JP4403654B2 - 薄膜太陽電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜太陽電池、特にその金属電極層の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから注目を集めている。
【0003】
同一基板上に形成された複数の太陽電池素子が、直列接続されてなる太陽電池(光電変換装置)の代表例は、薄膜太陽電池である。
【0004】
薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられ、電力供給用以外に、建物の屋根や窓などにとりつけて利用される業務用,一般住宅用にも需要が広がってきている。
【0005】
従来の薄膜太陽電池はガラス基板を用いているものが一般的であった。近年、軽量化、施工性、量産性においてプラスチックフィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発が進められ実用化されている。さらに、フレキシブルな金属材料に絶縁被覆したフィルム基板を用いたものも開発されている。このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式やステッピングロール方式の製造方法により大量生産が可能となった。
【0006】
上記の薄膜太陽電池は、電気絶縁性フィルム基板上に第1電極(以下、下電極ともいう)、薄膜半導体層からなる光電変換層および第2電極(以下、透明電極ともいう)が積層されてなる光電変換素子(またはセル)が複数形成されている。ある光電変換素子の第1電極と隣接する光電変換素子の第2電極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初の光電変換素子の第1電極と最後の光電変換素子の第2電極とに必要な電圧を出力させることができる。例えば、インバータにより交流化し商用電力源として交流100Vを得るためには、薄膜太陽電池の出力電圧は100V以上が望ましく、実際には数10個以上の素子が直列接続される。
【0007】
このような光電変換素子とその直列接続は、電極層と光電変換層の成膜と各層のパターニングおよびそれらの組み合わせ手順により形成される。上記太陽電池の構成および製造方法の一例として、本願出願人により、いわゆるSCAF(Series Connection through Apertures on Film )型の薄膜太陽電池が提案されており、例えば特開平10−233517号公報や特願平11−19306号に記載されている。
【0008】
図5は、上記特開平10−233517号公報に記載された薄膜太陽電池の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)における線ABCDおよびBQCに沿っての断面図であり、(c)は(a)におけるEE断面図を示す。
【0009】
電気絶縁性でフレキシブルな樹脂からなる長尺のフィルム基板上に、順次、第1電極層、光電変換層、第2電極層が積層され、フィルム基板の反対側(裏面)には第3電極層、第4電極層が積層され、裏面電極が形成されている。光電変換層は例えばアモルファスシリコンのpin接合である。フィルム基板用材料としては、ポリイミドのフィルム、例えば厚さ50μmのフィルムが用いられている。
【0010】
フィルムの材質としては、他に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはアラミド系のフィルムなどを用いることができる。
【0011】
次に、製造工程の概要につき以下に説明する。
【0012】
先ず、フィルム基板にパンチを用いて、接続孔h1を開け、基板の片側(表側とする)に第1電極層として、スパッタにより銀を、例えば100nmの厚さに成膜し、これと反対の面(裏側とする)には、第3電極層として、同じく銀電極を成膜する。接続孔h1の内壁で第1電極層と第3電極層とは重なり、導通する。
【0013】
電極層としては、銀(Ag)以外に、Al,Cu,Ti等の金属をスパッタまたは電子ビーム蒸着等により成膜しても良く、金属酸化膜と金属の多層膜を電極層としても良い。成膜後、表側では、第1電極層を所定の形状にレーザ加工して、下電極l1〜l6をパターニングする。下電極l1〜l6の隣接部は一本の分離線g2を、二列の直列接続の光電変換素子間および周縁導電部fとの分離のためには二本の分離線g2を形成し、下電極l1〜l6は分離線により囲まれるようにする。再度パンチを用いて、集電孔h2を開けた後、表側に、光電変換層pとしてa-Si層をプラズマCVDにより成膜する。マスクを用いて幅W2の成膜とし、レーザ加工により二列素子の間だけに第1電極層と同じ分離線を形成する。なお、前記幅W2は、接続孔h1にまたがってもよい。
