JP4374695B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多気筒エンジンの燃料噴射装置として、各気筒ない燃焼室に燃料を直接噴射供給する燃料噴射弁を設け、これら噴射弁を、燃料ポンプから供給される燃料を高圧状態で蓄えるコモンレール(エンジンの各気筒が共有する蓄圧室)に接続したものが知られている。
【0003】
特開平8−4577号公報は、このような燃料噴射装置の異常を診断する手段を備えたエンジンの制御装置を開示している。それは、燃料噴射弁によって噴射すべき燃料量と該燃料の体積弾性係数とから燃料噴射前後のコモンレール内圧力の変動量を推定する一方、実際の変動量を測定し、この推定値と実測値との偏差を求め、この偏差と基準値との比較に基づいて異常を判定する、というものである。
【0004】
また、特開平10−238392号公報には、上述の如き燃料噴射弁による燃料噴射前後のコモンレール内圧力の変動量に基づいて異常判定をする第1異常判定手段の他に、燃料ポンプによるコモンレールへの燃料圧送前後のコモンレール内圧力の変動量に基づいて異常判定をする第2異常判定手段を設け、この両手段によって異常が判定されたときに、当該燃料噴射装置の異常と決定することが記載されている。
【0005】
すなわち、第2異常判定手段は、燃料ポンプによってコモンレールに圧送すべき燃料量と該燃料の体積弾性係数とから当該圧送前後のコモンレール内圧力の変動量を推定する一方、実際の変動量を測定し、この推定値と実測値との偏差を求め、この偏差と基準値との比較に基づいて異常を判定する、というものである。従って、燃料噴射によってコモンレール内圧力に脈動を生じ、その脈動に起因して第1異常判定手段が異常判定をしても第2異常判定手段が異常判定を出さない限り、異常とはみなさないことになる。
【0006】
特開平10−299557号公報には、上述の如き異常判定に使用する燃料の体積弾性係数を、燃料圧力又は燃料温度に基づいて補正することが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、燃料噴射圧力が高くなると、燃料噴射前後のコモンレール内圧力の変動量が大きくなるため、噴射後も暫くは燃料圧力の脈動が続くことになる。また、本出願人は燃料を圧縮行程上死点付近で所定の休止間隔をおいて且つ該燃焼室での燃焼が継続するように複数回に分割して燃焼室に噴射する多段噴射技術を開発しているが、このような多段噴射ではその噴射サイクルがコモンレール内の圧力変動と共振して脈動が大きくなるおそれがある。このように脈動を生ずる可能性が高い場合、上述の従来技術のような異常診断では、燃料噴射装置に実際には異常がない場合でも前記第1異常判定手段が前記脈動の影響で異常の判定を出すことが多くなり、誤診断を招き易くなる。
【0008】
そこで、本発明は、前記脈動による誤診断を防止することを目的とする
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題に対して前記脈動を避けて燃料圧力を検出しこれを異常診断に用いるようにしたものである。以下、具体的に説明する。
【0010】
本発明は、エンジンの気筒内燃焼室に燃料を直接噴射供給する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁に供給する燃料を高圧状態で蓄える蓄圧手段と、
前記蓄圧手段に蓄えられた燃料の圧力を調節する圧力調節手段と、
前記燃料噴射弁を作動させ燃料噴射を制御する噴射制御手段と、
前記蓄圧手段の前記燃料圧力に関する値を検出する手段と、
前記燃料噴射弁によって燃料が噴射されたときの前記検出手段による検出値に基づいて又は該検出値に前回値を反映させたなまし値に基づいて前記燃料噴射制御の異常を診断する異常診断手段とを備えているエンジンの制御装置において、
前記異常診断手段は、前記検出値又はなまし値を検出する時期を前記燃料噴射後の燃料圧力が最も低下する時点よりも遅らせるための遅延期間を設定する手段を備え、該遅延期間経過後の前記検出値又はなまし値に基づいて前記診断をする
【0011】
また、前記遅延期間設定手段は、前記遅延期間を、前記燃料噴射に起因する前記燃料圧力の脈動が前記異常診断に実質的に影響を与えなくなるように収束する時点以降に当該期間が終了するように設定する
【0012】
すなわち、燃料噴射弁によって燃料が噴射されると蓄圧手段の燃料圧力が低下する。その低下度合と予定する低下度合とのずれが大きい場合、例えば予定する燃料圧力に低下していない(低下量が大きい又は小さい)場合、あるいは低下速度(低下率)が予定よりも大きい又は小さい場合には、当該燃料噴射制御には燃料噴射弁の作動不良、蓄圧手段での燃料漏れ等の異常があったことになる。前記燃料圧力の低下度合は、蓄圧手段の燃料圧力に関する値を検出する手段の検出値に基づいて又は該検出値に前回値を反映させたなまし値に基づいて求めることができるが、蓄圧手段の燃料圧力に前記燃料噴射に伴って脈動を生ずると、その脈動に前記検出値又はなまし値が影響されて、当該異常診断の信頼性が低くなる。
【0013】
そこで、本発明は、前記検出値又はなまし値に基づいて前記異常診断をする時期を前記燃料噴射後の燃料圧力が最も低下する時点よりも遅らせるための遅延期間を設定する手段を設け、該遅延期間の設定により前記脈動を避けて前記検出値又はなまし値を得ることができるようにしたものである。
【0014】
前記蓄圧手段の燃料圧力に関する値を検出する手段としては、例えば蓄圧手段の燃料圧力を直接測定する圧力センサを採用することができ、蓄圧手段に燃料を加圧供給する供給源、或いは圧力調節手段に作用する負荷等から間接的に燃料圧力を検出するようにしてもよい。
【0015】
また、上述の如き遅延期間の設定により、該期間経過後の前記検出値又はなまし値には脈動の影響が実質的になくなり、信頼性の高い異常診断を行なうことができるようになる。
【0016】
そうして、本発明は、上述の如く遅延期間を前記脈動の収束時点以降に終了するように設定するエンジンの制御装置において、
前記噴射制御手段は、圧縮行程上死点付近で所定の休止間隔をおいて且つ該燃焼室での燃焼が継続するように燃料を燃焼室に複数回に分割して行なう多段噴射の制御形態を備え、
前記遅延期間設定手段は、前記噴射制御手段によって前記多段噴射の制御形態が採用されているときは、前記遅延期間を前記分割の回数が多くなるほど長くなるように設定することを特徴とする。
【0017】
すなわち、多段噴射の分割回数が多くなると、それだけ脈動の収束が遅れることになるため、前記遅延期間を長くするようにしたものである。
【0018】
また、本発明は、上述の如く遅延期間を前記脈動の収束時点以降に終了するように設定するエンジンの制御装置において、
前記噴射制御手段は、圧縮行程上死点付近で燃料を噴射する主噴射と、該主噴射後の膨張行程又は排気行程において燃料噴射する後噴射とを行なう制御形態を備え、
前記異常診断手段は、前記主噴射制御及び後噴射制御のうちの少なくとも一方の異常を診断するものであり、
