JP4418873B2 - 生物管理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物に関する情報を収集して生物を管理し、あるいは生物に刺激を与えて生物の行動を管理する生物管理システムに係り、例えば、スペクトラム拡散通信または携帯電話回線を利用して生物の個体の位置情報、生理情報、周辺画像情報、周辺微気象情報等の各種の個体関連情報を複合的に収集してモニタリング・分析・調査等の各種処理を行い、林業・水産業・畜産業等の様々な分野で役立てる場合、あるいは通信処理技術を利用して生物の移動範囲を規制し、野生動物による農林業被害の防除や放牧家畜の管理等に役立てる場合などに利用できる。
【0002】
【背景技術】
従来より、野生動物や放牧家畜の「テレメトリー(動物に装着した発信機器からの電波を八木アンテナで追跡すること)」は、個体の位置や移動経路を知る手段として生態学や畜産学の分野で頻用されてきた。しかし、電波の受信可能圏内(通常は遠くても4〜5km程度)まで動物に接近する必要があるため、移動距離の大きな野生動物や広大な放牧地で飼育される家畜のモニタリングを行うには、車やセスナ機による長距離追跡等を行わなければならず、多大な労力とコストが必要とされる。また、調査時の位置を示す「点」以外に取得できる情報は限られ、動物の移動や土地利用等の詳細をリアルタイムあるいは過去に遡って把握することは事実上不可能であった。
【0003】
これに対し、近年、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)を組み込んだ機器類が市販され、動物モニタリングに関わる精度と至便性は著しく向上した。そして、VHSやUHFを利用する遠隔的なGPS情報の取得も可能となっている。しかし、(1)動物の位置、その周辺の画像や微気象、生理状態等を含む「複合情報」の送受信は達成されていない、(2)個別のニーズに合わせ、センサ、通信装置、バッテリ等を組み替えることができない、(3)海外で生産された機器の仕様が、日本の生態系や放牧体系、あるいは電波法等に合致しない、(4)VHFやUHFによる遠隔的な情報取得は、見通し距離500m程度に限られている、(5)遠隔的な情報取得が自動化されていない等の問題点が未解決のまま残されていた。このため、最近では、これらの問題点のうち、一部の問題点の解消を図ることを目的としたシステムも提案され始めている。
【0004】
例えば、GPSを組み込んで動物のモニタリングを行うシステムとしては、鹿等の野生動物に首輪を装着し、この首輪にGPSを取り付けて鹿等の各個体の現在位置を把握するとともに、首輪にCCDカメラを取り付けて鹿等の周囲環境を撮影する野生動物生態観察システムがある(特許文献1参照)。このシステムでは、GPSによる測定位置データおよびCCDカメラによる画像データをSS(スペクトラム拡散方式)無線機により、遠隔地の監視センター局(野生動物の行動範囲をカバーする所定近傍領域内の所定数の箇所に設置された固定局、あるいは野生動物の行動範囲をカバーする所定近傍領域内の地上を移動する車両に設置された地上移動局やこの領域の空中を飛行するヘリコプターに設置されたヘリ探索局)に送信するようになっている。この際には、監視センター局からのポーリングが受信されるか否かを判断し、通信可能と判断したときに監視センター局に測定位置データおよび画像データを送信している。また、首輪の上側位置にGPSアンテナを配設してGPS衛星からの電波の受信を妨げないようにし、首輪の下側位置にGPS装置本体を配設して鹿等の行動の邪魔にならないようし、首輪の左右の一方の位置にCCDカメラを配設して鹿等の周囲環境を撮影可能なようにしている。さらに、GPS、無線機、CCDカメラ等の各機器への電力供給は、タイマーにより時間制御されている。
【0005】
また、人間または動物の生理状態を検出するシステムとして、例えば、人体に生理状態検出用のセンサを取り付け、このセンサに取り付けられているセンサ信号発信手段によりセンサ信号を発信し、このセンサ信号を、腰部にベルト等を用いて固定された個人情報端末のセンサ信号受信手段により受信し、さらに、センサ信号を個人情報端末から基地局(親機)へ無線送信する状態情報収集システムがある(特許文献2参照)。このシステムでは、生理状態の検出と併せ、加速度センサやジャイロセンサ等により人体の姿勢や行動の検出も行っている。また、人体の位置の検出も行っているが、GPSによるものではなく、画像処理や人体からの電波発信によるものである。
【0006】
一方、双方向通信により動物に装着済みの機器類の制御は可能となりつつあるが、電気刺激等により動物の行動そのものを制御できるシステムは、殆ど開発されていないのが現状であり、次のような家畜誘導システムが提案されている程度である(特許文献3参照)。この家畜誘導システムは、家畜の皮膚に刺激を与える刺激発生装置を、家畜群のうち選択された1頭若しくは複数頭または全頭に装着し、無線を用いた遠隔制御により刺激発生装置を制御して家畜に刺激を与え、刺激発生装置を作動させた家畜のみを誘導することにより、給餌場所や搾乳場所の混雑の解消を図っている。また、各刺激発生装置の動作開始時刻は、1個毎または1群毎に異なる時刻に設定され、システムで管理されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−248816号公報(段落[0026]、[0028]〜[0031]、[0036]、[0038]、図1〜図4)
【特許文献2】
特開2002−119485号公報(段落[0037]、[0039]、[0044]、[0064]、[0072]、図1、図2)
【特許文献3】
特開2002−101780号公報(段落[0005]〜[0008]、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、野生動物に関する情報を収集してその生態等を把握し、野生動物の管理を行う際に解決しなければならない各種の問題点の全てが、前述した特許文献1,2に記載されたシステムにより完全に解消されるわけではない。
【0009】
例えば、前述した特許文献1に記載された野生動物生態観察システムでは、GPSによる位置データおよびCCDカメラによる画像データを取得してSS無線機により遠方の基地局(固定局、地上移動局、ヘリ探索局)に送信しているため、遠隔的な情報取得の自動化が図られているものの、複合情報の取得という観点からは、位置情報および周辺画像情報を取得しているのみであり、生理情報や微気象情報等を取得できているわけではない。
【0010】
また、前述した特許文献2に記載された状態情報収集システムでは、腰部に装着された個人情報端末により生理情報の中継を行い、併せて、姿勢・行動の検出や位置の検出も行っているが、野生動物の生態等を把握するうえで重要となる位置情報の取得については、画像処理や人体からの電波発信により室内での位置特定を行っているため、広い範囲を移動する野生動物の位置情報の把握には、適さないという問題がある。
【0011】
さらに、特許文献1,2に記載されたシステムを組み合わせて取得情報を増やすことも考えられるが、単純に組み合わせたとしても、情報を取得するためのセンサや、取得した情報を送信するための無線機等の各種機器類の電源確保が困難になる。なぜなら、広い範囲を移動する野生動物に関する情報を収集するには、長期間の電源確保が不可欠となるが、取得する情報の種別が増加する程、必要電源の確保が困難になってくるからである。そして、特許文献1に記載された野生動物生態観察システムでは、各機器への電力供給をタイマーにより時間制御しているが、取得する情報の種別が増加した場合には、このようなタイマーによる時間制御だけでは十分な対策を講じているとはいえない。
【0012】
また、特許文献1に記載された野生動物生態観察システムでは、首輪の上側位置にGPSアンテナが配設されている。しかし、野生動物の首回りの長さは千差万別であり(種類、性別、季節によって著しく変動)、丁度良い大きさの首輪でなければ、動物の移動中に首輪が回転してGPSアンテナが上側位置にこなくなり、位置検出に支障を来すおそれがある。また、個々の動物の首回りの長さに応じ、大きさを調整できるようにした首輪も多くあるが、通常、調整箇所は一箇所であるため、調整を行うと首輪に取り付けられた各機器の相対位置関係が変化し、GPSアンテナが所定の位置にこなくなるという問題がある。なお、個々の動物の首回りの長さに応じ、大きさの異なる首輪をその都度用意することは、製造コストや手間の増大等に繋がり困難である。さらに、特許文献1のシステムでは、首輪の左右の一方の位置にCCDカメラが配設されているので、首輪の左右の重量バランスが崩れ、首輪の回転によりGPSアンテナが所定の位置にこなくなるおそれもある。
【0013】
一方、前述した特許文献3に記載された家畜誘導システムでは、電気刺激等により動物の行動を制御することができるものの、各家畜に刺激を与えるタイミングを調整するための時間制御を行っているだけであるため、各家畜の行動開始のタイミングを制御することはできるが、家畜の移動範囲を規制することはできない。従って、野生動物による農林業被害の防除や放牧家畜の管理を行うという観点からは、不十分である。
【0014】
本発明の目的は、生物の個体関連情報の取得および送受信を行うための機器類の省電力化を図ることができ、あるいは生物の移動範囲を規制することができ、生物の管理を効果的・効率的に行うことができる生物管理システムを提供するところにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、生物に関する情報を収集して前記生物を管理する生物管理システムであって、生物の個体に装着されてこの移動する個体の位置情報、生理情報、周辺画像情報、または周辺微気象情報のうちの少なくとも一つの情報を含む個体関連情報を取得する個体装着装置と、この個体装着装置により取得した個体関連情報を遠隔地で収集する個体関連情報収集装置とを備え、個体装着装置は、高速クロックおよび低速クロックを有するCPUを用いて処理を行う処理手段と、個体関連情報収集装置との間で個体関連情報を含む信号の送受信を行う通信手段とを含んで構成され、処理手段は、低速クロックから高速クロックに切り換わって個体関連情報の取得処理を行う個体関連情報取得処理手段と、通信手段から出力されたウェイクアップ信号により低速クロックから高速クロックに切り換えられた状態で個体関連情報収集装置への個体関連情報の送信処理を行う個体関連情報送信処理手段と、通信手段の電源を一定周期で入切制御する通信手段用電源入切制御手段とを含んで構成され、通信手段は、処理手段の通信手段用電源入切制御手段により電源を入状態とされているときに個体関連情報収集装置から信号を受信した場合にウェイクアップ信号を処理手段に出力する構成とされていることを特徴とするものである。