【0014】
さらに第2電極層として表側に透明電極層(ITO層)を成膜する。但し、二つの素子列の間とこれに平行な基板の両側端部にはマスクを掛け接続孔h1には成膜しないようにし、素子部のみに成膜する。透明電極層としては、ITO(インシ゛ウムスス゛オキサイト゛)以外に、SnO2、ZnOなどの酸化物導電層を用いることができる。
【0015】
次いで裏面全面に第4電極層として金属膜などの低抵抗導電膜からなる層を成膜する。第4電極の成膜により、集電孔h2の内壁で第2電極と第4電極とが重なり、導通する。表側では、レーザ加工により下電極と同じパターンの分離線を入れ、個別の第2電極u1〜u6を形成し、裏側では第3電極と第4電極とを同時にレーザ加工し、接続電極e12〜e56、および電力取り出し電極o1,o2を個別化し、基板の周縁部では表側の分離線g3と重なるように分離線g2を形成し、隣接電極間には一本の分離線を形成する。
【0016】
全ての薄膜太陽電池素子を一括して囲う周縁、および二列の直列接続太陽電池素子の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g3がある。分離線g3の中にはどの層も無い。裏側では、全ての電極を一括して囲う周縁、および二列の直列接続電極の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g2がある。分離線g2の中にはどの層も無い。
【0017】
こうして、電力取り出し電極o1−集電孔h2−上電極u1、光電変換層、下電極l1−接続孔h1−接続電極e12−上電極u2、光電変換層、下電極l2−接続電極e23−・・・−上電極u6、光電変換層、下電極l6−接続孔h1−電力取出し電極o2の順の光電変換素子の直列接続が完成する。
【0018】
なお、第3電極層と第4電極層は電気的には同一の電位であるので、以下の説明においては説明の便宜上、併せて一層の接続電極層として扱うこともある。
【0019】
図6は、構造の理解の容易化のために、薄膜太陽電池の構成を簡略化して斜視図で示したものである。図6において、基板61の表面に形成した単位光電変換素子62および基板61の裏面に形成した接続電極層63は、それぞれ複数の単位ユニットに完全に分離され、それぞれの分離位置をずらして形成されている。このため、素子62のアモルファス半導体部分である光電変換層65で発生した電流は、まず透明電極層66に集められ、次に該透明電極層領域に形成された集電孔67(h2)を介して背面の接続電極層63に通じ、さらに該接続電極層領域で素子の透明電極層領域の外側に形成された直列接続用の接続孔68(h1)を介して上記素子と隣り合う素子の透明電極層領域の外側に延びている下電極層64に達し、両素子の直列接続が行われている。
【0020】
上記薄膜太陽電池の簡略化した製造工程を図7(a)から(g)に示す。プラスチックフィルム71を基板として(工程(a))、これに接続孔78を形成し(工程(b))、基板の両面に第1電極層(下電極)74および第3電極層(接続電極の一部)73を形成(工程(c))した後、接続孔78と所定の距離離れた位置に集電孔77を形成する(工程(d))。工程(c)と工程(d)との間に、第1電極層(下電極)74を所定の形状にレーザ加工して、下電極をパターニングする工程があるが、ここではこの工程の図を省略している。
【0021】
次に、第1電極層74の上に、光電変換層となる半導体層75および第2電極層である透明電極層76を順次形成するとともに(工程(e)および工程(f))、第3電極層73の上に第4電極層(接続電極層)79を形成する(工程(g))。この後、レーザビームを用いて、基板71の両側の薄膜を分離加工して図6に示すような直列接続構造を形成する。
【0022】
なお、図7においては、集電孔h2内における透明電極層76と第4電極層79との接続をそれぞれの層を重ねて2層で図示しているが、前記図2においては、電気的に一層として扱い、1層で図示している。
【0023】