前記異常診断手段による異常診断の際に、前記後噴射の時期を、前記主噴射に起因する前記燃料圧力の脈動が当該後噴射の噴射圧力に実質的に影響を与えなくなるように収束した時点の後となるように変更する後噴射時期変更手段を備えていることを特徴とする。
【0019】
すなわち、主噴射制御の異常を診断する場合、その主噴射に伴う燃料圧力の脈動が収束する前に後噴射時期が到来するのであれば、その前の脈動中の前記検出値又はなまし値に基づいて前記主噴射制御の異常を診断する必要があり、異常診断の信頼性が低下する。一方、後噴射制御の異常を診断する場合でも、主噴射に伴う燃料圧力の脈動が収束する前に後噴射時期が到来するのであれば、その後噴射自体が脈動の影響を受けることになり、誤診断を招き易くなる。そこで、本発明は、主噴射による脈動が収束した後に後噴射を行なうようにして、主噴射制御及び後噴射制御のいずれを診断する場合でも信頼性の高い結果が得られるようにしたものである。
【0020】
また、本発明は、上述の如く遅延期間を前記脈動の収束時点以降に終了するように設定するエンジンの制御装置において、
前記噴射制御手段は、圧縮行程上死点付近で燃料を噴射する主噴射と、該主噴射後の膨張行程又は排気行程において燃料噴射する後噴射とを行なう制御形態を備え、
前記燃料噴射弁によって後噴射がされたときの前記検出手段による検出値に基づいて又は該検出値に前回値を反映させたなまし値に基づいて前記蓄圧手段の燃料圧力が目標圧力となるように次の主噴射開始より所定期間前から前記圧力調節手段による昇圧制御を開始する圧力制御手段を備え、
前記異常診断手段は、前記主噴射制御及び後噴射制御のうちの少なくとも後噴射制御の異常を診断するものであり、
前記異常診断手段による前記後噴射制御の異常診断の際に、該後噴射の時期を前記昇圧制御開始前に前記遅延期間が終了するように変更する後噴射時期変更手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
これにより、後噴射から前記遅延期間を経過した後の前記検出値又はなまし値に基づいてこの後噴射制御の異常を精度良く診断することができるとともに、この遅延期間経過後の検出値又はなまし値に基づいて前記所定期間前から昇圧制御を開始することができ、前の噴射に伴う燃料圧力の脈動に影響されることなく次の主噴射のために前記蓄圧手段の燃料圧力を目標圧力に確実に高めることができる。
【0022】
換言すれば、上述の如く後噴射時期を変更するから、前記遅延期間及び所定期間を確保することができ、後噴射制御の異常診断の精度が高まるととともに、次の主噴射のための昇圧制御を確実に行なうことができ、この主噴射制御の異常診断の精度も高くなる。
【0023】
前記遅延期間設定手段は、前記遅延期間を燃料噴射の際の燃料圧力が高いほど長くなるように設定することができる。
【0024】
すなわち、燃料噴射の際の燃料圧力が高くなるほど前記脈動が大きくなり、その収束に時間がかかるため、遅延期間を長くして脈動を避けるものである。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、燃料噴射によって蓄圧手段の燃料圧力に脈動を生じても、この脈動に影響されることなく噴射制御の異常診断を行なうことができ、異常診断の信頼性の向上を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は本発明の実施形態1に係るディーゼルエンジンの制御装置Aの全体構成を示し、1は車両に搭載される直列4気筒ディーゼルエンジンである。このエンジン1は4つの気筒2を有し、その各気筒2内にピストン(図示せず)嵌装されていて、このピストンと気筒2により各気筒2内に燃焼室4が形成されるようになっている。また、その各燃焼室4の上面略中央部には、図には誇張して示すが、気筒2の軸線に沿って延びるようにインジェクタ(燃料噴射弁)5が配設されている。これらのインジェクタ5は、それぞれ燃料を噴射圧以上の高圧状態で蓄える共通のコモンレール6(蓄圧手段)に対し分岐管6aにより接続されており、各気筒毎に所定の噴射タイミングになると開閉作動されて、それぞれ先端部の複数の噴孔から高圧の燃料を燃焼室4に直接噴射供給するようになっている。
【0028】
コモンレール6には、内部の燃料圧力(コモンレール圧)を検出する燃料圧力センサ(燃料圧力に関する値を検出する手段)6bが配設されている。コモンレール6は高圧燃料供給管7を介して燃料ポンプ8に接続され、その燃料ポンプ8は燃料供給管9を介して燃料タンク10に接続されている。この燃料ポンプ8は、入力軸8aによりエンジン1のクランク軸からの回転入力を受け入れて作動し、燃料供給管9を介して燃料タンク10内の燃料を燃料フィルタ11により濾過しながら吸い上げるとともに、この燃料をジャーク式圧送系によりコモンレール6に圧送する。
【0029】
前記燃料ポンプ8には、その圧送系により送り出される燃料の一部を燃料戻し管12に逃がして、ポンプの吐出量を調節する電磁式リリーフ弁12aが設けられており、このリリーフ弁12aの開度が前記燃料圧力センサ6bによる検出値に応じて制御されることにより、コモンレール圧が所定値にフィードバック制御されるようになっており、このリリーフ弁12aは圧力調節手段を構成している。また、同図の符号13は、コモンレール圧が所定値以上になったときに、燃料をコモンレール6から排出させるプレッシャリミッタを示し、このプレッシャリミッタから排出された燃料は燃料戻し管14を流通して、燃料タンク10に戻される。さらに、符号15は燃料の一部をインジェクタ5から燃料タンク10に戻すための燃料戻し管を示している。
【0030】
このエンジン1には、詳細は図示しないが、クランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ16と、吸排気系カム軸の回転角度を検出するカム角センサ17と、冷却水温度(エンジン水温)を検出するエンジン水温センサ18とが設けられている。前記クランク角センサ16は、クランク軸の端部に設けた被検出用プレートと、その外周に相対向するように配置した電磁ピックアップとからなり、前記被検出用プレートの外周部全周に亘って等間隔に形成された突起部の通過に対応して、パルス信号を出力するものである。また、前記カム角センサ17は、同様にカム軸周面の所定箇所に設けた複数の突起部と、その各突起部が通過するときにパルス信号を出力する電磁ピックアップとからなる。尚、符号19はカム軸により駆動されるバキュームポンプを示している。
【0031】
エンジン1の一側(図の上側)には、図外のエアクリーナで濾過した空気を供給する吸気通路20が接続され、この吸気通路20の下流端部はサージタンク21を介して気筒毎に分岐して、それぞれ吸気ポートにより各気筒2の燃焼室4に連通している。また、サージタンク21には、ターボ過給機31により過給された吸気の圧力を検出する過給圧センサ22が設けられている。そして、前記吸気通路20には、上流側から下流側に向かって順に、エンジン1に吸入される吸気流量を検出するホットフィルム式エアフローセンサ23と、後述のタービン29により駆動されて吸気を圧縮するブロワ24と、このブロワ24により圧縮した吸気を冷却するインタークーラ25と、吸気通路20の途中を絞る吸気絞り弁26とが設けられている。この吸気絞り弁26は、全閉状態でも吸気が流通可能なように切り欠きが設けられたバタフライバルブからなり、図示しないアクチュエータにより開閉されるようになっている。
