以下に、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置の最良の形態を添付図面を参照して説明する。
ディスクドライブ装置1は、外筐2内に所要の各部材及び各機構が配置されて成り(図1参照)、外筐2には図示しないディスク挿入口が形成されている。
外筐2内には図示しないシャーシが配置され、該シャーシに取り付けられたスピンドルモーターのモーター軸にディスクテーブル3が固定されている。
シャーシには、平行なガイド軸4、4が取り付けられると共に図示しない送りモーターによって回転されるリードスクリュー5が支持されている。
光ピックアップ6は、移動ベース7と該移動ベース7に設けられた所要の光学部品と移動ベース7上に配置された対物レンズ駆動装置8とを有し、移動ベース7の両端部に設けられた軸受部7a、7bがそれぞれガイド軸4、4に摺動自在に支持されている。移動ベース7に設けられた図示しないナット部材がリードスクリュー5に螺合され、送りモーターによってリードスクリュー5が回転されると、ナット部材がリードスクリュー5の回転方向へ応じた方向へ送られ、光ピックアップ6がディスクテーブル3に装着されるディスク状記録媒体100の半径方向へ移動される。
ディスク状記録媒体100は、図2に示すように、多層型のタイプ、例えば、2つの記録層L1、L0を有するタイプであり、レーザー光の入射側から順に、カバー層100a、記録層L1、記録層L0が形成されている。例えば、カバー層100aの厚みは75μmに形成され、記録層L1と記録層L0の間隔は25μmに形成されている。
尚、ディスク状記録媒体100は2つの記録層を有するタイプに限定されるものではなく、3つ以上の記録層を有するタイプでもよいが、以下には、記録層L1及び記録層L0の2つの記録層を有するディスク状記録媒体100を用いた場合について説明する。また、カバー層100aの厚みや記録層L1、L0間の間隔も、上記した値に限定されるものではない。
次に、光ピックアップ6について説明する。
先ず、光ピックアップの第1の最良の形態について説明する(図3乃至図12参照)。
第1の最良の形態に係る光ピックアップ6Aは、図3に示すように、発光素子9、コリメーターレンズ10、光分離素子11、対物レンズ12、遮光部材13、集光レンズ14及び受光素子15を備え、発光素子9、コリメーターレンズ10、光分離素子11、遮光部材13、集光レンズ14及び受光素子15は移動ベース7に配置され、対物レンズ12は対物レンズ駆動装置8に設けられている。
発光素子9としては、例えば、約405nmの波長を有するレーザ光を出射する半導体レーザや固体レーザーが用いられ、光分離素子11としては、例えば、ビームスプリッター、プリズム(偏光膜プリズムやウォラストンプリズム等)、回折素子等が用いられ、受光素子15としては、例えば、フォトダイオードが用いられている。尚、発光素子9から出射されるレーザー光の波長は、約405nmに限定されるものではなく、例えば、約650nmや約780nm等、他の波長であってもよい。
コリメーターレンズ10は、例えば、開口数NAが0.15とされ、対物レンズ12は、例えば、開口数NAが0.85とされ、集光レンズ14は、例えば、開口数NAが0.08とされている。尚、コリメーターレンズ10、対物レンズ12及び集光レンズ14の開口数NAはこれらの数値に限定されるものではなく、これらの数値と異なる数値であってもよい。
遮光部材13は、例えば、平板状に形成され、中央部にレーザー光を遮光する、例えば、正方形状の遮光部13aを有している(図4参照)。従って、遮光部材13の遮光部13a以外の部分はレーザー光を透過する透過部13bとして形成されている。遮光部13aは、ディスク状記録媒体100の記録トラックに沿ったタンジェンシャル方向及び記録トラックに垂直なラジアル方向において、記録層L0及び記録層L1で反射されたレーザー光の主光線を含む一部を遮るように形成されている。遮光部13aは、例えば、吸収膜、反射膜、遮光物、反射物等によって形成されている。
尚、遮光部材13の形状は平板状に限られることはない。また、遮光部材13の位置は光分離素子11と集光レンズ14との間に限定されることはなく、例えば、光分離素子11や集光レンズ14に一体に設けることも可能であり、集光レンズ14と受光素子15との間の光路中に設けることも可能である。
受光素子15には、その中央部に、例えば、正方形状に形成された受光部15aが形成されている(図6参照)。従って、受光素子15の受光部15a以外の部分は非受光部15bとして形成されている。
光ピックアップ6Aにおいて、発光素子9からレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光はコリメーターレンズ10によって平行光束とされて光分離素子11を透過し、対物レンズ12によって集光されてディスク状記録媒体100の記録層(記録層L0又は記録層L1)にスポットが形成される。ディスク状記録媒体100の記録層に集光されたレーザー光は反射されて再び光分離素子11に入射され、該光分離素子11によって光路が変換されて遮光部材13及び集光レンズ14を介して受光素子15に入射される。
このとき、例えば、レーザー光が記録層L0に集光されている場合には、図5及び図6に示すように、記録層L0に集光されたレーザー光は、遮光部13aによって遮光された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子15の受光部15aに集光されて入射される。
同時に、記録層L1で反射されたレーザー光も遮光部材13及び集光レンズ14を介して受光素子15へ向かうが、記録層L1で反射されたレーザー光は、図7及び図8に示すように、一部が遮光部13aによって遮られ、遮光部13aによって遮られなかった部分が受光素子15の非受光部15bに入射される。従って、受光素子15の受光部15aには、記録層L1で反射されたレーザー光は入射されない。
一方、レーザー光が記録層L1に集光されている場合には、図5及び図6に示すように、記録層L1に集光されたレーザー光は、遮光部13aによって遮光された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子15の受光部15aに集光されて入射される。
同時に、記録層L0で反射されたレーザー光も遮光部材13及び集光レンズ14を介して受光素子15へ向かうが、記録層L0で反射されたレーザー光は、図9及び図10に示すように、一部が遮光部13aによって遮られ、遮光部13aによって遮られなかった部分が受光素子15の非受光部15bに入射される。従って、受光素子15の受光部15aには、記録層L0で反射されたレーザー光は入射されない。
図11及び図12に受光部の変形例を示す。
図11に示す受光部15cは、ディスク状記録媒体100のラジアル方向に2分割されている。従って、受光部15cを用いることにより、例えば、プッシュプル法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出することにより、アドレス検出を行うことも可能である。
