JP4422924B2 - 高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法 - Google Patents

高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4422924B2
JP4422924B2 JP2001149735A JP2001149735A JP4422924B2 JP 4422924 B2 JP4422924 B2 JP 4422924B2 JP 2001149735 A JP2001149735 A JP 2001149735A JP 2001149735 A JP2001149735 A JP 2001149735A JP 4422924 B2 JP4422924 B2 JP 4422924B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
strength
steel
tapping
tapping bolt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001149735A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002348637A (ja
Inventor
哲夫 白神
克彦 菊地
廣司 尾上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Bars and Shapes Corp
Original Assignee
JFE Bars and Shapes Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Bars and Shapes Corp filed Critical JFE Bars and Shapes Corp
Priority to JP2001149735A priority Critical patent/JP4422924B2/ja
Publication of JP2002348637A publication Critical patent/JP2002348637A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4422924B2 publication Critical patent/JP4422924B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法、特に、下穴を開けた部材に雌ねじを成形しながら締結するタッピング性を兼備した800N/mm2以上の強度を有する、高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タッピンねじは、相手部材に下穴を開けるだけで雌ねじを成形しながら締結するので、普通のボルト・ナットによる締結よりも雌ねじの成形の点で大幅に作業を軽減できる利点がある。この性能からタッピンねじは、相手部材に雌ねじを成形する必要が有るため相手部材よりも十分硬くなければならず、また、締結手段としての機械的性質も満足することが重要である。
【0003】
このことから、従来、例えば、JISB1122の十字穴付きタッピンねじの材質には、JISG3539の冷間圧造用炭素鋼線のSWRCH12A〜22A(アルミキルド鋼)またはSWRCH12K〜22K(キルド鋼)が用いられ、転造加工等によってネジ成形し、浸炭(浸炭窒化)焼入れ、焼戻しの調質処理によって製造されてきた。
【0004】
タッピンねじ用鋼種の重要な要素の1つは、焼入れ後の靭性の確保で、この点から結晶粒の細かいアルミキルドタイプが利用されている。しかし、一方で靭性とは相反する傾向にある硬さや強さなどの特性も同時に満足しなければならない。
【0005】
そのため特開平9−67625号公報には、Mnを高め、炭素含有量を低め、且つ不純物元素であるP、Sを低めた素材を用いて浸炭焼入れ焼戻しを行ったタッピンねじが開示されている。以下、従来技術1という。
【0006】
また、特開平10−196627号公報にも、低炭素高Mn鋼で不純物元素であるP、Sを低めた素材のねじが開示されている。以下、従来技術2という。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、今後、低級スクラップの増加によって鋼中不純物元素量が高くなることが予想され、その場合、PやSなどが高くなる可能性があり、これら不純物元素を低減するために、製鋼・精練段階で莫大なエネルギーを掛けて処理しなければならず、コスト増加を招くことが考えられる。
【0008】
このP、Sは、結晶粒界に偏析し、ねじ、ボルトの靭性を低下させたり、あるいは浸炭処理によって高強度化されたねじは、低い応力によって遅れ破壊が生じ易くなることが知られていることから、一般的にはP、S低減が有効であるとされているが、製鋼段階での処理コストを考慮すると、P、Sの悪影響を緩和する技術が必要になると考える。しかもより高強度な部材を締結し、ボルトとしての所望の強度を有しながらタッピンねじとして相手部材に雌ねじを成形する機能を備えたねじに関しては、その素材成分や製造方法に関して十分確立していないのが現状である。
