JP4402489B2 - 易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器 - Google Patents

易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器 Download PDF

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Description

本発明は、易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器に関し、特に被着材がポリプロピレンの場合に好適に使用できる易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器に関する。
従来、ヒートシール部に良好な熱接着性、密封性と易開封性を兼ね備えさせるために、種々の凝集破壊タイプのイージーピール性シーラントが提案されている。
これらは、熱接着成分として、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの共重合体などのポリオレフィン系樹脂を用い、これに凝集力を低下させる異種材料として、例えば、ワックス類、ハードレジン、ポリスチレンまたはその変性物、ポリブテン−1、或いは融点や密度などの異なるポリエチレン、ポリプロピレンなどを適宜添加して易開封性を付与したものである。
このようなイージーピール性シーラントは、被着材の材料に応じて、その熱接着成分が選定され、例えば、最内層に低密度ポリエチレンが積層された紙カップ容器に用いる蓋材では、その最内層のシーラント層の熱接着成分には低密度ポリエチレンを用い、これに凝集力を低下させる前記異種材料を適宜に添加してシーラント層を構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
同様な考え方で、被着材がポリプロピレンの場合、例えば、ポリプロピレンの成形容器や、最内層にポリプロピレンが積層された紙カップ容器などに用いる蓋材では、凝集破壊タイプのイージーピール性シーラントとして、ポリプロピレンを熱接着成分に使用し、これにエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリスチレンまたはその変性物などを混合して易開封性を付与したものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−128128号公報(第2〜4頁、図1) 特開2001−301831号公報(第2〜3頁、図1)
しかし、前記のうち、被着材がポリプロピレンの場合、イージーピール性のシーラントとして、その熱接着成分にポリプロピレンを用いると、ヒートシール温度が高くなり低温シール性に欠けると共に、その熱接着性(密封性)と易開封性のバランスを採ることが難しくなり、また、ヒートシール後、剥離した際の剥離面に、シーラント層の樹脂が繊維状に残存する、所謂糸引き現象を発生しやすくなる問題があった。更に、ポリプロピレン自体は、冷凍など低温時の物性や耐性などにも劣る問題があり、未だ総合的な性能に満足できるイージーピール性シーラントは得られていないのが実情である。
このような問題を解決するために、本発明者は、先に、特願2002−206121号において、ポリプロピレンを被着材とする場合に好適に使用できるイージーピール性シーラント、即ち、易開封性シーラントフィルムとして、「易開封性のヒートシール層に用いるシーラントフィルムであって、該シーラントフィルムが、被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)と、該樹脂層(A)に隣接して積層された樹脂層(B)よりなり、該樹脂層(A)が、ポリブテン−1を100重量部に対して高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体を20〜90重量部の割合で混合した混合物で形成され、且つ該樹脂層(B)が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体で形成されていることを特徴とする易開封性シーラントフィルム。」を基本とする構成の易開封性シーラントフィルムを提案した。
前記提案の易開封性シーラントフィルムにより、低温シール性の向上、熱接着性(密封性)と易開封性の安定化、均一な凝集破壊による糸引き発生の防止、そして、低温時の物性や耐性の向上などが得られ、従来の多くの問題点を解決することができた。
しかしながら、このような易開封性シーラントフィルムでも、被着材のポリプロピレンに対する熱接着成分として、ポリブテン−1を使用しているため、ポリブテン−1のモノマーであるブテン−1が、製造プロセスの点からエチレンやプロピレンと比較して供給量に制約があり、価格も高価であり、ポリブテン−1を大量に使用することは、材料入手の不便さと共に、経済性の面で不利となる問題があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、密封容器のヒートシール部をピールして開封する容器の分野において、特にポリプロピレンを被着材とする場合の凝集破壊タイプのイージーピール性シーラントとして、良好な熱接着性(密封性)と易開封性とを兼ね備え、比較的低温でのヒートシールも可能で、開封時の剥離面に糸引きを発生して外観を損なうこともなく、更に、材料入手の不便さも軽減でき、コストの低減も可能になるという、性能、使用適性に優れると共に、生産性、経済性にも優れた易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器を提供することである。