図12に示す受光部15dは、ディスク状記録媒体100のタンジェンシャル方向及びラジアル方向それぞれに2分割され合計4分割されており、例えば、DPD法(位相差検出法)によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、ディスク状記録媒体100からのレーザー光の光路中に、ラジアル方向(ディスク状記録媒体100の中心軸方向)に対して45°方向に非点収差を発生させる光学素子を配置することにより、非点収差法によりフォーカスエラー検出を行うことも可能である。
以上に記載した通り、光ピックアップ6Aにあっては、ディスク状記録媒体100の情報を記録又は再生していない記録層で反射されたレーザー光が、受光素子15の受光部15aに入射されないため、迷光が発生せず、RF信号の劣化やサーボ信号のオフセットが生じない。また、ディスク状記録媒体100の各層で反射されたレーザー光の干渉も生じず、温度変化等の環境変化による素子特性の変動が生じにくい。
また、光学系の縦倍率を大きくしたり、受光部15a、15c、15dの面積を小さくしたりする必要がないため、デフォーカスに対するスポット径の変化が小さく、各光学部品の位置ずれに伴うスポット位置のずれも小さく、位置調整が容易であり、その後の経時変化や環境変化に対する影響も受けにくい。
次に、光ピックアップの第2の最良の形態について説明する(図13乃至図23参照)。
尚、以下に示す第2の最良の形態に係る光ピックアップ6Bは、上記した光ピックアップ6Aと比較して、遮光部材に代えてプリズムが用いられていることのみが相違するため、光ピックアップ6Aと比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については光ピックアップ6Aにおける同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
第2の最良の形態に係る光ピックアップ6Bは、図13に示すように、発光素子9、コリメーターレンズ10、光分離素子11、対物レンズ12、プリズム16、集光レンズ14及び受光素子17を備え、プリズム16及び受光素子17は移動ベース7に配置されている。
プリズム16は、例えば、略平板状に形成され、中央部にレーザー光を屈折する、例えば、正方形状の屈折部16aを有している(図14参照)。従って、プリズム16の屈折部16a以外の部分はレーザー光を透過する透過部16bとして形成されている。屈折部16aは、ディスク状記録媒体100のタンジェンシャル方向及びラジアル方向に広がるように形成されている。
尚、プリズム16の形状は略平板状に限られることはない。また、プリズム16の位置は光分離素子11と集光レンズ14との間に限定されることはなく、例えば、光分離素子11や集光レンズ14に一体に設けることも可能であり、集光レンズ14と受光素子17との間の光路中に設けることも可能である。
受光素子17には、その中央部に、例えば、正方形状に形成された第1の受光部17aが形成され、該第1の受光部17aと離隔した位置に第2の受光部17bが形成されている(図16参照)。従って、受光素子17の第1の受光部17a及び第2の受光部17b以外の部分は非受光部17cとして形成されている。
光ピックアップ6Bにおいて、発光素子9からレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光はコリメーターレンズ10によって平行光束とされて光分離素子11を透過し、対物レンズ12によって集光されてディスク状記録媒体100の記録層(記録層L0又は記録層L1)にスポットが形成される。ディスク状記録媒体100の記録層に集光されたレーザー光は反射されて再び光分離素子11に入射され、該光分離素子11によって光路が変換されてプリズム16及び集光レンズ14を介して受光素子17に入射される。
このとき、例えば、レーザー光が記録層L0に集光されている場合には、図15及び図16に示すように、記録層L0に集光されたレーザー光は、屈折部16aによって屈折された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子17の第1の受光部17aに集光されて入射される。記録層L0に集光されたレーザー光のうち屈折部16aによって屈折された部分は、集光レンズ14によって集光されて受光素子17の第2の受光部17bに入射される。
同時に、記録層L1で反射されたレーザー光もプリズム16及び集光レンズ14を介して受光素子17へ向かうが、記録層L1で反射されたレーザー光は、図17及び図18に示すように、一部が屈折部16aによって屈折され、屈折部16aによって屈折されなかった部分が受光素子17の非受光部17cに入射される。従って、受光素子17の第1の受光部17aには、記録層L1で反射されたレーザー光は入射されない。記録層L1で反射されたレーザー光のうち屈折部16aによって屈折された部分は、一定の広がりを有した状態で受光素子17の第2の受光部17b及び非受光部17cに入射される。
一方、レーザー光が記録層L1に集光されている場合には、図15及び図16に示すように、記録層L1に集光されたレーザー光は、屈折部16aによって屈折された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子17の第1の受光部17aに集光されて入射される。記録層L1に集光されたレーザー光のうち屈折部16aによって屈折された部分は、集光レンズ14によって集光されて受光素子17の第2の受光部17bに入射される。
同時に、記録層L0で反射されたレーザー光もプリズム16及び集光レンズ14を介して受光素子17へ向かうが、記録層L0で反射されたレーザー光は、図19及び図20に示すように、一部が屈折部16aによって屈折され、屈折部16aによって屈折されなかった部分が受光素子17の非受光部17cに入射される。従って、受光素子17の第1の受光部17aには、記録層L0で反射されたレーザー光は入射されない。記録層L0で反射されたレーザー光のうち屈折部16aによって屈折された部分は、一定の広がりを有した状態で受光素子17の第2の受光部17b及び非受光部17cに入射される。
図21乃至図23に受光部の変形例を示す。尚、図21乃至図23の第2の受光部には、情報が記録又は再生されている層で反射されたレーザー光及び他の層で反射されたレーザー光が受光されるが、情報が記録又は再生されている層で反射されたレーザー光が受光された部分を濃色で示している。
図21に示す第1の受光部17dは、ディスク状記録媒体100のラジアル方向に2分割されている。従って、第1の受光部17dを用いることにより、例えば、プッシュプル法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出することにより、アドレス検出を行うことも可能である。
図22及び図23に示す第1の受光部17f、17hは、ディスク状記録媒体100のタンジェンシャル方向及びラジアル方向それぞれに2分割され合計4分割されており、例えば、DPD法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、ディスク状記録媒体100からのレーザー光の光路中に、ラジアル方向に対して45°方向に非点収差を発生させる光学素子を配置することにより、非点収差法によりフォーカスエラー検出を行うことも可能である。
また、図21に示す第1の受光部17dと第2の受光部17e、図22に示す第1の受光部17fと第2の受光部17g、図23に示す第1の受光部17hと第2の受光部17iをそれぞれ用いることにより、各受光部の和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
