力の断続)は、例えばコントローラCONTからの動力断続制御信号CS_CLT3による電磁アクチュエータ(図示せず)の駆動制御により行うことができる。また、動力断続機構CLT1は、モータジェネレータMG1を出力用ギアOUTとキャリアCR2の両方に結合することが可能であり、動力断続機構CLT2は、モータジェネレータMG2をリングギアRG2とキャリアCR1の両方に結合することが可能である。その他の構成については、図1に示す構成例と同様である。
図13に示す構成例においては、以下に説明するように、CVT機能を有するだけでなく1速ギアから4速ギアの4段の固定変速比を選択することもできる。
動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2を出力用ギアOUT及びリングギアRG2にそれぞれ結合した大変速比モードにおいて、変換ギアTRG11の回転と変換ギアTRG12の回転が同期したときは、コントローラCONTは、図14(A)の共線図に示すように、動力断続機構CLT3によりモータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2を結合する。この結合によって、モータジェネレータMG1を回転速度の異なる出力用ギアOUTとリングギアRG2の両方に結合することで、1速ギアを選択することができる。そして、モータジェネレータMG1,MG2がトルクを発生していなくても、変速比を1速ギアに固定することができる。なお、大変速比モードにおいて変換ギアTRG11の回転と変換ギアTRG12の回転が同期したか否かについては、エンジンENGの回転速度Ne及び出力用ギアOUTの回転速度Noutから判定することができる。また、図14(A)の共線図において、回転速度が0となる点が1速ギアの等価支点となる。
また、リングギアRG2の回転が停止したときは、変換ギアTRG11の回転が伝達ギアTRG1の回転及び伝達ギアTRG3の回転の両方と同期する。このときに、コントローラCONTは、図14(B)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を同期ギアSYG1を介して出力用ギアOUTに結合するとともにキャリアCR2にも結合する。このように、モータジェネレータMG1を回転速度の異なる出力用ギアOUTとキャリアCR2の両方に結合することで、2速ギアを選択することができる。そして、モータジェネレータMG1,MG2がトルクを発生していなくても、変速比を2速ギアに固定することができる。なお、図14(B)の共線図において、回転速度が0となる点(リングギアRG2)が2速ギアの等価支点となる。
また、キャリアCR2の回転が停止したときは、変換ギアTRG12の回転が伝達ギアTRG2の回転及び伝達ギアTRG4の回転の両方と同期する。このときに、コントローラCONTは、図15(A)の共線図に示すように、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2をリングギアRG2に結合するとともに同期ギアSYG2を介してキャリアCR1にも結合する。このように、モータジェネレータMG2を回転速度の異なるリングギアRG2とキャリアCR1の両方に結合することで、3速ギアを選択することができる。そして、モータジェネレータMG1,MG2がトルクを発生していなくても、変速比を3速ギアに固定することができる。なお、図15(A)の共線図において、回転速度が0となる点(キャリアCR2)が3速ギアの等価支点となる。
また、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2をキャリアCR2及びキャリアCR1にそれぞれ結合した小変速比モードにおいて、変換ギアTRG11の回転と変換ギアTRG12の回転が同期したときは、コントローラCONTは、図15(B)の共線図に示すように、動力断続機構CLT3によりモータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2を結合する。この結合によって、モータジェネレータMG2を回転速度の異なるキャリアCR1とキャリアCR2の両方に結合することで、4速ギアを選択することができる。そして、モータジェネレータMG1,MG2がトルクを発生していなくても、変速比を4速ギアに固定することができる。なお、小変速比モードにおいて変換ギアTRG11の回転と変換ギアTRG12の回転が同期したか否かについては、エンジンENGの回転速度Ne及び出力用ギアOUTの回転速度Noutから判定することができる。また、また、図15(B)の共線図において、回転速度が0となる点が4速ギアの等価支点となる。なお、その他の動作については、図1に示す構成例の場合と同様である。
以上の動作により1速ギアから4速ギアのいずれかの固定変速段を選択したときは、モータジェネレータMG1,MG2がトルクを発生していなくても変速比を固定することができるので、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2の間における動力パス(電気パス)をなくすことができる。したがって、動力伝達効率をさらに向上させることができる。なお、2速ギア及び3速ギアについては、動力断続機構CLT3による結合を行わなくても選択可能であるため、図1に示す構成例においても、2速ギア及び3速ギアの固定変速段を選択することができる。
「モータジェネレータを追加した構成例」
また、図16に示す構成例においては、図1に示す構成例と比較して、回転拘束機構LCKが省略されており、力行運転及び回生運転が可能なモータジェネレータMG3が出力用ギアOUTに結合されていることで、出力用ギアOUTにモータジェネレータMG3のトルクを加えることが可能である。その他の構成については、図1に示す構成例と同様である。
図16に示す構成例においては、コントローラCONTは、モータ制御信号CS_MG3によりモータジェネレータMG3のトルクを制御することで、出力用ギアOUTのトルクを直接制御することができる。例えば小変速比モードにおいてエンジンENGを停止した後は、モータジェネレータMG3のトルク(図17(A)の共線図の矢印に示す方向)を制御することで車両の走行制御を行う。その際には、モータジェネレータMG3により出力用ギアOUTに直接トルクを加えているため、エンジンENGに反力を作用させる必要がない。したがって、エンジンENGの回転をロックする必要や、モータジェネレータMG2からキャリアCR1に反力を作用させる必要がない。
