JP4389409B2 - 光ファイバの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ、特に長周期ファイバグレーティングの作製に適した光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
長周期ファイバグレーティングは、光ファイバに光の伝搬方向に沿って長周期の屈折率変調が形成されたものであり、コアモード光とクラッドモード光との間の結合作用を利用した光フィルタ等として用いられている。光フィルタとして用いられる長周期ファイバグレーティングにおいては、その偏波依存性損失をより低減することが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
長周期ファイバグレーティングの偏波依存性損失の発生要因の一つとして、光ファイバ内の応力分布が中心軸に対して対称でないことが挙げられる。光ファイバ内に応力が残留していると、光弾性効果により屈折率に変化が生じる。このため、応力分布に非軸対称性があると、屈折率分布もまた非軸対称となる。その結果、光ファイバを伝搬する光に含まれる2つの直線偏波モードに対して伝搬定数が異なることになり、偏波依存性損失が発生する。
【0004】
また、屈折率変化誘起剤が添加された光ファイバに屈折率変化誘起光、例えば、紫外域光を照射して長周期ファイバグレーティングを作製する際に、偏波依存性損失が増大してしまう場合がある。さらに、長周期ファイバグレーティングでは、所定の波長を有する光がクラッド領域へと導波するため、コア領域だけでなく、クラッド領域における応力分布の非軸対称も特性に大きな影響を与えることになる。
【0005】
長周期ファイバグレーティングの作製に好適な光ファイバにおいては、コア領域は屈折率変化誘起剤及び温度特性調整用の添加物が添加された石英ガラスから構成され、クラッド領域は純石英ガラス又は塩素若しくはフッ素が添加された石英ガラスから構成される。コア領域に添加される屈折率変化誘起剤としては、例えば酸化ゲルマニウム(GeO2)があり、温度特性調整用の添加物としては、例えば酸化ホウ素(B23)や酸化リン(P25)などがある。コア領域とクラッド領域とにおいて添加物が異なるため、熱膨張係数もまた両領域の間で異なる。しかも、屈折率変化誘起光照射により屈折率を効率よく変化させるため、コア領域の上記添加物の添加量を大きくする傾向があり、このため、熱膨張係数の差はより大きくなる。例えば、コア領域での熱膨張係数は、クラッド領域での熱膨張係数の5〜6倍にも及ぶことがある。
【0006】
コア領域の熱膨張係数がクラッド領域に比べ大きいと、加熱線引き後に光ファイバを冷却する過程において、コア領域はクラッド領域に比べてより大きく縮もうとする。反面、クラッド領域はコア領域に比べあまり縮まないため、冷却後の光ファイバには比較的大きな応力が生じる結果となる。コア領域においては、光ファイバの長手方向、径方向、及び円周方向のいずれにも引張応力が発生している。一方、クラッド領域には、径方向に引張応力がかかり、光ファイバの長手方向と円周方向とには圧縮応力が生じている。
【0007】
このような応力が生じた場合でも、光ファイバが真円であれば応力の分布は軸対称となるため、伝搬定数に差が生じることはない。しかしながら、完全に真円な光ファイバを作製することは困難であり、そのため、応力分布は非軸対称となってしまう。その結果、偏波方向によって伝搬定数が異なることになり、偏波依存性損失が悪化してしまう。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、偏波依存性損失が低減された長周期ファイバグレーティングの作製に適した光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
石英系光ファイバにおいては、応力分布の非軸対称性による伝搬定数差δβ(s)は、文献「O plus E vol.21, No.6, pp.706-714.」によれば、
δβ(s)=βx (s)−βy (s)
≒ε(α1−α0)(−δT)E(C2−C1)κS(υ)/2(1−υ)
で与えられる。ここで、α1はコア領域の熱膨張係数であり、α0はクラッド領域の熱膨張係数である。Eは光ファイバのヤング率であり、υはポアソン比である。C1,C2は光弾性係数である。δTはガラスの溶融状態から室温までの温度変化であり、線引きなどの冷却過程では負の値をとる。コア領域にGeO2が添加された光ファイバの場合、δTは、
δT=−1020+2×104・Δ
