JP4393193B2 - 新規なセルロース系物質 - Google Patents
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Description
本発明は、バクテリアが産生する新規な構造及び特性を有するセルロース系物質、糖類及びその培養法並びにその用途に関する。
背景技術
従来、セルロース系物質生産菌として、BPR2001株に代表されるアセトバクター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファーメンタ(Acetobacter xylinum subsp.sucrofermentans)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)ATCC23768、アセトバクター・キシリナムATCC23769、アセトバクター・パスツリアヌス(A.pasteurianu s)ATCC10245、アセトバクター・キシリナム ATCC14851、アセトバクター・キシリナムAT CC11142及びアセトバクターキシリナムATC C10821等の酢酸菌(アセトバクター属)、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズーグレア属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジン)等を用いる公知の方法によって変異処理することにより創製される各種変異株などが知られている。
酢酸菌によるセルロース生産効率の向上を目指す方法は、株式会社バイオポリマーリサーチを中心に夥しい数の特許出願で提案がなされている。変異株の取得や高価で特殊な薬剤を添加する方法が、例えば特開昭62−265990号公報、同63−202394号公報、同63−74490号公報、特開平2−238888号公報、特公平6−43443号公報、同5−1718号公報、特開平07−184677号公報、同07−184675号公報で知られている。攪拌培養条件の制御方法が、例えば、特開平09−94094号公報、特開平9−514136号公報などに開示されている。
上述の既知の培養方法では、極めて少量の水溶性多糖が同時に産生されるが、主産生物であるセルロース系物質はほぼ100%がβ−1,4−グルコシド結合を有するセルロースと認識され、しかもセルロース結晶学で用いられるIα晶とIβ晶の比率((Iα/Iβ)×100、以下Iα分率と呼ぶ)も64−72%(SCIENCE,Vol.223,283(1984))とされている。Iα晶は、特定の結晶面、特に(11−0)面が面配向すると、その結晶面の水酸基密度がIβ晶に比べ少ないので、濡れ性などの表面活性が本質的に低い。したがって、酢酸菌などの従来微生物から産生される、Iα分率が64−72%と高く、(11−0)面が面配向しているセルロース系物質は、表面活性が本質的に低い。
酢酸菌培養法におけるセルロース系物質の産生において、炭素源として用られる糖類に対するセルロース変換効率は、30%以上になる例も特許公報上散見される。しかし、実情レベルでのセルロース変換効率は20数%程度であると考えられる。これら既知の培養方法は、好気性菌である酢酸菌が用いられるために、通気攪拌培養を基本とし、数々の手段を併用する方法であるので、操作上、煩雑である。
一般に、工業的な生産方式は、攪拌培養であり、USP5,144,021(1992)に生産されたセルロース系物質の基本モルホロジーが開示されている。それによると、当該セルロース系物質は、マクロ構造は0.1〜10mm程度の球又は楕円球状で、これらの内部構造は相互に連結した網状物となっており、湿潤時の圧縮耐性が高いという特徴を持つとされている。圧縮耐性が高いということは、その反面、水抜けが起こりにくく、乾燥が困難になることと同義である。また、上記の球状又は楕円球状マクロ構造の周りには、放射状に伸びたフィブリルが存在していないので、これらのマクロ構造を相互に均一に分散するには多大なエネルギーが必要と考えられる。またUSP5,144,021によると、結晶化度は70%以下とそれほど高くなく、セルロース自体の強度や、他の高分子材料と複合化した場合の性能が劣ることが予想される。
特公平2,877,676号明細書には、沈降圧縮度が0.12〜0.20のバクテリアセルロースの離解物が開示され、同2,971,024号明細書には、バクテリアセルロース0.1%の水懸濁液の動的粘度が1000cp(30℃、10rad/S)以上であることを特徴とするバクテリアセルロースが開示されている。これらの開示は、特公平6−43443号明細書の開示と同様、バクテリアセルロースが水を抱えやすいことを示しており、従来のセルロース系物質の増粘・分散効果が高い反面、これを固体状に製品化するには、多大なエネルギーを消費するという欠点がある。他方、酢酸菌が産生するバクテリアセルロースは、唯一、音響振動板として工業化されているだけである。
食品添加材としての展開も検討されてきたが、実際工業化されていない事実などを考慮すると、いかに酢酸菌の生産するフィブリルが、数nmの細さを特徴にしているとは言え、マクロ的には、単に、楕円球状体であり、他の繊維素材に比べても加工等に、決して有利とは言えない事情が原因の一つと考えられる。また、他の理由は、真に機能性を有する形で、バクテリアセルロースが培養生産されていないことも上げられる。
本発明者らは、16S−rRNA法による遺伝子解析で、エンテロバクター属と相同性の高い微生物(CJF002株)がセルロース様の物質を産生することを見出し、この微生物を石油の3次回収法に応用する方法の発明について特許出願した(特開平2001−321164号公報)。ここでは、静置培養が好ましい培養法であると言及し、石油岩盤の水掃攻流路をこの微生物の産生物でブロッキングする方法を開示してはいるものの、産生されるセルロース様物質に係る種々の炭素源についての詳細な構造、機能等については開示していない。
発明の開示
本発明者らは、エンテロバクター属に属するセルロース生産菌を用いる培養により、新規なセルロース系物質を産生させ得ることを見出した。この新規なセルロース系物質は、従来の微生物産生セルロースの楕円球モルフォロジーとは異なる、中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した最大径数mmのほぼ球形の形状をもつ。この形状は、培養系からの分離、精製のためのろ過洗浄、及び2次製品への成形のための分散が容易で、エネルギー低消費型バイオプロセスを提供できるとともに、従来とは違う特異形状に由来する新機能発現の可能性を有している。また本発明の新規セルロース系物質の結晶化度は著しく高いため、セルロース自体の強度及び他の高分子材料と複合化した場合の性能が優れている。
