JP4378145B2 - 帯電ローラーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、帯電ローラーの製造方法に関する。
従来の、直流のみを印加したDC帯電方式としては、ヒドリンゴムを使用したローラーの提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
また、ディップ塗装法により厚さが均一な樹脂被覆層を形成する画像形成装置用ローラーの製造方法として、塗工キャップの提案をしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
DC帯電方式は、AC帯電方式に比較して一般的にコストが低いが問題点もある。つまり、AC+DC帯電のようにAC電流の均し効果が無いため、帯電の均一性が、AC+DC帯電方式に比較して劣る。また、やはり均し効果が無いということで、帯電ローラー表面に付着した汚れや、帯電ローラー自身の電気抵抗の不均一性が画像に出易いという問題もある。
また、印刷メディアの厚さ等の理由により、電子写真装置を異なる2つ以上のプロセススピードで駆動して画像を出力するような場合には、DC帯電方式は、AC帯電方式に比較して良好な帯電特性を発揮するプロセススピードの範囲が狭いという問題点もある。
この問題を解決するには、帯電ローラー表面を薄く均一にコートし、適度に粗面化すると効果的である。しかし、帯電ローラー表面を薄く均一にコートしてかつ適度に粗面化すると、帯電ローラー表面の塗膜の均一性を更に良好にしなければ電子写真装置へ使用した場合に実用に耐えないという問題もある。
図28(a)や(b)に示すような従来から使用されている単純な円筒形で、かつ、ローラーと接触する部分がローラーの端面と密着してしまうような形状のキャップを使用すると、DC帯電方式に耐えられるほどには、帯電ローラー表面を薄く均一にコートすることが非常に難しい。
特開平5−341627号公報 特開2002−82523号公報
本発明の目的は、このような課題に対処してなされたもので、DC帯電法によって、例えば600dpiの中間調画像の様な高精細画像を出力した場合においても、均一な帯電が行える帯電ローラーの製造方法を提供することである。
本発明に従って、芯金と、該芯金上に形成された弾性体基層と、該弾性体基層の上に形成された表層とを有する帯電ローラーの製造方法あって
(1)芯金の端部を除く該芯金上に弾性体基層形成する工程と、
(2)該工程(1)で得た、弾性体基層を形成した芯金を表層塗料に浸漬させて該表層塗料を塗工する工程とを有し
工程(2)は、該工程(1)で得た弾性体基層を形成した芯金の端部に塗工キャップを装着して該芯金の端部と該弾性体基層の端面とを該塗工キャップで覆い、次いで該芯金を該塗工キャップを装着した側を下に向けて該表層塗料に突入させる工程を含み、
該塗工キャップは、該芯金の端部に装着したときに、該弾性体基層の端面とエッジで接し、かつ、該弾性体基層と該芯金との境目には該キャップが接しないような空間ができるように構成されており、さらに
該塗工キャップは、該弾性体基層と接する側とは反対側において、その直径が小さくなるような流線型形状を有していることを特徴とする帯電ローラーの製造方法が提供される。
本発明により、DC帯電法によって、例えば600dpiの中間調画像の様な高精細画像を出力した場合においても、良好な帯電特性により、均一な帯電が行える導電性ローラーの塗工キャップを提供することができる。
また、本発明にかかる導電性ローラーを使用することにより、DC帯電法によって高精細画像を出力した場合においても、良好な帯電特性により、均一な帯電が行えるプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが可能となった。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明者らは、DC帯電用帯電部材の構成として、導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられた、導電性弾性体基層と、該導電性弾性体基層上に設けられた表層とを有するローラーを、芯金上に基層が形成された塗工基体の端部へ塗工キャップを装着して表層を浸漬塗工する場合に、該弾性体基層と芯金と塗工キャップの3者が空間的に1点以上で3者同時に接触することのない形状とすることにより、DC帯電を行っても良好な画像を提供する、表層の膜厚が均一な帯電ローラーを提供することができるということを発見し本発明に至った。
次に、本発明の導電性ローラー、それを用いた画像形成装置、帯電方法及びプロセスカートリッジを説明する。
<1>導電性ローラー
本発明の導電性ローラーは、導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられた導電性弾性体基層と、該導電性弾性体基層上に設けられた表層とを有する。
本発明の導電性ローラーの具体的な構成を図32に示す。図32(a)は導電性ローラーの横断面を示し、図32(b)は縦断面を示したものである。
本発明の導電性ローラーは、導電性支持体1とその外周に形成された導電性弾性体基層2と、該導電性弾性体基層2の外周を被覆する表層3とを有する導電性ローラーである。
図32に示す本発明で使用する導電性支持体1は、炭素鋼合金表面に5μmの厚さのニッケルメッキを施した円柱である。導電性支持体を構成する材料として他にも、例えば鉄、アルミニウム、チタン、銅及びニッケル等の金属やこれらの金属を含むステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金、更にカーボンブラックや炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等の、剛直で導電性を示す公知の材料を使用することもできる。また、形状としては円柱形状の他に、中心部分を空洞とした円筒形状とすることもできる。
本発明では、まず上記導電性支持体1の外周に導電性弾性体基層2を成形する。導電性弾性体基層2は導電性弾性体からなっている。導電性弾性体は、導電剤と高分子弾性体とを混合して成形される。導電剤は少なくともイオン導電剤が含有されている。高分子弾性体としては特にエピクロルヒドリンゴムが好適に用いられる。エピクロルヒドリンゴムは、ゴム自体に若干の導電性があり、導電剤の添加量が少なくても良好な導電性を発揮することができ、また、環境や位置による電気抵抗のバラツキも小さくすることができるので、高分子弾性体として好適に用いられる。
エピクロルヒドリンゴムは、エピクロルヒドリンを中心とする環状のエーテルの開環重合体であり、ゴムを構成する主な単量体には、エピクロルヒドリン、エチレンオキシド及びアクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
重合体であるエピクロルヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体及びエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体等が挙げられる。この中でも安定した中抵抗領域の導電性を示すことから、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体が特に好適に用いられる。エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体は、重合度や組成比を任意に調整することで導電性や加工性を制御できる。
高分子弾性体はエピクロルヒドリンゴムを主成分とするが、必要に応じてその他の一般的なゴムを含有されてもよい。その他の一般的なゴムとしては、例えばEPM(エチレン・プロピレンゴム)、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)、ノルボーネンゴム、NBR(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、ウレタンゴム、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン−ブロックコポリマー)、SEBS(スチレン・エチレンブチレン・スチレン−ブロックコポリマー)等のスチレン系ブロックコポリマー及びシリコーンゴム等が挙げられる。上記の一般的なゴムを含有する場合、その含有量は、高分子弾性体全量に対し1〜50質量%であるのが好ましい。