尚、RF検出は、図15乃至図20に示す第1の受光部17aと第2の受光部17bの和信号を用いることにより行うこともできる。
さらに、図23に示すように、タンジェンシャル方向及びラジアル方向に4分割された第2の受光部17iを形成した場合には、ラジアル方向に対して45°方向に非点収差を発生させる光学素子を配置することにより、それぞれの非点収差法によるフォーカスエラー信号の差分から球面収差検出を行うことも可能である。
以上に記載した通り、光ピックアップ6Bにあっても、光ピックアップ6Aと同様に、ディスク状記録媒体100の情報を記録又は再生していない記録層で反射されたレーザー光が、受光素子17の第1の受光部17a、17d、17f、17hに入射されないため、迷光が発生せず、RF信号の劣化やサーボ信号のオフセットが生じない。また、ディスク状記録媒体100の各層で反射されたレーザー光の干渉も生じず、温度変化等の環境変化による素子特性の変動が生じにくい。
また、光学系の縦倍率を大きくしたり、各第1の受光部17a、17d、17f、17hの面積を小さくしたりする必要がないため、デフォーカスに対するスポット径の変化が小さく、各光学部品の位置ずれに伴うスポット位置のずれも小さく、位置調整が容易であり、その後の経時変化や環境変化に対する影響も受けにくい。
さらに、レーザー光の主光線を含む光線の一部を屈折させることにより、屈折させたレーザー光を受光することが可能であり、RF検出等、より多くの光強度を必要とする検出方式にも用いることができる。
加えて、情報の記録や再生が行われない層で反射され屈折部16aによって屈折されたレーザー光が第2の受光部17b、17e、17g、17iに一定の広がりを有した状態で入射されるが、第2の受光部17b、17e、17g、17iは情報の記録や再生が行われる記録層で反射され屈折部16aによって屈折されたレーザー光の入射スポットの径に合わせて小さくすることができるため、全体として、迷光の低減を図ることができる。
次に、光ピックアップの第3の最良の形態について説明する(図24乃至図30参照)。
尚、以下に示す第3の最良の形態に係る光ピックアップ6Cは、上記した光ピックアップ6Aと比較して、遮光部材に代えて回折素子が用いられていることのみが相違するため、光ピックアップ6Aと比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については光ピックアップ6Aにおける同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
第3の最良の形態に係る光ピックアップ6Cは、図24に示すように、発光素子9、コリメーターレンズ10、光分離素子11、対物レンズ12、回折素子18、集光レンズ14及び受光素子19を備え、回折素子18及び受光素子19は移動ベース7に配置されている。
回折素子18は、例えば、平板状に形成され、中央部にレーザー光を回折する、例えば、正方形状の回折部18aを有している(図25参照)。従って、回折素子18の回折部18a以外の部分はレーザー光を透過する透過部18bとして形成されている。回折部18aは、ディスク状記録媒体100のタンジェンシャル方向及びラジアル方向に広がるように形成されている。
尚、回折素子18の形状は平板状に限られることはない。また、回折素子18の位置は光分離素子11と集光レンズ14との間に限定されることはなく、例えば、光分離素子11や集光レンズ14に一体に設けることも可能であり、集光レンズ14と受光素子19との間の光路中に設けることも可能である。
回折部18aは、±1次光を発生させるステップ状の形状の他、+1次光のみを発生させるブレーズ状の形状であってもよい。尚、以下には、±1次光を発生させる回折部18aを用いた場合について説明する。
受光素子19には、その中央部に、例えば、正方形状に形成された第1の受光部19aが形成され、該第1の受光部19aを挟んで互いに反対側の位置に第2の受光部19b、19bが形成されている(図26参照)。従って、受光素子19の第1の受光部19a及び第2の受光部19b、19b以外の部分は非受光部19cとして形成されている。
尚、図26の第2の受光部には、情報が記録又は再生されている層で反射されたレーザー光及び他の層で反射されたレーザー光が受光されるが、情報が記録又は再生されている層で反射されたレーザー光が受光された部分を濃色で示している(図27、図29及び図30においても同じ。)。
光ピックアップ6Cにおいて、発光素子9からレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光はコリメーターレンズ10によって平行光束とされて光分離素子11を透過し、対物レンズ12によって集光されてディスク状記録媒体100の記録層(記録層L0又は記録層L1)にスポットが形成される。ディスク状記録媒体100の記録層に集光されたレーザー光は反射されて再び光分離素子11に入射され、該光分離素子11によって光路が変換されて回折素子18及び集光レンズ14を介して受光素子19に入射される。
このとき、例えば、レーザー光が記録層L0に集光されている場合には、記録層L0に集光されたレーザー光は、透過部18bを透過された部分が集光レンズ14によって受光素子19の第1の受光部19aに集光されて入射される(図26参照)。記録層L0に集光されたレーザー光のうち回折部18aに入射された部分は回折されて0次光と±1次光として生成される。回折されて生成された±1次光は、集光レンズ14によって集光されて受光素子19の第2の受光部19b、19bにそれぞれ入射される(図26参照)。回折されて生成された0次光は、受光素子19の第1の受光部19a及び第2の受光部19b、19bには入射されないようにされている。
同時に、記録層L1で反射されたレーザー光も回折素子18及び集光レンズ14を介して受光素子19へ向かうが、記録層L1で反射されたレーザー光は、回折部18aによって回折され、回折部18aによって回折されて生成された±1次光のみが一定の広がりを以て受光素子19の第2の受光部19b、19b及び非受光部19cに入射される(図26参照)。
一方、レーザー光が記録層L1に集光されている場合には、記録層L1に集光されたレーザー光は、透過部18bを透過された部分が集光レンズ14によって受光素子19の第1の受光部19aに集光されて入射される(図26参照)。記録層L1に集光されたレーザー光のうち回折部18aに入射された部分は回折されて0次光と±1次光として生成される。回折されて生成された±1次光は、集光レンズ14によって集光されて受光素子19の第2の受光部19b、19bにそれぞれ入射される(図26参照)。回折されて生成された0次光は、受光素子19の第1の受光部19a及び第2の受光部19b、19bには入射されないようにされている。
同時に、記録層L0で反射されたレーザー光も回折素子18及び集光レンズ14を介して受光素子19へ向かうが、記録層L0で反射されたレーザー光は、回折部18aによって回折され、回折部18aによって回折されて生成された±1次光のみが一定の広がりを以て受光素子19の第2の受光部19b、19b及び非受光部19cに入射される(図26参照)。