【0009】
従って、この発明の目的は、P、Sなどの不純物元素が増加してもその悪影響を改善でき、しかもボルトとしての所望の強度(800N/mm2以上)とタッピング性を兼備した高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、以下の知見を得た。
【0011】
▲1▼ボロンを適量添加すること、
▲2▼表面硬さ、内部硬さ、有効硬化層深さを適正に制御すること、
▲3▼浸炭焼き入れ後の焼戻し温度を適正に制御すること
によってP、Sなどの不純物元素が高くなってもそれによる悪影響が改善され、また浸炭による硬さのバランスを制御でき所望の強度と高い靭性が得られることを知見した。
【0012】
この発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記を特徴とするものである。
【0013】
請求項1記載の発明は、C:0.05〜0.20%、Si:0.20%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.015超〜0.040%、S:0.040%以下、Al:0.010〜0.080%、N:0.010%以下、Cr:2.0%以下、B:0.0005〜0.0050%(以上、wt.%)、残部:鉄および不可避的不純物からなることに特徴を有するものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、Ni:3.5%以下、Cu:1.0%以下、Mo:0.30%以下の内の少なくとも1種、および/または、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.005〜0.050%(以上、wt.%)の内の少なくとも1種を更に含有することに特徴を有するものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、C:0.05〜0.20%、Si:0.20%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.015超〜0.040%、S:0.040%以下、Al:0.010〜0.080%、N:0.010%以下、Cr:2.0%以下、B:0.0005〜0.0050%(以上、wt.%)、残部:鉄および不可避的不純物からなり、表面硬さHvで550〜700、内部硬さHvで200〜400、引張強度で800N/mm2以上、有効硬化層深さ0.05〜1.00mmを有することに特徴を有するものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、Ni:3.5%以下、Cu:1.0%以下、Mo:0.30%以下の内の少なくとも1種、および/または、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.005〜0.050%(以上、wt.%)の内の少なくとも1種を更に含有することに特徴を有するものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、C:0.05〜0.20%、Si:0.20%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.015超〜0.040%、S:0.040%以下、Al:0.010〜0.080%、N:0.010%以下、Cr:2.0%以下、B:0.0005〜0.0050%(以上、wt.%)、残部:鉄および不可避的不純物からなる鋼を用いて、熱間圧延、冷間鍛造さらにねじ成形後、浸炭焼入れ焼戻し処理を施し、浸炭処理後の焼戻し温度を200〜400℃の温度範囲内で調整することを特徴とする、表面硬さHvで550〜700、内部硬さHvで200〜400、引張強度で800N/mm2以上、有効硬化層深さ0.05〜1.00mmを有することに特徴を有するものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記鋼は、Ni:3.5%以下、Cu:1.0%以下、Mo:0.30%以下の内の少なくとも1種、および/または、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.005〜0.050%(以上、wt.%)の内の少なくとも1種を更に含有することに特徴を有するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
この発明のおける数値の限定理由について説明する。
【0020】
(1)C:0.05〜0.20wt.%
Cは、鋼の強度を確保するのに重要な元素であるが、0.05wt.%未満では所望の強度を得ることができず、浸炭硬化性も低下する。一方、0.20wt.%を超えると、ねじ内部の硬度が高くなりすぎて鋼の靱性が低下する。従って、C含有量を0.05〜0.20wt.%の範囲内とする。
【0021】
(2)Si:0.20wt.%以下(0は含まない)
Siは、脱酸材として重要な作用をするので、製鋼段階においては必ず添加する。また、焼戻し軟化抵抗性および焼入性を向上させ強度を高くする元素である。しかし、変形抵抗を増大させ、冷間鍛造性を低下させるので上限を0.20wt.%とする。