導電剤としては、導電性弾性体基層の電気抵抗率のムラを小さくするという目的により、イオン導電剤を含有することが好ましい。イオン導電剤が高分子弾性体の中に均一に分散し、導電性弾性体の電子抵抗率を均一化することにより、帯電ローラーを直流電圧のみの電圧印加で使用した時でも均一な帯電を得ることができる。
イオン導電剤としては、例えば、LiClOやNaClO等の過塩素酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。イオン導電剤の中でも、環境変化に対して抵抗が安定なことから特に過塩素酸4級アンモニウム塩が好適に用いられる。
イオン導電剤に加えて、導電性弾性体の電気抵抗にムラを生じさせない範囲で、電子導電性の導電剤を添加することができる。電子導電性の導電剤は、電子導電性の導電剤の担う導電性が、イオン導電剤の担う導電性よりも小さい範囲で使用することができる。すなわち、電子導電性の導電剤は、高分子弾性体にイオン導電剤のみを添加した場合の体積抵抗率に対して、電子導電性の導電剤を加えて添加した場合の体積抵抗率が1/2以上であるような配合割合で使用することができる。電子導電性の導電剤としては、例えば、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀等の金属系の粉体や繊維、カーボンブラック、金属粉や酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属化合物粉、又は適当な粒子の表面を酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化モリブデン、亜鉛、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、コバルト、鉄、鉛、白金、ロジウムを電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより付着させた粉体、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボン等のカーボン粉がある。これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明において、これらの導電剤の配合量は導電性弾性体の体積抵抗率が、低温低湿環境(L/L:15℃/10%RH)、常温常湿環境(N/N:23℃/55%RH)、高温高湿環境(H/H:30℃/80%RH)で、中抵抗領域(体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・cm)になるような量が好ましい。
導電性弾性体の体積抵抗は、厚さ1mmのシートに成型した後、両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し、微小電流計(ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER (株)アドバンテスト社製)を用いて200Vの電圧を印加して30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。
導電性弾性体の体積抵抗率がこれよりも小さいと、像担持体である感光体にピンホールがあった場合に大電流がピンホールに一気に集中してしまい、穴をより大きくしてしまったり、穴以外の場所に電流が流れなくなって高精細なハーフトーン画像上に黒い帯となって帯電電位が不足した部分が現れてしまったりといった不具合が発生する恐れがある。逆に体積抵抗率が大き過ぎると、導電性弾性層中で印加電圧が降下してしまい、必要な放電電流が得られずに感光体を所望する電位に均一に帯電させることができなくなることがある。
この他にも導電性弾性体には必要に応じて、可塑剤、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、分散剤及び離型剤等の配合剤を加えることも好ましい。
導電性弾性体の成形方法としては、上記の導電性弾性体の原料を混合して、例えば、押し出し成形や射出成形、圧縮成形等の公知の方法が挙げられる。また、導電性弾性体基層は、導電性支持体の上に直接導電性弾性体を成形して作製してもよいし、チューブ形状に成形した導電性弾性体を導電性支持体に被覆させてもよい。なお、導電性弾性体基層の作製後に表面を研磨して形状を整えてもよい。
導電性弾性体基層の形状は、出来上がった帯電ローラーと感光体との当接ニップ幅がローラーの長手方向の分布でできるだけ均一になるよう、導電性弾性体基層ローラーの中央部の直径が端部の直径よりも大きいクラウン形状となっていることが好ましい。また、出来上がったローラーの当接ニップ幅が均一となるために、導電性弾性体基層ローラーの振れが小さい方が好ましい。
振れの測定値は、図33のように、導電性基体を回転軸として導電性弾性体基層ローラーを回転させ、回転軸と垂直に非接触レーザー測長器(本発明においては、(株)キーエンス製 LS−5000)で測定した導電性弾性体基層の半径の最大値と最小値の差を値として求める。導電性弾性体基層の軸方向に1cmピッチで前記半径の最大値と最小値の差を求め、その値の中で最大の値を導電性弾性体基層ローラーの振れの値とする。
また、ローラーの直径とは、同様に導電性基体を回転軸として導電性弾性体基層ローラーを回転させ、回転軸と垂直に非接触レーザー測長器で測定した導電性弾性体基層の直径の最大値と最小値の平均とする。
導電性弾性体基層ローラーの軸方向中央部の直径と、弾性体の両端部から10mm中央側の部分の直径の値2つの平均との差を、クラウン量の値として求める。
導電性弾性体基層ローラーの振れの好ましい値は、ローラー中央部の直径の0.5%以下、より好ましくは0.25%以下である。本発明のローラーの直径は12mm程度が好ましいので、振れの値は具体的には60μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下とする。
クラウン量の値はでき上がったローラーのニップ幅が均一になるように決めるが、好ましくはローラー直径の0.1〜5.0%、具体的には12μm〜600μmが好ましい。
導電性弾性体のマイクロゴム硬度は、70°以下が好ましく、より好ましくは60°以下である。マイクロゴム硬度が70°を超えると、導電性ローラーと感光体との間のニップ幅が小さくなり、導電性ローラーと感光体との間の当接力が狭い面積に集中し、当接圧力が大きくなる。これによって帯電が安定しなくなったり、あるいは感光体や導電性ローラーの表面に現像剤その他が付着し易くなったりする等の弊害が顕著になる。
なお、「マイクロゴム硬度」とは、JIS-A硬度準拠したマイクロゴム硬度計(高分子計器株式会社製)を用いて測定した導電性ローラーの硬度であり、常温常湿(23℃/55%RH)の環境中に12時間以上放置した導電性ローラーに対して該硬度計を5Nの力で当接させてから10秒後に測定した値とする。
マイクロゴム硬度を小さくするため、導電性弾性体に可塑剤を配合する。配合量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。可塑剤としては、例えばセバシン酸とプロピレングリコールの共重合体のような、エステル系の高分子可塑剤を用いることができる。このようなエステル系の可塑剤はエピクロルヒドリンゴムとの極性が近く、比較的大量に配合することが可能であり、基層の硬度を小さく制御できるメリットがある。高分子可塑剤の分子量は、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。分子量が2000より小さいと可塑剤がローラーの表面に染み出してきて感光体を汚染する可能性がある。