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)と、該樹脂層(A)に隣接して積層された樹脂層(B)よりなり、易開封性のシーラントフィルムであって、前記樹脂層(A)がポリプロピレンとポリブテン−1との混合樹脂を100質量部に対して高圧法低密度ポリエチレン又はエチレン系共重合体を20〜90質量部を含む混合樹脂で、前記樹脂層(A)のポリプロピレンとポリブテン−1との混合樹脂におけるポリプロピレンとポリブテン−1との混合比率がポリプロピレン100質量部に対してポリブテン−1が30〜150質量部であり、前記樹脂層(B)がシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体又は高密度ポリエチレン且つ、前記ポリプロピレンMFRが5〜40の範囲であり、ポリブテン−1融点が110〜130℃で、MFR2〜30の範囲で、且つまた、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体MFRがポリプロピレンのMFRおよびポリブテン−1のMFRよりも小さいことを特徴とする易開封性シーラントフィルムからなる。
本発明において、樹脂層(A)に用いるポリブテン−1としては、1−ブテンのホモポリマーのほか、1−ブテンにコモノマーとしてエチレンや他のα−オレフィンを共重合させた共重合体を使用することができる。
また、樹脂層(A)に用いる高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のうち、エチレン系共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体のほか、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体などを使用することができる。
前記樹脂層(B)にシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、そのシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒やフェノキシイミン系触媒など単一活性点をもつ触媒を用いて重合したエチレンとαオレフィンとの共重合体であり、それらの中でもコモノマーのαオレフィンとして1−ヘキセンや1−オクテンを使用したものが特に好ましい。
前記樹脂層(B)に高密度ポリエチレンを用いる場合、高密度ポリエチレンは、エチレンのホモポリマーのほか、プロピレン、ブテン−1との共重合体を使用することができる。また、前記樹脂層(B)にポリプロピレンを使用する場合も、ポリプロピレンは、プロピレンのホモポリマーのほか、エチレン、ブテン−1、その他のα−オレフィンとの共重合体を使用することができる。
尚、樹脂層(B)は、易開封性シーラントフィルムの製膜の際に、樹脂層(A)の支持層として作用するほか、樹脂層(A)と良好な積層強度を有し、易開封性シーラントフィルムを基材と貼り合わせて蓋材などの包装材料とした時、そのヒートシールに際してクッション層として作用し、樹脂層(A)によるヒートシール強度を安定化させる働きをもつものである。
従って、後でも説明するように、樹脂層(B)の厚みは、樹脂層(A)の厚みよりも厚くすることが好ましい。
特に、樹脂層(B)に前記シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた場合、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、樹脂層(A)との積層強度に優れ、また、良好なクッション性を有する点で好ましいが、靱性が高いため、例えば、厚みが25μm以上のように厚くなると、蓋材などに用いた場合、打ち抜き不良を発生しやすくなる。
このような問題を解決するためには、樹脂層(B)を、例えば2層構成として、樹脂層(A)に接する側の層には前記シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体を使用し、もう一方の側(基材と貼り合わせる側)の層には、靱性が低く切断しやすい高圧法低密度ポリエチレンなどを使用することができる。
前記樹脂層(A)のポリプロピレンとポリブテン−1の混合樹脂と、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体との混合割合は、ポリプロピレンとポリブテン−1の混合樹脂が100質量部に対して、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体は20〜90質量部であることが好ましい。
前記高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体の混合割合が20質量部未満の場合は、被着材としてポリプロピレンに熱接着した時、接着強度が強くなりすぎて良好なイージーピール性が得られず、また、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体の混合割合が90質量部を超える場合は、凝集力が弱くなりすぎて接着強度が低下し、密封性に劣るため好ましくない。
前記樹脂層(A)のポリプロピレンとポリブテン−1との混合樹脂におけるポリプロピレンとポリブテン−1との混合比率は、ポリプロピレン100質量部に対してポリブテン−1が30〜150質量部であることが好ましい。
前記ポリブテン−1の混合量が30質量部未満の場合は、低温ヒートシール性が悪くなると共に、被着材のポリプロピレンに熱接着した後、剥離させた際、糸引きを生じやすくなるため好ましくない。また、前記ポリブテン−1の混合量が150質量部を超える場合は、性能面では問題はないが、製膜の際、ポリブテン−1は、結晶化速度が遅く冷却効率が悪いため、製膜速度が抑制され生産性の低下を来たし、また、ポリプロピレンと比較してポリブテン−1は、現状、供給量に制約がありコストも高く、その使用比率を低減できないため、経済性の面でメリットを得られず好ましくない。
本発明において、MFR(メルトフローレート)は、JIS K7210の熱可塑性プラスチックの流れ試験方法によるものであり、前記ポリプロピレンのMFRは、条件14(230℃、21.18N)による値で、ポリブテン−1、および高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRは、条件4(190℃、21.18N)による値である。また、単位はいずれも〔g/10分〕である。