尚、第3の最良の形態に係る光ピックアップ6Cにあっても、第2の最良の形態に係る第1の受光部17d(図21参照)のように、ディスク状記録媒体100のラジアル方向に2分割することにより、例えば、プッシュプル法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出することにより、アドレス検出を行うことも可能である。
図27に受光部の変形例を示す。
図27に示す第1の受光部19dは、ディスク状記録媒体100のタンジェンシャル方向及びラジアル方向にそれぞれ2分割され合計4分割されている。従って、例えば、DPD法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、ディスク状記録媒体100からのレーザー光の光路中に、ラジアル方向に対して45°方向に非点収差を発生させる光学素子を配置することにより、非点収差法によりフォーカスエラー検出を行うことも可能である。
また、第1の受光部19dと第2の受光部19e、19eを用いることにより、各受光部の和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
図28に回折素子の変形例を示す。
変形例に係る回折素子18Aは、例えば、平板状に形成され、ラジアル方向における中央部にタンジェンシャル方向に長い回折部18cを有している。従って、回折素子18Aの回折部18c以外の部分はレーザー光を透過する透過部18dとして形成されている。
尚、回折素子18Aの形状も回折素子18と同様に平板状に限られることはない。また、回折素子18Aの位置も光分離素子11と集光レンズ14との間に限定されることはなく、例えば、光分離素子11や集光レンズ14に一体に設けることも可能であり、集光レンズ14と受光素子19との間の光路中に設けることも可能である。
回折部18cも、回折部18aと同様に、±1次光を発生させるステップ状の形状の他、+1次光のみを発生させるブレーズ状の形状であってもよい。
図29及び図30に受光部の別の変形例を示す。尚、図29及び図30に示す受光部は、図28に示す回折素子18Aが設けられた光学系において用いられる。
図29に示す第1の受光部19fは、ディスク状記録媒体100のラジアル方向に2分割され、第2の受光部19g、19gはタンジェンシャル方向にそれぞれ3分割されている。
第1の受光部19fがラジアル方向に2分割されていることにより、例えば、プッシュプル法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出することにより、アドレス検出を行うことも可能である。
第1の受光部19fの場合には、回折素子18Aの回折部18cを通る0次光が第1の受光部19fに入射されないため、第1の受光部19fに入射されたレーザー光のスポットはラジアル方向に離隔して2等分された形状となる。従って、プッシュプル法により検出される信号は、回折素子18Aの透過部18dを透過したレーザー光のみで演算を行うこととなり、主光線付近の信号を除去することにより位相のズレが少なくなり、アドレス信号の品質が向上する。
尚、第1の受光部19fをタンジェンシャル方向にも2分割すれば、例えば、DPD法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。
また、第1の受光部19fと第2の受光部19g、19gを用いることにより、各受光部の和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
さらに、第2の受光部19g、19gがタンジェンシャル方向に3分割されているため、回折素子18Aに、少なくとも±1次光のタンジェンシャル方向における合焦位置をそれぞれ変化させるレンズ効果を持たせ、それぞれ±1次光の第2の受光部19g、19g上でのスポットサイズの変化を検出することにより、SSD法(スポットサイズ検出法)によりフォーカスエラー信号を検出することが可能となる。
図30に示す受光部19hは、ディスク状記録媒体100のラジアル方向に2分割され、ラジアル方向に長く形成されている。
受光部19hがラジアル方向に2分割されていることにより、例えば、プッシュプル法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出することにより、アドレス検出を行うことも可能である。
受光部19hの場合には、回折素子18Aの回折部18cを通る0次光が受光部19hに入射されないため、受光部19hに入射されたレーザー光のスポットはラジアル方向に離隔して2等分された形状となる。従って、プッシュプル法により検出される信号は、回折素子18Aの透過部18dを透過したレーザー光のみで演算を行うこととなり、主光線付近の信号を除去することにより位相のズレが少なくなり、アドレス信号の品質が向上する。
尚、受光部19hをタンジェンシャル方向にも2分割すれば、例えば、DPD法によりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。
また、受光部19hには、それぞれ分割された部分に、0次光の片側半分と一方の1次光が入射されるため、受光部19hの和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
さらに、2分割された受光部19hによって全てのレーザー光を検出できるため、受光部19hからの電流を電圧に変換するアンプの数を低減することができ、アンプノイズの低減を図ることができる。従って、特に、RF検出を行った場合に、RF信号の品質の向上を図ることができる。
以上に記載した通り、光ピックアップ6Cにあっても、光ピックアップ6Aと同様に、ディスク状記録媒体100の情報を記録又は再生していない記録層で反射されたレーザー光が、受光素子19の第1の受光部19a、19d、19fに入射されないため、迷光が発生せず、RF信号の劣化やサーボ信号のオフセットが生じない。また、ディスク状記録媒体100の各層で反射されたレーザー光の干渉も生じず、温度変化等の環境変化による素子特性の変動が生じにくい。
また、光学系の縦倍率を大きくしたり、各第1の受光部19a、19d、19fの面積を小さくしたりする必要がないため、デフォーカスに対するスポット径の変化が小さく、各光学部品の位置ずれに伴うスポット位置のずれも小さく、位置調整が容易であり、その後の経時変化や環境変化に対する影響も受けにくい。
さらに、レーザー光の主光線を含む光線の一部を回折させることにより、回折させたレーザー光を受光することが可能であり、RF検出等、より多くの光強度を必要とする検出方式にも用いることができる。
さらにまた、情報の記録や再生が行われない層で反射され回折部18a、18cによって回折されたレーザー光が第2の受光部19b、19e、19g又は受光部19hに一定の広がりを有した状態で入射されるが、第2の受光部19b、19e、19g又は受光部19hは情報の記録や再生が行われる記録層で反射され回折部18a、18cによって回折されたレーザー光の入射スポットの径に合わせて小さくすることができるため、全体として、迷光の低減を図ることができる。
加えて、主光線を含む光線の一部を回折することにより、±1次光を用いて、例えば、フォーカスエラー検出など他の検出手段を付加することが可能となる。
さらに加えて、回折素子18、18Aは、プリズムに比して加工が容易であるため、プリズムのエッジ部分での散乱などの懸念を回避することができる。