(1) 本発明は、β−1,4−型糖鎖結合からなる水不溶性多糖であり、結晶化度が70%以上であり、中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した球状であるセルロース系物質に関する。
(2) また本発明は、β−1,4−型糖鎖結合からなる水不溶性多糖であり、該水不溶性多糖のグルコース単位構成比率が85−100%であり、しかも、セルロース結晶多形のうちIα分率が45%以上63%以下であるセルロース系物質に関する。
(3) また本発明は、セルロースに対するカドキセン粘度法を適用して得られる粘度平均重合度が3500以上である上記(1)又は(2)のセルロース系物質に関する。
(4) また本発明は、エンテロバクター属微生物、その変異株微生物、又はそれらの継代培養微生物を培養して得られる上記(1)〜(3)のいずれかのセルロース系物質に関する。
(5) また本発明は、前記エンテロバクター属微生物がCJF002株微生物である上記(4)記載のセルロース系物質に関する。
(6) 更に本発明は、培地に、エンテロバクター属微生物、その変異株微生物、及びそれらの継代培養微生物からなる群から選ばれる少なくとも1種を、103−107個/ml植菌後、糖類を炭素源として、20以上45℃以下の温度で、攪拌培養することを含む上記(1)〜(3)のいずれかのセルロース系物質の製造方法に関する。
(7) 更に本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかのセルロース系物質と他の高分子材料及び/又は金属及び/又は金属酸化物との複合体に関する。
(8) 更にまた本発明は、培地に、エンテロバクター属微生物、その変異株微生物、及びそれらの継代培養微生物からなる群から選ばれる少なくとも1種を、103−107個/ml植菌後、糖類を炭素源として、4℃以上30℃以下の温度で、培養することにより得られる、カルボキシル化糖以外の主成分がグルコース、ガラクトース及びフコースである水溶性多糖群に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の新規物質は、好ましい態様として、エンテロバクター属微生物、例えばCJF002株の微生物、その変異株、又はそれらの継代培養微生物が産生するβ−1,4型糖鎖結合からなる水不溶性多糖で、グルコース単位の構成比率が85−100%であり、結晶化度が70%以上、セルロース結晶学でいうIα分率が従来の酢酸菌が産生するバクテリアセルロースと比較して、低いレベルに抑えられ、形態的には中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した球状であることを特徴とするセルロース系物質である。
本発明のセルロース系物質には、β−1,4−型糖鎖結合体の他に、1,2結合体、1,3結合体及び1,6結合体が混在する場合もある。これら結合体は1つの分子鎖中に含まれる場合もあれば、セルロース(β−1,4−グルコピラノース連鎖からなる高分子)以外の水不溶性多糖が水素結合などにより混合されている場合も含まれる。グルコース以外の構成糖類としては、各種六炭糖、五炭糖、カルボキシル化糖など特に制限はないが、ガラクトース、マンノースの場合が多い。
本発明の好ましい水不溶性セルロース系物質は、構造的に詳述すると、Iα分率が、酢酸菌産生セルロースの64%−72%に比べて低く、45−63%の範囲であり、通常50%前後であり、結晶化度が70%以上、特に90%を超えるものもある。
また本発明のセルロース系物質は数10nm径の極めて細いフィブリルから構成されており、これから調製されたシート状物は、絡み合い点が著しく多いことからその力学強度は高い。USP5,144,021には酢酸菌が生産したセルロースの構造が記載されているが、クレーム中では結晶化度が70%以下と記載されており、力学強度は本発明より低いことが予想される。ここでいう結晶化度とは、13C−NMRから求めた値であり、定義及び測定の詳細は後述する。一般的に結晶化度はX線回折により求めるが、従来発明及び本発明の微生物の生産するセルロースの場合、特定結晶面が選択的に面配向するため、X線回折による結晶化度測定法はこの場合適さない。
培養における炭素源が廃糖蜜である場合、グルコース単位の構成比率が低下するが85%を下回ることはない。また、炭素源がスクロースやグルコース単独であっても、グルコース単位の構成比率が100%になることは少なく、98%程度のものが得られる場合が多い。
本発明のセルロース系物質は、Iα分率が低いことや、ガラクトース残基やマンノース残基が分子鎖中に導入されていることにより、加工性、他ポリマーとのアロイ化、金属や金属酸化物とのアロイ化、他物質との接着性の向上、蛋白認識/非認識機能など、従来、主として透明性や機械強度といった特性が利用されていた従来のバクテリアセルロースでは全く考えられなかった特性を有している。勿論、本発明のセルロース系物質が、従来分野に応用されることを否定するものではない。
また本発明のセルロース系物質にはセルロースII系の結晶成分が存在している。セルロースII系の結晶表面には水酸基が選択的に表面に現れている結晶面(11−0)面と水素原子が選択的に表面に現れている結晶面(110)面とを有し、本質的にアロイ化に適する結晶型である。
本発明のセルロース系物質のグルコース単位の構成比率は、炭素源として用いる糖成分の比率及び培養条件により制御することができる。基本的には、炭素源として用いる糖の種類を増やせば、得られるセルロース系物質の構成糖成分は多様化する。グルコース成分を増やしたければ、炭素源にグルコースを用いればよい。
また、本発明のセルロース系物質の重合度は、同調培養法などを適用することにより、ほぼ同一重合度に揃えることも可能である。生産物取り出し段階での重合度は、特に限定的されるものではないが、好ましくは約300以上である。
本発明のセルロース系物質が機械強度を要求される場合は、重合度は3500以上に調整することが望ましい。但し、本発明にいう重合度は、セルロースに対するカドキセン粘度法を適用して得られる値であり、特に、グルコース構成比率が低い場合には近似的な値となる。
