JPH07269316A - 低強度チタン合金製吸気エンジンバルブ - Google Patents

低強度チタン合金製吸気エンジンバルブ

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JPH07269316A
JPH07269316A JP6397894A JP6397894A JPH07269316A JP H07269316 A JPH07269316 A JP H07269316A JP 6397894 A JP6397894 A JP 6397894A JP 6397894 A JP6397894 A JP 6397894A JP H07269316 A JPH07269316 A JP H07269316A
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valve
titanium alloy
engine valve
strength
intake engine
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JP6397894A
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Tatsuo Yamazaki
達夫 山崎
Isamu Takayama
勇 高山
Satoshi Yamamoto
諭 山本
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バルブに必要な特性を満足させつつ、軽量化
し、素材製造コスト、バルブ製造コストが低減された、
低強度チタン合金製吸気エンジンバルブを提供すること
である。 【構成】 本発明の吸気エンジンバルブは300℃での
引張強度が10kgf/mm2以上で、かつ常温での引張強度
が80kgf/mm2 以下である低強度チタン合金からなり、
バルブのフェース部とステム部の表面が酸素を固溶した
硬化層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車、二輪車等のエン
ジンに使用される吸気バルブに関する。くわしくは、軽
量かつ安価な低強度チタン合金製吸気エンジンバルブに
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等のエンジン燃焼室の吸,排気孔
に設けられるバルブは、傘部と、これに連続するステム
部およびステムエンド部で構成される。例えば直径7mm
の鋼製棒材を250mm長さに切断し、その一端部を通電
加熱しつつ熱間にてアップセット鍛造(電気鍛縮法)
し、続いて傘部を熱間にて型鍛造して、きのこ状の粗形
材とし、歪取り焼鈍を行い、次いで切削、研削加工によ
り最終形状に仕上げた後、耐磨耗性を付与するために軟
窒化処理等の表面処理を行っているのが通例である。
【0003】エンジンバルブにおける傘部のフェース
部、ステム部、およびステムエンド部のいずれも耐磨耗
性が要求される。また、このバルブの使用環境からバル
ブには高温強度、耐食性、耐酸化性を具えていなければ
ならず、従来のバルブは耐熱鋼で製作されるのが一般的
であった。
【0004】ところで、市販車エンジンの開発は燃費の
改善に主眼がおかれ、エンジンバルブの軽量化は燃費改
善の重要な方法の一つである。すなわち、吸気エンジン
バルブを軽量化し、その分バルブスプリングの強さが低
減できるので、バルブ駆動に必要なエネルギーが低減で
きることとなり、馬力を低下させることなく、フリクシ
ョンロスを低減し、燃費を改善できる。このようなバル
ブの軽量化には比強度の高いチタン合金の適用が有望で
ある。
【0005】従来、エンジンバルブへのチタン合金の適
用例には、高強度α+β型チタン合金の代表例であるT
i−6Al−4VやTi−6Al−2Sn−4Zr−2
Mo−0.1Si等が、高回転で使用される競争用自動
車のエンジンの吸気用エンジンバルブとして用いられて
きたことが挙げられる。これはバルブに比強度の高いチ
タン合金を用いて軽量化し、高回転域までカムの動きに
