JP4379557B2 - 薄膜太陽電池の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ユニットセルを複数個直列接続した薄膜太陽電池の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから注目を集めている。
【0003】
同一基板上に形成された複数の太陽電池素子が、直列接続されてなる太陽電池(光電変換装置)の代表例は、薄膜太陽電池である。
【0004】
薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられ、電力供給用以外に、建物の屋根や窓などにとりつけて利用される業務用,一般住宅用にも需要が広がってきている。
【0005】
従来の薄膜太陽電池はガラス基板を用いているものが一般的であった。近年、軽量化、施工性、量産性においてプラスチックフィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発が進められ実用化されている。さらに、フレキシブルな金属材料に絶縁被覆したフィルム基板を用いたものも開発されている。このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式やステッピングロール方式の製造方法により大量生産が可能となった。
【0006】
上記の薄膜太陽電池は、電気絶縁性フィルム基板上に第1電極(以下、下電極ともいう)、薄膜半導体層からなる光電変換層および第2電極(以下、透明電極ともいう)が積層されてなる光電変換素子(またはセル)が複数形成されている。ある光電変換素子の第1電極と隣接する光電変換素子の第2電極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初の光電変換素子の第1電極と最後の光電変換素子の第2電極とに必要な電圧を出力させることができる。例えば、インバータにより交流化し商用電力源として交流100Vを得るためには、薄膜太陽電池の出力電圧は100V以上が望ましく、実際には数10個以上の素子が直列接続される。
【0007】
このような光電変換素子とその直列接続は、電極層と光電変換層の成膜と各層のパターニングおよびそれらの組み合わせ手順により形成される。上記太陽電池の構成および製造方法の一例として、本願出願人により、いわゆるSCAF(Series Connection through Apertures on Film )型の薄膜太陽電池が提案されており、例えば特開平10−233517号公報や特願平11−19306号に記載されている。
【0008】
図2は、上記特開平10−233517号公報に記載された薄膜太陽電池の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)における線ABCDおよびBQCに沿っての断面図であり、(c)は(a)におけるEE断面図を示す。
【0009】
電気絶縁性でフレキシブルな樹脂からなる長尺のフィルム基板上に、順次、第1電極層、光電変換層、第2電極層が積層され、フィルム基板の反対側(裏面)には第3電極層、第4電極層が積層され、裏面電極が形成されている。光電変換層は例えばアモルファスシリコンのpin接合である。フィルム基板用材料としては、ポリイミドのフィルム、例えば厚さ50μmのフィルムが用いられている。
【0010】
フィルムの材質としては、他に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはアラミド系のフィルムなどを用いることができる。
【0011】
次に、製造工程の概要につき以下に説明する。
【0012】
先ず、フィルム基板にパンチを用いて、接続孔h1を開け、基板の片側(表側とする)に第1電極層として、スパッタにより銀を、例えば100nmの厚さに成膜し、これと反対の面(裏側とする)には、第3電極層として、同じく銀電極を成膜する。接続孔h1の内壁で第1電極層と第3電極層とは重なり、導通する。
【0013】
電極層としては、銀(Ag)以外に、Al,Cu,Ti等の金属をスパッタまたは電子ビーム蒸着等により成膜しても良く、金属酸化膜と金属の多層膜を電極層としても良い。成膜後、表側では、第1電極層を所定の形状にレーザ加工して、下電極l1〜l6をパターニングする。下電極l1〜l6の隣接部は一本の分離線g2を、二列の直列接続の光電変換素子間および周縁導電部fとの分離のためには二本の分離線g2を形成し、下電極l1〜l6は分離線により囲まれるようにする。再度パンチを用いて、集電孔h2を開けた後、表側に、光電変換層pとしてa-Si層をプラズマCVDにより成膜する。マスクを用いて幅W2の成膜とし、レーザ加工により二列素子の間だけに第1電極層と同じ分離線を形成する。なお、前記幅W2は、接続孔h1にまたがってもよい。
【0014】
