JP4381665B2 - 茶の油溶性成分を含有する茶飲料 - Google Patents
茶の油溶性成分を含有する茶飲料 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、茶飲料、特にペットボトルや缶等の密封容器に充填されて販売される茶の有効成分を含有する緑茶、半発酵茶等の茶飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から緑茶を含む茶類には、カテキン、ビタミンCやビタミンEやカロチン等のビタミン群、各種ミネラル等の、健康に有効な成分が多量に含まれていることが良く知られている。カテキンには、発癌抑制、抗菌・抗ウイルス作用、血圧・血中コレステロール値抑制作用、血糖値抑制作用、抗酸化機能に基づく老化防止作用等の優れた効能が認められている。また、ビタミン類には、発癌抑制、老化防止作用等の効能があり、亜鉛等のミネラルには、皮膚炎防止、心筋障害防止、血液のアルカリ保持等の効能がある。
【0003】
このため、嗜好飲料として茶を飲用すると、健康維持に有用な成分を吸収できることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、これらの有効成分の中で、カロチンやビタミンE等は油溶性であるため温水等の水性媒体に溶けないで茶殻の中に残存してしまい、有効に摂取できないという問題がある。このため、この水に溶けない油溶性成分を摂取するためには、茶を微紛砕にして飲用する方法が知られている。ところが、係る微粉砕された茶を用いる茶飲料は、その微粉砕茶製造コストが高く手間がかかる点、及び容器に充填し製品とした場合に、飲料液中に不均一な濁りが生じたり、オリが生じたりするという問題点があり、特にペットボトル等の透明な容器に充填した場合に問題が大きい。このため、容器に充填し製品とする際の飲用容器が限定されるという問題がある。また、微粉砕されているが、茶の固形物が混じっているので、喉越しの違和感を与えるという問題もある。
【0005】
本発明は、飲料液中に微粉末の茶を混入することなく、茶の油溶性成分を含有する茶飲料を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、茶の中に含まれる湯水等の水性媒体による抽出では溶出されない成分(主として油溶性成分)を搾汁および/または水以外の溶媒により抽出し、これを乳化させて茶飲料液中に分散させることにより、均一に混じり合い、濁りやオリが生じないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0008】
(1) 茶の中に含まれている油溶性成分が乳化した状態で混入されていることを特徴とする茶飲料を提供する。
【0009】
本発明の茶飲料によれば、油溶性成分は乳化して茶飲料中に混入されているので、均一に分散されている。また、茶の中に含まれている温水等の水性媒体で抽出されない油溶性成分、すなわちカロチン、ビタミンE、脂肪酸等といったものが乳化の形で茶飲料に含有されているので、この茶飲料を飲用することで、茶の中に含まれている健康に有効な成分をほぼ全種類摂取することができる。これによって、これまで廃棄されていた茶の有効成分を摂取できることになる。また、茶を粉末で添加したものでないので、茶飲料中に不均一な濁りが生じたり、オリが生じたりすることがない。
【0010】
尚、本発明において、油溶性成分とは、茶葉を温水等の水性媒体で抽出した際に溶出しない成分であって、カロチン、ビタミンE、食物繊維、クロロフィル、タンパク質、脂肪酸等の茶の中に含まれている水に不溶な成分を意味する。また、茶ないし茶飲料とは、緑茶等の不発酵茶のほか、ウーロン茶等の半発酵茶及び紅茶等の発酵茶が広く包含されるし、これらをベースとした健康茶等広範囲に渡る。
【0011】
(2) 前記油溶性成分は茶葉、茶の種子由来のものであることを特徴とする(1)に記載の茶飲料を提供する。
【0012】
本発明の茶飲料によれば、油溶性成分としては茶葉や茶の種子由来のものであるので、茶葉や茶の種子に含まれる水に不溶な成分、すなわちカロチンやビタミンE、脂肪酸等の成分が含まれている。このため、この茶飲料には水に不溶な成分であるカロチン、ビタミンE、脂肪酸等が含有されることになる。尚、この抽出物の性状は液体状のもの、あるいは乾燥して紛体状にしたものいずれであってもよい。
【0013】