追随できることで、馬力の向上に寄与できるからであ
る。
【0006】エンジンバルブにチタン合金をそのまま使
用した場合は、バルブシート、バルブガイド等の相手材
とバルブの各部との摺動による磨耗が生じ、耐久性に乏
しいという問題がある。このためレース用のチタン合金
製エンジンバルブは、耐熱鋼製バルブとほぼ同様の方法
で仕上げ加工まで行い、ステム部に耐磨耗性を付与する
ため、高価なMo溶射を施している。また、Ti−6A
l−4V材やTi−6Al−2Cr−4Sn−2Mo−
0.1Si材は熱間での加工が難しく、また強度が高い
ので冷間加工や切削加工等も難しい。このように素材製
造コストやバルブの製造コストが高く、経済性を重視す
る市販車用のエンジンには適用が見送られている。すな
わち市販車への適用にはチタンバルブの低価格化が不可
欠であり、そのために以下に示す従来技術がある。
【0007】すなわち、特開昭61−81505号公
報、特開昭62−256956号公報が提案しているよ
うに、比較的安価な耐磨耗処理として各々の雰囲気で加
熱する酸化処理、窒化処理が知られている。しかし、通
常のα+β型チタン合金棒が微細な等軸α晶組織である
ために、酸化或いは窒化の処理温度(700〜900
℃)でチタン合金バルブが自重(約50g)によるわず
かな応力でクリープ変形するため適用が困難である。こ
れに対して、特開平5−59919号公報に記載される
ように、特定の組織(例えば針状α晶組織)のα+β型
チタン合金や、ニアα型チタン合金の棒をバルブ素材と
すれば、このクリープ変形の問題は解決し、安価な酸化
処理が適用できることとなる。しかし、なお素材である
チタン合金棒の製造コストやバルブの製造コストが高い
が、市販車への適用にはより安価なバルブが望まれてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、吸気エンジ
ンバルブの必要特性を満足させつつ軽量化でき、熱間加
工性、冷間加工性、切削性、研削性に優れ、同時に耐磨
耗性付与のための安価な酸化処理が適用可能であり、市
販車で重視される素材製造コスト、バルブ製造コストが
低減された、低強度チタン合金製吸気エンジンバルブを
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、(1)300℃での引張強度が10kgf/mm
2 以上で、かつ常温での引張強度が80kgf/mm2 以下で
ある低強度チタン合金からなり、少なくともバルブのフ
ェース部とステム部の表面に酸素を固溶した硬化層を有
することを特徴とする低強度チタン合金製吸気エンジン
バルブであり、(2)上記(1)において、微視組織が
6μm以上の等軸α晶或いは針状α晶もしくは等軸α晶
と針状α晶の混合組織であることを特徴とする低強度チ
タン合金製吸気エンジンバルブであり、(3)上記
(1)および(2)において、バルブのフェース部の硬
化層が、600Hv以上を有する硬化層の厚みが5μm
以上20μm以下であることを特徴とする低強度チタン
合金製吸気エンジンバルブであり、(4)上記(1),
(2)および(3)のそれぞれにおいて、バルブのステ
ムエンド部に耐磨耗性チップを取り付けることを特徴と
する低強度チタン合金製吸気エンジンバルブである。ま
た、(5)上記(1),(2),(3)および(4)の
それぞれにおいて、素材の主な合金成分がO,N,Fe
からなり、Feの含有量が2.5重量%未満であり、下
記式(1)で示す酸素等価量値Qが0.1〜0.6であ
り、残部を不可避的不純物以外はTiであることを特徴
とする低強度チタン合金製吸気エンジンバルブである。 Q=〔O〕+2.77〔N〕+0.1〔Fe〕 …………………(1) 但し、〔O〕 は含有するO量 (重量%) 〔N〕 は含有するN量 (重量%) 〔Fe〕は含有するFe量(重量%)
【0010】
【作用】まず300℃で引張強度が10kgf/mm2 以上と
したのは、以下の理由による。市販車の吸気エンジンバ
ルブの使用温度は、燃料噴射装置がガソリンをエンジン
バルブの傘部に吹きつけるため、300℃以上になるこ
