JP4375927B2 - 人工結晶体の製造方法および該方法を用いた構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微粒子を用いた人工結晶体の製造技術に関し、特に誘電率の異なる2種類以上の媒質を周期的に組み合わせたフォトニック結晶や光学素子などに応用することが可能な人工結晶体の製造方法および該製造方法を用いた構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、材料を微粒子化することにより、バルク形状では得られなかった種々の特性が得られることが判明したことに加え、微粒子を形状や粒径などを精度良く形成する方法による研究成果が発表され、その応用面も積極的に研究されている。
【0003】
当然、微粒子材料を微粒子そのままの形態で利用する提案も行われているが、さらに微粒子の特性を活かすために、微粒子を規則正しく配列し、その結果得られる性能を利用する応用研究も盛んである。
【0004】
微粒子を用いて規則的に配列を行ったり、人工結晶体を製造することに関する技術としては以下に示すようなものが開示されている。
(1)特許第2828374号公報
本公報に開示された発明は、微粒子の液状分散媒体を基板表面に展開して液体薄膜を形成し、液厚を粒子径サイズと同等かそれより小さくし、液が蒸発する際の横方向に働く表面張力により微粒子を2次元で凝集させて配列を行う技術である。
【0005】
(2)特開2000−233998号公報
本公報に開示された発明は、コロイド結晶からなるテンプレートを電解液内に配置し、その上に格子材料を電気化学的に形成し、最終的にはコロイド結晶からなるテンプレートをエッチングなどにより除去するものである。本公報に開示された発明は、格子材料を電気化学的に形成するために、装置が大掛かりになる上に、エッチングを必要とするなど、プロセス時間も長くかかるという欠点を有している。
【0006】
(3)特許第2693844号公報
本公報に開示された発明は、コロイド溶液を平行な面間の比較的狭い間隙に挿入し、コロイド粒子のブラウン運動の振動数より大きく、振幅が平行な2面間の間隙とほぼ同じになるようにステッピングモーターと直線並進装置を利用して制御して、コロイド結晶を得るものである。
【0007】
(4)また、狭い空隙を持つ2枚の支持体を用いて、微粒子を配列させる手法を紹介した文献として、ワシントン大学の Prof. Younan Xia らによる「Self-Assembly of Monodispersed Spherical Colloids into Complex Aggregates with Well-Defined Sizes, Shapes, and Structures 」 (ADVANCED MATERIALS 2001,13,No.4, pp267-271)がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例は次のような問題点を有している。
上記特許第2838374号公報は、得られる微粒子の配列は2次元であり、その結果応用できる分野も限られ、例えば今後光通信分野などで期待されるフォトニック結晶に必要な3次元構造を得ることは不可能である。
【0009】
また、特開2000−233998号公報に示されている技術は、格子材料を電気化学的に形成するために、装置が大掛かりになる上に、エッチングを必要とするなど、プロセス時間も長くかかるという欠点を有している。
【0010】
また、上記特許第2693844号公報に示されている技術は、仕掛けが大掛かりになる上に、コロイド粒子のブラウン運動を把握しなければならないなどの技術的課題が大きく、実施するには非常に制御が困難な技術である。
【0011】
さらに上記ADVANCED MATERIALS (2001,13,No.4, pp267-271)に公開されたものは、30μm程度の狭い空隙を持つように2枚の支持体を保持し、文献の図から判断するとわずかに傾斜させて、下方となる支持体に、フォトレジストをパターニングして穴を形成する。その後、狭い空隙に上から微粒子を含む液を流し、前記の穴に物理的にトラップしてパターニングして形成した穴にしたがった規則的配列を行うものである。
【0012】
この技術は、狭い空隙を持つように2枚の支持体を傾斜させるという意味では、上述する本発明に類似しているように見えるが、その実態はフォトレジストをパターニングするという複雑なプロセスを必要とすることに加え、本発明で得られるような3次元に規則正しく配列した人工結晶体を得るものではなく、本発明と、目的、構成、および微粒子配列のメカニズムが全く異なるものである。
【0013】
また、液相からの微粒子配列に関する解説論文として、「液相における微粒子合成と配列構造形成」と題して、セラミックス誌(2001 No.5 pp358-360)に東京大学の大久保助教授らが執筆した中に、「3次元微粒子配列結晶の典型例は、1年もの時間をかけてシリカ球をゆっくり沈降させて作製した人工オパールである。・・・」という解説がある。このように、Slow Sedimentationによる人工結晶体の形成は、非現実的な時間を必要とする、という考え方が一般的である。