【0032】
一方、エンジン1の他側(図の下側)には、各気筒2の燃焼室4からそれぞれ燃焼ガスを排出する排気マニホルド27が接続され、この排気マニホルド27の下流端集合部に排気通路28が接続され、この排気通路28には上流側から下流側に向かって順に、排気流により回転されるタービン29と、排気中の有害成分を浄化する触媒30とが配設されている。前記タービン29及びブロワ24からなるターボ過給機31は、タービン29の全周を囲むように配設された複数のフラップを有し、その各フラップの回動によりノズル断面積を変化させて、タービン29への排気流速を調整するようにしたVGT(バリアブルジオメトリーターボ)である。
【0033】
前記排気通路28のタービン29よりも排気上流側の部位からは、排気の一部を吸気側に還流させる排気還流通路(以下EGR通路という)33が分岐している。このEGR通路33の下流端は吸気絞り弁26よりも吸気下流側の吸気通路20に接続されており、そのEGR通路33の途中の下流端寄りには、開度調節可能な負圧作動式の排気還流量調節弁(以下EGR弁という)34が配置されている。このEGR弁34は、バキュームポンプ19からの負圧により駆動される負圧駆動式のアクチュエータ35により開閉作動されるように構成され、EGR通路33の通路断面積をリニアに変化させて、吸気通路20に還流される排気の流量を調節するようになっている。
【0034】
前記各インジェクタ5、燃料ポンプ8、吸気絞り弁26,EGR弁34等はコントロールユニット(Electronic Contorol Unit:以下ECUという)40からの制御信号によって作動するようになっている。一方、このECU40には、前記燃料圧力センサ6bからの出力信号と、クランク角センサ16及びカム角センサ17からの出力信号と、エンジン水温センサ18からの出力信号と、エアフローセンサ23からの出力信号と、車両の運転者による図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ36からの出力信号とが少なくとも入力されている。
【0035】
そして、インジェクタ5の作動により燃料噴射量及び噴射時期(インジェクタ5の開弁開始時期)がエンジン1の運転状態に応じて制御される。また、燃料圧力センサ6bによって検出される燃料圧力Pcに基づいてリリーフ弁12aの作動によりコモンレール圧、即ち燃料噴射圧が制御され、噴射制御の異常診断がなされる。また、吸気絞り弁26の作動により吸入空気量が制御され、EGR弁34の作動により排気の還流状態が制御され、さらに、ターボ過給機31のフラップの作動制御が行われるようになっている。
【0036】
(コモンレール圧制御、燃料噴射制御、異常診断)
コモンレール圧Pcはリリーフ弁12aの閉弁時期を制御することによって目標圧Pcrになるように制御される。この閉弁時期は、基本制御量T-PCV にフィードバック制御量T-PCFBを与えて設定される。基本制御量T-PCV は、現在のエンジン回転数Ne、燃料噴射後の現コモンレール圧Pc、各燃焼サイクルで必要とする目標噴射量Qt、並びにオフセット値oft に基づいて演算される。フィードバック制御量T-PCFBは、目標総噴射量Qtに対応する目標コモンレール圧Pcrと燃料噴射後の現コモンレール圧Pcとの偏差に基づいてPID動作により所定のゲインを与えて演算される。オフセット値oft は、燃料噴射装置を構成する機器の機差ばらつきを抑制するためのものであって、フィードバック制御量T-PCFBを学習することによって求められる。
【0037】
フィードバック制御量T-PCFBは後述する異常診断に用いられる。
【0038】
燃料噴射形態としては、目標トルクが得られるように圧縮行程上死点付近で燃料を噴射する主噴射のみを行なう形態と、排気ガス浄化用触媒にNOx浄化用のHC(炭化水素)に代表される還元剤を供給するために主噴射後に後噴射を行なう形態とがある。主噴射は、燃料を一括して1回で噴射する一括噴射形態と、燃料を複数回に分割し適切な噴射休止時間Δtをおいて噴射する多段噴射形態とがある。一括噴射では必要に応じて圧縮行程上死点前に燃料を少量噴射するパイロット噴射の後に残量を噴射する形態が採用される。多段噴射としては、例えば2段噴射、3段噴射が採用される。これらの燃料噴射形態は、ECU40に予め電子的に格納されたマップに基づいて選択されるものであり、そのマップではエンジン運転状態(エンジン回転数,アクセル開度、エンジン水温、触媒温度等)に応じて適切な噴射形態が設定されている。
【0039】
基本燃料噴射量(主噴射量)及び後噴射量、並びに噴射時期は予め電子的に格納されたマップからエンジン運転状態に応じて設定される。後噴射時期に関しては、後述の異常診断をする際にコモンレール圧の脈動期間を避けるように補正され、また、コモンレール圧の昇圧制御の妨げにならないように補正される。
【0040】
前記多段噴射について説明すると、これは、図2に例示するように主噴射燃料を(a)の如く一括して噴射するのではなく、圧縮行程上死点付近において燃焼室での燃料の燃焼が継続するように(b),(c)の如く複数回に分割して噴射するというものである。各回の噴射の開弁時間は800μ秒以下、噴射休止間隔(インジェクタ5の噴孔が閉じてから次に開くまでの時間)Δtは50〜1000μ秒とすることが好ましい。2回目の噴射は圧縮行程上死点以降に行なうことが好ましい。図2では3段の分割までを例示しているが、必要に応じて4段以上に分割してもよい。この多段分割噴射の基本的作用は次の通りである。
【0041】
インジェクタ5の噴孔から噴出した燃料は全体として円錐形状の噴霧を形成しながら燃焼室4に広がるとともに、空気との摩擦により***を繰り返して微小な油滴になり、それらの油滴の表面から燃料が蒸発して燃料蒸気が生成される。その際、燃料が分割して噴射されることで、最初に噴射された燃料による予混合燃焼の割合は相対的に少なくなり、燃焼初期に燃焼圧や燃焼温度が過度に上昇することがなくなるので、NOxの生成が低減する。
【0042】
噴射休止間隔Δtが50μ秒以上に設定されているので、先に噴射された燃料油滴に後から噴射された燃料油滴が追いつくことは殆どない。特に、2回目の噴射を圧縮行程上死点以降に行なえば、この2回目の噴射燃料が直ちに燃焼し、燃焼室4の圧力が大きく上昇して圧縮空気の粘性が高くなるので、3回目の噴射燃料の油滴は直ちに減速され、先に噴射された燃料の油滴に追いつくことはない。各回の開弁時間が略800μ秒以下に設定されているので、各回の燃料噴射量が少なく、その燃料噴霧中での油滴同士の再結合も最小限に抑制されるので、例えば燃圧を高めて燃料の噴出速度を大きくすることにより、燃料の微粒化ひいては気化霧化を十分に促進して、燃料蒸気と空気との混合状態を大幅に改善することができる。噴射休止間隔Δtが1000μ秒以下に設定されているので、先に噴射された燃料の燃焼が終了する前に次の噴射燃料が燃焼し始めるというように、各噴射による燃料が途切れることなく良好に燃焼される。
