JP4370647B2 - Simox基板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、SIMOX基板及びその製造方法に係り、特に低エネルギー条件かつ低ドーズ条件で酸素イオンを注入して形成する、高品質なSIMOX基板及びその製造方法に関する。
【従来の技術】
従来、二枚の半導体基板の間に酸化膜(SiO2)を介在させて貼り合わせた後、活性側となる半導体基板を薄膜化して形成する、SOI(Silicon on Insulator) 基板が知られている。SOI基板は、高耐圧性及び高速性等の効果を有する半導体デバイス用の基板として用いられている。
【0001】
SOI基板の一つにSIMOX基板がある。SIMOX(separation by implanted oxygen)基板とは、シリコン基板中に酸素の高濃度イオンを注入して、シリコン基板中に酸化膜(SiO2)を形成したSOI基板である。
【0002】
SIMOX基板の製造方法は、通常、単結晶シリコン基板を500℃乃至600℃に加熱し、加熱した状態で高濃度の酸素原子イオン又は酸素分子イオンを前記単結晶シリコン基板に注入して、所定深さの高濃度酸素イオン注入層を形成する。その後、前記シリコン基板は、1100℃以上1400℃以下の微量酸素含有不活性ガス雰囲気下で、数時間熱処理を行い、前記酸素イオン注入層を埋め込み酸化膜(以下、埋め込み酸化膜を「BOX」という。)とし、表面にシリコン単結晶の活性層を有するSIMOX基板とする。SIMOX基板は、二枚のシリコン基板の貼り合わされたSOI基板と比較して、表面の研磨加工を必要とせず、表面の活性層領域の膜厚均一性に優れ、かつ、SOI基板のように二枚の半導体を貼り合わせて形成する必要がないという利点を有する。
【0003】
また、特開平7−263538号公報のSIMOX基板の製造方法においては、前記熱処理を施した後、更に酸素含有率を高くしたガス雰囲気下で、再度熱処理を施し、BOXを厚膜化する方法や、BOX内のピンホールを低減させる方法(以下「ITOX処理」という。)が開示されている。
【0004】
更に前記公報においては、酸素イオン注入後に熱処理を行い、予め埋め込み酸化膜を形成したSIMOX基板に、酸素イオン注入量により計算される理論的膜厚となる熱処理を行った後、前記基板を高温酸素雰囲気中で酸化処理を施し、表面シリコン層の結晶欠陥を発生させず、また、埋め込み酸化膜に発生するピンホールを閉塞している。また、高温酸化処理の前後に犠牲酸化処理を行い、表面活性層を所望の厚さまで薄膜化している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来において、SIMOX基板は、高エネルギー条件、かつ、高ドーズ条件によってイオンを注入してSIMOX基板を製造していた。例えば、酸素原子イオンをシリコン単結晶基板に注入する際には、注入エネルギーとして、180〜200KeV必要であり、ドーズ量は、1.0×1018/cm− 2〜2.0×1018/cm− 2必要である。
【0006】
前記高ドーズ条件を必要とする製造方法では、SIMOX基板の活性層に高密度の貫通転位や積層欠陥を誘発するという問題がある。
【0007】
そこで、生産性の点を考慮し、SIMOX基板の製造方法において、イオン注入の条件として、高エネルギー条件かつ低ドーズ条件が、現在のSIMOX基板の製造の主流となっている。
【0008】
酸素イオンを低ドーズ条件で注入する場合、酸素ドーズ量が低いため、BOXの信頼性を向上するためには、前述したように、酸素イオン注入量により計算される理論的膜厚となる熱処理を行うITOX処理を実施する必要がある。
【0009】
また、低エネルギー条件かつ低ドーズ条件で製造し、活性層をより薄膜化したSIMOX基板も要求されている。例えば、低エネルギー条件かつ低ドーズ条件として、酸素原子イオンの注入エネルギーは、30KeV程度、かつ、ドーズ量は、2×1017cm−2〜4×1017cm−2の条件でSIMOX基板の製造が行われる場合もある。