さらに、図16に示す構成例においては、コントローラCONTは、モータジェネレータMG3を回生運転することで、車両(負荷)の運動エネルギーを回生する回生制動を実行することもできる。例えば図17(B)の共線図に示す小変速比モードにおいては、モータジェネレータMG3を回生運転することで、キャリアCR2,CR1にそれぞれ結合されたモータジェネレータMG1,MG2を回生運転することなく、車両(負荷)の運動エネルギーを直接回生することができる。したがって、車両(負荷)の運動エネルギーを効率よく回生することができる。さらに、回生制動時に、モータジェネレータMG1,MG2の協調制御が不要となる。その他に、コントローラCONTは、図1に示す構成例で説明した各動作においても、モータジェネレータMG3により出力用ギアOUTのトルクを直接制御することで、車両(負荷)の駆動力または制動力の補助を行うことができる。なお、その他の動作については、図1に示す構成例の場合と同様である。
「電気パスを行う時点で変速比モードを切り替える構成例」
また、以上の説明においては、キャリアCR2の回転が停止したときに、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素を、リングギアRG2とキャリアCR1の間で切り替える場合について説明した。ただし、本実施形態においては、キャリアCR2が回転しているときに、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素を、リングギアRG2とキャリアCR1の間で切り替えることもできる。例えばキャリアCR2が逆転方向に回転するときに変換ギアTRG12の回転が伝達ギアTRG2の回転及び伝達ギアTRG4の回転の両方と同期するように、同期ギアSYG2による変換比(ギア比)を設定した場合を考える。その場合は、コントローラCONTは、図18の共線図に示すように、キャリアCR2が逆転方向に回転するときに、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素を、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2を変化させることなく、リングギアRG2とキャリアCR1の間で切り替えることができる。これによって、中変速比モードと小変速比モードとの間の切り替えを行うことができる。この場合は、図19に示すように、同期ギアSYG2による変換比(ギア比)の設定により、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2とエンジンENGの回転速度Neの比(Nmg2/Ne)が所定範囲内(例えば−3〜3)に制限されるように、変速比モードを切り替えることができる。ここで、図19は、上から順に、速度比(Ne/Nout)に対するモータジェネレータ出力/エンジン出力の特性、速度比に対するモータジェネレータトルク/エンジントルクの特性、及び速度比に対するモータジェネレータ回転速度/エンジン回転速度の特性を示す図である。ただし、この場合は、図19に示すように、中変速比モードと小変速比モードの切り替え時点において、モータジェネレータMG2のトルクが0でなく、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2の間の電気パスが0でないため、回転要素の切り替えによるトルク変動が僅かながら発生する。さらに、本実施形態においては、リングギアRG2が回転しているときに、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する回転要素を、サンギアSG3とキャリアCR2の間で切り替えることもできる。この場合は、同期ギアSYG1による変換比(ギア比)の設定により、モータジェネレータMG1の回転速度Nmg1とエンジンENGの回転速度Neの比(Nmg1/Ne)が所定範囲内に制限されるように、変速比モードを切り替えることができる。ここでの同期ギアSYG1,SYG2については、例えば平歯車で構成することができるので、各変速比モードの設計自由度を高めることができる。
「変速機構の他の構成例」
また、図20に示す構成例では、図1に示す構成例と比較して、変速機構SGMにおいて、サンギアSG1とキャリアCR1とリングギアRG1を回転要素として有する遊星歯車が省略されている。すなわち、変速機構SGMは、シングルピニオン遊星歯車とダブルピニオン遊星歯車とがキャリア及びリングギアを共用化した構成でサンギアSG2,SG3とキャリアCR2とリングギアRG2を回転要素として含むラビニヨ型遊星歯車を備えている。このラビニヨ型遊星歯車も、サンギアSG3、リングギアRG2、キャリアCR2、及びサンギアSG2の4つの回転要素の回転速度が図21の共線図に示す共線関係にあり、且つ2自由度の回転自由度を有する。図20に示す構成例では、リングギアRG2及びキャリアCR2が共線図上でサンギアSG3とサンギアSG2の間に配置されるようにラビニヨ型遊星歯車の各回転要素が組み合わされている。そして、サンギアSG2が同期ギアSYG2を介して伝達ギアTRG4と噛み合っている。そのため、動力断続機構CLT2により変換ギアTRG12と伝達ギアTRG4が結合されたときは、モータジェネレータMG2とエンジンENG(サンギアSG2)が同期ギアSYG2を介して結合される。その他の構成については、図1に示す構成例と同様である。