【0043】
要するに、主噴射を分割して行うことにより、噴射された燃料の燃焼状態を極めて良好なものにして、燃費改善とスモーク生成の抑制とを実現できる。また、噴射終了時期は相対的に遅くなるものの、その間に断続的に噴射される燃料は上述の如く良好に気化霧化されて拡散燃焼するので、燃料噴射時期を遅角補正した場合のように燃焼状態が悪くなることはなく、むしろ、燃焼室4の圧力が相対的に長い間、高い状態に維持されて、燃焼ガスの膨張力が極めて有効にピストン3に伝達されるようになり、機械効率の向上によっても燃費の改善が図られる。
【0044】
異常診断は、上述の如き噴射制御に異常があるか否かを前記圧力センサ6bによる検出値又は該検出値のなまし値に基づいて診断するものであり、その変化度が所定の閾値を越えているときに異常と判定することになる。本実施形態では前記フィードバック制御量T-PCFBに基づいて噴射制御全体の異常を診断する一方、主噴射(多段噴射)後の前記検出値並びに後噴射後の前記検出値に基づいて主噴射制御の異常、後噴射制御の異常を診るようになっている。
【0045】
そうして、前記異常診断のための検出値としては燃料噴射に伴うコモンレール圧の脈動が収束した後のものを採用するようにしており、主噴射制御及び後噴射制御の異常診断においては、その脈動を避けるための遅延期間は燃料噴射の際の燃料圧力が高いほど、また、多段噴射の分割回数が多くなるほどそれぞれ長くなるように設定するようにしている。
【0046】
以下、コモンレール圧制御、燃料噴射制御及び異常診断についてフロー図を参照しながら具体的に説明する。
【0047】
−コモンレール圧制御−
図3及び図4に示すコモンレール圧制御は各気筒毎に行なわれるものであり、スタート後のステップS1でエンジン回転数、アクセル開度、クランク角度等のデータの入力が開始され、続くステップS2でクランク角度CAはATDC(圧縮行程上死点後)90゜CAか否かが判別される。90゜CAであれば、ステップS3に進んでフラグF=1とされ、続くステップS4でコモンレール圧Pcが読み込まれる。このコモンレール圧Pcはコモンレール圧の制御に用いられるとともに、後述する異常診断に用いられるものであり、ステップS2は遅延期間設定手段を構成している。フラグF=1はコモンレール圧の昇圧制御中であることを意味する。ステップS2で90゜CAでなければ、ステップS5に進んでF=1、つまり昇圧制御中か否かが判別され、昇圧制御中であればステップS3に進み、昇圧制御中でなければステップS6に進んでリリーフ弁12aを開とする。
【0048】
ステップS4に続くステップS7ではエンジン運転状態に応じて定まる主噴射量及び副噴射量(後噴射量)とに基づいて目標総噴射量(主噴射量と副噴射量との和)Qtを算出し設定する。続くステップS8でリリーフ弁12aを閉とする時期を制御するための基本制御量T-PCVを現在のエンジン回転数Ne、燃料噴射後の現コモンレール圧Pc、目標総噴射量Qt、並びにオフセット値oft に基づいて算出する。すなわち、次式の通りであり、a、b及びcは予め定められた係数である。
【0049】
T-PCV=a×Ne+b×Pc+c×Qt+oft
続くステップS9で目標総噴射量Qtに対応する目標コモンレール圧Pcrを設定し、ステップS10で目標コモンレール圧Pcrと現コモンレール圧Pcとの偏差に基づいてフィードバック制御量T-PCFBを算出し、ステップS11でT-PCFBのリミット処理を行なう。すなわち、フィードバック制御量T-PCFBには上限値と下限値とが予め定められていて、ステップS10で算出されたフィードバック制御量T-PCFBが当該上限値を越えて大きい場合、又は当該下限値を越えて小さい場合は、その上限値又は下限値がフィードバック制御量T-PCFBとされる。
【0050】
続くステップS12で前記リミット処理が行なわれたフィードバック制御量T-PCFBと基本制御量T-PCVとに基づいて最終制御量T-PCT(=T-PCFB+T-PCV)を算出し、続くステップS12で最終制御量T-PCTに基づいてリリーフ弁12aの閉弁時期を設定する。なお、前記リミット処理に関し、エンジン運転状態の変更直後等の過渡時にはフィードバック制御量T-PCFBの最終制御量T-PCTに与える影響が小さくなるようにリミット処理し、これにより、制御のオーバーシュート(行き過ぎ)を防止する。
【0051】
図4に示すように、続くステップS14でリリーフ弁12aの閉弁時期になったことが判別されると、ステップS15に進んでその閉弁を行なう。これにより、燃料ポンプ8による燃料がコモンレール6に供給され、コモンレール圧Pcが目標圧Pcrに上昇していく。続くステップS16でクランク角が圧縮上死点後の180゜に達したことが判別されると、ステップS17に進んでリリーフ弁12aを開く。これにより、コモンレール6への燃料の供給が停止される。なお、リリーフ弁12aは、これを開いても、コモンレール6及び燃料ポンプ8の燃料は燃料タンク10へは戻らず、次回のコモンレール圧の上昇のために燃料タンク10の燃料が燃料ポンプ8へ供給されるように構成されている。
【0052】
続くステップS18では前記オフセット値ofs をフィードバック制御量T-PCFBから学習するためのサンプリング回数NL をカウントし、ステップS19に進んで今回のフィードバック制御量T-PCFBを前回までのその積算値LNに加算する。続くステップS20でサンプリング数NL が予め設定された数NLO(例えば500〜1000)に達したか否かを判別し、達している場合にはステップS21に進んで積算値LNをサンプリング数NLOで除してなる平均値をオフセット値ofs とし、ステップS22に進んでフラグFを「0」とする。ステップS20でサンプリング数NL がNLOに達していなければ、ステップS22に進んでフラグFを「0」とする。
【0053】
従って、フィードバック制御量T-PCFBを長期的にみることによってオフセット値ofs が定まって機差ばらつきが抑制され、このオフセット値ofs を考慮して求まるフィードバック制御量T-PCFBを短期的にみることで後述の異常診断を精度良く行なうことができることになる。
【0054】
−燃料噴射制御−
図5に示す燃料噴射制御は各気筒毎に、また所定クランク角毎に実行されるものであり、スタート後のステップSA1でエンジン回転数、アクセル開度、クランク角度等のデータの入力が開始され、続くステップSA2でアクセル開度から求めた目標トルクとクランク角信号から求めたエンジン回転数とに基づいて燃料噴射量マップから基本噴射量(主噴射量)を読み込む。燃料噴射量マップは、アクセル開度及びエンジン回転数の変化に応じて実験的に決定した最適な噴射量を記録したものであり、基本噴射量は、アクセル開度が大きいほど、またエンジン回転数が高いほど、多くなるように設定されている。
【0055】