さらに第2電極層として表側に透明電極層(ITO層)を成膜する。但し、二つの素子列の間とこれに平行な基板の両側端部にはマスクを掛け接続孔h1には成膜しないようにし、素子部のみに成膜する。透明電極層としては、ITO(インシ゛ウムスス゛オキサイト゛)以外に、SnO2、ZnOなどの酸化物導電層を用いることができる。
【0015】
次いで裏面全面に第4電極層として金属膜などの低抵抗導電膜からなる層を成膜する。第4電極の成膜により、集電孔h2の内壁で第2電極と第4電極とが重なり、導通する。表側では、レーザ加工により下電極と同じパターンの分離線を入れ、個別の第2電極u1〜u6を形成し、裏側では第3電極と第4電極とを同時にレーザ加工し、接続電極e12〜e56、および電力取り出し電極o1,o2を個別化し、基板の周縁部では表側の分離線g3と重なるように分離線g2を形成し、隣接電極間には一本の分離線を形成する。
【0016】
全ての薄膜太陽電池素子を一括して囲う周縁、および二列の直列接続太陽電池素子の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g3がある。分離線g3の中にはどの層も無い。裏側では、全ての電極を一括して囲う周縁、および二列の直列接続電極の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g2がある。分離線g2の中にはどの層も無い。
【0017】
こうして、電力取り出し電極o1−集電孔h2−上電極u1、光電変換層、下電極l1−接続孔h1−接続電極e12−上電極u2、光電変換層、下電極l2−接続電極e23−・・・−上電極u6、光電変換層、下電極l6−接続孔h1−電力取出し電極o2の順の光電変換素子の直列接続が完成する。
【0018】
なお、第3電極層と第4電極層は電気的には同一の電位であるので、以下の説明においては説明の便宜上、併せて一層の接続電極層として扱うこともある。
【0019】
図3は、構造の理解の容易化のために、薄膜太陽電池の構成を簡略化して斜視図で示したものである。図3において、基板61の表面に形成した単位光電変換素子62および基板61の裏面に形成した接続電極層63は、それぞれ複数の単位ユニットに完全に分離され、それぞれの分離位置をずらして形成されている。このため、素子62のアモルファス半導体部分である光電変換層65で発生した電流は、まず透明電極層66に集められ、次に該透明電極層領域に形成された集電孔67(h2)を介して背面の接続電極層63に通じ、さらに該接続電極層領域で素子の透明電極層領域の外側に形成された直列接続用の接続孔68(h1)を介して上記素子と隣り合う素子の透明電極層領域の外側に延びている下電極層64に達し、両素子の直列接続が行われている。
【0020】
上記薄膜太陽電池の簡略化した製造工程を図4(a)から(g)に示す。プラスチックフィルム71を基板として(工程(a))、これに接続孔78を形成し(工程(b))、基板の両面に第1電極層(下電極)74および第3電極層(接続電極の一部)73を形成(工程(c))した後、接続孔78と所定の距離離れた位置に集電孔77を形成する(工程(d))。工程(c)と工程(d)との間に、第1電極層(下電極)74を所定の形状にレーザ加工して、下電極をパターニングする工程があるが、ここではこの工程の図を省略している。
【0021】
次に、第1電極層74の上に、光電変換層となる半導体層75および第2電極層である透明電極層76を順次形成するとともに(工程(e)および工程(f))、第3電極層73の上に第4電極層(接続電極層)79を形成する(工程(g))。この後、レーザビームを用いて、基板71の両側の薄膜を分離加工して図3に示すような直列接続構造を形成する。
【0022】
なお、図4においては、集電孔h2内における透明電極層76と第4電極層79との接続をそれぞれの層を重ねて2層で図示しているが、前記図2においては、電気的に一層として扱い、1層で図示している。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記SCAF構造の薄膜太陽電池の製造方法においては、下記のような問題があった。
【0024】
前述のように、レーザビームを用いて薄膜のパターニング分離加工を行う際、レーザビームが基板を透過して加工面の反対側に形成している金属電極をも加工するため、薄膜電極の剥がれが生じることがあり、品質の安定性を十分に確保できない問題があった。
【0025】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、この発明の課題は、パターニング分離加工の際の薄膜の損傷を防止して信頼性の向上を図った薄膜太陽電池の製造方法およびこの方法を実施するための製造装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、請求項1の発明によれば、電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、以下の1)から6)までの全工程、即ち、
1)基板に接続孔を開け、基板表面に第1電極層を形成し、裏面に第3電極層を形成する工程。