【0014】
以上述べたように、規則正しい人工結晶体または微粒子の配列体を得るためには、これまでの技術では、非現実的な長時間を必要としたり、システムやプロセスが複雑にならざるを得ず、制御すべき条件も多く、再現性や制御性に大きな課題があった。
【0015】
本願発明は、微粒子を用いて人工結晶体を製造することに関する技術であり、特に、所望の形状にパターニングされた3次元の人工結晶体を、簡単な装置で、低コストで、制御する条件やエネルギーも必要とせず、複雑なものも必要としない簡便なプロセスで、かつ再現性よく高品質の人工結晶体を製造することが可能な技術(人工結晶の製造方法;請求項1〜構造体の製造方法;請求項6〜9)を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも一箇所に開口部を有するように2枚の支持体によって形成された空隙を持つ容器を用い、かつ容器内の空隙を所望のパターンとなるように部分的に異なる空隙を設けることにより、微粒子の集積と、パターニングを同時に行なって、容易に高品質の人工結晶体を得るようにしたものである。
【0017】
さらに具体的には、
(1)請求項1記載の発明は、2枚の支持体の間に該支持体の面に設けられた凹凸または前記2枚の支持体の間に設けられた不均一な厚さを有する部材により位置によって大きさの異なる空隙を有し、少なくとも一箇所に開口部を有する容器を用いた人工結晶体の製造方法であって、前記容器の空隙にコロイド溶液を導入する工程と、前記コロイド溶液が導入された容器全体を前記開口部が上方かつ前記2枚の支持体で形成される平面の垂直方向と異なる方向に力が加わるように前記容器を保持する工程と、前記コロイド溶液のpHを制御する工程と、前記コロイド溶液の溶液成分を蒸発させて人工結晶体を製造する工程とを有することを特徴としている。
【0018】
(2)請求項2記載の発明は、前記コロイド溶液の溶液成分を蒸発させる際に、その蒸発速度の制御を行うことを特徴としている。
【0019】
(3)請求項3記載の発明は、前記蒸発速度の制御は、温度および/または湿度の制御によって行うことを特徴としている。
(4)請求項4記載の発明は、前記蒸発速度の制御は、前記開口部の面積を変えることによって行うことを特徴としている。
【0020】
(5)請求項5記載の発明は、前記コロイド溶液を構成する粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、Pb(Zr,Ti)O、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、またはポリスチレンのうちのひとつであることを特徴としている。
【0021】
(6)請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化することを特徴としている。
(7)請求項7記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化した後に、前記コロイド溶液を構成する粒子を除去することを特徴としている。
【0022】
(8)請求項8記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化し、前記コロイド溶液を構成する粒子を除去した後に、前記容器内に前記第二の物質と異なる第三の物質を含む溶液を導入、固化することを特徴としている。
(9)請求項9記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化し、前記コロイド溶液を構成する粒子を除去した後に、前記容器内に前記第二の物質と異なる第三の物質を含む溶液を導入、固化し、その後、前記第二の物質を除去することを特徴としている。
【0024】
以上により所期の目的、特に非常にシンプルで、かつエネルギーも特に必要とせず容易に所望の形状にパターニングされた3次元の人工結晶体、構造体を得ることが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の構成、及び動作について図を用いて以下に説明する。図1〜5は、本発明によって人工結晶体が得られるプロセスを模式的に示した図である。
【0026】
すなわち、図1は下部支持体(1)と上部支持体(2)がスペーサー(3)で規定されたごく狭い空隙(例えば、典型的には80μm〜360μm間隔)をもって保持されて一つの系を形成することを説明するものであり、図1で下部支持体(1)と上部支持体(2)とスペーサー(3)を容器に組み立てる前の様子を示している。スペーサー(3)は少なくとも一方は開口部になっており、コロイド溶液はここから導入される。それぞれの材質は、どのようなプロセスを行うかによって適宜選択できるものであり、基本的に本発明においてはなんら制約は無い。また、スペーサーに開放されている部分を設けず、上部支持体(2)に小さな穴をあけてもよい。当然のことながら、ギャップモジュールはこの図に示したものに限定されるわけではなく、本発明の要件を満たすものであれば、これ以外の形態でも本発明は実現できる。