導電性弾性体基層は、必要に応じて導電性支持体と接着剤を介して接着される。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性とするため、接着剤には公知の導電剤を有することができる。
接着剤のバインダーとしては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられ、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系及びエポキシ系等の公知の接着剤を用いることができる。
導電剤としては、例えば、LiClOやNaClO等の過塩素酸塩、4級アンモニウム塩等のイオン導電剤、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀等の金属系の粉体や繊維、カーボンブラック、金属粉や酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属化合物粉、又は適当な粒子の表面を酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化モリブデン、亜鉛、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、コバルト、鉄、鉛、白金、ロジウムを電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより付着させた粉体、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボン等のカーボン粉がある。これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
導電性弾性体基層が完成した後に、その被覆層として表層を設ける。本発明での表層とは、導電性弾性体基層の上に層として設ける場合はもちろんのこと、塗工液が明確な層をなさずに基層の内部に含浸するタイプの表面処理的な塗工層を設ける場合も含む。
表層を設ける時に使用する塗工キャップは、該弾性体基層と芯金と塗工キャップの3者が空間的に1点以上で3者同時に接触することのないキャップ形状であることを特徴とする。
従来から用いられている図28(a)又は(b)の様に、ローラー側の端部が垂直な円筒断面であるキャップを使用して粘度の小さい塗液を塗工して表層を設けようとした場合、ローラーの端部をうまく塗工することが非常に困難になる。
図30は従来の塗工キャップを使用して粘度の小さい塗液を塗工して表層を設けようとした場合の端部の状態を表す図である。まず塗工前にキャップを装着した状態が(a)の状態である。従来型のキャップではこのAの状態にキャップを装着するためにはキャップ内壁と芯金とで囲まれる部分に圧縮された空気が残留し、キャップを外す方向に膨張する力が加わり、基層とキャップとを短時間で密着させることが困難となる。次に、時間をかけて空気を抜いてキャップを完全にはめ、ローラーを浸漬塗工して引き上げた直後の様子を図の(b)に示す。この(b)の状態から塗膜が生乾きのままキャップを引き抜くと、(c)の様に塗液がキャップに引っ張られてローラーの芯金まで塗工してしまう。あるいは塗膜を完全に乾燥させてからキャップを引き抜くと、(d)や(e)の状態の様に、端部の塗膜がいびつな形でちぎれて、塗膜が形成されないローラー周面ができたり、あるいは、塗膜がささくれ立って、ローラーと感光体のスムーズな回転を阻害する要因になったりする。
このような弊害は、粘度が大きく、形成する表層の膜厚が大きいローラーを塗工する場合には、あまり顕著には発生しない。しかし、DC帯電ローラーに使用するような、薄膜でかつ均一な表層を必要とする帯電ローラーの様に精密な塗工を必要とする場合には、このような弊害が顕著になり、塗工を非常に困難なものとする。
これに対して、本発明の塗工キャップは、例えば図29の様な、帯電ローラー側の端部が、基層と全面では接触しないような形状でかつ塗液がキャップ内へ浸入することを防止できるような形状となっている。
このような形状のキャップを使用して塗工することにより、図31の様に、塗液が生乾きの時点でキャップを外してもローラー端部の塗膜が乱れることなく、薄層かつ膜厚が均一な表層を設けることができる。
これらのキャップの材質は、弾性を有し、塗液に侵されないものであれば何でもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリフロロアルコキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等のプラスチックス、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
特に好ましくは、塗液に侵されない性質に加えて、撥水、撥油性の大きい性質を有することが望ましい。それは1回使用したキャップを再び使用するために洗浄する場合に濯いで乾燥するのが容易なためである。これら特に好ましい材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテトラフルオロエチレンやポリフロロアルコキシ樹脂等のフッ素樹脂が挙げられる。
本発明の塗工キャップの好ましい形状の例を図1に示す。ローラーの基層端面とはエッジで接し、基層の端面と芯金との境目にはキャップが接触しないように、キャップを装着した時に円周状の空間ができるようになっている。
また、キャップが芯金から外れないように、キャップの内面は芯金外径よりも若干大きめの内径の円周の所々にごく低い高さの凸の部分が有り、キャップ材質の可撓性により芯金を適度な強さで締め付けており、意図しない場面でキャップが抜け落ちることを防止している。
キャップが浸漬塗工時に液面に突入する側は回転対称の流線型形状をしており、浸漬する時に塗液の中に泡を巻き込むことを防止する形状となっている。
キャップ基層側のエッジは、図2や図3の様に、塗液で芯金を汚さない範囲で、様々な角度を取ることができる。
あるいは、キャップの基層側の端部は、全てエッジではなく、図4の様に一部分が同心円状の平面で、芯金に近い部分のみエッジにしてもよいし、図5や図6の様に段差をつけてもよい。更に、図7の様にエッジを途中で平面とした形状としてもよいし、図8や図9の様に断面形状が曲率を有している形状でもよい。また図10の様に途中に同心円状の溝や山をもっていてもよい。
キャップ内面の形状としては、図1の様に凸部分の形状が曲面でもよいし、図11や図12の様に四角形状や三角形状でもよい。
キャップの材質の可撓性が大きい場合には、図12の様に、芯金よりもわずかに小さい内径のキャップに空気抜きの溝を形成した形状としてもよい。溝が無くてもキャップ装着時に時間をかけて装着すれば装着できるが、作業効率的には、空気抜きの溝を作った形状のほうがよい。
空気抜きの溝は、図13の様に多数本形成してもよいし、図14の様に1本のみでもよい。溝の形状も図13の様な四角形状でもいいし、図15の様な半円形状、図16の様な三角形状でもよい。あるいはキャップの内面は、図17や図18、あるいは図19や図20の様に多角形もしくは曲面としてキャップ材質の可撓性で芯金に固定されるようにしてもよい。
キャップが浸漬塗工時に液面に突入する側の形状も、塗液に泡を巻き込まない形状であれば図21、図22、図23、図24の様に任意の形状とすることができる。図24の様に、キャップの途中に段差をつけるとキャップを外す時に引っかかりができて外し易い。
塗工キャップは、あるいは、図25の様に貫通した軸穴を持っていてもよい。この場合、キャップの下側の面から塗液の圧力が加わり、基層とエッジの間から空気が押し出されてキャップ内部が塗液に浸漬されることを防止するため、内面の途中にOリングを挿入して空気の漏れを防止してもよい。あるいは充分な弾性を有する材料でできたキャップの場合、図26の様に空気を密閉するため芯金と密着して締め付ける円周状の突起を作ってもよい。その突起は図27の様に複数設けてもよい。
キャップの製造方法としては、射出成型や切削加工等が挙げられるが、作業性の面から射出成型が好ましい。
キャップが基層と接触する部分の直径は、基層の端面の直径よりも少し小さいほうがよい。その直径の差は概ね0.01mm以上ある方がよい。