で与えられる。ただし、Δは、コアとクラッドとの比屈折率差であり、上式ではパーセント表示ではなく絶対値で与えられる。
【0010】
上述の説明の通り、δTは比屈折率差Δの関数であり、Δのみ大きくすることができればδTの絶対値を小さくすることができるが、全体としては、熱膨張係数差が逆に大きくなるため、伝搬定数差δβ(s)は大きくなってしまう。
【0011】
そこで、本発明者らは、上式に基づいて鋭意検討を重ねた結果、光ファイバの冷却速度の調整によってδTのみを小さくし、しいてはδβ(s)を低減することが可能との結論に達した。その理由は以下の通りである。
【0012】
線引き炉内で線引きされているような高温状態においては、ガラスの粘度は非常に低く、ガラスは流動性を有している。このような状況では、コア領域及びクラッド領域の間で生じる応力は無視できるほど小さい。しかしながら、高温状態から冷却されていく際に、ガラスの粘度が上昇しガラスが流動性を失うと、応力が緩和されなくなり、熱膨張係数の差に起因した応力が生じるようになる。
【0013】
すなわち、δTが意味する温度変化の初期温度にあたる溶融温度とは、線引き時の温度のようにガラスが流動性を有しているときの温度ではなく、ガラスの流動性による応力緩和が起こらなくなる温度、或いはこれよりも高い温度と理解されるべきである、と本発明者らは考えている。特に、コア領域にGeO2が高濃度に添加される光ファイバにおいては、コア領域の粘度の方が低くなるため、コア領域の応力が緩和できなくなる温度、或いはこれよりも高い温度と理解されるべきである。
【0014】
このような考察から、本発明者らは、応力が流動性により緩和されなくなる温度よりも高い温度において、先ず、応力をできる限り緩和しておくことが重要であると考えるに至った。ここで、その温度とは、応力が緩和されなくなる温度に限りなく近く、ガラスが僅かながらではあるが流動性を残しているといった温度であれば尚効果的である。線引き後の光ファイバを徐々に冷却していけば、光ファイバをこのような温度で十分な時間保持でき、応力を十分に緩和できる。また、線引き後の光ファイバを徐々に冷却すれば、光ファイバはそのような温度に確実に保持され得る。これにより、結局のところ、δTは実質的に低減されることとなる。その結果、非軸対称な応力分布に起因する伝搬定数の差を低減でき、すなわち、偏波依存性損失を低減できる。以上のような検討・考察を鋭意重ねた結果、本発明者らは本発明に到達した。
【0015】
そこで、本発明に係る光ファイバの製造方法は、(a) コア部と、コア部の外周に設けられたクラッド部と、を備え、コア部とクラッド部との熱膨張係数の差が2.0×10-6/℃以上である光ファイバ母材を用意し、(b) 光ファイバ母材を線引き炉で加熱線引することにより光ファイバを形成し、(c) 線引炉で線引されて形成された光ファイバを線引炉の後段に設けられた加熱炉によって所定の温度範囲700〜1700℃内の温度であるように加熱し、光ファイバを製造することを特徴とする。
【0016】
上記の製造方法によれば、コア部とクラッド部との熱膨張係数の差が2.0×10-6/℃以上である光ファイバ母材が線引き炉において線引きされ、光ファイバが形成される。そして、この光ファイバが線引き炉の後段に設けられた加熱炉において所定の温度範囲となるよう加熱される。加熱炉を用いて線引き後の光ファイバをこのように加熱すれば、線引き後の光ファイバの温度が急激に低下することなく、徐々に低下するようにできる。光ファイバを徐々に降温すれば、上述の通り、光ファイバ内に生じる残留応力が十分に緩和され、その結果、偏波依存性損失を低減できる。
【0017】
また、本発明の光ファイバの製造方法は、加熱炉によって所定の温度範囲内の温度とされる光ファイバの温度が700〜1700℃の範囲内の温度であることにより、光ファイバは確実に徐冷される。
【0018】
さらに、本発明の光ファイバの製造方法は、加熱炉によって、光ファイバの長手方向に沿った任意の点が1000℃/秒以下の冷却速度にて50℃以上冷却されることを特徴としてもよい。このようにすれば、光ファイバは一層確実に徐冷される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による光ファイバの製造方法の実施形態を説明する。先ず、図1を参照しながら、この製造方法に好適な線引き装置について説明する。
【0021】