【0027】
図1において、4は本発明の特徴とするパターン部材であり、所望のパターン(例えば、所望の光導波路を形成するようなパターン)になるように凹凸形状が形成されている。これらの組み当てはクリップなどで固定する方法や接着する方法など如何なる方法でもよい。このようにしてできた容器を、これ以降「ギャップモジュール」と記述する。なお、本実施例ではパターン部材(4)を下部支持体(1)と別に設けているが、これを一体的に設け、下部支持体(1)の表面自体に凹凸を設けるようにしてもよい。
【0028】
図2は、このようにして組み立てたギャップモジュールを開口部を上部にしてある角度に傾斜して保持し、開口部からごく狭い空隙に微粒子(6)を含むコロイド溶液(5)を導入した様子を示した図である。このように、コロイド溶液(5)が導入された直後は、毛細管現象により、ごく狭い空隙全体にコロイド溶液(5)が広がる現象が確認できている。
【0029】
このとき、毛細管現象により、コロイド溶液(5)はパターン部材(4)の凹凸パターン(または下部支持体の表面の凹凸パターン)の凸部によって形成されるできるだけ狭い空隙を満たそうとし、凹部にはコロイド溶液(5)が満たされない状態になる。
【0030】
図3は、図2のようにコロイド溶液(5)がパターン部材(4)の凹凸パターン(または下部支持体(1)の表面の凹凸パターン)の凸部に導入された状態から、数時間経過した様子を示している。このように時間の経過とともに、重力の作用を受け、微粒子(6)はごくゆっくりと下方に沈降していき、ごく狭い空隙の上部は、ほとんど透明な溶液成分のみで占められるようになる。このとき微粒子(6)は下方に沈降するもののお互いの斥力のために、その力のつりあう位置に落ち着くこととなり、ここでコロイド結晶(7)を形成する。
【0031】
また、このコロイド結晶(7)の形成には、上部および下部の支持体も重要な役割を果たしている。つまり、上部および下部の支持体にガラスを用いた場合を考えると、溶液がたとえば水であった場合には、上部および下部の支持体も表面に負の電荷をもつこととなり、微粒子との相互作用で、高品質のコロイド結晶を形成するのに貢献する。本発明は、この現象を利用することにより実現したものである。
【0032】
本発明における最終プロセスについて説明する。図3の状態で欠陥の無いコロイド結晶が形成された後は、上方の開口部から、非常にゆっくりと溶液成分が蒸発していくことになる。当然、ここまでのプロセスでも、溶液成分の蒸発は行われているが、形成されたコロイド結晶を破壊することなく完全に溶液成分が蒸発できる系であることが、本発明のもう一つの大きな特徴である。
【0033】
しかも、コロイド溶液(5)の導入量にもよるが、数十μlの導入量の場合には、数日で乾燥が完了してしまう。これは、従来のSlow Sedimentation 法などのように1年以上かかる手法とは比較にならない速さで欠陥の無い人工結晶体が得られる非常に特徴のある技術である。図4は、以上のようにして最終的に人工結晶体(8)が得られた様子を示している。
【0034】
上述したように、ギャップモジュール全体を傾斜して保持していることとおよびパターン部材(4)または下部支持体(1)の凹凸によりパターニングすることが本発明の最大の特徴である。つまり、コロイド溶液の特性、たとえばコロイド粒子の材質、比重、溶媒の粘性、比重などに応じて、ギャップモジュールを傾斜させる角度という非常に制御しやすいパラメーターを制御すれば、再現性などが非常に優れた技術を容易に得ることができ、またパターン部材(4)または下部支持体(1)の凹凸パターンの形成の仕方により結晶に任意のパターンを形成することができ、導波路の形成に適用した場合に特に有用である。図5は、パターン部材(4)または下部支持体(1)の凸だけに形成された人工結晶構造を模式的に示した図である。
【0035】
下部支持体(1)と上部支持体(2)とで規定された空隙を狭くすることにより、上部支持体および下部支持体のコロイド溶液と接する面によって人工結晶体の結晶方向を決めることができる。
【0036】
さらに大きな特徴は、ギャップモジュール全体を傾斜して重力の作用を利用しているために、ごく狭い空隙の寸法が許す限りの厚さの人工結晶体が自然に得られる。言い換えれば、ごく狭い空隙の寸法を所望のものに設定すれば、所望の厚さの良好な人工結晶体が自由に得られるという特徴も併せ持つものである。なお、実施例では力として重力を用いているが、その他の力、例えば遠心力を用いる方法も可能であることはいうまでもない。ギャップモジュール全体を傾斜して重力の作用を利用している例を示すが、より一般的にいえば、ギャップモジュール全体を開口部が上方かつ2枚の支持体で形成される平面の垂直方向と異なる方向に力が加わるように容器を保持した状態でギャップモジュール内のコロイド溶液の溶液成分を蒸発させるようにすればよい。
【0037】
また、本発明により得られた人工結晶体は、従来技術に比較して、ギャップ寸法を制御することにより、数百層もの三次元構造が容易にかつ、非常に安定な形で得られる人工結晶体となるために、光学的応用などを考慮した場合でも、取り扱いが容易で、十分な厚さを有する人工結晶体となる点も大きな特徴である。