2)前記基板に集電孔を開ける工程。
3)第1電極層ならびに接続孔および集電孔内面上に、光電変換層を形成する工程。
4)接続孔形成領域を除く光電変換層の上ならびに集電孔内面の光電変換層上に、透明電極層を形成する工程。
5)第3電極層の上ならびに接続孔内面の光電変換層上および集電孔内面の透明電極層上に、第4電極層を形成する工程。
6)基板表面の光電変換部と基板裏面の接続電極層とを、化学的エッチング装置により、一括してパターニング加工(以下、化学的エッチング加工という。)する工程。
を含み、さらに、前記化学的エッチング加工前に、非加工部分を熱剥離フィルムによりマスクし、化学的エッチング加工後に、所定温度で加熱して熱剥離フィルムを除去することを特徴とする。
上記製造方法によれば、基板表面と裏面を略同時に一括して化学的エッチング装置によりパターニング加工できるので、薄膜電極が熱影響によって剥がれることはなく、信頼性の向上と工程の簡略化を図ることができる。
【0027】
上記熱剥離フィルムのマスクの使用により、パターニング加工が容易になるとともに、マスクの除去も容易となる。ところで、マスクとして感光性の肉厚なレジストを用いて、半導体層をエッチングすることは、公知である(例えば、特開昭59−161883号公報参照)。この場合、露光後に半導体層に残されたレジストは、エッチングの際の半導体保護層として機能し、またレジストを剥離する場合には化学薬品を用いている。
【0028】
これに対して、請求項1の発明におけるマスクは、非加工部分にのみマスクする予めパターン化されたマスクであって、また、加熱により容易に剥離可能なマスクであるため、レジストに比べて、作業が容易となる。
【0029】
さらに、量産性向上の観点から、請求項2の発明が好適である。
【0030】
即ち、電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、以下の1)から6)までの全工程、即ち、
1)基板に接続孔を開け、基板表面に第1電極層を形成し、裏面に第3電極層を形成する工程。
2)前記基板に集電孔を開ける工程。
3)第1電極層ならびに接続孔および集電孔内面上に、光電変換層を形成する工程。
4)接続孔形成領域を除く光電変換層の上ならびに集電孔内面の光電変換層上に、透明電極層を形成する工程。
5)第3電極層の上ならびに接続孔内面の光電変換層上および集電孔内面の透明電極層上に、第4電極層を形成する工程。
6)基板表面の光電変換部と基板裏面の接続電極層とを、化学的エッチング加工する工程。
を含み、さらに、前記1)〜5)の工程終了後の基板を、巻き出しロールから巻き出し、この基板の両面にそれぞれ所定のパターンを予め形成した熱剥離フィルムを貼り合わせ、この貼り合わせた基板に化学的エッチング加工を施し、続いて水洗浄を行った後、所定温度で加熱して熱剥離フィルムを除去し、このパターニングされた基板を、巻取りロールに巻き取ることとする。
【0031】
さらにまた、複数の薄膜の化学的エッチング加工を、確実かつ効率的に行なう観点から、請求項3の発明が好ましい。即ち、請求項1または2に記載の薄膜太陽電池の製造方法であって、前記化学的エッチング加工に際し、透明電極層と、光電変換層、ならびに、第1電極層および接続電極層の加工は、それぞれ異なるエッチング液を用いて行なう。
【0032】
また、前記製造方法を実施するための量産化装置としては、請求項4の発明が好適である。即ち、電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造装置において、
前記光電変換部および接続電極層を形成した基板の両面にそれぞれ所定のパターンを予め形成した熱剥離フィルムを貼り合わせるロールラミネータと、複数のエッチング槽と洗浄槽とを有する化学エッチング装置と、熱剥離フィルムを所定温度で加熱して基板から除去する加熱除去装置と、基板のロール搬送装置とを備えるものとする。
【0033】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下に述べる。
【0034】
図1は、請求項4の発明に関わる薄膜太陽電池の製造装置の実施例を示す概略構成図である。請求項1の発明における製造工程1)〜5)は、図4に示す手順と同等である。まず、図4を引用して、製造工程1)〜5)の実施例を述べ、製造工程6)の化学的エッチング工程の詳細については、図1を引用して述べる。
【0035】
図4において、基板71としては、膜厚30〜50μmのポリイミドフィルムを用いた。プラスチックフィルム基板としては、アラミド、PEN,PES,PETなどを用いてもよい。コアに巻かれたプラスチック基板71には、ロールツーロール方式パンチ装置により複数の直径0.5〜2mmの直列接続用の接続孔78を形成する。
【0036】
次に、このプラスチック基板をロールツーロール方式電極形成装置に装着し、一面に第1電極層74およびその反対面に第3電極層73を数百nm厚さで形成する。電極材料にはAlを用いたが、Agなどの金属材料、ITO,ZnOなどの透明導電膜、およびその複合膜などを用いてもよい。