本発明のセルロース系物質は、光学顕微鏡観察で、中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した、最大径数mmのほぼ球形の球状体が、独立又は連結していることを特徴とする。球状体の大きさやマクロフィブリル形態は攪拌培養条件により制御可能である。
攪拌培養は、攪拌パドルを回転させる回転培養、容器を往復運動や回転運動させるしんとう培養、エアーのバブリングによる攪拌培養などが適用できる。
本発明のセルロース系物質の球状体の一例は図1に示されているように、球状の核と、核から放射状に延びる円錐状物からなる。円錐状物と核とは円錐状物の頂点で接合し、円錐状物の底面には繊維状物が観察される。円錐状物の高さは球状の核の半径にほぼ匹敵する。この形態は、低速攪拌培養により得られる。低速攪拌の条件は、装置、特に攪拌パドルの大きさや形状により異なり、一概に定義できないが、攪拌速度が低すぎると得られるセルロース系物質は一体のゲル状体となって攪拌パドルにからみつくなどの問題が発生する。攪拌速度が高すぎると細片状のセルロース系物質が得られるが、その形状はパルプ状、リン片状など不定形で、大きさも不均一である。一例として直径が60mmの攪拌パドルを用いた場合、50rpmから200rpmの回転数で図1のような形態が得られた。もう一つの例を図2に示す。これは直径1mm弱の球状の核から放射状に直線状にマクロフィブリルが1mmほどの長さで延びている。この形態は、エアのバブリングにより得られたもので、エアの吹き込み量は、培養液1m3あたリエアー1m3/分である。
球状体の球状の核の大きさは直径0.1mmから数mmであるが、製造条件が同じなら図1のように極めて均一な大きさとなる。球状体は、粗いメッシュで容易に分離され、精製が容易である。例えば、球状体は簡単な圧搾でかなり脱水することができ、そのまま(水を多少含んだ状態)でも製品となし得るし、離解しながら容易に乾燥することもできる。最終用途によっては除蛋白操作が不要の場合もあり、相当の製造コスト低減につながる。除蛋白操作が必要な場合は、プロテアーゼ、界面活性剤、又は酸化漂白剤処理により除去できる。場合により、低濃度アルカリ水溶液を用いてもよい。なお、従来の酢酸菌によるセルロースは、リン片状の細片で、かつゲル状であるため、スクリーンが容易に閉塞し前記工程を行うことは困難である。
球状体は、微視的には20nmから100nmのミクロフィブリルから形成されている。このようなミクロフィブリルから形成されているため、球状体の表面積は著しく高く、窒素吸着法(BET法)で測定された表面積は50m2/gから150m2/g程度もあり、一般的なパルプのおよそ100倍の値である。表面積が著しく高いため、本発明のセルロース系物質の球状体は、担持体、吸着剤などに適しており、マリモ形態を利用してそのままカラムなどに詰めても使用できる。本発明の水不溶セルロース物質は、従来の酢酸菌産生セルロースが本質的にゲルであり、その離解と乾燥に多大なエネルギーを要することと比べると、形態構造的に著しい差があり、工業的にも価値の高いものである。
基本モルホロジーであるマリモ形態の球状体の径は、初期の植菌濃度、培養槽の大きさ、攪拌速度により経験的に決定できる。
初期の植菌濃度は適宜選択し得るが、103〜107個/ml程度が適当である。培地のpHは特に制限されず、pH2.2〜pH9.5、好ましくはpH5.0〜8.0の範囲である。温度範囲は20〜45℃が適当である。本発明のセルロース系物質の培養生産過程では、後述する本発明の水溶性多糖群が同時に産生されており、セルロース系物質の収率向上には高温、例えば、20℃以上での培養が好ましい。
球状体の更に微視的なレベル(電子顕微鏡観察)での形態は、多数の扁平状ミクロフィブリルが高度にからみあい、相分離構造でいう所のサーキュラーポアが相互連結した特徴的モルフォロジーである(図3)。ここで、相分離でいう所のサーキュラーポアとは、ポリマー溶液を貧溶媒で相分離させる場合、ポリマー濃度が所謂、臨界濃度以下の時に、ポリマー粒子が形成されることなく生成する扁平ポア構造をいう。臨界濃度を超える時は、ポリマーの一次粒子が生成し、それらが連結した構造ができる。USP5,144,021(1992)に記載のバクテリアセルロースは、この1次粒子が連結した構造に近い。
このような特徴的形態のため、従来の酢酸菌由来の所謂バクテリアセルロースとは異なり、本発明の精製されたセルロース系物質は、水に再分散した時に、スラリー粘度が極めて低く、二次加工に際し取り扱い易いという特徴を有する。例えば、酢酸菌由来のバクテリアセルロースの水分散体(0.1wt%)の沈降圧縮度が0.12〜0.20であるのに対し、本発明のセルロース系物質は、0.12未満と低く、湿潤圧縮性が高いため、例えば、極薄シート製造に有利であり、また乾燥エネルギーも低い。ここでいう沈降圧縮度とは、スラリーを1700G、30分間遠心分離した後のセルロースの沈降体積(Bml)と元のスラリーの体積(Aml)の比(B/A)である。また、酢酸菌由来のバクテリアセルロースの離解物の0.1%の水懸濁液の動的粘度が1000cp(30℃、10rad/S)以上であるのに対し、本発明のセルロース系物質は200cpと低い。このような特徴のため、各種シート類、セパレーター類への加工が極めて容易である。これらの特徴は、主として特異的モルフォロジーに由来すると考えられるが、ミクロフィブリル表面のOH基の配向性や、Iα分率が50−60%と低いことと関係しているかもしれない。
本発明の新規セルロース系物質は、セルロース以外の高分子材料、金属、金属酸化物等の無機物との複合化素材としても適している。
複合化に用いられる高分子は限定的ではないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などの汎用疎水性高分子類、ポリアルキレンオキシド類(PAO)等の親水性高分子類、ポリスルホン類(PSu)、ポリアミド類(PA)、ポリエステル類(PET)、ポリイミド類(PI)などのスーパーエンジニアリングプラスチック類などが挙げられ、これらとのアロイを調製することができる。特に本発明のセルロース系物質は、Iα分率が酢酸菌由来のセルロースよりも低く制御されているので、セルロース系物質のOH基の配向バランスが良く、原理的に、多種の高分子と複合化させ易い。ガラクトースはタンパク質などを選択的に認識すると言われており、ガラクトースが構成糖として存在する点で、タンパク質などとの複合化も容易になる。従って、少量の親水性溶媒及び/又は疎水性溶媒の存在下で、比較的容易に多種の高分子と複合化することができ、有用な機能材料、工業材料としての展開が可能である。当然、本発明に用いる菌体由来のタンパク質も複合化の相手として利用することができ、培養系の有効利用と相まって、複合化の材料、方法についての低コスト化に資するものである。また、本発明のセルロース系物質は、50nm程度のミクロフィブリルを構成単位としているので、ナノレベルでの複合化も可能である。