ところで、前記第1電極層は前述のように、銀(Ag)以外に、Al,Cu,Ti等の金属を用いたり、さらに透明導電性金属酸化膜と金属の多層膜を用いる場合がある。この多層膜を用いる理由は、例えば、銀(Ag)の第1電極層上に、直接、光電変換層を形成する場合に比べて、透明導電性金属酸化膜層を介して光電変換層を形成した方が、第1電極層と光電変換層の相互拡散による反射率の低下が少なく、反射率が向上して、太陽電池の特性が向上することによる。
【0024】
上記透明導電性金属酸化膜と金属の多層膜を用いた太陽電池の一例として、例えば、特開2000−58892号公報に記載された太陽電池の例を、図8に示す。図8に示す太陽電池は、基板の片面に薄膜太陽電池が形成された例であって、光閉じ込め効果による光電変換特性の改善を図るために、乱反射を生じ得る表面凹凸構造を有する前面透明電極や裏面電極を用いる場合の例を示す。
【0025】
図8において、1はガラス等の基板、2は透明導電性酸化膜、3は櫛型金属電極、4は照射光、10は裏面電極、11は結晶質シリコン系光電変換ユニット、101はTi等の金属膜、102はAg等の金属膜、103はZnO等の透明導電性酸化膜、111は1導電型層、112は結晶質シリコン系光電変換層、113は逆導電型層を示す。
【0026】
図8の薄膜太陽電池においては、基板1上に配置される裏面電極10として、光反射性金属膜102と透明導電性酸化膜103を含む複合層が用いられる。光反射性金属膜102は、Ag、Au、Al、CuおよびPtから選択された1つまたはそれを含む合金によって、真空蒸着またはスパッタ等の方法によって形成される。たとえば、ガラス基板1上に光反射性の高いAg層102を200〜300℃の基板温度の下に真空蒸着法によって形成する。また、ガラス基板1とAg層102との間に20〜50nmの範囲内の厚さを有するTi層101を挿入することにより、ガラス基板1とAg層102との間の付着性を向上させる。なお、このようなTi層101も、蒸着またはスパッタによって形成する。透明導電性酸化膜103としては酸化亜鉛を用いる。
【0027】
なお、前記図5〜7のSCAF構造の薄膜太陽電池において、第1電極層以外に、第3電極層にも、上記透明導電性金属酸化膜と金属の多層膜を用いることがある。その理由は、製造プロセスによるもので、下記のとおりの理由による。一つには、前記図7の工程(c)から明らかなように、第1電極層と第3電極層とは、同時に成膜されるので、同じ層構成の方が好都合である。また、別の理由として、第3電極層を含む接続電極層のレーザパターニングの際に、第3電極層がAg層単独の場合には、レーザ光の吸収が不十分となり、パターニングの加工性がよくない場合がある。上記理由により、第3電極層においても、透明導電性金属酸化膜と金属の多層膜が用いられる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開2000−58892号公報に記載されたような薄膜太陽電池、即ち、第1電極層(図8における裏面電極)に、前述のように、透明導電性金属酸化膜と金属電極薄膜の多層膜を用いた薄膜太陽電池においては、下記のような問題があった。
【0029】
前記第1電極層に多層膜を用いた従来の薄膜太陽電池においては、高温高湿度環境下で長期間使用した場合に、金属電極薄膜と透明導電性金属酸化膜との界面(例えば、Ag層と酸化亜鉛層との界面)に剥離を生じ、太陽電池の特性が低下する問題があった。さらに、合金(例えばAlを含有するAg合金)と、透明導電性金属酸化膜との多層膜を用いた場合には、基板とAg合金との界面に剥離が生じ、長期使用により、同様に特性が低下する問題があった。
【0030】
前記問題は、前記SCAF構造の薄膜太陽電池における第1電極層および第3電極層においても、同様に存在する問題である。
【0031】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、この発明の課題は、第1電極層や第3電極層における各薄膜層の付着力を向上して、長期使用により剥離が生ずることがなく、信頼性を向上した薄膜太陽電池を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、請求項1の発明によれば、絶縁性プラスチックフィルムからなる電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる薄膜太陽電池において、前記第1電極層は、前記基板側に設けたAg薄膜層と、反基板側に設けた透明導電性金属酸化膜層とを有してなり、かつ、前記Ag薄膜層と透明導電性金属酸化膜層との間に、Agに他の金属を含有するAg合金層を設けてなり、前記Ag合金層に含有する他の金属は、Al,Cr,Tiの内の少なくとも一つとする。