【0010】
しかし、前述のような低エネルギー条件、かつ、低ドーズ条件でSIMOX基板を製造した場合は、基板の活性層が薄膜化されるため、理論的膜厚となっている埋め込み酸化膜の上に、更に酸化膜を形成し、埋め込み酸化膜を厚膜化するITOX処理を行うことができず、BOXの信頼性に疑問が残るという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みて、低エネルギー条件、かつ、低ドーズ条件でSIMOX基板を製造し、従来品よりも高品質である活性層及びBOXを備えたSIMOX基板、及びBOXの膜厚制御も可能とするSIMOX基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願第1請求項に記載した発明は、シリコン半導体のSIMOX基板の製造方法において、シリコン半導体基板表面に酸素イオンを注入する工程と、単結晶として残った表面にシリコンエピタキシャル成長を行う工程と、その後、1100℃以上1400℃以下の酸化雰囲気下で高温熱処理を行う工程を備えたSIMOX基板の製造方法である。
【0013】
イオン注入時のシリコン半導体基板の最表面は、注入したイオンのイオン加速エネルギーが高いため、単結晶構造を有する。このため基板表面に単結晶成長層となる良好なエピタキシャル成長を行うことが可能となり、所望の厚さのエピタキシャル層を形成し、埋め込み酸化膜(BOX)形成後は、所望の膜厚の活性層となる。その後、半導体基板に注入されたイオンは、酸化性雰囲気下の高温熱処理工程において、基板中に埋め込み酸化膜(BOX)を形成し、SIMOX基板となる。注入イオンにより形成する埋め込み酸化膜(BOX)は、エピタキシャル成長により形成されたエピタキシャル層下の活性層側領域である、貫通転位や積層欠陥の存在するシリコンを消費して所望の厚さに制御できる。このため、イオン注入を低エネルギー条件かつ低ドーズ条件としてSIMOX基板を製造した場合であっても、所望の厚さの活性層及び埋め込み酸化膜を備え、欠陥の少ない高品質なSIMOX基板を提供することが可能となる。
【0014】
本願第2請求項に記載した発明は、前記請求項1記載の前記高温熱処理を行う工程において、酸化性雰囲気中の酸素分圧が0.05%以上であるSIMOX基板の製造方法である。
【0015】
酸素分圧0.05%以上の酸化雰囲気下で、1100℃以上1400℃以下の温度範囲で熱処理を行うと、シリコン半導体基板表面の熱酸化膜が成長し、同時に、前記基板内部にも雰囲気中の酸素が前記基板へ内方拡散され、基板内部の埋め込み酸化膜(BOX)も成長する。また、1100℃以上の熱処理では、熱処理初期に高酸素分圧下だと、活性層側に欠陥を誘発しやすくなる。また、酸素分圧が低すぎるとBOX成長が起こらないので下限として0.05%とした。
【0016】
本願第3請求項に記載した発明は、前記請求項1記載の前記高温熱処理工程において、埋め込み酸化膜を形成する際に、内部酸化によって、高温熱処理工程前に形成したエピタキシャル層下の領域を埋め込み酸化膜として消費し、活性層と、埋め込み酸化膜と、支持基板の三層構造を備えたSIMOX基板となす製造方法である。
【0017】
注入された酸素イオンによる内部酸化によって形成する埋め込み酸化膜は、シリコン半導体基板において、あらかじめ形成したエピタキシャル膜下の活性層側領域の消費を意味するため、基板は最終的に活性層、埋め込み酸化膜(BOX)、支持基板の三層構造となる。埋め込み酸化膜は、貫通転位や積層欠陥の存在する活性層側のシリコンを埋め込み酸化膜として消費して成長し、膜厚が制御されるため、貫通転位や積層欠陥の存在しない信頼性の高い三層構造のSIMOX基板となすことができる。
【0018】
本願第4請求項に記載した発明は、前記請求項1乃至3いずれか記載の前記酸素イオンを注入する工程において、ソース源として、酸素原子イオン又は酸素分子イオンを用いている。