【0037】
次に、ロールツーロール方式パンチ装置により、接続孔78と、所定の距離離れた位置に直径0.5〜2mmの集電孔77を形成する。上記のように、接続孔78、第1電極層74および第3電極層73、集電孔77が形成されたプラスチック基板をステッピングロール方式薄膜形成装置に装着し、第1電極層74の上に、アモルファスシリコンからなる半導体の光電変換層75、ITOからなる透明電極層76を順次積層して光電変換部(図3の62に相当する部分)を形成する。なお、透明電極層76の形成の際には、接続孔78およびその近傍には膜が形成されないようにした。
【0038】
さらに、ステッピングロール方式薄膜形成装置内にて、光電変換層75、透明電極層76を順次積層した面とは反対の面に、第4電極層79を最終的に形成した。次に、後述する図1のロール方式の化学エッチング装置により、所定のパターンで光電変換部(図3の62に相当する部分)およびその反対面の接続電極層(図3の63)の分離加工を行う。このとき、光電変換部を分離する位置と接続電極層を分離する位置をずらすことにより、集電孔および接続孔を介して一面上で互いに絶縁分離されている単位太陽電池が直列に接続される。
【0039】
次に、エッチング工程の詳細について、図1により説明する。図1の薄膜太陽電池の製造装置は、光電変換部および接続電極層を形成した基板フィルム31の両面にそれぞれ所定のパターンを予め形成した熱剥離フィルム32,33を貼り合わせるロールラミネータ24と、複数のエッチング槽81〜83と洗浄槽91〜93とを有する化学エッチング装置50と、熱剥離フィルムを所定温度で加熱して基板から除去する加熱除去装置40と、基板のロール搬送装置としての巻き出しロール21および巻取りロール41とを備える。
【0040】
上記装置において、薄膜が形成された基板フィルム31が、巻き出しロール21から巻き出され、この基板フィルム31の上面側から光電変換部のパターンを予め有する熱剥離フィルム32、下面側から接続電極層のパターンを有する熱剥離フィルム33をそれぞれロール22および23から巻き出し、ロールラミネータ24のプレスロールで3種のフィルムを貼り合わせ、これを化学エッチング装置50に送る。熱剥離フィルム32、33としては、日東電工製の商品名「リバアルファ」を用いた。
【0041】
前記「リバアルファ」はシート状の粘着フィルムであるが、このフィルムは、PETフィルムに対しては90℃以上で接着強度が0となるとともに、温度100℃では1秒以内で接着強度が0になるという特性を有する熱剥離フィルムである。
【0042】
熱剥離フィルム32、33をフィルム基板31にマスクして、化学エッチング装置50における第1のエッチング槽81では、塩化鉄と硝酸の水溶液により透明電極層(ITO層)を除去し、第1の水洗槽91でエッチング液を落とした後、第2のエッチング槽82において、フツ酸、硝酸と酢酸の混合液により、光電変換層としてのアモルファスシリコン層を除去し、第2水洗槽92を経て、第3のエッチング槽83において、りん酸、硝酸、酢酸の水溶液により、第1電極層および背面側の接続電極層であるAlを同時に除去する。
【0043】
水洗槽93を経た後、加熱除去装置40において、フィルム基板の上下より80℃〜100℃に加熱を行って、マスクとして用いた熱剥離フィルムを基板フィルムから剥離し、これをそれぞれ用意した巻取りロール42および43ならびに基板の巻取りロール41に巻き取る。なお、薄膜のエッチング速度は100nm/分〜300nm/分の範囲とした。
【0044】
薄膜の分離加工を終了した基板フィルムは、特性測定、選別、モジュール化などの太陽電池モジュール製造工程における次工程へと進め、太陽電池としての所期の性能が得られることを確認した。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば前述のように、電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、
1)基板に接続孔を開け、基板表面に第1電極層を形成し、裏面に第3電極層を形成する工程。
2)前記基板に集電孔を開ける工程。
3)第1電極層ならびに接続孔および集電孔内面上に、光電変換層を形成する工程。
4)接続孔形成領域を除く光電変換層の上ならびに集電孔内面の光電変換層上に、透明電極層を形成する工程。
5)第3電極層の上ならびに接続孔内面の光電変換層上および集電孔内面の透明電極層上に、第4電極層を形成する工程。
6)基板表面の光電変換部と基板裏面の接続電極層とを、化学的エッチング装置により、一括してパターニング加工(化学的エッチング加工)する工程。
を含み、
さらに、前記化学的エッチング加工前に、非加工部分を熱剥離フィルムによりマスクし、化学的エッチング加工後に、所定温度で加熱して熱剥離フィルムを除去するか、もしくは、前記1)〜5)の工程終了後の基板を、巻き出しロールから巻き出し、この基板の両面にそれぞれ所定のパターンを予め形成した熱剥離フィルムを貼り合わせ、この貼り合わせた基板に化学的エッチング加工を施し、続いて水洗浄を行った後、所定温度で加熱して熱剥離フィルムを除去し、このパターニングされた基板を、巻取りロールに巻き取ることにより、
