JP4363818B2 - 自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証治具及び方法 - Google Patents

自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証治具及び方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前端にヘッドパイプを有するとともに後輪を支持するスイングアームの前端を揺動可能に支承する左右一対の支持筒を有する前部フレーム組立体と、後部フレーム組立体とを溶接して自動二輪車用車体フレームを組立てる組立装置に関し、特に、車体フレームを組立てるために用いる位置決め手段またはクランプ手段の原位置を検証するための方法および治具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車用車体フレームを組立てるための組立装置が、たとえば特開2001−340962号公報等で既に知られており、このものでは、支持筒を位置決め可能な左右一対の支持筒位置決め手段と、前部フレーム組立体の特定箇所を位置決め可能な一対の位置決め手段と、前部フレーム組立体の前端のヘッドパイプをクランプ可能なクランプ手段と、後部フレーム組立体の特定箇所を位置決め可能な一対の位置決め手段と、後部フレーム組立体の他の特定箇所をクランプ可能な一対の後部側クランプ手段とが、車体フレームの幅方向、上下方向および前後方向のうち少なくとも一方向に移動し得るようにして基台上に配設されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものでは、複数種類の自動二輪車用車体フレームの組立に対応し得るように汎用性を持たせて、設備費の低減を図ることが可能であるが、機械的な作動機構および制御部の異常や、ワークもしくは作業員の接触によって、位置決め手段やクランプ手段の原位置がずれてしまうことがあり、原位置がずれたままで組立を行なうと、車体フレームの組立精度が低下してしまう。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、位置決め手段やクランプ手段等の原位置のずれを容易に検証し得るようにした自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証治具及び方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、前端にヘッドパイプを有する前部フレーム組立体と、後部フレーム組立体とを溶接して自動二輪車用車体フレームを組立てるために、後輪を支持するスイングアームの前端を揺動可能に支承するようにして前部フレーム組立体および後部フレーム組立体の一方が備える支持筒の位置を車体フレームの上下方向および前後方向に設定されるZ軸およびX軸方向で位置決め可能であって前記車体フレームの幅方向に設定されるY軸方向に少なくとも移動可能とした左右一対の支持筒位置決め手段、ならびに後部フレーム組立体を位置決め可能であってX軸、Y軸およびZ軸方向の移動を可能とした左右一対の位置決め手段とを含む複数の位置決め手段と、前部フレーム組立体の前端のヘッドパイプをクランプ可能であって前記Z軸およびX軸方向への移動ならびに前記Y軸に沿う軸線まわりの傾動を可能としたヘッドパイプクランプ手段、ならびに後部フレーム組立体をクランプ可能であってX軸、Y軸およびZ軸方向の移動を可能とした左右一対の後部側クランプ手段を含む複数のクランプ手段とが、固定の基台上に配設されて成る自動二輪車用車体フレーム組立装置において、前記複数の位置決め手段および前記複数のクランプ手段の原位置を検証するために使用される原位置検証治具であって、車体フレームの組立時に前記前部フレーム組立体および後部フレーム組立体をセットすべき位置で前記X軸方向に延びるように前記基台上にセットされ、前記X軸およびZ軸に沿う第1の基準位置および前記Y軸に沿う第2の基準位置が設定されると共に、前記複数の位置決め手段および前記複数のクランプ手段のうちの少なくとも一部の手段と前記第1の基準位置との間の、X軸およびZ軸方向での各距離を測定するための測定面を備えており、前記測定面は、それら測定面に対応する前記一部の手段の各々の可動領域において、該手段の原位置を挟んで相対向する二箇所に互いに離間して配置されることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、X軸およびZ軸に沿う第1の基準位置およびY軸に沿う第2の基準位置が設定される原位置検証治具を基台上にセットして、該原位置検証治具の基準位置との間の距離を測定することにより、各位置決め手段および各クランプ手段のうち原位置を検証すべき手段の原位置を容易に検証することができ、機械的な作動機構および制御部の異常や、ワークもしくは作業員の接触によって原位置がずれたとしても、原位置を容易に検証して、原位置の再設定による組立精度の向上に寄与することができる。また特に原位置検証治具は、少なくとも一部の手段(位置決め手段・クランプ手段)と第1の基準位置との間の、X軸およびZ軸方向での各距離を測定するための測定面を備えているので、原位置の検証にあたっての距離測定が容易となり、その上、前記測定面が、その各測定面と対応する手段の可動領域において同手段の原位置を挟んで相対向する二箇所に互いに離間して配置されるので、各手段の可動領域における原位置両側の2つの測定面で距離を測定することにより原位置の検証精度を向上することができる。
【0007】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記第1の基準位置を、前記両支持筒位置決め手段で位置決めする前記支持筒の軸線位置に対応し定めておくとともに、前記Y軸に沿う方向での前記原位置検証治具の中心位置を前記第2の基準位置とし定めておくことを特徴とし、かかる構成によれば、スイングアームのピボット位置を基準として原位置のX軸およびZ軸に沿う座標を設定するようにして原位置の検証を容易に行なうことができる。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載の発明の構成に加えて、前記複数の位置決め手段および前記複数のクランプ手段のうち前記支持筒位置決め手段を除く全ての手段に対応して、該手段と前記第1の基準位置との間の、X軸およびZ軸方向での各距離を測定するための測定面が備えられることを特徴とし、かかる構成によれば、支持筒位置決め手段を除く全ての位置決め手段およびクランプ手段の原位置の検証を行なうにあたっての距離測定が容易となり、それにより前部フレーム組立体および後部フレーム組立体の位置決めおよびクランプの精度を高めて組立精度を向上するのに寄与することができる。
【0009】
また請求項4記載の発明は、車体フレームの組立時に前記前部フレーム組立体および後部フレーム組立体をセットすべき位置で前記請求項1,2又は3に記載の原位置検証治具を前記基台上にセットし、前記複数の位置決め手段および前記複数のクランプ手段のうち原位置検証の対象である手段の原位置を、それら手段と前記第1,第2の基準位置の少なくとも一方との距離測定に基づいて検証し、前記検証のうち、前記一部の手段の原位置の検証は、該一部の手段に対応する前記測定面を用いて、該一部の手段の可動領域において同手段の原位置を挟んで相対向する二箇所で前記第1の基準位置との距離測定に基づいて行なわれることを特徴とする
【0010】
請求項記載の発明は、上記請求項記載の発明の構成に加えて、前記原位置検証の対象である手段を駆動するパルスモータの作動パルス数を、該手段と前記基準位置との間の距離に置き換えて前記原位置を検証することを特徴とし、かかる構成によれば、原位置の検証が容易となるとともに原位置の再設定が容易となる。
【0011】
請求項記載の発明は、上記請求項4又は5に記載の発明の構成に加えて、前記各位置決め手段および前記各クランプ手段の原位置を、前記X軸、Y軸およびZ軸方向のうち移動可能な方向について全て検証することを特徴とし、かかる構成によれば、前部フレーム組立体および後部フレーム組立体の位置決めおよびクランプをより精度よく行なうことが可能となり、車体フレームの組立精度をより一層向上することができる