とはまずない。またバルブの受ける応力は、エンジン回
転数が極端に高い場合に生ずるバルブシートの変形等を
想定すると傘部曲げ応力は10〜20kgf/mm2 となるた
め、従来はTi−6Al−4V等の高強度チタン合金材
が適用を検討されていたが、このような状態はレース用
エンジン等の限られた場合であり、通常の市販車ではせ
いぜい2〜3kgf/mm2 である。すなわち、市販車用の吸
気エンジンバルブの素材は、300℃にて3kgf/mm2
上の疲労強度を有すれば良く、さらにチタンバルブには
酸化もしくは窒化処理を施すが、その場合の疲労強度は
無処理のものに比べ10〜40%程度低下するので、素
材の疲労強度は5kgf/mm2 以上が必要である。したがっ
て300℃での素材の引張強度は10kgf/mm2 以上であ
れば十分にバルブの必要強度を満たすことを見出した。
【0011】次に常温強度が80kgf/mm2 以下とした理
由を述べる。バルブ用の棒材は、通常チタンインゴット
を分塊圧延後、熱間で線材圧延を行って5〜10mmφの
コイル状線材にし、表面疵や表面酸素硬化層を除去する
精整工程を経た後、切断、矯正を行い、所定寸法の棒材
に仕上げて製造する。ここで、低強度チタン合金を用い
ることにより、熱間強度が低下し、伸びも向上するの
で、熱間圧延時に割れることなく、加熱温度を下げるこ
とが可能となり、したがって表面酸素硬化層が減少し、
精整工程の負担が低減できるとともに、常温での加工
性、切削性が良好となるので、皮むき工程やセンタレス
研削の負荷も低減し、棒材の製造性が高強度チタン合金
と比べ大幅に改善される。
【0012】またチタンバルブは、チタン合金棒材を切
断し、アップセット鍛造(電気鍛縮法)や熱間押出しに
よりオニオン形状を製造し、続いて熱間での型鍛造で傘
部を形成して、きのこ状の粗形材とし、歪取り焼鈍を行
い、次いで切削、研削加工により最終形状に仕上げして
製造する。ここでも低強度チタン合金を使用すること
で、アップセット鍛造温度、型鍛造温度を下げることが
可能であり、切削、研削加工の負荷を低減でき、バルブ
の製造が容易となる。
【0013】このように、素材の製造性やバルブの製造
性を良好とするためには、低強度チタン合金の常温での
引張強度が80kgf/mm2 以下であることが必要である。
これは常温強度が80kgf/mm2 を超える場合は、従来バ
ルブに適用を検討されているTi−6Al−4VやTi
−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.1Siの熱間
加工性、冷間加工性、切削性、研削性および素材コスト
と比較して、棒材の製造時やバルブ製造時で大幅な改善
が期待できないからである。
【0014】そしてチタン合金製吸気エンジンバルブの
フェース部とステム部の表面が酸素を固溶した硬化層を
有するのは、チタン合金自身の硬度が高い上、さらに表
層部に酸素を固溶した硬化層を形成することで耐磨耗性
が飛躍的に向上するからであり、その結果、高温下でバ
ルブシートと絶えず叩き合うフェース部との磨耗や、バ
ルブガイドと摺動するステム部の焼付きや磨耗が抑制さ
れる。
【0015】吸気エンジンバルブの表面の酸素が固溶し
た硬化層は、例えば、大気中で加熱するという簡便で安
価な方法で形成できる。酸化処理は窒化処理に比較して
低温での処理が可能であるので、表面が荒れにくくなる
こと、さらに酸素硬化層の硬度は高くてもHv1000
程度であるため、相手側への攻撃性が少なく、チタン合
金製吸気エンジンバルブの耐磨耗処理として有効であ
る。
【0016】バルブのフェース部に十分な耐磨耗性を付
与するには、600Hv以上を有する硬化層の厚みが5
μm以上20μm以下であることが必要である。硬化層
の厚みが5μmに満たない場合は、使用中にフェース部
の硬化層が破壊される場合があり、20μmを超える厚
さは不必要である。また、大気中加熱で20μm以上の
酸化硬化層を形成するには高温長時間の処理が必要であ
り、このためバルブ表面の粗さが劣化し、特にステム部
等の摺動部分では相手材の磨耗が激しくなる。したがっ
