JP4397754B2 - エンジンバルブ及びその製造方法 - Google Patents

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この発明は、例えば、自動車用エンジンの吸気バルブ及び排気バルブとして使用されるエンジンバルブ及びその製造方法に関する。
近年、自動車用エンジンの高回転化や軽量化の要請から、吸気バルブや排気バルブとしてチタン合金製のエンジンバルブが使われている。図7に示すように、一般的なエンジンバルブ31は、軸部32と、その軸部32の一端に形成された傘部33と、軸部32の他端に形成された溝部34及び軸端部35とを備える。この種のエンジンバルブ31は、図8に示すように、溝部34にコッタ41を介してスプリングリテーナ42が設けられ、そのスプリングリテーナ42には、圧縮スプリングよりなるバルブスプリング43がシリンダヘッドとの間に設けられる。従って、溝部34の部分には、バルブスプリング43により、図8において上向き(矢印方向)の付勢力が作用することになる。
ここで、チタン合金製のエンジンバルブは、活性により他の金属と凝着を起こし易く、耐摩耗性が十分ではない。このため、エンジンバルブにおいて、特にロッカーアームなどと頻繁に接触する軸端部35を含む軸先端部分は、他の部分よりも高い耐摩耗性が要求される。そこで、この種のチタン合金製のエンジンバルブに関する技術が、下記の特許文献1乃至4に種々開示される。
特許文献1に記載されたエンジンバルブは、チタン合金製のエンジンバルブの耐摩擦性を向上させるために、耐摩擦性が要求される部位に、酸素拡散層又は酸素拡散及び浸炭層が形成されている。
特許文献2に記載されたエンジンバルブは、図9に示すように、軸部32の傘部とは反対側の端部に、焼き入れ硬化させた鋼製棒状部材を摩擦圧接させた後、機械加工して、耐摩耗性を有する軸先端部36を形成している。この軸先端部36は、上記した溝部34と軸端部35を含む。
特許文献3に記載されたエンジンバルブは、チタン合金製のエンジンバルブの軸端部の頂面に形成された凹部に、予め所定寸法に加工した鋼製チップを、焼き入れ硬化させて冷間圧入している。
特許文献4に記載されたエンジンバルブは、図10に示すように、チタン合金製のエンジンバルブの軸部32の一端に、耐熱鋼製の軸端部材37を、ニッケル系のろう材38によりろう付けしている。この軸端部材37は、溝部34及び軸端部35を含む。
特開2002−97914号公報(第2−3頁、図1) 特開平5−59919号公報(第2頁、図2) 特開平5−146921号公報(第2頁、図2,3) 特開平5−202706号公報(第2−3頁、図1,2)
ところが、特許文献1に記載のエンジンバルブは、耐摩擦性が要求される部位に形成される層が、酸素拡散層(酸化処理)と浸炭層だけで膜厚が十分ではなかった。このため、各層が軸端部の応力に耐えられなくなるおそれがあった。
特許文献2に記載のエンジンバルブは、鋼製棒部材よりなる軸先端部36が溝部34を含み、その溝部34より下側で軸部32と軸先端部36が接合されている。このため、エンジンバルブの傘部がバルブシートに着座するたびに、溝部34の部分に上向きに作用するバルブスプリングの付勢力が、軸先端部36を軸部32との接合部分から引き離す方向に働くことになり、接合強度の低下が問題となった。また、軸部32と軸先端部36との接合界面の位置を制御することも難しかった。
特許文献3に記載のエンジンバルブは、鋼製チップが凹部に圧入されるだけなので、鋼製チップにカムなどの衝撃が加わるうちに鋼製チップが凹部から脱落するおそれがあった。
特許文献4に記載のエンジンバルブでは、そもそもニッケル系ろう材は、チタン合金に用いられると、脆化物を形成するため、機能部品への適用が困難であった。このため、軸部32がチタン−アルミ系金属間化合物に限定されることになった。また、ろう付け時の熱処理条件しだいでは、溝部34の部分の疲労特性が低下するおそれがあった。更に、このエンジンバルブでも、溝部34の部分に上向きに作用するバルブスプリングの付勢力が、軸端部材37を軸部32との接合部分から引き離す方向に働くことになるので、接合強度の低下が問題となった。