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図26は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車用車体フレームの一例の斜視図、図2は組立装置の縦断側面図であって図3の2−2線に沿う断面図、図3は上半部を作動状態とするとともに下半部を非作動状態として示す図2の3矢視図、図4は図3の4−4線拡大断面図、図5は図3の5矢視拡大図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図5の7−7線断面図、図8は図7の8−8線断面図、図9は図6の9−9線断面図、図10は図6の10−10線断面図、図11は図3の11−11線拡大断面図、図12は図11の12矢視図、図13は図11の13−13線断面図、図14は図11の14−14線拡大断面図、図15は図11の15−15線拡大断面図、図16は図3の16−16線矢視拡大図、図17は図16の17−17線断面図、図18は図16の18−18線断面図、図19は組立装置の制御系の構成を示すブロック図、図20は原位置検証治具を基台上にセットした状態での組立装置の縦断側面図であって図21の20−20線に沿う断面図、図21は図20の21矢視平面図、図22は図21の22−22線断面図、図23は図21の23矢視図、図24は図23の24−24線断面図、図25は図21の25−25線断面図、図26は図21の26−26線断面図である。
【0014】
先ず図1において、この自動二輪車用車体フレームFは、ヘッドパイプ25と、ヘッドパイプ25から後方に延設される単一のメインパイプ26ならびに前端部がメインパイプ26の下方でヘッドパイプ25に連設される左右一対のダウンチューブ27,27を備える前部フレーム組立体FFと、前記メインパイプ26の後部に前端が溶接されるとともに前記両ダウンチューブ27,27の後端がそれぞれ溶接される左右一対のシートレール28,28を備える後部フレーム組立体FRとで構成される。
【0015】
メインパイプ26は、ヘッドパイプ25から後下りに延びる後方傾斜部26aと、この後方傾斜部26aの後端に彎曲部26bを介して連設されて下方に延びる降下部26cとを一体に有するように形成される。ダウンチューブ27は、ヘッドパイプ25から後下がりに傾斜するとともに後端部が略水平に形成される第1筒部27aと、略水平である前端部が第1筒部27aの後端に溶接されるとともに後部が後上がりに傾斜するように形成される第2筒部27bとで、上方を開放した略U字状に構成される。また両ダウンチューブ27,27の第1筒部27a,27a間にはクロスメンバー29が設けられ、両ダウンチューブ27,27の第2筒部27b,27b間にはクロスメンバー30が設けられる。
【0016】
メインパイプ26の後端すなわち降下部26cの下端にはクロスメンバー31の中央部が連設されており、このクロスメンバー31の両端は左右一対の板状の前部支持部材32,32にそれぞれ連設されており、各前部支持部材32,32は両ダウンチューブ27,27における第2筒部27b,27bの中間部に固着される。これらの前部支持部材32,32には、後輪を支持するスイングアームの前端を揺動可能に支持するための支持筒33,33が同軸に固着されており、各支持筒33,33には、車体フレームFを組立てる際に前部支持部材32,32の位置を定めるための位置決め孔34,34として機能する透孔が両端を開放するようにして形成される。
【0017】
また両ダウンチューブ27,27の第1筒部27a,27aには、図示しないパワーユニット等を支持するための支持筒35,35がそれぞれ一対ずつ固着される。
【0018】
後部フレーム組立体FRにおいて両シートレール28,28間には、前方側から順にクロスメンバー37,38,39,40が設けられており、最後部のクロスメンバー40に隣接して両シートレール28,28には、テールランプやブレーキランプ等を支持するための板状の後部支持部材41,41が固着される。しかも後部支持部材41,41には、車体フレームFを組立てる際に両シートレール28,28の後部位置を定めるための位置決め孔42,42として機能する透孔が両端を開放するようにして穿設される。
【0019】
このような後部フレーム組立体FRは、前部フレーム組立体FFのメインパイプ26における降下部26cの上部に両シートレール28,28の前端部を溶接するとともに、前部フレーム組立体FFの両ダウンチューブ27,27における第2筒部27b,27bの後端すなわち上端に両シートレール28,28の中間部を溶接するようにして、前部フレーム組立体FFに組付けられ、それにより自動二輪車用車体フレームFが構成される。
【0020】
図2および図3において、前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRを相互に溶接して前記車体フレームFを構成するための組立装置は、固定の基台44を備えており、前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRは基台44上で相互に溶接される。
【0021】
基台44上には、前部フレーム組立体FFが前端に備えるヘッドパイプ25をクランプして保持するためのヘッドパイプ保持装置45と、前部フレーム組立体FFがその後部に備える支持筒33,33を位置決めするための左右一対の前部フレーム側位置決め装置46,46と、前部フレーム組立体FFが備えるダウンチューブ27,27の後部をクランプして保持するための左右一対のダウンチューブ保持装置47,47と、後部フレーム組立体FRがその後端部に備える後部支持部材41,41を位置決めするための左右一対の後部フレーム側位置決め装置48,48と、後部フレーム組立体FRが備えるシートレール28,28の前部をクランプして保持するための左右一対のシートレール保持装置49,49とが配設される。
【0022】
ヘッドパイプ保持装置45は、ヘッドパイプ25を上下からクランプ可能として可動支持枠62に配設されるヘッドパイプクランプ手段50と、基台44上で組立てられる車体フレームFの前後方向であるX軸方向ならびに前記車体フレームFの上下方向であるZ軸方向にヘッドパイプクランプ手段50を移動させることを可能とするとともにヘッドパイプクランプ手段50を前後に傾動させ得るヘッドパイプクランプ用駆動手段51とで構成される。
【0023】
図4〜図8を併せて参照して、ヘッドパイプクランプ用駆動手段51は、X軸方向に沿って延びるようにして基台44上に固定されるレール52と、そのレール52上を移動可能な台車53と、X軸方向に延びる軸線を有して基台44に固定配置されるパルスモータ54と、該パルスモータ54の回転力を前記台車53のX軸方向への直線的な駆動力に変換するようにしてパルスモータ54および台車53間に設けられるねじ送り機構55と、Z軸方向すなわち上下方向に延びて台車53に設けられるレール56と、ヘッドパイプクランプ手段50が配設される可動支持枠62を車体フレームFの幅方向であるY軸の軸線まわりに傾動可能として支承するブラケット57aを有するとともに前記レール56に沿って昇降可能な昇降台57と、Z軸に沿う軸線を有して台車53に固定配置されるパルスモータ58と、該パルスモータ58の回転力を昇降台57のZ軸方向への直線的な駆動力に変換するようにしてパルスモータ58および昇降台57間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、前記昇降台57の下部に前記Y軸に沿う軸線まわりに回動可能として連結される回動枠59と、XZ平面内に配置される軸線を有して回動枠59に固定配置されるパルスモータ60と、前記可動支持枠62から下方に延びるアーム63,63を該パルスモータ60の回転力を一対のアーム63,63の往復回動力に変換するようにしてパルスモータ60およびアーム63,63の下端間に設けられるねじ送り機構61とを備える。