図20に示す構成例において、動力断続機構CLT1,CLT2によりモータジェネレータMG1,MG2をキャリアCR2及びリングギアRG2にそれぞれ結合した中変速比モードでキャリアCR2の回転が停止したときには、コントローラCONTは、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する変速機構SGMの回転要素を正転方向に回転するリングギアRG2から切り替える。ここでは、モータジェネレータMG2を結合する回転要素を逆転方向に回転するサンギアSG2に切り替えることで小変速比モードに移行する。小変速比モードの移行後にキャリアCR2が正転方向に回転したら、コントローラCONTは、サンギアSG2に結合されたモータジェネレータMG2を回生運転するとともにキャリアCR2に結合されたモータジェネレータMG1を力行運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルク(図21の共線図の矢印に示す方向)をそれぞれ制御する。これによって、モータジェネレータMG2からモータジェネレータMG1への電気パスを行う。このように、図20に示す構成例の小変速比モードにおいては、モータジェネレータMG1,MG2のトルクは、キャリアCR2及びサンギアSG2にそれぞれ加えられる。一方、小変速比モードでキャリアCR2の回転が停止したときには、コントローラCONTは、動力断続機構CLT2によりモータジェネレータMG2を結合する回転要素を逆転方向に回転するサンギアSG2から正転方向に回転するリングギアRG2に切り替えることで中変速比モードに移行する。中変速比モードの移行後にキャリアCR2が逆転方向に回転したら、コントローラCONTは、キャリアCR2に結合されたモータジェネレータMG1を回生運転するとともにリングギアRG2に結合されたモータジェネレータMG2を力行運転することで、モータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2への電気パスを行う。なお、その他の動作については、図1に示す構成例の場合と同様である。
また、図22に示す構成例の変速機構SGMにおいては、サンギアSG1とサンギアSG3が結合されており、リングギアRG1とサンギアSG2が結合されている。そして、サンギアSG1,SG3がエンジンENGの出力軸と結合されており、リングギアRG1から動力が出力される。この変速機構SGMも、リングギアRG1、キャリアCR1、キャリアCR2、リングギアRG2、及びサンギアSG1の5つの回転要素の回転速度が図23の共線図に示す共線関係にあり、且つ2自由度の回転自由度を有する。そして、キャリアCR1,CR2及びリングギアRG2が共線図上でリングギアRG1とサンギアSG1の間に配置されるように変速機構SGMの各回転要素が組み合わされている。なお、図22に示す構成例は、FF(フロントエンジンフロントドライブ)車に適している。
さらに、各回転要素の回転速度が共線関係にある2自由度の遊星歯車機構(変速機構SGM)については、以上に説明した遊星歯車機構の他にも、複数の遊星歯車を組み合わせた様々な構成を採り得ることができる。例えば遊星歯車機構を2つの遊星歯車を組み合わせて構成する場合は、一方の遊星歯車における2つの回転要素が他方の遊星歯車における2つの回転要素とそれぞれ結合されていることによっても、4つの回転要素の回転速度が共線関係にある2自由度の遊星歯車機構を得ることができる。さらに、4つ以上の遊星歯車の組み合わせにより、6つ以上の回転要素の回転速度が共線関係にある2自由度の遊星歯車機構を得ることもできる。このように、本実施形態の遊星歯車機構(変速機構SGM)については、遊星歯車機構が2自由度の回転自由度を有するように、各遊星歯車の回転要素のいずれかが他の遊星歯車の回転要素のいずれかと結合または共用化された構成を採り得ることができる。
さらに、本実施形態においては、変速機構SGMを1つの遊星歯車で構成することもできる。図24に示す構成例においては、変速機構SGMは、サンギアSG1とキャリアCR1とリングギアRG1を回転要素として含む遊星歯車を備えている。この遊星歯車も、リングギアRG1、キャリアCR1、及びサンギアSG1の3つの回転要素の回転速度が図25の共線図に示す共線関係にあり、且つ2自由度の回転自由度を有する。そして、キャリアCR1が共線図上でリングギアRG1とサンギアSG1の間に配置されるように変速機構SGMの各回転要素が組み合わされている。ただし、図25の共線図において、Z1,Z2は、サンギアSG1とリングギアRG1の歯数から求まる定数である。サンギアSG1がエンジンENGと結合されており、キャリアCR1がモータジェネレータMG2と結合されており、リングギアRG1が出力用ギアOUTと結合されている。そして、変速機構SGMは、キャリアCR1にモータジェネレータMG2のトルクが加えられた状態で、サンギアSG1に入力されたエンジンENGからの動力を変速して出力用ギアOUTから出力することができる。また、エンジンENGが伝達ギアTRG2と結合されており、モータジェネレータMG1が変換ギアTRG11と結合されており、出力用ギアOUTが同期ギアSYG1を介して伝達ギアTRG1と結合されている。動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11と伝達ギアTRG1が結合されたときは、モータジェネレータMG1と出力用ギアOUTが同期ギアSYG1を介して結合され、モータジェネレータMG1のトルクが同期ギアSYG1を介して出力用ギアOUTに加わる。ここでの同期ギアSYG1も、モータジェネレータMG1のトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアとして構成される。一方、動力断続機構CLT1により変換ギアTRG11と伝達ギアTRG2が結合されたときは、モータジェネレータMG1とエンジンENG(サンギアSG1)が結合され、モータジェネレータMG1のトルクがサンギアSG1に加わる。
図24に示す構成例において、サンギアSG1の回転速度(エンジンENGの回転速度Ne)とリングギアRG1の回転速度(出力用ギアOUTの回転速度Nout)の比である変速比(Ne/Nout)がZ2/Z1より大きく、キャリアCR1が逆転方向に回転する状態では、コントローラCONTは、図25(A)の共線図に示すように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を正転方向に回転する出力用ギアOUTに結合する。そして、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2を回生運転するとともにモータジェネレータMG1を力行運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルク(図25(A)の共線図の矢印に示す方向)を出力用ギアOUT及びキャリアCR1にそれぞれ加える。これによって、モータジェネレータMG2からモータジェネレータMG1への電気パスを行う。さらに、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを制御することで、CVT機能を実現することができる。このように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を出力用ギアOUTに結合した状態を大変速比モードとする。