【0038】
それに対し、このギャップモジュールを傾斜させずに、略水平に保持する場合にどうなるかということについて説明する。この場合は、たしかにどの微粒子も重力の作用は受けるが、横方向の移動は、微粒子の持つブラウン運動と斥力のバランスのみとなってしまうために、長距離を移動して欠陥を修復する力はどこからも与えられないこととなる。その結果、非常に欠陥の多いかつ結晶の規則性が悪い人工結晶体となってしまう場合がある。また、水平保持の場合には規則性も不十分であるという問題以外にも、大きな欠陥=微粒子の存在しない領域や、堆積層数のばらつきなどの大きな問題点が発生し、完全な人工結晶体を得ることは非常に困難であることがわかる。
【0039】
これに対して、本発明では上述したように欠陥の少ないかつ任意のパターンを形成した人工結晶体を容易なプロセスで製造することが可能になる。
【0040】
さらに本発明の大きな特徴は、ごく狭い空隙の中で人工結晶体が形成されるために、人工結晶体形成後もギャップモジュール全体をそのままの状態にし、そこに種々の溶液材料を導入できることにある。つまり、ごく狭い空隙であるがために毛細管現象を利用でき、たとえば、金属酸化物のゾル液を導入し、焼成することによって、人工結晶体の隙間および周りをコロイド溶液から形成された人工結晶体とは異なる第二の物質で満たすことができ、複合結晶体を容易に得ることができる。
【0041】
また、さらに、上記のプロセスに加え、最初の人工結晶体のみを溶解するような溶液、たとえば、最初の人工結晶体がポリスチレン微粒子で形成されているならば、有機溶媒を導入する。またはシリカの場合にはフッ酸を導入する、などの工程を行うことにより、最初の人工結晶体のみが溶解されて、いわゆるインバースオパール法が非常に容易に行えるという特徴を有している。
【0042】
以上述べたことのさらに発展させた形として、最初の人工結晶体が溶解、除去された空間を前記第二の物質とは異なる第三の物質を含む溶液を導入することにより、形状はそのままに、最初の人工結晶体の材質を第三の物質に置換するということも可能である。
【0043】
さらに本発明は、高規則性の人工結晶体を、コロイド溶液という溶液系を用いることにより実現することを特徴のひとつとしている、すなわち、乾燥状態では、凝集しやすくなる超微粒子であっても、溶液系という状態の利点を最大限に利用し分散性を向上させることにより凝集を防ぎ、pHの制御、例えば添加するイオン種を適切に選択、制御することにより、溶液中での等電点の作用を利用することができる。その結果、高規則性の人工結晶体が得られるものである。
【0044】
この点についてさらに詳細に説明する。一般に、例えば金属酸化物からなる微粒子を水中に浸漬すると、微粒子は正または負の電荷を持ち、電界が存在すると対向する電場を有する方向へ移動する。この現象が電気泳動現象である。この電気泳動現象によって、微粒子の水中における荷電すなわち界面電位(ゼータ電位)の存在を知ることができる。
【0045】
この界面電位は微粒子-水系のpHによって大きく変化する。一般に横軸に水系のpHを、縦軸に界面電位をとると、界面電位は水系のpHによって変化し、界面電位「0」を切る点の水系のpHを「等電点」と定義される。この現象から、一般的に金属酸化物微粒子表面の界面電位は、酸性側では正、アルカリ側では負の極性を取る。しかし、この等電点は材料によって大きく異なり、例えば、コロイダルシリカでは「2.0」、α-アルミナでは「9.0」という値が紹介されている。
【0046】
つまり、等電点から離れるほど界面電位が大きくなり、酸性側にいくほど界面電位の値は正の大きい方に向かい、また逆に、アルカリ側にいくほど界面電位の値は負の大きい方に向かう。これはpHで制御することができるものである。pHの制御は、酸やアルカリの添加で、制御性よくコントロールできるものである。本発明では、この現象を積極的に利用し、微粒子の凝集を防ぎながら、人工結晶体が得られることが可能となる点が大きな特徴である。以上述べたように、等電点の概念を利用できない乾式のプロセスとは根本的に異なるものである。
【0047】
以上述べたように、本発明は、ごく狭い空隙を有するギャップモジュールを、種々のプロセスを通してそのまま使用することができるという非常に大きな特徴を有しており、応用面も広範囲に広がるものである。そして、所望のプロセスが終了した時点で、必要に応じて2枚の支持体から人工結晶体を取り出せば、所望のパターンを有する人工結晶体が得られる。
【0048】
【発明の効果】
(1)請求項1に対応する作用効果
請求項1によれば、非常に簡便なプロセスおよび省エネルギープロセスで微粒子を用いた所要のパターンを有する人工結晶体を制御性よく形成することができ、また、高規則性の人工結晶体が得ることができる。
【0049】
(2)請求項2に対応する作用効果
請求項2によれば、非常に高規則性、高品質の人工結晶体を得ることができる。
【0050】
(3) 請求項3に対応する作用効果