【0019】
本願第5請求項に記載した発明は、前記請求項1乃至4いずれか記載の前記酸素イオンを注入する工程において、酸素原子イオンをソース源とする場合は、注入エネルギーを40KeV以下で注入し、酸素分子イオンをソース源とする場合は、注入エネルギーを80KeV以下で注入する。
【0020】
酸素原子イオンの注入エネルギーを40KeV、酸素分子イオンの注入エネルギーを80KeVの低エネルギー条件であっても、エピタキシャル膜下の活性層側領域を効率良く消費して、埋め込み酸化膜(BOX)の膜厚を所望の厚さとすることが可能となる。
【0021】
本願第6請求項に記載した発明は、前記請求項3乃至5の発明において、前記酸素イオンを注入する工程後、前記エピタキシャル成長処理工程前に、1050℃以上の水素ガス雰囲気で1秒以上の熱処理する工程を設けたSIMOX基板の製造方法である。
【0022】
エピタキシャル成長を行う工程の前処理として、1050℃以上の高温で短時間、水素ガスのみの雰囲気下で熱処理を行うと、半導体基板の欠陥密度の低減が可能となり、高品質なSIMOX基板の製造が可能となる。
【0023】
本願第7請求項に記載した発明は、シリコン半導体のSIMOX基板において、
SIMOX基板は、酸素イオンを注入する手段と、エピタキシャル成長手段と、1100℃以上1400℃以下の酸化雰囲気下の高温熱処理手段によって、活性層と、エピタキシャル成長手段によって形成されたエピタキシャル層下の領域を酸化膜として消費した埋め込み酸化膜層と、支持基板の三層構造となる。
【0024】
本願のSIMOX基板は、所望の厚さのエピタキシャル層を形成し、エピタキシャル層下の貫通転位や積層欠陥の存在する活性領域側のシリコンを消費して埋め込み酸化膜を形成し、埋め込み酸化膜も所望の厚さとすることができるため、低エネルギー条件、かつ低ドーズ条件であっても、信頼性の高い、高品質なSIMOX基板を提供することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
8”φ、ボロンドープ、初期酸素濃度1.4×1017cm−3[old ASTM]のシリコン単結晶基板に、2.4×1017cm−2の酸素分子イオンを注入エネルギー40KeVで注入したサンプルAと、同様に2.4×1017cm−2の酸素分子イオンを注入エネルギー80KeVで注入したサンプルBを準備した。
【0027】
なお、内部酸化を促進させるため、ベースとなるシリコン単結晶基板は、高酸素濃度の酸素を含有するシリコン基板を用いることが望ましい。
【0028】
図1(2)に示すようにシリコン単結晶基板1に、各注入エネルギー条件で、前記所定のドーズ量の酸素イオンを注入する。
【0029】
サンプルA及びサンプルBをそれぞれ複数枚用意し、各サンプルA及びサンプルBをエピタキシャル成長炉に導入した後、前処理として、水素ガス雰囲気下で1秒から5分間、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、及び1150℃の各温度で熱処理を施した。
【0030】
次に、1050℃で、各サンプルの基板表面に約0.2μmの厚さのエピタキシャル成長膜を形成したサンプルAe、サンプルBeを製造した。
【0031】
図1(3)は、サンプルである酸素イオン注入後のシリコン単結晶基板1に、エピタキシャル成長膜eを形成した模式図である。
【0032】
ここで、各サンプルAe、サンプルBeについて,スポットライト下にて、基板表面の観察を行った。
【0033】
前記観察の結果、エピタキシャル成長膜を形成したサンプルAe及びBeのうち、1050℃以上の温度で前処理を行ったサンプルについては、サンプルAe及びサンプルBeとも、ヘイズ及びパーティクルの低減が確認できた。
【0034】
従って、エピタキシャル処理前に水素ガス雰囲気下において施す熱処理は、1050℃以上で行うことが望ましい。
【0035】
