JP4520045B2 - 旋削加工用の切削インサート - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、側面によって互いに接続されている上面と底面とを含む多角形の基本形状を有し、且つ側面と上面との間の交差線の少なくとも一部が、少なくとも１つの主切れ刃と、副切れ刃と、これらの間の湾曲したコーナー切れ刃とを形成する、旋削加工のための割出し可能なインサートに関する。
【０００２】
現在では広範囲にわたって倣い旋削加工のために、切削インサートは６０゜未満のノーズポイント角度が使用され、なお、ノーズポイント角度の通常の値は５５゜であり、このノーズポイント角度は広範囲の切削インサートの適用可能にする。現在の市場では、５５゜のノーズポイント角度を有する幾つかの異なったタイプの割出し可能なインサートが発見でき、こうしたタイプの中では、偏菱形、菱形および正三角形の割出し可能なインサートを例として取り上げることが可能である。
【０００３】
倣い旋削加工では、特徴と経済性とに関する次の特性が望ましい。
１）優れた切屑制御、すなわち、優れた切屑案内と切屑破砕。
２）切削力の衝撃を受ける時に切削インサートが移動しないこと。
【０００４】
特定の材料、または、細長い被加工物、または、不安定な機械の使用および内面の金属加工における内側に向かう倣い旋削加工をする場合、小さい切削力と、好ましくは倣いインサートに関してはポジ型の切屑角が望まれる。これと同時に、最近の機械においては、使用される倣い旋削加工インサートは機械加工された表面が可能な限り最善の表面仕上げを実現することが可能であることが要求されている。より高速の切削速度と、中立またはポジ型のすくい角とを使用することによって、表面仕上げが改善されることが可能である場合がある。
【０００５】
本発明の第１の目的は、機械加工表面の表面仕上げの改善を可能にする、コーナー領域内に新たなタイプのワイパ刃(wiper edge)を備えた倣い旋削加工のために新たに改良された割出し可能なインサートを実現することである。
【０００６】
本発明の第２の目的は、切削力とインサートの摩耗とに好ましい影響をもたらす、コーナー区域内にすくい面を有するインサートを実現することである。
【０００７】
本発明の第３の目的は、送り量の増大を可能にすると同時に優れた表面仕上げを維持するように改良されているインサートを実現することである。
【０００８】
本発明を、添付図面を参照しながら以下の説明においてさらに詳細に説明し、この説明から本発明の特徴が明らかになることだろう。
【０００９】
図１〜３は、三角形の基本形状を有する本発明による倣い旋削加工のための切削インサート１０を示す。この切削インサートは一般的に超硬合金で作られているが、他のセラミック材料で作られることも可能である。このインサートは、平らな上面１１と下面１２とを含み、これらは互いに平行であり、１３、１４、１５で示されておりかつ湾曲したコーナー部によって互いに連結されている刃面と直角を形成する。図１〜３に示す実施態様では、刃面は、平らな表面１１、１２を含む平面に対して垂直な平面内に方向配置されている。さらに、このインサートは、刃面１３、１４、１５と上面１１との間の交差部を与える複数の切れ刃１８、１９を含む。あるいは、このインサートは、刃面が上面と鋭角に交差するポジ型の基本形状を有することも可能である。このインサートは、付属の工具ホルダ１７の中にインサートを締付け固定するためのピンまたは中央ねじ（図示されていない）を受け入れるための中央穴１６を有する（図４）。
【００１０】
図１では、鋭角のコーナーに向かって延びる刃面が１３と１４で表されており、図１に示す実施態様では、刃１８が副切れ刃を表し、刃１９が主切れ刃を表し、この刃１８と刃１９の間において、ワイパ刃として機能するようになっている半径方向の刃２０を二等分線Ｂの一方の側に含む非対称の湾曲したコーナー領域が存在し、この二等分線の反対側には、主切れ刃１９に隣接したコーナー刃２１が存在する。逃げ角が、主切れ刃１８と副切れ刃１９と、及びこれらの間のコーナー領域とにおいて達成されるように、傾斜をインサートが持つ必要があることが理解されている。
【００１１】
このことは、内側の倣い削りのための刃として刃部２０を使用することを可能にし、例えば９０°の角度で面削りする時に大きな切片が得られると同時に、刃１８の長さを特に大きくする必要がない。このインサートは、インサートのランド２２を備えた全てが切れ刃部であり、ランドは全周にわたって延在する且つ刃面１３、１４、１５に向かってほぼ直角に方向配置されている。