キャップは、基層の端面とキャップとでキャップの内面に塗液が入ってこない空間を作るため、図31(a)の様に、多少基層に食い込む程度に挿入するのが好ましい。
塗工キャップは、塗工後半乾燥状態で芯金から外され、塗工液を洗浄可能な溶媒により洗浄して再び別のローラーの塗工に再使用される。
本発明の導電性ローラーの表層は好ましくは樹脂微粒子を含有する。より好ましくは、該樹脂微粒子が架橋された微粒子であることが好ましい。架橋していないと表層塗工用の塗料とした時に溶解する恐れがあるので好ましくない。架橋した高分子微粒子を作るモノマーとしては、特には限定しないが、重合の容易さ等から、ビニル系のモノマーが好適に用いられる。
本発明に用いるビニル系モノマーは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸へキシル等のメタクリル酸エステル、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系ビニル単量体、酢酸ビニル及びアクリロニトリル等が挙げられる。
樹脂粒子が架橋された高分子微粒子となるために、本発明においては、上記のビニル系モノマー以外に、分子内にビニル基を2つ以上有する架橋性のビニル系モノマーを使用する。このような架橋性のビニル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタアクリレート等が挙げられる。これら架橋性のビニル系モノマーの添加量は、非架橋性のビニルモノマーに対して0.5〜30質量部が好ましい。
これらの架橋された高分子微粒子は、シード乳化重合、分散重合、懸濁重合等により重合されるが、低分子の界面活性剤等の残留が少ないので、懸濁重合によって重合されることが好ましい。重合開始剤は、特に限定されないが、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物系触媒、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系触媒が挙げられる。
本発明で使用される架橋された高分子微粒子は、形状がより真球形状に近いことがより好ましい。
具体的には、平均円形度が0.95以上であることが好ましい。平均円形度が0.95以上となるように高分子微粒子の粒子形状を精密に制御することにより、帯電ローラーの表面粗さが均一になり、異なるプロセススピードで使用してもより均一な帯電特性を得ることができる。
更に、円形度標準偏差が0.040未満であることがより好ましい。円形度標準偏差が0.04未満となるように高分子微粒子の粒子形状を精密に制御することにより、真球から大きくかけ離れた樹脂微粒子の存在割合が小さくなり、帯電ローラーの表面に突発的に樹脂粒子の突起が発生して帯電を乱す確率を抑え、帯電ローラーの表面粗さが更に均一になり、異なるプロセススピードで使用してもより均一な帯電特性を得ることができる。
本発明における円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて粒子形状の測定を行い、円形度を下式により求める。更に下式で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
Figure 0004378145
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された樹脂粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該樹脂粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.400〜1.000を0.010間隔で、0.400以上0.410未満、0.410以上0.420未満…0.990以上1.000未満及び1.000の如くに61分割した分割範囲に分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。
この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であるため、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこの様な算出法を用いている。
本発明における円形度は、粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「UH−50型」(エスエムテー社製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
樹脂粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時の樹脂粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し樹脂粒子を1000個以上計測する。
樹脂粒子の平均粒径は、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜50μmであることが好ましい。更に好ましくは、1〜25μmであることが好ましい。また、質量平均粒径の3倍以上の粒径を有す樹脂粒子が実質的に皆無であることが好ましい。粒径が大き過ぎると帯電ローラー表面が粗れ過ぎて帯電が不均一になってしまうという弊害がある。また、小さ過ぎると樹脂粒子を添加して低プロセススピードの領域での帯電を安定化させる効果が現れないので好ましくない。
以下に、本発明における樹脂粒子の粒径測定の具体例を示す。
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、コールターカウンターマルチサイザーにより17μm又は100μm等の適宜樹脂粒子サイズに合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3〜40μmの粒度分布等を測定するものとする。この条件で測定した個数平均粒径、質量平均粒径をコンピュータ処理により求め、体積基準の粒度分布より重量平均粒径の3倍径累積分布以上の累積割合を計算し、3倍径累積分布以上の累積値を求める。
樹脂粒子の添加量は塗工後の表層中の質量割合として、1〜80質量%が好ましい。少な過ぎると樹脂粒子を添加して帯電が安定する効果が得られないし、多過ぎると表層塗料の粘度の制御が難しくなり、均一に塗工することが難しくなるので、好ましくない。
表層のバインダーとしては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂が用いられる。本発明の表層のバインダーとしては、ラクトン変性アクリルポリオールを、イソホロンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとで架橋したウレタン樹脂が特に好適に用いられる。
表層のポリオールを架橋させるイソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートを単独で用いた場合、表層が柔軟でローラーの塗工後の表面が均一に仕上がるというメリットがある反面、苛酷な高温高湿環境ではでき上がった表層が基層中の未加硫成分(例えば、イオン導電剤や可塑剤)がローラー表面へ染み出してくることを充分に阻止できない可能性がある。このような染み出し物質が存在すると、感光体を汚染する可能性がある。
一方、表層のポリオールを架橋させるイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを単独で用いた場合、表層が基層からの染み出し物質の染み出しを防止する効果は大きいが、表層が固くなり過ぎて基層ゴムの熱収縮に追従できず、でき上がったローラーの表面にシワが発生し、ローラーの表面粗さや形状の面で望みのローラーを得ることができないという弊害がある。
本発明のローラーの表層は、イソホロンジイソシアネートの染み出し物質ブロック性とヘキサメチレンジイソシアネートの柔軟性とを併せ持った良好な特性をもつ表層樹脂を提供し、イオン性の基層からの染み出し物質がローラー表面に染み出してくることを防止しつつ、良好な表面形状を有する帯電ローラーを得ることができる。