【0016】
ここで、「生物」とは、動物(陸上動物のみならず、魚類や鳥類も含む。)および人間を含む。
【0017】
また、「位置情報」とは、個体の現在位置のデータであり、平面的な位置情報(緯度および経度)のみであってもよく、あるいは高度を含めた3次元的な位置情報であってもよい。「生理情報」とは、例えば、体温、心拍、心電、筋電、pH(第一胃内)等のデータであり、「周辺画像情報」とは、個体の周辺の画像データ(カラーまたは白黒)であり、「周辺微気象情報」とは、例えば、外気温、湿度、気圧等のデータである。「個体関連情報」には、その他に、例えば、個体の周辺の大気中・海水中・淡水中の各種汚染物質濃度に関する情報、あるいは個体の加速度や振動等の生物のアクティビティに関する情報等が含まれる。
【0018】
このような本発明においては、処理手段は、個体関連情報取得処理手段により、低速クロックから高速クロックに切り換わって個体関連情報の取得処理を行う。一方、これと並行して、処理手段の通信手段用電源入切制御手段により、通信手段の電源を一定周期で入切制御し、通信手段は、処理手段の通信手段用電源入切制御手段により電源を入状態とされているときに個体関連情報収集装置から信号を受信した場合にウェイクアップ信号を処理手段に出力する。そして、処理手段は、通信手段から出力されたウェイクアップ信号により低速クロックから高速クロックに切り換えられた状態で、個体関連情報送信処理手段により、個体関連情報収集装置への個体関連情報の送信処理を行う。
【0019】
このため、情報の取得処理およびその送信処理を必要最小限の電力で実現することが可能となり、省電力化が図られる。従って、各機器への電力供給を長期間維持することが可能となり、また、バッテリ切れで計測不能になる事態の発生を最小限に抑えることが可能となり、効率的かつ効果的な生物の管理を実現することができるようになり、これらにより前記目的が達成される。
【0020】
また、前述した生物管理システムにおいて、個体関連情報収集装置は、生物の移動予測経路またはその近傍に設置されて個体装着装置から個体関連情報を自動的に回収するデータ自動回収器と、このデータ自動回収器により回収された個体関連情報をデータ自動回収器から受信する基地局とを含んで構成されていてもよい。
【0021】
ここで、「移動予測経路」とは、例えば、野生動物の集合する水飲み場、野生動物が自動車道路を渡るために設けられたトンネルや橋等である。
【0022】
また、「データ自動回収器」の設置個所は、一箇所でも複数箇所でもよいが、データ回収の確実性向上の観点から、複数箇所とすることが好ましい。
【0023】
このように個体関連情報収集装置をデータ自動回収器と基地局とを含む構成とした場合には、個体装着装置で取得した個体関連情報をデータ自動回収器により中継して基地局に送信することができるので、個体装着装置の送信手段の送信可能範囲が比較的狭い場合であっても、データを自動回収することが可能となる。
【0024】
なお、本発明における「個体関連情報収集装置」は、上記のような構成のものに限らず、研究者や管理者等が携帯所持して移動しながら使用する探索器でもよく、あるいは、携帯電話回線を利用して通信を行う場合には、個体装着装置からの信号をデータ自動回収器を介さずに直接に受信する基地局であってもよい。
【0025】
さらに、前述した生物管理システムにおいて、個体装着装置により取得する個体関連情報には、生理情報が含まれ、個体装着装置は、生物の体内に埋め込まれた体内埋込部と、生物の体外に装着された体外装着部とにより構成され、体内埋込部は、生物の生理情報を検出する生理情報検出手段と、この生理情報検出手段により検出した生理情報の微弱無線信号を体外装着部まで送信する生理情報送信手段とを含んで構成され、体外装着部は、体内埋込部から送られてくる生理情報の微弱無線信号を受信する生理情報受信手段と、処理手段と、通信手段とを含んで構成され、処理手段の個体関連情報取得処理手段は、生理情報受信手段により受信した微弱無線信号から個体関連情報としての生理情報を取得する構成とされ、通信手段は、生理情報受信手段により受信した微弱無線信号から個体関連情報取得処理手段により取得した生理情報を個体関連情報収集装置に送信する構成とすることが望ましい。
【0026】
ここで、「体外装着部」は、例えば、生物の首回りに装着する首輪、腕回りに装着する腕輪、手首に装着するブレスレット、腰回りに装着するベルト、胴回りに装着するコルセット、指に嵌める指輪、その他、尻尾、足首、羽、鰭等に装着するリングなどであるが、GPSによる位置情報の取得も併せて行う場合には、GPSアンテナを常に上側位置にくるように取り付けることができるものであることが好ましい。
【0027】
このように体内埋込部で検出した生理情報を体外装着部により中継して個体関連情報収集装置に送信する構成とした場合には、体内埋込部の生理情報送信手段から微弱無線信号として出力される生理情報を、遠隔地の個体関連情報収集装置に送信することが可能となる。
【0028】
そして、前述した生物管理システムにおいて、個体装着装置により取得する個体関連情報には、位置情報が含まれ、個体装着装置は、生物の個体を周回する状態で装着されて上下に二分割され、個体装着装置の上側部分の真上の位置には、位置情報を取得する位置情報取得手段としてのグローバル・ポジショニング・システムのうちの少なくともアンテナ部分が設けられ、個体装着装置の上側部分と下側部分とは、左右の各位置で互いに上下方向に均等に摺動させながら連結可能な構成とされ、個体装着装置は、これらの上側部分と下側部分との連結時の摺動調整により、個体装着装置を装着する生物の個体の装着部位の周長に合わせて大きさ調整可能な構成とされていることが望ましい。
【0029】
ここで、「生物の個体を周回する状態で装着」とは、例えば、首回り、胴回り、腰回り等に装着する場合のように、生物の個体の所定部位を、ぐるりと一周巻く状態で装着する意味である。
【0030】
ここで、「上側部分」および「下側部分」とは、生物の首回りや胴回り等の所定部位に装着された状態で上下の位置にくる部分という意味である。「左右の各位置」や「上下方向」も同様に、生物の首回りや胴回り等の所定部位に装着された状態での位置や方向を意味する。
【0031】
このように個体装着装置を左右の各位置で連結されて摺動調整可能なリングタイプの構成とした場合には、GPSアンテナを常にリングの真上の位置にくるように配置することが可能となるので、位置情報を、より確実に取得できるようになる。
【0032】
さらに、前述した生物管理システムにおいて、個体装着装置により取得する個体関連情報には、位置情報が含まれ、個体装着装置を構成する各機器は、複数のユニットに分割されてモジュール化され、これらのユニットには、位置情報を取得する位置情報取得手段としてのグローバル・ポジショニング・システムのアンテナ部分を配したGPSアンテナユニットと、各機器に電力供給するバッテリを配したバッテリユニットと、グローバル・ポジショニング・システムのアンテナ部分およびバッテリ以外の機器であって個体装着装置に必須の機器をまとめて配したメインユニットと、個体装着装置にオプションとして選択的に装備される各機器をそれぞれ個別に配した各オプションユニットとがあることが望ましい。
【0033】
このように個体装着装置を構成する各機器を複数のユニットに分割してモジュール化した場合には、モジュール間で互換性が確保され、使用者のニーズに応じた豊富な製品ラインアップの提供およびオーダーメード制を実現することが可能となる。このため、対象とする生物の種類や調査条件等により、必要とされるセンサ類、情報通信方法、データ容量、データサイズ、バッテリ寿命等は千差万別であるが、これらの要求に容易かつ迅速に対応することができるようになる。
【0034】
また、本発明は、生物に刺激を与えて生物の行動を管理する生物管理システムであって、生物の個体に装着されてこの移動する個体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、生物の移動範囲を規制するための仮想柵を記憶する仮想柵記憶手段と、位置情報取得手段により取得した位置情報に基づき仮想柵記憶手段に記憶された仮想柵を越えたか否かを判断して生物の移動を許すか否かを判断する移動許否判断手段と、この移動許否判断手段により生物の移動を許さないと判断した場合に生物に刺激を与える指令を出す刺激指令処理手段と、生物の個体に装着されて刺激指令処理手段の指令に基づき生物に刺激を与える刺激付与手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0035】
ここで、「仮想柵記憶手段」は、仮想柵として、平面的な位置情報(緯度および経度)のみを記憶してもよく、高度を含めて3次元的な位置情報を記憶してもよい。そして、「仮想柵」の形状は、主として複数の点を直線で連結した多角形(閉じた線)または屈折線(閉じていない線)であるが、これに限定されず、例えば、複数の点を曲線で連結した閉曲線または屈曲線(閉じていない線)、基準点を中心にした円形、あるいはこれらの組合せ等でもよい。また、「仮想柵」の記憶方法は、例えば、仮想柵の各構成点(多角形の各角部の点等)の緯度および経度、または高度の情報を直接に記憶してもよく、あるいは基準点の位置を緯度および経度、または高度で記憶し、仮想柵の各構成点(多角形の各角部の点等)の座標を、基準点からの相対距離(m)で記憶してもよく、さらに、円形の仮想柵とする場合には、基準点の位置を緯度および経度、または高度で記憶し、この基準点を中心とする仮想柵までの半径距離(m)を合わせて記憶するようにしてもよい。
【0036】
また、「仮想柵を越えたか否かを判断」することには、例えば、仮想柵の内側にいるか外側にいるかを判断すること、仮想柵の内側にいるか否かを判断すること、仮想柵の外側にいるか否かを判断すること、仮想柵の内側にいないか否かを判断すること、仮想柵の外側にいないか否かを判断すること等が含まれる。
【0037】
さらに、「仮想柵記憶手段」、「移動許否判断手段」、「刺激指令処理手段」は、「位置情報取得手段」および「刺激付与手段」とともに個体に装着されていてもよく(個体装着装置に設置)、遠隔地に設けられていてもよい(個体関連情報収集装置に設置)。但し、構成や処理の簡易化、刺激付与のリアルタイム性確保の容易化等の点で、個体に装着しておくことが好ましい。