大変速比モードにおいて、変速比(Ne/Nout)がZ2/Z1に等しくなると、モータジェネレータMG2のトルクが加えられたキャリアCR1の回転が停止する。このときは、コントローラCONTは、モータジェネレータMG1のトルクを0に制御することで、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2の間の電気パスを0にすることができる。そして、コントローラCONTは、モータジェネレータMG2のトルクを回転が停止した(あるいはほぼ停止した)キャリアCR1に加えるとともにモータジェネレータMG1のトルクを0(あるいは0に近い微少値)に制御した状態で、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する回転要素を、正転方向に回転する出力用ギアOUTから逆転方向に回転するサンギアSG1に切り替える。なお、キャリアCR1の回転が停止したか否かについては、エンジンENGの回転速度Ne及び出力用ギアOUTの回転速度Noutから判定することができる。
動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する回転要素を逆転方向に回転するサンギアSG1に切り替えた状態から、変速比(Ne/Nout)がZ2/Z1より小さくなると、図25(B)の共線図に示すように、キャリアCR1が正転方向に回転する。ここでは、コントローラCONTは、逆転方向に回転するサンギアSG1に結合されたモータジェネレータMG1を回生運転するとともに正転方向に回転するキャリアCR1に結合されたモータジェネレータMG2を力行運転するように、モータジェネレータMG1,MG2のトルク(図25(B)の共線図の矢印に示す方向)をそれぞれ制御する。これによって、モータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2への電気パスを行う。この状態での変速比Tout/Teは、大変速比モードより小さい変速比が得られる。さらに、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを制御することで、CVT機能を実現することができる。このように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1をサンギアSG1に結合した状態を小変速比モードとする。
また、出力用ギアOUTと伝達ギアTRG1との間に設けられた同期ギアSYG1による変換比(ギア比)をZ2/Z1に設定することで、キャリアCR1の回転が停止したときに、変換ギアTRG11の回転を伝達ギアTRG1の回転及び伝達ギアTRG2の回転の両方と同期させることができる。したがって、コントローラCONTは、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する(モータジェネレータMG1のトルクを加える)回転要素を、モータジェネレータMG1の回転速度Nmg1を変化させることなく、リングギアRG1(出力用ギアOUT)とサンギアSG1の間で切り替えることができる。これによって、大変速比モードと小変速比モードとの間の切り替えをモータジェネレータMG1の回転速度Nmg1を変化させないように行うことができる。ここでの回転要素の切り替えの際には、切り替え前の回転要素の結合を解除してから切り替え後の回転要素の結合を行ってもよいし、切り替え後の回転要素の結合を行ってから切り替え前の回転要素の結合を解除してもよい。また、ここでの同期ギアSYG1については、出力用ギアOUTと伝達ギアTRG1との間に設ける代わりに、サンギアSG1と伝達ギアTRG2との間に設けることもできる。このように、動力断続機構CLT1によりモータジェネレータMG1を結合する回転要素を出力用ギアOUTとサンギアSG1の間で切り替えるときには、モータジェネレータMG1が同期ギアSYG1を介して切り替え前の回転要素または切り替え後の回転要素に結合される。
以上のように、図24に示す構成例においては、モータジェネレータMG1のトルクを加える変速機構SGMの回転要素を切り替えることで、エンジン直達駆動力を変化させることができるとともに、モータジェネレータMG1,MG2間の動力パス(電気パス)を低減することができる。さらに、モータジェネレータMG1のトルクを加える変速機構SGMの回転要素を、モータジェネレータMG1の回転速度Nmg1を変化させることなく速やかに切り替えることができる。なお、その他の動作については、図1に示す構成例の場合と同様である。
また、図24に示す構成例においては、図16に示す構成例と同様に、力行運転及び回生運転が可能なモータジェネレータを出力用ギアOUTに結合することもできる。この場合は、このモータジェネレータのトルクを出力用ギアOUTに加えることができ、コントローラCONTは、このモータジェネレータの動力により車両を駆動することができる。さらに、コントローラCONTは、このモータジェネレータを回生運転することで、車両(負荷)の運動エネルギーを回生する回生制動を実行することもできる。
また、図24に示す構成例においては、エンジンENGの出力軸の回転を拘束することが可能な回転拘束機構を設けることもできる。この場合は、コントローラCONTは、回転拘束機構によりエンジンENGの回転を拘束した状態でモータジェネレータMG1,MG2のいずれかの動力により車両(出力用ギアOUT)を駆動することができる。