尚、本発明において、由来のものとは、茶葉や茶の種子を搾汁や抽出によって得られたものの総称であって、搾汁とは、茶葉や茶の種子を破砕して、圧力を加えて汁を搾り取ることを意味する。また、抽出とは、湯水、温水、常温水といった水以外の溶媒(例えば食用油脂、アルコール類等)を用いて油溶性成分を取り出すことを意味する。尚、搾汁および抽出する際の条件や方法(例えば、温度、圧力、時間、添加助剤他)等には特に限定されない。また、上記の茶葉には温水等の水性媒体で抽出された後の茶殻も含むものとする。
【0014】
(3) 前記油溶性成分がカロチン、ビタミンE、またはオレイン酸等の脂肪酸をふくむことを特徴とする(1)または(2)に記載の茶飲料を提供する。
【0015】
本発明の茶飲料によれば、前記油溶性成分としてカロチン、ビタミンE、オレイン酸等の脂肪酸としている。このため、茶飲料にはカロチンやビタミンE、オレイン酸等の脂肪酸が含有されるので、これを飲用することによりこれら成分が有する発癌抑制、免疫機能増進、老化防止作用、動脈硬化予防等の効能を有効に摂取することができる。
【0016】
(4) 前記油溶性成分が水性媒体により抽出した茶抽出液にO/W型乳化で添加されたものであることを特徴とする(1)から(3)いずれか記載の茶飲料を提供する。
【0017】
本発明の茶飲料によれば、油溶性成分は水性媒体により抽出した茶抽出液に添加されて、O/W型乳化物に乳化されているものとしている。油溶性成分は水に不溶であるため、このままでは温水等の水性媒体より抽出した茶抽出液に添加しても均一に分散しないが、茶葉や茶の種子から搾汁および/または抽出した油溶性成分を含有する抽出液を茶抽出液とのO/W型(水中油型)乳化物に乳化することで、茶飲料中に容易に均一に分散することができる。
【0018】
尚、本発明において、茶抽出液とは、茶葉を温水等の水を溶媒として抽出したものを意味し、その抽出条件等は通常に行われている方法であれば良い。抽出を良くするためにエタノール等の多価アルコール類を添加しても良いし、加圧条件下での抽出他であってもよい。また、O/W型乳化物とは、乳化剤、乳化安定剤を用いて水中(茶抽出液中)に油溶性成分を分散させたものを意味し、この乳化は茶抽出液に、乳化剤および乳化安定剤と、必要に応じて親水性酸化防止剤を添加して調製されるが、これに限定されるものではない。
【0019】
(5) 前記油溶性成分の乳化粒子径が0.05μm以下で透明化、0.2μm前後で半透明化、1μm以上で白濁し、好みに応じてお茶の自然な概観を出すことが出来ることを特徴とする(4)に記載の茶飲料を提供する。
【0020】
本発明の茶飲料によれば、油溶性成分の乳化粒子径を変化させることにより、開発設計者の意のままに濁り具合を調節できる。従来、濁りを付与するには粉末の茶を混合するなどの方法があるが、沈殿が問題になる。本発明による方法では乳化物質が浮遊するため、経時による沈殿の発生はない。
【0021】
(6) 前記乳化剤は乳化香料であることを特徴とする(1)から(5)いずれか記載の茶飲料を提供する。
【0022】
本発明の茶飲料によれば、乳化剤として乳化香料を使用しているので、油溶性成分を茶抽出液中に乳化して均一に分散できると共に、香りを付与し、茶飲料の茶の香りが一層引き立つことになる。
【0023】
ここで、乳化香料とは、水に不溶性の成分を用いて、発色、香料化、味付けをする際に添加されるものであって、油溶性香料、色素、比重調整剤など混合物を、水相に乳化剤、乳化安定剤を溶解した水を用いて水中油型(O/W型)に乳化したものであって、飲料中に添加した際、それ自身は飲料中で界面活性剤として機能し、水に不溶性の味成分、色素、香料を内包したミセル及びその類似物を飲料中に均一に分散させるものである。
【0024】
(7) 茶葉、茶の種子由来の油溶性成分が乳化されたものを含むコロイド溶液からなる茶風味付与剤を提供する。
【0025】
茶葉、茶の種子由来の油溶性成分は、茶葉や茶の種子から搾汁および/または抽出されたものであるので、茶風味付与剤としての効果を有する。また、この抽出物を予め乳化されたコロイド溶液にしておくことにより、茶抽出液に混合する場合、ポーションパック等を使用して無菌充填(インライン充填)することができる。
【0026】
ここで、ポーションパックとは、1回分や1人分など、使い切り使用量にあらかじめ小分け包装した包装形態のことを意味する。そしてこのポーションパックは、プラスチックシートの殺菌から容器の形成、充填、密封、打ち抜きまで一貫してできる無菌充填方式で製造される。
【0027】