【0024】
このようなヘッドパイプクランプ用駆動手段51によれば、ヘッドパイプクランプ手段50の可動支持枠62を、車体フレームFの前後および上下方向すなわちX軸およびZ軸方向に移動させることができ、しかもY軸の軸線まわりに傾動させることが可能であり、車体フレームFの種類が変化することにより、ヘッドパイプ25のX軸方向に沿う位置、基台44からのヘッドパイプ25の高さおよびヘッドパイプ25の傾斜角が変化するのに対処して、ヘッドパイプクランプ手段50をヘッドパイプ25の位置に対応した任意の位置に移動させることができる。
【0025】
前記可動支持枠62は、上下に延びる前記アーム63,63の上部寄りの部分に直角に連設される枠板64と、前記両アーム63,63の上端部に連なる円形の回動板65,65とを備えており、回動板65,65の中央部がY軸方向に沿う支軸66,66を介して昇降台57のブラケット57aに支承される。
【0026】
図9および図10を併せて参照して、ヘッドパイプクランプ手段50は、複数たとえば4種類のヘッドパイプ25の下端部にそれぞれ嵌合し得る複数たとえば4個の支持ピン67A,67B,67C,67Dと、それらの支持ピン67A〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下方位置に配置しつつ固定的に支持する円板状のピン支持板68と、前記支持ピン67A〜67Dの1つに下端部を嵌合せしめたヘッドパイプ25の上端部に該ヘッドパイプ25の種類にかかわらず係合し得る係合部69aを先端部に有するとともに前記支持ピン67A〜67Dの1つとの間で前記ヘッドパイプ25をクランプし得る押圧部材69と、ヘッドパイプ25を上方から押圧する押圧力を押圧部材69に付与するシリンダ70とを備える。
【0027】
前記係合部69aは、ヘッドパイプ25の上端部内径の変化にかかわらず該ヘッドパイプ25の上端部に差込み係合し得るようにテーパ状に形成されて押圧部材69の先端部外周面に形成されており、この押圧部材69はアーム71の一端に取付けられる。
【0028】
一方、シリンダ70は、可動支持枠62の枠板64をヘッドパイプ25の軸線と直交する姿勢としたときに該シリンダ70の軸線がヘッドパイプ25の軸線と平行になるようにして枠板64の下面に固定されており、このシリンダ70が備えるピストンロッド70aの先端に連結された連結部材72が、Y軸に沿う軸線を有する連結ピン73を介して前記アーム71の他端に連結される。
【0029】
前記アーム71の他端側は、一対のスペーサ74,74を相互間に介在させて枠板64上に固着される一対のカム板75,75間にスライド可能に嵌合されており、両カム板75,75には相互に対応したカム孔76,76がそれぞれ設けられる。
【0030】
カム孔76は、ヘッドパイプ25の軸線と平行に延びる第1孔部76aの上端に、上方に向かうにつれて前記ヘッドパイプ25から遠ざかる側に傾斜した第2孔部76bが連なって成るものであり、両カム孔76,76内を転動することを可能としたローラ77,77が前記連結ピン73の上方でアーム71の中間部に軸支される。前記ローラ77,77の下方には両カム孔76,76内を転動するローラ78,78が配置されており、それらのローラ78,78は連結ピン73の両端に軸支される。
【0031】
而してシリンダ70の伸縮作動により前記ローラ77,77;78,78がカム孔76,76内を転動するのに応じて、前記アーム71は図5の鎖線で示すように、連結ピン73とともに移動しつつ該連結ピン73を支点として回動する。これによりアーム71の一端に取付けられた押圧部材69が、各支持ピン67A〜67Dの1つとの間でヘッドパイプ25をクランプするように作動する。
【0032】
前記ピン支持板68は、ヘッドパイプ25の軸線と平行な軸線まわりに回動可能としてヘッドパイプ25の下方位置に配置されるものであり、複数種類のヘッドパイプ25にそれぞれ個別に対応するとともに前記ピン支持板68の周方向に等間隔をあけた複数箇所に固定された支持ピン67〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下方位置に択一的にもたらすために、ピン支持板68にはインデックス機構80が連結される。
【0033】
インデックス機構80は、ピン支持板68に回動力を付与することを可能として枠板64に固定されるインデックスモータ81と、前記ピン支持板68を回動可能に支承してピン支持板68および枠板64間に配置される浮動支持台82とを備え、ピン支持板68および浮動支持台83間に軸受83が設けられる。
【0034】
インデックスモータ81の出力軸81aは浮動支持台82の中央部を貫通してピン支持板68の中央部にスプライン結合される。すなわちピン支持板68は、インデックスモータ81の出力軸81aにその軸線方向の相対移動を可能とするとともに軸線まわりの相対回転を不能として連結される。
【0035】
浮動支持台82および枠板64間には、前記出力軸81aを囲繞するコイル状のばね84が設けられており、このばね84のばね力により、前記浮動支持台82およびピン支持板68は、枠板64から遠ざかる側に付勢される。一方、浮動支持台82の周方向に間隔をあけた複数箇所(この実施例では2箇所)を相対摺動可能に貫通する規制軸85…の基端が枠板64に固定され、規制軸85…の先端には、浮動支持台82の枠板64とは反対側の面に当接、係合し得る規制鍔85aがそれぞれ一体に設けられる。これらの規制軸85…により浮動支持台82が前記出力軸81aの軸線まわりに回転することが阻止されるとともに、枠板64から遠ざかる方向への浮動支持台82およびピン支持板68の移動端が規制される。また枠板64には、出力軸81aの軸線と平行な方向での相対摺動を可能として浮動支持台82を貫通するストッパ86が固定されており、このストッパ86にピン支持板68が当接することにより、枠板64に近接する側へのピン支持板68および浮動支持台82の移動端が規制される。
【0036】
ピン支持板68には、該ピン支持板68に固定されている支持ピン67A〜67Dの個数と同数のガイド筒88…が、ピン支持板68の周方向に等間隔をあけて設けられ、それらのガイド筒88…に先端部をそれぞれ嵌合させ得るガイドピン87…の基端が枠板64に固定され、各ガイドピン87…は、浮動支持台82を軸方向の相対摺動可能に貫通する。
【0037】
しかも各ガイドピン87…の長さは、枠板64から遠ざかる方向に浮動支持台82およびピン支持板68が最大限移動した状態、すなわち各規制軸85…の規制鍔85a…が浮動支持台82に当接、係合した状態では、ピン支持板68の各ガイド筒88…から離脱するように設定される。
【0038】
このようなインデックス機構80では、ピン支持板68に上方から力が加わっておらず、ばね84のばね力により枠板64から遠ざかる側に浮動支持台82およびピン支持板68が最大限移動した状態では、インデックスモータ81の作動によりピン支持板68を回動させることができる。しかるにピン支持板68に上方から力が加わることにより、ピン支持板68の各ガイド筒88…にガイドピン87…の先端部がそれぞれ嵌合するまでピン支持板68および浮動支持台82が移動した状態では、ピン支持板68の回動は不能となり、各支持ピン67A〜67Dと、ヘッドパイプ25とのピン支持板68の周方向に沿う相対位置を保持することができる。
【0039】
図2および図3に注目して、後部フレーム側位置決め装置48は、後部フレーム組立体FRが備える後部支持部材41をその位置決め孔42を利用して位置決めする後部側位置決め手段90と、X軸、Y軸およびZ軸方向に後部側位置決め手段90を移動させ得る後部側位置決め用駆動手段91とで構成される。
【0040】
