JP4404679B2 - 切削工具および該切削工具のためのカッティングプレート - Google Patents

Description

本発明は、カッティングプレート、例えばフライス工具のためのカッティングプレートであって、基体が設けられており、該基体が少なくとも１つのすくい面を有しており、該すくい面が一方ではその都度、コーナ切刃を介して接続された切刃に隣接しており、他方では段部に隣接しており、該段部が間断なく、少なくとも複数のコーナ切刃のうちの１つに沿って延びていて、すくい面を台座面から隔てている形式のものに関する。

フライス工具はしばしば、超硬合金またはその他の硬質素材から成る、チップもしくはインサートとも呼ばれるカッティングプレートを装備しており、カッティングプレートは切削特性に関して最適化されている。カッティングインサートには、切刃、逃げ面およびすくい面が形成されており、その成形はカッティングプレート工具の作業に対して本質的な影響を有している。その際、切りくずの流れ、つまりどのような形で切りくずが発生し、どのように切りくずが、切刃に隣接しているすくい面を介して排出されるかについても着目される。幾つかの材料は切削時に、切りくずが擦過する面上に堆積物を残す傾向があることが判っている。この過程は「凝着（Ａｕｆｓｃｈｍｉｅｒｕｎｇ）」と呼ばれる。凝着により材料集積が発生した場合、材料集積は色々な点で不都合であり得る。カッティングプレートに、例えば摩耗を減じる被覆が設けられている場合、被覆は材料集積により危険に曝される恐れがある。材料集積が拡大化し、その上を擦過する切りくずによって剥ぎ取られて連れ去られると、このことは場合によっては被覆の損傷を招き得る。さらに、材料集積は、例えば両面使用のカッティングプレート、いわゆる「スローアウェイチップ（Ｗｅｎｄｅｓｃｈｎｅｉｄｐｌａｔｔｅ）」として形成されているカッティングプレートの別の組付け位置においてポジショニング面または当付け面として役立つ面または面領域で発生し得る。それにより、そのような面上での材料集積は誤ポジショニングにつながる。そのような誤ポジショニングは回避すべきものに該当する。

ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６５３９２１号明細書から公知の、三角形のスローアウェイ式のカッティングプレートは、環状に延びる切刃を有しており、この切刃には、切りくず用窪み、すなわち窪んだすくい面が接続している。すくい面は切刃の下位に位置するデッキ面に移行する。しかしながら、デッキ面は切りくず進行領域に配置されているので、ここに材料集積が形成されてしまう。

さらに上記明細書は４つの、平面図で見て環状に延びる切刃を備えた菱形のカッティングプレートを開示している。さらに、切刃には、ポジティブなすくい角の下で、すくい面が接続している。菱形のプレートの、鈍角のコーナ領域で、すくい面は無段階に、切刃の下位に位置する平らな当付け面へと移行する。鋭角のコーナでは、直接的にコーナ切刃に接続したすくい面に台座が接続しており、台座自体は段部でもって当付け面に移行する。すくい面と台座との間の、外方に向かって凹状の鈍角は、切りくずが台座面に向かって進行し、ここに堆積物を形成してしまうように働く。

イギリス国特許第１１５４７５４号明細書から、カッティングプレートを備えた回転工具が公知であって、このカッティングプレートは、互いに直角に交わる４つの側面を備えた直方体状の基本形状を有している。これらの側面は、正方形に配置されている切刃に隣接している。切刃には、すくい面が接続しており、すくい面はカッティングプレートの平らなデッキ面に比べて高位に形成されており、それによりデッキ面から、環状に延在する段部により隔てられている。段部はすくい面に沿ってコーナ領域にもわたって延びており、その際、段部はその全周に沿ってコンスタントな高さを有している。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６５３９２１号明細書 イギリス国特許第１１５４７５４号明細書

したがって本発明の課題は、冒頭で述べた形式のカッティングプレートを改良して、切削プロセス時に材料集積を形成する傾向を減じることができるようなカッティングプレートを提供することである。