図1は、本発明による光ファイバの製造方法を実施するのに適した線引き装置の一実施形態を概略的に示す構成図である。線引き装置1は、線引き炉11、徐冷用加熱炉21及び樹脂硬化部31を有している。線引き炉11、徐冷用加熱炉21及び樹脂硬化部31は、光ファイバ母材2の線引き方向(図1において、上から下)に沿って順次配設されている。
【0022】
線引き炉11は炉心管13を有する。炉心管13の外側には、その外周面を取り囲むようにヒータ12が設けられている。また、炉心管13には不活性ガス供給通路15が接続されている。不活性ガス供給通路15は、炉心管13との接続部と反対側の端部において不活性ガス供給部14に接続されている。このような構成により、線引き炉11の炉心管13内は不活性ガス雰囲気とされる。また、線引き炉11の上方には、母材供給装置(図示せず)が設けられており、これにより、光ファイバ母材2が炉心管13内に保持される。
【0023】
徐冷用加熱炉21は炉心管23を備えている。炉心管23には、その外周面を取り囲むようにヒータ22が設けられている。また、炉心管23には、不活性ガス供給部24から延びる不活性ガス供給通路25が接続されており、これにより、徐冷用加熱炉21の炉心管23内は不活性ガス雰囲気とされる。炉心管23内に供給される不活性ガスは、例えばN2ガスであってもよい。また、Ar等の分子量の比較的大きい不活性ガスを用いることも可能である。
【0024】
徐冷用加熱炉21と樹脂硬化部31との間には、外径測定器41が設けられている。外径測定器41は、線引きされた光ファイバ3の外径を測定し、その測定値を出力信号として制御ユニット44へと出力する。制御ユニット44は、外径測定器41から出力される出力信号を入力し、この信号に基づいて、光ファイバ3が予め設定された外径値となるように、線引き速度を演算により求める。また、制御ユニット44からは、演算により求めた線引き速度を示す出力信号が駆動モータ用ドライバ(図示せず)に対して出力される。
【0025】
外径測定器41と樹脂硬化部31との間は、光ファイバ3にUV樹脂液52を塗布するためのコーティングダイス51が設けられている。樹脂硬化部31は、UV樹脂液52を硬化するためのUVランプ32を備える。樹脂硬化部31の下方には、光ファイバ3にUV樹脂液52が塗布・硬化されて作製される光ファイバ素線4を導くガイドローラ61と、光ファイバ素線4を巻き取るドラム42とが設けられている。ドラム42は、回転駆動軸45に支持されており、この回転駆動軸45の端部は駆動モータ43に連結されている。駆動モータ43には、駆動モータ用ドライバ(図示せず)が接続されている。駆動モータ用ドライバは、制御ユニット44からの線引き速度を示す出力信号を入力し、この信号に基づいた駆動電力を駆動モータ43に出力する。これにより、駆動モータ43が所定の速度で駆動される。この結果、光ファイバ3が所定の速度で線引きされるとともに、光ファイバ素線4が所定の速度でドラム42に巻き取られる。
【0026】
次に、上述した線引き装置1を用いた本実施形態に係る光ファイバの製造方法について説明する。
【0027】
母材供給装置(図示せず)に保持された光ファイバ母材2を線引き炉11内部へと下げ、線引き炉11内のヒータ12により光ファイバ母材2の下端を加熱・軟化させる。このとき、炉心管13の内周面での表面温度は約2000℃である。軟化された光ファイバ母材2を線引きして光ファイバ3を形成する。炉心管13内は例えばHeガスで満たされており、このHeガスにより、線引き形成された光ファイバ3は1700℃程度にまで冷却される。その後、光ファイバ3は、炉心管13の下部から線引き炉11の下方へと引き出され、線引き炉11と徐冷用加熱炉21との間において空気により冷却される。
【0028】
Heガスの熱伝導率λ(T=300K)は150mW/(m・K)であるのに対し、空気の熱伝導率λ(T=300K)は26mW/(m・K)である。よって、気体による光ファイバ3の冷却の効果は、線引き炉11と徐冷用加熱炉21との間においての方が炉心管13の内部での場合よりも低くなっている。
【0029】
続いて、空気により冷却された光ファイバ3は徐冷用加熱炉21に送られる。そして、このような徐冷用加熱炉21を光ファイバ3が通過する際に、光ファイバ3は徐冷される。ここで、徐冷とは、例えば、加熱線引きされた光ファイバ3において温度が700〜1700℃となる範囲のうち、温度差が50℃以上となる区間が1000℃/s以下の冷却速度で冷却されることであって良い。特に、線引き形成された光ファイバ3において温度が900〜1600℃となる部分のうち、光ファイバ3の温度差が50℃以上となる区間が1000℃/s以下の冷却速度で冷却されると好ましい。
【0030】