続くステップSA3では主噴射としての多段噴射の形態及び後噴射の形態をエンジン運転状態に応じて設定する。すなわち、多段噴射時期は圧縮行程上死点付近に設定し、例えばBTDC5°CA(クランク角度)を基準として、基本噴射量が多いほど進角され、少ないほど遅角される。また、エンジン水温が低いときには所定量リタードされて暖機運転される。また、触媒温度に応じて多段噴射の分割回数及び噴射休止時間Δtを設定する。例えば触媒温度が低いときは3段噴射としてΔtを長くし、触媒温度高いときは2段噴射としてΔtを短くする。これは分割回数が多くなるほど、また、排気ガス中のHC量が増え、排気ガス温度も高くなり、触媒温度の上昇に有利になるからである。また、触媒に対して多量のHCを供給してNOxの還元を促すべく間欠的に後噴射を行なう形態を設定する。例えば、後噴射量は基本噴射量の数%以下、後噴射時期はATDC(圧縮行程上死点後)30〜90゜CAの範囲に設定する。
【0056】
続くステップSA4でモニタ条件が成立しているか判別する。モニタとは異常診断を意味する。モニタ条件は、エンジンの運転状態が定常状態に入って所定時間を経過していること、異常診断が未だなされていないこと、エンジンの暖機が終了していること(排気ガス温度又はエンジン水温が所定値以上であること)、エンジン回転数が所定値以下であること(低回転又は中回転)並びにエンジン負荷が所定値以下であること(低負荷又は中負荷)である。
【0057】
エンジン回転数が低いときをモニタ条件とするのは、各気筒の噴射時期が同じクランク角度の時点に設定されていても、1つの気筒における主噴射から後噴射に至るまでの時間、後噴射から次の気筒の主噴射に至るまでの時間は長くなり、各噴射毎に生ずるコモンレール圧の脈動が次の噴射に影響を与えることが少なくなり、異常診断精度が高まるためである。エンジン負荷が低いことをモニタ条件とするのは、燃料噴射量が少ない場合には噴射前のコモンレール圧も低くなり、噴射後の前記脈動が大きくならず、異常診断精度を高める上で有利になるからである。
【0058】
前記モニタ条件が全て成立すると、ステップSA5に進んで主噴射(多段噴射)後に後噴射が行なわれるか否かを判別する。すなわち、主噴射後に後噴射がある場合には後噴射時期によっては異常診断に前記脈動が影響しその診断精度が低下するために、その後噴射時期を必要に応じて補正すべく後噴射の有無を判別するものである。
【0059】
後噴射がある場合にはステップSA6に進んで主噴射前の実際のコモンレール圧Pc及び多段噴射の分割回数に基づいて主噴射に伴って生ずるコモンレール圧の脈動期間、すなわち、主噴射脈動期間Tmd、並びに後噴射に伴って生ずるコモンレール圧の脈動期間、すなわち、後噴射脈動期間Tpdを設定する。このステップSA6は遅延期間設定手段を構成している。
【0060】
主噴射脈動期間Tmdは多段噴射の最終噴射開始(噴射弁開時点)からコモンレール圧の脈動が主噴射制御の異常診断に実質的に影響を与えない程度まで収束するに要する時間であり、後噴射脈動期間Tpdは後噴射の開始(噴射弁開時点)からコモンレール圧の脈動が後噴射制御の異常診断に実質的に影響を与えない程度まで収束するに要する時間であり、予め電子的に格納したマップから読み込んで設定する。異常診断に実質的に影響を与えないとは、この異常診断のために燃料噴射によって低下したコモンレール圧を検出するときに、その検出値に脈動の影響が実質的に現れないことをいう。
【0061】
前記マップではコモンレール圧が高いほど脈動期間Tmd,Tpdの各々が長くなるように、また、主噴射脈動期間Tmdについては多段噴射の分割回数が多くなるほど長くなるように設定されている。なお、主噴射前のコモンレール圧の方が後噴射前のコモンレール圧よりも高く、主噴射量の方が後噴射量よりも多く、しかも多段噴射ではその噴射サイクルに脈動が共振することがあるため、Tmd>Tpnとなる。
【0062】
続くステップSA7ではステップSA3で設定された噴射形態、すなわち、噴射時期とエンジン回転数とに基づいて、多段噴射の最終噴射開始から後噴射の開始までの時間Tmp、並びに後噴射の開始からクランク角がATDC(圧縮行程上死点後)90゜になるまでの時間Tpnを算出する。すなわち、ステップSA3では噴射時期をクランク角で設定するため、実際にかかる時間をエンジン回転数に基づいて算出するものである。
【0063】
続くステップSA8では前記多段噴射の最終噴射開始から後噴射の開始までの時間Tmpが前記主噴射脈動期間Tmdよりも長いか否かを判別する。この時間Tmpが主噴射脈動期間Tmdよりも長いということは、主噴射に伴う脈動が収束した後に該主噴射制御の異常診断のためのコモンレール圧の検出を行なうことができ、また、後噴射を実行することができるということである。従って、当該時間Tmpが主噴射脈動期間Tmd以下であれば、ステップSA9に進んで後噴射開始時期を多段噴射の最終噴射開始時点から前記主噴射脈動期間Tmdを経過した時点に補正することにより、当該脈動の影響なく前記異常診断のためのコモンレール圧の検出及び後噴射を実行することができるようにする。
【0064】
続くステップSA10では前記後噴射開始からATDC90゜CAまでの時間Tpnが前記後噴射脈動期間Tpdよりも長いか否かを判別する。すなわち、この時間Tpnが後噴射脈動期間Tpdよりも長いということは、後噴射に伴う脈動が収束した後に該後噴射制御の異常診断のためのコモンレール圧の検出を行なうことができ、また、次の主噴射及び後噴射のためのコモンレール圧の昇圧制御を実行することができるということである。従って、当該時間Tpnが後噴射脈動期間Tpd以下であれば、ステップSA11に進んで後噴射開始時期をATDC90゜CAより前記後噴射脈動期間Tpdだけ前の時点になるように補正することにより、当該脈動の影響なく前記異常診断のためのコモンレール圧の検出及び昇圧制御を実行することができるようにする。
【0065】
コモンレール圧の昇圧制御を前記脈動に影響されずに行なうことができるということは、コモンレール圧が適正な値に上昇するということであり、従って、次の噴射制御の異常診断を精度良く行なうことができることになる。なお、異常診断を行なわないときにはステップSA11の後噴射時期の補正は行なわれないことになるが、異常診断とは違って、通常の燃料噴射制御の場合はコモンレール圧が予定する値から多少ずれてもエンジンの運転ひいては自動車の運転には支障がない。
【0066】
そうして、以上の後噴射時期についての必要な補正を行なった後にステップSA12に進んで燃料噴射を実行する。また、ステップSA4でモニタ条件が成立していない場合、あるいはステップSA5で後噴射がない場合には前記後噴射時期の補正制御を行なうことなくステップSA12に進んで燃料噴射を実行することになる。
【0067】
上述のステップSA9及びSA11の各々は後噴射時期変更手段を構成している。
【0068】
−異常診断−
図6に示す異常診断フローは各気筒毎に実行されるものであり、スタート後のステップSB1でクランク角度等のデータの読込みを始め、ステップSB2でモニタ条件の成立を確認する。このモニタ条件は燃料噴射制御フロー(図5)のステップSA4と同じである。モニタ条件が全て成立すると、ステップSB3に進んで多段噴射の最終噴射開始直後であるか否かを判別する。
【0069】