【0022】
(3)Mn:0.5〜2.0wt.%
MnもSiと同様、鋼の脱酸処理に必要な元素であるが、焼入れ性を高める元素でもある。従って、所望の強度を確保するために0.5wt.%以上の添加を必要とするが、P、Sと同様にMnも鋼の結晶粒界に偏析して、粒界脆化を助長するので上限を2.0wt.%とする。
【0023】
(4)P:0.015超〜0.040wt.%
Pは、この発明において不純物元素であるが、安価な原料(低級鉄スクラップ等)で低コストで製造すれば、0.015wt.%超の含有は避けられず、粒界に偏析しボルト靭性を低下させる。この悪影響をBの添加によって緩和するわけであるが、0.040wt.%を超えると、B添加の効果が無くなる。従って、上限を0.040wt.%とする。
【0024】
(5)S:0.040wt.%以下
Sは、この発明において不純物元素であるが、安価な原料(低級鉄スクラップ等)で低コストで製造すれば、含有量が高くなる可能性があり、粒界に偏析した場合ボルト靭性を低下させることが考えられる。この悪影響をBの添加によって緩和するわけであるが、0.040wt.%を超えると、B添加の効果が無くなり、また鋼中のMnとでMnSを形成して、亀裂の起点となる可能性が高くなるので上限を0.040wt.%とする。
【0025】
(6)sol.Al:0.010〜0.080wt.%
Alは、脱酸材として必要な元素であるばかりでなく、粒界に偏析するNをAlNとして固定して粒界強度を高める作用を有する。Alによるこのような効果を発揮させるためには、sol.Al(酸可溶Al)として、0.010wt.%以上の量が必要である。しかしながら、sol.Alが0.080wt.%を超えると、鋳片の連続鋳造時にAl23の凝集体を形成して、ノズル詰まりの原因となり鋳造作業を困難にする。従って、sol.Al含有量を0.010〜0.080wt.%の範囲内とする。
【0026】
(7)N:0.010wt.%以下
Nは、ねじ加工時に歪み時効硬化を起こして鋼の冷問鍛造性を低下させ、工具の寿命も低下させる。このように、Nは、この発明において不純物元素であるので、その含有量を0.010wt.%以下とする。
【0027】
(8)Cr:2.0wt.%以下
Crは、焼入性を高め、強度を確保するのに有用な元素である。しかし、焼戻し軟化抵抗性を高める元素でもあり、多量に添加し過ぎると硬くなりすぎて靭性に悪影響を与えるので上限は2.0wt.%とする。
【0028】
(9)B:0.0005〜0.0050wt.%
Bは、適量添加すれば、粒界に偏析することでP、Sなどの不純物元素の粒界への偏析を防止し、これによる遅れ破壊特性の劣化を防止する効果がある。また微量の添加で焼入れ性を向上させる作用を有し、MnやCr、Mo含有量を低減することができ、鋼の冷間鍛造性を更に向上させることができる。Bによるこのような効果を発揮させるためには、0.0005wt.%以上添加する必要がある。しかしながら、0.0050wt.%を超えて添加するとボロンセメンタイトを析出して粒界強度を弱める。従って、B含有量を0.0005〜0.0050wt.%の範囲内とする。
【0029】
(10)Ni:3.5wt.%以下
Niは、鋼に焼き入れ性を付与し、静的強度を上昇させるのに有効な元素である。しかも靭性を向上させる効果も有するので、焼き入れ性と靭性を確保するためには有効な元素である。しかし、多量に添加してもその効果が飽和し、且つ非常に高価な元素なので上限を3.5wt.%とする。
【0030】
(11)Cu:1.0wt.%以下
Cuは、鋼に焼入れ性を付与し静的強度を上昇させるのに有効な元素である。適正量添加することは機械的性質向上には有効であるが、添加しすぎると熱間圧延時に表面疵は発生しやすくなり、冷問鍛造不良が起きるので上限を1.0wt.%とする。
【0031】
(12)Mo:0.30wt.%以下
Moは、Pなどの不純物元素の粒界への偏析を防止し、粒界強度を高め、焼入性を向上させる有用な元素である。しかし、多量に添加するとCrと同様に冷間鍛造性を阻害する。また、Moは、高価な元素なので上限を0.30wt.%とする。
【0032】
(13)Ti:0.005〜0.050wt.%
Tiは、結晶粒の微細化効果を有する。しかしながら、0.005wt.%未満ではその効果が小さく、またNをTiNとして固定する効果も小さい。ところが、0.050wt.%を超えて添加しても、これらの効果は飽和するのみならず、Ti含有量が高すぎると、硬質のTiN、TiCが多数形成し、鍛造性が低下する他、合金コストもかかる。従って、Ti含有量を0.005〜0.050wt.%の範囲内とする。
【0033】
(14)Nb:0.005〜0.050wt.%
Nbは、Tiと同様、結晶粒の微細化効果を有し、0.005wt.%未満ではその効果が小さいので、下限を0.005wt.%とした。しかし、Tiと同様にNbは、C、Nとの親和力が強いので炭化物や窒化物を形成しやすく、多量に添加されると粒界析出して脆化を促進する他、合金コストもかかる。従って、上限を0.050wt.%とする。
【0034】
(15)表面のビッカース硬さHv:550〜700