後部側位置決め用駆動手段91は、X軸方向に沿って延びるようにして基台44上に固定されるレール92と、そのレール92上を移動可能な台車93と、X軸方向に延びる軸線を有して基台44に固定配置されるパルスモータ94と、該パルスモータ94の回転力を前記台車93のX軸方向への直線的な駆動力に変換するようにしてパルスモータ94および台車93間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、Z軸方向すなわち上下方向に延びて台車93に設けられるレール95と、該レール95に沿って昇降可能な昇降台96と、Z軸に沿う軸線を有してレール95に固定配置されるパルスモータ97と、該パルスモータ97の回転力を昇降台96のZ軸方向への直線的な駆動力に変換するようにしてパルスモータ97および昇降台96間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、後部側位置決め手段90が配設される可動支持体100を案内するようにしてY軸方向に延びるとともに昇降台96に固定されるレール98と、Y軸に沿う軸線を有してレール98に固定されるパルスモータ99と、該パルスモータ99および可動支持体100間に設けられるねじ送り機構(図示せず)とを備える。
【0041】
このような後部側位置決め用駆動手段91によれば、後部側位置決め手段90の可動支持体100をX軸、Y軸およびZ軸方向すなわち車体フレームFの前後方向、幅方向および上下方向に移動させることができ、車体フレームFの種類が変化するのに応じて後部支持部材41のX軸およびY軸方向に沿う位置および高さが変化するのに対処して、後部側位置決め手段90を後部支持部材41の位置に対応した任意の位置に移動させることができる。
【0042】
図11〜図13において、後部側位置決め手段90は、後部支持部材41の位置決め孔42に対応するガイド孔101を有するとともに該ガイド孔101を位置決め孔42に対応させる位置で後部支持部材41の外側面に対向し得るガイド壁102と、該ガイド壁102に関して後部支持部材41とは反対側でガイド孔101の軸線と同軸に配置されるシリンダ103と、該シリンダ103およびガイド壁101間への選択的な介入ならびに挿脱自在な前記ガイド孔101への嵌合を可能とするとともに一端部が前記シリンダ103に着脱可能に連結される複数たとえば3個の可動ロッド104…と、複数たとえば3種類の前記後部支持部材41の位置決め孔42にそれぞれ嵌合し得る形状に形成されて前記各可動ロッド104…の他端部に個別に固定される複数たとえば3種類の位置決めピン105A,105B,105Cとを備える。
【0043】
可動支持枠100には、前記ガイド壁102と、該ガイド壁102との間に後部支持部材41を挟むように配置される支持壁106とを備える支持腕107がY軸方向に延びるようにして固着され、支持壁106には、位置決めピン105A〜105Cとの間で後部支持部材41を挟むことを可能とした受け部材108が固着され、該受け部材108には各位置決めピン105A〜105Cの先端部を受入れ可能な有底の受入れ孔109が設けられる。
【0044】
前記ガイド壁102およびシリンダ103間には、ガイド孔101の軸線と平行な軸線まわりに回動可能なロッド支持板110が配置されており、このロッド支持板110は、複数個たとえば3個の腕部110a…を周方向に等間隔をあけた複数たとえば3箇所に備えて、たとえば略Y字形に形成されており、各腕部110a…の先端にそれぞれ設けられたロッド保持部111…に、各可動ロッド104…が軸方向の摺動を可能として保持される。
【0045】
図14において、各ロッド保持部111…には、ガイド壁102のガイド孔101と平行な軸線を有する摺動孔112が各可動ロッド104…を摺動可能に嵌合せしめるべく設けられる。また各可動ロッド104…の外面には軸方向に延びる1条のガイド溝113がそれぞれ設けられており、そのガイド溝113に先端部を嵌合させるねじ部材114が各ロッド保持部111…にそれぞれ螺合される。これにより各可動ロッド104…は軸線まわりの回転を不能としつつ軸線方向での摺動を可能として各ロッド保持部111…に保持される。
【0046】
また各可動ロッド104…において他端部寄り外面すなわち位置決めピン105A〜105C寄り外面には、横断面形状をV字状とした環状溝115が設けられる。また各ロッド保持部111…には、各可動ロッド104…の一直径線上に軸線を配置した収納孔116,116が設けられており、可動ロッド104…の外面に接触する一対の球体117,117と、それらの球体117,117を可動ロッド104…側にばね付勢するばね118,118とが各収納孔116,116に収納され、各各収納孔116,116の外端はプラグ119,119で閉じられる。これにより可動ロッド104…が、その他端側に取付けられた位置決めピン105A〜105Cを受け部材108から遠ざける側に後退する際に、前記球体117,117が環状溝115に弾発係合することで、可動ロッド104…の後退限位置が節度的に保持されることになる。
【0047】
シリンダ103は、支持腕107に設けられた取付け板120に取付けられており、ガイド孔101と平行な軸線を有して取付け板120に固定支持されるインデックスモータ121が、該インデックスモータ121から各可動ロッド104…までの距離を等距離として前記ロッド支持板110の中央部に連結され、ロッド支持板110およびインデックスモータ121間には軸受122が介装される。すなわちロッド支持板110はインデックスモータ121で回動駆動されるとともに該インデックスモータ121で回動可能に支承され、インデックスモータ121の作動により、各可動ロッド104…の1つがシリンダ103およびガイド孔101間に択一的にもたらされることになる。
【0048】
インデックスモータ121が備えるピストンロッド121aの先端には、鉛直平面内で略T字状となる係合部123が設けられており、各可動ロッド104…の一端には、図15で示すように、シリンダ103およびガイド孔101間に可動ロッド104が配置される方向への回動時に前記係合部123に係合するとともに、シリンダ103およびガイド孔101間から可動ロッド104が離脱する方向への回動時に前記係合部123との係合を解除するようにして、略T字状の係合溝124がそれぞれ設けられる。
【0049】
したがって各位置決めピン105A〜105Cを備える可動ロッド104…のうち、選択されてシリンダ103およびガイド壁102間にもたらされる可動ロッド104はシリンダ103に連結されることになり、シリンダ103の伸長作動に応じてガイド孔101内に挿脱可能に嵌合されることになる。
【0050】
図2および図3に注目して、前部フレーム側位置決め装置46は、前部フレーム組立体FFの前部支持部材32に設けられた支持筒33をその位置決め孔34を利用して位置決めする支持筒位置決め手段125と、支持筒位置決め手段125を移動させ得る支持筒位置決め用駆動手段126とから成るものであり、支持筒位置決め手段125は、前記後部フレーム側位置決め装置48の後部側位置決め手段90と基本的には同一に構成される。
【0051】
また支持筒位置決め用駆動手段126は、X軸、Y軸およびZ軸方向のうち少なくともY軸方向に支持筒位置決め手段125を移動させるように構成されるものであり、この実施例では、支持筒位置決め用駆動手段126は、Y軸方向にだけ支持筒位置決め手段125を移動させ得るように構成される。
【0052】
このように支持筒位置決め手段125をX軸方向およびZ軸方向に移動させなくても済むのは、車体フレームFの組立時に最初のステップとして前部フレーム側位置決め装置46により前部フレーム組立体FFの前部支持部材32に設けられる支持筒33の位置決めをするからであり、支持筒33,33が基準位置となって車体フレームFが組立てられることに基づくものである。
【0053】
シートレール保持装置49は、後部フレーム組立体FRが備えるシートレール28の前部を上下からクランプする後部側クランプ手段130と、X軸、Y軸およびZ軸方向に後部側クランプ手段130を移動させ得る後部側クランプ用駆動手段131とで構成される。
【0054】