光ファイバ3を上述の冷却速度で冷却するためには、(1)ヒータ22及び炉心管23の設置位置、(2)ヒータ22及び炉心管23の線引き方向(図1において上下方向)に沿った長さ、(3)ヒータ22の設定温度、(4)線引き速度が適宜調整される。さらには炉心管23へと供給される例えばN2ガスの流速も適宜調整されてよい。
【0031】
炉心管23は、炉心管23に入る直前の光ファイバ3の温度(入線温度)が1400〜1800℃の範囲となる位置に設けられていると好ましい。具体的には、炉心管23は、線引炉11のヒータ12の下端(光ファイバが送り出される側の端部)から炉心管23の上端までの距離をL1(m)とすると、
【0032】
1≦0.2×V
といった関係を満足する位置に設けられている。ここで、Vは線引速度(m/s)である。
【0033】
また、炉心管23は、光ファイバ母材2の線引方向(図1における上下方向)に沿った全長をL2(m)したとき、
【0034】
2≧V/8
を満足するように設けられている。ここで、Vは線引速度(m/s)である。さらに、徐冷用加熱炉21のヒータ22の温度は、上記の条件の下、炉心管23を通過する光ファイバ3の温度が700〜1700℃の範囲内の温度、特に、900〜1600℃の範囲内の温度となるように設定されている。このような設定により、光ファイバ3は上述のような冷却速度で冷却され得る。
【0035】
この後、徐冷された光ファイバ3は徐冷用加熱炉21の下端部より引き出される。徐冷用加熱炉21を出た光ファイバ3は、外径測定器41により外径が測定される。この測定値は、上述の通り制御ユニット44で処理され、線引き速度が制御される。よって、光ファイバ3は所定の径を有するよう線引きされる。
【0036】
外径測定器41を通過した光ファイバ3は、コーティングダイス51へと送られる。そして、コーティングダイス51を通過する際に、光ファイバ3にはUV樹脂液52が塗布される。UV樹脂液52は、樹脂硬化部31のUVランプ32により硬化され、その結果、光ファイバ3から光ファイバ素線4が作製される。その後、光ファイバ素線4は、ガイドローラ61を経て、ドラム42により巻き取られる。以上の工程が引き続いて実施されると、所定の長さを有する光ファイバ素線4がドラム42に巻き取られた状態で得られる。
【0037】
以下に、実施例及び比較例を用いて本発明の光ファイバの製造方法を更に詳しく説明する。
【0038】
(実施例1)
先ず、線引き装置1において、線引炉11のヒータ12の下端(光ファイバが送り出される側の端部)から炉心管23の上端までの距離L1を0.4(m)とし、徐冷用加熱炉21の炉心管23の全長L2を1.0(m)とした。また、線引き炉11の温度は、炉心管13の内周面の表面温度で約2000℃とした。さらに、徐冷用加熱炉21の温度は、炉心管23の内周面の表面温度で約1300℃とした。
【0039】
次に、光ファイバ母材2を用意した。この光ファイバ母材2は、GeO2、B23、又はP25が添加された石英ガラスからなるコア部と、純石英ガラスとからなるクラッド部とを有する。このような添加物の添加によるコア部及びクラッド部における熱膨張係数の差は2.6×10-6/℃程度である。また、光ファイバ母材2の外径(クラッド部外径)は35mmであり、コア部の直径は0.9mmである。
【0040】
上記の光ファイバ母材2を母材供給装置(図示せず)に取り付け、さらに光ファイバ母材2を線引き炉11内に保持した。次いで、線引き炉11において、上記の光ファイバ母材2を線引き速度4m/s、線引き張力0.196N程度で線引きし、外径125μmの光ファイバ3を形成した。この光ファイバ3を、続けて、徐冷用加熱炉21へと送り、さらに外径測定器41を通過させてコーティングダイス51へと送った。コーティングダイス51においてUV樹脂液52が光ファイバ3に塗布され、さらに、樹脂硬化部31にてUVランプ32によりUV樹脂液52が硬化されて光ファイバ素線4が得られた。
【0041】
ここで、光ファイバ3の表面の温度は、徐冷用加熱炉21に入る直前には1600℃であり、徐冷用加熱炉21から出た直後には1350℃であった。線引き速度が4m/sであり、炉心管23の全長が1.0mであったので、光ファイバは0.25秒で炉心管23(徐冷用加熱炉21)を通過したことになる。この間に、光ファイバ3の温度は250℃低下したので、徐冷用加熱炉21において、線引きされた光ファイバ3のうち温度が1350℃〜1600℃となる部分が、平均約1000℃/秒の冷却速度にて冷却されたことになる。
【0042】
(実施例2)