油溶性成分には、ビタミンE、カテキン等の抗酸化作用を有する成分を含有するので、これを茶飲料中に添加することにより、抗酸化作用を有する成分の含量が高くなり、茶の風味が損なわれ難くなり、まろやかさを持続させることができる。
【0028】
(8) 前記茶抽出液と前記油溶性成分とのO/W型乳化物であることを特徴とする(1)から(7)いずれか記載の茶飲料を提供する。
【0029】
(9) 茶葉を水性媒体により抽出して得られた前記茶抽出液に、茶葉や茶の種子を搾汁または/および溶媒抽出して得られた前記油溶性成分と少なくとも乳化剤を添加し、O/W型乳化物に乳化した後、該乳化物の水質を調整して飲料調合液に調合することにより、茶由来の油溶性成分が含有された茶飲料を得る方法を提供する。
【0030】
本発明の茶飲料は、温水等の水性媒体によって抽出された茶抽出液に茶葉や茶の種子から搾汁および/または溶媒抽出させた搾汁物や抽出物を乳化剤や乳化安定剤と共に添加されて攪拌混合され、油溶性成分が均一に分散したO/W型乳化物に製造される。そして、この乳化物は飲料に適する濃度に希釈され、重炭酸ナトリウム等の水質調整剤が混合されて飲料調合液に調合されて、密封容器に充填される。尚、この調合の際にビタミンC等の副資材を混合してもよい。
【0031】
ここで、水質調整剤とは、乳化物の好ましいpHに調整するものであって、係る目的で使用される水質調整剤には特に制限はないが、好ましい香味、滋味を損なわないものとしては、重炭酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の茶飲料を実施形態に沿って説明する。
【0033】
本発明の茶飲料は、茶葉を温水等の水性媒体により抽出した茶抽出液に茶に含まれる油溶性成分を混合することにより製造されたものである。
【0034】
本発明において油溶性成分は、茶葉や茶の種子等を圧搾して抽出したものや食用油脂等の油脂、エタノール等のアルコール類、ヘキサン等の飲食品に使用できる溶媒で抽出したものとして提供される。この際に使用される茶としては、玉露、抹茶、煎茶あるいは玉緑茶などの不発酵茶系のもの、ウーロン茶等の半発酵茶系のもの、あるいは紅茶等の発酵茶系のもの等が挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて使用してもよい。また、茶葉としては、生茶葉が好ましいが、乾燥させた状態の荒茶や水性媒体で抽出した後の所謂茶殻であってもよい。また、油溶性成分を含有した抽出物の性状は、搾汁した状態の液状であってもよいし、これを乾燥して粉体状にしたものであってもよい。
【0035】
尚、茶葉や茶の種子の代表的な搾汁法としては、茶生葉(約75〜80%の水分を含有する)や茶の種子を高温の蒸気、例えば約80〜100℃の水蒸気で30〜90秒熱処理し、熱処理した茶葉や茶の種子を急冷後、茶葉や茶の種子を細断し、圧搾袋に詰め、100〜170kgf/cm2(換算値;9.8〜16.7MN/m2)の圧力で圧搾する方法で行われる。こうして得られた搾汁物は、カテキン類、複合タンニン等の水溶性成分やビタミンE、カロチン、脂肪酸等の油溶性成分を含有している。また、溶媒による抽出法としては、食用油脂等の油脂、エタノール等のアルコール類、ヘキサン等飲食品に使用することができる溶媒を用いて行われ、抽出温度、時間、濃度等の条件は使用する溶媒等によって、適宜選定すればよい。こうして得られた抽出物は、カテキン類、複合タンニン等の水溶性成分やビタミンE、カロチン等の油溶性成分を含有している。
【0036】
一方、本発明の茶飲料の主原料である茶抽出液は、上記の茶葉を適宜の温度の水性媒体(通常温水)にて常法により抽出し、遠心分離等の適宜の手段で茶殻等を分離したものである。このとき茶葉の種類、茶抽出液の濃度等は問わずに使用することができるが、濃度に関しては濃縮抽出液を得ることが通常である。
【0037】