後部側クランプ用駆動手段131は、X軸方向に沿って延びるようにして基台44上に固定されるレール132と、そのレール132上を移動可能な台車133と、X軸方向に延びる軸線を有して基台44に固定配置されるパルスモータ134と、該パルスモータ134の回転力を前記台車133のX軸方向への直線的な駆動力に変換するようにしてパルスモータ134および台車133間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、Z軸方向すなわち上下方向に延びて台車133に設けられるレール135と、該レール135に沿って昇降可能な昇降台136と、Z軸に沿う軸線を有してレール135に固定配置されるパルスモータ137と、該パルスモータ137の回転力を昇降台136のZ軸方向への直線的な駆動力に変換するようにしてパルスモータ137および昇降台136間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、後部側クランプ手段130が配設される可動支持体140を案内するようにしてY軸方向に延びるとともに昇降台136に固定されるレール138と、Y軸に沿う軸線を有してレール138に固定されるパルスモータ139と、該パルスモータ139および可動支持体140間に設けられるねじ送り機構(図示せず)とを備える。
【0055】
このような後部側クランプ用駆動手段131によれば、後部側クランプ手段130の可動支持体140をX軸、Y軸およびZ軸方向すなわち車体フレームFの前後方向、幅方向および上下方向に移動させることができ、車体フレームFの種類が変化するのに応じてシートレール28のX軸およびY軸方向に沿う位置および高さが変化するのに対処して、後部側クランプ手段130をシートレール28の位置に対応した任意の位置に移動させることができる。
【0056】
図16〜図18において、後部側クランプ手段130は、後部側クランプ用駆動手段131によって車体フレームFの前後、幅および上下方向に移動可能であるとともに任意の位置で静止可能な可動支持体140と、シートレール28の長手方向と交差する平面内で上方に開いた略V字状に形成されるとともにシートレール28の下方に配置されるようにして可動支持体140に固定される受け部材141と、該受け部材141との間にシートレール28を挟むようにして前記平面内で揺動することを可能として可動支持体140に支持される押圧部材142と、該押圧部材142を揺動駆動するようにして可動支持体140および押圧部材142間に設けられる駆動機構143とを備える。
【0057】
押圧部材142は、X軸に沿う軸線を有する支軸144を介して可動支持体140に回動可能に支承される。この押圧部材142の前記シートレール28への対向面142aは、シートレール28に球面接触する形状に形成される。また受け部材141の前記シートレール28への対向面141aは、シートレール28に球面接触する形状に形成される。
【0058】
駆動機構143は、前記支軸144と平行なピン145で可動支持体140に揺動可能に支承されたシリンダ146のピストンロッド146aが、前記支軸144およびピン145と平行な連結ピン147を介して押圧部材142に連結されて成るものであり、シリンダ146の伸縮作動に応じて押圧部材142が支軸144の軸線まわりに回動することになる。
【0059】
図2および図3において、ダウンチューブ保持装置47は、前部フレーム組立体FFが備えるダウンチューブ27の後部をその上下からクランプする前部側クランプ手段127と、X軸、Y軸およびZ軸方向に前部側クランプ手段127を移動させ得る前部側クランプ用駆動手段128とから成るものであり、前部側クランプ手段127は、前記シートレール保持装置49の後部側クランプ手段130と基本的には同一に構成され、前部側クランプ用駆動手段128は、前記前記シートレール保持装置49の後部側クランプ用駆動手段131と基本的には同一に構成される。
【0060】
図19において、ヘッドパイプ保持装置45におけるヘッドパイプクランプ用駆動手段51と、左右一対の前部フレーム側位置決め装置46,46における支持筒位置決め用駆動手段126,126と、左右一対のダウンチューブ保持装置47,47における前部側クランプ用駆動手段128,128と、左右一対の後部フレーム側位置決め装置48,48における後部側位置決め用駆動手段91,91と、左右一対のシートレール保持装置49,49における後部側クランプ用駆動手段131,131とは、制御ユニット150により作動制御される。
【0061】
而して制御ユニット150は、ヘッドパイプ保持装置45におけるヘッドパイプクランプ手段50、両前部フレーム側位置決め装置46,46における支持筒位置決め手段125,125、両ダウンチューブ保持装置47,47における前部側クランプ手段127,127、両後部フレーム側位置決め装置48,48における後部側位置決め手段90,90、ならびに両シートレール保持装置49,49における後部側クランプ手段130,130の位置が、組み立てるべき自動二輪車用車体フレームFの種類に応じて予め設定された位置となるように前記各駆動手段51,91,91,126,126,128,128,131,131の作動を制御する。このため、制御ユニット150が備える記憶部には、組立予定の各車体フレームFの各部位置座標が機種に対応させて予め設定されており、組み立てるべき車体フレームFの機種に応じて前記記憶部から読みだした各部位置座標に基づいて前記各駆動手段51,91,91,126,126,128,128,131,131の作動が制御される。
【0062】
このような自動二輪車用車体フレーム組立装置において、前端にヘッドパイプ25を有する前部フレーム組立体FFと、後部フレーム組立体FRとを溶接して自動二輪車用車体フレームFを基台44上で組立てるにあたっては、次の第1〜第5のステップを実行する。
【0063】
第1のステップでは、車体フレームFの幅方向であるY軸方向に少なくとも移動可能である一対の支持筒位置決め手段125,125により前部フレーム組立体FFの左右後部である前部支持部材32,32の支持筒33,33を位置決めする。この際、車体フレームFの上下方向であるZ軸ならびに車体フレームFの前後方向であるX軸方向の移動を可能とするとともにY軸に沿う軸線まわりの傾動を可能としたヘッドパイプクランプ手段50もヘッドパイプ25に対応する位置に配置しておき、ヘッドパイプクランプ手段50が備える支持ピン67A〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下端部に嵌合させておく。これによりヘッドパイプクランプ手段50にあっては、ピン支持板68に荷重が作用してガイドピン87…がガイド筒88…に嵌合し、ピン支持板68の回動位置は一定に定まっている。
【0064】
第2のステップでは、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能である一対の前部側クランプ手段127,127により前部フレーム組立体FFのダウンチューブ27,27を保持するとともに、ヘッドパイプクランプ手段50によりヘッドパイプ25を上下からクランプして保持するものであり、このような第1および第2のステップにより、前部フレーム組立体FFが位置決め支持されることになる。
【0065】
しかも前部フレーム組立体FFの左右後部にある支持筒33,33を位置決めする一対の支持筒位置決め手段125,125を、自動二輪車用車体フレームFの少なくとも幅方向に移動可能とし、前部フレーム組立体FFの前端のヘッドパイプ25をクランプするヘッドパイプクランプ手段50を、自動二輪車用車体フレームFFの前後および上下方向に移動可能とするとともに前後方向に傾動可能としたので、前部フレーム組立体FFの左右後部を支持筒位置決め手段125,125で位置決めした状態で、前部フレーム組立体FFの種類が変化するのに伴なうヘッドパイプ25の位置および姿勢変化を、ヘッドパイプクランプ手段50の前後および上下方向の移動およびY軸まわりの傾動によりカバーし、前部フレーム組立体FFを精度よく位置決め支持することができる。またX軸、Y軸およびZ軸方向に移動可能である一対の前部側クランプ手段127,127により前部フレーム組立体FFのダウンチューブ27,27を保持しているので、前部フレーム組立体FFの位置決め支持精度をより一層向上することができる。