尚、上記には、±1次光を発生させるステップ状の形状に形成された回折部18a、18cを有する回折素子18、18Aを用いた場合について説明したが、これらに代えてブレーズ状の回折部を有する回折素子を用いた場合には、0次光と+1次光のみに回折されるため、第2の最良の形態において説明した効果と同様の効果が生じる。
また、上記には、タンジェンシャル方向に長い回折部18cを有する回折素子18A(図28参照)について説明したが、第1の最良の形態及び第2の最良の形態でそれぞれ示した遮光板及びプリズムにおいても遮光部及び屈折部をタンジェンシャル方向に長く形成してもよい。
次に、光ピックアップの第4の最良の形態について説明する(図31乃至図43参照)。
尚、以下に示す第4の最良の形態に係る光ピックアップ6Dは、上記した第1の最良の形態に係る光ピックアップ6A、第2の最良の形態に係る光ピックアップ6B又は第3の最良の形態に係る光ピックアップ6Cにおいて回折格子を設けて主光束(0次光)と副光束(±1次光)の3つの光束に分離することのみが相違するため、光ピックアップ6A、6B、6Cと比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については光ピックアップ6A、6B、6Cにおける同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
第4の最良の形態に係る光ピックアップ6Dは、図31に示すように、発光素子9、回折格子20、コリメーターレンズ10、光分離素子11、対物レンズ12、集光レンズ14及び受光素子21を備え、例えば、光分離素子11と受光素子21との間に、例えば、以下に示す遮光部材13A、遮光部材13B、プリズム16A又は上記した回折素子18Aが配置されている。回折格子20及び受光素子21は移動ベース7に配置されている。
回折格子20は、例えば、平板状に形成され、発光素子9から出射されたレーザー光を回折して0次光と±1次光に分離する。
遮光部材13Aは、例えば、図32に示すように、平板状に形成され、ラジアル方向における中央部にタンジェンシャル方向に長い遮光部13cを有している。従って、遮光部材13Aの遮光部13c以外の部分はレーザー光を透過する透過部13dとして形成されている。遮光部材13Aの遮光部13cによって、主光束および副光束のレーザー光のうち、主光線を含む一部のレーザー光が遮光される。
遮光部材13Bは、例えば、図33に示すように、平板状に形成され、中央部にタンジェンシャル方向に離隔して略円形状の遮光部13e、13eを有している。従って、遮光部材13Bの遮光部13e、13e以外の部分はレーザー光を透過する透過部13fとして形成されている。遮光部材13Bの遮光部13e、13eによって、副光束のレーザー光の主光線を含む一部が遮光される。
プリズム16Aは、例えば、図34に示すように、平板状に形成され、ラジアル方向における中央部にタンジェンシャル方向に長い屈折部16cを有している。従って、プリズム16Aの屈折部16c以外の部分はレーザー光を透過する透過部16dとして形成されている。
受光素子21は0次光と±1次光をそれぞれ受光するために、中央に位置するメイン側受光部21aと該メイン側受光部21aを挟んで反対側に隣接して位置するサブ側受光部21b、21bとを有している。従って、受光素子21のメイン側受光部21a及びサブ側受光部21b、21bを除く部分は、非受光部21cとして形成されている。
光ピックアップ6Dにおいて、例えば、遮光部材13Aを用いた場合には、発光素子9からレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光は回折格子20によって0次光と±1次光に分離されコリメーターレンズ10によって平行光束とされて光分離素子11を透過し、対物レンズ12によって集光されてディスク状記録媒体100の記録層(記録層L0又は記録層L1)に3つのスポットが形成される。ディスク状記録媒体100の記録層に集光されたレーザー光は反射されて再び光分離素子11に入射され、該光分離素子11によって光路が変換されて遮光部材13A及び集光レンズ14を介して受光素子21に入射される。
このとき、例えば、レーザー光が記録層L0に集光されている場合には、記録層L0に集光されたレーザー光は、遮光部13cによって遮光された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子21のメイン側受光部21a及びサブ側受光部21b、21bにラジアル方向に分割された状態でそれぞれ集光されて入射される(図35参照)。
同時に、記録層L1で反射されたレーザー光も遮光部材13A及び集光レンズ14を介して受光素子21へ向かうが、記録層L1で反射されたレーザー光は、一部が遮光部13cによって遮られ、遮光部13cによって遮られなかった部分が受光素子21の非受光部21cに一定の広がりを有しラジアル方向に分割された状態で入射される(図36参照)。従って、受光素子21のメイン側受光部21a及びサブ側受光部21b、21bには、記録層L1で反射されたレーザー光は入射されない。
一方、レーザー光が記録層L1に集光されている場合には、記録層L1に集光されたレーザー光は、遮光部13cによって遮光された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子21のメイン側受光部21a及びサブ側受光部21、21bにラジアル方向に分割された状態でそれぞれ集光されて入射される(図35参照)。
同時に、記録層L0で反射されたレーザー光も遮光部材13A及び集光レンズ14を介して受光素子21へ向かうが、記録層L0で反射されたレーザー光は、一部が遮光部13cによって遮られ、遮光部13cによって遮られなかった部分が受光素子21の非受光部21cに一定の広がりを有しラジアル方向に分割された状態で入射される(図37参照)。従って、受光素子21のメイン側受光部21a及びサブ側受光部21b、21bには、記録層L0で反射されたレーザー光は入射されない。
図38は、遮光部材13Aを用いた場合の受光部の変形例を示すものである。
図38に示すメイン側受光部21d及びサブ側受光部21e、21eは、それぞれラジアル方向に2分割されており、例えば、DPP法(差動プッシュプル法)によってトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、メイン側受光部21dを用いることにより、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出し、アドレス検出を行うことも可能である。
図39は、遮光部材13Aを用いた場合の受光部の別の変形例を示すものである。
図39に示すメイン側受光部21f及びサブ側受光部21g、21gは、それぞれタンジェンシャル方向及びラジアル方向に2分割され合計4分割されており、例えば、メイン側受光部21fを用いることにより、DPD法によってトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、ディスク状記録媒体100からのレーザー光の光路中に、ラジアル方向に対して45°方向に非点収差を発生させる光学素子を配置し、メイン側受光部21fを用いることにより、非点収差法によりフォーカスエラー検出を行うことも可能である。さらに、サブ側受光部21g、21gを用いることにより、球面収差検出、ランドグルーブ検出、クロストーク検出を行うことも可能である。