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、軸端部の耐摩耗性と、軸端部及び溝部の近傍における疲労強度を向上させるエンジンバルブ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、軸部と、軸部の一端に形成される傘部と、軸部の他端に形成される溝部及び軸端部とを備え、アルミを含有したチタン合金により形成されるエンジンバルブであって、軸部、傘部、溝部及び軸端部を含むワークの、少なくとも表面全体を予め加熱により針状組織としておき、その後、軸部の一部、溝部及び軸端部の少なくとも表面と焼き入れ可能な耐熱鋼チップとを加熱することにより、軸端部の先端に耐熱鋼チップをろう付けすると共に、軸部の一部、溝部及び軸端部の少なくとも表面を針状組織から等軸組織又は溶体化組織としたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、軸部、傘部、溝部及び軸端部を含むワークの、少なくとも表面全体を予め加熱により針状組織としておき、その後、軸部の一部、溝部及び軸端部の少なくとも表面と焼き入れ可能な耐熱鋼チップとが加熱されるので、それら部位の表面組織の最適化が行われる。また、その加熱により軸端部の先端に耐熱鋼チップがろう付けされるので、軸端部の先端に耐熱鋼チップが比較的容易に接合される。また、軸部の一部、溝部及び軸端部の少なくとも表面を針状組織から等軸組織又は溶体化組織としたので、エンジンバルブとしての耐熱性は従来通り確保される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、軸部と、軸部の一端に形成される傘部と、軸部の他端に形成される溝部及び軸端部とを備え、アルミを含有したチタン合金により形成されるエンジンバルブの製造方法であって、軸部、傘部、溝部及び軸端部を加熱することにより全体を針状組織とする第1加熱工程と、軸端部の先端にろう材を介して焼き入れ可能な耐熱鋼チップを適当な荷重で押付け保持する工程と、耐熱鋼チップ、軸端部、溝部及び軸部の一部を加熱することにより、軸端部の先端に耐熱鋼チップをろう付けすると共に、軸端部、溝部及び軸部の一部の少なくとも表面を等軸組織又は溶体化組織とする第2加熱工程と、第2加熱工程の直後にその加熱部分を急冷却する急冷却工程とを備えたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、耐熱鋼チップが軸端部に好適にろう付けと同時に焼き入れされる。これと同時に、軸部の一部、溝部及び軸端部の少なくとも表面に等軸組織又は溶体化組織が形成されると共に、軸部の一部以外の部分及び傘部に針状組織が形成される。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項6に記載のエンジンバルブの製造方法において、第2加熱工程は、真空中又は不活性雰囲気の下で所定時間行われる高周波誘導加熱であることを趣旨とする。
上記構成によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、耐熱鋼チップが、真空中又は不活性雰囲気の下で高周波誘導加熱により短時間で高品質にろう付けされる。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項6又は7に記載のエンジンバルブの製造方法において、第2加熱工程の加熱保持温度は、β変態点−100〜+100℃、かつ、ろう材の液相線以上で、かつ、耐熱鋼チップの焼き入れ温度以上であり、加熱保持時間は1〜10分であることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2又は3に記載の発明の作用に加え、耐熱鋼チップのろう付け及び焼き入れと、軸端部及び溝部などの少なくとも表面の組織の最適化が一工程で行われる。
請求項1に記載の発明によれば、軸端部の先端に耐熱鋼チップをろう付けした、アルミを含有したチタン合金よりなるエンジンバルブを比較的容易に製造することができる。
請求項2に記載の発明によれば、耐熱鋼チップのろう付け及び焼き入れと、軸部の一部、溝部及び軸端部の少なくとも表面の組織の最適化を同時に行うことができ、エンジンバルブの製造時間の短縮化を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、酸化などがなく軸端部への耐熱鋼チップの焼き入れと同時にろう付けが速やかに行われ、エンジンバルブの製造時間の短縮化を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明の効果に加え、耐熱鋼チップの焼き入れと同時にろう付けと、軸端部及び溝部などの少なくとも表面の組織の最適化が図られ、エンジンバルブの品質を高めることができる。