【0066】
第3のステップでは、X軸、Y軸およびZ軸方向に移動することを可能とした一対の後部側位置決め手段90,90により後部フレーム組立体FRの左右後部を位置決めし、第4のステップでは、X軸、Y軸およびZ軸方向に移動することを可能とした一対の後部側クランプ手段130,130で後部フレーム組立体FRの左右前部をクランプする。
【0067】
このように後部フレーム組立体FRの左右後部を位置決めする一対の後部側位置決め手段90,90を、自動二輪車用車体フレームFの前後、幅および上下方向に移動可能とし、後部フレーム組立体FRの左右前部をクランプする一対の後部側クランプ手段130,130を、自動二輪車用車体フレームFの前後、幅および上下方向に移動可能としたことにより、後部フレーム組立体FRの種類が変化しても前部フレーム組立体FFに対して後部フレーム組立体FRを精度よく位置決め支持することができ、複数種類の自動二輪車用車体フレームFの組立に対応し得るような汎用性を得るようにして設備費を低減することができる。
【0068】
第5のステップでは、相対位置を定めた前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRを相互に溶接して車体フレームFを組立てる。この際、相対位置を精度良く定めた前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRを相互に溶接することで溶接精度の安定した車体フレームFを組立てることができる。また一対の後部側位置決め手段90,90および一対の後部側クランプ手段130,130により、前部フレーム組立体FFに対する位置を精度よく定めつつ後部フレーム組立体FRを拘束するので、後部フレーム組立体FR側で溶接歪みが生じていたとしてもその歪みを矯正して自動二輪車用車体フレームFを精度よく組立てることができる。
【0069】
ところで、上記一対の支持筒位置決め手段125,125をY軸方向に移動せしめる一対の支持筒位置決め用駆動手段126,126の作動と、一対の前部側クランプ手段127,127をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動せしめる一対の前部側クランプ用駆動手段128,128の作動と、ヘッドパイプクランプ手段50をZ軸およびX軸方向に移動させるとともにY軸に沿う軸線まわりに傾動させるヘッドパイプクランプ用駆動手段51の作動と、一対の後部側位置決め手段90,90をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させる一対の後部側位置決め用駆動手段91,91の作動と、一対の後部側クランプ手段130,130をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させる一対の後部側クランプ用駆動手段131,131の作動とは、支持筒位置決め手段125,125、前部側クランプ手段127,127、ヘッドパイプクランプ手段50、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130の位置が組み立てるべき自動二輪車用車体フレームFの種類に応じて予め設定された位置となるように、制御ユニット150で制御されるものである。
【0070】
したがって組立てるべき自動二輪車用車体フレームFの種類が変化するのに応じて、支持筒位置決め手段125,125、前部側クランプ手段127,127、ヘッドパイプクランプ手段50、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130が、車体フレームFに対応した位置に自動的に移動することになり、自動二輪車用車体フレームFの組立効率を向上させることができる。
【0071】
ところで、上記自動二輪車用車体フレーム組立装置では、複数種類の自動二輪車用車体フレームFの組立に対応し得るように汎用性を持たせるために、支持筒位置決め手段125,125、前部側クランプ手段127,127、ヘッドパイプクランプ手段50、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130が移動可能として基台44上に配設されるのであるが、支持筒位置決め用駆動手段126,126、前部側クランプ用駆動手段128,128、ヘッドパイプクランプ用駆動手段51、後部側位置決め用駆動手段91,91および後部側クランプ用駆動手段131,131における機械的な作動機構および制御部の異常や、ワークもしくは作業員の接触によって、各位置決め手段125…、90…やクランプ手段50,127…,130…の原位置がずれてしまうことがあり、原位置がずれたままで組立を行なうと、車体フレームFの組立精度が低下してしまう。
【0072】
そこで、支持筒位置決め手段125,125、前部側クランプ手段127,127、ヘッドパイプクランプ手段50、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130の少なくとも一部、この実施例では全ての原位置の検証を適宜行なうものであり、その原位置の検証のために、図20および図21で示すように、車体フレームFの組立時に前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRをセットすべき位置、すなわち左右一対の支持筒位置決め手段125,125、前部側クランプ手段127,127、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130間の中央部でX軸方向に延びる原位置検証治具160を基台44上にセットする。
【0073】
この原位置設置治具160は、X軸方向に延びる治具板161と、X軸方向に間隔をあけた位置で治具板161に連設される一対の支持脚162,163とを備え、両支持脚162,163の下端が基台44上の所定位置に着脱可能に設置される。
【0074】
治具板161には、X軸およびZ軸に沿う基準位置PB1が、両支持筒位置決め手段125,125で位置決めする支持筒33,33の軸線位置に対応して設定されるとともに、Y軸に沿う方向での治具板161の中心を通る中心線がY軸に沿う基準位置PB2として設定される。
【0075】
而して前部側クランプ手段127,127、ヘッドパイプクランプ手段50、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130の原位置は、前記基準位置PB1,PB2との間の距離測定に基づくX軸、Y軸およびZ軸方向の座標算出によって検証することになる。
【0076】
図22〜図24を併せて参照して、ヘッドパイプクランプ手段50の原位置を検証するにあたっては、可動支持枠62の枠板64からピン支持板68およびインデックス機構81を取り外し、それら68,81に代えて測定子164を前記枠板64に着脱可能に取り付ける。
【0077】
測定子164は、アーム71の一端の押圧部材69を一端開口部に差し込み係合可能な筒体165と、該筒体165の他端に連設されるとともに前記枠板64に着脱可能に締結される支持鍔166と、筒体165から原位置検証治具160側に延びる第1測定腕167と、支持鍔166から原位置検証治具160側に延びる第2測定腕168とを備え、支持鍔166が枠板64に締結されるとともに押圧部材69が筒体165の一端に差し込み係合されることによって、枠板64に取付けられる。
【0078】
一方、原位置検証治具160には、YZ平面に沿うとともに基準位置PB1からのX軸方向に沿う距離が予め設定されたX軸測定面169と、該X軸測定面169に直角に連なってXY平面に沿うとともに前記基準位置PB1からの距離が予め設定されたZ軸測定面170と、XZ平面に沿うとともに基準位置PB2からの距離が予め設定されたY軸測定面171とが、ヘッドパイプクランプ手段50に対応して形成される。
【0079】