本発明のセルロース系物質、水溶性多糖群、又はこれらの混合体を複合化させる場合に用いられる金属、金属酸化物等の無機物について例示すると、金、銀、銅、白金、パラジウム、アルミニウム、鉄、ビスマス、マグネシウム等又はそれらの合金及びそれらの酸化物などが挙げられ、これらは磁性体、誘電体、反応触媒等である。複合化の方法は、特に限定されないが、高加速度型のボールミルを使用した方法、バンバリーミキサを使用した方法、何回も繰り返して高圧プレスする繰り返し圧延方法、ポリマー溶液中で複合化する湿式分散法などが利用できる。
複合化の方法として好適なのは、かかる培養液に当初から、無機物を分散させるか、あるいは、培養を開始後、ある時点で培養系に無機物を添加することであり、本質的に本発明のモルフォロジーを維持した新規微生物産生セルロース/無機物複合体が生産される。好適に用いられる例としては、電荷ゼロ点がpH表示で7以上でコロイド形成能を持つ無機酸化物又は水酸化物、例えば、α−アルミナ、γ−アルミナ、ベーマイト、バイヤライト、酸化ベリリウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、水酸化コバルト、酸化銅、水酸化鉄、α−酸化鉄、γ−酸化鉄、レビドクロサイト、水酸化鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、酸化タリウム、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ランタンが挙げられる。また、他の例として、電荷ゼロ点がpH表示で7以下でコロイド形成能を持つ無機酸化物又は水酸化物、例えば、ジアスポアやギブサイト等のアルミニウム化合物、ゲータイトなどの鉄水酸化物、酸化珪素、酸化錫、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルカリ金属塩以外のチタン酸塩、同ジルコン酸塩などが好適に用いられる。これらは、培養系の粘性を増加させることがほとんどないため、培養系に添加する際の量的制限も粒径制限もなく、当業者が培養技術の観点から適宜決めればよい。ただし、量が多い場合や、粒径が大きい場合、産生してくるセルロース系物質との均一分散混合を望む時は、通気度や攪拌を高める必要がある。これら複合体は、無機物特有の機能を効果的に発現させ得るし、更に、これら複合体の形で他材料と混合する場合は、微分散化を容易にする効果があり、また、その無機材料による補強機能などを付与させることができる。例えば、酸化アルミニウムとの複合体は、研磨材、触媒担体、気体浄化フィルター、液体浄化フィルター、分離膜、有機溶媒、特に有機塩素系溶媒の吸着分離材、インク吸収材料、湿度調節材料などの原料として利用できる。酸化チタンとの複合体はUV吸収体、光触媒材料として、炭酸バリウムとの複合体はX線遮蔽体、強誘電体材料の原料として、酸化ジルコニウムとの複合体は低熱伝体、高屈折率体材料の原料として、酸化コバルトとの複合体は常磁性・低電気伝導体原料として、チタン酸バリウムとの複合体は強誘電体原料として利用できる。γフェライトとの複合体は強磁性体原料として利用できる。また、酸化亜鉛との複合体は、触媒原料、感光体基材、ゴム加硫補強材の原料として利用できる。
本発明に係る培養過程で得られるセルロース系物質/無機物複合体では、当該複合体の形で培養系から分離され、最終的にもそのままの複合状態で最終原材料として利用し得るので、単位製品量当たりの廃液処理費は大幅に低減される。
これら複合体は、添加する無機酸化物の機能を、より効率的に発現する可能性がある。例えば、α−アルミナ、γ−アルミナ、水酸化コバルト、酸化バナジウムなどとの複合体は、水系媒体中での各種触媒単体、ナノ分散研磨基材として、酸化亜鉛との複合体では、エレクトロルミネッセンス分散基材として、酸化チタンとの複合体は光触媒基材として、チタン酸バリウムとの複合体は、高誘電体基材として利用可能である。
本発明のセルロース系物質は、50nmから100nmの微細なミクロフィブリル構造を有すること、比表面積が著しく高いこと、タンパク吸着性に優れること、線膨張係数が低いこと、弾性率が高いことなど、様々な特性を有しているので、ここに示したアロイ化のほか、種々の用途に利用可能である。用途として例えば、不織布材料、吸着剤、特にタンパクとの相互作用が強いのでタンパク吸着剤、分離膜、人工皮膚、担持体、保水剤、増粘剤、分散・懸濁安定剤、食材などに展開可能である。複合材材料の構成成分としても、微多孔膜、フォーム、ゴム、ラテックス、接着剤などに使用できる。これらの用途には、従来の酢酸菌の作るセルロースもある程度は利用可能であるが、本発明によるセルロース系物質はIα分率が低いため、表面OH基密度が高く、表面活性が高いことや、ガラクトース残基やマンノース残基が含まれていることなどから、他物質との相互作用が強く、前記用途において従来セルロースよりも効果が大きいことは明らかである。
以下に、本発明のセルロース系物質の製造方法について説明する。
本発明に用いられるセルロース系物質生産菌としては、エンテロバクター属のセルロース生産菌が使用できる。例えば、CJF002株、その継代培養微生物、又は、それらをNTG(ニトロソグアニジン)等を用いる公知の方法によって変異処理することにより創製される各種変異株などが利用できる。ここで、CJF002株とは、平成12年3月29日付けで、原寄託として、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6に住所を有する独立行政法人 産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)に、微生物の表示「Enterobactet sp.CJF−002」として寄託され、平成14年11月1日に、受託番号「FERM BP−8227」として原寄託よりブダペスト条約に基づく寄託に移管されているエンテロバクター(Enterobacter)属微生物株をいう。