【００１２】
本発明では、半径方向の刃２０は、前記二等分線Ｂの反対側に位置しているコーナー刃２１の有効半径の大きさよりも少なくとも５倍大きい半径の大きさを有し、このコーナー刃は主切れ刃１９への移行部である。さらに別の特徴は、主切れ刃１９が、半径方向の刃２０とともに８０〜１３５°の角度を有するように縦方向に延在するということである。
【００１３】
第１の半径方向の刃２０とコーナー刃２１との間の移行部が第２の半径方向の刃２３の形状であり、この第２の半径方向の刃２３の大きさは、第１の半径方向の刃２０と副切れ刃１８との間の移行部を表す半径方向の刃２４よりも小さくする必要がある。この関係は、半径方向の刃２３の半径の大きさが第２の刃１８に隣接した位置にある半径方向の刃２４の大きさの約半分であるような関係であることが好ましい。これと同時に、移行部の半径方向の刃２５が、コーナー刃２１と主切れ刃１９との間に設けられるべきであり、この半径は、第２の刃１８に隣接した位置にある半径方向の刃２４の半径の大きさと同じ大きさであるべきである。半径方向の刃２０とインサートの残りの部分とに沿ったランド２２の幅に関しては、半径方向の刃２０に沿った前記ランド２２の幅を、コーナー切れ刃２１に沿ったランド２２の幅の５０〜７０％の大きさであるように選択することが適切であることが発見されている。
【００１４】
傾斜表面すなわち下方に傾斜した表面２６が、各ランド２２の内側を限定する端縁から延在し、そしてコーナー区域に位置している第２の傾斜表面２７へと延在する。この第２の傾斜表面２７は、三角形の基本形状でありかつインサートの底面１２と平行な平面である平らな中央床表面２８へと延在する。前記傾斜表面２６の傾斜角度αは１０〜３０°の範囲内であるべきであり、一方、第２の傾斜表面２７の傾斜角度は０〜１５°であるべきである。
【００１５】
各ランド２２は平面であり、かつ、***したランド区域を含み、このランド区域は、コーナー区域から離れていく方向において、傾斜したランド区域へと延在する。本発明の特徴は、前記ランド区域２２が、半径方向の刃２０に沿ってさらに小さい幅を備えた区域２２′を含むということであり、ランド区域はその後コーナー切れ刃２１並びに主切れ刃１９全体との両方に沿って均一でありさらに大きいな幅を有する形で連続的に現れるということである。このことが切れ刃を意図的に補強すると同時に、切屑とインサート表面との間の接触を低減させることを可能にし、その結果としてクレータ摩耗効果を適宜遅延することを可能する。
【００１６】
旋削加工および倣い削り中に得られる切屑の切屑破砕と偏向とをさらに改善するために、切屑フォーマがコーナー領域内に設けられる。この切屑フォーマは、刃部よりも凹んでいる傾斜した平坦部２７の形状に設けられており、この平坦部を規定する側面は二等分線に関して非対称の形状構成を備えた形でコーナーに向かって集中する。さらに明確に述べると、この形状は、第１の半径方向の刃２０が位置する側と同じ二等分線Ｂの片側に位置したほぼ正弦形の側端縁２９が、傾斜した第１の端縁３０の形で終端するような形状であり、この第１の端縁３０は、半径方向の刃２０と平行に延在し、さらに鈍角のコーナー３１を備え、また反対方向に第２の端縁３２へと延在し、それによって前記二等分線Ｂが第２の端縁３２とそのほぼ中央で交差する。この第２の端縁３２は、一方では、平坦部２７を規定する側端縁を表す別のほぼ正弦形の側端縁３４の前方の終端と共に鈍角のコーナー３３を備える。
【００１７】
インサートのコーナー領域内における上述の半径方向の分化によって、一定不変のコーナー半径を有する同様のインサートに比較して、機械加工された表面の驚くほど優れた表面平滑性が得られており、さらに、このインサートは、直線ワイパ刃を有する同等のインサートに比較して、どのような取付角が与えられるかということによる影響を受けにくいということが見出された。これと同時に、前記ランド２２の形状と組み合わされた上述の切屑フォーマの最適化された形状によって、送り量を２０〜１００％増加させると同時に、形成される表面の輪郭深さを維持することが可能である。
【００１８】
図４では、例示されているインサートの実施態様は、付属の工具ホルダ１７に中に締付け固定されたインサートを用いて内側の倣い削りを行うためにどのように使用するかが示され、機械加工の方向が被加工物Ａ上にＰで示されている。