請求項3によれば、非常に条件を制御しやすく容易に高品質の人工結晶体を得ることができる。
【0051】
(4)請求項4に対応する作用効果
請求項5によれば、非常に条件を制御しやすく容易に高品質の人工結晶体を得ることができる。
【0052】
(5) 請求項5に対応する作用効果
請求項5によれば、球状粒子が入手しやすく、取り扱いが容易であるため、安全に高品質の人工結晶体を得ることができる。
【0053】
(6)請求項6に対応する作用効果
請求項6によれば、屈折率制御などの特性制御が容易に行える。
【0054】
(7)請求項7に対応する作用効果
請求項7によれば、いわゆるインバースオパール法が容易に行える。
【0055】
(8) 請求項8に対応する作用効果
請求項8によれば、材料の置換が容易に行え、応用分野が大きく広がる。
【0056】
(9) 請求項9に対応する作用効果
請求項9によれば、インバースオパール法に加えて材料の置換が容易に行えると同時に屈折率制御などの特性制御が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】下部支持体と上部支持体がスペーサーで規定されたごく狭い空隙をもって保持されて一つの系を形成することを説明するための図である。
【図2】ギャップモジュールを開口部を上部にしてある角度に傾斜して保持し、開口部からごく狭い空隙に微粒子を含むコロイド溶液を導入した様子を示した図である。
【図3】コロイド溶液がパターン部材の凹凸パターン(または下部支持体の表面の凹凸パターン)の凸部に導入された状態から、数時間経過した様子を示す図である。
【図4】最終的に人工結晶体が得られた様子を示している。
【図5】パターン部材または下部支持体の凸だけに形成された人工結晶構造を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1:下部支持体、2:上部支持体、3:スペーサー、4:パターン部材、5:コロイド溶液、6:微粒子、7:コロイド結晶、8:人工結晶体。

Claims (9)

  1. 2枚の支持体の間に該支持体の面に設けられた凹凸または前記2枚の支持体の間に設けられた不均一な厚さを有する部材により位置によって大きさの異なる空隙を有し、少なくとも一箇所に開口部を有する容器を用いた人工結晶体の製造方法であって、
    前記容器の空隙にコロイド溶液を導入する工程と、
    前記コロイド溶液が導入された容器全体を前記開口部が上方かつ前記2枚の支持体で形成される平面の垂直方向と異なる方向に力が加わるように前記容器を保持する工程と、
    前記コロイド溶液のpHを制御する工程と、
    前記コロイド溶液の溶液成分を蒸発させる工程と、
    を有することを特徴とする人工結晶体の製造方法。
  2. 前記コロイド溶液の溶液成分を蒸発させる際に、その蒸発速度の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の人工結晶体の製造方法。
  3. 前記蒸発速度の制御は、温度および/または湿度の制御によって行うことを特徴とする請求項2に記載の人工結晶体の製造方法。
  4. 前記蒸発速度の制御は、前記開口部の面積を変えることによって行うことを特徴とする請求項2に記載の人工結晶体の製造方法。
  5. 前記コロイド溶液を構成する粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、Pb(Zr,Ti)O、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、またはポリスチレンのうちのひとつであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の人工結晶体の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化することを特徴とする前記第二の物質を含む構造体の製造方法。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化した後に、前記コロイド溶液を構成する粒子を除去することを特徴とする前記第二の物質を含む構造体の製造方法。
  8. 請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化し、前記コロイド溶液を構成する粒子を除去した後に、前記容器内に前記第二の物質と異なる第三の物質を含む溶液を導入、固化することを特徴とする前記第二の物質および前記第三の物質を含む構造体の製造方法。
  9. 請求項1から5のいずれか1項に記載の人工結晶体の製造方法によって人工結晶体を製造した後、前記容器内に前記コロイド溶液を構成する粒子と異なる第二の物質を含む溶液を導入し、固化し、前記コロイド溶液を構成する粒子を除去した後に、前記容器内に前記第二の物質と異なる第三の物質を含む溶液を導入、固化し、その後、前記第二の物質を除去することを特徴とする前記第三の物質を含む構造体の製造方法。
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