【0038】
そして、「仮想柵記憶手段」に記憶される仮想柵のデータは、仮想柵記憶手段が個体に装着されている場合および遠隔地に設けられている場合のいずれの場合についても、自在に変更できるようにしておくことが好ましく、そのようにした場合には、例えば、仮想柵を徐々に変更していき、餌の豊富な地域や有害物質の少ない地域等の好環境の地域に野生動物を誘導する等の高度な生物の管理を行うこともできる。なお、このような管理を行う際には、個体装着装置により取得された個体関連情報(例えば、周辺の画像データ、周辺の汚染物質濃度データ等)に基づいて個体の周辺状況を把握し、仮想柵の変更処理を行うことが好ましい。
【0039】
このような本発明においては、移動する生物が、仮想柵記憶手段に記憶された仮想柵を越えて侵入禁止区域に入ろうとすると、刺激付与手段により、生物に刺激が与えられ、生物の侵入が阻止される。このため、生物の移動範囲を規制することが可能となり、例えば、野生動物による農林業被害の防除や放牧家畜の管理、あるいは徘徊する痴呆老人の管理や盲人の歩行管理(但し、人体に悪影響を及ぼさない程度または種類の刺激付与を行う。)等を効果的かつ効率的に行うことが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0040】
また、前述した生物管理システムにおいて、刺激指令処理手段は、位置情報取得手段により取得した位置情報に基づき生物の仮想柵からの相対距離を算出するとともに、位置情報取得手段から生物の移動速度を直接に取得するか、または位置情報取得手段により取得した位置情報に基づき生物の移動速度を算出し、これらの仮想柵からの相対距離および移動速度に基づき刺激の量を決定する構成とされていることが望ましい。
【0041】
このように仮想柵からの相対距離および移動速度に基づき刺激の量を決定する構成とした場合には、生物が仮想柵から侵入禁止区域内に深く入れば入る程、また、生物が侵入禁止区域内の奥の方に向かって進む速度が速ければ速い程、強い刺激を与えることができるので、生物が仮想柵による侵入禁止区域から外に出るように仕向けることが可能となる。なお、動物福祉や心身への悪影響防止の観点から、刺激の量が一定量を超えた場合に刺激付与を遮断するブレーカ機能または刺激の量が一定量を超えないように制限するリミッタ機能を設けておくことが好ましい。
【0042】
さらに、前述した生物管理システムにおいて、生物の個体に装着されてこの移動する個体の生理情報を検出する生理情報検出手段を備え、刺激指令処理手段は、生理情報検出手段により検出した生理情報に基づき刺激の量を決定する構成とされていることが望ましい。なお、ここでいう「生理情報検出手段」には、体内に埋め込まれる体内センサのみならず、体外に装着される体外センサも含まれる。
【0043】
このように生理情報に基づき刺激の量を決定する構成とした場合には、例えば、生物が妊娠中の場合や衰弱している場合等を把握し、生物の体調に応じた刺激付与を実現することが可能となる。
【0044】
また、本発明は、生物に刺激を与えて生物の行動を管理する生物管理システムであって、生物の侵入を阻止したい領域内に設置されて生物の移動範囲を規制するための仮想柵を形成する電波を発信する電波発信器と、生物の個体に装着されて電波発信器からの電波を受信する通信手段と、電波発信器からの電波の届く限界線により形成された仮想柵内に生物が侵入することにより通信手段が電波発信器からの電波を受信したときに生物に刺激を与える指令を出す刺激指令処理手段と、生物の個体に装着されて刺激指令処理手段の指令に基づき生物に刺激を与える刺激付与手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0045】
このような本発明においては、電波発信器から電波が発信され、この電波が届く範囲の限界線が仮想柵となる。そして、生物が仮想柵内に侵入し、生物の個体に装着された通信手段が電波発信器からの電波を受信すると、刺激付与手段により生物に刺激が与えられ、生物の侵入が阻止される。このため、生物の移動範囲を規制することが可能となり、例えば、野生動物による農林業被害の防除や放牧家畜の管理、あるいは徘徊する痴呆老人の管理や盲人の歩行管理(但し、人体に悪影響を及ぼさない程度または種類の刺激付与を行う。)等を効果的かつ効率的に行うことが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0046】
そして、以上において、「刺激」としては、例えば、電気、振動、圧力または力、音または音声、光、臭い、熱、あるいはこれらの組合せ等による刺激を採用することができるが、簡易な構成で、かつ、効果的な刺激付与を実現できるという観点からは、刺激は、電気刺激であり、仮想柵は、仮想電気柵であることが好ましい。但し、刺激付与対象となる生物が人間である場合には、例えば、振動を与えるバイブレータや音声報知をするスピーカ等を刺激付与手段としても効果的である。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態の生物管理システム10の全体構成が示されている。図2は、個体装着装置50の体内埋込部20の機器構成図であり、図3は、個体装着装置50の体外装着部(首輪部)30の機器構成図である。また、図4は、個体関連情報収集装置80を構成するデータ自動回収器60の機器構成図であり、図5は、個体関連情報収集装置80を構成する基地局70の機器構成図であり、図6は、個体関連情報収集装置80とは別系統の個体関連情報収集装置である探索器90の機器構成図である。さらに、図7は、個体装着装置50の体外装着部(首輪部)30における処理手段43による各種処理を示す説明図であり、図8は、体外装着部(首輪部)30を正面から見た外観構成図であり、図9は、体外装着部(首輪部)30を側面から見た部分拡大図であり、図10は、仮想電気柵100,111により鹿11に電気刺激を与える処理を示す説明図である。
【0048】
図1において、生物管理システム10は、生物(本実施形態では、一例として鹿11等の野生動物とする。)の個体に装着されてこの移動する個体の位置情報、生理情報、周辺画像情報、および周辺微気象情報を含む個体関連情報を複合的に取得する個体装着装置50と、この個体装着装置50により取得した個体関連情報を遠隔地で収集する個体関連情報収集装置80とを備えている。また、生物管理システム10は、個体関連情報収集装置80とは別系統の個体関連情報収集装置である探索器90を備えている。
【0049】
個体装着装置50は、鹿11等の野生動物の体内に埋め込まれた体内埋込部20と、体外(本実施形態では、一例として首回りとする。)に装着された体外装着部(本実施形態では、一例として首輪部とする。)30とにより構成されている。
【0050】
個体関連情報収集装置80は、鹿11等の野生動物の移動予測経路またはその近傍(本実施形態では、一例として水飲み場12の近傍とする。)に設置されて個体装着装置50から個体関連情報を自動的に回収する一つまたは複数のデータ自動回収器60と、このデータ自動回収器60により回収された個体関連情報をデータ自動回収器60から受信する基地局70とを含んで構成されている。
【0051】
図2において、体内埋込部20は、個体関連情報としての生理情報を検出する生理情報検出手段である体内センサ21と、この体内センサ21により検出した生理情報の微弱無線信号を体外装着部30まで送信する生理情報送信手段22と、これらの体内センサ21および生理情報送信手段22に電力供給するバッテリ23とを含んで構成されている。生理情報としては、体温、心拍、さらに必要に応じて心電、筋電等のデータを検出する。なお、個体装着装置50で取得する生理情報として、体内センサ21により検出される生理情報のみならず、体外に装着される体外センサにより検出される生理情報を加えてもよい。
【0052】
図3において、体外装着部(首輪部)30は、鹿11等の野生動物の現在位置を取得する位置情報取得手段であるGPS31と、周辺微気象情報としての外気温を検出する外気温センサ32と、体内埋込部20から送られてくる生理情報の微弱無線信号を受信する生理情報受信手段33と、周辺画像情報(カラーまたは白黒)を取得するCMOSカメラやCCDカメラ等の小型のカメラ34と、鹿11等の野生動物に電気刺激を与える刺激付与手段である低周波電気刺激器35とを備えている。
【0053】
また、体外装着部30は、データ自動回収器60または探索器90との間でデータの送受信を行う通信手段であるS.S.通信器36と、個体関連情報の取得処理、データの送受信処理、および刺激付与処理を含む生物管理に必要な各種処理を行う中央演算処理装置(CPU)37と、生物管理に必要な各種情報を記憶するメモリ38とを備えている。
【0054】
さらに、体外装着部30は、体外装着部30を構成する各機器に電力供給するバッテリ39と、変動する電圧を一定の電圧に変換するDC−DCコンバータ40と、体外装着部30を構成する各機器の電源の入切を行う電源コントローラ41とを備えている。
【0055】
GPS31は、図示されないGPS衛星からの電波を受信するGPSアンテナ31Aを有し、鹿11等の野生動物の現在位置を、緯度および経度、さらに必要に応じて高度の情報として出力する。また、GPS31は、刺激指令処理手段43Eによる刺激の量の決定処理に用いられる移動速度の情報(1秒単位の速度ベクトルの瞬時値)を出力する。
【0056】
S.S.通信器36は、スペクトラム拡散(Spectrum Spread)通信によりデータの送受信を行うものであり、体外装着部(首輪部)30の左右に1つずつ取り付けられたペンシル型アンテナ等のアンテナ36Aを有している。また、S.S.通信器36は、処理手段43の通信手段用電源入切制御手段43C(図7参照)により電源を入状態とされているときにデータ自動回収器60または探索器90から信号を受信した場合に、CPU37を低速クロック37Aから高速クロック37Bに切り換えるためのウェイクアップ信号を、処理手段43(CPU37)に出力する処理を行う。
【0057】
メモリ38は、例えば、書き換え可能で、かつ、不揮発性のメモリであるフラッシュメモリ等であり、容量的には、例えば1〜2メガバイト程度が好適である。メモリ38は、取得した個体関連情報(画像データを含む。)を記憶する個体関連情報記憶手段、および仮想電気柵100(図10参照)を記憶する仮想電気柵記憶手段として機能する。なお、各種処理用のプログラムは、読出し専用メモリ(ROM)等に記憶させてもよい。