次に、上記茶抽出液に所定量の油溶性成分を混合して茶飲料を生成するのであるが、油溶性成分は水に対して不溶なため、乳化剤等を使用して茶抽出液中に均一に分散させて(この乳化を以下O/W型乳化と称する)O/W型乳化物とする。このO/W型乳化は、乳化剤、乳化安定剤を用いて茶抽出液中に上記に記載の油溶性成分を含む搾汁物や抽出物を分散するものであって、この際、親水性酸化防止剤を添加してもよい。親水性酸化防止剤としては、アスコルビン酸、クエン酸又はそれらのアルカリ金属塩等が好ましい。乳化剤、乳化安定剤は特に限定されるものでなく、飲食品に含有せしめることができるものであればよく、乳化剤としては、例えば、モノグリセライド、ポリグリセリンエステル等のグリセリン脂肪酸エステル;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル;ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル等のシュガーエステル;レシチン、レスチン酵素分解物等のレスチン等が挙げられる。また、乳化安定剤としては、ペクチン、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、カゼイン等が挙げられる。尚、これらの乳化剤や乳化安定剤は、単独又は複数組み合わせて使用するのが望ましい。これらの乳化剤の中でも、それ自身は飲料中で界面活性剤として機能し、水に不溶性の味成分、色素、香料を内包したミセル及びその類似物を飲料中に均一に分散させるのが好ましい。また、この乳化剤や乳化安定剤の添加量は、5〜40%であるのが好ましい。尚、親水性酸化防止剤は茶の風味や色調の劣化を防止するためのものであって、後述するように、このO/W型乳化物を希釈し、水質調整剤、その他の副資材を混合し溶解して飲料調合液とする際に添加してもよい。
【0038】
また、茶抽出液に添加されたこれらの油溶性成分を含む搾汁物・抽出物は、乳化剤、乳化安定剤により液中に分散されるのであるが、この分散の度合は、お茶の自然な概観を出しながら透明のものにする、半透明なものにする、あるいは白濁するものにするか等の好みに応じて適宜選択して行えばよい。すなわち、茶抽出液を透明化させたい場合には粒子径が0.05μm以下になるまで乳化し、半透明にさせたい場合には粒子径が0.2μm前後に、また、白濁させたい場合には粒子径が1μm以上になるように乳化するのが好ましい。このように、乳化度合を変えて油溶性成分の乳化粒子径を調節することによって、意のままの濁り具合に調節できる。
【0039】
この油溶性成分を含む搾汁物・抽出物を茶抽出液中に分散する方法としては、従来公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、プロペラ、ホモミキサー、ホモディスパー、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等の乳化機を用いて分散する方法が挙げられ、これらの攪拌分散することにより、所望の濁り具合の茶飲料に調節できる。
【0040】
尚、油溶性成分の茶抽出液への混合量は特に限定されるものではないが、0.05〜0.1%の割合で茶飲料中に添加するのが好ましい。すなわち、茶飲料中にはビタミンEが0.2mg%、カロチンが0.04mg%、オレイン酸等の脂肪酸が25mg%含有させているのが好ましい。
【0041】
本発明の茶飲料の製造は、以上に説明した如く、温水等で抽出した茶抽出液に茶葉や茶の種子から圧搾および/または溶媒抽出により得られた搾汁物や抽出物を乳化させてO/W型乳化物を生成する。次いで、この乳化物を飲用に適する濃度に希釈し、重炭酸ナトリウム等の水質調整剤、ビタミンC等の副資材を混合して飲料調合液とする。この調合液を所定の殺菌を施し、密封容器に充填して飲用に供する。尚、この製造はこれに限定されるものでなく、常法により行えばよい。
【0042】
尚、係る茶飲料には、種々の容器に入れられたものも含む。種々の容器には、プラスチック容器、ビン容器、紙容器、金属缶容器等が含まれる。プラスチック容器には、ポリオレフィン系、ポリエステル系(例えばPET)のものが含まれ、金属缶には、アルミニウム、鉄等が挙げられる。また、容器の形状や、プラスチック容器、ビン容器の場合、着色したものや透明性についても特に制限はない。
【0043】
本発明に係る茶飲料には、更に、上記に記載した以外の他の成分であって、通常の茶飲料に添加されるものを添加してもよい。係る他の成分の種類および量についても特に制限はない。
【0044】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
熱風で乾燥後のお茶の実の殻を排除し、果肉を水蒸気で蒸煮した。圧搾袋に詰め、圧搾機を用いて170kgf/cm2(換算値;16.7MN/m2)の圧力で20分間圧搾した。0.5mmのフィルターでろ過し、濃緑色で粘性のある搾汁オイルを得た。
【0046】