樹脂層(A)において、ポリプロピレンとポリブテン−1とは相溶性があり、海・島状構造の海部分を形成し、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体は、前記ポリプロピレンおよびポリブテン−1と相溶性がなく、島部分を形成するものである。
このような構造の樹脂層(A)を、例えば共押し出しインフレーション成形法で樹脂層(B)と共に容易に製膜するためには、ポリプロピレンの前記MFRは5〜40の範囲であることが好ましく、且つ、ポリブテン−1は融点が110〜130℃で、前記MFRは2〜30であることが好ましい。ポリプロピレンのMFRおよびポリブテン−1の融点とMFRがこの範囲からはずれるとフィルムの製膜加工が困難となるため好ましくない。
また、樹脂層(A)の高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRは、被着材のポリプロピレンにヒートシールした後、開封した時の糸引きに関係し、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRが、ポリプロピレンおよびポリブテン−1の前記MFRよりも大きい場合は、前記開封時に糸引きを生じやすくなるため好ましくない。
この糸引きの発生を抑制するためには、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRは、ポリプロピレンおよびポリブテン−1の前記MFRよりも小さいことが好ましく、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体とポリプロピレンおよびポリブテン−1とのMFR比が1/2〜1/20の範囲であることが更に好ましい。
請求項2に記載した発明は、前記樹脂層(B)のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の易開封性シーラントフィルム
からなる。
前記樹脂層(B)のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることが好ましく、密度が0.910g/cm3 未満の場合は、このシーラントフィルムを用いた包装材料を被着材のポリプロピレンにヒートシールした後、開封した時に糸引きを生じるようになり、また、密度が0.930g/cm3 を超える場合は、樹脂層(A)との積層強度が弱くなり、シーラントフィルムに必要なヒートシール強度が得られなくなるため好ましくない。
請求項3に記載した発明は、前記樹脂層(A)の厚みが2〜15μmの範囲であり、且つ前記樹脂層(B)の厚みが樹脂層(A)の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルムからなる。
上記樹脂層(A)の厚みは2〜15μmの範囲が好ましく、また、樹脂層(B)の厚みは樹脂層(A)の厚みよりも大きいことが好ましい。
樹脂層(A)の厚みが2μm未満の場合は、このシーラントフィルムを被着材にヒートシールした時、シール強度が弱く密封性を維持することができず、また、樹脂層(A)の厚みが15μmを超える場合は、ピール強度が不安定となり良好なイージーピール性が発現されないため好ましくない。
また、樹脂層(B)の厚みが樹脂層(A)の厚みよりも薄い場合は、シーラントフィルムの製膜加工が困難となるため好ましくない。
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルムが、ヒートシール層としてその樹脂層(B)側で基材に積層され、樹脂層(A)が最内層となるように構成された包装材料からなる。
上記基材は、特に限定はされず、紙、プラスチックフィルム、金属箔などを単独もしくは適宜積層して使用することができる。
このような基材と易開封性シーラントフィルムとの積層は、ドライラミネート法または押し出しラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により容易に積層することができる。また、積層の際、基材および易開封性シーラントフィルムの積層面には、必要に応じてフレーム処理、コロナ放電処理、オゾン処理のほか、アンカーコート処理、プライマーコート処理などの易接着性処理を施すことができる。
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した包装材料が、蓋材として容器開口部の接着面がポリプロピレンで形成された容器の開口部にヒートシールされ、開封時に、蓋材の樹脂層(A)が凝集破壊して開封されることを特徴とする包装容器からなる。
上記容器開口部の接着面がポリプロピレンで形成された容器としては、例えば、ポリプロピレン単独の射出成形またはシート成形容器のほか、ポリプロピレンを最内層に用いた多層射出成形容器または多層シート成形容器、或いは、ポリプロピレンを最内層に積層したカップ状またはトレー状の紙容器、更には、ブランク板を射出成形金型内に挿入して、フランジ部その他必要部分にポリプロピレンを射出成形して作製されるカップ型複合容器などを使用することができる。
前記容器が、多層シート成形容器で、ガスバリヤー性を必要とする場合は、例えば、成形用多層シートを、中間層にエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物などのガスバリヤー性樹脂層を設け、その両側にポリプロピレン層を積層して形成し、これを圧空・真空成形法などで容器に成形してガスバリヤー性容器を製造することができる。
請求項1に記載した発明によれば、易開封性シーラントフィルムを、被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)と、該樹脂層(A)に隣接して積層された樹脂層(B)とで形成し、該樹脂層(A)がポリプロピレン(以下、PPと記載することがある)とポリブテン−1(以下、PB−1と記載することがある)との混合樹脂100質量部に対して、高圧法低密度ポリエチレン(以下、高圧法LDPEと記載することがある)またはエチレン系共重合体を20〜90質量部の割合で混合した混合樹脂で形成され、且つ、該樹脂層(B)がシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体または高密度ポリエチレン(以下、HDPEと記載することがある)またはポリプロピレンで形成された構成としているので、以下のような作用効果を奏する。