次に、前記エピタキシャル成長膜を形成した各サンプルAe及びサンプルBeを拡散炉にて、酸素分圧0.05%の酸化雰囲気下で、1350℃、4時間の熱処理を施し,サンプルAeo、及びサンプルBeoを製造した。
【0036】
図1(4)は、エピタキシャル成長膜eを形成した基板1に、前記酸素分圧0.05%の酸化雰囲気下で、1350℃、4時間の熱処理を施し、基板1に、エピタキシャル成長膜e、埋め込み酸化膜(BOX)o及びエピタキシャル成長膜eとBOXoとの間の活性層側シリコンsの四層構造からなるSIMOX基板2を示す図である。
【0037】
酸素分圧0.05%以上の酸化性雰囲気下で、1100℃以上1400℃以下の温度範囲で熱処理を行うと、シリコン半導体基板表面に熱酸化膜が成長するとともに、基板1内部に雰囲気中の酸素が内方拡散し、基板内部の埋め込み酸化膜BOXoが成長する。BOXoは、エピタキシャル成長膜e下の領域の貫通転位や、積層欠陥の存在するシリコンsを消費して成長する。
従って、図1(5)に示すように、最終的には、エピタキシャル層(活性層)e、BOXo、支持基板1の三層構造となるSIMOX基板3を形成し、貫通転位や積層欠陥の存在しない信頼性の高い三層構造のSIMOX基板となすことができる。
【0038】
前記サンプルAeo及びサンプルBeoを劈開し、電子顕微鏡にて、各サンプルAeo、及びサンプルBeoのSOI構造の観察を行った。
【0039】
その結果、いずれのサンプルについても活性層、BOX及び支持基板からなる三層構造であるSOI構造が確認された。
【0040】
サンプルAeoについては、活性層の厚みが約0.22μmであり、BOX膜厚は、約30nmであった。
【0041】
サンプルBeoについては、活性層の厚みが約0.26μmであり、BOX膜厚は、約40nmであることが確認できた。
【0042】
次に、比較例として、エピタキシャル成長処理をしないサンプルAについて、拡散炉にて酸素分圧0.05%のガス雰囲気で、1350℃、4時間の熱処理を施したサンプルAoを製造した。その後、前記サンプルAoを劈開して、電子顕微鏡にて、SOI構造の観察を行った。この結果、エピタキシャル成長処理を施さずに、酸素分圧0.05%の酸化雰囲気で、1350℃、4時間の熱処理を施したサンプルAoの活性層の厚さは、約20nmであり、BOX膜厚は、約30nmであることが確認できた。
【0043】
従って、前述した結果から、低エネルギー条件、かつ低ドーズ条件で、イオン注入した場合であっても、エピタキシャル処理した後、所定の酸素分圧下において所定の熱処理を施すことにより、所望の膜厚を備えた活性層及びBOXを備え、欠陥の少ない信頼性の高いSIMOX基板を得ることができた。
【0044】
次に、シリコン単結晶基板を加速エネルギー40KeVで酸素イオン分子2.4×1017cm−2で注入したサンプルAを酸素分圧20%にて、1350℃で4時間熱処理を施したサンプルAo'を形成した。同様にサンプルAについて、水素ガス雰囲気下で各温度の熱処理を施した後、1050℃の温度で、約0.2μmの厚みのエピタキシャル成長膜を形成し、更に、酸素分圧20%にて、1350℃の4時間の熱処理を施したサンプルAeo'を形成した。
【0045】
サンプルAo'とサンプルAeo'を劈開し、電子顕微鏡にて、各サンプルのSOI構造の観察を行った。
【0046】
サンプルAo'については、熱処理工程中、酸素分圧が0.05%から20%に増加したため、表面酸化によって、サンプルAo'の活性層は、完全に消滅していた。
【0047】
一方、エピタキシャル成長膜を形成した後、熱処理を行ったサンプルAeo'については、活性層が約0.18μm、BOX膜厚さが約40nmとなっていることが確認できた。
【0048】
以上のことから、酸化雰囲気で熱処理する前にエピタキシャル成長を行う処理を施すことにより、活性層を消滅させることなく、所望の膜厚の活性層、BOX、支持基板の三層構造を備えたSIMOX基板を製造することが可能となる。
【0049】