得られた搾汁オイルに対し、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル5%、ショ糖脂肪酸エステル10%、グリセリンを5%、食用油脂10%となるように添加し、攪拌乳化して白濁したO/W型乳化物を得た。得られた乳化物の粒子径をレーザー回析・拡散式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製)にて測定の処、0.05μm以下であった。
【0047】
次いで、この乳化物を0.05〜0.1%となるように配合し、重炭酸ナトリウムおよびビタミンCを添加して混合、溶解して茶飲料を得た。
【0048】
このようにして得られた茶飲料に含有される成分は、アミノ酸、カテキン、カフェイン、ビタミンC、β−カロチン、ビタミンE、オレイン酸等の脂肪酸他であった。また、37℃で1ヶ月放置後のオリの発生状況を観察したところ、自然なお茶の濁りが保たれており、オリの発生や何ら問題となる外観・香味異常等の発生は認められなかった。
【0049】
一方、温水で抽出した茶抽出液から得られた従来の茶飲料の含有成分は、アミノ酸、カテキン、カフェイン、ビタミンC等で、本発明の茶飲料のようにβ−カロチン、ビタミンE、オレイン酸等の脂肪酸といった油溶性成分は含有されていなかった。
【0050】
また、この茶飲料の味覚や風味について、パネリスト10人を対象に官能検査を行った結果、いずれの茶飲料とも油溶性成分を含有していない茶飲料に比べて入れたての茶の風味を呈するという評価であった。
【0051】
この結果より、本発明の茶飲料は、茶が含有している成分とほぼ同様の成分を含有していることになる。また、外観や、味覚、風味等も入れたての茶の風味を有することになる。また、長期間放置しておいても何ら問題となる外観・香味異常等の発生も生じない。
【0052】
以上、油溶性成分を乳化剤、乳化安定剤他と共に茶抽出液に添加して、乳化して均一に分散させて茶飲料に混入する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、茶葉や茶の種子から搾汁および/または抽出して得られた抽出物を予め乳化剤等で乳化してコロイド状の溶液にしておいて、ポーションパック等を使用して無菌充填(インライン充填)し、飲用時に添加するようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の茶飲料は、茶に含まれる油溶性成分を搾汁や溶媒抽出で抽出し、得られた搾汁物や抽出物を温水等の水性媒体で抽出した茶抽出液に乳化の形で混合して添加しているので、茶飲料中にカロチン、ビタミンEといった茶の油溶性成分が含有されることになり、この茶飲料を飲用することで、茶の中に含まれている健康に有効な成分をほぼ全種類摂取でき、健康の維持・促進に有効な飲料となる。
【0054】
また、油溶性成分を含有する茶葉や茶の種子の抽出物を添加するので、油溶性成分を含有するだけでなく、水溶性成分も高含有となるので、酸化を抑制する成分や茶の旨み成分が高まることになる。
【0055】
また、その混合も乳化により均一に分散しているので、微紛末の茶を飲料中に混合した際のような、飲用するときの喉越しの違和感も解消される。
【0056】
本発明の茶飲料によれば、油溶性成分の乳化粒子径を変化させることにより、開発設計者の意のままに濁り具合を調節できる。そして、本発明による方法では、乳化物質が浮遊するため、従来の粉末の茶を混合するなどで濁りを付与する方法のように経時によりオリの発生や問題となる外観・香味異常等の発生はない。
Claims (2)
- 茶葉を水性媒体により抽出して得られた茶抽出液に、圧搾、水以外の食品に使用できる溶媒による抽出、及び油脂による抽出から選ばれる少なくとも1種の方法により得られた、前記水性媒体により茶抽出液を抽出した後の茶葉、茶の種子の油溶性成分と、少なくとも乳化剤とを添加し、O/W型乳化物に乳化した後、該乳化物の水質を調整して飲料調合液に調合することにより、茶由来の油溶性成分が含有された茶飲料を得る方法。
- 茶葉を水性媒体により抽出して得られた茶抽出液に、圧搾、水以外の食品に使用できる溶媒による抽出、及び油脂による抽出から選ばれる少なくとも1種の方法により得られた、茶葉、茶の種子の油溶性成分と、少なくとも乳化剤とを添加し、O/W型乳化物に乳化する際に、前記油溶性成分の乳化粒子径を変化させることにより、茶飲料の濁り具合を調整する方法。
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