所望のボルト強度および相手部材に雌ネジを成形する上で、ビッカース硬さHvで550未満では先端が欠けたり、折れたりして雌ネジ成形が不可能になる。一方、Hvで700を超えると切り欠き効果が高まり亀裂発生を促進させる、従って、ねじ表面の硬さHvは、550〜700の範囲内とする。
【0035】
(16)内部のビッカース硬さHv:200〜400
表面硬さ同様、所望のボルト強度を得るため必要とする。Hv:200未満では所望のボルト強度が得られない。一方、Hvで400を超えると靭性が低下し亀裂進展しやすくなる。従って、内部のビッカース硬さHvは、200〜400の範囲内とする。
【0036】
(17)焼戻し温度:200〜400℃
焼戻し温度は、ボルトとしての最終的な性能(表面・内部硬さ)と密接に関係していて、200℃未満では硬くなり過ぎ、一方、400℃を超えると所望の強度が得られない。従って、焼戻し温度は、200〜400℃の範囲内とする。
【0037】
(18)有効硬化層深さ:0.05〜1.00mm
相手部材に雌ネジを成形する上で表面に所望の硬さを必要するが、その硬化深さが0.05mm未満であると浅すぎて雌ネジ成形性に劣り、一方、1.00mmを超えると深すぎて、内部の靭性が低下し亀裂進展が促進される。従って、有効硬化層深さは、0.05〜1.00mmの範囲とする。
【0038】
【実施例】
以下、この発明を実施例に基づいて更に説明する。
【0039】
表1に示す化学成分を含有する鋼材を、150kg/ch、真空溶解炉にて溶製し、116角のビレットに鍛伸後、熱間圧延によりφ8mmの線材にし、冷間鍛造・ねじ転造後、浸炭焼入れ焼き戻しして、M8のタッピンボルトを製造した。このボルトの形状は、ねじの呼び径:8mm、呼び長さ:30mmの十字穴付六角ツバ付きボルトであった。このボルトを各種試験に供した。引張試験は、JISB1051のくさび引張試験で、くさびの角度は10°で実施し、頭部靭性試験は、JISB1055に準じて実施した。
【0040】
硬さについては、表面硬さは表層下0.02mm位置、内部硬さはD/4位置を測定した。有効硬化層深さは表層からHv550までの硬さの位置として評価した。なお、硬さはすべてビッカース硬度計で測定した。
【0041】
【表1】
Figure 0004422924
【0042】
これらの結果を表2に示す。
【0043】
タッピング性の評価は、下穴を開けた部材に一定トルクでボルトを締める試験を行い、破断の有無、ねじ山の破損状況、ねじ谷部の亀裂有無の状況で評価した(n=10)。表中、タッピング性の○印は、破断や破損、亀裂が発生しなかったボルトの数が8個以上の場合であり、×印は、7個以下の場合を表している。
【0044】
【表2】
Figure 0004422924
【0045】
表2から明らかなように、本発明実施例であるNo.1〜12は、本発明の条件を満足する鋼を用いて造られているので、何れも、冷間鍛造性に優れ、所望の強度、靭性を有するタッピング性に優れたボルトであった。
【0046】
これに対して、比較例No.13は、C量が本発明より多いので、表面硬さおよび芯部硬さが高くなり過ぎ、引張試験時および頭部靭性試験にて頭抜けが生じ、靭性に乏しかった。
【0047】
比較例No.14は、C量が本発明より少ないので、所望の強度および表面硬さ、内部硬さが得られておらず雌ネジ成形ができずタッピング性能不良であった。
【0048】
比較例No.15は、Si量が本発明より多いので、フェライト地の硬さ上昇により変形抵抗が高くなり内部硬さも上昇し靭性が乏しかった。
【0049】
比較例No.16は、Mn量が本発明の上限を超えて多いので、焼き入れ性が高すぎて硬化層深さが増加し、表面・内部硬度が上昇し、靭性が不足していた。
【0050】
比較例No.17は、Mn量が本発明の下限を外れて少ないので、所望の強度が得られておらず、比較例No.15と同様にタッピング性能不良であった。
【0051】
比較例No.18は、Bが添加されていないので、粒界強度の低下による引張り時および頭部靭性試験時に頭抜けが生じた。
【0052】
比較例No.19は、Al量が本発明より低いので、結晶粒の粗大化によって焼きが入りすぎて内部靭性が不足して頭抜けが生じた。
【0053】
比較例No.20は、Nが本発明より高いので、内部の靭性が不足し頭抜けが生じた。
【0054】
比較例No.21は、B量が本発明より多いので、ボロンを含むセメンタイトが粒界に析出し粒界強度を弱めているために亀裂が発生した。また、Ti量も本発明より多いので、硬質なTiC、TiNが多数存在して冷間鍛造性が悪く靭性も乏しかった。
【0055】
比較例No.22は、Nb量が本発明より多いので、NbC、Nb(CN)等の金属間化合物が多数存在し、このために粒界が弱くなり亀裂の発生が起きていた。
【0056】
比較例No.23は、Cr量が本発明より多く、比較例No.24は、Mo量が本発明より多いので、頭部靭性試験時に頭飛びが発生し、靭性が不足していた。
【0057】
比較例No.25は、P量が本発明の上限を超えて異常に多いので、Bの添加効果が無くなって粒界強度の低下による引張り時および頭部靭性試験時に頭抜けが生じた。
【0058】
比較例No.26は、S量が本発明の上限を超えて多いので、頭部靭性試験時に首下に亀裂が生じた。
【0059】
比較例No.27は、焼戻し温度が本発明より低いので、靭性の不足により頭抜けが生じた。