て20μm以上の厚い硬化層を形成した場合には、仕上
げ加工が必要となり、工程増や寸法精度を満足しにくく
なるのであまり望ましくない。またステム部には600
Hv以上の硬化層が1μm以上あれば十分に焼付きを防
ぐことが可能である。
【0017】ところで、α+β型チタン合金は400〜
700℃の焼鈍工程で粒成長しにくく、微細な等軸α晶
を持つ材料を使用し、ステム部に対して熱影響の少ない
アップセット鍛造等で傘部を形成すると、ステム部は微
細α晶組織のままとなる。これを700℃以上の温度で
酸化処理すると、クリープ変形のためステム部に曲がり
が発生し、矯正工程や切削、研削工程の負荷が増大し、
コストアップになる。したがってα+β型チタン合金で
ステム部を曲げずに酸化もしくは窒化処理するために
は、特開平5−59919号公報より類推できるよう
に、6μm以上の等軸α晶組織もしくは針状α晶組織も
しくは等軸α晶と針状α晶の混合組織にする必要があ
る。
【0018】ところでバルブの駆動方法としては、大き
く分けてリフター方式とロッカーアーム方式の2方式が
あり、方式によりステムエンド部に必要な耐磨耗性が異
なる。特にロッカーアーム方式では、ステムエンド部を
ロッカーアームが絶えず摺動しながら押し続けるので高
硬度で耐磨耗性の高い材料をこの部位に接合して用いる
必要がある。例えば、焼き入れ鋼のチップを摩擦圧接や
冷間圧入により取り付けたり、ステライト材等を肉盛り
する等の手法を挙げることができる。またリフター方式
の場合にはステムエンド部の磨耗環境はフェース部より
も緩やかであるので、フェース部と同時に硬化層を形成
すれば耐磨耗性の確保は可能である。
【0019】つぎに、O,N,Feを主な強化元素とし
たチタン合金について説明する。O,N,Feを主な強
化元素として用いた場合、O,N,Feの強化能が高温
で低下するので、常温での強度のわりに熱間強度が低く
なり、同一強度のチタン合金と比べても、より熱間加工
が容易となる。なお、インゴット用の溶解材料に純チタ
ンスクラップの使用が可能となる場合があり、さらに安
価な棒材を製造でき、安価な吸気エンジンバルブを提供
できる。
【0020】また、O,N,Feを主な合金元素として
チタン合金の強度は酸素等価量値Qとの間に強い相関関
係がある。ここでQ値を0.1〜0.6としたのは、Q
値が0.1に満たない場合は、300℃での引張強度が
10kgf/mm2 未満となり、バルブの要求特性を満たさな
い。一方、Q値が0.6以上で常温での引張強度は80
kgf/mm2 以上になるので、棒材の製造やバルブの製造の
負荷が改善されない。
【0021】Feの含有量を2.5重量%未満としたの
は、2.5重量%以上であると通常の溶解では凝固偏析
が激しくなり、安定した素材が製造できない。また、
1.0重量%を超える場合、棒材を熱間加工した後の焼
鈍工程での再結晶核の成長が遅くなり、微細粒のままと
なり、バルブ製造時の焼鈍や酸化処理でクリープ変形の
ためステム部の曲がりが生じるので、上に述べたように
素材の組織を6μm以上の等軸α晶もしくは針状α晶も
しくは等軸α晶と針状α晶の混合組織とするために、β
変態点近傍もしくはそれ以上の温度で熱処理する工程が
必要となるので、Fe含有量は1.0重量%未満である
ことが望ましい。
【0022】このようなO,N,Feを主な強化成分と
して使用した低強度チタン合金には、工業用純チタンの
JIS(H4600)1種,2種,3種やASTM−G
r.4等を挙げることができる。これらは通常の焼鈍工
程で粒成長するので、組織調整することなく酸化,窒化
処理することが可能である。
【0023】工業用純チタンのJIS1種,2種,3種
は熱間加工性、冷間加工性、切削性、研削性がTi−6
Al−4V等の従来検討されている高強度チタン合金材
料と比較して大幅に向上する。さらに工業用純チタンの
JIS1種,2種では、バルブ傘部の形成を冷間にて行
うことが可能となる。ASTM−Gr.4は、切削性、
研削性は高強度チタン材と同等であるが、熱間加工性、
冷間加工性に優れており、加工精度が良いので、その後
の切削、研削工程の負荷が軽減でき、総合的にバルブの