実施例2においては、徐冷用加熱炉21の炉心管23の内周面表面の温度を1500℃とした以外は、実施例1と同一の条件で光ファイバ素線4を製造した。炉心管23の内周面温度を1500℃と実施例1の場合(1300℃)に比べ高くしたことにより、徐冷用加熱炉21から出た直後の光ファイバ3の表面温度は1530℃であった。つまり、光ファイバ3の冷却速度は約280℃/sであったことになる。
【0043】
(実施例3)
実施例3においては、線引炉11のヒータ12の下端(光ファイバが送り出される側の端部)から炉心管23の上端までの距離L1を0.6(m)とした線引き装置1を用いた。その他の条件は、すべて実施例1と同一とした。
【0044】
このような条件で光ファイバ素線4を製造したとき、光ファイバ3の表面温度は、徐冷用加熱炉21に入る直前で1400℃であり、徐冷用加熱炉21から出た直後で1300℃であった。この場合、光ファイバ3は約250℃/sといった冷却速度で冷却されたことになる。
【0045】
(比較例1)
比較例1として、徐冷用加熱炉21の炉心管23の内周面温度を1000℃とした以外はすべて実施例1と同一の条件にて光ファイバ素線を製造した。このとき、光ファイバの表面温度は、徐冷用加熱炉21に入る直前で1600℃であり、徐冷用加熱炉21から出た直後で1050℃であった。したがって、この光ファイバは約2200℃/sの冷却速度により冷却されたことになる。
【0046】
(比較例2)
比較例2として、実施例1において使用した線引き装置1から徐冷用加熱炉21を取り外して光ファイバを製造した。用意した光ファイバ母材2、線引き炉11の炉心管13の内周面温度、線引き速度、及び線引き張力等、徐冷用加熱炉21に関する条件以外のすべての条件は、実施例1の条件と同一とした。また、このようにして光ファイバ素線を製造した際、光ファイバの表面の温度を実施例1で測定した位置と略同一の位置にて測定した。その結果、この光ファイバは約5000℃/sの冷却温度で冷却されていたこととなる。
【0047】
(実施例と比較例との結果の比較)
上記の実施例1〜3及び比較例1,2による光ファイバ素線を用いて長周期ファイバグレーティングを作製した。作製方法は以下の通りである。まず、光ファイバ素線の外周部の樹脂を所定の長さにわたって除去することにより、光ファイバの一部を露出させた。次に、KrFエキシマレーザ装置から放出される紫外域レーザ光(波長248nm)を強度変調マスクを透過させた後、露出した光ファイバに照射することにより光回折格子を1つ形成した。その後、露出した光ファイバに樹脂コートを形成した。
【0048】
続いて、以上のように作製された長周期ファイバグレーティングの透過特性を測定した。その結果、実施例1〜3の光ファイバから作製した長周期ファイバグレーティングのいずれにおいても、偏波依存性損失は0.1dB以下であることが分かった。この値は、比較例1,2による光ファイバから作製した長周期ファイバグレーティングの偏波依存性損失値に対して2分の1から3分の2程度であった。
【0049】
実施例1〜3による光ファイバから作製した長周期ファイバグレーティングにおいて偏波依存性損失が低減した理由は、以下の通りである。すなわち、実施例1〜3による光ファイバは、線引き炉の後段に設けられた徐冷用加熱炉において所定の温度範囲となるよう加熱され、この加熱により、線引き後の光ファイバの温度が所定の冷却速度で徐々に低下されたためである。冷却温度は、具体的には、上述の通り、実施例1においては1000℃/sであり、実施例2では280℃/sであり、実施例3では250℃/sである。これに対し、比較例1では2200℃/sであり、比較例2では約5000℃/sである。線引き後の光ファイバが実施例1〜3のように徐冷されれば、式(1)において実質的なδTのみが低減される効果が得られ、伝搬定数の非軸対称性が低減される。その結果、偏波依存性が低減されると理解される。
【0050】
本発明による光ファイバ及びその製造方法は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変形や構成の変更が可能である。
【0051】
上記の実施例においては光ファイバ3の冷却速度が250℃/s、280℃/s、1000℃/sの場合を例示したが、この速度は、製造する光ファイバに必要とされる偏波依存性損失の値に応じて適宜調整されて良い。また、炉心管23の長さ及び位置、さらに炉心管23の表面温度等は、所定の冷却速度が実現されるよう調整されて良い。
【0052】