以下、本発明におけるエンジンバルブ及びその製造方法を具体化した一実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態のエンジンバルブ1を正面図により示す。このエンジンバルブ1は、エンジンの吸気バルブや排気バルブとして使用されるものであり、軸部2と、その軸部2の一端(基端)に形成された傘部3と、軸部2の他端(先端)に形成された溝部4及び軸端部5とを備える。上記の構成部位2〜5は、アルミを含有したチタン合金により形成される。この実施形態の軸端部5は、従来例のエンジンバルブ31における軸端部35(図7参照)に比べて短いものとなっている。この軸端部5の先端には、焼き入れ可能な耐熱鋼チップ6が加熱されると共にろう付けされる。すなわち、軸端部5の先端には、耐熱鋼チップ6が、ろう材7を介して接合される。
図2に、軸部2の先端部分、溝部4、軸端部5及び耐熱鋼チップ6を含むエンジンバルブ1の先端部分を拡大して示す。図2には、各構成部位2〜7の違いが異なる模様で示される。この実施形態で、軸部2の一部、溝部4及び軸端部5の少なくとも表面は、図2に右上がりの斜線群で示す等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)より構成される。また、軸部2の一部以外の部分及び傘部3が、図2に右下がりの斜線群で示す針状組織(α+β)より構成される。つまり、チタン合金より形成される部分は、等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)と、針状組織(α+β)とにより構成される。ここで、図1,2には、ろう材7が他と区別できるように層状に図示されるが、実際には、ろう材7は接合時に相互拡散するので、図示するように層としては残らない。図2において、軸部2の一部であって溝部4の下端から少なくとも1〜10mmの範囲の少なくとも表面は、等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)より構成される。
図3には、この実施形態におけるエンジンバルブ1の各部位(耐熱鋼チップ、その他の部分(チタンバルブ))につき、組成、β変態点、表面処理・熱処理の違いを表に示す。図4には、この実施形態におけるろう材7の一例につき、組成、固相線、液相線及びろう付け温度例の違いを表に示す。
この実施形態のエンジンバルブ1についても、図8に示すと同様、溝部4にコッタを介してスプリングリテーナが設けられ、そのリテーナには、圧縮スプリングよりなるバルブスプリングがシリンダヘッドとの間で設けられる。これにより、溝部4の部分には、バルブスプリングにより上向きの付勢力が作用することになる。
次に、上記したエンジンバルブ1の製造方法について説明する。図5に、エンジンバルブ1の製造工程をフローチャートに示す。このフローチャートに付される各番号に沿って順次説明する。
(1)素形材が準備される。
(2)素形材につき、熱間鍛造が行われる。この鍛造で、素形材から、図1に示す軸部2、傘部3、溝部4及び軸端部5を含んだ基本形状をなすワークが得られる。
(3)熱間鍛造後のワークにつき、第1熱処理が行われる。この熱処理により、ワークの全体表面が針状組織(α+β)に形成される。この第1熱処理は、本発明(請求項2)における第1加熱工程に相当する。尚、第1熱処理は、熱間鍛造後の冷却工程を兼ねてもよい。
(4)ワークの機械加工が行われる。この加工により、ワークの外形が整えられる。
(5)ワーク表面の酸化処理が行われる。
(6)軸端部の端面が加工される。この加工は、酸化層を除去することで、後に、軸端部の端面に耐熱鋼チップをろう付けし易くするための準備である。
(7)軸端部の端面に耐熱鋼チップがろう付けされる。このろう付けは、複数の工程で行われる。先ず、軸端部の端面に耐熱鋼チップがろう材を介してある適当な荷重、又は、耐熱鋼チップの自重で押付け保持される。この押付け保持が、本発明(請求項2)における押付け保持する工程に相当する。次に、所定部位につき第2熱処理が行われ、次に、所定部位につき急冷却処理が行われる。