上記課題を解決した本発明の構成によれば、段部がコーナ切刃においてその最大高さを有しているようにした。

本発明によるカッティングプレートはすくい面を有しており、すくい面は特に切刃・コーナ領域において段部でもって、隣接する台座面へと移行し、その際、段部はここでその最大の高さを有している。コーナ切刃の湾曲に基づいて、切りくずの、コーナ切刃から排出される領域は、その他の切りくずとは異なる流れ特性および破断特性を有していることができる。コーナ領域で特に高い段部はここでは、切りくずがカッティングプレートのデッキ面にぶつかることに対する良好な防御を提供する。特に、本発明によるカッティングプレートを、コーナ切刃にも切削能力が付与される「正面フライス（Ｐｌａｎｆｒａｅｓｅｒ）」で使用する場合、すくい面に隣接している面領域、特にコーナ領域において材料集積を形成する傾向の減少が示される。このことは、例えば材料集積の剥離の結果として生ぜしめられるカッティングプレート摩耗と、これに起因する被覆の損傷とが軽減されていることに基づいて、そのようなカッティングプレートの耐用寿命の延長を可能にする。必要に応じて、カッティングプレートは回転工具においても使用されることができる。

さらに、カッティングプレートの、隣接する表面領域のすくい面に材料集積を形成する傾向が減じられることは、カッティングプレートの正確なポジショニングの点で有利である。このことは特に、カッティングプレートがスローアウェイ式のカッティングプレートとして形成されている場合に該当する。この事例では、すくい面に隣接するデッキ面がカッティングプレートの反転後に載置面として役立つことができる。デッキ面がカッティングプレートの一次使用時に堆積物から自由なままであるので、カッティングプレートが今度は反転された位置で再使用される際に、堆積物がカッティングプレートの正確なセッティングを妨害してしまうことはない。

カッティングプレートの有利な構成では、基体が、２つの互いに対向して位置する面に形成された切刃を有しているので、カッティングプレートはスローアウェイ式のカッティングプレートとして使用されることができる。その際、カッティングプレート上面およびカッティングプレート下面は互いに合同に形成されているのが有利である。

原理的に、カッティングプレートは三角形または多角形に形成されていることができるが、有利には四角形に形成されている。このことはカッティングプレートの上面においても下面においてもその都度４つの使用可能な切刃を生ぜしめる。スローアウェイ式のカッティングプレートはこの事例では合計で８回使用されることができる。すなわち、スローアウェイ式のカッティングプレートは８つの個々に使い捨て可能な切刃を有している。

本発明の別の有利な構成では、各切刃コーナのすくい面がその都度段部を介して台座面に移行する。これにより、材料集積の回避および載置面（台座面）上での堆積物の形成の回避の利点が各切刃コーナにおいて得られる。このことは特に、潜在的には全面でおよび全切刃コーナで材料除去、すなわち切削作業が行われ得るスローアウェイ式のカッティングプレートにとって有意義である。

すくい面を、隣接する台座面から隔てる段部の高さは、切削したい材料に関係して、その高さが、切刃において発生する切りくずを台座面から遠ざけておくのに十分であるように寸法設定されているのが有利である。それにより、台座面は有利には切りくずによって擦過されることがない。いずれにしても、切りくずが力を伴って台座面にぶつかってしまうことはない。

カッティングプレートのポジティブなすくい角が大きければ大きいほど、段部は有利には高くなる。これにより、高い段部を備えた、すなわち深く段下げされた台座面を備えたカッティングプレートは特に良好に、僅かなくさび角を備えたカッティングプレートのために適している。カッティングプレート幾何学形状は、カッティングプレートをアキシャル方向でもラジアル方向でもネガティブに組付けた場合に、ポジティブなラジアルすくい角およびアキシャルすくい角が獲得されることを許可する。

側面は有利には平面であって、該平面はやはり有利にはカッティングプレート中心平面に対して９０゜の角度で方向付けられている。それにより、ポジティブな逃げ角はこのカッティングプレートにおいて、カッティングプレートが工具内でネガティブな角度の下で組付けられさえすれば生じる。逃げ面を形成する側面は切子面を成していてもよい。例えば、切刃に接続する逃げ面領域は残りの側面と共に、外方に向いた、すなわち凸状の鈍角を形成する。このことは、著しくポジティブなプレート幾何学形状において、すなわち切刃に存在するくさび角が相対的に僅かである、例えば６０°または７０°よりも小さいような事例において可能であると共に有利である。本発明によるカッティングプレートはタンゼンシャルプレート（Ｔａｎｇｅｎｔｉａｌｐｌａｔｔｅ）としてまたはラジアルプレート（Ｒａｄｉａｌｐｌａｔｔｅ）として形成されていることができる。このことは固定孔の配置により決定され、固定孔はラジアルプレートの事例では台座面を通る。これに対して固定孔が、すくい面により取り囲まれた台座面に対して平行に方向付けられている場合、そのカッティングプレートはタンゼンシャルプレートである。