最終噴射開始直後であることを判別すると、ステップSB4に進んでタイマーTmをカウントする。このタイマーTmは主噴射脈動期間Tmdの経過を監視するためのものである。多段噴射の最終噴射開始直後でない場合は、ステップSB5に進んでタイマーTmのカウント中か否かを判別する。カウント中であれば、ステップSB4に進んでタイマーTmのカウントを継続し、カウント中でなければ、フラグFが「1」か否かを判別し、「1」でなければリターンする。このフラグFは後噴射制御のモニタを実行しているときに「1」となるものである。
【0070】
次にステップSB7に進んでタイマーTmが主噴射脈動期間Tmdに達したか否かを判別し、達するとステップSB8に進んでその時点のコモンレール圧Pcを入力して主噴射制御診断用の検出圧Pcmとして記憶し、さらにステップSB9に進んでタイマーTmを零にする。
【0071】
続くステップSB10では多段噴射(主噴射)後に後噴射があるか否かを判別し、後噴射がある場合にはこの後噴射制御の異常診断をも行なうべくステップSB11に進んで後噴射の噴射開始直後か否かを判別する。後噴射開始直後であることを判別すると、ステップSB12に進んでタイマーTpをカウントする。このタイマーTpは後噴射脈動期間Tpdの経過を監視するためのものである。
【0072】
後噴射開始直後でない場合は、ステップSB13に進んでタイマーTpのカウント中か否かを判別する。カウント中であれば、ステップSB12に進んでタイマーTpのカウントを継続し、カウント中でなければ、ステップSB14に進んでフラグFを「1」としてリターンする。
【0073】
次にステップSB15に進んでタイマーTpが後噴射脈動期間Tpdに達したか否かを判別し、達するとステップSB16に進んでその時点のコモンレール圧Pcを入力して後噴射制御診断用の検出圧Pcpとして記憶し、さらにステップSB17に進んでタイマーTpを零にするとともに、フラグFを零にする。ステップSB15でタイマーTpが後噴射脈動期間Tpdに達していないと判別されたときはステップSB14に進んでフラグFを「1」としてリターンする。
【0074】
図7に示すようにステップSB17に続くステップSB18では、先に説明したコモンレール圧制御でのフィードバック制御量T-PCFBの算出が完了しているか否かを判別し、その算出が完了すると、ステップSB19に進んでそのフィードバック制御量T-PCFBを入力する。
【0075】
続くステップSB20では、上述の検出圧Pcmに基づいて主噴射制御の異常を診断するための閾値Pcmo 、検出圧Pcpに基づいて後噴射制御の異常を診断するための閾値Pcpo 、並びにフィードバック制御量T-PCFBに基づいて噴射制御全体としての異常を診断するための閾値T-PCFBo を、主噴射量(基本噴射量)、後噴射量及び主噴射前のコモンレール圧Pcに基づいて、予め電子的に格納したマップから読み込むことにより設定する。これらの閾値は、噴射制御を正常と認めることができる限界値を意味する。また、そのマップでは、閾値Pcmo 、Pcpo 及びT-PCFBo は、噴射量が大きくなるほど長くなるように、また、コモンレール圧Pcが大きくなるほど長くなるように設定されている。
【0076】
続くステップSB21ではモニタ回数Nmをカウントし、続くステップSB22でフィードバック制御量T-PCFBが閾値T-PCFBo よりも大きいか否か、すなわち、噴射制御全体としてみて異常か否かを判別し、異常のとき(T-PCFBo よりも大)はステップSB23に進んで装置異常回数Ndをカウントする。続くステップSB24では目標コモンレール圧Pcrと主噴射制御診断用の検出圧Pcmとの差(Pcr−Pcm)が閾値Pcmo よりも大きいか否か、すなわち、主噴射制御が異常か否かを判別し、異常のとき(Pcmo よりも大)はステップSB25に進んで主噴射異常回数Ndmをカウントする。
【0077】
続くステップSB26でモニタ回数Nmが設定回数Nmoに達したことを判別すると、ステップSB27に進んでモニタ回数Nmoに対する装置異常回数Ndの割合が基準値Ndoを越えるか否かを判別する。越える場合にはステップSB28に進んで噴射装置全体の異常としてワーニングをする。すなわち、基準値Ndoは装置異常ワーニングを出すか否かの閾値である。続くステップSB29ではモニタ回数Nmoに対する主噴射異常回数Ndmの割合が基準値Ndmo を越えるか否かを判別する。越える場合にはステップSB30に進んで主噴射制御の異常としてワーニングをする。すなわち、基準値Ndmo は主噴射制御異常ワーニングを出すか否かの閾値である。
【0078】
図8に示すように、続くステップSB31では主噴射後に後噴射があるか否かを判別し、後噴射があるときはステップSB32に進んで後噴射モニタ回数Npをカウントする。続くステップSB33では目標コモンレール圧Pcrと後噴射制御診断用の検出圧Pcpとの差(Pcr−Pcp)が閾値Pcpo よりも大きいか否か、すなわち、後噴射制御が異常か否かを判別し、異常のとき(Pcpo よりも大)はステップSB34に進んで後噴射異常回数Ndpをカウントする。
【0079】
続くステップSB35で後噴射モニタ回数Npが設定回数Npoに達したことを判別すると、ステップSB36に進んでモニタ回数Npoに対する後噴射異常回数Ndpの割合が基準値Ndpo を越えるか否かを判別する。越える場合にはステップSB37に進んで後噴射制御の異常としてワーニングをする。すなわち、基準値Ndpo は後噴射制御異常ワーニングを出すか否かの閾値である。
【0080】
上述の如く、本実施形態ではモニタ回数に対する異常回数の割合に基づいてワーニングを発するか否かを決定するから、一時的に異常が判定されても、その異常回数が多くならない限り異常ワーニングは出ない。これは、装置は正常であっても過渡時に異常判定が出やすいため、それを考慮したものである。また、噴射装置全体の異常診断を行なうだけでなく、主噴射制御及び後噴射制御の各々を個別に異常診断するようにしたから、異常の原因究明が容易になる。
【0081】
そうして、主噴射制御及び後噴射制御の異常診断にあたり、コモンレール圧の脈動期間経過後の検出圧を用いるようにしたから診断精度が高まる。また、主噴射制御の異常診断の際には、後噴射に伴うコモンレール圧の脈動が収束した後に昇圧制御を行なうことができるように後噴射時期を補正するようにしたから、次の主噴射前のコモンレール圧を所期の圧力に高めることができ、その主噴射制御の異常診断精度が高まる。
【0082】
図9は前記異常判定のタイムチャートを示す。多段噴射(主噴射)が行われると、各噴射段毎にコモンレール圧Pcが低下していくとともに、コモンレール6内にコモンレール圧の脈動を生じ、その脈動は主噴射脈動期間Tmdを経過した時点で収束する。後噴射が行なわれたときも脈動を生じ、それは後噴射脈動期間Tpdを経過した時点で収束する。
【0083】
主噴射脈動期間Tmdは多段噴射の最終噴射開始時点からの期間として設定し、後噴射脈動期間Tpdは後噴射開始時点からの期間として設定している。従って、主噴射脈動期間Tmdの経過を監視するためのタイマーTmは多段噴射の最終噴射開始直後からカウントし、後噴射脈動期間Tpdの経過を監視するためのタイマーTpは後噴射開始直後からカウントするものである。