【0060】
比較例No.28は、焼戻し温度が本発明より高いので、所望の強度が得られなかった。
【0061】
比較例No.29は、所定の有効硬化深さが得られていないので、強度不足およびタッピング性が不良であった。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、安価な原料を使用し低コストで製造することによってP、Sの不純物元素が高くなっても、Bを適量添加することにより優れたタッピング性、即ち、優れた雌ねじ成形性および内部靭性を有し、且つ所定のボルト強度を有する高強度タッピングボルトを製造することができるといった有用な効果がもたらされる。

Claims (6)

  1. C :0.05〜0.20%、
    Si:0.20%以下、
    Mn:0.5〜2.0%、
    P :0.015超〜0.040%、
    S :0.040%以下、
    Al:0.010〜0.080%、
    N :0.010%以下、
    Cr:2.0%以下、
    B :0.0005〜0.0050%(以上、wt.%)、
    残部:鉄および不可避的不純物
    からなることを特徴とする、浸炭焼入れ焼戻し処理が施された高強度タッピングボルト用鋼。
  2. Ni:3.5%以下、
    Cu:1.0%以下、
    Mo:0.30%以下
    の内の少なくとも1種、および/または、
    Ti:0.005〜0.050%、
    Nb:0.005〜0.050%(以上、wt.%)
    の内の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする、請求項1記載の高強度タッピングボルト用鋼。
  3. C :0.05〜0.20%、
    Si:0.20%以下、
    Mn:0.5〜2.0%、
    P :0.015超〜0.040%、
    S :0.040%以下、
    Al:0.010〜0.080%、
    N :0.010%以下、
    Cr:2.0%以下、
    B :0.0005〜0.0050%(以上、wt.%)、
    残部:鉄および不可避的不純物
    からなり、表面硬さHvで550〜700、内部硬さHvで200〜400、引張強度で800N/mm2以上、有効硬化層深さ0.05〜1.00mmを有することを特徴とする、浸炭焼入れ焼戻し処理が施された高強度タッピングボルト
  4. Ni:3.5%以下、
    Cu:1.0%以下、
    Mo:0.30%以下
    の内の少なくとも1種、および/または、
    Ti:0.005〜0.050%、
    Nb:0.005〜0.050%(以上、wt.%)
    の内の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする、請求項3記載の高強度タッピングボルト
  5. C :0.05〜0.20%、
    Si:0.20%以下、
    Mn:0.5〜2.0%、
    P :0.015超〜0.040%、
    S :0.040%以下、
    Al:0.010〜0.080%、
    N :0.010%以下、
    Cr:2.0%以下、
    B :0.0005〜0.0050%(以上、wt.%)、
    残部:鉄および不可避的不純物
    からなる鋼を用いて、熱間圧延、冷間鍛造さらにねじ成形後、浸炭焼入れ焼戻し処理を施し、浸炭処理後の焼戻し温度を200〜400℃の温度範囲内で調整することを特徴とする、表面硬さHvで550〜700、内部硬さHvで200〜400、引張強度で800N/mm2以上、有効硬化層深さ0.05〜1.00mmを有する高強度タッピングボルトの製造方法。
  6. 前記鋼は、
    Ni:3.5%以下、
    Cu:1.0%以下、
    Mo:0.30%以下
    の内の少なくとも1種、および/または、
    Ti:0.005〜0.050%、
    Nb:0.005〜0.050%(以上、wt.%)
    の内の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする、請求項5記載の高強度タッピングボルトの製造方法。
JP2001149735A 2001-05-18 2001-05-18 高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法 Expired - Fee Related JP4422924B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001149735A JP4422924B2 (ja) 2001-05-18 2001-05-18 高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001149735A JP4422924B2 (ja) 2001-05-18 2001-05-18 高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002348637A JP2002348637A (ja) 2002-12-04