即ち、この易開封性シーラントフィルムを、例えば、共押し出しインフレーション成形法で製膜することにより、前記樹脂層(A)では、PPとPB−1とは相溶性を有するのに対して、高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体は、PPおよびPB−1のいずれに対しても相溶性を有していないため、PPとPB−1とをマトリックス成分(海成分)とし、その中に高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体が島状に分散された海・島状構造に製膜することができる。
そして、海部分をなすPPとPB−1は、いずれも被着材のPPに対して熱接着性を有しているので、PP被着材に対する熱接着性成分として作用する。一方、島部分をなす高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体は、PPおよびPB−1の凝集力を低下させると同時に、被着材のポリプロピレンに対して熱接着性をもたないので、この易開封性シーラントフィルムをシーラント層に用いた包装材料を、例えば、ポリプロピレンを被着材とする容器にヒートシールしたとき、その開封時に、樹脂層(A)に凝集破壊を生じさせイージーピール性が発現される。
前記樹脂層(A)のマトリックス成分にPPとPB−1の混合樹脂を用いることにより、両者の欠点を互いに補完したものであり、PB−1により低温シール性と冷凍など低温時の物性、耐性を向上させ、また、熱接着後の剥離の際の糸引きを防止すると共に、PPによりコストの低減を可能としたものである。
前記樹脂層(B)には、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体またはHDPEまたはPPを使用することが好ましく、例えば、高圧法低密度ポリエチレンやマルチサイト触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレンを用いた場合は、樹脂層(A)との積層強度が弱くなり、その結果、樹脂層(A)による必要なヒートシール強度も得られなくなるため好ましくない。
樹脂層(B)は、凝集力が樹脂層(A)よりも強く、ピール時に凝集破壊を樹脂層(A)に限定して発生させ、ピール強度を安定化させると共に、ヒートシールの際、シールヘッドの当たりムラを吸収し、シール強度を安定化させる作用を有している。
また、樹脂層(B)を設けることにより、樹脂層(A)の厚みを薄く形成する際も、樹脂層(A)と樹脂層(B)を共押し出しインフレーション法で製膜することにより、樹脂層(A)の厚みを安定させ、易開封性シーラントフィルムの製膜を容易に行えるようになる。
従って、安定したヒートシール適性と密封性、および凝集破壊による安定した易開封性を備えると共に、経済性にも優れた易開封性シーラントフィルムを生産性よく提供できる効果を奏する。
易開封性シーラントフィルムの構成において、前記樹脂層(A)のポリプロピレンとポリブテン−1との混合樹脂におけるポリプロピレンとポリブテン−1との混合比率を、ポリプロピレン100質量部に対してポリブテン−1を30〜150質量部混合した構成としているので、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、前記ポリプロピレンとポリブテン−1の混合割合を一層適する範囲とすることができ、低温シール性の向上効果、および被着材のポリプロピレンに熱接着した後、剥離した際の糸引きの防止効果、そして、コストの低減効果をバランスよく一層確実に得ることができる。
易開封性シーラントフィルムの構成において、前記樹脂層(A)の混合樹脂のポリプロピレンはそのMFRを5〜40の範囲とし、ポリブテン−1はその融点を110〜130℃の範囲で、MFRを2〜30の範囲とし、また、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体はそのMFRを、前記ポリプロピレンのMFRおよびポリブテン−1のMFRよりも小さくした構成としているので、易開封性シーラントフィルムの製膜の際、樹脂層(A)におけるポリプロピレンおよびポリブテン−1と、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体とによる海・島状構造の製膜を一層容易に行えるようになる。また、易開封性シーラントフィルムを被着材のポリプロピレンにヒートシールした後、開封した時の糸引きの発生も防止することができる。
易開封性シーラントフィルムのヒートシール後の開封時における樹脂層(A)による凝集破壊が一層確実に行われ、熱接着性、密封性に優れると共に、剥離面に糸引きもなく一層安定した易開封性を備えた易開封性シーラントフィルムを生産性よく製造することができる。
請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載した発明の易開封性シーラントフィルムの構成において、前記樹脂層(B)のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体の密度を0.910〜0.930g/cm3 の範囲とした構成としているので、前記樹脂層(A)に対する樹脂層(B)の積層強度を強く安定化できると共に、易開封性シーラントフィルムを被着材のポリプロピレンにヒートシールした後、開封した時の糸引きを防止することができる。
従って、請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用効果に加えて、易開封性シーラントフィルムの開封時の糸引きの発生がなく、且つ適度のヒートシール強度を有し、易開封性と共に熱接着性、密封性に一層優れた易開封性シーラントフィルムを確実に製造すことができる。