すなわち、本発明において表層に用いる樹脂は、ラクトン変性アクリルポリオールとイソホロンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとをブレンドし硬化させることにより、ラクトン変性アクリルポリオールに対してイソホロンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとがランダムに反応して、架橋構造が形成されたものである。
本発明に用いるイソシアネートは、イソシアヌレート型の3量体とすることがより好ましい。分子の剛直な3量体が架橋点となり、表層がより密に架橋することができ、イオン性の基層からの染み出し物質がローラー表面に染み出してくることをより一層効果的に防止することができる。
また、本発明に用いるイソシアネートは、イソシアネート基がブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネートとすることがより好ましい。この理由としては、上記イソシアネート基は反応し易く、表層塗料を常温に長時間放置しておくと徐々に反応が進み、塗料の特性が変化してしまう恐れがあるからである。これに対してブロックイソシアネートは、活性なイソシアネート基がブロックされ、ブロック剤の解離温度までは反応しないので、塗料の取り扱いが容易になるというメリットがある。マスキングを行うブロック剤には、フェノール、クレゾール等のフェノール類、ε−カプローラークタムのラクタム類及びメチルエチルケトオキシム等のオキシム類等が挙げられるが、本発明の場合、解離温度が比較的低温のオキシム類が好ましい。
本発明の表層樹脂を構成するラクトン変性アクリルポリオールとブロックイソシアネートの3量体を図示する。
Figure 0004378145
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一方、ラクトン変性アクリルポリオールのOH価は80KOHmg/g程度であることが好ましい。OH価が少ないと、イソシアネートで架橋され難くなり、それによって樹脂が柔らかくなり過ぎて感光体に貼り付き易くなる。OH基が大き過ぎると塗膜が硬くなり過ぎて割れ易くなる。
ラクトン変性アクリルポリオールは、分子鎖骨格がスチレンとアクリルの共重合体であり、適度な硬度と非汚染性を有する。また、末端に水酸基を有する変性したラクトン基が多数の架橋点となり、イソシアネートで密に架橋することが可能であり、基層からの未加硫成分の染み出しを防止することができる。このようなラクトン変性アクリルポリオールとしては、例えば、プラクセルDC2009(ダイセル化学工業株式会社製)が挙げられる。
表層に用いる樹脂のガラス転移温度Tgは粘弾性測定法で、ピーク温度が45℃以上が好ましく、特には50℃以上であることが好ましい。45℃未満であると、感光体と当接したまま長期間放置した場合に感光体に貼り付いてしまったり、あるいは帯電ローラー表面がトナー等によって汚れ易くなったりするという弊害があるので、好ましくない。
本発明におけるガラス転移温度Tgの測定方法は以下のようにする。まず、測定用の表層サンプルは、ローラー状態から表層を剥がし、5mm×40mm程度の短冊形に切り出す。測定装置は、動的粘弾性測定装置RSA−II(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製)を用い、また治具としてフィルムテンションフィクスチャーを用いる。測定は、−50℃〜150℃の温度範囲において測定周波数6.28rad/sec、昇温速度5℃/min.、初期歪0.07〜0.25%のオートテンションモードで行う。損失正接tanδの温度分散を測定し、ピーク温度をTgとする。
また特に限定はしないが、あまりTgが高過ぎても樹脂の可撓性がなくなり、塗膜が割れ易くなるので好ましくない。Tgは、架橋させるイソシアネートの比率又は量によって調節する。
ラクトン変性アクリルポリオール樹脂とイソシアネートとの配合比は、配合した塗料中のイソシアネートの中のNCO基の数(A)と、ラクトン変性アクリルポリオール樹脂中のOH基の数(B)との比、NCO/OH比=A/Bが0.1〜2.0が好ましく、特に好ましくは0.3〜1.5の範囲になるように調整する。
ラクトン変性アクリルポリオールをイソシアネートで架橋することにより、導電性弾性体基層からの低分子成分の染み出しを防止すると共に、帯電ローラー自体がトナー等に対して汚れ難く、かつ感光体を汚染しない表層を形成することができる。
表層を形成する樹脂塗料には、各種の導電剤やレべリング剤を混合することも好ましい。レべリング剤としては、例えばシリコーンオイルが挙げられる。
表層に用いる導電剤としては、例えばアルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀等の金属系の粉体や繊維、カーボンブラック、金属粉や酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫化銅や硫化亜鉛等の金属化合物、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化モリブデン、亜鉛、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、コバルト、鉄、鉛、白金、ロジウム等を電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより表面に付着させた粉体、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN系カーボン、ピッチ系カーボン等のカーボン粉が挙げられる。
本発明においては、導電剤としては、アンチモンをドープした導電性酸化スズが特に好適に用いられる。その理由は、アンチモンをドープした導電性酸化スズは、導電剤自体の体積抵抗率が比較的大きく、導電剤を分散する樹脂の体積抵抗率との差が他の導電剤に比較して小さいので、導電剤を分散して中抵抗の表層材料とした時に、導電剤の分布の僅かな差が表層材料の抵抗の差を生じにくく、抵抗の位置によるばらつきを比較的小さく抑制することができることが、本発明の表層材料の導電剤として好適であるからである。
表層の樹脂に加えるこれらの導電剤の配合量は、表層の樹脂の体積抵抗率が低温低湿環境(L/L:15℃/10%RH)、常温常湿環境(N/N:23℃/55%RH)、高温高湿環境(H/H:30℃/80%RH)で、中抵抗領域(体積抵抗率が1×10〜1×1015Ω・cm)になるように決める。
表層の体積抵抗率がこれよりも小さいと、帯電ローラーとして使用した場合、感光体にピンホールがある時にピンホールに過大な電流が流れてリークしてしまい、リークした跡が画像に表れてしまうので好ましくない。逆に体積抵抗率が大き過ぎると、帯電ローラーに電流が流れず、感光体を所定の電位に帯電することができず画像が所望する濃度にならないという弊害がある。また、ある程度の電位に帯電したとしても帯電が不均一になり画像上に表れてしまうので好ましくない。
表層の体積抵抗は、ローラー状態から表層を剥がし、5mm×5mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し、微小電流計(ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER (株)アドバンテスト社製)を用いて200Vの電圧を印加して30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。
導電性酸化スズの配合量としては、塗工後の表層に対して10〜80質量%が好ましく、特に好ましくは20〜60質量%である。導電性酸化スズの一次粒径は、示差走査型電子顕微鏡観察で0.1μm以下が好ましい。表層塗料中で二次粒子が小さくなるまで公知の方法で分散する。二次粒子径は、遠心沈降式粒度分布計(CAPA700:堀場製作所製)による体積平均粒径MEDIANの値で、1.0μm以下が好ましく、特に好ましくは0.5μm以下に分散する。二次粒子径が大きいと表層材料の抵抗の位置によるばらつきが大きくなり、帯電ムラの原因となるので好ましくない。