また、上記製造方法を実施するための装置として、前記光電変換部および接続電極層を形成した基板の両面にそれぞれ所定のパターンを予め形成した熱剥離フィルムを貼り合わせるロールラミネータと、複数のエッチング槽と洗浄槽とを有する化学エッチング装置と、熱剥離フィルムを所定温度で加熱して基板から除去する加熱除去装置と、基板のロール搬送装置とを備えるものとすることにより、パターニング分離加工の際の薄膜の損傷を防止して信頼性の向上を図り、製造プロセスのスループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例に関わる薄膜太陽電池の製造装置の概略構成図
【図2】 SCAF型薄膜太陽電池の構成図
【図3】 SCAF型薄膜太陽電池の概略構成を示す斜視図
【図4】 SCAF型薄膜太陽電池の製造工程の概略を示す図
【符号の説明】
21:基板の巻き出しロール、24:ロールラミネータ、31:フィルム基板、32,33:熱剥離フィルム、40:加熱除去装置、41:基板の巻取りロール、50:化学エッチング装置、61,71:基板、62:単位光電変換素子、63:接続電極層、64,74:第1電極層(下電極層)、65,75:光電変換層、66,76:第2電極層(透明電極層)、67,77:集電孔、68,78:接続孔、73:第3電極層、79:第4電極層、81〜83:エッチング槽、91〜93:洗浄槽。
Claims (4)
- 電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、以下の1)から6)までの全工程、即ち、
1)基板に接続孔を開け、基板表面に第1電極層を形成し、裏面に第3電極層を形成する工程。
2)前記基板に集電孔を開ける工程。
3)第1電極層ならびに接続孔および集電孔内面上に、光電変換層を形成する工程。
4)接続孔形成領域を除く光電変換層の上ならびに集電孔内面の光電変換層上に、透明電極層を形成する工程。
5)第3電極層の上ならびに接続孔内面の光電変換層上および集電孔内面の透明電極層上に、第4電極層を形成する工程。
6)基板表面の光電変換部と基板裏面の接続電極層とを、化学的エッチング装置により、一括してパターニング加工(以下、化学的エッチング加工という。)する工程。
を含み、さらに、前記化学的エッチング加工前に、非加工部分を熱剥離フィルムによりマスクし、化学的エッチング加工後に、所定温度で加熱して熱剥離フィルムを除去することを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。 - 電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、以下の1)から6)までの全工程、即ち、
1)基板に接続孔を開け、基板表面に第1電極層を形成し、裏面に第3電極層を形成する工程。
2)前記基板に集電孔を開ける工程。
3)第1電極層ならびに接続孔および集電孔内面上に、光電変換層を形成する工程。
4)接続孔形成領域を除く光電変換層の上ならびに集電孔内面の光電変換層上に、透明電極層を形成する工程。
5)第3電極層の上ならびに接続孔内面の光電変換層上および集電孔内面の透明電極層上に、第4電極層を形成する工程。
6)基板表面の光電変換部と基板裏面の接続電極層とを、化学的エッチング加工する工程。
を含み、さらに、前記1)〜5)の工程終了後の基板を、巻き出しロールから巻き出し、この基板の両面にそれぞれ所定のパターンを予め形成した熱剥離フィルムを貼り合わせ、この貼り合わせた基板に前記化学的エッチング加工を施し、続いて水洗浄を行った後、所定温度で加熱して熱剥離フィルムを除去し、このパターニングされた基板を、巻取りロールに巻き取ることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。 - 請求項1または2に記載の薄膜太陽電池の製造方法であって、前記化学的エッチング加工に際し、透明電極層と、光電変換層、ならびに、第1電極層および接続電極層の加工は、それぞれ異なるエッチング液を用いて行なうことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
- 電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造装置において、 前記光電変換部および接続電極層を形成した基板の両面にそれぞれ所定のパターンを予め形成した熱剥離フィルムを貼り合わせるロールラミネータと、複数のエッチング槽と洗浄槽とを有する化学エッチング装置と、熱剥離フィルムを所定温度で加熱して基板から除去する加熱除去装置と、基板のロール搬送装置とを備えることを特徴とする薄膜太陽電池の製造装置。
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