請求項3に記載した発明によれば、請求項1乃至のいずれかに記載した発明の易開封
性シーラントフィルムの構成において、前記樹脂層(A)の厚みが2〜15μmの範囲で
、且つ前記樹脂層(B)の厚みを樹脂層(A)の厚みよりも大きくした構成としているの
で、請求項1乃至4のいずれかに記載した発明の作用効果に加えて、易開封性シーラント
フィルムの製膜を一層容易に行えると共に、安定したヒートシール強度および密封性とイ
ージーピール性とを備えた易開封性シーラントフィルムを一層容易に製造することができ
る。
請求項4に記載した発明によれば、易開封性シーラントフィルムを用いた包装材料を、請求項1乃至のいずれかに記載した易開封性シーラントフィルムをヒートシール層として、その樹脂層(B)側で基材に積層し、樹脂層(A)が最内層となるように構成しているので、請求項1乃至5のいずれかに記載した発明の易開封性シーラントフィルムの性能を、そのまま包装材料のヒートシール層に付与できる。従って、蓋材の接着面がポリプロピレンで形成された容器の蓋材や袋などの包装材料として、良好な熱接着性と易開封性とを兼ね備えると共に、低温シール性や、冷凍など低温時の物性、耐性などに優れ、更に経済性にも優れた包装材料を提供することができる。
請求項5に記載した発明によれば、易開封性シーラントフィルムを用いた包装容器を、請求項に記載した包装材料を蓋材に用いて、容器開口部の接着面がポリプロピレンで形成された容器の開口部にヒートシールし、開封時に、蓋材の樹脂層(A)が凝集破壊して開封される構成としているので、蓋材の熱接着性がよく、密封性に優れると共に、開封時には、蓋材の樹脂層(A)が凝集破壊して開封されるため、剥離面に糸引きが発生することもなくきれいに剥離され、イージーピール性に優れ、更に経済性にも優れた包装容器を提供することができる。
図1は、本発明の易開封性シーラントフィルムの一実施例の構成を示す模式断面図である。
図2は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いて製造される包装材料の一実施例の構成を示す模式断面図である。
図3は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いた包装材料を蓋材に使用して製造される包装容器の一実施例の構成を示す模式断面図である。
図1に示した易開封性シーラントフィルム100は、包装材料として使用する場合、通常、図2に示すように基材に積層して、そのヒートシール層として使用されるものであり、図において下側の被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)1と、それに隣接して積層された樹脂層(B)4とで構成され、樹脂層(B)4は、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体またはHDPEまたはPPで形成され、また、樹脂層(A)1は、PPとPB−1との混合樹脂2を100質量部に対して、高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体3を20〜90質量部の割合で混合した混合樹脂で形成される。更に、PPとPB−1との混合樹脂2における両者の混合比率は、PP100質量部に対してPB−1が30〜150質量部であることが好ましい。
樹脂層(A)1において、PPとPB−1とは相溶性を有するため均質相を形成するが、高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体3は、PPとPB−1のいずれとも相溶性がないため、製膜された樹脂層(A)1において、PPとPB−1との混合樹脂2をマトリックス成分(海成分)とし、その中に高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体3が島成分として分散された海・島状構造を採るように形成されて構成されている。
前記樹脂層(A)1のマトリックス成分であるPPとPB−1との混合樹脂2は、被着材のポリプロピレンに対して良好な熱接着性を有すると共に、混合樹脂2のPB−1により、前述したように、低温でのヒートシールが可能となるほか、冷凍など低温における物性や耐性を向上させることができる。また、混合樹脂2のPPにより、PB−1を単独で使用した場合と比較して、前記性能を維持しながらコストを低減させることができる。
そして、PPとPB−1との混合樹脂2と、これに混合して用いる高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体3とで樹脂層(A)1を海・島状構造に形成し、その凝集力を低下させてシール後の剥離の際に、凝集破壊による良好なイージーピール性を発現させるものである。
前記PB−1としては、先にも記載したように、1−ブテンのホモポリマーのほか、1−ブテンにコモノマーとしてエチレンや他のα−オレフィンを共重合させた共重合体を使用することができ、その融点は110〜130℃の範囲で、MFRは2〜30の範囲であることが好ましい。
前記PPとしては、プロピレンのホモポリマーでもよいが、プロピレンにコモノマーとしてエチレン、ブテン−1、或いは、その他のα−オレフィンを共重合させたランダム共重合体を好適に使用することができる。また、PPのMFRは5〜40の範囲が好ましく、10〜30の範囲が更に好ましい。PPの融点についても150℃以下のように低いものが開封時の糸引き防止の点から好ましく、そのためにもPPはランダム共重合体が好ましい。
樹脂層(A)1に、前記PPとPB−1と共に、混合して用いる高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体3としては、前述したように、高圧法LDPEのほか、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体を使用することができる。