【0084】
タイマーTmが主噴射脈動期間Tmdになると、そのときのコモンレール圧PcがPcmとして記憶され、目標コモンレール圧PcとPcmとの差が閾値Pcmo よりも大きい場合には主噴射制御の異常と判定する。また、タイマーTpが後噴射脈動期間Tpdになると、そのときのコモンレール圧PcがPcpとして記憶され、目標コモンレール圧PcとPcpとの差が閾値Pcpo よりも大きい場合には後噴射制御の異常と判定する。
【0085】
また、ATDC90゜CAになると、コモンレール圧フィードバック制御用(F/B用)のPcを読込み、リリーフ弁の閉時期を定め、その時期に至った時点でリリーフ弁を閉にする。これにより、コモンレール圧は目標圧Pcrに向かって上昇する。
【0086】
図10はエンジン回転数が図9のケースよりも高いときの後噴射時期の制御に関するタイムチャートを示す。エンジン回転数が高い場合には、図10の上側に示すように、多段噴射の最終噴射開始時点から当初予定の後噴射(同図上側に鎖線で示す)の開始時期までの期間Tmpが主噴射脈動期間Tmdよりも短くなる場合がある。このときは、後噴射時期を同図上側に実線で示すように主噴射脈動期間Tmdの後になるように遅角補正し、後噴射が主噴射脈動の影響を受けないようにするとともに、主噴射脈動収束後、後噴射開始前に異常診断のためのコモンレール圧の検出を行なうことになる。
【0087】
また、図10の下側に示すように、当初予定の後噴射(同図下側に鎖線で示す)の開始時点からATDC90゜CA(F/B用のPc検出時点)までの期間Tpnが後噴射脈動期間Tpdよりも短くなることがある。このときは、後噴射時期を同図下側に実線で示すようにATDC90゜CAよりも後噴射脈動期間Tpd以上に前になるように進角補正し、F/B用のPcが後噴射脈動の影響を受けないようにすることになる。
【0088】
−異常診断の他の実施形態−
図11は異常診断の他の実施形態のフローを示す。
【0089】
ステップSC1〜SC3,SC5,SC6は図6のステップSB1〜SB3,SB5,SB6と同じであるが、この実施形態ではステップSC4において異常診断用のPcフィルター値(なまし値)Pcfの算出を開始する。このPcフィルター値Pcfは、燃料圧力センサ6bによって検出されるコモンレール圧Pcになまし処理を施したものであり、具体的には次式のようにフィルター値の前回値を今回の検出値Pcに所定割合aだけ反映させることによって求める。
【0090】
Pcf=1/2{a×Pcf(k-1)+(1−a)×Pc(k)}
Pcf(k-1)はフィルター値の前回値であり、Pc(k)は今回の検出値である。また、0<a<1である。
【0091】
続くステップSC7では図6のステップSB4と同様に主噴射脈動期間Tkの経過を監視するタイマーTmをカウントする。この実施形態の場合は前記なまし値Pを異常診断に用いるため、脈動が異常診断に与える影響は弱くなり、主噴射脈動期間Tkは検出値Pcを用いる場合のTmdよりも短い。続くステップSC8でタイマーTmが主噴射脈動期間Tkになったか否かを判別し、Tm=Tkの場合にはステップSC9に進んでその時点のフィルター値Pcfを主噴射制御診断用の検出圧Pcmとして記憶し、さらにステップSC10に進んでタイマーTmを零にするとともに、フィルター値Pcfを初期値に戻す。
【0092】
続くステップSC11〜SC14は図6のステップSB10,11,13,14と同じである。すなわち、多段噴射(主噴射)後に後噴射があるか否かを判別し、後噴射がある場合にはこの後噴射制御の異常診断をも行なうべく後噴射の噴射開始直後か否かを判別する。後噴射開始直後でない場合は、後噴射脈動期間Tpdの経過を監視するためのタイマーTpのカウント中か否かを判別し、カウント中でなければフラグFを「1」としてリターンする。
【0093】
ステップSC12で後噴射開始直後であることを判別したとき又はステップSC13でタイマーTpのカウント中を判別したときは、ステップSC15に進んで後噴射制御の異常診断をするためのフィルター値PcfをステップSC4と同様にして算出し、ステップSC16に進んでタイマーTpのカウントを行なう。続くステップSC17に進んでタイマーTpが後噴射脈動期間Tkに達したか否かを判別し、達するとステップSC18に進んでその時点のフィルター値Pcfを後噴射制御診断用の検出圧Pcpとして記憶し、さらにステップSC19に進んでタイマーTpを零にするとともに、フラグFを零にし、フィルター値Pcfを初期値に戻す。後噴射脈動期間Tkは主噴射脈動期間Tkと同じであり、また、Tk<Tpdである。ステップSC19は図7のステップSB18に続き、さらに図8のフローに続く。
【0094】
上述の如く本実施形態の場合はフィルター値を異常診断に用いるため、コモンレール圧の脈動による誤診断を避けるための脈動期間Tkを先の実施形態よりも短くすることができる。従って、図5に示す燃料噴射制御における後噴射時期の異常診断のための補正量が少なくなり又は零になり、エンジンの運転状態等に基づいて要求される燃料噴射制御を実行し易くなる。ひいては、図5に示す後噴射時期補正制御を行なう必要がなくなる。また、後噴射制御の異常診断のためのフィルター値Pcfは、多段噴射(主噴射)制御の異常診断のためのフィルター値Pcfとは別に求められるため、その影響を受けない。
【0095】
なお、コモンレール圧制御において、その図3に示すステップS4では、検出値Pcに代えて、フィルター値Pcfを算出して読み込むようにしてもよい。
【0096】
参考
以上では異常診断を中心に本発明を説明したが、異常診断を行なわないときの燃料噴射制御では、図5に示すフローのモニタ条件成立の判別ステップSA4をなくし、ステップSA3で多段噴射及び後噴射の形態を設定した後、ステップSA5に進んで後噴射の有無を判別し、後噴射があるときにはステップSA6以下へ進むようにする。
【0097】
この形態においては、多段噴射の最終噴射開始から後噴射の開始までの時間Tmpが主噴射脈動期間Tmdよりも短いときは、後噴射の開始時期が主噴射脈動期間Tmdの経過後になるように補正されることになり、後噴射時の燃料噴射圧力が主噴射に伴う脈動の影響を受けなくなり、所期の噴射量を後噴射させる上で有利になる。
【0098】
また、後噴射開始からATDC90゜CAまでの時間Tpnが後噴射脈動期間Tpdよりも短いときは、後噴射開始時期がATDC(圧縮行程上死点後)90゜CAより後噴射脈動期間Tpdだけ前の時点になるように補正されることになり、次の主噴射のための昇圧制御が後噴射による脈動に影響されなくなるから、所期の噴射量を得る上で有利になる。
【0099】
−その他−
上記実施形態では異常診断用Pcm又はPcpと目標圧Pcrとの差、すなわち、コモンレール圧の低下量が閾値よりも大きいか否かで異常診断を行なうようにしたが、当該低下量と、正常時に見込まれる低下量との偏差を求め、その偏差の大小に基づいて異常診断を行なうようにしてもよい。これによれば、噴射量が予定より少ないときも異常と診断されることになる。この点はフィルター値を用いる場合も同じである。