本発明のセルロース系物質を産生するバクテリアが通性嫌気性であり、酸素(空気)の有無に拘わらず培養できるという利点がある。培地としては、各種合成培地や天然培地を利用できる。好ましくは糖類を含有する培地である。炭素源としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、スクロース、レバン、マンニトール、ソルビトール、エリスリット、グリセリン、エチレングリコール、澱粉、糖蜜、コーン・ステープ・リカー、麦芽エキス、澱粉水解物などが挙げられる。特に、CJF002株の場合は、従来の酢酸菌では利用不可能な、安価な、所謂廃糖蜜としての、シトラスモラセス、ビートモラセス、ケーンモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類などの各種果汁成分有機酸などを単独又は二種以上混合したものが利用できる。窒素源としては、アンモニウム塩、硝酸塩などの無機性窒素源や、ファーマメディア、ペプトン、大豆粉、肉エキス、カゼイン、尿素、豆濃などの有機性窒素源を単独又は二種以上混合したものが利用できる。
培地には必要に応じて、有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂肪酸、又は無機塩類としてリン酸塩、鉄塩、マンガン塩、その他の金属塩を、それぞれ単独又は二種以上混合して用いることができる。
本発明に用いるエンテロバクター属微生物、例えばCJF002株の微生物、その変異株、又は継代培養微生物群は通性嫌気性細菌であるため、好気条件でも嫌気条件でも培養が進行して、本発明のセルロース物質群を産生する。培養形式に制限を受けず、原則的に微生物の培養に用いられる公知の方法を用いて培養を実施できる。例えば、ジャーファーメンター及びタンクなどの攪拌槽ならびにバッフル付フラスコ、坂口フラスコ及びエアーリフト型攪拌層、発酵ブロスのポンプ駆動循環、容器自体を往復運動、回転運動させる振とう培養などの手段や装置を、任意に選択、組み合わせて使用できる。また、攪拌培養は必要に応じて、同時に通気を行いながら実施できる。通気は、例えば、空気など酸素含有ガス、又は例えば、アルゴン、窒素などの酸素非含有ガスを用いることができ、これらガスは培養系の条件に合わせて当業者により適宜選択できる。
また、培養操作法においても公知の方法、例えば、回分発酵法、反復回分発酵法、連続発酵法などが使用できる。本発明において、特に好ましい培養法は、通気攪拌培養である。静置培養では本発明のセルロース系物質は通常はゲルの形で生成し、精製・離解が難しいが、CJF002株の微生物、その変異株、又は継代培養微生物によるセルロース系物質産生では、酢酸菌の場合とは異なって、菌体が生成ゲルの中に埋没している確率が低いため、相対的に精製が酢酸菌の場合よりも容易であるという利点は特筆すべきことである。
この特質は、更に、低速攪拌培養で効果を発揮する。図1の写真にあるような、極めて特殊な独立分離物(マリモ形態)を生成させることが可能であり、菌体も極言すれば、水洗だけでも除去できるため、最終用途によっては相当の製造コスト低減につながる。
実際の培養に当たって、初期の菌体濃度は適宜選択し得るが、103−106個/ml程度好ましくは103−106個/ml程度が適当である。培地のpHは特に制限されず、pH2.2−pH9.5、好ましくは、pH7近辺である。温度範囲は20℃以上45℃以下が適切である。本発明において、特にCJF002株を使用する場合は、セルロース系物質の培養生産過程で水溶性多糖群が同時に生成しており、セルロース系物質の収率向上には高温、例えば30℃以上での培養が好ましい。
本発明に係る新規物質の他の1つは、カルボキシル化糖以外の主成分がグルコース、ガラクトース及びフコースを主成分とし、それぞれが30%前後の組成で含まれる水溶性多糖群である。このような水溶性多糖群が生産されることも本発明に用いる微生物群の培養における特徴の1つであり、例えば、単純に培養温度を約30℃以下に下げるだけで、水溶性多糖群を主産生物とすることができる。ここで、水溶性多糖群と記したのは、より正確な溶解度分別を行えば、更に数種の水溶性多糖に分別できることによる。しかし、実用上、詳細な分別が不要の場合もあり、またコスト低減の観点からも、混合使用する方が得策である場合が多いために、あえて水溶性多糖群と記述した。水溶性という言葉には高度に水膨潤性を示すものも含まれる。
本発明の水溶性多糖(群)のように、フコースのような、C6位がメチル置換されたデオキシ体が連鎖の中に組み込まれている例は特異である。一般の架橋剤で架橋すれば、高度に水などを吸収したゲルになり、他の素材に表面コートしたり、練り込み後、成形などすれば、生体適合材料、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の媒体、細胞認識/非認識剤への利用も容易である。また、本発明の水溶性多糖群は、多くの物質の分散能にも優れており、かつ、セルロース系分散剤が常に問題となる、塩存在下での分散保持力も強く、化粧品をはじめとする多くの工業用途で広く利用可能である。勿論、水不溶性セルロース系物質のところで記載したように、他の物質、例えば高分子材料とのアロイ化も基本的に可能である。
本発明の水溶性多糖群は、先に記載したセルロース系物質の培養生産と基本的に同じ培地で産生させることできるが、培養温度を低温、例えば、20℃未満の温度で実施すれば、主要産生物となる。炭素源はグルコースよりもスクロースが好ましい。この場合でも、セルロース系物質は多少産生される。低い温度では、水溶性多糖群のセルロース系物質に対する産生割合は増すが、温度が4℃未満ではいずれの産生物も殆んど産生しない。培養系に溶解している多糖群を分離・生成するのは多大なエネルギーとコストがかかるので、これらを培養系に高濃度で存在させることが肝要である。
本発明の方法で得られたセルロース系物質及び複合体及び水可溶性多糖群を培養液から精製する方法は、ろ過洗浄、遠心沈降によるデカンテーション等、様々な方法が適用でき、限定されない。精製度合いは用途により適宜選定でき、用途によっては微生物由来のタンパク質、培地成分などが混入していてもかまわない。場合によっては、他成分との接着性の向上等を目論み、微生物由来のタンパク質が存在した方が効果的な場合もあり得る。セルロース系物質及び水可溶性多糖群が混合していてもかまわない。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、本発明の培養法で産生されるセルロース系物質などの同定方法及び評価方法を以下に記載する。