このような高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体3は、前記PPとPB−1の混合樹脂2との海・島状構造の形成性の点から、そのMFRがPPおよびPB−1のMFRよりも小さいことが好ましい。
また、樹脂層(A)1に隣接して積層する樹脂層(B)4は、樹脂層(A)1と協力して良好な易開封性シーラントフィルム100を形成するものであり、そのためには、樹脂層(A)1との接着性がよく、且つクッション性を有し、樹脂層(A)1のヒートシール性を安定化できるものが好ましい。
このような樹脂層(B)4としては、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、HDPE、PPが適しており、なかでもシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体でコモノマーのα−オレフィンとして1−ヘキセンや1−オクテンを使用したエチレン・α−オレフィン共重合体が特に適している。また、このようなシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることが好ましい。
前記のようなPPとPB−1の混合樹脂2と、高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体3の混合樹脂で形成する樹脂層(A)1は、適度のヒートシール強度とシール後の剥離時に確実に凝集破壊されて且つ糸引きを発生させない良好なイージーピール性を有することが好ましく、そのためには樹脂層(A)1の厚みは、比較的薄くてよく、2〜15μmの範囲であることが好ましい。
また、樹脂層(A)1に隣接して積層する樹脂層(B)4の厚みは、そのクッション性を有効に作用させるためにも比較的厚くすることが好ましく、少なくとも樹脂層(A)1の厚みよりも大きいことが好ましい。
以上のような樹脂層(A)1と樹脂層(B)4の積層体で形成される易開封性シーラントフィルム100の製造方法は、特に樹脂層(A)1の厚みを例えば5μm以下のように薄く形成する場合、そのフィルムを単独で安定した厚みに製膜することは難しく、樹脂層(A)1と樹脂層(B)4とを同時に共押し出しインフレーション成形法で製膜する方法が生産性もよく有効である。
次に、図2は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いて製造される包装材料の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図2に示した包装材料200は、前記図1に示した易開封性シーラントフィルム100を、その樹脂層(B)4が基材5に対向するように配置し、両者を接着層6を介して貼り合わせて構成したものである。
上記基材5としては、紙、プラスチックフィルム、金属箔の単体、または、これらの2種以上を積層した積層体を使用することができる。プラスチックフィルムは、更にガスバリヤー性を向上させるために、シリカやアルミナなどの無機酸化物の薄膜層や、アルミニウムなどの金属の薄膜層を設けた蒸着フィルムであってもよい。
このような包装材料200は、基材5と易開封性シーラントフィルム100を、接着層6として、例えば、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて製造できるほか、接着層6として、低密度ポリエチレン、エチレン系共重合体、或いはポリエチレン系ブレンド樹脂などの熱接着性樹脂を用いて押し出しラミネート法(サンドイッチラミネート法)で貼り合わせて製造することもできる。
また、このような包装材料200は、開口部の蓋材接着面がポリプロピレンで形成された各種包装容器の易開封性蓋材として好適に使用できるほか、各種の形状に製袋して、易開封性の袋としても使用できるものである。
図3は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いた包装材料を蓋材に使用して製造される包装容器の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図3に示した包装容器300は、上部が開口し、開口上部の周縁にフランジ部11が設けられた容器本体10と、その開口部を覆い、且つ一端につまみ部21が設けられた形状で、容器のフランジ部11にヒートシールして用いられる蓋材20とで構成されている。
上記蓋材20には、例えば、前記図2に示した構成の易開封性の包装材料200を打ち抜いたものを用い、また、容器本体10には、その蓋材の接着面、この場合、フランジ部11の少なくとも上面がポリプロピレンで形成された容器を用いることができる。
このような容器本体10としては、ポリプロピレン単独の射出成形またはシート成形による容器のほか、ポリプロピレンを最内層に用いた多層射出成形または多層シート成形による容器、或いは、ポリプロピレンを最内層に積層したカップ状またはトレー状の紙容器、更には、ブランク板を射出成形金型内に挿入して、フランジ部その他必要部分にポリプロピレンを骨組み状などに射出成形して作製されるカップ型複合容器などを使用することができる。
このような構成を採ることにより、包装容器300のヒートシールが、容器のフランジ部11のポリプロピレン面と、蓋材20の樹脂層(A)面とのヒートシールで行われるので、適度のシール強度で密封性よくヒートシールできると共に、包装容器300を開封する際には、蓋材20を、つまみ部21をつまんで引き剥がすことにより、樹脂層(A)が凝集破壊され、剥離面に糸引きを生じることもなく、良好なイージーピール性で開封することができる。
以下に、本発明の易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料について実施例を示して更に具体的に説明する。但し、本発明は、その要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