有利な構成では、すくい面が隙間なく台座面を巡って延びており、やはり隙間のない段部を介して台座面に隣接する。それにより、堆積物（凝着）の形成に対する防御は台座面全体のために提供されている。その際、段部が切刃コーナにおいてその都度その最高高さを有していると、有利であることが判っている。

本発明の有利な構成の別の詳細は、図面およびそれに関する説明または従属請求項の対象である。

以下に図面を参照しながら本発明の実施例について詳説する。

図１には、フェースミルとも呼ばれる正面フライス１が示されており、正面フライス１は工具ボデー２を有しており、工具ボデー２にはプレート座部３が形成されている。そのようなプレート座部３は別個に図９に示されている。プレート座部３は、カッティングプレート５を直接当て付けるための平らな載置面４を有している。載置面４は例えば長方形である。載置面４は四隅全てで解放されている。その近傍には、少なくとも２つの、載置面４に対して直角に方向付けられた側方の当付け面６，７が設けられている。

当付け面６，７は、カッティングプレートに側面保持を提供するために、直接的に工具ボデー２に形成されており、かつプレート座部３に所属する。さらに、プレート座部には、載置面４を通るねじ山付孔８が形成されており、ねじ山付孔８には固定ねじ９が対応配置されている（図７および図８参照）。工具ボデー２には、前記プレート座部３と同一の、別の複数のプレート座部が工具ボデー２の回転軸線に対して同心的に配置されている。全てのプレート座部３には、同一のカッティングプレート５が配置されている。正面フライス１は専ら、特に図２から見て取れるように、その対角線が回転軸線Ｄに対してほぼ平行に方向付けられているカッティングプレートを有する。

互いに同一に形成されたカッティングプレート５は図３〜図５ならびに図１０〜図１２に別個に示されている。カッティングプレート５は図４および図１０から見て取れる正方形の輪郭を備えた基体１１を有している。その四隅に、カッティングプレート５はコーナチャンファ１２，１３，１４，１５を有していることができる。コーナチャンファ１２〜１５は例えば平らな面領域または切子面により形成されており、コーナチャンファは隣接する、有利には平らな側面１６，１７，１８，１９の間に配置されている。コーナチャンファ１２〜１５とその都度隣接する側面１６〜１９との間の移行はシャープなエッジまたは若干丸み付けられたエッジにより形成されていることができ、エッジは基体１１を貫いて延びる固定穴２１に対して平行に延びている。

固定孔２１は平滑な上面で台座面２２により、かつプレート下面ではやはり台座面２３により取り囲まれている。後者の台座面２３は、図７から見て取れるように、載置面４に載置するために役立つ。台座面２２は、カッティングプレート５が裏返されると、載置面４に当て付けるために役立つ。台座面２２，２３は互いに同一に形成されている。それゆえ、台座面２２の説明は相応に台座面２３についても当てはまる。

台座面２２は実質的に正方形および平らに形成されている。台座面２２は側面１６，１７，１８，１９に対して間隔を置いて、環状に延在する段部２４で終わっており、段部２４は側面１６，１７，１８，１９に対してほぼ平行な間隔を置いて延在している。コーナチャンファ１２，１３，１４，１５の近傍で、段部２４はその都度、ほぼ直角の屈曲部で丸み付けられている。