【0033】
前記請求項1の発明は、基板の片面に薄膜を形成するタイプの太陽電池に関する発明であるが、SCAF構造の薄膜太陽電池においても同様の構成を適用した請求項2の発明が好ましい。即ち、絶縁性プラスチックフィルムからなる電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池において、
前記第1電極層および第3電極層は、前記基板側に設けたAg薄膜層と、反基板側に設けた透明導電性金属酸化膜層とを有してなり、かつ、前記Ag薄膜層と透明導電性金属酸化膜層との間に、Agに他の金属を含有するAg合金層を設けてなり、前記Ag合金層に含有する他の金属は、Al,Cr,Tiの内の少なくとも一つとする。
【0034】
前記請求項1の発明または請求項2の発明によれば、後述する試験結果から明らかなように、第1電極層や第3電極層における各薄膜層の付着力が向上し、かつ長期使用により剥離が生ずることがなくなる。その理由は、かならずしも明確ではないが、ひとつには、下記が考えられる。
【0035】
Ag合金層はAg単独に比べて酸化され易く、酸化されたAg合金層と金属酸化膜層との結合力の方が、Ag単独層と金属酸化膜層との結合力より優るので、Ag薄膜層と透明導電性金属酸化膜層との間にAg合金層を挿入することにより、付着力が向上すると考えられる。さらに、熱膨張係数の観点から、Ag合金層が緩和効果を発揮するものと推測される。
【0036】
前記請求項1の発明または請求項2の発明の実施態様として、下記請求項3の発明が好適である
【0037】
即ち、請求項1または2記載の薄膜太陽電池において、前記透明導電性金属酸化膜層の金属酸化物は、ZnO,ITO,SnO2 の内のいずれかとする(請求項の発明)。
【0038】
さらに、下記請求項の発明によっても、前記発明と同様の作用効果が得られる。即ち、請求項1ないしのいずれかに記載の薄膜太陽電池において、前記基板側に設けたAg薄膜層およびAgに他の金属を含有するAg合金層の2層構成に代えて、Agに対する他の金属の含有量を基板側をゼロとし前記透明導電性金属酸化膜層に向けて漸増してなる1層構成とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下に述べる。
【0040】
図1は、前記SCAF構造の薄膜太陽電池における第1電極層および第3電極層を模式的に示した部分拡大断面図である。薄膜太陽電池の概略製造プロセスは、前記図7に示す工程と同様である。また、図2は、第1電極層および第3電極層を形成するスパッタリング装置の概略構成を示す。以下に、図1および図2ならびに図7により、この発明の実施例を説明する。
【0041】
基板71としては、本実施例では、膜厚50μmのポリイミドフィルムを用いた。基板材料としては、上記以外にPEN,PES,PETまたはアラミドなどの絶縁性プラスチックフィルムを用いることができる。また、基板の膜厚は、前記厚さに限定されるものではない。
【0042】
先ず、所定の位置に複数個の接続孔78(h1)の列を形成した(図7(b)参照)。その後、図2に示すようなロールツーロールスパツタリング装置で第1電極層74、およびそれと反対側の面に第3電極層73を形成する(図7(c)参照)。
【0043】
図2に示すスパッタリング装置は、直流高周波スパッタリング装置の一例で、反応室14の中に、複数のターゲット付陰極8とヒータ9とを備え、その間を絶縁性基板5が、巻き出しロール12から、巻取りロール13に向けて搬送される。なお、部番6は巻き出し室を、7は巻取り室を、15は搬送用のロールを示す。
【0044】
ターゲットとしては、絶縁性基板5が送り出される側から順に、Agターゲット、Agを主成分とする合金ターゲット、透明導電性金属酸化物ターゲットが配設され、前記各ターゲットは、本実施例においては、各2個ずつ設けた。本実施例において、Agを主成分とする合金ターゲットには、Alを0.3wt%含んだターゲットを用い、透明導電性金属酸化物ターゲットには、Alを0.5wt%含んだZnOターゲットを用いた。この装置により、第1電極層74、およびそれと反対側の面に第3電極層73として、それぞれ、トータル厚さ約160nm厚さの薄膜を形成した。
【0045】
上記により、図1の部分拡大断面図に示すように、基板71の両面に、基板側から、Ag薄膜層(L),Ag合金層(M),透明導電性金属酸化膜層(N)を形成した。なお、前記(L),(M),(N)の各膜厚は、それぞれ約50nm,50nm,60nmとし、全体で、約160nmとした。