【0058】
バッテリ39は、GPS31、外気温センサ32、生理情報受信手段33、カメラ34、低周波電気刺激器35、S.S.通信器36、CPU37の各機器用の電源であり、例えばリチウム電池等が好適である。電池の個数や容量は、情報取得対象となる野生動物の種類に応じて定めればよい。
【0059】
また、体外装着部30を構成する各機器は、次の第1〜第7ユニットに分割され、それぞれ物理的に別のボックスに収納されてモジュール化されている。すなわち、(1)第1ユニットは、CPU37、メモリ38、DC−DCコンバータ40、電源コントローラ41、GPS31の本体(GPSアンテナ31Aを除く部分)、およびS.S.通信器36を配したメインユニットであり、(2)第2ユニットは、GPSアンテナ31Aを配したGPSアンテナユニットであり、(3)第3ユニットは、バッテリ39を配したバッテリユニットであり、(4)第4ユニットは、生理情報受信手段33を配したオプションユニットであり、(5)第5ユニットは、カメラ34を配したオプションユニットであり、(6)第6ユニットは、外気温センサ32を配したオプションユニットであり、(7)第7ユニットは、低周波電気刺激器35を配したオプションユニットである。なお、各ユニットの機器を結ぶ配線の本数は、例えば2〜3本程度でよい。
【0060】
このうち第1および第2ユニットは、必須のユニットであり、体外装着部30に常に装備される。また、第3ユニットは、消耗品であるバッテリ39のユニットであるため、電池の寿命に合わせて適宜新しいものに交換できるとともに、対象動物の種類に応じ、異なる個数や容量のバッテリ39を有するユニット(バッテリ39の個数や容量が異なってもユニットの大きさは同じである。)に交換することができる。さらに、第4〜第7ユニットは、それぞれオプションであるため、使用者は、これらのユニットを装備するか否かを選択することができ、また、第4〜第7ユニットのいずれかが無くても他のユニットの機器の動作に支障は来さない。そして、第4〜第7ユニットのいずれかの機器を別の種類のもの(例えば、別のメーカのもの、異なる特性や性能を持つもの等)に変更しても、他のユニットの機器の種類や配置を変更する必要はない。また、当初装備しなかったユニットを事後的に追加することや、当初装備したユニットを事後的に取り外すことを容易に行うことができ、その場合であっても、他のユニットの機器の種類や配置を変更する必要はない。さらに、図3に記載されていない全く新しい機能や用途を持つ機器(例えば、気圧センサ、汚染物質濃度センサ等)を有するユニットを新たに追加することも容易に行うことができ、その場合であっても、他のユニットの機器の種類や配置を変更する必要はない。また、例えば、第1、第4、第7ユニットの各ボックスの大きさを同じにする等、各ユニットサイズの共通化を図り、あるいは各ユニット同士のサイズ(幅、高さ、奥行きのいずれの寸法でもよい。)を略整数倍にする等すれば、各ユニットを装備する際の収納効率の向上や、配置の自由度や互換性の向上を図ることができる。
【0061】
図4において、データ自動回収器60は、個体装着装置50の体外装着部(首輪部)30との間でデータの送受信を行うS.S.通信器61と、回収器本体62と、基地局70との間でデータの送受信を行う遠距離用S.S.通信器63と、これらのS.S.通信器61、回収器本体62、および遠距離用S.S.通信器63に電力供給する電源64とを含んで構成されている。
【0062】
S.S.通信器61は、直接拡散(DS:Direct Spread)方式のスペクトラム拡散通信によりデータの送受信を行うものであり、水飲み場12の近傍に立設されたポール65(図1参照)に固定されたコーリニアアンテナ等のアンテナ61Aを有している。
【0063】
回収器本体62は、CPUと、自動回収したデータを記憶するメモリとを含んで構成されている。CPUは、体外装着部(首輪部)30に対して定期的に問合せコマンドを送り、体外装着部(首輪部)30からの反応があったときにデータを回収し、メモリに格納する処理を行う。この回収器本体62、並びにS.S.通信器61および遠距離用S.S.通信器63は、ポール65に固定されたボックス66(図1参照)内に収納されている。
【0064】
遠距離用S.S.通信器63は、周波数ホッピング/直接拡散(FH/DS:Frequency Hopping/Direct Spread)方式のスペクトラム拡散通信によりデータの送受信を行うものであり、ポール65に固定された八木アンテナ等の遠距離伝送用アンテナ63Aを有している。
【0065】
電源64は、例えば、ポール65に固定された太陽電池(図1参照)およびバッテリ等により構成されている。
【0066】
図5において、基地局70は、データ自動回収器60との間でデータの送受信を行う遠距離用S.S.通信器71と、データの回収要求信号の送信処理、回収データの受信処理、および受信した回収データの表示・出力・記憶・分析・解析・調査・演算・管理等の各種処理を行うコンピュータ72とを含んで構成されている。
【0067】
遠距離用S.S.通信器71は、スペクトラム拡散通信によりデータの送受信を行うものであり、基地局70の建物の近傍に立設されたポール73(図1参照)に固定された八木アンテナ等の遠距離伝送用アンテナ71Aを有している。
【0068】
コンピュータ72によるデータの回収は、データ回収専用のプログラム(専用ブラウザ)を起動して行ってもよく、あるいはWindows(商標)上のプログラムであるハイパーターミナル(Hyper Terminal:商標)を起動して行ってもよい。
【0069】
図6において、探索器90は、鹿11等の野生動物の生態等の調査・研究・管理を行う研究者13等の人間が、個体装着装置50により取得した個体関連情報を体外装着部(首輪部)30から回収するために、鹿11等の野生動物を追跡しながら携帯所持して操作・使用するものである。探索器90は、個体装着装置50の体外装着部(首輪部)30との間でデータの送受信を行うS.S.通信器91と、データの回収要求信号の送信処理、回収データの受信処理、および受信した回収データの表示・出力・記憶・分析・解析・調査・演算・管理等の各種処理を行うコンピュータ92とを含んで構成されている。
【0070】
S.S.通信器91は、DS方式のスペクトラム拡散通信によりデータの送受信を行うものであり、研究者13等が操作して向きを設定して使用する平面アンテナ(ダイバーシティ)等のアンテナ91Aを有している。
【0071】
コンピュータ92は、例えば、携帯所持可能なノート型のパーソナル・コンピュータ等である。データの回収は、コンピュータ92でデータ回収専用のプログラム(専用ブラウザ)を起動して行ってもよく、あるいはWindows(商標)上のプログラムであるハイパーターミナル(Hyper Terminal:商標)を起動して行ってもよい。
【0072】
図7において、CPU37およびこのCPU37の動作手順を規定するプログラム42により、鹿11等の野生動物の管理に必要な各種処理を行う処理手段43が構成されている。CPU37は、低速クロック37Aおよび高速クロック37B、並びにタイマ37Cを有している。タイマ37Cは、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれにより実現されてもよい。
【0073】
処理手段43は、個体関連情報取得処理手段43Aと、個体関連情報送信処理手段43Bと、通信手段用電源入切制御手段43Cと、移動許否判断手段43Dと、刺激指令処理手段43Eとを含んで構成されている。
【0074】
個体関連情報取得処理手段43Aは、タイマ37Cにより低速クロック37Aから高速クロック37Bに自ら切り換わって個体関連情報の取得処理を行うものである。すなわち、個体関連情報取得処理手段43Aは、例えば30分に1回のタイミング等でGPS31の出力信号から位置情報を取得し、例えば30分に1回のタイミング等で外気温センサ32の出力信号から周辺微気象情報の一種である外気温データを取得し、例えば1分に1回のタイミング等で生理情報受信手段33により受信した微弱無線信号から生理情報を取得し、例えば1日1枚ずつカメラ34により周辺環境を撮影してその出力信号から周辺画像情報を取得し、これらの各取得データを、個体関連情報記憶手段として機能するメモリ38に記録する処理を行う。
【0075】
個体関連情報送信処理手段43Bは、S.S.通信器36から出力されたウェイクアップ信号により低速クロック37Aから高速クロック37Bに切り換えられた状態で、メモリ38に記録されている個体関連情報を、データ自動回収器60または探索器90に送信する処理を行うものである。
【0076】
通信手段用電源入切制御手段43Cは、電源コントローラ41にS.S.通信器36用の電源のON/OFF信号を送り、S.S.通信器36の電源を一定周期で入切制御する処理(一定周期で一定時間、入状態とする処理)を行うものである。なお、S.S.通信器36の電源が入状態となっている間も、CPU37は、データの送受信等の特別な処理を行っていないときは、低速クロック37Aで稼働している。
【0077】
移動許否判断手段43Dは、GPS31により取得した位置情報に基づき、仮想電気柵記憶手段として機能するメモリ38に記憶された仮想電気柵100(図10参照)を越えたか否かを判断して鹿11等の野生動物の移動を許すか否かを判断する処理を行うものである。
【0078】
刺激指令処理手段43Eは、移動許否判断手段43Dにより野生動物の移動を許さないと判断した場合に、刺激付与手段である低周波電気刺激器35に対し、野生動物に電気刺激を与える指令を出す処理を行うものである。刺激指令処理手段43Eは、GPS31により取得した位置情報に基づき動物の仮想電気柵100からの相対距離(ベクトルp)を算出するとともに、GPS31から移動速度(ベクトルv)を取得し、これらの相対距離および移動速度に基づき電気刺激の量Eを決定する。すなわち、E=f(ベクトルp,ベクトルv)となる。ここで、電気刺激の量Eは、例えば電力(電圧×電流)等とすることができ、さらにこれに通電時間を考慮した量としてもよい。より具体的には、電気刺激の量Eは、例えば、数ミリアンペア以下で、6000〜9000ボルト程度等の範囲で決定される。通電時間は、例えば、2000〜3000分の1秒程度等である。なお、動物福祉の観点から、過大な通電あるいは長時間の通電を防止するため、一定量以上の電圧または電流、あるいは通電時間となった場合等に作動するブレーカ装置またはリミッタ装置を組み込んでおいてもよい。また、限られた容量のバッテリ39で長期間作動させるため、連続通電ではなく、断続的な通電、パルス状の通電等としてもよい。