段部２４には、環状に延在するすくい面２５が接続しており、すくい面２５は台座面２２に対して傾けられている。すくい面２５と側面１６，１７，１８，１９との間には、カッティングエッジ、すなわち切刃２６，２７，２８，２９が確定されている。コーナチャンファ１２，１３，１４，１５と相俟って、すくい面２５はコーナ切刃３２，３３，３４，３５を画定する。切刃２６〜２９およびコーナ切刃３２〜３５は、基体１１の下面に設けられた、対応する切刃およびコーナ切刃に同一性を見出す。下面に設けられた切刃およびコーナ切刃は区別のために図１１および図１２において、その都度アルファベット符号「ａ」が付記されていることで確認できる。コーナ切刃３２〜３５（３２ａ〜３５ａ）は有利にはほぼ真っ直ぐに形成されている。やはり、切刃２６〜２９（２６ａ〜２９ａ）も実質的に真っ直ぐに、ただし有利には若干たるんだような形に形成されているので、コーナ切刃３２〜３５（３２ａ〜３５ａ）により形成されるカッティングコーナは台座面２２を凌駕して突出している。すくい面２５は有利にはコンスタントな傾きを有している。段部２４は切刃２６〜２９（２６ａ〜２９ａ）のほぼ切刃中央でその最小の高さを有している。これに対して、切刃２６〜２９に対して平行にほぼ真っ直ぐに延びる段部２４は、その最大の高さをコーナ切刃３２〜３５（３２ａ〜３５ａ）の近傍に有している。

すくい面２５は例えば研削プロセスで精緻に製作されていることができる。ただし一般に、すくい面２５は焼結時に製作し終えている。台座面２２は研削プロセスを省略されている。この場合、台座面２２は有利には、焼結時および場合によっては後続の被覆時に生ぜしめられるような未加工の面である。

カッティングプレート５は有利には、図１１に破線３６により暗示されている中心平面に関して対称的に形成されている。中心平面に対して固定孔２１が垂直に延びている。さらに、固定孔２１は基体１１の重心を通っている。

カッティングプレート５をプレート座部に固定することは、図６および図７から別個に見て取れる。載置面４は台座面２３のサイズに相当するサイズを有している。その際、位置は、台座面２３が載置面４に当接すると、側面１６，１９がプレート座部の、隣接する当付け面６，７に当て付けられるようにセッティングされている。有利には若干斜めに案内されたねじ山付孔８は固定ねじ９の斜めの座りを強要し、これにより、固定ねじ９はそのヘッドでもって台座面２３を載置面４に対して押し付けるだけではなく、側面１６，１９をも当付け面６，７に対して押し付ける。これにより、カッティングプレート５は図２７に拡大されて示されているような形で保持されている。カッティングプレート５のセッティングは全体的にネガティブである。このことは正面フライス１の回転軸線Ｄに対して平行なアキシャル方向に関しても、相応のラジアル方向に関しても当てはまる。

図２７には、ワーク３７にくい込んでいる切刃２９が示されている。工具の回転軸線に関する所属のラジアル方向は、主切刃２９において線３８により暗示されている。逃げ面（側面１９）は線３８と共に、９０°よりも小さな角度を形成し、これにより、ポジティブな逃げ角αが側面１９と、隣接するワーク表面３９との間に存在する。同時に、ポジティブなすくい角βがすくい面２５と、線３８によりマークされたラジアル方向との間に生ぜしめられる。ポジティブなすくい角βが、ネガティブなプレート組付けにも関わらず、切刃２９におけるカッティングプレートの僅かなくさび角によって生ぜしめられる。

これまで説明した正面フライス１は以下のように作動する。

運転時、工具ボデー２は回転軸線Ｄを中心として回転し、その際、回転軸線Ｄに対して直交する方向でワーク表面３９に沿って運動する。切刃２９は主切刃である。回転軸線Ｄに対して直角に方向付けられたコーナ切刃３５は副切刃であり、コーナ切刃３５は比較的僅かな切削作業を伴って回転しながら、生成される平面にわたって案内される。

切刃２９において主切削作業が行われる。その際、キリコとも呼ばれる切りくず４１（図２７）が発生し、切りくず４１はワーク表面３９から剥ぎ取られる。その際、切りくず４１はすくい面２５にわたって進行し、その際、切りくず４１は曲げを被る。この曲げまたはカールは、切りくず４１が、段部２４により段下げされた台座面２２にぶつかることを阻止している。正確に言えば、切りくず４１は自由に段部２４を超えて外方に進行し、その際、切りくず４１は、内方に向かってコーナ切刃３５もしくは切刃２６の近傍で付与された自己のカール（湾曲）の結果として、段部２４の下流で台座面２２から離間するように進行する。切りくず４１は台座面２２にせいぜい僅かな圧力でもって接触するに過ぎない。切りくずはいずれにせよ急角度でこの面に対してぶつかることはない。それにより、堆積物が台座面２２に形成されてしまうことはない。特に、台座面２２が凝着に曝されない。台座面２２は、カッティングプレート５がプレート座部３上で裏返されると、その全部のサイズで載置面として役立つことができる。このために、固定ねじ９は緩められて、カッティングプレート５は、その台座面２３が上向きに、かつその台座面２２が載置面４に当て付けられるように反転される。これにより、コーナ切刃３５ａもしくは切刃２８ａが、アクティブな切刃（図２４に示した対応図参照）となる。その際、カッティングプレート５のポジショニングは、台座面２２が汚されていないことに基づいて、大きな問題なく可能である。