製造性に優れる。
【0024】これらのほかにO,N,Feを主な強化成
分として使用した低強度チタン合金には、Ti−1.0
Fe、Ti−1.5Fe、Ti−2.0Fe等の素材を
挙げることができる。これらは酸化処理時の熱変形を防
止するために組織調整する必要があるが、高強度チタン
材料と比較して、熱間加工性、冷間加工性、切削性、研
削性が優れ、バルブの製造性が大幅に向上する。以下、
実施例を用いて具体的に本発明の効果を説明する。
【0025】
【実施例】
(実施例1)各種チタン合金のビレットを熱間加工によ
りコイル状線材とした。これを冷間伸線とシェービング
を行い、表面疵と酸化硬化層を除去するとともに直径8
mmφの断面真円とし、さらに直棒状に矯正するとともに
2m毎に切断し、センタレス研削を行い7.3mmφの磨
棒を得た。浸透探傷試験を行い検査を行った。
【0026】上記のように作製した各種チタン合金磨棒
を250mmに切断し、アップセット鍛造によりオニオン
を形成後、傘鍛造を行い、フェース部の研削、ステム部
のセンタレス加工等の仕上げ加工を行い、傘径35mm、
バルブ長さ110mm、ステム径6.68mmφのバルブ粗
形材とした。その後、大気炉中で酸化処理して、フェー
ス部に600Hv以上の硬度が10μmある酸化が固溶
した硬化層を形成して吸気エンジンバルブとした。図1
はバルブの側面図であり、1は傘部、2はステム部、3
はステムエンド部、4はフェース部である。
【0027】表1にそれぞれのチタン合金の焼鈍材の常
温および300℃での引張強度を示すとともに、棒材製
造時の熱間加工温度とシェービング工程で必要な片面研
削量と疵発生による不良率を示し、バルブ製造時の傘形
成に必要な加熱温度と鍛造後の除去に必要な傘首部の硬
化層の厚み、傘部の切削に必要とした時間を示す。本発
明によれば、棒製造時に加熱温度が大幅に低下され、精
整工程の負荷を低減されることがわかる。またバルブ製
造時には鍛造温度の低下および仕上げ加工時間の短縮が
可能となる。
【0028】
【表1】
【0029】ちなみに、これら吸気エンジンバルブをエ
ンジンに組み込み高速耐久試験を行った。試験条件はエ
ンジン回転数6000rpm 、運転時間180時間であ
る。この結果、いずれの合金で製造したバルブも十分な
耐磨耗性を発揮し、破損することなく使用できる。
【0030】(実施例2)JIS2種の純チタン棒材を
用いて、傘鍛造、仕上げ加工を行い、傘径35mm、バル
ブ長さ110mm、ステム径6.68mmφのバルブ粗形材
とし、各種条件で酸化処理を施し、表面層に酸素が固溶
した硬化層を付与した。これらの吸気エンジンバルブを
エンジンに組み込み高速耐久試験を行った。試験条件は
エンジン回転数6000rpm 、運転時間180時間であ
る。試験後ステム部とフェース部の磨耗量を測定した。
バルブ表面の硬度およびステム部の磨耗量とフェース部
の磨耗幅を表2に示す。表面からの硬度は試料の断面を
研磨し荷重50gfのマイクロヴィッカースにより測定
した。なお現行鋼バルブの高速耐久試験を行った場合の
ステム部の磨耗量は0.5μmであり、フェース部の磨
耗幅はそれぞれ3μmである。このように本発明のチタ
ン吸気エンジンバルブは現行鋼バルブとほぼ同等の耐磨
耗性を有する。
【0031】
【表2】
【0032】(実施例3)JIS2種の純チタン棒材を
用いて、傘鍛造、仕上げ加工を行い、傘径35mm、バル
ブ長さ110mm、ステム径6.68mmφのバルブ粗形材
とし、800℃×1時間で酸化処理を施し、600Hv
以上の硬度の層が5μmとなるように表面層に酸素を固
溶させた。そしてステムエンド部を機械加工し、図2に
示すように別途作製した耐磨耗性チップ5を取り付け
た。本吸気エンジンバルブをロッカーアーム方式のエン
ジンに組み込み、高速耐久試験を行った。試験条件はエ
ンジン回転数6000rpm 、運転時間180時間であ
る。試験後にフェース部およびステム部の磨耗量を測定
したところ、ともに現行鋼バルブと同等の磨耗量であり
問題なかった。またロッカーアームとの当接部であるス
テムエンド部の磨耗も問題ない。