また、図1,13,16,20,22に示す各構成例の説明においては、モータジェネレータMG1を結合する変速機構SGMの回転要素とモータジェネレータMG2を結合する変速機構SGMの回転要素の両方を切り替える場合について説明した。ただし、モータジェネレータMG1を結合する変速機構SGMの回転要素とモータジェネレータMG2を結合する変速機構SGMの回転要素のいずれか一方を切り替えることによっても、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを加える変速機構SGMの回転要素の組み合わせを変更することができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
実施形態に係る変速システムを備えた動力出力システムの概略構成を示す図である。 変速機構における各回転要素の回転速度を示す共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの車両駆動動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの車両駆動動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの車両駆動動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの車両駆動動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムにおけるモータジェネレータの動作を説明する図である。 実施形態に係る動力出力システムによる車両の走行性能曲線を示す図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の概略構成を示す図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の概略構成を示す図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の車両駆動動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の変速動作を説明する図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の概略構成を示す図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の変速動作を説明する共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の概略構成を示す図である。 変速機構における各回転要素の回転速度を示す共線図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の概略構成を示す図である。 実施形態に係る動力出力システムの他の変速動作を説明する共線図である。
符号の説明
CLT1,CLT2,CLT3 動力断続機構、CONT コントローラ、CR1,CR2 キャリア、ENG エンジン、LCK 回転拘束機構、MG1,MG2,MG3 モータジェネレータ、OUT 出力用ギア、RG1,RG2 リングギア、SG1,SG2,SG3 サンギア、SGM 変速機構、SYG1,SYG2 同期ギア。

Claims (41)

  1. 複数の変速用回転要素が共線図上で入力側回転要素と出力側回転要素の間に配置されるように入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素が組み合わされた機構であって、複数の変速用回転要素のいずれかにトルクが加えられた状態で入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力可能な変速機構と、
    第1及び第2モータジェネレータのトルクを入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中のそれぞれ異なる回転要素に選択的に加えることが可能な切替機構と、
    切替機構により第1及び第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素の組み合わせを複数通りの組み合わせの中で変更しながら変速機構による変速動作を実行し、且つ該複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータのトルクを2つの変速用回転要素にそれぞれ加える第1変速モードが含まれるように該回転要素の組み合わせを変更する制御装置と、
    を備えることを特徴とする変速システム。
  2. 請求項1に記載の変速システムであって、
    変速機構は、複数の変速用回転要素のいずれかにトルクが加えられた状態で、出力側回転要素と逆回転する入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力する機構であり、
    制御装置は、入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の互いに逆回転する2つの回転要素に第1及び第2モータジェネレータのトルクをそれぞれ加えるように切替機構により第1及び第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素の組み合わせを複数通りの組み合わせの中で変更しながら変速機構による変速動作を実行し、且つ該複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータのトルクを互いに逆回転する2つの変速用回転要素にそれぞれ加える第1変速モードが含まれるように該回転要素の組み合わせを変更することを特徴とする変速システム。
  3. 請求項1または2に記載の変速システムであって、
    制御装置は、前記複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを変速用回転要素に加え且つ第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを出力側回転要素に加える第変速モードが含まれるように、前記回転要素の組み合わせを変更することを特徴とする変速システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の変速システムであって、