ここで、第2加熱処理は、以下のように行われる。図6に示すように、軸部2の一部、溝部4、軸端部5及び耐熱鋼チップ6を含む先端部分の周囲を誘導加熱コイル11で取り囲む。そして、真空中又は不活性雰囲気の下で所定時間にわたりコイル11を作動させることにより、上記した先端部分を高周波誘導加熱する。図6に示すように、この第2熱処理の加熱は、耐熱鋼チップ6の上端から、軸部5であって溝部4の端から少なくとも1〜10mmの範囲にて行われる。このときの加熱保持温度は、β変態点−100〜+100℃、かつ、ろう材の液相線以上で、かつ、耐熱鋼チップの焼き入れ温度以上であり、その加熱保持時間は1〜10分である。この第2熱処理により、耐熱鋼チップ6、軸端部5、溝部4及び軸部2の一部の表面を加熱し、軸端部5の先端に耐熱鋼チップを6ろう付けすると共に焼き入れし、軸端部5、溝部4及び軸部2の一部の少なくとも表面を等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)としている。この第2熱処理は、本発明(請求項2)における第2加熱工程に相当する。また、上記した急冷却処理は、水、油、液体窒素もしくはドライアイスなどにより加熱範囲を冷却することにより行われる。この急冷却処理は、本発明(請求項2)における急冷却工程に相当する。
(8)ワーク仕上加工が行われる。すなわち、第2熱処理後の寸法確保が行われる。
(9)第2熱処理部分につき、メッキなどを使用して表面処理が行われる。但し、この表面処理は、組織への影響が無い処理温度(例えば、メッキの場合は数十℃)で行う必要がある。
(10)上記工程を経ることにより、エンジンバルブが完成する。
以上説明したこの実施形態のエンジンバルブ1によれば、軸端部5の先端に耐熱鋼チップ6をろう付けしたので、軸端部5が耐熱鋼チップ6を介してロッカーアームなどの部材と接触することになる。また、耐熱鋼チップ6が、溝部4を挟んで軸部2と反対側に位置するので、溝部4の部分にバルブスプリングの付勢力が作用しても、耐熱鋼チップ6のろう付け部分に影響がない。このため、従来のエンジンバルブ31に比べ、エンジンバルブ1の軸端部5の耐摩耗性を向上させることができ、軸端部5及び溝部4の近傍における疲労強度を向上させることができる。このため、特に、エンジン高速回転時などにおいて、エンジンバルブ1の軸部2の振れが大きくなるような場合に、軸端部5及び溝部4の近傍における疲労破壊を効果的に抑制することができるようになる。
この実施形態のエンジンバルブ1によれば、軸部2の一部、溝部4及び軸端部5の少なくとも表面が等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)より構成されるので、その部分の疲労亀裂成長速度が遅くなる。この意味で、軸端部5及び溝部4の近傍における疲労強度を更に高めることができる。また、軸部2の一部以外の部分及び傘部3が針状組織(α+β)より構成されるので、その部分の高温に対するひずみが少ない。このため、従来のチタン合金製エンジンバルブ並の耐熱性を確保しつつ、溝部4の近傍の疲労強度を高めることができる。
また、この実施形態のエンジンバルブ1では、軸部2の一部であって溝部4の端から少なくとも1〜10mmの範囲の少なくとも表面が等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)より構成されるので、溝部4に隣接した軸部2の一部分につき最適範囲で疲労亀裂成長速度が遅くなる。このため、溝部4と軸部2のつなぎ部分でも高い疲労強度を得ることができ、エンジンバルブ1の耐久性を高めることができる。
この実施形態におけるエンジンバルブの製造方法によれば、軸端部5の先端に、焼き入れ可能な耐熱鋼チップ6を加熱によりろう付けしているので、軸端部5の先端に耐熱鋼チップ6が比較的容易に接合される。このため、軸端部5の先端に耐熱鋼チップ6をろう付けした、アルミを含有したチタン合金よりなるエンジンバルブ1を、比較的容易に製造することができる。
この実施形態におけるエンジンバルブの製造方法によれば、軸部2の一部、溝部4及び軸端部5の少なくとも表面と耐熱鋼チップ6が、真空中又は不活性雰囲気の下で高周波誘導加熱され、その加熱後に急冷却されるので、軸端部5への耐熱鋼チップ6の高品質なろう付けと焼き入れが短時間に行われる。このため、エンジンバルブ1の製造時間の短縮化を図ることができる。
この実施形態におけるエンジンバルブの製造方法によれば、耐熱鋼チップ6が軸端部5に好適にろう付けされると同時に焼き入れされる。さらに、軸部2の一部、溝部4及び軸端部5の少なくとも表面に等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)が形成されると共に、軸部2の一部以外の部分及び傘部3は針状組織(α+β)が維持される。このため、耐熱鋼チップ6のろう付けと、軸部2の一部、溝部4及び軸端部5の少なくとも表面の組織の最適化を同時に行うことができ、この意味でも、エンジンバルブ1の製造時間の短縮化を図ることができる。