これに対し、測定子164の第1測定腕167には、前記X軸測定面169に対向し得るX軸対向面172と、前記Z軸測定面170に対向し得るZ軸対向面173とが直角に連なるようにして形成され、第2測定腕168には、前記Y軸測定面171に平行に対向するY軸対向面174が形成される。
【0080】
またX軸方向に間隔をあけた2箇所で第1測定腕167には、検出端をZ軸測定面170にそれぞれ接触させるようにしたデプスゲージ175,175が装着され、それらのデプスゲージ175,175の検出値が同一となるように測定子164の傾斜角が調節される。これにより、X軸測定面169にX軸対向面172が平行に対向し、Z軸測定面170にZ軸対向面173が平行に対向し、Y軸測定面171にY軸対向面174が平行に対向することになる。
【0081】
そこでX軸測定面169およびX軸対向面172間の距離LX、ならびにZ軸測定面170およびZ軸対向面173間の距離LZがそれぞれ所定値となる位置まで原位置からパルスモータ54,58を作動せしめ、そのパルスモータ54,58のパルス数による基準位置PB1からの距離算出により、ヘッドパイプクランプ手段50の原位置のX軸およびZ軸座標を検証することができる。
【0082】
またY軸測定面171およびY軸対向面174間の距離LYを算出することで基準位置PB2からの原位置までのY軸方向の距離を算出することができ、それによりヘッドパイプクランプ手段50の原位置のY軸座標を検証することができる。
【0083】
図25を併せて参照して、後部側位置決め手段90の原位置を検証するにあたっては、3個の可動ロッド104…にそれぞれ固定される位置決めピン105A,105B,105Cの1つ、たとえば105Aを可動ロッド104から取り外し、その位置決めピン105Aに代えてY軸方向の軸線を有するピン状の測定子181を可動ロッド104に取り付ける。
【0084】
一方、原位置検証治具160の治具板161において、後部側位置決め手段90のXZ平面内での正四角形状の可動領域A1(図20の斜線で示す領域)の相互に対向する2つの角部に対応する2箇所、すなわち前記可動領域A1の中心位置である原位置C1を両側から挟む2箇所の両面には、前記測定子181を挿通可能として同軸に連なる測定筒176,176が固着される。
【0085】
また両測定筒176,176の近傍で治具板161の両面には、略L字状である測定部材179,179が固着されており、各測定部材179…には、YZ平面に沿うとともに基準位置PB1からのX軸方向に沿う距離が予め設定されたX軸測定面177…と、該X軸測定面177…に直角に連なってXY平面に沿うとともに前記基準位置PB1からの距離が予め設定されたZ軸測定面178…とが形成される。
【0086】
Y軸方向の原位置の検証時には、一方の測定筒176の先端に当てるようにしてデプスゲージ180を他方の測定筒176側に挿入し、測定子181をデプスゲージ180に当接させるまでY軸方向に作動せしめることで、Y軸方向の原位置からの基準位置PB2までの距離を、パルスモータ99のパルス数を算出することで測定する。
【0087】
またX軸およびZ軸の原位置の検証時には、測定子181およびX軸測定面177間の距離、ならびに測定子181およびZ軸測定面178間の距離をノギス(図示せず)等で測定し、それらの距離が所定値となるまでパルスモータ94,97を作動せしめ、パルスモータ94,97のパルス数を算出することでX軸測定面177およびZ軸測定面178までの原位置からのX軸およびY軸方向に沿う距離を測定する。しかもそのような距離測定処理を、後部側位置決め手段90の可動領域A1内の2箇所で実行し、それらの2箇所間の中央部がX軸およびZ軸方向の原位置であるとして算出することで原位置の検証を行なう。
【0088】
図26を併せて参照して、後部側クランプ手段130の原位置を検証するにあたっては、受け部材141にY軸方向に沿う軸線を有するピン状の測定子187を取り付ける。
【0089】
一方、原位置検証治具160の治具板161において、後部側クランプ手段130のXZ平面内での正四角形状の可動領域A2(図20の斜線で示す領域)の相互に対向する2つの角部に対応する2箇所、すなわち前記可動領域A2の中心位置である原位置C2を両側から挟む2箇所の両面には、前記測定子187を挿通可能として同軸に連なる測定筒182,182が固着される。
【0090】
また両測定筒182,182の近傍で治具板161の両面には、略L字状である測定部材185,185が固着されており、各測定部材185…には、YZ平面に沿うとともに基準位置PB1からのX軸方向に沿う距離が予め設定されたX軸測定面183…と、該X軸測定面183…に直角に連なってXY平面に沿うとともに前記基準位置PB1からの距離が予め設定されたZ軸測定面184…とが形成される。
【0091】
Y軸方向の原位置の検証時には、一方の測定筒182の先端に当てるようにしてデプスゲージ186を他方の測定筒182側に挿入し、測定子187をデプスゲージ186に当接させるまでY軸方向に作動せしめることで、Y軸方向の原位置からの基準位置PB2までの距離を、パルスモータ139のパルス数を算出することで測定する。
【0092】
またX軸およびZ軸の原位置の検証時には、測定子187およびX軸測定面183間の距離、ならびに測定子187およびZ軸測定面188間の距離をノギス(図示せず)等で測定し、それらの距離が所定値となるまでパルスモータ134,137を作動せしめ、パルスモータ134,137のパルス数を算出することでX軸測定面183およびZ軸測定面184までの原位置からのX軸およびY軸方向に沿う距離を測定する。しかもそのような距離測定処理を、後部側クランプ手段130の可動領域A2内の2箇所で実行し、それらの2箇所間の中央部がX軸およびZ軸方向の原位置であるとして算出することで原位置の検証を行なう。
【0093】
図20において、前部側クランプ手段127の原位置を検証するために、原位置検証治具160の治具板161には、前部側クランプ手段127のXZ平面内での正四角形状の可動領域A3(図20の斜線で示す領域)の相互に対向する2つの角部に対応する2箇所、すなわち前記可動領域A3の中心位置である原位置C3を両側から挟む2箇所の両面に測定筒188,188が固着される。
【0094】
また両測定筒188,188の近傍で治具板161の両面には、略L字状である測定部材191,191が固着されており、各測定部材191…には、YZ平面に沿うとともに基準位置PB1からのX軸方向に沿う距離が予め設定されたX軸測定面189…と、該X軸測定面189…に直角に連なってXY平面に沿うとともに前記基準位置PB1からの距離が予め設定されたZ軸測定面190…とが形成される。
【0095】
而して、前部側クランプ手段127の原位置を検証するにあたっては、上記後部側クランプ手段130と同様にデプスゲージ(図示せず)を用いてY軸方向の原位置からの基準位置PB2までの距離を、パルスモータ(図示せず)のパルス数を算出することで測定し、またX軸およびZ軸の原位置の検証時には、X軸測定面189…およびZ軸測定面190…までの原位置からのX軸およびY軸方向に沿う距離をパルスモータ(図示せず)のパルス数を算出する。
【0096】
さらに原位置検証治具160の治具板161の両面には、基準位置PB1上に軸線を配置した測定筒193…が固着されており、前部側位置決め手段125の原位置を検証するにあたっては、前部側位置決め手段125が備える3個の可動ロッドの1つに取付けられてY軸方向に沿うピン状の測定子が前記測定193…に嵌合される。
【0097】
而して上記後部側位置決め手段90と同様に、図示しないデプスゲージを用いてY軸方向の原位置を検証することができる。
【0098】