【0046】
なお、上記Ag薄膜層(L)およびAg合金層(M)の膜は、基板側からAgに対するAlの添加量を、透明導電性金属酸化膜層(N)側に向けて徐々に増加させて、(L),(M)併せて1層の膜としても良い。
【0047】
また、前記合金層材料として、本実施例では、Alを0.3wt%含んだAg合金を用いたが、他にAlの代わりにCr,Tiを用いてもよい。また同時に含んでも良い。さらに、添加量は0.03wt%〜1wt%程度が良く、添加量が少ないとその効果が小さく、多すぎるとAg膜自体の反射率の低下、およびZnO膜への添加元素の拡散などの問題が発生する。さらに本実施例では、透明導電性金属酸化物ターゲットとして、ZnOを用いたが、その他の透明導電性物質でも良く、ITO,SnO2 を用いることもできる。
【0048】
また、第1電極層74,第3電極層73のどちらを先に形成しても良いが、好ましくは第1電極層74が先の方が良い。
【0049】
この後、所定の位置に集電孔77の列を所定数開けた(図7(d)参照)。実施例では集電孔列の間隔を5mmとしたが、この間隔は太陽電池パターンにより任意の値とすることができる。
【0050】
なお、この場合の孔形状は必ずしも円である必要はなく、例えば太陽電池特性を向上させる為には、集電孔77の面積はできるだけ小さく、かつ周辺の長さができる限り長くなる形状が良い。
【0051】
上記工程を経た上で、光電変換層75として薄膜半導体層を形成した。本実施例では通常のグロー放電分解法により堆積される水素化アモルファスシリコン(a‐Si:H)系の材料を用いて、1つ以上のn- i -p接合を形成した(図7(e)参照)。
【0052】
その後、光電変換層75上に第2電極層76として透明電極層を形成した。この層にはITO,ZnOなどの酸化物導電膜を用いることができるが、本実施例ではスパッタによるITO膜を製膜した(図7(f)参照)。
【0053】
この膜形成時には、接続孔78の周辺部をマスクして、始めに形成した接続孔には膜が形成されないようにする。次に透明電極層を形成した面とは反対側の基板面に金属膜などからなる第4電極層を最終的に製膜した。本実施例では材料としてNiを用いたが、Niに限定されるものではない。製膜方法はスパツタである(図7(g)参照)。
【0054】
以上の製膜工程の終了後、レーザーにより、基板両面の積層を所定の形状に切断し、ユニットセルの多段直列接続からなる薄膜太陽電池を形成した。
【0055】
本実施例で製作した薄膜太陽電池について、電極層の付着力に関して、従来の薄膜太陽電池との比較試験を行った。その結果を図3に示す。図3において、従来1と表示した薄膜太陽電池は、図1における透明導電性金属酸化膜層(N)と基板71との間の薄膜を、Agのみで形成した薄膜太陽電池を示す。また、従来2と表示した薄膜太陽電池は、図1における透明導電性金属酸化膜層(N)と基板71との間の薄膜を、Alを0.3wt%含んだAg合金で形成した薄膜太陽電池を示す。上記以外の構成は、本発明の薄膜太陽電池と同一とした。
【0056】
図3は、上記3種類の薄膜太陽電池の各金属電極層の付着力について、引っ張り試験により測定した結果を示すものである。本発明の薄膜太陽電池の場合には、基板71とAg薄膜層(L)との界面で剥離するが、その付着力は、図3に示すように、比較のために作成した従来1および2の薄膜太陽電池よりも高い値を示した。
【0057】
なお、従来1の薄膜太陽電池の場合には、透明導電性金属酸化膜層(N)とAgのみで形成した薄膜との界面で剥離し、従来2の薄膜太陽電池の場合には、基板71とAg合金で形成した薄膜との界面で剥離した。
【0058】
次に、前記3種類の薄膜太陽電池をモジュールの形に組み込んだ状態で85℃,95%RHの高温高湿下に放置し、その特性変化(太陽電池変換効率の変化)を測定した結果を図4に示す。本図より、本発明の薄膜太陽電池は3000Hを超えても特性の変化は少なく、他の薄膜太陽電池と比較すると非常に安定していることがわかる。
【0059】
以上の結果から明らかなように、本発明の薄膜太陽電池は、第1電極層74および第3電極層73を、基板側のAg薄膜層と反基板側の透明導電性金属酸化膜層との間に、Agに他の金属を含有するAg合金層を設けた構成とすることにより、各界面での付着力が大きくなり、そのことにより、高い信頼性を有する薄膜太陽電池を得ることが可能となった。
【0060】
なお、本実施例では、前記SCAF型の薄膜太陽電池について記載したが、これに限定されるものではなく、絶縁性基板の片面上に第1電極層,光電変換層および透明電極層を備えた薄膜太陽電池の第1電極層に適用しても、同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0061】
【発明の効果】
この発明によれば前述のように、絶縁性プラスチックフィルムからなる電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる薄膜太陽電池において、
もしくは、絶縁性プラスチックフィルムからなる電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池において、
前記第1電極層,もしくは第1電極層および第3電極層を、前記基板側に設けたAg薄膜層と、反基板側に設けた透明導電性金属酸化膜層とを有してなり、かつ、前記Ag薄膜層と透明導電性金属酸化膜層との間に、Agに他の金属を含有するAg合金層を設けてなり、前記Ag合金層に含有する他の金属は、Al,Cr,Tiの内の少なくとも一つとすることにより、第1電極層や第3電極層における各薄膜層の付着力が向上し、かつ長期使用により剥離が生ずることがなく、信頼性の高い薄膜太陽電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例に関わる第1電極層および第3電極層の部分拡大断面図
【図2】 この発明の実施例に関わるスパッタリング装置の一例の概略構成図
【図3】 付着力について測定した結果の比較図
【図4】 薄膜太陽電池の変換効率の変化を測定した結果の比較図
【図5】 従来のSCAF型薄膜太陽電池の構成図
【図6】 従来のSCAF型薄膜太陽電池の概略構成を示す斜視図
【図7】 従来のSCAF型薄膜太陽電池の製造工程の概略を示す図
【図8】 従来の異なる薄膜太陽電池の構成図
【符号の説明】
5,61,71:基板、64,74:第1電極層(下電極層)、65,75:光電変換層、66,76:第2電極層(透明電極層)、73:第3電極層、79:第4電極層、68,78:接続孔、67,77:集電孔、L:Ag薄膜層、M:Ag合金層、N:透明導電性金属酸化膜層。

Claims (4)

  1. 絶縁性プラスチックフィルムからなる電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる薄膜太陽電池において、
    前記第1電極層は、前記基板側に設けたAg薄膜層と、反基板側に設けた透明導電性金属酸化膜層とを有してなり、かつ、前記Ag薄膜層と透明導電性金属酸化膜層との間に、Agに他の金属を含有するAg合金層を設けてなり、前記Ag合金層に含有する他の金属は、Al,Cr,Tiの内の少なくとも一つとすることを特徴とする薄膜太陽電池。
  2. 絶縁性プラスチックフィルムからなる電気絶縁性を有する基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記光電変換層形成領域内に形成した接続孔ならびに集電孔を介して、前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分(ユニットセル)を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池において、
    前記第1電極層および第3電極層は、前記基板側に設けたAg薄膜層と、反基板側に設けた透明導電性金属酸化膜層とを有してなり、かつ、前記Ag薄膜層と透明導電性金属酸化膜層との間に、Agに他の金属を含有するAg合金層を設けてなり、前記Ag合金層に含有する他の金属は、Al,Cr,Tiの内の少なくとも一つとすることを特徴とする薄膜太陽電池。
  3. 請求項1または2記載の薄膜太陽電池において、前記透明導電性金属酸化膜層の金属酸化物は、ZnO,ITO,SnO2 の内のいずれかとすることを特徴とする薄膜太陽電池。
  4. 請求項1ないしのいずれかに記載の薄膜太陽電池において、前記基板側に設けたAg薄膜層およびAgに他の金属を含有するAg合金層の2層構成に代えて、Agに対する他の金属の含有量を基板側をゼロとし前記透明導電性金属酸化膜層に向けて漸増してなる1層構成とすることを特徴とする薄膜太陽電池。
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