この実施形態におけるエンジンバルブの製造方法によれば、軸部2の一部であって溝部4の端から少なくとも1〜10mmの範囲の少なくとも表面に等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)が形成される。このため、溝部4の近傍、特に軸部2側を、適度な範囲で疲労強度を高めることができる。
また、上記した第2熱処理において、加熱保持温度が、β変態点−100〜+100℃、かつ、ろう材の液相線以上で、かつ、耐熱鋼チップの焼き入れ温度以上であり、加熱保持時間は1〜10分に設定されることから、耐熱鋼チップ6のろう付けと、軸端部5及び溝部4などの少なくとも表面の組織の最適化が図られる。このため、エンジンバルブ1の品質を高めることができる。
尚、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜に変更して実施することもできる。
例えば、前記実施形態では、アルミを含有したチタン合金よりなるエンジンバルブ1につき、軸端部5の先端に、耐熱鋼チップ6をろう付けすると共に、軸部2の一部、溝部4及び軸端部5の少なくとも表面を等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)より構成し、上記軸部2の一部以外の部分及び傘部3の表面を針状組織(α+β)より構成した。これに対し、上記構成から、等軸組織(α+β)又は溶体化組織(β)、並びに、針状組織(α+β)を省略したエンジンバルブと、そのエンジンバルブの製造方法に具体化してもよい。
また、前記実施形態におけるエンジンバルブの製造方法では、一連の製造工程中、「ワーク仕上加工」の後に、第2熱処理部分につき、メッキなどを使用して「表面処理」を行ったが、この「表面処理」を省略してもよい。
一実施形態に係り、エンジンバルブを示す正面図。 エンジンバルブの先端部分の構成を示す拡大図。 エンジンバルブ各部位の諸元を示す表。 ろう材の諸元を示す表。 エンジンバルブの製造工程を示すフローチャート。 第2熱処理の工程を示す説明図。 従来例のエンジンバルブを示す正面図。 エンジンバルブ先端部の使用状態を示す断面図。 従来例のエンジンバルブ先端部を示す正面図。 従来例のエンジンバルブ先端部を示す正面図。
1 エンジンバルブ
2 軸部
3 傘部
4 溝部
5 軸端部
6 耐熱鋼チップ
7 ろう材

Claims (4)

  1. 軸部と、前記軸部の一端に形成される傘部と、前記軸部の他端に形成される溝部及び軸端部とを備え、アルミを含有したチタン合金により形成されるエンジンバルブであって、
    前記軸部、前記傘部、前記溝部及び前記軸端部を含むワークの、少なくとも表面全体を予め加熱により針状組織としておき、その後、前記軸部の一部、前記溝部及び前記軸端部の少なくとも表面と焼き入れ可能な耐熱鋼チップとを加熱することにより、前記軸端部の先端に前記耐熱鋼チップをろう付けすると共に、前記軸部の一部、前記溝部及び前記軸端部の少なくとも表面を前記針状組織から等軸組織又は溶体化組織としたことを特徴とするエンジンバルブ。
  2. 軸部と、前記軸部の一端に形成される傘部と、前記軸部の他端に形成される溝部及び軸端部とを備え、アルミを含有したチタン合金により形成されるエンジンバルブの製造方法であって、
    前記軸部、前記傘部、前記溝部及び前記軸端部を加熱することにより全体を針状組織とする第1加熱工程と、
    前記軸端部の先端にろう材を介して焼き入れ可能な耐熱鋼チップを適当な荷重で押付け保持する工程と、
    前記耐熱鋼チップ、前記軸端部、前記溝部及び前記軸部の一部を加熱することにより、前記軸端部の先端に前記耐熱鋼チップをろう付けすると共に、前記軸端部、前記溝部及び前記軸部の一部の少なくとも表面を等軸組織又は溶体化組織とする第2加熱工程と、
    前記第2加熱工程の直後にその加熱部分を急冷却する急冷却工程と
    を備えたことを特徴とするエンジンバルブの製造方法。
  3. 前記第2加熱工程は、真空中又は不活性雰囲気の下で所定時間行われる高周波誘導加熱であることを特徴とする請求項2に記載のエンジンバルブの製造方法。
  4. 前記第2加熱工程の加熱保持温度は、β変態点−100〜+100℃、かつ、ろう材の液相線以上で、かつ、前記耐熱鋼チップの焼き入れ温度以上であり、前記加熱保持時間は1〜10分であることを特徴とする請求項2又は3に記載のエンジンバルブの製造方法。
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