【0079】
また、刺激指令処理手段43Eは、相対距離および移動速度に基づく電気刺激の量Eの決定に加え、生理情報検出手段である体内センサ21により検出した生理情報に基づき電気刺激の量Eを決定する処理も行う。例えば、生理情報に基づき、動物が妊娠していることや、衰弱していること等を把握した場合には、電気刺激の量Eを一律に低く抑える、または電気刺激付与を中止する等の処理を行う。
【0080】
さらに、刺激指令処理手段43Eは、仮想電気柵111内に動物が侵入することによりS.S.通信器36が電波発信器110(図10参照)からの電波を受信したときに動物に刺激を与える指令を出す。
【0081】
図8において、体外装着部(首輪部)30は、上下に二分割可能な構成とされ、上側部分30Aと下側部分30Bとが左右の各位置で連結されて閉リング状となっている。体外装着部30の真上の位置(上向き凸状態で略半円形に湾曲したベルト状の上側部分30Aの中央位置)には、第2ユニットのGPSアンテナ31Aが配設されている。一方、体外装着部30の真下の位置(下向き凸状態で略半円形に湾曲したベルト状の下側部分30Bの中央位置)には、体外装着部30を構成するGPSアンテナ31A以外の各機器を収納する下部カバー30Cが設けられ、この下部カバー30C内には、第1、第3〜第7ユニットが収納され、重りの役割を果たしている。従って、体外装着部30の重量バランスが保たれて回転が防止され、GPSアンテナ31Aが常に所定の位置にくるようになっている。また、カメラ34は、前方を撮影可能な位置に配置されている。
【0082】
体外装着部(首輪部)30の上側部分30Aと下側部分30Bとは、左右の各位置で互いに上下方向に均等に摺動させながら連結可能な構成とされ、これにより動物の首回りの長さに合わせて体外装着部30の大きさ(首輪周長)を調整可能となっている。従って、GPSアンテナ31Aは、体外装着部30の大きさを調整しても、常に真上の位置にきてGPS衛星からの電波の受信状態を良好に保つようになっている。
【0083】
図9において、上側部分30Aの下端部(図8における左右両側の下端部)には、所定間隔を置いて表裏を貫通する複数のベルト穴30Dが設けられ、これらの各ベルト穴30Dの近傍には、体外装着部(首輪部)30の周長表示が行われている。図示の例では、周長が70.0cm、72.5cmという表示が行われている。そして、いずれかの周長表示に対応するベルト穴30Dに連結用のボルト30Eを挿通し、上側部分30Aの下端部と下側部分30Bの上端部とを重ねて金属プレート30Fにより挟み込んだ状態で、ボルト30Eおよびナット30Gを締め込むことにより、上側部分30Aと下側部分30Bとが連結されるようになっている。
【0084】
なお、図示の例では、上側部分30Aの上下動により首輪周長が調整可能とされているが、上側部分30Aおよび下側部分30Bのいずれの側を可動とするかは任意であり、また、図示の例では、上側部分30Aにベルト穴30Dが設けられているが、下側部分30Bにベルト穴30Dを設けてもよく、これらは、体外装着部(首輪部)30の大きさや、使用者の要請等に応じて適宜定めればよい。
【0085】
このような本実施形態においては、以下のようにして生物管理システム10により鹿11等の野生動物の管理が行われる。
【0086】
先ず、個体装着装置50による個体関連情報の取得は、次のようにして行われる。
【0087】
図7において、CPU37は、処理手段43による処理を何も行わないときには、低速クロック37Aで特別な処理を含まないループ処理を行って待機状態となっている。個体関連情報取得処理手段43Aは、個体関連情報としての位置情報、周辺微気象情報である外気温データ、生理情報、および周辺画像情報を取得する各タイミングをタイマ37Cにより把握し、各タイミングになった時点で低速クロック37Aから高速クロック37Bに自ら切り換わった後、GPS31、外気温センサ32、生理情報受信手段33、およびカメラ34の各機器の電源を入状態とし、これらの各機器の出力信号から各個体関連情報を取得し、取得した各個体関連情報を個体関連情報記憶手段として機能するメモリ38に記憶させる。その後、各機器の電源を切状態とし、低速クロック37Aに自ら切り換わって待機状態に戻る。
【0088】
次に、個体関連情報収集装置80(データ自動回収器60および基地局70)または個体関連情報収集装置である探索器90による個体関連情報の収集は、次のようにして行われる。
【0089】
図1において、データ自動回収器60は、体外装着部(首輪部)30に対し、定期的に問合せコマンドを送る。問合せコマンドは、例えば300m程度の範囲まで到達する。従って、鹿11等の野生動物が水飲み場12に来ると、データ自動回収器60からの問合せコマンドが体外装着部30で受信可能となる。
【0090】
図7において、通信手段用電源入切制御手段43Cは、タイマ37Cにより電源コントローラ41にS.S.通信器36用の電源のON/OFF信号を送るタイミングを把握し、そのタイミングでS.S.通信器36の電源を一定周期で入切制御している。体外装着部30では、S.S.通信器36の電源が入状態とされているときにのみ、データ自動回収器60からの問合せコマンドをS.S.通信器36により受信する。従って、データ自動回収器60からの問合せコマンドの送信が定期的に繰り返し行われるので、この問合せコマンドを、一定時間内に受信することができる。例えば、S.S.通信器36の電源を、1分毎に6秒だけONにした場合、データ自動回収器60からの問合せコマンドの送信を6秒毎に繰り返せば、最長1分でデータ自動回収器60と体外装着部30とを接続できる。
【0091】
そして、体外装着部30で、S.S.通信器36によりデータ自動回収器60からの問合せコマンドを受信すると、S.S.通信器36からCPU37にウェイクアップ信号が出力される。なお、S.S.通信器36は、電源入状態になると、先ずスリープ状態となり、外部から信号が来ると稼働し、CPU37にウェイクアップ信号を出力する。CPU37は、このウェイクアップ信号を受け取ると、低速クロック37Aから高速クロック37Bに切り換えられ、高速クロック37Bとなった状態で、個体関連情報送信処理手段43Bにより、メモリ38に記録されている個体関連情報を、S.S.通信器36からデータ自動回収器60に送信する。その後、送信を終了すると、CPU37は、低速クロック37Aに切り換わって待機状態に戻る。
【0092】
図1、図4、図5において、データ自動回収器60では、体外装着部30から送信されてきた個体関連情報を、S.S.通信器61により受信し、回収器本体62のメモリに記憶させる。続いて、基地局70のコンピュータ72を適宜な時期(任意の時期)に操作し、データ自動回収器60に対し、遠距離用S.S通信器71からデータ回収要求信号を送信する。データ自動回収器60では、遠距離用S.S通信器63により基地局70からのデータ回収要求信号を受信すると、回収器本体62のメモリに蓄積記憶している個体関連情報を、遠距離用S.S通信器63により基地局70に送信する。そして、基地局70では、データ自動回収器60から送信されてきた個体関連情報の蓄積データを遠距離用S.S通信器71により受信し、コンピュータ72により表示・出力・記憶・分析・解析・調査・演算・管理等の各種処理を行う。なお、基地局70とデータ自動回収器60との間でのデータの遠距離伝送は、例えば、最大10km程度の範囲で行われる。また、基地局70とデータ自動回収器60との間に、一つまたは複数の中継局を設置して伝送距離を延長することもできる。さらに、データ自動回収器60に対してデータ回収要求信号を送信する際には、基地局70のコンピュータ72を適宜な時期(任意の時期)に操作するのではなく、コンピュータ72を常時稼働するデータ回収用サーバとし、定期的にデータ回収を行うようにしてもよい。
【0093】
一方、探索器90の場合には、データ自動回収器60が体外装着部(首輪部)30に対して定期的に問合せコマンドを送信していたのに対し、例えば、研究者13(図1参照)が動物に接近したとき等のようにデータ回収が可能な状況になったときに、研究者13がコンピュータ92を操作し、S.S.通信器91からデータ回収要求信号を体外装着部30に送信する。この際、研究者13は、例えば300m程度の範囲内まで動物に接近しなければならない。探索器90からのデータ回収要求信号の送信に対する体外装着部30における処理は、データ自動回収器60および基地局70によるデータ回収の場合と同様であり、データ自動回収器60からの定期的な問合せコマンドを、探索器90からのデータ回収要求信号に置き換えるだけである。つまり、体外装着部30では、通信手段用電源入切制御手段43CによるS.S.通信器36の電源の入切制御や、ウェイクアップ信号によるCPU37のクロック切換等が行われる。そして、探索器90では、体外装着部30から送信されてきた個体関連情報をS.S通信器91により受信し、コンピュータ92により表示・出力・記憶・分析・解析・調査・演算・管理等の各種処理を行う。
【0094】
また、電気刺激付与による動物の管理は、次のようにして行われる。
【0095】
図10において、体外装着部(首輪部)30のメモリ38(図3参照)には、図中点線で示された例えば多角形状等の仮想電気柵100の各構成点P1,P2,P3,P4,…の位置情報が記憶されている。メモリ38には、各構成点の位置を、緯度および経度(本実施形態では、高度は考えないものとする。)のデータとして記憶してもよく、あるいは基準点(各構成点P1,P2等でもよく、各構成点以外の点でもよい。)の緯度および経度を記憶するとともに、この基準点に対する各構成点の相対座標(基準点からの相対距離(m)による平面座標)を記憶してもよい。
【0096】
また、仮想電気柵100の各構成点P1,P2等の配置間隔は、例えば、数十m〜数km程度等とすることができ、各構成点の個数は、例えば数千点等とすることができる。また、仮想電気柵100の形状は、図示のような多角形形状に限定されるものではなく任意であり、また、複数の領域にしたり、ドーナツ状の領域(仮想電気柵100が内輪および外輪の二重柵となる。)にしてもよい。
【0097】