図１３〜図１５には、カッティングプレート５の改変された実施形態が示されており、このカッティングプレート５は工具ボデー２の変更なくプレート座部３に取り付けられることができる。改変されたカッティングプレート５は前記カッティングプレート５とは、台座面２２に形成されている盛り上がった面領域４２，４３，４４，４５の点で異なる。盛り上がった面領域４２〜４５は段部２４よりは低い高さで設けられている。その際、面領域４２〜４５はほぼ三角形に縁取られていることができ、その際、これらの面領域は特にカッティングプレートコーナの近傍に設けられている。切刃２６〜２９のほぼ中央には、面領域４２〜４５が確定されている盛り上がった台座の間に、有利にはその都度１つの隙間が存在している。その際、隙間はその都度段部２４の領域に見出すことができ、隙間において、段部２４はその最小の高さを有している。

さらに、すくい面２５には前記の実施形態とは異なり、切刃２６〜２９に対して平行にならびにコーナ切刃３２，３３，３４，３５に対してほぼ平行に方向付けられたチップブレーカ溝４６，４７，４８，４９，５０，５１，５２，５３，５４，５５，５６が設けられていることができる。図１３に示したスローアウェイ式のカッティングプレート５の背面も同様に形成されている。

図１３〜図１５に示した上記スローアウェイ式のカッティングプレート５は、そのチップブレーカ溝４６〜５６の結果、どちらかといえば長い切りくずを形成する傾向のある材料を切削するためにも適している。さらに、このカッティングプレート５は特に、凝着に対して鈍感である。段部２４が相対的に高くなっているコーナ領域で、そこに配置されていてポジショニングのために役立つ面領域４２〜４５は、その都度隣接する段部２４の背後で、擦過する切りくずによる凝着に対して防御されている。切刃２６，２７，２８，２９の中央で、段部２４は低い。ここで切りくずが台座面２２に衝突し、その際に痕跡を残すが、このことはほぼ無害である。それというのは、台座面２２がこの領域でもはや載置のために役立つ訳ではないからである。むしろ、この機能は、カッティングプレート５のコーナに配置されている盛り上がった面領域４２〜４５により引き継がれる。その際、面領域４２〜４５は直接段部２４に接続していてもよいし、または図１３および図１５に示されているように、段部２４に対してある特定の間隔をおいて配置されていてもよい。有利には固定孔２１を取り巻くように配置されている面領域４２〜４５は、カッティングプレート５の、プレート座部３における確実な座りを提供する。

正面フライス１および付属のカッティングプレート５の実施形態の別の変化形は図１６〜図２４に見て取れる。以下で改めて断らない限り、同一の符号に基づく上述の説明は相応に当てはまる。

前に述べたカッティングプレート５は、中央平面（線３６）に関して対称的に形成されていると共に、孔２１の孔軸線を含んでいて、かつ側面に対して平行に方向付けられているかまたは該側面により定義された正方形に関して対角的に方向付けられている相応の平面に関しても対称的に形成されている。図１８〜図２０もしくは図２２〜図２４に示したカッティングプレートのシンメトリは僅かである。それらのカッティングプレートは中心平面（図２３の線３６）に関して非対称に形成されている。切刃２６，２６ａ，２７，２７ａ，２８，２８ａ，２９，２９ａはその都度ペア状に互いに平行に方向付けられており、有利には真っ直ぐに形成されている。但しその際、切刃は中心平面に対して傾いて配置されている。やはりこのことは、コーナ切刃３２，３２ａ，３３，３３ａ，３４，３４ａ，３５，３５ａにも該当する。さらに、段部２４は、図２４に示されているように、環状に延びており、その際、段部２４はコーナ切刃３２〜３５の領域でその最大の高さに達する。さらに、すくい面２５は中心平面に対してコンスタントな傾きを有している。ただし、この傾きを特にコーナ切刃３２，３５の領域で適当に拡大および縮小することも可能であって、それにより、特別な切削特性が達成されることができる。特にすくい角の拡大は幾つかの切削課題において有利な結果をもたらすことができる。台座面２２に対する凝着の問題は、ここに存在する段部２４の大きな高さにより弱化されているかまたは除去されている。