(1) セルロース系物質、水溶性多糖群の凍結乾燥品の糖成分分析
セルロース系物質の凍結乾燥品を市販のセルラーゼで加水分解(分解率75%程度)した。また、水溶性多糖群の凍結乾燥品は無機酸で分解し、残渣を更にセルラーゼにて加水分解した。得られた分解物を、以下に示す条件で中性糖及びウロン酸の分析を行った。
(i)中性糖
島津製作所製HPLC装置(LC−9A)と、東ソー社製カラム(TSK−gel Sugar AXG:φ4.6mmx150mm))を用い、サンプル注入後、溶離液として0.5mM硼酸カリウム緩衝液を用いて溶離(0.4ml/min)を行い、ポストカラム標識として1%アルギニン及び3%硼酸を用いた。流速0.5ml/min、反応温度150℃とした。
(ii)ウロン酸
島津製作所製カラム(Shinpal ISA−07:φ4.6mmx250mm)を用い、溶離液とポストカラム標識の流速(各々0.8ml/min)だけを変更したほかは、中性糖と同様に分析を行った。
(2)セルロース系物質の構成糖の結合様式
セルロース系物質の凍結乾燥品を定法に従って完全メチル化し、トリフルオロ酢酸により単糖単位に加水分解した後、無水酢酸−ピリジン法で還元アセチル化して部分メチル化糖アルコールのアセチル誘導体(部分メチル化アルジトールアセテート)の形にして、ガスクロマトグラフィー(Hewlett−Pacherd社製HP5890A、スペルコジャパン社製SPB−5カラム、キャリアーガス:He、検出モード:FID)及びガスクロマトグラフィー質量分析(日本電子社製JMS DX−303、イオン化;EI法)を用いたメチル化分析から推定した。
(3)セルロース系物質のIα分率
固体13C−NMRスペクトル測定を、Bruker社製DSX400型スペクトロメーターを用い、CP/MAS法を用いて行った。コンタクトタイム1ms、パルス間隔5s、90°パルス4.8μs、積算回数3000回、回転速度4000Hzとした。得られた固体13C−NMRスペクトラ(図6)と以下の式(Macromolecules,17,1465(1984)参照)よりIα分率を算出した。図6は実施例1のグルコースを炭素源として得たセルロース系物質の固体13C−NMRスペクトラである。このスペクトラはセルロース系物質の構成糖であるグルコース単位のC4位の炭素のスペクトラを示している。Iα成分はピーク2(Iα/2+Iβ/2)とピーク3(Iα/2)に出現し、Iα成分の寄与率はかっこ内に記載したようにそれぞれ0.5ずつである。Iβ成分はピーク1(Iβ/2)とピーク2(Iα/2+Iβ/2)に出現し、Iβ成分の寄与率はかっこ内に記載したようにそれぞれ0.5ずつである。したがってIα分率は下記式から求められる。
Iα分率=(I3×2/(I1+I2+I3))×100
I1:ピーク1の積分強度、I2:ピーク2の積分強度、I3:ピーク3の積分強度
(4)セルロース系物質の面配向性
広角X線回折結果(図7)と以下の式(Polymer Journal,7,157(1975))により算出した。
面配向性=(I11−0/I200)×100
I11−0:(11−0)結晶面の回折強度、I200:(200)結晶面の回折強度
(5)セルロース系物質の重合度
カドキセン粘度法により、得られた極限粘度数([η])と次式(European Polymer Journal,1,1(1965)参照)より分子量Mを算出し、これを165で除した値とした。図7は実施例1のグルコースを炭素源として得られたセルロース系物質の広角X線回析スペクトラである。
[η]=3.85×10−2M0.76
(6)結晶化度
固体13C−NMRスペクトル測定を、Bruker社製DSX400型スペクトロメーターを用い、CP/MAS法を用いて行なった。コンタクトタイム1ms、パルス間隔5s、90°パルス4.8μs、積算回数3000回、回転速度4000Hzとした。得られた固体13C−NMRスペクトルのC4位の炭素ピークのうち、高磁場側のピークを非晶成分(ピーク面積A)、低磁場側のピークを結晶成分(ピーク面積B)とし、次の式から結晶化度χcを求めた(Polymer Journal,17、707(1985)(K.kamide,K.Okajima,K.Kowsaka,T.Matsui参照)
χc=(B/(A+B))×100
実施例1
4.0%のスクロース、グルコース又は中国産ビートモラセス(廃糖蜜)をそれぞれ添加した多糖生産培地(以下、PPM培地と称す。Polysaccharide−production−medium、Akihiko Shimada、Viva Origino,23,1、52−53、1995)を高圧蒸気殺菌処理した後、その1000mlを内容量2000mlのジャーファーメンターに入れ、CJF−002株を104CFU/mlになるように接種し、僅かなバブリング通気の下、30℃で2日間低速(70rpm)で攪拌培養した。いずれの培養の場合も、図1のような、中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した球状形態のセルロース系物質が得られた。詳しくは、球状の核と、核から放射状に延びる円錐状物から構成され、円錐状物と核とは円錐状物の頂点で接合し、円錐状物の底面には繊維状物が観察された。円錐状物の高さは球状の核の半径にほぼ匹敵した。これらを、スクリーンメッシュ(50、メッシュ)で濾別、水洗、圧搾後、1%NaOH溶液に浸漬し、除菌後、再度中和、水洗、圧搾により水分を含有する白色の綿状体を容易に得ることができた。グルコースを添加した培養により得られたセルロース系物質は、図1に示す形状で直径が概ねそろったものであり、スクリーンメッシュ上での通液性に優れ、前記の濾別、水洗、圧搾などの工程は極めて良好であった。後述するように、従来の酢酸菌によるセルロースはリン片状の細片で、かつゲル状なので、スクリーンが容易に閉塞し前記のような工程を行なうことは困難である。1%NaOH溶液に浸漬せず水洗だけでも殆どの菌が除菌されていることを確認した。
サンプルの構成糖成分分析、結晶化度、Iα分率分析、面配向分析の結果を表1に示す。明らかに、β−1,4−結合が主体であり、構成糖はグルコースが87.8−99.6%であり、結晶化度は80%以上、Iα分率は高くても62%であり、57%が平均であった。Iα分率が、後述の比較例2における酢酸菌産生のセルロースより低いのは、グルコースだけからなる真のセルロース構造に近い不溶性多糖が混在しているためである。グルコース以外の糖成分は、ガラクトース、マンノースが主であった。不溶性セルロース系物質の対糖収率は10−15%であった。