体外装着部(首輪部)30では、個体関連情報取得処理手段43AによりGPS31の出力信号から位置情報を取得する都度に、移動許否判断手段43Dにより、GPS31による位置情報に基づき、鹿11等の野生動物が、メモリ38に記憶された仮想電気柵100を越えたか否か、すなわち仮想電気柵100の内側か外側のいずれにいるかを判断する。ここで、本実施形態では、鹿11等の野生動物が、仮想電気柵100から外に出たときに、電気刺激が与えられる設定とする。従って、移動許否判断手段43Dは、動物が仮想電気柵100の外側にいると判断した場合には、そのような動物の移動状況を許さないと判断する。なお、仮想電気柵100の内側に入ったときに、電気刺激が与えられる設定としてもよい。
【0098】
続いて、移動許否判断手段43Dにより動物の移動状況を許さないと判断した場合には、刺激指令処理手段43Eにより、GPS31からの位置情報に基づき動物の仮想電気柵100からの相対距離(ベクトルp)を算出するとともに、GPS31の出力信号から得られる移動速度(ベクトルv)を把握する。そして、刺激指令処理手段43Eにより、相対距離および移動速度に基づき、E=f(ベクトルp,ベクトルv)に従って電気刺激の量Eを決定する。また、併せて、刺激指令処理手段43Eにより、生理情報に基づく電気刺激の量Eの決定処理(リミッタ機能として行う処理でもよい。)を行ってもよい。その後、刺激指令処理手段43Eにより、低周波電気刺激器35に対し、決定した電気刺激の量Eにより動物に電気刺激を与える指令を出す。なお、仮想電気柵100からの相対距離および移動速度は、基本的には、仮想電気柵100を形成する線(各辺)に対する法線方向の成分のみを考慮することが好ましい。また、仮想電気柵100の各角部の位置(各構成点P1,P2等の位置)以外の位置(各構成点同士の中間位置)の近傍においては、基本的には、仮想電気柵100の各辺のうち、最も動物の現在位置に近い辺に対する相対距離および移動速度が対象となる。
【0099】
より具体的には、例えば、仮想電気柵100からの相対距離が大きい程、また、移動速度が大きい程、電気刺激の量Eを大きくする。但し、移動速度が大きくても移動方向が仮想電気柵100の方に戻る方向である場合には、電気刺激を与えないようにするか、量Eを減少させるようにしてもよい。従って、この場合には、仮想電気柵100から急いで遠ざかったときに、電気刺激の量Eが最も大きくなる。また、例えば、相対距離(ベクトルp)に応じて電気刺激の量Eを変化させるとともに、移動速度(ベクトルv)については、絶対値は考慮せずに、方向のみを考慮するようにしてもよい。
【0100】
なお、動物が仮想電気柵100の内側(移動禁止区域外)に戻るまでの間だけ、GPS31から位置情報や移動速度情報を取得する時間間隔を、個体関連情報取得処理手段43AでGPS31による位置情報を取得する場合の時間間隔に比べて短くしてもよい。例えば、個体関連情報取得処理手段43Aにより30分間に1回だけ位置情報を取得していた場合には、刺激指令処理手段43Eにより、GPS31から位置情報や移動速度情報を、例えば毎分取得し、より詳細に動物の移動状況(相対距離および移動速度)を捉えるようにしてもよい。このようにすれば、より確実に動物を仮想電気柵100の内側に戻るように仕向けることができる。
【0101】
また、図10に示すように、鹿11等の野生動物の侵入を阻止したい領域内に、一つまたは複数の電波発信器110を設置し、この電波発信器110からの電波の届く限界線(例えば、半径距離R=300m程度の円)により、動物の移動範囲を規制するための仮想電気柵111を形成してもよい。この場合には、鹿11等の野生動物が電波発信器110に近づいて仮想電気柵111内に侵入することにより、体外装着部(首輪部)30が、S.S.通信器36により電波発信器110からの電波を受信したときに、刺激指令処理手段43Eにより、低周波電気刺激器35に対し、動物に刺激を与える指令が出され、低周波電気刺激器35による刺激付与が実行される。一方、鹿11等の野生動物が電波発信器110から遠ざかって仮想電気柵111の外側に出ることにより、体外装着部(首輪部)30が、S.S.通信器36により電波発信器110からの電波を受信できなくなったときには、刺激指令処理手段43Eにより、低周波電気刺激器35に対し、刺激付与の中止の指令が出され、刺激付与が終了する。
【0102】
さらに、図10に示すように、侵入禁止区域内に侵入しようとしている動物や既に侵入している動物を人間14が見つけた場合に、その人間14がリモートコントローラ112を操作し、体外装着部(首輪部)30に対し、電波発信器110からの電波と同様な信号を送信し、この信号をS.S.通信器36で受信して低周波電気刺激器35による刺激付与を実行するようにしてもよい。従って、この場合には、人間14は、リモートコントローラ112を用いた遠隔操作により、動物の調教師と同様な行為を行うことができる。
【0103】
なお、電波発信器110による仮想電気柵111の形成は、図10に示すように、GPS31による仮想電気柵100の形成と併せて行ってもよく、あるいはこれらの仮想電気柵100,111の形成は、それぞれ単独で行ってもよい。図10に示すように仮想電気柵100,111の形成を組み合わせた場合には、例えば、GPS31により仮想電気柵100の外に出たか否かを30分間隔で捉えていたときに、その30分以内に、動物が仮想電気柵100の外に出てしまい、電波発信器110による仮想電気柵111に近づくこともあり得るが、このようなときでも動物の仮想電気柵111内への侵入を阻止することができる。また、仮想電気柵100,111の形成を組み合わせる場合には、仮想電気柵100,111で囲まれる各領域同士を重ねてもよく、例えば、GPS31による仮想電気柵100の中に、電波発信器110による仮想電気柵111を形成すれば、動物を仮想電気柵100の外に出したくない一方、仮想電気柵111内に侵入させたくない場合等に対応することができる。さらに、動物の種類(例えば、単独行動をとるか群で行動するかの別、移動範囲の広さ、群の習性や群の頭数等)に応じ、GPS31による仮想電気柵100と、電波発信器110による仮想電気柵111とを使い分けてもよい。
【0104】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、図7に示すように、(1)CPU37は、処理手段43による特別な処理を何も行わないときには低速クロック37Aで稼働して消費電力を抑え、(2)個体関連情報取得処理手段43Aにより個体関連情報の取得処理を行う際には、低速クロック37Aから高速クロック37Bに切り換わる。また、(3)通信手段用電源入切制御手段43Cにより、S.S.通信器36の電源を一定周期で入切制御するとともに、(4)電源入状態のS.S.通信器36が外部のデータ自動回収器60または探索器90から信号を受信したときに、S.S.通信器36からCPU37にウェイクアップ信号を出力し、このウェイクアップ信号によりCPU37を低速クロック37Aから高速クロック37Bに切り換えて、個体関連情報送信処理手段43Bにより個体関連情報の送信処理を行う構成としたので、全体として消費電力を小さくすることができる。このため、情報の取得処理およびその送信処理を必要最小限の電力で実現することができ、省電力化を図ることができるので、各機器への電力供給を長期間維持することができ、また、バッテリ切れで計測不能になる事態の発生を最小限に抑えることができ、効率的かつ効果的な生物の管理を実現することができる。
【0105】
また、生物管理システム10は、データ自動回収器60を備えているので(図1参照)、個体装着装置50で取得した個体関連情報を、データ自動回収器60により自動回収し、基地局70に送信することができる。このため、探索器90を使用しなくてもデータ回収を行うことができ、また、わざわざ現地まで行かなくても容易にデータ回収を行うことができる。
【0106】
さらに、個体装着装置50は、体内埋込部20と体外装着部30とにより構成され、体内埋込部20で検出した生理情報を、体外装着部30により中継してデータ自動回収器60や探索器90に送信することができるので(図2および図3参照)、体内埋込部20の体内センサ21から微弱無線信号として出力される生理情報を、遠隔地のデータ自動回収器60や探索器90まで送信することができる。
【0107】
そして、個体装着装置50の体外装着部(首輪部)30は、上下に二分割され、左右の各位置で連結されて摺動調整可能な構成となっているので(図8および図9参照)、GPSアンテナ31Aを常に真上の位置にくるように配置することができる。このため、連結個所が一個所の場合のような不都合を生じることはなく、位置情報を、より確実に取得することができる。
【0108】
また、個体装着装置50の体外装着部30を構成する各機器は、第1〜第7ユニットに分割されてモジュール化されているので、モジュール間で互換性を確保することができ、使用者のニーズに応じた豊富な製品ラインアップの提供およびオーダーメード制を実現することができる。このため、対象とする生物の種類や調査条件等により、必要とされるセンサ類、情報通信方法、データ容量、データサイズ、バッテリ寿命等は千差万別であるが、これらの各種の要求に容易かつ迅速に対応することができる。
【0109】
さらに、生物管理システム10は、GPS31による仮想電気柵100を形成することができるので(図10参照)、動物が侵入禁止区域(仮想電気柵100の内側でも外側でもよい。)に入った場合に、低周波電気刺激器35により動物に刺激を与えることができ、これにより動物の侵入禁止区域内への侵入を阻止することができる。このため、動物の移動範囲を規制することができるので、例えば、野生動物による農林業被害の防除や放牧家畜の管理等を効果的かつ効率的に行うことができる。
【0110】
そして、刺激指令処理手段43Eは、仮想電気柵100からの動物の相対距離および移動速度に基づき、電気刺激の量Eを決定するので、動物が仮想電気柵100から侵入禁止区域内に深く入れば入る程、また、動物が侵入禁止区域内の奥の方に向かって進む速度が速ければ速い程、強い刺激を与えること等ができる。このため、動物が仮想電気柵100により区画された侵入禁止区域から外に出るように仕向けることができる。
【0111】
また、刺激指令処理手段43Eは、体内センサ21により検出した生理情報に基づき、電気刺激の量Eを決定することもできるので、例えば、動物が妊娠中の場合や衰弱している場合等を把握し、動物の体調に応じた刺激付与を実現することができる。
【0112】