図2に示した構成の包装材料を作製することとし、易開封性シーラントフィルム100を、樹脂層(A)1には、PP(コモノマーにエチレンを用いたランダム共重合体、融点134℃、MFR=20)とPB−1(融点125℃、MFR=20)とを質量比5:2で混合した混合樹脂を100質量部に対して、高圧法LDPE(MFR=4)を43質量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)4には、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、M−エチレン・α−オレフィン共重合体と記載することがある)(この場合、α−オレフィンには1−ヘキセンを使用)(密度0.920g/cm3 )を用いて、樹脂層(A)の厚みが5μmで、樹脂層(B)の厚みが25μmとなるように共押し出しインフレーション成形法(押し出し温度230℃)で製膜して作製した。
次いで、基材5には、外側から二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載することがある)(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/アルミニウム箔(厚み7μm)/接着剤層(厚み3μm)/PETフィルム(厚み12μm)の順に積層した積層フィルム(総厚み54μm)を用いて、その内側のPETフィルム面(コロナ放電処理あり)にアンカーコートを施した後、そのアンカーコート面と前記易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面とを対向させ、両者の間に接着層6として高圧法LDPE(厚み20μm)を用いて押し出しラミネート法(サンドイッチラミネート法)で貼り合わせて実施例1の易開封性の包装材料を作製した。
尚、前記基材5の積層フィルムの貼り合わせに関しても、外側のPETフィルムと中間層のアルミニウム箔とは、両者の間に接着層として高圧法LDPE(厚み20μm)を用いた押し出しラミネート法で貼り合わせたものであり、また、中間層のアルミニウム箔と内側のPETフィルムとは、接着剤として2液硬化型ポリウレタン系接着剤(厚み3μm)を用いて、ドライラミネート法で貼り合わせたものである。
上記実施例1の包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/アルミニウム箔(厚み7μm)/接着剤層(厚み3μm)/PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)層(厚み25μm)/前記PPとPB−1の混合樹脂(100質量部):高圧法LDPE(43質量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
図2に示した構成の包装材料を、以下のように作製して実施例2の包装材料を得た。
易開封性シーラントフィルム100を、樹脂層(A)1には、PP(コモノマーにエチレンを用いたランダム共重合体、融点134℃、MFR=20)とPB−1(融点125℃、MFR=20)とを質量比4.5:2の割合で混合した混合樹脂を100質量部に対して、高圧法LDPEを54質量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)4は、2層構成として、樹脂層(A)に接する側の層には実施例1の樹脂層(B)に用いた樹脂と同じM−エチレン・α−オレフィン共重合体を用い、基材5と貼り合わせる側の層には高圧法LDPE(密度0.925g/cm3 、MFR=2.2)を用いて、樹脂層(A)の厚みが5μmで、樹脂層(B)は、基材5と貼り合わせる側の前記高圧法LDPE層の厚みが13μmで、樹脂層(A)に接する側の前記M−エチレン・α−オレフィン共重合体層の厚みが12μm〔樹脂層(B)の総厚みは25μm〕となるように共押し出しインフレーション成形法(押し出し温度230℃)で製膜して作製した。
次いで、基材5には、PETフィルム(厚み12μm)と、一方の面にシリカ蒸着層を設けたPETフィルム(厚み12μm)とを、そのシリカ蒸着層が貼り合わせ面になるように向けて、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせた積層フィルムを用いて、そのシリカ蒸着PETフィルム側のPETフィルム面と前記易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面とを対向させ、両者を接着層6として二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて易開封性の包装材料を作製した。
尚、上記ドライラミネートの際、貼り合わせ面となるPETフィルム面および易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4の高圧法LDPE層面には、いずれもコロナ放電処理を施して貼り合わせたものである。
上記実施例2の包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/接着剤層(厚み3μm)/シリカ蒸着層・PETフィルム(厚み12μm)/接着剤層(厚み3μm)/高圧法LDPE層(厚み13μm)/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)層(厚み12μm)/前記PPとPB−1の混合樹脂(100質量部):高圧法LDPE(54質量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
(比較例1)
前記実施例1の包装材料の構成において、易開封性シーラントフィルム100の製膜に用いた樹脂層(A)の混合樹脂からPB−1を取り除き、PP(コモノマーにエチレンを用いたランダム共重合体、融点134℃、MFR=20)100質量部に対して、高圧法LDPE(MFR=4)を43質量部の割合で混合した混合樹脂を用いて樹脂層(A)を形成したほかは、全て実施例1と同様に加工して比較例1の包装材料を作製した。