本発明に用いられる導電性酸化スズは、表面がカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。上記カップリング剤は、同一分子内に加水分解可能な基と疎水基を有し、珪素、アルミニウム、チタン又はジルコニウム等の中心元素に結合している化合物で、この疎水基部分に長鎖アルキル基を有するものである。
加水分解基としては、例えば比較的親水性の高い、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基等が用いられる。その他、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、これらの変性体及びハロゲン等も用いられる。また疎水基としては、その構造中に炭素原子が6個以上直鎖状に連なる構成を含むものであればよく、中心元素との結合形態においては、カルボン酸エステル、アルコキシ、スルホン酸エステル又は燐酸エステルを介して、あるいはダイレクトに結合していてもよい。更に、疎水基の構造中に、エーテル結合、エポキシ基及びアミノ基等の官能基を含んでもよい。カップリング剤処理することで酸化スズ表面への水分の吸着を抑え、より環境変動の小さい表層材料を得ることができる。本発明に用いるカップリング剤としては、反応性が高いシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン及びヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられるが、特に導電剤の体積抵抗率の環境変動を小さく抑えることができるので、トリフルオロプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
表層の成形方法としては、上記の表層を構成する材料を、サンドミル、ペイントシェーカ、ダイノミル及びパールミル等のビーズを利用した従来公知の分散装置を用いて公知の方法により分散させ、得られた表層形成用の樹脂塗料を、浸漬塗工により、導電性ローラーの表面、本発明においては導電性弾性体基層の上に塗工する。
表層の膜厚は、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。表層の膜厚が50μmよりも大きいと、帯電の均一性が損なわれ、画像上ローラーの軸方向に細かい白スジが発生するので好ましくない。膜厚は、ローラー断面を鋭利な刃物で切り出して、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することで測定できる。本発明においては、電子顕微鏡を用い、鋭利な刃物で切り出したローラー断面を2000倍で写真に撮り、一画面中でランダムに5個所の膜厚を測定し、長さを平均して1箇所の膜厚を算出する。この測定を同じローラーの軸方向3点×周方向2点の計6点について行ってから平均し、全体の平均膜厚とした。この際、ローラーの軸方向の位置は、中央部と、ローラーの基層の全長の40%中央部から端部側に離れた位置の膜厚とする。
表層膜厚を調整するために表層塗料の樹脂の固形分と塗工引き上げ速度を制御する。表層塗料中の樹脂の固形分を大きくすると表層の膜厚が大きくなり、固形分を小さくすると膜厚も小さくなる。表層塗料においては、揮発する溶媒に対する樹脂の固形分を10〜40%に調整する。また、塗工引き上げ速度を大きくすると膜厚が大きくなり、速度を小さくすると膜厚も小さくなるので、本発明においては塗工引き上げ速度を20〜5000mm/min.に調整する。
浸漬塗工の場合、一般的にローラーの軸方向で場所による膜厚のバラツキが生じ易く、ローラーの周方向では比較的位置による膜厚のバラツキは生じ難い。すなわち、表層の塗工液は重力で下に流れる性質があるので、浸漬塗工を行う際には、ローラーの下側ほど、より膜厚が厚くある傾向がある。本発明ではローラー軸方向の位置による膜厚のばらつきを抑えるため、ローラーを1回塗工した後、軸方向の上下を逆にして、もう一度塗工する。つまり、1回の塗工ではローラーの軸方向に膜厚の大きさの傾斜が生じるのに対して、反転してもう一度塗工することにより、このローラー表層膜厚の大きさの傾斜が相殺され、軸方向全域に渡りほぼ等しい膜厚のローラーを得ることが出来る。
本発明の塗工キャップを使用することにより、表層塗工液がキャップ内部へ浸透することが無いため、出来上がったローラーの基層端面と表層との境界線がキャップの端部形状を反映した略円形状になる。境界線の円形状を測定するために、本発明では、図39の様に、ローラーの端部の軸の延長線上から、ローラー端部を垂直にデジタルカメラ36で写真に撮り、得られた画像上で長径aと短径bを測定し、短径/長径の値をもって境界線の円形度とする。本発明の導電性ローラーではこの円形度が好ましくは0.9以上、より好ましくは0.95であることが好ましい。この基層の端面に表層の塗工液が回り込み、基層よりも硬い硬化膜をいびつに形成してしまうと、導電ローラーの端部の押し当て力に対する変形量が、ローラーの周方向で変化してしまい、DC帯電のごとく精密な当接状態が必要とされる画像形成装置に組み込まれて一次帯電ローラーとして例えば600dpiの中間調画像の様な高精細画像を出力する場合に使用される時には、帯電ムラとして現れてしまい、好ましくない。
また、本発明の塗工キャップを使用すると、出来上がった表層が基層端面から若干ローラー端部方向に突き出ている。これにより、電気抵抗の小さい基層と、感光体との接触を防ぐことが可能となり、感光体に万が一ピンホールが空いていた場合に、ピンホールに電流がリークしてしまうことを防止できる。この、基層端面からの表層の突き出し量も、ローラーの全周にわたって均一であることが好ましい。本発明においては、図40の様に、真円度測定装置RA600((株)ミツトヨ 製)を用いて突き出し量のバラツキを測定する。ローラーを回転させながら、先端が半径0.5mmの球形で材質がSUS304製の触針37を用い、表層端面のローラー軸方向凹凸を測定する。本発明においては、この基層端面からの表層の突き出し量のバラツキが小さいことが好ましい。好ましくはこの基層端面からの表層の突き出し量の最大値と最小値の差を持って突き出し量のばらつきとする。本発明においては、この突き出し量のばらつきが0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下であることが好ましい。バラツキが大きいと、導電ローラーの端部の押し当て力に対する変形量が、ローラーの周方向でばらついてムラとなってしまい、DC帯電のごとく精密な当接状態が必要とされる画像形成装置に組み込まれて一次帯電ローラーとして例えば600dpiの中間調画像の様な高精細画像を出力する場合に使用される時には、帯電ムラとして現れてしまい、好ましくない。
本発明の導電性ローラーの表面粗さとしては、好ましくはJIS B 0601−1994による十点平均粗さRzで0.5μm以上30μm以下、Raで0.1μm以上5μm以下、より好ましくは十点平均粗さRzで1μm以上20μm以下、Raで0.2μm以上3μm以下である。表面粗さがあまり大き過ぎると帯電ムラとして出力画像に表れ易いし、表面粗さが小さ過ぎると樹脂粒子を添加して遅いプロセススピードでの帯電を安定させた効果が現れないので好ましくない。
平均粗さ(Ra、Rz)の測定方法としては、JIS B 0601の表面粗さに基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE3400にて、軸方向3点×周方向2点の計6点について各々測定し、その平均値をとる。本発明においては、接触針は先端半径2μmのダイヤモンドとし、測定スピード0.5mm/s、カットオフλc0.8mm、基準長さ0.8mm、評価長さ8.0mmとした。
上記範囲の表面粗さを有する導電性ローラーとするため、基層の表面粗さ、表層の膜厚、樹脂粒子の平均粒径と添加量を調整する。基層の十点平均粗さはRzで20μm以下が好ましく、より好ましくは15μm以下である。