また、エピタキシャル成長処理を行った後、酸素分圧0.05%以上の酸化雰囲気下で熱処理を行うことにより、薄膜化した活性層、所望のBOX膜厚となるSIMOX基板を得ることが確認できた。
【0050】
次に、8”φ、ボロンドープ、初期酸素濃度1.4×1017cm−3[old ASTM]のシリコン単結晶基板に、2.4×1017cm−2の酸素分子イオンを注入エネルギー40KeVで注入したサンプルAをエピタキシャル成長炉に導入した後、前処理として、水素ガス雰囲気中に塩酸ガスを微量導入し、基板表面をわずかにエッチング・オフさせたサンプルAoffを形成した。
【0051】
次に、前記サンプルAoffに1050℃で、基板表面に約0.2μmの厚さのエピタキシャル成長膜を形成したサンプルAoffeを製造した。
【0052】
その後、 前記エピタキシャル成長膜を形成したサンプルAoffeを拡散炉にて、酸素分圧0.05%のガス雰囲気下で、1350℃、4時間の熱処理を施し,サンプルAoffeoを製造した。
【0053】
その後、サンプルAoffeoを劈開し、電子顕微鏡にてSOI構造の観察を行ったところ、SOI構造は確認できるものの、本例のサンプルAoffeoと、水素ガスのみの雰囲気中で、同温度にて前処理を施した前記サンプルAeoの欠陥密度を比較すると、サンプルAeoに存在する欠陥密度の方が明らかに少なく、水素ガス雰囲気中のみの前処理を施すことにより、欠陥密度の少ないSIMOX基板の製造が可能となることが確認できた。
【0054】
次に、8”φ、ボロンドープ、初期酸素濃度1.4×1017cm−3[old ASTM]のシリコン単結晶基板に、2.4×1017cm−2の酸素分子イオンを注入エネルギー40KeVで注入したサンプルAに、水素雰囲気下で、1秒から5分間、1050℃以上の温度で熱処理を施し、基板表面に約0.2μmの厚さのエピタキシャル成長膜を形成したサンプルAeを、拡散炉にて、酸素分圧100%の雰囲気下で、1350℃、6時間の熱処理を施し、サンプルAeo''を製造した。
【0055】
その後、サンプルAeo''を劈開し、電子顕微鏡にてSOI構造の観察を行ったところ、サンプルAeo''について、SOI構造が確認された。
【0056】
このサンプルAeo''は、BOXの成長により、活性層側のシリコン単結晶領域が消費されており、消費したシリコン単結晶領域には、貫通転位や積層欠陥等の欠陥部位が存在する活性層側領域のシリコンを消費して、所望の厚さのBOXとなっており、所望の厚さを備えた活性層、BOX、及びシリコン基板の三層構造を備えたSIMOX基板が得られた。
【0057】
従って、低エネルギー条件、かつ低ドーズ条件にて、イオン注入した後、エピタキシャル成長処理を行い、1050℃以上、酸素分圧0.05%以上の酸化雰囲気において、熱処理を施すと、所望の膜厚の活性層、所望の厚さのBOX及びシリコン基板の三層構造を備えたSIMOX基板を得ることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、シリコン半導体のSIMOX基板の製造方法において、シリコン半導体基板表面に酸素イオンを注入する工程と、単結晶として残った表面にシリコンエピタキシャル成長を行う工程と、その後、1100℃以上1400℃以下の酸化雰囲気下で高温熱処理を行う工程を備えたSIMOX基板の製造方法である。
【0059】
前記高温熱処理工程は、酸化雰囲気中の酸素分圧が0.05%以上となる条件にて行う。また、酸素イオンを注入する工程において、ソース源となる酸素イオンは、酸素原子イオンまたは酸素分子イオンを用い、酸素原子イオンをソース源として用いる場合は、注入エネルギー40KeV以下で注入し、酸素分子イオンをソース源として用いる場合は、注入エネルギー80KeV以下で注入する。
【0060】
更に、酸素イオンを注入する工程後、前記エピタキシャル成長処理工程前に、1050℃以上の水素ガス雰囲気で1秒以上の熱処理する工程を備えている。
【0061】