    御装置は、前記複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを変速用回転要素に加え且つ第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを入力側回転要素に加える第変速モードが含まれるように、前記回転要素の組み合わせを変更することを特徴とする変速システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1に記載の変速システムであって、
    変速機構には3以上の変速用回転要素が設けられており、
    制御装置は、前記複数通りの組み合わせの中に第1及び第2モータジェネレータのトルクを前記第1変速モードと異なる組み合わせの2つの変速用回転要素にそれぞれ加える第4変速モードが含まれるように、前記回転要素の組み合わせを変更することを特徴とする変速システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1に記載の変速システムであって、
    切替機構は、第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素を第1モータジェネレータの回転速度を変化させることなく変更することが可能であり、
    制御装置は、第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素の変更により前記回転要素の組み合わせを変更するときには、第1モータジェネレータの回転速度を変化させないように第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更することを特徴とする変速システム。
  7. 請求項6に記載の変速システムであって、
    第1モータジェネレータの回転速度を変化させることなく切替機構により第1モータジェネレータのトルクを加える回転要素を入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の互いに逆回転する2つの第1変更用回転要素間で変更可能なように、第1モータジェネレータのトルクがその方向を反転させるための第1同期用回転要素を介して第1変更用回転要素のいずれかに加えられることを特徴とする変速システム。
  8. 請求項に記載の変速システムであって、
    第1同期用回転要素として第1モータジェネレータのトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアが設けられていることを特徴とする変速システム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1に記載の変速システムであって、
    切替機構は、第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく変更することが可能であり、
    制御装置は、第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素の変更により前記回転要素の組み合わせを変更するときには、第2モータジェネレータの回転速度を変化させないように第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更することを特徴とする変速システム。
  10. 請求項9に記載の変速システムであって、
    第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の互いに逆回転する2つの第2変更用回転要素間で変更可能なように、第2モータジェネレータのトルクがその方向を反転させるための第2同期用回転要素を介して第2変更用回転要素のいずれかに加えられることを特徴とする変速システム。
  11. 請求項10に記載の変速システムであって、
    第2同期用回転要素として第2モータジェネレータのトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアが設けられていることを特徴とする変速システム。
  12. 請求項1〜5のいずれか1に記載の変速システムであって、
    切替機構は、入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中で、第1モータジェネレータを結合する回転要素と第2モータジェネレータを結合する回転要素の少なくとも一方を選択的に切り替えることが可能であり、
    制御装置は、切替機構により第1モータジェネレータを結合する回転要素と第2モータジェネレータを結合する回転要素の少なくとも一方を切り替えることで、前記回転要素の組み合わせを変更することを特徴とする変速システム。
  13. 請求項12に記載の変速システムであって、
    御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータを結合した回転要素がともに回転しているときに、第1及び第2モータジェネレータの一方を回生運転するとともに第1及び第2モータジェネレータの他方を力行運転する電気パスを行いながら変速機構による変速動作を実行することを特徴とする変速システム。
  14. 請求項13に記載の変速システムであって、
    各変速用回転要素は、入力側回転要素の回転速度と出力側回転要素の回転速度の比がその各々に対応して設定された値を超えるときから、その回転方向が正転方向から逆転方向に反転する回転要素であり、
    制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの一方を、逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれか1つに結合した状態で回生運転するとともに、第1及び第2モータジェネレータの他方を、正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれか1つに結合した状態で力行運転することを特徴とする変速システム。
  15. 請求項12〜14のいずれか1に記載の変速システムであって、