図40は、プリズム16Aを用いた場合の受光部の例を示すものである。尚、図40の第2の受光部には、情報が記録又は再生されている層で反射されたレーザー光及び他の層で反射されたレーザー光が受光されるが、情報が記録又は再生されている層で反射されたレーザー光が受光された部分を濃色で示している(図41乃至図43においても同じ。)。
図40に示す第1の受光部22はメイン側受光部22aとサブ側受光部22b、22bとによって構成され、メイン側受光部22a及びサブ側受光部22b、22bは、それぞれタンジェンシャル方向及びラジアル方向に2分割され合計4分割されている。
図40に示す第2の受光部23はメイン側受光部23aとサブ側受光部23b、23bとによって構成されている。
例えば、メイン側受光部22aを用いることにより、DPD法によってトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、ディスク状記録媒体100からのレーザー光の光路中に、ラジアル方向に対して45°方向に非点収差を発生させる光学素子を配置し、メイン側受光部22aを用いることにより、非点収差法によりフォーカスエラー検出を行うことも可能である。さらに、サブ側受光部22b、22bを用いることにより、球面収差検出、ランドグルーブ検出、クロストーク検出を行うことも可能である。
また、第1の受光部22と第2の受光部23を用いることにより、第1の受光部22と第2の受光部23の和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
図41は、回折素子18Aを用いた場合の受光部の例を示すものである。
図41に示す第1の受光部24はメイン側受光部24aとサブ側受光部24b、24bとによって構成され、メイン側受光部24a及びサブ側受光部24b、24bは、それぞれラジアル方向に2分割されている。
図41に示す第2の受光部25、25はそれぞれメイン側受光部25a、25aと2つのサブ側受光部25b、25b、・・・とによって構成されている。
例えば、DPP法によってトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、メイン側受光部24aを用いることにより、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出し、アドレス検出を行うことも可能である。
また、第1の受光部24と第2の受光部25、25を用いることにより、第1の受光部24と第2の受光部25、25の和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
図42は、回折素子18Aを用いた場合の受光部の変形例を示すものである。
図42に示す第1の受光部26はメイン側受光部26aとサブ側受光部26b、26bとによって構成され、メイン側受光部26a及びサブ側受光部26b、26bは、それぞれラジアル方向に2分割されている。
図42に示す第2の受光部27、27はそれぞれメイン側受光部27a、27aのみによって構成されている。
例えば、DPP法によってトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、メイン側受光部26aを用いることにより、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出し、アドレス検出を行うことも可能である。
また、第1の受光部26と第2の受光部27、27を用いることにより、第1の受光部26と第2の受光部27、27の和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
図43は、回折素子18Aを用いた場合の受光部の別の変形例を示すものである。
図43に示す受光部28はメイン側受光部28aとサブ側受光部28b、28bとによって構成され、メイン側受光部28a及びサブ側受光部28b、28bは、それぞれラジアル方向に2分割されている。メイン側受光部28aはサブ側受光部28b、28bに比し、ラジアル方向に長く形成されている。
例えば、DPP法によってトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、メイン側受光部28aを用いることにより、記録トラック上に形成されたウォブルの位相情報を検出し、アドレス検出を行うことも可能である。
また、受光部28のメイン側受光部28aには、それぞれ分割された部分に、0次光の片側半分と一方の1次光が入射されるため、メイン側受光部28aの和信号を用いて、より高い光強度を必要とするRF検出を行うことも可能である。
さらに、2分割されたメイン側受光部28aによって0次光の全てを検出できるため、メイン側受光部28aからの電流を電圧に変換するアンプの数を低減することができ、アンプノイズの低減を図ることができる。従って、特に、RF検出を行った場合に、RF信号の品質の向上を図ることができる。
尚、図42及び図43に示す第1の受光部26、第2の受光部27及び受光部28にあっては、主光束の全てを検出し、副光束はプリズム16Aの透過部16d又は回折素子18Aの透過部18dを透過した部分のみを検出することが可能である。従って、干渉が無視できる範囲の主光束間の迷光は発生するが、干渉が無視できない透過部16d又は透過部18dを透過した副光束とプリズム部16c又は回折部18cを通過した主光束との間での迷光は発生しない。
以上に記載した通り、光ピックアップ6Dにあっても、光ピックアップ6Aと同様に、ディスク状記録媒体100の情報を記録又は再生していない記録層で反射されたレーザー光が、メイン側受光部21a、21d、21f、サブ側受光部21b、21b、21e、21e、21g、21g、第1の受光部22、24、26に入射されないため、迷光が発生せず、RF信号の劣化やサーボ信号のオフセットが生じない。また、ディスク状記録媒体100の各層で反射されたレーザー光の干渉も生じず、温度変化等の環境変化による素子特性の変動が生じにくい。
また、光学系の縦倍率を大きくしたり、各受光部の面積を小さくしたりする必要がないため、デフォーカスに対するスポット径の変化が小さく、各光学部品の位置ずれに伴うスポット位置のずれも小さく、位置調整が容易であり、その後の経時変化や環境変化に対する影響も受けにくい。
さらに、レーザー光を回折して0次光と±1次光とに分離したときに、光強度の小さい副光束を受光するサブ側受光部への主光束の迷光の入射を低減し又は防止することができるため、副光束を用いたトラッキングエラー検出、球面収差検出、ランドグルーブ検出、クロストーク検出の信頼性の向上を図ることができる。
次に、光ピックアップの第5の最良の形態について説明する(図44乃至図52参照)。
尚、以下に示す第5の最良の形態に係る光ピックアップ6Eは、上記した第1の最良の形態に係る光ピックアップ6A、第2の最良の形態に係る光ピックアップ6B、第3の最良の形態に係る光ピックアップ6C又は第4の最良の形態に係る光ピックアップ6Dにおいて、ピンホール又はスリットを設けてレーザー光の一部を遮光することのみが相違するため、光ピックアップ6A、6B、6C、6Dと比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については光ピックアップ6A、6B、6C、6Dにおける同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