JP4422924B2 true JP4422924B2 (ja) 2010-03-03

Family

ID=18994865

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001149735A Expired - Fee Related JP4422924B2 (ja) 2001-05-18 2001-05-18 高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4422924B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5022070B2 (ja) * 2007-03-16 2012-09-12 Jfe条鋼株式会社 高強度部材締結用タッピングねじの製造方法
KR101043856B1 (ko) * 2008-10-14 2011-06-22 현대다이모스(주) 냉간단조 성형성이 우수한 자동차용 크롬 합금강을 이용한 자동차용 차동기어 제조방법
JP5632722B2 (ja) * 2010-11-26 2014-11-26 株式会社神戸製鋼所 熱処理歪みの少ない肌焼鋼
CN104674123A (zh) * 2015-02-12 2015-06-03 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 一种免球化退火耐腐蚀紧固件用盘条及其制备方法
CN113278868A (zh) * 2021-05-07 2021-08-20 石横特钢集团有限公司 一种耐氯离子腐蚀钢筋用坯冶炼工艺及其生产方法
CN114855093B (zh) * 2022-03-28 2023-10-03 本钢板材股份有限公司 一种高冷镦成型性低碳低硅含铝冷镦钢热轧盘条及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002348637A (ja) 2002-12-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6479527B2 (ja) 酸洗性、および焼入れ焼戻し後の耐遅れ破壊性に優れたボルト用線材、並びにボルト
JP2001247937A (ja) 高強度ねじ及び高強度ねじ用鋼
JP2007131871A (ja) 高周波焼入れ用鋼材
JP4321974B2 (ja) 高強度ねじ用鋼および高強度ねじ
JPH0892690A (ja) 耐疲労特性に優れた浸炭部品およびその製造方法
JP4594150B2 (ja) 靭性および冷間加工性に優れた高強度ねじの製造方法
JP3671688B2 (ja) 破断分断性に優れた破断分割型コンロッド用熱間鍛造用非調質鋼
WO2015147067A1 (ja) スポーリング強度および低サイクル疲労強度に優れた高温浸炭用鋼製部品
US6383311B1 (en) High strength drive shaft and process for producing the same
JP2006299296A (ja) 疲労特性と耐結晶粒粗大化特性に優れた肌焼用圧延棒鋼およびその製法
JP4925971B2 (ja) 高張力鋼板用タッピンねじ類の製造方法
JPH05214484A (ja) 高強度ばね用鋼およびその製造方法
US6558484B1 (en) High strength screw
JP3606024B2 (ja) 高周波焼入部品およびその製造方法
KR100712581B1 (ko) 제조성과 내식성이 우수한 베어링 강 및 그 제조 방법 및베어링 부품 및 그 제조 방법
JP2004204263A (ja) 冷間加工性と浸炭時の粗大粒防止特性に優れた肌焼用鋼材とその製造方法
JP2004027334A (ja) 高周波焼もどし用鋼およびその製造方法
JP4422924B2 (ja) 高強度タッピングボルト用鋼、高強度タッピングボルトおよび高強度タッピングボルトの製造方法
JP4728884B2 (ja) 低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材及び高周波輪郭焼入れ部品
JP3550886B2 (ja) 被削性および疲労強度に優れた高周波焼入用の歯車用鋼材の製造方法
JP2007107046A (ja) 高周波焼入れ用鋼材
JP4801485B2 (ja) 冷間鍛造部品、それを得るための製造方法および鋼材
JP3739958B2 (ja) 被削性に優れる鋼とその製造方法
JP4344126B2 (ja) ねじり特性に優れる高周波焼もどし鋼
JP3644217B2 (ja) 高周波焼入部品およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091027

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121211

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131211

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees