JP4378992B2 - カーボンナノチューブの製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブの製造装置に関する。カーボンナノチューブは、カーボン原子が網目状に結合してできた極微細な単層または多層の筒(チューブ)状の物質である。カーボンナノチューブを用いた電子放出素子は、フィールドエミッション型フラットパネルディスプレー(FED)や、X線源、電子線リソグラフィー、表示・照明器具、ガス分解装置、殺菌・消毒装置などに応用される。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、シリコンやモリブデンで作られたスピント型エミッターやダイヤモンド薄膜などの従来の電子放出素材に比べて、電流密度、駆動電圧、頑健さ、寿命などの特性において総合的に優れており、FED用電子源として現在最も有望視されている。これは、カーボンナノチューブが大きなアスペクト比(長さと直径の比)と鋭い先端とを持ち、化学的に安定で機械的にも強靱であり、しかも、高温での安定性に優れているなど、電界放出素子の材料として有利な物理化学的性質を備えているからである。
【0003】
従来、FEDパネルスクリーン印刷によりカーボンナノチューブ陰極を形成したが試作されている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
「機能材料」、2001年5月号、Vol.21 No.5、42−43頁。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スクリーン印刷によりカーボンナノチューブ陰極を形成した上記従来のFEDパネルでは、一本一本のカーボンナノチューブの向きがバラバラであるため、電界を掛けた際に一本一本のカーボンナノチューブにかかる電界が不均一となり、結果として電界放出が不均一となり、表示画面が粗くかつ輝度が不十分であるという問題があった。
【0006】
スクリーン印刷法に代えて、シリコンやガラスの基板に触媒金属の薄膜をパターニングしておき、それを種結晶としてCVD法によりブラシ状にカーボンナノチューブを成長させ、これを電子放出素子に適用しようとする試みも行われている。しかし、CVD法により成長したブラシ状カーボンナノチューブは互いに絡まり合いつつ横に曲がりながら成長するため、1本1本のカーボンナノチューブが高さの不揃いなものとなり、そのようなカーボンナノチューブを用いた電子放出素子では、多数のチューブ先端を等しく電気的に利用することができず、電子の均一な放出が不可能である。
【0007】
本発明の目的は、上記のような実状に鑑み、均一な電子放出、低い電圧での駆動および長寿命化を達成することができる、カーボンナノチューブを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるカーボンナノチューブの製造装置は、密閉状の反応容器と、同容器の頂部に配された原料ガス供給管および触媒金属溶液供給管と、同容器の上端寄りに設けられ、かつ化学蒸着法によりカーボンナノチューブを形成する反応ゾーンと、反応ゾーンの下に設けられ、かつ降下するカーボンナノチューブを静電作用により垂直に配向すると共に下方に加速する静電ゾーンと、静電ゾーンの直下に配置され、かつ降下して来るカーボンナノチューブを固着する導電性樹脂層を表面に有する基板と、反応容器の底壁に設けられた排気口とを具備し、該静電ゾーンは、上下一対の多孔板状またはメッシュ状の電極板で構成され、下部電極板の多孔またはメッシュは同電極板を通過するカーボンナノチューブが基板上に所望のパターンを形成するようにパターニングされており、該基板は、その導電性樹脂層を加熱により軟化するための基板ヒーターを備えた基板ホルダ上に設けられているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明をする。
【0012】
図1および図2において、密閉状の反応容器(1) は、ベル状の上半部(2) と、上半部(2) の頂部にある開口(3) を閉じる封止片(4) と、上半部(2) の下に連なる円筒状の下半部(5) と、下半部(5) の下端を閉じる底壁(6) とからなる。上半部(2) はガラス製で下半部(5) はステンレス鋼製である。
【0013】
反応容器(1) の頂部の封止片(4) に原料ガス供給管(7) および触媒金属溶液供給管(8) が配されている。原料ガスは通常はアセチレン(C2H2)ガスであるが、メタンガス、エタンガスのような他の脂肪族炭化水素ガスであってもよい。原料ガスはヘリウムやアルゴン、キセノンのような不活性ガスで希釈された状態で原料ガス供給管(7) を経て反応容器(1) の頂部内に供給される。触媒金属溶液の金属は、鉄、コバルト、ニッケルなどであり、例えば鉄カルボニル錯体(ペンタカルボニル鉄等)のような錯体の形態、金属アルコキシド(Fe(OEt)3等)の形態等をとることができる。溶媒はアセトン等であってよい。触媒金属溶液はそのまま触媒金属溶液供給管(8) を経て反応容器(1) の頂部内に供給してもよいが、ヘリウムやアルゴン、キセノンのような不活性ガスで希釈した状態で反応容器(1) の頂部内に噴霧するのが好ましい。
【0014】