    制御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータをそれぞれ異なる回転要素に結合した状態で、第1及び第2モータジェネレータの両方を回生運転することで、出力側回転要素に結合された負荷のエネルギーを回生する回生動作を実行することを特徴とする変速システム。
  16. 請求項15に記載の変速システムであって、
    制御装置は、回生動作の実行時に、切替機構により第1及び第2モータジェネレータを結合する回転要素の組み合わせを変更することを特徴とする変速システム。
  17. 請求項12に記載の変速システムであって、
    制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを変速用回転要素のいずれか1つに加えた状態で、切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を切り替えることで、前記回転要素の組み合わせを変更することを特徴とする変速システム。
  18. 請求項17に記載の変速システムであって、
    制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを略0に制御するときに、切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を切り替えることを特徴とする変速システム。
  19. 請求項18に記載の変速システムであって、
    制御装置は、第1及び第2モータジェネレータの一方のトルクを加えた回転要素の回転が略停止するときに、第1及び第2モータジェネレータの他方のトルクを0に制御することを特徴とする変速システム。
  20. 請求項17〜19のいずれか1に記載の変速システムであって、
    各変速用回転要素は、入力側回転要素の回転速度と出力側回転要素の回転速度の比がその各々に対応して設定された値を超えるときから、その回転方向が正転方向から逆転方向に反転する回転要素であり、
    制御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を切り替えるときに、
    切り替え前の回転要素が正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれかである場合は、第1及び第2モータジェネレータの他方を、逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれか1つに結合し、
    切り替え前の回転要素が逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれかである場合は、第1及び第2モータジェネレータの他方を、正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれか1つに結合することを特徴とする変速システム。
  21. 請求項19に係る請求項20に記載の変速システムであって、
    制御装置は、
    第1及び第2モータジェネレータの他方を、逆転方向に回転する変速用回転要素と入力用回転要素の中のいずれか1つに結合した場合は、第1及び第2モータジェネレータの一方及び他方をそれぞれ力行運転及び回生運転し、
    第1及び第2モータジェネレータの他方を、正転方向に回転する変速用回転要素と出力用回転要素の中のいずれか1つに結合した場合は、第1及び第2モータジェネレータの一方及び他方をそれぞれ回生運転及び力行運転することを特徴とする変速システム。
  22. 請求項17〜21のいずれか1に記載の変速システムであって、
    第1及び第2モータジェネレータの他方の回転速度を変化させることなく切替機構により第1及び第2モータジェネレータの他方を結合する回転要素を互いに逆回転する回転要素間で切り替え可能なように、第1及び第2モータジェネレータの他方がトルクの方向を反転させるための同期用回転要素を介して切り替え前の回転要素または切り替え後の回転要素に結合されることを特徴とする変速システム。
  23. 請求項12〜21のいずれか1に記載の変速システムであって、
    切替機構は、第1モータジェネレータを入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の2つの第1結合用回転要素に結合することが可能であり、
    制御装置は、切替機構により第1モータジェネレータを2つの第1結合用回転要素に結合することで変速比を固定することを特徴とする変速システム。
  24. 請求項23に記載の変速システムであって、
    切替機構により第1モータジェネレータが回転速度の異なる2つの第1結合用回転要素に結合可能なように、第1モータジェネレータが第1同期用回転要素を介して第1結合用回転要素のいずれかに結合されることを特徴とする変速システム。
  25. 請求項12〜24のいずれか1に記載の変速システムであって、
    切替機構は、第2モータジェネレータを入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素の中の2つの第2結合用回転要素に結合することが可能であり、
    制御装置は、切替機構により第2モータジェネレータを2つの第2結合用回転要素に結合することで変速比を固定することを特徴とする変速システム。
  26. 請求項25に記載の変速システムであって、
    切替機構により第2モータジェネレータが回転速度の異なる2つの第2結合用回転要素に結合可能なように、第2モータジェネレータが第2同期用回転要素を介して第2結合用回転要素のいずれかに結合されることを特徴とする変速システム。
  27. 請求項12〜26のいずれか1に記載の変速システムであって、
    第1モータジェネレータと第2モータジェネレータの結合状態を切り替える結合機構を備え、
    制御装置は、切替機構により第1及び第2モータジェネレータをそれぞれ異なる回転要素に結合した状態で、結合機構により第1モータジェネレータと第2モータジェネレータを結合することで変速比を固定することを特徴とする変速システム。
  28. 請求項1〜27のいずれか1に記載の変速システムであって、