第5の最良の形態に係る光ピックアップ6Eは、図44に示すように、発光素子9、コリメーターレンズ10、光分離素子11、対物レンズ12、集光レンズ14及び受光素子15を備え、例えば、光分離素子11と受光素子15との間に、例えば、遮光部材13、13A、13B、プリズム16、16A又は回折素子18、18Aの何れかが配置されている。また、回折格子20が設けられていてもよく、受光素子は、受光素子15に限定されることはなく、上記第1の最良の形態乃至第4の最良の形態において説明した何れの受光素子(受光部)であってもよい。
受光素子15上には光制御部材29が配置されている(図45参照)。光制御部材29は、例えば、ブロック状に形成され、その上面に遮光部29aが形成されている。遮光部29aは、例えば、吸収膜、反射膜、遮光物、反射物等によって形成されている。光制御部材29の上面の中央部には、遮光部29aが一部形成されておらず、この部分がピンホール29bとして形成されている。光制御部材29の遮光部29a及びピンホール29b以外の部分は透過部29cとして形成されている。
尚、以下には、光分離素子11と集光レンズ14との間に遮光部材13が配置されている場合を例として説明する。
光ピックアップ6Eにおいて、発光素子9からレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光はコリメーターレンズ10によって平行光束とされて光分離素子11を透過し、対物レンズ12によって集光されてディスク状記録媒体100の記録層(記録層L0又は記録層L1)にスポットが形成される。ディスク状記録媒体100の記録層に集光されたレーザー光は反射されて再び光分離素子11に入射され、該光分離素子11によって光路が変換されて遮光部材13及び集光レンズ14を介して受光素子15に入射される。尚、回折格子20が設けられている場合には、該回折格子20によってレーザー光が0次光と±1次光に分離される。
このとき、例えば、レーザー光が記録層L0に集光されている場合には、記録層L0に集光されたレーザー光は、遮光部13aによって遮光された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子15の受光部15aに集光されて入射される(図46参照)。受光素子15へ向かうレーザー光は光制御部材29のピンホール29bを通過して受光部15aに入射されて受光される。
同時に、記録層L1で反射されたレーザー光も遮光部材13及び集光レンズ14を介して受光素子15へ向かうが、記録層L1で反射されたレーザー光は、一部が遮光部13aによって遮られ、遮光部13aによって遮られなかった部分が受光素子15へ向かう。レーザー光の遮光部13aによって遮られなかった部分は受光素子15へ向かうが、光制御部材29の遮光部29aによって遮られ受光素子15には入射されない(図47参照)。従って、受光素子15には、記録層L1で反射されたレーザー光は入射されない。
一方、レーザー光が記録層L1に集光されている場合には、記録層L1に集光されたレーザー光は、遮光部13aによって遮光された部分を除き、集光レンズ14によって受光素子15の受光部15aに集光されて入射される(図46参照)。受光素子15へ向かうレーザー光は光制御部材29のピンホール29bを通過して受光部15aに入射されて受光される。
同時に、記録層L0で反射されたレーザー光も遮光部材13及び集光レンズ14を介して受光素子15へ向かうが、記録層L0で反射されたレーザー光は、一部が遮光部13aによって遮られ、遮光部13aによって遮られなかった部分が受光素子15へ向かう。レーザー光の遮光部13aによって遮られなかった部分は受光素子15へ向かうが、光制御部材29の遮光部29aによって遮られ受光素子15には入射されない(図48参照)。従って、受光素子15には、記録層L0で反射されたレーザー光は入射されない。
図49乃至図51は、光分離素子11と集光レンズ14との間に配置された遮光部材に代えて、プリズム又は回折素子を配置した例を示すものである。尚、図49乃至図51には、例として、第1の受光部17aと第2の受光部17bを有する受光素子17を示す。
レーザー光が記録層L0又は記録層L1に集光されている場合には、記録層L0又は記録層L1に集光されたレーザー光は、屈折又は回折されなかった部分は光制御部材29のピンホール29bを通過して第1の受光部17aに入射されて受光される(図49参照)。レーザー光の屈折又は回折された部分は光制御部材29の透過部29cを透過されて第2の受光部17bに入射されて受光される。
このとき、レーザー光が記録層L0に集光されている場合には、記録層L1で反射されたレーザー光は屈折又は回折された部分を除き遮光部29aによって遮光され受光素子17には入射されず、レーザー光の屈折又は回折された部分は光制御部材29の透過部29cを透過されて第2の受光部17bに入射されて受光される(図50参照)。
一方、レーザー光が記録層L1に集光されている場合には、記録層L0で反射されたレーザー光は屈折又は回折された部分を除き遮光部29aによって遮光され受光素子17には入射されず、レーザー光の屈折又は回折された部分は光制御部材29の透過部29cを透過されて第2の受光部17bに入射されて受光される(図51参照)。
図52に、光制御部材の変形例を示す。
変形例に係る光制御部材29Aは、例えば、ブロック状に形成され、受光素子21上に配置されている。遮光部材29Aの上面にはラジアル方向に離隔して遮光部29d、29dが形成されている。遮光部29d、29dは、例えば、吸収膜、反射膜、遮光物、反射物等によって形成されている。光制御部材29Aの上面の遮光部29d、29d間の部分は、タンジェンシャル方向に延びるスリット29eとして形成されている。光制御部材29の遮光部29d、29d及びスリット29e以外の部分は透過部29fとして形成されている。
光ピックアップ6Eにあっては、光制御部材29に代えて光制御部材29Aを用いてもよく、レーザー光が0次光と±1次光に分離される場合には、光制御部材29Aを用いることが望ましい。
尚、光制御部材29及び光制御部材29Aの遮光部29a、29d、29dは吸収膜、反射膜、遮光物、反射物に限られることはなく、例えば、レーザー光を屈折又は回折する機能を有するプリズム部又は回折部であってもよい。また、光制御部材29及び光制御部材29Aは必ずしも受光素子15、17、21等上に配置されている必要はなく、例えば、受光素子15、17、21等を保持する保持部や他の部分に保持又は固定されていてもよい。
以上に記載した通り、光ピックアップ6Eにあっても、光ピックアップ6Aと同様に、ディスク状記録媒体100の情報を記録又は再生していない記録層で反射されたレーザー光が、受光素子15、17、21の受光部15a、第1の受光部17a、メイン側受光部21aに入射されないため、迷光が発生せず、RF信号の劣化やサーボ信号のオフセットが生じない。また、ディスク状記録媒体100の各層で反射されたレーザー光の干渉も生じず、温度変化等の環境変化による素子特性の変動が生じにくい。
また、光学系の縦倍率を大きくしたり、各受光部の面積を小さくしたりする必要がないため、デフォーカスに対するスポット径の変化が小さく、各光学部品の位置ずれに伴うスポット位置のずれも小さく、位置調整が容易であり、その後の経時変化や環境変化に対する影響も受けにくい。