また、上記の線引き炉11では、不活性ガスとしてHeガスを用い、炉心管13内がHeガス雰囲気となるようした。しかし、Heガスに替わり、N2ガスを用いて、不活性ガス供給部14から炉心管13内にN2ガスを供給し、炉心管13内をN2ガス雰囲気となるようにしてもよい。このようにすれば、線引き速度が低速、例えば100m/minの場合に特に好適である。その理由は、線引き速度が低速の場合、Heガス雰囲気では光ファイバ3が炉心管13内で1000℃程度まで冷却されてしまうことがあるためである。上述の通り、炉心管13の出口での光ファイバ3の温度を1600℃程度とするのが好ましく、温度が下がりすぎないようにする必要がある。そのため、熱伝導率λがHeガスよりも低いN2ガスを使用すると好ましい。もちろん、不活性ガス供給部14に替わり、Heガス供給部とN2ガス供給部とをそれぞれ設けて、線引き速度に応じて、炉心管13内にHeガス及び/又はN2ガスを供給できるよう線引き装置を構成してもよい。
【0053】
上述の線引き炉11では、徐冷用加熱炉21のヒータ22を一段のヒータにより構成したが、多段のヒータより構成しても良い。また、多段のヒータよりヒータ22を構成し、各段の設定温度を変えることにより、徐冷用加熱炉21内部で線引き方向に沿った温度勾配を設けるようにしても良い。こうすれば、線引きされた光ファイバ3の徐冷速度をより確実に調整できる。
【0054】
さらに、ヒータ22は、具体的には、電熱線ヒータから構成されていてよく、また、赤外線ランプから構成されていても良い。
【0055】
また、光ファイバ3に塗布する樹脂液として熱硬化樹脂液を用い、熱硬化樹脂液を硬化させる樹脂硬化用加熱炉により樹脂被覆部を構成してもよい。
【0056】
また、上記の実施例1〜3及び比較例1,2による光ファイバ素線を用いて長周期ファイバグレーティングを作製した際には、光回折格子を1つ形成した。しかし、屈折率変調周期が互いに異なる複数個の光回折格子を形成しても良い。このような場合でも、本発明による光ファイバの製造方法により製造された光ファイバを用いれば、光回折格子1つあたりの偏波依存性損失を0.1dB以下とすることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光ファイバの製造方法によれば、コア部とクラッド部との熱膨張係数の差が2.0×10-6/℃以上である光ファイバ母材が線引き炉において線引きされ、光ファイバが形成される。そして、この光ファイバが線引き炉の後段に設けられた加熱炉において所定の温度範囲となるよう加熱される。加熱炉を用いて線引き後の光ファイバをこのように加熱すれば、線引き後の光ファイバの温度は急激に低下することなく、徐々に低下するようにできる。光ファイバを徐々に降温すれば、光ファイバ内に生じた残留応力が十分に緩和され、その結果、長周期ファイバグレーティングの偏波依存性損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による光ファイバの製造方法を実施するのに適した線引き装置の一実施形態を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
1…線引き装置、2…光ファイバ母材、3…光ファイバ、4…光ファイバ素線、11…線引炉、12…ヒータ、13…炉心管、14…ガス供給部、15…ガス供給通路、21…徐冷用加熱炉、22…ヒータ、23…炉心管、24…ガス供給部、25…ガス供給通路、31…樹脂硬化部、32…ランプ、41…外径測定器、42…ドラム、42…ファイバ素線、43…駆動モータ、44…制御ユニット、45…回転駆動軸、51…コーティングダイス、52…樹脂液、61…ガイドローラ。

Claims (2)

  1. コア部と、該コア部の外周に設けられたクラッド部と、を備え、前記コア部と前記クラッド部との熱膨張係数の差が2.0×10-6/℃以上である光ファイバ母材を用意し、
    前記光ファイバ母材を線引き炉で加熱線引することにより光ファイバを形成し、
    前記線引き炉で線引されて形成された前記光ファイバを前記線引き炉の後段に設けられた加熱炉によって所定の温度範囲700℃〜1700℃内の温度であるように加熱し、光ファイバを製造することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  2. 前記加熱炉によって、前記光ファイバの長手方向に沿った任意の点が1000℃/秒以下の冷却速度にて50℃以上冷却されることを特徴とする請求項に記載の光ファイバの製造方法。
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