    制御装置は、前記回転要素の組み合わせを、入力側回転要素の回転速度と出力側回転要素の回転速度の比に応じて変更しながら変速機構による変速動作を実行することを特徴とする変速システム。
  29. 請求項1〜28のいずれか1に記載の変速システムであって、
    変速機構は、各々がサンギアとキャリアとリングギアを回転要素として含む複数の遊星歯車により構成された遊星歯車機構であって、該遊星歯車機構が2自由度の回転自由度を有するように各遊星歯車の回転要素のいずれかが他の遊星歯車の回転要素のいずれかと結合または共用化された遊星歯車機構を有し、
    入力側回転要素と出力側回転要素と複数の変速用回転要素が、前記遊星歯車機構の回転要素により構成されていることを特徴とする変速システム。
  30. 変速用回転要素が共線図上で入力側回転要素と出力側回転要素の間に配置されるように入力側回転要素と出力側回転要素と変速用回転要素が組み合わされた機構であって、変速用回転要素に第1モータジェネレータのトルクが加えられた状態で入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力可能な変速機構と、
    第2モータジェネレータのトルクを入力側回転要素と出力側回転要素のいずれかに選択的に加えることが可能で、且つ第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく変更することが可能な切替機構と、
    切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更しながら変速機構による変速動作を実行し、且つ該回転要素の変更時には第2モータジェネレータの回転速度を変化させないように該回転要素を変更する制御装置と、
    を備えることを特徴とする変速システム。
  31. 請求項30に記載の変速システムであって、
    変速機構は、変速用回転要素に第1モータジェネレータのトルクが加えられた状態で、出力側回転要素と逆回転する入力側回転要素に入力されたエンジンからの動力を変速して出力側回転要素から出力する機構であり、
    制御装置は、入力側回転要素と出力側回転要素のうち変速用回転要素と逆回転する回転要素に第2モータジェネレータのトルクを加えるように切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更しながら変速機構による変速動作を実行し、
    第2モータジェネレータの回転速度を変化させることなく切替機構により第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更可能なように、第2モータジェネレータのトルクがその方向を反転させるための同期用回転要素を介して互いに逆回転する入力側回転要素と出力側回転要素のいずれかに加えられることを特徴とする変速システム。
  32. 請求項31に記載の変速システムであって、
    同期用回転要素として第2モータジェネレータのトルクを加える方向を反転させるためのアイドラギアが設けられていることを特徴とする変速システム。
  33. 請求項30〜32のいずれか1に記載の変速システムであって、
    切替機構は、入力側回転要素と出力側回転要素の中で、第2モータジェネレータを結合する回転要素を選択的に切り替えることが可能であり、
    制御装置は、第1モータジェネレータのトルクを変速用回転要素に加えた状態で、切替機構により第2モータジェネレータを結合する回転要素を切り替えることで、第2モータジェネレータのトルクを加える回転要素を変更することを特徴とする変速システム。
  34. 請求項33に記載の変速システムであって、
    制御装置は、変速用回転要素及び切替機構により第2モータジェネレータを結合した回転要素がともに回転しているときに、第1及び第2モータジェネレータの一方を回生運転するとともに第1及び第2モータジェネレータの他方を力行運転する電気パスを行いながら変速機構による変速動作を実行することを特徴とする変速システム。
  35. 請求項34に記載の変速システムであって、
    制御装置は、
    切替機構により第2モータジェネレータを出力側回転要素に結合した状態では、第1モータジェネレータを回生運転するとともに第2モータジェネレータを力行運転し、
    切替機構により第2モータジェネレータを入力側回転要素に結合した状態では、第2モータジェネレータを回生運転するとともに第1モータジェネレータを力行運転することを特徴とする変速システム。
  36. 請求項33に記載の変速システムであって、
    制御装置は、第2モータジェネレータのトルクを略0に制御するときに、切替機構により第2モータジェネレータを結合する回転要素を切り替えることを特徴とする変速システム。
  37. 請求項36に記載の変速システムであって、
    制御装置は、第1モータジェネレータのトルクを加えた変速用回転要素の回転が略停止するときに、第2モータジェネレータのトルクを0に制御することを特徴とする変速システム。
  38. 動力を発生可能なエンジンと、
    力行運転及び回生運転が可能な第1及び第2モータジェネレータと、
    請求項1〜37のいずれか1に記載の変速システムと、
    を備えた動力出力システム。
  39. 請求項38に記載の動力出力システムであって、
    出力側回転要素に第3モータジェネレータのトルクを加えることが可能であることを特徴とする動力出力システム。
  40. 請求項39に記載の動力出力システムであって、
    御装置は、第3モータジェネレータを回生運転することで、出力側回転要素に結合された負荷のエネルギーを回生する回生動作を実行することを特徴とする動力出力システム。
  41. 請求項38〜40のいずれか1に記載の動力出力システムであって、
    エンジンの回転を拘束することが可能な回転拘束機構を備え、
    制御装置は、回転拘束機構によりエンジンの回転を拘束した状態で第1及び第2モータジェネレータのいずれかの動力により出力側回転要素を駆動するモータ駆動動作を実行することを特徴とする動力出力システム。
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