さらに、ディスク状記録媒体100の情報を記録又は再生していない記録層で反射されたレーザー光が屈折又は回折された部分を除き受光素子15、17、21に到達しないため、迷光の発生を確実に防止することができる。
次に、光ピックアップの第6の最良の形態について説明する(図53参照)。
尚、以下に示す第6の最良の形態に係る光ピックアップ6Fは、上記した第1の最良の形態に係る光ピックアップ6A、第2の最良の形態に係る光ピックアップ6B、第3の最良の形態に係る光ピックアップ6C、第4の最良の形態に係る光ピックアップ6D又は第5の最良の形態に係る光ピックアップ6Eを集積光学素子に適用した例である。
第6の最良の形態に係る光ピックアップ6Fは、樹脂製のパッケージ30に所要の各部が配置されて成る。
パッケージ30は、例えば、上方及び下方に開口された扁平な略角筒状に形成され、パッケージ30にはリードフレーム31が埋設状に配置されている。パッケージ30の下側の開口は平板状のリッド32によって閉塞されている。
リードフレーム31の下面側にはサブマウントと称されるマウント部33を介して発光素子9が搭載されている。発光素子9としては、例えば、側面発光型の半導体レーザーが用いられており、発光素子9からは、例えば、約405nmのレーザー光が出射される。
リードフレーム31の下面側には立ち上げミラー35と出力制御素子36が配置されている。出力制御素子36は発光素子9から出射されるレーザー光の光量が一定となるように制御するAPC(Automatic Power Control)機能を有する。
リードフレーム31の上面側には受光素子34が配置されている。受光素子34には第1受光部34aと第2受光部34bが設けられている。受光素子34上には、例えば、スリット29eを有する光制御部材29Aが配置されている。
パッケージ30の上面には1/2波長板37が配置されている。
パッケージ30の上側の開口は複合レンズ38によって閉塞されている。複合レンズ38の上面には、例えば、それぞれ回折格子から成る第1の光回折部38a、第2の光回折部38b及び第3の光回折部38cが形成されている。複合レンズ38の下面には、第2の光回折部38bの真下の位置に焦点距離変更レンズ部38dが形成されている。
複合レンズ38の上面側には複合素子39が配置されている。複合素子39には偏光プリズム部39aとハーフミラー部39bと反射ミラー部39cとが形成されている。尚、偏光プリズム部39aに代えて回折格子を用いレーザー光の分離を行うようにしてもよい。
複合素子39の偏光プリズム部39aの上方にはコリメーターレンズ10、1/4波長板40及び対物レンズ12が配置されている。
光ピックアップ6Fにおいて、発光素子9からレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光は一部が立ち上げミラー35によって反射され1/2波長板37を介して複合レンズ38に導かれる。レーザー光は1/2波長板37によって任意の方向に偏光の向きが回転される。
発光素子9から出射されたレーザー光のうち、立ち上げミラー35によって反射されなかった部分は、立ち上げミラー35を透過されてリッド32で反射されて出力制御素子36で受光される。レーザー光が出力制御素子36で受光されることにより、出力制御素子36によって検出されたレーザー光の出力が発光素子9の電流入力にフィードバックされ、発光素子9から出射されるレーザー光の光量が一定となるように制御される。
複合レンズ38に入射されたレーザー光は第1の光回折部38aによって回折され、ディスク状記録媒体100の記録トラック上に主スポットを形成する主光束(0次光)と、記録トラック状に主スポットに対し離隔した位置に副スポットを形成する副光束(±1次光)に分離される。
回折されたレーザー光は複合素子39の偏光プリズム部39aを透過され、コリメーターレンズ10によって平行光束とされた後、1/4波長板40によって円偏光とされ、対物レンズ12を介してディスク状記録媒体100の記録層に集光される。
レーザー光はディスク状記録媒体100の記録層で反射され、対物レンズ12、1/4波長板40及びコリメーターレンズ10を介して複合素子39の偏光プリズム部39aに入射され、該偏光プリズム部39aによって光路が変換されてハーフミラー部39bに入射される。
ハーフミラー部39bに入射されたレーザー光は、一部が反射され他の部分が透過され、反射された部分は複合レンズ38の第2の光回折部38bに入射され、透過された部分は反射ミラー部39cで反射されて複合レンズ38の第3の光回折部38cに入射される。
第2の光回折部38b及び第3の光回折部38cは、上記回折素子18、18Aと同様の機能を有し、情報の記録又は再生が行われない層で反射されたレーザー光の第1受光部34a及び第2の受光部34bへの迷光としての入射を防止する役割を有する。
第2の光回折部38bに入射されたレーザー光は、該第2の光回折部38bによって回折され、焦点距離変更レンズ部38dによって焦点距離が変更された後、受光素子34の第1受光部34aに入射されて受光される。
第3の光回折部38cに入射されたレーザー光は、該第3の光回折部38cによって回折され、光制御部材29Aのスリット29e又は透過部29fを透過された後、受光素子34の第2受光部34bに入射されて受光される。
第1受光部34a及び第2受光部34bは任意に分割されており、例えば、第1受光部34aで受光されたレーザー光を用いて、SSD法によるフォーカスエラー検出やDPP法によるりトラッキングエラー検出を行うことが可能である。また、第2受光部34bで受光されたレーザー光を用いて、RF検出、DPD法によるトラッキングエラー検出、アドレス検出、球面収差検出、ランドグルーブ検出、クロストーク検出を行うことが可能である。
以上に記載した通り、光ピックアップ6Fにあっても、光ピックアップ6Aと同様に、ディスク状記録媒体100の情報を記録又は再生していない記録層で反射されたレーザー光の第1受光部34a及び第2受光部34bへの入射が制限されるため、迷光が発生せず、RF信号の劣化やサーボ信号のオフセットが生じない。また、ディスク状記録媒体100の各層で反射されたレーザー光の干渉も生じず、温度変化等の環境変化による素子特性の変動が生じにくい。
また、光学系の縦倍率を大きくしたり、各受光部の面積を小さくしたりする必要がないため、デフォーカスに対するスポット径の変化が小さく、各光学部品の位置ずれに伴うスポット位置のずれも小さく、位置調整が容易であり、その後の経時変化や環境変化に対する影響も受けにくい。
さらに、集積型光学素子が用いられているため、小型化を図ることができる。
上記した発明を実施するための各最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
100…ディスク状記録媒体、L1…記録層、L0…記録層、1…ディスクドライブ装置、3…ディスクテーブル、6…光ピックアップ、7…移動ベース、8…対物レンズ駆動装置、9…発光素子、11…光分離素子、12…対物レンズ、13…遮光部材、13a…遮光部、15…受光素子、16…プリズム、16a…屈折部、17…受光素子、18…回折素子、18a…回折部、19…受光素子、18A…回折素子、18c…回折部、20…回折格子、21…受光素子、13A…遮光部材、13c…遮光部、13B…遮光部材、13e…遮光部、16A…プリズム、16c…屈折部、34…受光素子