イオン注入時のシリコン半導体基板の最表面は、注入したイオンのイオン加速エネルギーが高く、単結晶構造を有し、基板表面に単結晶層となる良好なエピタキシャル成長を行うことが可能となり、所望の厚さのエピタキシャル層が形成される。
【0062】
前記高温熱処理を行う工程において、酸素分圧が0.05%以上の酸化雰囲気下で、1100℃以上1400℃以下の温度範囲で熱処理を行うと、シリコン半導体基板表面の熱酸化膜が成長し、同時に、前記基板内部にも、雰囲気中の酸素が前記基板へ内方拡散され、基板内部の埋め込み酸化膜(BOX)も成長する。
【0063】
埋め込み酸化膜の成長は、シリコン半導体基板において、あらかじめ形成したエピタキシャル膜下の活性層側領域の消費を意味するため、基板は、最終的に活性層、埋め込み酸化膜(BOX)、支持基板の三層構造となり、貫通転位や積層欠陥の存在する活性層側のシリコンを埋め込み酸化膜として消費する。
【0064】
酸素原子イオンの注入エネルギーを40KeV、酸素分子イオンの注入エネルギーを80KeVの低エネルギー条件、かつ低ドーズ条件であっても、エピタキシャル膜下の活性層側領域を効率良く消費して、埋め込み酸化膜(BOX)の膜厚を所望の厚さとすることが可能となる。
【0065】
また、エピタキシャル成長を行う工程の前処理として、1050℃以上の高温で短時間、水素ガスのみの雰囲気下で熱処理を行うと、半導体基板の欠陥密度の低減が可能となり、高品質なSIMOX基板の製造が可能となる。
【0066】
以上のように、本願のSIMOX基板及びその製造方法によれば、低エネルギー、かつ低ドーズ条件において、所望の厚みの活性層であるエピタキシャル層、所望の厚みのBOX、支持基板の三層構造を形成し、貫通転位や,積層欠陥の存在しない信頼性の高い、高品質なSIMOX基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の具体例に係り、SIMOX基板の各製造工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 シリコン半導体基板
2 四層構造のSIMOX基板
3 三層構造のSIMOX基板
e エピタキシャル成長膜
s 活性層側領域のシリコン
o BOX
Claims (5)
- シリコン半導体のSIMOX基板の製造方法において、シリコン半導体基板表面に酸素イオンを注入する工程と、単結晶として残った基板表面にエピタキシャル成長を行う工程とその後、1100℃以上1400℃以下の酸化雰囲気下で高温熱処理を行う工程を備え、前記高温熱処理工程において埋め込み酸化膜を形成する際に、内部酸化によって、高温熱処理工程前に形成したエピタキシャル層下の前記単結晶として残った基板表面のシリコンを全て酸化膜として消費し、活性層と、埋め込み酸化膜と、支持基板の三層構造を備えたSIMOX基板となすことを特徴とするSIMOX基板の製造方法。
- 前記1100℃以上1400℃以下の酸化雰囲気で高温熱処理を行う工程において、酸化雰囲気中の酸素分圧が0.05%以上であることを特徴とする前記請求項1記載のSIMOX基板の製造方法。
- 前記酸素イオンを注入する工程において、ソース源として、酸素原子イオン又は酸素分子イオンを用いることを特徴とする前記請求項1又は2に記載のSIMOX基板の製造方法。
- 前記酸素イオンを注入する工程において、酸素原子イオンをソース源とする場合は、注入エネルギーを40KeV以下で注入し、酸素分子イオンをソース源とする場合は、注入エネルギーを80KeV以下で注入することを特徴とする前記請求項1乃至3いずれか記載のSIMOX基板の製造方法。
- 前記酸素イオンを注入する工程後、前記エピタキシャル成長処理工程前に、1050℃以上の水素ガス雰囲気で1秒以上の熱処理する工程を設けたことを特徴とする前記請求項1乃至4いずれか記載のSIMOX基板の製造方法。
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