【0033】(実施例4)O,N,Feを主要添加元素
とした各種合金について熱間圧延して、コイル状の線材
とし、冷間伸線により真円とした後、シェービングによ
り疵取りを行い、切断し、冷間で矯正を行い、線径7mm
φの線材とした。これを800℃にて焼鈍し、約10秒
間でアップセット鍛造法によりオニオンを形成し、続け
て型鍛造を行い傘部を形成した。その後、フェース部の
研削、ステム部のセンタレス加工等の仕上げ加工を行
い、傘径35mm、バルブ長さ110mm、ステム径6.6
8mmφのバルブ粗形材とし、これを800℃×4時間の
酸化処理を行い、表層に600Hv以上の硬化層を10
μm形成し、吸気エンジンバルブを製造した。
【0034】本バルブをエンジンに組み込み、試験条件
を回転数6000rpm 、運転時間180時間として高速
耐久試験を行い耐磨耗性について評価した。また、これ
らの線材製造、バルブ製造、エンジン試験、それぞれの
試験結果を表3に示す。また、10mmφの線材を機械加
工により回転曲げ試験片とし、これを酸化処理を行い耐
磨耗性を付与した後に、300℃で疲労試験を行った結
果も同時に示す。本発明によれば、熱間加工性、冷間加
工性、切削性、研削性等のバルブの製造性に優れ、また
市販車エンジンで十分に使用可能な吸気エンジンバルブ
が得られる。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】従来の高強度チタン合金製の吸気エンジ
ンバルブは、燃費向上に効果があるもののコストに難点
があり、市販車への適用がなかなか進まなかったが、本
発明の低強度チタン合金製の吸気エンジンバルブを用い
ることにより、熱間加工性、冷間加工性、切削性、研削
性に優れ、さらに安価な酸化処理で耐磨耗性の付与が可
能となるので、素材製造コスト、バルブ製造コストを低
減できるとともに十分にエンジンバルブに必要な特性を
満たせ、市販車への適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バルブ側面図。
【図2】ステムエンド部に耐磨耗性チップを取り付けた
バルブ側面図。
【符号の説明】
1 傘部 2 ステム部 3 ステムエンド部 4 フェース部 5 耐磨耗性チップ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 300℃での引張強度が10kgf/mm2
    上で、かつ常温での引張強度が80kgf/mm2 以下である
    低強度チタン合金からなり、少なくともバルブのフェー
    ス部とステム部の表面に酸素を固溶した硬化層を有する
    ことを特徴とする低強度チタン合金製吸気エンジンバル
    ブ。
  2. 【請求項2】 微視組織が6μm以上の等軸α晶或いは
    針状α晶もしくは等軸α晶と針状α晶の混合組織である
    ことを特徴とする請求項1記載の低強度チタン合金製吸
    気エンジンバルブ。
  3. 【請求項3】 バルブのフェース部の硬化層が、600
    Hv以上を有する硬化層の厚みが5μm以上20μm以
    下であることを特徴とする請求項1又は2記載の低強度
    チタン合金製吸気エンジンバルブ。
  4. 【請求項4】 バルブのステムエンド部に耐磨耗性チッ
    プを取り付けた請求項1,2又は3のそれぞれに記載の
    低強度チタン合金製吸気エンジンバルブ。
  5. 【請求項5】 素材の主な合金成分がO,N,Feから
    なり、Feの含有量が2.5重量%未満であって、下記
    式(1)で示す酸素等価量値Qが0.1〜0.6であ
    り、残部を不可避的不純物以外はTiであることを特徴
    とする請求項1,2,3又は4のそれぞれに記載の低強
    度チタン合金製吸気エンジンバルブ。 Q=〔O〕+2.77〔N〕+0.1〔Fe〕 …………………(1) 但し、〔O〕 は含有するO量 (重量%) 〔N〕 は含有するN量 (重量%) 〔Fe〕は含有するFe量(重量%)
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