さらに、生物管理システム10は、GPS31による仮想電気柵100の形成のみならず、電波発信器110による仮想電気柵111も形成することができるので(図10参照)、電波発信器110からの電波が届く範囲内に動物が侵入した場合に、低周波電気刺激器35により動物に刺激を与えることができる。このため、動物の移動範囲を規制することができるので、GPS31による仮想電気柵100の場合と同様に、野生動物による農林業被害の防除や放牧家畜の管理等を効果的かつ効率的に行うことができるうえ、電波発信器110による仮想電気柵111と、GPS31による仮想電気柵100とを組み合わせることで、より緻密で高度な移動規制および動物管理を行うことができる。
【0113】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0114】
すなわち、前記実施形態の生物管理システム10では、図3に示す如く、個体装着装置50の体外装着部30に装備された通信手段は、スペクトラム拡散通信を行うS.S.通信器36であったが、図11および図12に示すように、携帯電話回線を利用した通信によりデータの送受信を行う生物管理システム200としてもよい。生物管理システム200において、前記実施形態の生物管理システム10の機器と同じものについては、同一の符号を付して詳しい説明は省略し、以下には異なる部分のみを説明する。
【0115】
図11において、生物管理システム200は、個体装着装置250と、個体関連情報収集装置である基地局270とにより構成されている。従って、前記実施形態のデータ自動回収器60や探索器90(図1参照)に相当するものはない。
【0116】
個体装着装置250は、前記実施形態と同じ構成を有する体内埋込部20(図2参照)と、前記実施形態の体外装着部30(図3参照)とは異なる構成を有する体外装着部(首輪部)230とにより構成されている。図12において、体外装着部230は、前記実施形態のS.S.通信器36の代わりに、通信手段である携帯電話機236、およびこの携帯電話機236とCPU37との間に配置されるモデム244を備えている。また、携帯電話機236は、アンテナ236Aを有している。なお、その他の機器31〜35,37〜41は、前記実施形態と同じものである。
【0117】
図11において、基地局270は、前記実施形態の遠距離用S.S.通信器71(図5参照)の代わりに、固定電話回線接続用のモデム274を備えている。なお、コンピュータ72は、前記実施形態と同じものである。
【0118】
このような生物管理システム200においては、個体装着装置250による個体関連情報の取得処理は、前記実施形態の個体装着装置50の場合と同様にして行われ、取得した個体関連情報の回収処理が前記実施形態の場合と異なるのみである。また、GPS31による仮想電気柵100(図10参照)の形成は、前記実施形態の場合と同様に行われ、同様な処理で動物への電気刺激付与が実行される。
【0119】
生物管理システム200では、データの回収処理は、次のようにして行われる。先ず、基地局270のコンピュータ72を適宜な時期(任意の時期)に操作し、個体装着装置250の体外装着部(首輪部)230に装備された携帯電話機236に対し、モデム274を経由してダイヤルアップし、データ回収要求信号を直接に送信する。この際、基地局270からの信号は、固定電話回線および携帯電話網を介して、体外装着部(首輪部)230に装備された携帯電話機236に至る。なお、ダイヤルアップ接続は、コンピュータ72で、Windows(商標)上のプログラムであるハイパーターミナル(Hyper Terminal:商標)を起動して行う。
【0120】
次に、ダイヤルアップで携帯電話機236に接続すると、メモリ38に記憶されている個体関連情報が、個体関連情報送信処理手段43B(図7参照)により、モデム244および携帯電話機236を通して体外装着部(首輪部)230から送信され、携帯電話網および固定電話回線を介して基地局270に至り、モデム274を通ってコンピュータ72で回収される。その後、コンピュータ72では、前記実施形態の場合と同様に、回収データを用いて表示・出力・記憶・分析・解析・調査・演算・管理等の各種処理が行われる。
【0121】
そして、基地局270から体外装着部(首輪部)230の携帯電話機236へのダイヤルアップ接続によるデータ回収は、コンピュータ72を適宜な時期(任意の時期)に操作して行うのではなく、コンピュータ72を常時稼働するデータ回収用サーバとし、定期的にデータ回収を行うようにしてもよい。このようにデータ回収を自動化すれば、例えば、体外装着部(首輪部)230に装備されたカメラ34を「動くライブカメラ」として用いることができ、カメラ34で撮影された画像(動物の行動や周辺環境を視覚的に把握できる画像)を、調査・研究に役立てるのみならず、インターネット等を通じて配信して一般公開することで、自然環境に関わる普及・啓発活動にも利用することができる。
【0122】
なお、携帯電話は、通信圏内であればどこでもデータ回収が可能であるが、スペクトラム拡散通信は、300m程度まで動物に接近する必要がある。従って、生態学的に考えると、携帯電話は、行動圏が広くその一部が携帯電話の通信圏と重なる場合に適用し、一方、スペクトラム拡散通信は、行動圏の広さが比較的限られるか、S.S.受信機を設置した場所に必ず動物が接近するかの条件が必要となる。このため、家畜である牛には、スペクトラム拡散通信が適切となる。また、装置のサイズや重量を考えると、携帯電話は改造が禁止されていて、改造(表示器、キー、ケース等を外すこと)なしで組み込むと装置が大きくなるので、体が小さいことから装置を小型化する必要のあるキツネ、アライグマ、サル等には、スペクトラム拡散通信が好ましい。そして、それ以外の大型の動物、例えば、エゾシカ、ニホンカモシカ、エゾヒグマ、ツキノワグマ等には、当該地域の地理的あるいは生態学的な特性に応じて、携帯電話でもスペクトラム拡散通信でも、いずれを適用してもよい。
【0123】
また、携帯電話会社が提供するPDC方式による無線パケットサービスであるDoPa(商標)による通信を行う場合には、図12の体外装着部(首輪部)230において、携帯電話機236およびモデム244が、DoPaモジュールに置き換わり、図11の基地局270において、モデム274がDoPa用のルータに置き換わる。なお、DoPa(商標)の場合のデータ回収では、コンピュータ72で、Windows(商標)上のプログラムであるハイパーターミナル(Hyper Terminal:商標)を起動し、TCP/IPを指定し、体外装着部(首輪部)230に割り当てられたIPアドレスに接続し、データ回収要求信号を直接に送信する。
【0124】
図11および図12の生物管理システム200のように携帯電話による通信を行う場合でも、DoPa(商標)による通信を行う場合でも、前記実施形態の生物管理システム10のスペクトラム拡散通信の場合と比べ、データの送受信を行う際の通信形態が異なるのみであるため、前記実施形態の生物管理システム10と同様な効果を得ることができる。すなわち、CPUクロック切換および通信手段用電源入切制御による省電力効果、データ自動回収器60による中継効果、体外装着部(首輪部)30による生理情報の中継効果、体外装着部(首輪部)30の左右両側連結によるGPSアンテナ31Aの真上位置への配置効果、体外装着部30の各構成機器のモジュール化による互換性確保効果、GPS31による仮想電気柵100の形成での電気刺激付与効果、画像圧縮処理効果等を得ることができる。
【0125】
さらに、前記実施形態では、データ自動回収器60と基地局70との通信は、スペクトラム拡散通信により行われていたが、この通信を、携帯電話やDoPa(商標)に置き換えて行ってもよい。
【0126】
また、スペクトラム拡散通信、携帯電話やDoPa(商標)による通信に代えて、人工衛星用システム(オーブコム)による通信を行ってデータの送受信を行ってもよい。
【0127】
そして、前記実施形態では、図1に示す如く、探索器90によるデータ回収は、個体装着装置50の体外装着部(首輪部)30から行い、データ自動回収器60に蓄積記憶されたデータは、基地局70により回収されていたが、データ自動回収器60に蓄積記憶されたデータを探索器90により回収してもよい。
【0128】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、通信手段の電源の入切制御、および通信手段からのウェイクアップ信号によるCPUのクロック切換を行うので、省電力化を図ることができ、あるいは、仮想柵を形成して生物への刺激付与を行うので、生物の移動範囲を規制することができ、これらにより生物の管理を効果的・効率的に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の生物管理システムの全体構成図。
【図2】前記実施形態の個体装着装置の体内埋込部の機器構成図。
【図3】前記実施形態の個体装着装置の体外装着部(首輪部)の機器構成図。
【図4】前記実施形態の個体関連情報収集装置を構成するデータ自動回収器の機器構成図。
【図5】前記実施形態の個体関連情報収集装置を構成する基地局の機器構成図。
【図6】前記実施形態の別系統の個体関連情報収集装置である探索器の機器構成図。
【図7】前記実施形態の個体装着装置の体外装着部(首輪部)における処理手段による各種処理を示す説明図。
【図8】前記実施形態の体外装着部(首輪部)を正面から見た外観構成図。
【図9】前記実施形態の体外装着部(首輪部)を側面から見た部分拡大図。
【図10】前記実施形態の仮想電気柵により鹿に電気刺激を与える処理を示す説明図。
【図11】本発明の変形の形態を示す生物管理システムの全体構成図。
【図12】前記変形の形態の体外装着部(首輪部)の機器構成図。
【符号の説明】
10,200 生物管理システム
11 生物である野生動物の一種である鹿
20 体内埋込部
21 生理情報検出手段である体内センサ
22 生理情報送信手段
30,230 体外装着部(首輪部)
30A 上側部分
30B 下側部分
31 位置情報取得手段であるグローバル・ポジショニング・システム(GPS)
31A GPSアンテナ
33 生理情報受信手段
35 刺激付与手段である低周波電気刺激器
36 通信手段であるS.S.通信器
37 CPU
37A 低速クロック
37B 高速クロック
38 仮想柵記憶手段である仮想電気柵記憶手段として機能するメモリ
43 処理手段
43A 個体関連情報取得処理手段
43B 個体関連情報送信処理手段
43C 通信手段用電源入切制御手段
43D 移動許否判断手段
43E 刺激指令処理手段
50,250 個体装着装置