上記比較例1の包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/アルミニウム箔(厚み7μm)/接着剤層(厚み3μm)/PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)層(厚み25μm)/前記PP(100質量部):高圧法LDPE(43質量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
(比較例2)
前記実施例1の包装材料の構成において、易開封性シーラントフィルム100の製膜に用いた樹脂層(B)のM−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)(密度0.920g/cm3 、MFR=2)のみを高圧法LDPEに変更して製膜した他は、全て実施例1と同様に加工して比較例2の包装材料を作製した。
上記比較例2の包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/アルミニウム箔(厚み7μm)/接着剤層(厚み3μm)/PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/高圧法LDPE(密度0.925g/cm3 、MFR=2.2)層(厚み25μm)/前記PPとPB−1の混合樹脂(100質量部):高圧法LDPE(43質量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
〔試験および結果〕
以上のように作製した実施例1、2、および比較例1、2の包装材料を試料として、それぞれを厚み500μmのポリプロピレンシートに、シール温度190℃〜200℃、圧力98kPa、時間1秒間のシール条件でヒートシールした後、それぞれの包装材料をポリプロピレンシートから剥離して、その剥離強度と、剥離面の状態、即ち、均一な凝集破壊が行われたか否か、および糸引きの有無を調べた。
実施例1および実施例2の包装材料は、いずれも適度な剥離強度(6〜15N/15mm幅の範囲)を示し、剥離面に糸引きを発生することもなく、樹脂層(A)が凝集破壊されて均一に剥離でき、良好な熱接着性とイージーピール性(易開封性)を有していた。
これに対して、比較例1の包装材料は、易開封性シーラントフィルムの樹脂層(A)のマトリックス成分の樹脂に、PB−1を混合せず、PP(コモノマーにエチレンを用いたランダム共重合体)のみを用いたので、剥離面に糸引きを発生し、また、凝集破壊も不均一となり好ましくなかった。
また、比較例2の包装材料は、易開封性シーラントフィルムの樹脂層(B)を高圧法LDPEで形成したので、樹脂層(A)との積層強度が弱くなり、剥離の際に、樹脂層(B)と樹脂層(A)との間で層間剥離が発生し、良好なヒートシール強度、密封性を得られず好ましくなかった。
本発明の易開封性シーラントフィルムは、成形容器の蓋材や袋などのヒートシール層として利用できるものであり、特に、被着面がポリプロピレンで形成された成形容器や袋などに対して、安定したヒートシール性、密封性とイージーピールによる易開封性とを有し、好適に使用できると同時に、製造コストの低減も可能としたものである。
これらの成形容器や袋などに充填される内容物に関しては、各種食品や薬品など広範囲の内容物に使用でき特に制限はない。
本発明の易開封性シーラントフィルムの一実施例の構成を示す模式断面図である。 本発明の易開封性シーラントフィルムを用いて製造される包装材料の一実施例の構成を示す模式断面図である。 本発明の易開封性シーラントフィルムを用いた包装材料を蓋材に使用して製造される包装容器の一実施例の構成を示す模式断面図である。
符号の説明
1 樹脂層(A)
2 PPとPB−1との混合樹脂
3 高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体
4 樹脂層(B)
5 基材
6 接着層
10 容器本体
11 フランジ部
20 蓋材
21 つまみ部
100 易開封性シーラントフィルム
200 包装材料
300 包装容器

Claims (5)

  1. 被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)と、該樹脂層(A)に隣接して積層された樹脂層(B)よりなり、易開封性のシーラントフィルムであって、前記樹脂層(A)がポリプロピレンとポリブテン−1との混合樹脂を100質量部に対して高圧法低密度ポリエチレン又はエチレン系共重合体を20〜90質量部を含む混合樹脂で、前記樹脂層(A)のポリプロピレンとポリブテン−1との混合樹脂におけるポリプロピレンとポリブテン−1との混合比率がポリプロピレン100質量部に対してポリブテン−1が30〜150質量部であり、前記樹脂層(B)がシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体又は高密度ポリエチレン且つ、前記ポリプロピレンMFRが5〜40の範囲であり、ポリブテン−1融点が110〜130℃で、MFR2〜30の範囲で、且つまた、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体MFRがポリプロピレンのMFRおよびポリブテン−1のMFRよりも小さいことを特徴とする易開封性シーラントフィルム。
  2. 前記樹脂層(B)のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の易開封性シーラントフィルム。
  3. 前記樹脂層(A)の厚みが2〜15μmの範囲であり、且つ前記樹脂層(B)の厚みが樹脂層(A)の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルムが、ヒートシール層としてその樹脂層(B)側で基材に積層され、樹脂層(A)が最内層となるように構成された包装材料。
  5. 請求項4に記載した包装材料が、蓋材として容器開口部の接着面がポリプロピレンで形成された容器の開口部にヒートシールされ、開封時に、蓋材の樹脂層(A)が凝集破壊して開封されることを特徴とする包装容器。
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