【００１９】
最適化された切屑コントロールを実現するためには、個々の半径方向の刃の半径は次の範囲内に含まれなければならない。
【００２０】
２０： ５〜３０ｍｍ、好ましくは１０〜２０ｍｍ
２１： ０．２〜３．２ｍｍ、好ましくは０．４〜１．６ｍｍ
２３： ０．２〜１．６ｍｍ、好ましくは０．４〜１．２ｍｍ
２４： ０．６〜２．４ｍｍ、好ましくは０．８〜１．６ｍｍ
２５： １．６〜３０ｍｍ、好ましくは５〜２０ｍｍ
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、本発明による割出し可能なインサートの一部の平面図である。
【図２】 図２は、図１の切削インサートの側面図である。
【図３】 図３は、図１〜２によるインサートのコーナーの拡大詳細図である。
【図４】 図４は、被加工物の内側を倣い旋削加工する際の図１〜３の切削インサートを備えた工具を示す図である。
【図５】 図５は、図１の線Ｖ−Ｖに沿った断面図を示す。
【図６】 図６は、図１の線ＶＩ−ＶＩに沿った断面図である。

Claims (7)

1. 一般的に多角形状を有する旋削加工のための割出し可能な切削インサートであって、
   上面（１１）、下面（１２）、及び上面と下面とを互いに接続する刃面（１３、１４、１５）を含み、
   前記刃面と前記上面との間の交差線の少なくとも一部が、少なくとも主切れ刃（１９）、副切れ刃（１８）、及び主切れ刃と副切れ刃との間の湾曲したコーナー領域を形成し、
   前記湾曲したコーナー領域は、非対称であり且つ前記上面との交差線において刃部を形成する複数の円形セグメントに分割されており、
   前記刃部の中で隣接した円形セグメントが、互いに異なった半径であり、
   前記副切れ刃（１８）は半径方向の刃（２０）に隣接して延在し、半径方向の刃（２０）は二等分線に対して前記副切れ刃（１８）と同じ側に位置し且つ曲率半径を現し、且つ
   前記曲率半径の大きさはコーナー刃（２１）よりも少なくとも５倍大きく、コーナー刃が前記二等分線の反対側に位置しておりかつ前記主切れ刃（１９）に対する移行部を与える割出し可能な切削インサートにおいて、
   ａ）前記インサートは正多角形の本体の形状であることと、
   ｂ）前記主切れ刃（１９）と副切れ刃（１８）と前記上面（１１）との間の前記移行表面は刃補強ランド（２２）の形状であり、
   該刃補強ランドは、前記二等分線（Ｂ）の一方の側の前記半径方向の刃（２０）に沿ったランド（２２）の幅が前記二等分線（Ｂ）の反対側に位置した湾曲した前記コーナー切れ刃（２１）に沿った前記ランド（２２）の幅よりも小さいような形状であること
   を特徴とする割出し可能な切削インサート。
2. 刃補強ランド（２２）の幅が、湾曲した前記コーナー切れ刃（２１）に沿って、並びに直線の副切れ刃（１８）に沿って同じ幅であることを特徴とする請求項１に記載の割出し可能な切削インサート。
3. 前記半径方向の刃（２０）に沿った前記ランド（２２）の幅は、前記コーナー切れ刃（２１）に沿った前記ランドの幅の５０〜７０％をなすことを特徴とする請求項１〜２のいずれかに記載の割出し可能な切削インサート。
4. 前記ランド（２２）から一定の距離を置いた前記コーナー領域内で前記インサートは平面の傾斜表面（２７）を有する形に見え、該平面の傾斜表面（２７）が前記端縁よりも凹んでおりかつ前記切削コーナーに向かって外方に集中する正弦形の限定側端縁（２９、３４）によって画定されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の割出し可能な切削インサート。
5. 前記二等分線（Ｂ）の一方の側の前記正弦形の限定側端縁（２９）はほぼ直線の第１の端縁（３０）に延び、該直線の第１の端縁が前記二等分線（Ｂ）の一方の側に全体が位置して前記半径方向の刃（２０）の延在部と平行であることを特徴とする請求項４に記載の割出し可能な切削インサート。
6. 直線の端縁（３０）は、鈍角のコーナー（３１）を経由して、前記二等分線（Ｂ）によって交差されている別の直線の端縁（３２）に延びることを特徴とする請求項４または５に記載の割出し可能な切削インサート。
7. 前記二等分線（Ｂ）は、第２の直線の端縁（３２）とほぼその中央で交差していることを特徴とする請求項６に記載の割出し可能な切削インサート。

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