また、導電性ローラーは、図38の様に、画像形成装置に用いた場合の使用状態と同様の応力で、感光体と同じ曲率の円相形円柱形金属に当接させて、使用状態と同様の回転速度で円柱形金属を回転させながら(本発明では軸の両端にそれぞれ5Nの力を加えて、直径30mmの金属円柱に当接させ、該金属円柱の周速45mm/sで回転させた)直流電圧−250Vを印加した時の導電性ローラーの電気抵抗が、30℃/80%RHの高温高湿の環境中では1×10Ω以上であり、15℃/10%の低温低湿の環境中では1×10Ω以下であることが好ましい。より好ましくは、30℃/80%RHの高温高湿の環境中では2×10Ω以上であり、15℃/10%の低温低湿環境中では6×10Ω以下であることが好ましい。
低温低湿の環境中の抵抗が上記範囲より小さいと、帯電ムラによるハーフトーン画像上の細かい横白スジがほとんど発生しないので好ましい。また、高温高湿環境中の抵抗が上記範囲より大きいと、感光体にピンホールがあったとしても印加電流がリークせず、ハーフトーン画像上に帯電の濃度ムラが現れることがないので好ましい。
電気抵抗を上記範囲とするには、導電性ローラーの導電性弾性体基層の体積抵抗率を1×10〜1×10Ω・cmに、また表層の体積抵抗率が1×10〜1×1015Ω・cmでかつ表層の膜厚が10〜50μmになるように調整すればよい。
<2>画像形成装置
図34に導電性ローラーの一つの実施の形態である帯電ローラー6を用いた画像形成装置を示す。像担持体である感光体ドラム5は矢印の方向に回転しながら、帯電ローラー6によって一次帯電され、次に露光手段により露光11が照射され静電潜像が形成される。現像手段である現像ローラー4上の薄層になったトナーは、トナー帯電ローラー29で帯電され、次いで感光体ドラム5の表面と接触することによって、静電潜像が現像され、可視化したトナー像が形成される。
現像されたトナー像は、転写部材である転写ローラー8と感光体ドラム5の間の現像部において、感光体ドラム5から被転写部材である印刷メディア7に転写され、その後定着部9で熱と圧力により定着され、永久画像となる。帯電前露光装置11によって感光体ドラムに残った潜像に露光し、感光体ドラムの電位がアース電位に戻る。転写されなかった転写残トナーは、クリーニングブレード10で回収される。
現像ローラー4、トナー帯電ローラー29、帯電ローラー6、転写ローラー8のそれぞれには画像形成装置の電源18、19、20、22から、それぞれ電圧が印加されている。
ここで、導電性ローラーである帯電ローラー6には、電源20から直流電圧が印加される。印加電圧に直流電圧を用いることで、電源のコストを低く抑えることができるという利点がある。また、交流電圧を印加した時に発生する帯電音が発生しないという利点がある。
印加する直流電圧の絶対値は、空気の放電開始電圧と被帯電体表面(感光体表面)の一次帯電電位との和とすることが好ましい。通常空気の放電開始電圧は600〜700V程度、感光体表面の一次帯電電位は300〜800V程度なので、具体的な一次帯電電圧としては900〜1500Vとすることが好ましい。
また、カラー画像形成装置とする場合は、図35の様に感光体ドラム5a〜d、像ローラー、転写ローラー8a〜d、帯電ローラー6a〜d、トナー帯電ローラー29a〜d、弾性規制ブレード30a〜d、露光11a〜d、トナー容器31a〜d等をそれぞれ4色分用意して、直列に配置することもできる。
<3>帯電方法
本発明は、導電性ローラーに直流電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させる帯電方法を提供する。
<4>プロセスカートリッジ
本発明は、像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化しトナー像を形成させる現像手段と、前記被転写部材にトナー像が転写された後に前記像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、から選ばれる1つ又は2つ以上が、導電性ローラーと一体に支持され、画像形成装置から着脱自在に構成されているプロセスカートリッジである。
本発明のプロセスカートリッジは、例えば、図36に示すように、感光体ドラム5や帯電ローラー6、現像ローラー4及びクリーニングブレード10等が一体に支持された、画像形成装置の本体と脱着自在な構成である。
電子写真プロセスカートリッジが使用される前には、トナーシール27で現像ローラー4とトナーの接触を避けておくことが好ましい。
以下に本発明を実施例をもって説明するが、本発明は実施例よって制限されるものではない。
(実施例1)
<帯電ローラーの作製>
(1)導電性弾性体基層の調製
エピクロルヒドリンゴム(商品名:エピクロマーCG102、ダイソー(株)製)100質量部、充填剤としての炭酸カルシウム30質量部、滑剤としてのステアリン酸亜鉛1質量部、研磨性改善のための補強材としての着色グレードカーボン(商品名:シーストSO、東海カーボン製)4質量部、酸化亜鉛5質量部、可塑剤として、セバシン酸とプロピレングリコールの共重合体(分子量8000)を5質量部、下記式で示される過塩素酸4級アンモニウム塩2質量部、老化防止剤としての2−メルカプトベンズイミダゾール1質量部をオープンロールで20分間混練し、更に、加硫促進剤としてのDM(2−ベンゾチアゾリルジサルファイド)1質量部、加硫促進剤としてのTS(テトラメチルチウラムモノサルファイド)0.5質量部、加硫剤としての硫黄1.2質量部を加えて更に15分間オープンロールで混練した。
Figure 0004378145
これをゴム押し出し機を使用して、外径15mm、内径5.5mmの円筒形に押し出し、250mmの長さに裁断し、加硫缶中を使用して、160℃の水蒸気中で40分間一次加硫し、導電性弾性体基層ゴム一次加硫チューブを得た。
次に、直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性支持体(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部231mmに金属とゴムとの熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20)を塗布し、80℃で30分間乾燥した後、120℃で1時間乾燥した。この導電性支持体を、前記導電性弾性体基層ゴム一次加硫チューブに挿入し、その後、電気オーブンの中で160℃で2時間、二次加硫と接着剤の硬化を行い、未研磨層を得た。
この未研磨層のゴム部分の両端部を突っ切り、ゴム部分の長さを231mmとした後、ゴム部分を回転砥石で研磨し、端部直径12.00mm、中央部直径12.10mmのクラウン形状で表面の十点平均粗さRz6μm、振れ25μmの導電性弾性体基層を有する帯電ローラーを得た。
導電性弾性体基層を有する帯電ローラーをN/N環境下(常温常湿:23℃/55%RH)に24時間以上放置した後、導電性弾性体基層を有する帯電ローラーの抵抗を測定したところ、3.0×10Ωであった。また、ゴム部分のマイクロゴム硬度は49°であった。
(2)表層塗液の調製
導電性酸化スズ粉体(商品名:SN−100P、石原産業(株)製)50質量部に、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの1%イソプロピルアルコール溶液を500質量部と平均粒径0.8mmのガラスビーズ300質量部を加え、ペイントシェーカで70時間分散後、分散液を500メッシュの網で濾過し、次にこの溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で暖めてアルコールを飛ばして乾燥させ、表面にシランカップリング剤を付与し表面処理導電性酸化スズ粉体を得た。
ラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)288質量部を、972質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、固形分16質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して前記表面処理導電性酸化スズ粉体を57質量部、シリコーンオイル(商品名:SH−28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を0.05質量部、フッ素樹脂粉末(商品名:ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)16質量部、平均粒径12μmの架橋ポリメチルメタクリレート(商品名:MBX−12、積水化成品工業(株)製)12質量部を配合し、これに直径0.8mmのガラスビーズ200質量部を加えて、450mlのマヨネーズビンに入れてペイントシェーカを使い5時間分散した。用いた架橋ポリメチルメタクリレート樹脂粒子の粒径分布のチャートを図37に示す。
この分散液370質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)を25.6質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)を16.4質量部混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液を濾過して表層塗料を得た。塗料の粘度は23℃の環境下で8.0mPa・sであった。
前記表層塗料を浸漬塗工により前記導電性弾性体基層を有する帯電ローラーの表面に塗工した。
この時導電性弾性体基層の下側端部には、図1の形状のポリエチレン製塗工キャップを装着した。装着は、図31(a)のごとく、キャップの端部のエッジが導電性弾性体基層の端面に食い込む様に100Nの力で3秒間押し当てた。キャップの内部の余分な空気は全て抜け、キャップのエッジの全周は導電性弾性体基層の端部へ完全に当接した。
このキャップが装着されたローラーを引き上げ速度400mm/minで塗工し、10分間風乾した後、キャップを外した。ローラー端面は図31(c)のごとく全周にわたって過不足無く均一に塗工されていた。
次に、ローラーの塗工時の軸方向を反転し塗工する。反転してローラーの下になった端部にやはり図1の形状をした別のキャップを装着し、1回目の塗工と同様にして塗工した。もう一度30分間風乾した後、80℃のオーブンで30分間乾燥し、次に160℃のオーブンで60分間乾燥した。
得られた帯電ローラーには、ローラーの全画像領域にわたり均一な膜厚22μmの表層が形成された。また、表層を形成したローラーのマイクロゴム硬度は55°であった。こうして得られたローラーを実施例1の帯電ローラーとした。
<帯電ローラーの評価>
画像評価
本試験で使用した電子写真式レーザプリンタはA4縦出力用のマシンで、記録メディアの出力スピードは、100mm/secと30mm/secの2種類、画像の解像度は600dpiである。
感光体はアルミニウムシリンダーに膜厚16μmのOPC層をコートした反転現像方式の感光ドラムであり、最外層は変性ポリカーボネートをバインダー樹脂とする電荷輸送層である。
トナーは、ワックスを中心に荷電制御剤と色素等を含むスチレンとブチルアクリレートのランダムコポリマーを重合させ、更に表面にポリエステル薄層を重合させシリカ微粒子等を外添した、ガラス転移温度63℃、質量平均粒径6μmの重合トナーである。
一次帯電は、上記で得られた実施例1の帯電ローラーを用い、直流電圧−1150Vを帯電ローラーに印加した。
常温常湿(23℃/55%)の環境下で、ハーフトーン(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描くような画像)画像を出力したところ、均一で良好な画像が得られた。
ローラー端部の、表層と基層の境界線をデジタルカメラで撮り、円形度を求めたところ0.99であった。又、表層の突き出し量のバラツキは、0.2mmであった。すなわち、実施例1の帯電ローラーは端部まで表層が良好な同心円状に形成されていた。
(比較例1)
塗工キャップの形状を図28(b)の様な閉じた円筒形とした以外は実施例1と同様にして比較例1のローラーを塗工した。
すると、塗工キャップと導電性弾性体基層の間に塗液が進入し、図30(c)の様に、キャップを外す時に未乾燥の塗液が引き伸ばされて芯金を塗工してしまい、良好なローラーを塗工することができなかった。
(比較例2)
塗工キャップは比較例1と同様のものを使用し、1回目、2回目の塗工ともに、塗工から3時間後にキャップを外した。
すると、塗工キャップと導電性弾性体基層の間に進入した塗液も概ね風乾が完了していたが、塗膜が脆くなっており、キャップを外した時にローラー端部の表層がいびつな形状に引き裂かれ、端部に一部分表層が形成されていない部分が発生した。このローラーを実施例1と同様に画像を出力すると、画像端部の導電性弾性体基層が剥き出しになった部分から電流がリークし、ハーフトーン画像に帯電ローラー周期の濃度ムラが見られた。
(比較例3)
実施例1の塗工液をロータリーエバポレータを使用して溶剤を飛ばして濃縮し、粘度を350mPa・sとした以外は、実施例1と同様の塗工液を使用した。また、塗工キャップに比較例1の塗工キャップを使用した。
得られたローラーの膜厚は53μmと大きかった。ローラーのマイクロゴム硬度は75°と大きかった。キャップと基層の接触面への塗液の侵入は見られず円形度は0.97と良好であったが、突き出し量のばらつきが0.5mmあった。このローラーを実施例1と同様に画像を出力すると、横白スジが発生し、DC帯電用帯電ローラーとしては使用できなかった。
本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 参考例の塗工キャップの断面図である。 参考例の塗工キャップの断面図である。 参考例の塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの断面図である。 の塗工キャップの断面図である。 の塗工キャップの断面図である。 の塗工キャップの断面図である。 従来の方法で使用する塗工キャップの断面図である。 本発明で使用する塗工キャップの平面図である。 本発明で使用する塗工キャップを用いた塗工方法の概略図である。 従来の方法で使用する塗工キャップを用いた塗工方法の概略図である。 本発明の方法で製造した導電性ローラーの一つの実施の形態の断面を表す概略図を示す。(a)導電性ローラーの横断図、(b)導電性ローラーの断面図 本発明の方法で製造した帯電ローラーの振れの測定方法の概略図である。 本発明の方法で製造した導電性ローラーの一つの実施の形態である帯電ローラーを用いたフルカラー画像形成装置の概略図である。 本発明で製造した導電性ローラーの一つの実施の形態である帯電ローラーを用いた別のフルカラー画像形成装置の概略図である。 本発明の方法で製造した導電性ローラーと一体に支持されているプロセスカートリッジの概略図である。 実施例1に用いた樹脂粒子の粒径分布のチャート図である。 実施例に用いた帯電ローラーの抵抗の測定方法の概略図である。 実施例に用いた帯電ローラーの円形度の測定方法の概略図である。 実施例に用いた帯電ローラーの表層の突き出し量のバラツキの測定方法の概略図である。

Claims (1)

  1. 芯金と、該芯金上に形成された弾性体基層と、該弾性体基層の上に形成された表層とを有する帯電ローラーの製造方法あって
    (1)芯金の端部を除く該芯金上に弾性体基層形成する工程と、
    (2)該工程(1)で得た、弾性体基層を形成した芯金を表層塗料に浸漬させて該表層塗料を塗工する工程とを有し、
    工程(2)は、該工程(1)で得た弾性体基層を形成した芯金の端部に塗工キャップを装着して該芯金の端部と該弾性体基層の端面とを該塗工キャップで覆い、次いで該芯金を該塗工キャップを装着した側を下に向けて該表層塗料に突入させる工程を含み、
    該塗工キャップは、該芯金の端部に装着したときに、該弾性体基層の端面とエッジで接し、かつ、該弾性体基層と該芯金との境目には該キャップが接しないような空間ができるように構成されており、さらに
    該塗工キャップは、該弾性体基層と接する側とは反対側において、その直径が小さくなるような流線型形状を有していることを特徴とする帯電ローラーの製造方法
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