60 データ自動回収器
70,270 基地局
80 個体関連情報収集装置
100,111 仮想柵である仮想電気柵
110 電波発信器
236 通信手段である携帯電話機
E 刺激の量である電気刺激の量

Claims (10)

  1. 生物に関する情報を収集して前記生物を管理する生物管理システムであって、
    前記生物の個体に装着されてこの移動する個体の位置情報、生理情報、周辺画像情報、または周辺微気象情報のうちの少なくとも一つの情報を含む個体関連情報を取得する個体装着装置と、
    この個体装着装置により取得した前記個体関連情報を遠隔地で収集する個体関連情報収集装置とを備え、
    前記個体装着装置は、
    高速クロックおよび低速クロックを有するCPUを用いて処理を行う処理手段と、
    前記個体関連情報収集装置との間で前記個体関連情報を含む信号の送受信を行う通信手段とを含んで構成され、
    前記処理手段は、
    予め定められたタイミングで待機状態の前記低速クロックから前記高速クロックに切り換わって前記個体関連情報取得して個体関連情報記憶手段に記憶させる処理を行う個体関連情報取得処理手段と、
    前記通信手段から出力されたウェイクアップ信号により待機状態の前記低速クロックから前記高速クロックに切り換えられた状態で前記個体関連情報記憶手段に記憶された前記個体関連情報を前記個体関連情報収集装置に送信する処理を行う個体関連情報送信処理手段と、
    前記通信手段の電源を一定周期で入切制御する通信手段用電源入切制御手段とを含んで構成され、
    前記通信手段は、前記処理手段の前記通信手段用電源入切制御手段により電源を入状態とされているときに前記個体関連情報収集装置から信号を受信した場合に前記ウェイクアップ信号を前記処理手段に出力する構成とされている
    ことを特徴とする生物管理システム。
  2. 請求項1に記載の生物管理システムにおいて、
    前記個体装着装置により取得する前記個体関連情報には、前記生理情報が含まれ、
    前記個体装着装置は、前記生物の体内に埋め込まれた体内埋込部と、前記生物の体外に装着された体外装着部とにより構成され、
    前記体内埋込部は、前記生物の生理情報を検出する生理情報検出手段と、この生理情報検出手段により検出した前記生理情報の微弱無線信号を前記体外装着部まで送信する生理情報送信手段とを含んで構成され、
    前記体外装着部は、前記体内埋込部から送られてくる前記生理情報の微弱無線信号を受信する生理情報受信手段と、前記処理手段と、前記通信手段とを含んで構成され、
    前記処理手段の前記個体関連情報取得処理手段は、前記生理情報受信手段により受信した前記微弱無線信号から前記個体関連情報としての前記生理情報を取得する構成とされ、
    前記通信手段は、前記生理情報受信手段により受信した前記微弱無線信号から前記個体関連情報取得処理手段により取得した前記生理情報を前記個体関連情報収集装置に送信する構成とされている
    ことを特徴とする生物管理システム。
  3. 請求項1または2に記載の生物管理システムにおいて、
    前記個体装着装置により取得する前記個体関連情報には、前記位置情報が含まれ、
    前記個体装着装置は、前記生物の個体を周回する状態で装着されて上下に二分割され、
    前記個体装着装置の上側部分の真上の位置には、前記位置情報を取得する位置情報取得手段としてのグローバル・ポジショニング・システムのうちの少なくともアンテナ部分が設けられ、
    前記個体装着装置の上側部分と下側部分とは、左右の各位置で互いに上下方向に均等に摺動させながら連結可能な構成とされ、前記個体装着装置は、これらの上側部分と下側部分との連結時の摺動調整により、前記個体装着装置を装着する前記生物の個体の装着部位の周長に合わせて大きさ調整可能な構成とされている
    ことを特徴とする生物管理システム。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の生物管理システムにおいて、
    前記個体装着装置により取得する前記個体関連情報には、前記位置情報が含まれ、
    前記個体装着装置を構成する各機器は、複数のユニットに分割されてモジュール化され、これらのユニットには、
    前記位置情報を取得する位置情報取得手段としてのグローバル・ポジショニング・システムのアンテナ部分を配したGPSアンテナユニットと、
    前記各機器に電力供給するバッテリを配したバッテリユニットと、
    前記グローバル・ポジショニング・システムのアンテナ部分およびバッテリ以外の機器であって前記個体装着装置に必須の機器をまとめて配したメインユニットと、
    前記個体装着装置にオプションとして選択的に装備される各機器をそれぞれ個別に配した各オプションユニットとがあり、
    前記個体関連情報収集装置は、
    前記生物の移動予測経路またはその近傍に設置されて前記個体装着装置から前記個体関連情報を自動的に回収するデータ自動回収器と、
    このデータ自動回収器により回収された前記個体関連情報を前記データ自動回収器から受信する基地局と
    を含んで構成されていることを特徴とする生物管理システム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の生物管理システムにおいて、
    前記個体装着装置により取得する前記個体関連情報には、前記位置情報が含まれ、
    前記個体装着装置は
    前記生物の個体に装着されてこの移動する個体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
    前記生物の移動範囲を規制するための仮想柵を記憶する仮想柵記憶手段とを含んで構成され、
    前記処理手段は
    前記位置情報取得手段により取得した前記位置情報に基づき前記仮想柵記憶手段に記憶された前記仮想柵を越えたか否かを判断して前記生物の移動を許すか否かを判断する移動許否判断手段と、
    この移動許否判断手段により前記生物の移動を許さないと判断した場合に前記生物に刺激を与える指令を出す刺激指令処理手段とを含んで構成され、
    前記個体装着装置は
    前記生物の個体に装着されて前記刺激指令処理手段の指令に基づき前記生物に刺激を与える刺激付与手段を更に含んで構成されている
    ことを特徴とする生物管理システム。
  6. 請求項に記載の生物管理システムにおいて、
    前記刺激指令処理手段は、
    前記位置情報取得手段により取得した前記位置情報に基づき前記生物の前記仮想柵からの相対距離を算出するとともに、
    前記位置情報取得手段から前記生物の移動速度を直接に取得するか、または前記位置情報取得手段により取得した前記位置情報に基づき前記生物の移動速度を算出し、
    これらの仮想柵からの相対距離および移動速度に基づき前記刺激の量を決定する構成とされていることを特徴とする生物管理システム。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の生物管理システムにおいて、
    前記生物の侵入を阻止したい領域内に設置されて前記生物の移動範囲を規制するための仮想柵を形成する電波を発信する電波発信器を備え、
    前記通信手段は、前記生物の個体に装着されて前記電波発信器からの電波受信する構成とされ、
    前記処理手段は
    前記電波発信器からの電波の届く限界線により形成された前記仮想柵内に前記生物が侵入することにより前記通信手段が前記電波発信器からの電波を受信したときに前記生物に刺激を与える指令を出す刺激指令処理手段を含んで構成され、
    前記個体装着装置は
    前記生物の個体に装着されて前記刺激指令処理手段の指令に基づき前記生物に刺激を与える刺激付与手段を含んで構成されている
    ことを特徴とする生物管理システム。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の生物管理システムにおいて、
    前記生物の侵入を阻止したい領域内に設置されて前記生物の移動範囲を規制するための第1の仮想柵を形成する電波を発信する電波発信器を備え、
    前記通信手段は、前記生物の個体に装着されて前記電波発信器からの電波も受信する構成とされ、
    前記個体装着装置により取得する前記個体関連情報には、前記位置情報が含まれ、
    前記個体装着装置は
    前記生物の個体に装着されてこの移動する個体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
    前記生物の移動範囲を規制するための第2の仮想柵を記憶する仮想柵記憶手段とを含んで構成され、
    前記処理手段は
    前記位置情報取得手段により取得した前記位置情報に基づき前記仮想柵記憶手段に記憶された前記第2の仮想柵を越えたか否かを判断して前記生物の移動を許すか否かを判断する移動許否判断手段と、
    この移動許否判断手段により前記生物の移動を許さないと判断した場合に前記生物に刺激を与える指令を出す処理、および、前記電波発信器からの電波の届く限界線により形成された前記第1の仮想柵内に前記生物が侵入することにより前記通信手段が前記電波発信器からの電波を受信したときに前記生物に刺激を与える指令を出す処理を行う刺激指令処理手段とを含んで構成され、
    前記個体装着装置は
    前記生物の個体に装着されて前記刺激指令処理手段の指令に基づき前記生物に刺激を与える刺激付与手段を更に含んで構成されている
    ことを特徴とする生物管理システム。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の生物管理システムにおいて、
    前記個体装着装置により取得する前記個体関連情報には、前記生理情報が含まれ、
    前記個体装着装置は、
    前記生物の個体に装着されてこの移動する個体の生理情報を検出する生理情報検出手段を含んで構成され
    前記刺激指令処理手段は、前記生理情報検出手段により検出した生理情報に基づき前記刺激の量を決定する構成とされている
    ことを特徴とする生物管理システム。
  10. 請求項〜9のいずれかに記載の生物管理システムにおいて、前記刺激は、電気刺激であり、前記仮想柵は、仮想電気柵であることを特徴とする生物管理システム。
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