図１８〜図２０（図２２〜図２４）に示したカッティングプレート５は、図２１に示したように、ネガティブな組付け時に、特に大きなポジティブなすくい角を構成する。側面１６，１７，１８，１９を中心平面に対して直角に方向付けたことに基づいて、カッティングプレート５はネガティブプレート（ネガチップ）として見なされる。しかしながら、ネガティブな組付け時に、大きなポジティブなすくい角および逃げ角が達成される。このカッティングプレート５はアルミニウム、軟鋼ならびに特殊鋼のようなクリティカルな材料を切削するために適している。カッティングプレート５は切刃においてその最大の厚さを有している。カッティングプレート中央で厚さは最小である。このことはカッティングプレート材料の最適な利用もしくは体積利用に相当する。カッティングプレート５はその幾何学形状に基づいて簡単に製作可能である。それに加えて、カッティングプレート５は側面１６，１７，１８，１９、コーナチャンファ１２，１３，１４，１５およびすくい面２４（２４ａ）において、その際に大きな技術的な問題が発生することなく研削されることができる。さらに、図２２〜図２４に示されたカッティングプレート５は（工具ボデー２におけるラジアル方向およびアキシャル方向でのネガティブな組付け位置において）特に大きな軸角を可能にする。

カッティングプレートは８つの切刃（２６〜２９および２６ａ〜２９ａ）を有しており、切刃は順々に使用されることができる。これにより、カッティングプレート５は長い耐用寿命を有している。切刃２６〜２９ならびに２６ａ〜２９ａは一般に、その都度隣接するコーナ切刃を起点として中央部までが負荷されるに過ぎない。それというのは、当該フライス工具はアキシャル方向で大抵の場合、その都度半分の切刃長さだけが負荷される切込み深さでもって使用されるに過ぎないからである。それゆえ、例えば右勝手の工具で使用された使用済みのカッティングプレートは再度左勝手の工具で８回までの種々異なるポジションで使用されることができる。幾何学形状はまったく妨害エッジ（Ｓｔｏｅｒｋａｎｔｅ）を有しておらず、これにより、自由な切りくず排出が保証されている。図１０〜図１２ならびに図１３〜図１５に示したカッティングプレート５の切刃は軸対称に配置されている。図２２〜図２４に示したスローアウェイ式のカッティングプレートの切刃は９０゜もしくは１８０゜の回転対称に配置されている。「９０゜回転対称」は固定孔２１の孔軸線に関しているのに対し、「１８０゜回転対称」はカッティングプレート５の反転に関しており、その際、カッティングプレートの上面および下面はその場所を交換する。

タンゼンシャル方向（接線方向）でカッティングプレートを組付ける、工具ボデーでの使用のために、図２５または択一的に図２６に示したカッティングプレートは意図されることができる。図２５に示したカッティングプレート５は直方体状の基体１１を有しており、基体の切刃２６，２７，２８，２９は基体１１の短側面に形成されている。切刃２６〜２９の間にはコーナ切刃３２，３３，３４，３５が設けられている。切刃２７に隣接する側面１７は幅の狭い側面である。切刃２８に隣接する側面１８は正方形をした大面積の側面である。同じことが、対向して位置していて図２５では隠れている側面１６にも該当する。固定孔２１は側面１８から側面１６へと通じている。その際、側面は当付け面として、対応するプレート座部に設けられた当付け面６のために役立つ。その際、載置面４の面法線は例えば周方向で方向付けられている。側面は切子面（ファセット）を成している。切刃２６，２７，２８，２９ならびにコーナ切刃３２，３３，３４，３５には、部分面が接続しており、これらの部分面のうち、図２５では部分面１８′，１７′，１４′が目視可能である。これにより、図２５に示したカッティングプレート５は著しくネガティブな幾何学形状を有している。ただし、すくい面２５は、カッティングプレート５の著しくネガティブな組付け時においても、ポジティブなすくい角が生ぜしめられるようにポジティブにセッティングされている。