【0100】
また、上記実施形態の主噴射は多段噴射であるが、一括噴射であっても同様に実施することができる。
【0101】
また、本実施形態ではディーゼルエンジンについて説明したが、本発明は、ガソリンエンジンにおいて蓄圧手段により蓄圧した燃料を燃焼室内に直接噴射するものを含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置の全体構成図。
【図2】 同形態の多段噴射のタイムチャート図。
【図3】 同形態のコモンレール圧制御フローの前半部分の図。
【図4】 同形態のコモンレール圧制御フローの後半部分の図。
【図5】 同形態の燃料噴射制御フロー図。
【図6】 同形態の異常診断フローの前段部分の図。
【図7】 同形態の異常診断フローの中段部分の図。
【図8】 同形態の異常診断フローの後段部分の図。
【図9】 同形態の異常診断のタイムチャート図。
【図10】 同形態の後噴射時期変更のタイムチャート図。
【図11】 他の実施形態に係る異常診断フローの前段部分の図。
【符号の説明】
A エンジンの制御装置
1 ディーゼルエンジン
2 気筒
4 燃焼室
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
6 コモンレール(蓄圧手段)
6b 燃料圧力センサ(検出手段)
8 燃料ポンプ
12a リリーフ弁(圧力調節手段)
40 ECU

Claims (3)

  1. エンジンの気筒内燃焼室に燃料を直接噴射供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁に供給する燃料を高圧状態で蓄える蓄圧手段と、
    前記蓄圧手段に蓄えられた燃料の圧力を調節する圧力調節手段と、
    前記燃料噴射弁を作動させ燃料噴射を制御する噴射制御手段と、
    前記蓄圧手段の前記燃料圧力に関する値を検出する手段と、
    前記燃料噴射弁によって燃料が噴射されたときの前記検出手段による検出値に基づいて又は該検出値に前回値を反映させたなまし値に基づいて前記燃料噴射制御の異常を診断する異常診断手段とを備えているエンジンの制御装置において、
    前記噴射制御手段は、圧縮行程上死点付近で所定の休止間隔をおいて且つ該燃焼室での燃焼が継続するように燃料を燃焼室に複数回に分割して行なう多段噴射の制御形態を備え、
    前記異常診断手段は、前記検出値又はなまし値を検出する時期を前記燃料噴射後の燃料圧力が最も低下する時点よりも遅らせるための遅延期間を設定する手段を備え、該遅延期間経過後の前記検出値又はなまし値に基づいて前記診断をするものであり、
    前記遅延期間設定手段は、前記遅延期間を、前記燃料噴射に起因する前記燃料圧力の脈動が前記異常診断に実質的に影響を与えなくなるように収束する時点以降に当該期間が終了するように設定し、且つ前記噴射制御手段によって前記多段噴射の制御形態が採用されているときは、前記遅延期間を前記分割の回数が多くなるほど長くなるように設定することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. エンジンの気筒内燃焼室に燃料を直接噴射供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁に供給する燃料を高圧状態で蓄える蓄圧手段と、
    前記蓄圧手段に蓄えられた燃料の圧力を調節する圧力調節手段と、
    前記燃料噴射弁を作動させ燃料噴射を制御する噴射制御手段と、
    前記蓄圧手段の前記燃料圧力に関する値を検出する手段と、
    前記燃料噴射弁によって燃料が噴射されたときの前記検出手段による検出値に基づいて又は該検出値に前回値を反映させたなまし値に基づいて前記燃料噴射制御の異常を診断する異常診断手段とを備えているエンジンの制御装置において、
    前記噴射制御手段は、圧縮行程上死点付近で燃料を噴射する主噴射と、該主噴射後の膨張行程又は排気行程において燃料噴射する後噴射とを行なう制御形態を備え、
    前記異常診断手段は、前記検出値又はなまし値を検出する時期を前記燃料噴射後の燃料圧力が最も低下する時点よりも遅らせるための遅延期間を設定する手段を備え、該遅延期間経過後の前記検出値又はなまし値に基づいて前記主噴射制御及び後噴射制御のうちの少なくとも一方の異常を診断するものであり、
    前記遅延期間設定手段は、前記遅延期間を、前記燃料噴射に起因する前記燃料圧力の脈動が前記異常診断に実質的に影響を与えなくなるように収束する時点以降に当該期間が終了するように設定するものであり、
    前記異常診断手段による異常診断の際に、前記後噴射の時期を、前記主噴射に起因する前記燃料圧力の脈動が当該後噴射の噴射圧力に実質的に影響を与えなくなるように収束した時点の後となるように変更する後噴射時期変更手段を備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. エンジンの気筒内燃焼室に燃料を直接噴射供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁に供給する燃料を高圧状態で蓄える蓄圧手段と、
    前記蓄圧手段に蓄えられた燃料の圧力を調節する圧力調節手段と、
    前記燃料噴射弁を作動させ燃料噴射を制御する噴射制御手段と、
    前記蓄圧手段の前記燃料圧力に関する値を検出する手段と、
    前記燃料噴射弁によって燃料が噴射されたときの前記検出手段による検出値に基づいて又は該検出値に前回値を反映させたなまし値に基づいて前記燃料噴射制御の異常を診断する異常診断手段とを備えているエンジンの制御装置において、
    前記噴射制御手段は、圧縮行程上死点付近で燃料を噴射する主噴射と、該主噴射後の膨張行程又は排気行程において燃料噴射する後噴射とを行なう制御形態を備え、
    前記異常診断手段は、前記検出値又はなまし値を検出する時期を前記燃料噴射後の燃料圧力が最も低下する時点よりも遅らせるための遅延期間を設定する手段を備え、該遅延期間経過後の前記検出値又はなまし値に基づいて前記主噴射制御及び後噴射制御のうちの少なくとも後噴射制御の異常を診断するものであり、
    前記遅延期間設定手段は、前記遅延期間を、前記燃料噴射に起因する前記燃料圧力の脈動が前記異常診断に実質的に影響を与えなくなるように収束する時点以降に当該期間が終了するように設定するものであり、
    前記燃料噴射弁によって後噴射がされたときの前記検出手段による検出値に基づいて又は該検出値に前回値を反映させたなまし値に基づいて前記蓄圧手段の燃料圧力が目標圧力となるように次の主噴射開始より所定期間前から前記圧力調節手段による昇圧制御を開始する圧力制御手段を備え、
    前記異常診断手段による前記後噴射制御の異常診断の際に、該後噴射の時期を前記昇圧制御開始前に前記遅延期間が終了するように変更する後噴射時期変更手段を備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
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