反応容器(1) の上端寄りに反応ゾーン(9) が設けられている。反応ゾーン(9) は、反応容器(1) の上端寄りに外装されたCVDヒーター(10)で囲われたゾーンである。反応ゾーン(9) は大気圧下で同ヒーター(10)で温度好ましくは700〜900℃に昇温され、反応容器(1) 内に供給された原料ガスおよび触媒金属が高温の反応ゾーン(9) に達すると、化学蒸着法(CVD法)により触媒金属の粒子を核として直径数nmのカーボンナノチューブが成長し、下降する。アセチレンの場合、多層構造で直径20〜30nm、長さ10μmのカーボンナノチューブが形成される。
【0015】
反応ゾーン(9) の下に中間ゾーン(13)を置いて静電ゾーン(14)が設けられている。静電ゾーン(14)は、反応容器(1) に水平に配された上下一対の多孔板状またはメッシュ状の電極板(15)(16)の間のゾーンであり、上下の電極板(15)(16)の間に直流高圧が印加される。カーボンナノチューブは静電ゾーン(14)を下降する間に静電作用により垂直に配向されると共に下方に加速される。下部電極板(16)の多孔またはメッシュは、これらを通過するカーボンナノチューブが基板上に所望のパターンを形成するように、パターニングされている。下部電極板(16)の多孔の孔形状またはメッシュの目開き形状は、例えば円形、楕円形、角形等であってよい。下部電極板(16)の多孔またはメッシュのパターンおよびサイズは、面積当たりのカーボンナノチューブの密度(カーボンナノチューブ間の間隔、または画素のドット間隔)が所望値になるように決められる。
【0016】
静電ゾーン(14)の直下、すなわち下部電極板(16)の直下に基板(11)が配置されている。反応容器(1) の底壁(6) 上に基台(17)が設置され、その上に基板ホルダ(12)が設置され、基板(11)は同ホルダ(12)の上に設けられている。基板(11)はカーボンナノチューブを固定するものであればよく、シリコン基板やガラス基板であってよい。基板(11)は、静電ゾーン(14)から降下して来るカーボンナノチューブを固着する導電性樹脂層(21)を表面に有する。基板ホルダ(12)には、基板(11)の導電性樹脂層(21)がペースト状に軟化するようにこれを加熱する基板ヒーター(18)が設けられている。カーボンナノチューブは静電ゾーン(14)通過中に垂直に配向されると共に下方に加速されるので、基板(11)の導電性樹脂層(21)の表面に対し垂直に埋め込まれる。こうして、基板(11)に対して垂直に起立したブラシ状のカーボンナノチューブが得られる。
【0017】
反応容器(1) の底壁(6) には排気口(20)が設けられており、ここから未反応の原料ガスや希釈ガス、金属粒子、溶媒が排出される。
【0018】
前記カーボンナノチューブの構造は単層すなわち単一のチューブであってもよいし、多層すなわち同心状の複数の異径チューブであってもよい。カーボンナノチューブの直径は好ましくは1〜100nmである。
【0019】
本発明の製造装置により作製したカーボンナノチューブをFEDの電極に適用して、電子放出特性を調べたところ、これは下記のように電極として良好な特性を示した。すなわち、パターンが、カーボンナノチューブの束径=10μm、カーボンナノチューブの束ピッチ=60μm、カーボンナノチューブの高さ=10μmであるカーボンナノチューブを、図3に示すFEDにおけるカーボンナノチューブ・エミッターに適用し、その電子放出特性を調べた結果、10mA/cm2 を放出するのに要する印加電圧は200Vという低い値であった。なお、図3中、(31)はアノード電極、(32)はカソード板、(33)は絶縁物スペーサ、(34)はカーボンナノチューブ・エミッター、(35)はガラス板、(36)はアノード電極、(37)は蛍光材料、(38)は基板である。
【0020】
【発明の効果】
本発明によると、カーボンナノチューブの成長高さを均一に揃えることができ、その結果、構築したFEDにおいて均一な電子放出、低い電圧での駆動および長寿命化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す電子放出素子の製造装置の垂直断面図である。
【図2】 下部電極板を示す斜視図である。
【図3】 FEDを示す概略図である。
【符号の説明】
(1) :反応容器
(6) :底壁
(7) :原料ガス供給管
(8) :触媒金属溶液供給管
(9) :反応ゾーン
(10):CVDヒーター
(11):基板
(12):基板ホルダ
(14):静電ゾーン
(15)(16):上下電極板
(18):基板ヒーター
(20):排気口
(21):導電性樹脂層
Claims (1)
- 密閉状の反応容器と、同容器の頂部に配された原料ガス供給管および触媒金属溶液供給管と、同容器の上端寄りに設けられ、かつ化学蒸着法によりカーボンナノチューブを形成する反応ゾーンと、反応ゾーンの下に設けられ、かつ降下するカーボンナノチューブを静電作用により垂直に配向すると共に下方に加速する静電ゾーンと、静電ゾーンの直下に配置され、かつ降下して来るカーボンナノチューブを固着する導電性樹脂層を表面に有する基板と、反応容器の底壁に設けられた排気口とを具備し、
該静電ゾーンは、上下一対の多孔板状またはメッシュ状の電極板で構成され、下部電極板の多孔またはメッシュは同電極板を通過するカーボンナノチューブが基板上に所望のパターンを形成するようにパターニングされており、該基板は、その導電性樹脂層を加熱により軟化するための基板ヒーターを備えた基板ホルダ上に設けられている、カーボンナノチューブの製造装置。
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