実施例2
高圧蒸気殺菌処理した2.0%のグルコースを添加した多糖生産培地(Polysaccharide−production−medium、Akihiko Shimada、Viva Origino,23,1、52−53、1995)1m3を3m3の培養槽に投入し、CJF−002株を2x104CFU/mlになるように接種し、培養槽底部より1m3/分の通気量でバブリングし、30℃で、24時間培養した。培養中のpHは、7近辺になるよう、1時間おきに希薄NaOH水溶液で調整した。培養終了後、高圧蒸気を吹き込み殺菌後、粗いメッシュによりろ別し、遠心脱水操作後、1%苛性ソーダにて、90℃で、数時間溶菌後、中和、水洗、脱水処理し、セルロース量が10Wt%程度のウェットケークを得た。それをそのまま、水に希釈し、マクロ構造を光学顕微鏡にて観察した。結果を図2に示す。図2は基本的に図1と同じ、中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した球状形態であるが、培養状態が異なるためフィブリルの形状や大きさがやや異なる。詳しくは、直径1mm弱の球状の核から放射状に直線状にマクロフィブリルが1mmほどの長さで延びた形態である。酢酸菌を撹拌培養して得たバクテリアセルロースの、リン片状の細片又は不定形状形態(K.Watanabe,Cellulose 5,187(1998))に比較して、本発明の微生物産生セルロースは、中心から放射状にマクロフィブリルが出た、独立又は多少連結した特異な構造をしており、全く新規な微生物産生セルロース物質である。
また、上記ウェットケークを凍結乾燥した試料のミクロ構造を電子顕微鏡で観察した。結果を図3に示す。酢酸菌を攪拌培養して得たバクテリアセルロースは、網状ではあるが、ミクロフィブリル自体が丸みを帯び、相分離でいうところの生成ポリマーの一時粒子が連結した構造に近い(USP5,144,021,Fig,2参照)。これに対し、本発明品は、図3に示すとおり、概ね扁平であり、相分離構造でいう所のサーキュラーポアが相互連結した特徴的モルフォロジーを取り、ミクロフィブリル間の相互連結度が格段に高い。なお、上記本発明のセルロース系物質構成糖の結合様式を、解析したところ、β−1,4−グルコシド結合が96%以上であり、殆どセルロースであることを確認した。また、結晶化度は90%以上であり、X線回折では、II型結晶形が多少存在していることがわかった。
実施例3
グルコース濃度3%のPMM培地1000mlを、全容5000mlの小型ジャーファーメンターに投入後、無菌的にCJF002株を植菌(2x104CFU/ml)し、α−アルミナ(平均粒径0.5μm、300mg)を添加し、攪拌回転数100rpm、通気量600ml/minで48時間攪拌培養を行った。滅菌、脱水、アルカリ洗浄、中和、洗浄、脱水し、セルロース系物質/無機物複合体を得た。図4にその光学顕微鏡写真を示す。アルミナを添加した複合体も同様の形態、すなわち、大きな球形核の周りに放射状マクロフィブリルを持つ新規モルフォロジーが明瞭に観察された。球状体の大きさはアルミナが存在しない場合の2倍以上の大きさであった。本実施例では、アルミナが産生されたセルロース系物質に完全に取り込まれたとした場合、容積分率で1/25程度である。上記セルロース物質/無機物複合体の凍結乾燥品の電子顕微鏡写真を図5に示す。高度に蜘蛛の巣状となった構造の所々に、不定形のアルミナが固着されている様子がわかる。この凍結乾燥体を数回再分散処理をして、再度電子顕微鏡観察したところ、固着アルミナがセルロースミクロフィブリルから分離脱落することがほとんど無いことを確認した。
実施例4,5及び6
グルコース濃度2%のPMM培地500mlに、それぞれ5gのα−アルミナ(実施例4)(平均粒径0.5μm)、アナターセ型酸化チタン(実施例5)(粒径0.5μm)、及びルチル型酸化チタン(実施例6)(粒径0.5μm)を混合分散し、全容2000mlの各フラスコに無菌的に投入後、CJF002株を植菌(2x104CFU/ml)し、振とう速度200rpmで、18時間振とう培養を行った。通気、pH調整は行わなかった。滅菌後、直ちに消費グルコース量を測定したところ、α−アルミナで94%、アナターセ型酸化チタンで36%、ルチル型酸化チタンで21%と大きな開きがでた。後二者の表面がアルカリ的であり、前一者の表面が酸性的であることが原因かもしれない。得られたセルロース物質/無機物複合体を光学顕微鏡で観察したところ、いずれも中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した球状形態であった。グルコース消費量が少なかった酸化チタン類では、セルロースの量はアルミナと同程度であった。従って、グルコースからセルロースへの変換効率の改善も図られるようである。
実施例7及び比較例1
実施例2で得た新規微生物産生セルロース系物質のウェットケークを、セルロースが0.1Wt%になるように水で希釈し、TKホモジナーザーで簡易分散した分散液を得た(実施例7)。市販(フジッコ(株))のナタデココ(酢酸菌で静置培養して得たバクテリアセルロースペリクル)を同様にTKホモジナイザーで簡易分散した0.1wt%のセルロース分散液を得た(比較例1)。これらの分散液の沈降圧縮度を本文に記載の方法により測定したところ、比較例1では、0.20以上であったが、実施例7の本発明品は0.08であり圧縮され易いことが判明した。同様に、B型粘度計にて、10/SECの回転数で動的粘度を測定した。本発明品は200cpであったが、比較例では600cpであった。即ち、本発明の新規微生物産生セルロース系物質は、乾燥や二次加工性において従来既知の所謂バクテリアセルロースに比べ有利といえる。
実施例8
培地中のグルコース濃度が1%になるように、グルコース溶液を段階的に添加する方法で、実施例1記載の培養方法に従って、15℃で4日培養を行った。15℃の条件ではセルロース系物質はほとんど生成しなかった。培養液を高圧滅菌後、わずかに生成したセルロース系物質をスクリーンメッシュ(50メッシュ)で分離除去し、更に遠心分離で菌体を沈降除去し、培養濾液を半分に濃縮後、3倍容のアセトン溶液に攪拌投入して、得られた沈殿物をスクリーンメッシュで濾別した。濾別物を再度水に10%濃度で溶解した。この溶液はメタノール、エタノールでは容易に沈殿物を生じなかった。再溶解液を残渣除去後、再び3倍容のアセトンで沈殿させ、濾別体を水/メタノール混合液(30%メタノール)で洗浄して目的物を得た。目的物の構成糖組成を表2に示す。目的物はガラクトース、フコース及びグルコースが主体であり、また、ウロン酸成分を含むことを確認した。