段部２４は図２５に示されているように波形に形成されていることができる。段部２４は台座面２２を環状にすくい面２５から隔てている。コーナ切刃３２〜３５の領域で、段部２４はその最大の高さを有している。

図２６に示したカッティングプレートは前記のカッティングプレートとは、コーナ切刃３２，３３，３４，３５が丸み付けられて形成されている点で異なる。相応に、コーナチャンファ１２〜１５はその都度湾曲した面領域として形成されている。その他の点では、前記の説明が当てはまる。

例えば正面フライスの装備のために意図されているカッティングプレート５は、環状に延在するすくい面２５を有しており、すくい面２５は間断のない、つまり連続的な段部２４において台座面２２に移行する。段部２４はその最大の高さにカッティングプレート５のコーナ領域で達する。すくい面２５はポジティブなすくい角を確定する。段部２４は、生ぜしめられた切りくずが台座面２２にぶつかることを阻止する。この手段により、台座面２２の材料の凝着は阻止される。カッティングプレートは回転工具においても、別の切削工具においても使用されることができる。

本発明によるカッティングプレートを備えた正面フライスの斜視図である。 図１に示した正面フライスの側面図である。 図１および図２に示した正面フライスのカッティングプレートの斜視図である。 図３に示したカッティングプレートの平面図である。 図３に示したカッティングプレートの側面図である。 図１に示した正面フライスの詳細図である。 図６に示したフライスの分解立体図である。 図６に示したフライスの工具ボデーの詳細図である。 装着されていないプレート座部と装着されているプレート座部とを備えた、図１に示したフライスの斜視図である。 図３に示したカッティングプレートの拡大平面図である。 図３に示したカッティングプレートの拡大側面図である。 図３に示したカッティングプレートの拡大斜視図である。 本発明によるカッティングプレートの、改変された実施形態の平面図である。 図１３に示したカッティングプレートの側面図である。 図１３に示したカッティングプレートの斜視図である。 本発明によるカッティングプレートを備えた、改変された正面フライスの斜視図である。 図１６に示した正面フライスの側面図である。 図１６に示した正面フライスのカッティングプレートの斜視図である。 図１８に示したカッティングプレートの平面図である。 図１８に示したカッティングプレートの側面図である。 図１６に示したフライス工具の抜粋図である。 図１６に示した正面フライスのためのカッティングプレートの拡大平面図である。 図２０に示したカッティングプレートの拡大図である。 図１８に示したカッティングプレートの拡大図である。 タンゼンシャルプレートとして使用するためのカッティングプレートの、改変された実施形態の斜視図である。 タンゼンシャルプレートとして使用するためのカッティングプレートの、改変された別の実施形態の斜視図である。 前記カッティングプレートにおける切りくず排出時の関係を示す図である。

符号の説明

１ 正面フライス、 ２ 工具ボデー、 ３ プレート座部、 ４ 載置面、 ５ カッティングプレート、 ６ 当付け面、 ７ 当付け面、 ８ ねじ山付孔、 ９ 固定ねじ、 １１ 基体、 １２ コーナチャンファ、 １３ コーナチャンファ、 １４ コーナチャンファ、 １５ コーナチャンファ、 １６ 側面、 １６′ 逃げ面区分、 １７ 側面、 １７′ 逃げ面区分、 １８ 側面、 １８′ 逃げ面区分、 １９ 側面、 １９′ 逃げ面区分、 ２１ 固定孔、 ２２ 台座面（当付け面）、 ２３ 台座面（当付け面）、 ２４ 段部、 ２５ すくい面、 ２６ 切刃、 ２７ 切刃、 ２８ 切刃、 ２９ 切刃、 ３２ コーナ切刃、 ３３ コーナ切刃、 ３４ コーナ切刃、 ３５ コーナ切刃、 ３６ 線（中心平面）、 ３７ ワーク、 ３８ 線（半径方向）、 ３９ ワーク表面、 ４１ 切りくず、 ４２ 面領域、 ４３ 面領域、 ４４ 面領域、 ４５ 面領域、 ４６ チップブレーカ溝、 ４７ チップブレーカ溝、 ４８ チップブレーカ溝、 ４９ チップブレーカ溝、 ５０ チップブレーカ溝、 ５１ チップブレーカ溝、 ５２ チップブレーカ溝、 ５３ チップブレーカ溝、 ５４ チップブレーカ溝、 ５５ チップブレーカ溝、 ５６ チップブレーカ溝、 α 逃げ角、 β すくい角、 Ｄ 回転軸線