実施例9
炭素源を中国産ビートモラセス(廃糖蜜)とし、実施例1と同様に培養を行った。培養温度は30℃とした。培養後120℃で20分間オートクレーブ滅菌し、滅菌培養液をそのまま乾燥し、セルロース系物質と水溶性多糖群の混合体を得た。混合体のセルロース系物質と水溶性多糖群の比率は(セルロース系物質/水溶性多糖群)=6/5であった。
実施例10及び比較例2
炭素源をグルコース、温度40℃とし、実施例1と同様にして図1に示すと同様の形態のセルロース系物質を得た(実施例10)。得られたセルロース系物質を実施例1と同様にスクリーンメッシュで濾別、水洗、圧搾後、1%NaOH溶液に浸漬し、除菌後、再度中和、水洗、圧搾により水分を含有する綿状体を得た。スクリーンメッシュにおける通液性に優れるため、これら濾別、水洗、圧搾などの工程は極めて容易に行えた。その後、2軸型のニーダー(KRCニーダー(商標)、栗本鐵工所製)で140℃、200rpmで乾燥と粉砕を同時に行った。得られた乾燥粉末をテトラヒドロフラン(THF)に分散させた後、ポリスルホン(分子量5,000)を溶解させた。THE、セルロース系物質、ポリスルホン全体量に対するポリスルホンの割合は8重量%、セルロース系物質の割合は0.8重量%であった。得られたポリスルホン溶液/セルロース系物質分散液体をガラス板に500μm厚でキャストし、乾燥してセルロース/ポリスルホンフィルムを得た。得られたフィルムの線膨張係数は19ppmで、ポリスルホンの線膨張係数55ppmの約1/3であった。セルロース系物質単体の線膨張係数は5ppmであり、良好な複合化が進むほどアロイ化物の線膨張係数は小さくなり5ppmに近づく。
比較例2として、酢酸菌を培養しセルロースを得た。培養は標準的な条件、Hestrin−Schramm培地(S.Hestrin and M.Schramm,Biochem.J.,58,345(1954)参照)を用い、PH6、温度28℃、通気撹拌で行った。比較例2で得られたセルロース系物質は、不定形及びリン片状の細片であり、一部ゲル化しており、スクリーン上で目詰りし、ろ別、水洗、圧搾などの工程の通過が困難であった。比較例2により得られたセルロース系物質の構造・組成を表1に示す。糖組成はグルコース100%で結合様式もすべてβ−1,4−結合であった。Iα分率は69%と高く、面配向度も高かった。比較例2により得られたセルロース系物質を用いて実施例10と同様の操作でセルロース/ポリスルホンフィルムを得た。フィルムの線膨張係数は35ppmであり、本発明のフィルムより明らかに大きかった。これは比較例のセルロース系物質の表面活性(OH基密度)が低く複合化が不十分なためである。
産業上の利用の可能性
本発明のセルロース系物質は、繊維フィブリルの表面活性が高く、複合体用の素材として優れ、またその形態的特性により組成物成分の安定化付与剤として、精密ろ過用分離剤として、形態構造の安定したシート状・粒状の形状物として有用である。また、本発明のセルロース系物質/無機物複合体は、その基本モルフォロジーが複合化していないセルロース系物質と同じであり、含有無機物固有の機能発現はもとより、形態に由来する新たな機能付与の可能性があり、産業上の意義は大きい。
本発明の水溶性多糖群のように、フコースのようなC6位がメチル置換されたデオキシ体が連鎖の中に組み込まれている例は特異であり、一般の架橋剤で架橋すれば、高度に水などを吸収したゲルになり、他の素材に表面コートしたり、練り込み後、成形などすれば、生体適合材料、DDSの媒体、細胞認識/非認識剤への利用も容易である。また、多くの物質の分散能にも優れており、かつ、セルロース系分散剤が常に問題となる塩存在下での分散保持力も強く、化粧品をはじめとする多くの工業用途で広く利用可能である。
セルロース系物質及び水溶性多糖群は、他の物質、例えば、高分子材料、金属、金属酸化物と複合してのアロイの調製に有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、撹拌培養(回転攪拌)により得られた本発明のセルロース系物質の光学顕微鏡写真(スケールバーは1mm)である。
図2は、撹拌培養(エアーバブリング)により得られた本発明のセルロース系物質の光学顕微鏡写真(スケールバーは1mm)である。
図3は、本発明のセルロース系物質の走査型電子顕微鏡写真(スケールバーは3μm)である。
図4は、アルミナを添加した撹拌培養により得られた本発明のセルロース系物質/無機物の複合体の光学顕微鏡写真(スケールバーは5mm)である。
図5は、アルミナを添加した撹拌培養により得られた本発明のセルロース系物質/無機物の複合体の走査型電子顕微鏡写真(スケールバーは3μm)である。
図6は、本発明のセルロース系物質の固体13C−NMRスペクトラである。
図7は、本発明のセルロース系物質の広角X線回折スペクトルである。
Claims (7)
- 受託番号FERM BP−8227として国際寄託されたエンテロバクター属微生物株CJF002を培養して得られる、β−1,4−型糖鎖結合を含む水溶性多糖であり、結晶化度が70%以上であり、かつ、中心部から周囲に放射状にマクロフィブリルを形成した球状であるセルロース含有物質。
- グルコース単位構成比率が85〜100%であり、かつ、セルロース結晶多形のうちIα分率が45%以上63%以下である、請求項1に記載のセルロース含有物質。
- 培地に、受託番号FERM BP−8227として国際寄託されたエンテロバクター属微生物株CJF002を、103−107個/ml植菌後、糖類を炭素源として、20以上45℃以下の温度で、攪拌培養することを含む、請求項1又は2に記載のセルロース含有物質の製造方法。
- 前記糖類が廃糖蜜である、請求項3に記載の方法。
- 請求項1又は2に記載のセルロース含有物質と他の高分子材料及び/又は金属及び/又は金属酸化物との複合体。
- 培地に、受託番号FERM BP−8227として国際寄託されたエンテロバクター属微生物株CJF002を、103−107個/ml植菌後、糖類を炭素源として、20以上45℃以下の温度で、セルロース含有物質以外の他の高分子材料及び/又は金属及び/又は金属酸化物とともに攪拌培養することを含む、請求項5に記載の複合体の製造方法。
- 前記糖類が廃糖蜜である、請求項6に記載の方法。
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