Claims (20)

1. カッティングプレート（５）、例えばフライス工具（１）のためのカッティングプレート（５）であって、基体（１１）が設けられており、該基体（１１）が少なくとも１つのすくい面（２５）を有しており、該すくい面（２５）が一方ではその都度、コーナ切刃（３２，３３，３４，３５）を介して接続された切刃（２６，２７，２８，２９）に隣接しており、他方では段部（２４）に隣接しており、該段部（２４）が間断なくすくい面（２５）を、段下げされた台座面（２２）から隔てている形式のものにおいて、
   段部（２４）がコーナ切刃（３２，３３，３４，３５）においてその最大高さを有しており、かつ
   すくい面（２５）を当付け面（２２）から隔てる段部（２４）が、切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５）において生ぜしめられた切りくず（４１）を当付け面（２２）から遠ざけておくのに十分な高さを有していることを特徴とする、切削工具のためのカッティングプレート。
2. 基体（１１）が、２つの互いに対向して位置する面（２２，２３）に形成された切刃（２６，２６ａ）を有している、請求項１記載のカッティングプレート。
3. 対向して位置する面（２２；２３）に形成された切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５；２６ａ，２７ａ，２８ａ，２９ａ，３２ａ，３３ａ，３４ａ，３５ａ）、すくい面（２５；２５ａ）および当付け面（２２；２３）が互いに合同に形成されている、請求項２記載のカッティングプレート。
4. 基体（１１）が四角形の輪郭を有しており、それにより切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５）が基本形状として四角形を確定する、請求項１記載のカッティングプレート。
5. 基体（１１）が長方形の輪郭を有しており、それにより切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５）が基本形状として長方形を確定する、請求項１記載のカッティングプレート。
6. 基体（１１）が正方形の輪郭を有しており、それにより切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５）が基本形状として正方形を確定する、請求項１記載のカッティングプレート。
7. 一方の面に設けられた切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５）が４つのコーナ切刃（３２，３３，３４，３５）を確定する、請求項１記載のカッティングプレート。
8. すくい面（２５）が各コーナ切刃（３２，３３，３４，３５）において段部（２４）を介して当付け面（２２）に移行する、請求項７記載のカッティングプレート。
9. すくい面（２２）が各箇所で、ポジティブなすくい角を確定する、請求項１記載のカッティングプレート。
10. 切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５）が各箇所で、９０゜よりも小さなくさび角を有している、請求項１記載のカッティングプレート。
11. 基体（１１）が、逃げ面を形成する側面（１６，１７，１８，１９）を有している、請求項１記載のカッティングプレート。
12. 側面（１６，１７，１８，１９）が、カッティングプレート（５）の重心を通る中心平面に対して直角に配置されている、請求項１記載のカッティングプレート。
13. 側面（１６，１７，１８，１９）が切子面を成している、請求項１記載のカッティングプレート。
14. 側面（１６，１７，１８，１９）がその都度少なくとも１つの、切刃（２６，２７，２８，２９，３２，３３，３４，３５）に接続した逃げ面区分（１６′，１７′，１８′，１９′）を有しており、該逃げ面区分（１６′，１７′，１８′，１９′）が、残りの側面（１６，１７，１８，１９）と共に鈍角を形成する、請求項１記載のカッティングプレート。
15. カッティングプレート（５）が、台座面（２２）を通る固定孔（２１）を有している、請求項１記載のカッティングプレート。
16. カッティングプレート（５）が、側面（１８）を通る固定孔（２１）を有している、請求項１記載のカッティングプレート。
17. 段部（２４）が間断なく全すくい面（２５）に沿って形成されている、請求項１記載のカッティングプレート。
18. 段部（２４）がすくい面（２５）に沿って実質的に真っ直ぐに形成されている、請求項１記載のカッティングプレート。
19. 段部（２４）がすくい面（２５）に沿って軽微な波形を成して形成されている、請求項１記載のカッティングプレート。
20. 台座面（２２）が、カッティングプレート（５）をプレート座部（３）に支持するための支持面として機能する少なくとも１つの盛り上がった面領域（４２，４３，４４，４５）を有している、請求項１記載のカッティングプレート。

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