次にこの実施例の作用について説明すると、複数種類の自動二輪車用車体フレームFの組立に対応し得るように汎用性を持たせるために、固定の基台44上には、支持筒位置決め手段125,125、前部側クランプ手段127,127、ヘッドパイプクランプ手段50、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130が移動可能として基台44上に配設されるのであるが、支持筒位置決め用駆動手段126,126、前部側クランプ用駆動手段128,128、ヘッドパイプクランプ用駆動手段51、後部側位置決め用駆動手段91,91および後部側クランプ用駆動手段131,131における機械的な作動機構および制御部の異常が生じたり、ワークもしくは作業員の接触によって、各位置決め手段125…、90…やクランプ手段50,127…,130…の原位置がずれてしまうと、車体フレームFの組立精度が低下してしまうので、支持筒位置決め手段125,125、前部側クランプ手段127,127、ヘッドパイプクランプ手段50、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130の原位置を検証するのであるが、その検証にあたっては、車体フレームFの組立時に前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRをセットすべき位置で基台44上に原位置検証治具160をセットする。
【0099】
この原位置検証治具160は、X軸方向に沿って延びるように構成されており、前記各位置決め手段125…、90…および前記各クランプ手段50,127…,130…のうち原位置検証の対象である後部側位置決め手段90,90、ヘッドパイプクランプ手段50、前部側クランプ手段127,127および後部側クランプ手段130,130の原位置を、原位置検証治具160に設定した基準位置PB1,PB2との間の距離測定に基づいて検証する。
【0100】
このように、原位置検証治具160を基台44上にセットして該原位置検証治具160の基準位置PB1,PB2との間の距離を測定することで、後部側位置決め手段90,90、ヘッドパイプクランプ手段50、前部側クランプ手段127,127および後部側クランプ手段130,130の原位置を容易に検証することができ、機械的な作動機構および制御部の異常や、ワークもしくは作業員の接触によって原位置がずれたとしても、原位置を容易に検証して、原位置の再設定による組立精度の向上に寄与することができる。
【0101】
またX軸およびZ軸に沿う基準位置PB1を、両支持筒位置決め手段125,125で位置決めする支持筒33,33の軸線位置に対応して原位置検証治具160に定めておき、Y軸に沿う方向での原位置検証治具160の中心位置をY軸に沿う基準位置PB2として定めておくので、支持筒33、33の軸線すなわちスイングアームのピボット位置を基準として原位置のX軸およびZ軸に沿う座標を設定するようにして原位置の検証を容易に行なうことができる。
【0102】
しかも後部側位置決め手段90,90、ヘッドパイプクランプ手段50、前部側クランプ手段127,127および後部側クランプ手段130,130を駆動するパルスモータ94,97,99,54,58,134,137,139…のパルス数を基準位置PB1,PB2との間の距離に置き換えて原位置を検証するようにしているので、原位置の検証が容易となるとともに原位置の再設定が容易となる。
【0103】
また後部側位置決め手段90,90、ヘッドパイプクランプ手段50、前部側クランプ手段127,127および後部側クランプ手段130,130の原位置を、X軸、Y軸およびZ軸方向のうち移動可能な方向について全て検証するようにしているので、前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRの位置決めおよびクランプをより精度よく行なうことができ、車体フレームFの組立精度をより一層向上することができる。
【0104】
ところで、原位置検証治具160は、後部側位置決め手段90,90、ヘッドパイプクランプ手段50、前部側クランプ手段127,127および後部側クランプ手段130,130との間のX軸およびZ軸方向での距離を測定するための測定面177,169,183,189;178,170,184,190を備えており、それらの測定面177,169,183,189;178,170,184,190は支持筒33、33の軸線位置に対応したX軸およびZ軸用基準位置PB1から予め設定された距離の位置に配置されているので、原位置の検証にあたっての距離測定が容易となる。
【0105】
また前記各測定面177,169,183,189;178,170,184,190は、各位置決め手段125…、90…および前記各クランプ手段50,127…,130…のうち支持筒位置決め手段125,125を除く全てに対応してそれぞれ配置されるので、持筒位置決め手段125,125を除く全ての位置決め手段90…およびクランプ手段50,127…,130…の原位置の検証を行なうにあたっての距離測定が容易となり、それにより前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRの位置決めおよびクランプの精度を高めて車体フレームFの組立精度を向上するのに寄与することができる。
【0106】
さらに測定面177,183,189;178,184,190が、各位置決め手段125…、90…および前記各クランプ手段50,127…,130…のうち支持筒位置決め手段125,125およびヘッドパイプクランプ手段50を除く全ての位置決め手段90…およびクランプ手段127…,130…の原位置を挟む2箇所にそれぞれ配置されるので、原位置C1,C2,C3の両側の測定面177,183,189;178,184,190で距離を測定することにより原位置の検証精度を向上することができる。
【0107】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0108】
たとえば上記実施例では、後輪を支持するスイングアームの前端を揺動可能に支持するための支持筒33,33が前部フレーム組立体FFに設けられていたが、後部フレーム組立体FRに支持筒33,33が設けられる車体フレームFの組立装置に本発明を適用することも可能である。
【0109】
【発明の効果】
以上のように請求項1,4の発明によれば、X軸およびZ軸に沿う第1の基準位置およびY軸に沿う第2の基準位置が設定される原位置検証治具を基台上にセットして、該原位置検証治具の基準位置との間の距離を測定することにより、各位置決め手段および各クランプ手段のうち原位置を検証すべき手段の原位置を容易に検証することができ、機械的な作動機構および制御部の異常や、ワークもしくは作業員の接触によって原位置がずれたとしても、原位置を容易に検証して、原位置の再設定による組立精度の向上に寄与することができる。また特に原位置検証治具は、少なくとも一部の手段(位置決め手段・クランプ手段)と第1の基準位置との間の、X軸およびZ軸方向での各距離を測定するための測定面を備えているので、原位置の検証にあたっての距離測定が容易となり、その上、前記測定面が、その各測定面と対応する手段の可動領域において同手段の原位置を挟んで相対向する二箇所に互いに離間して配置されるので、各手段の可動領域における原位置両側の2つの測定面で距離を測定することにより原位置の検証精度を向上することができる。
【0110】
また請求項2記載の発明によれば、スイングアームのピボット位置を基準として原位置のX軸およびZ軸に沿う座標を設定するようにして原位置の検証を容易に行なうことができる。
【0111】
また請求項3記載の発明によれば、支持筒位置決め手段を除く全ての位置決め手段およびクランプ手段の原位置の検証を行なうにあたっての距離測定が容易となり、それにより前部フレーム組立体および後部フレーム組立体の位置決めおよびクランプの精度を高めて組立精度を向上するのに寄与することができる。
【0112】
請求項記載の発明によれば、原位置の検証が容易となるとともに原位置の再設定が容易となる
【0113】
請求項記載の発明によれば、前部フレーム組立体および後部フレーム組立体の位置決めおよびクランプをより精度よく行なうことが可能となり、車体フレームの組立精度をより一層向上することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動二輪車用車体フレームの一例の斜視図
【図2】 組立装置の縦断側面図であって図3の2−2線に沿う断面図
【図3】 上半部を作動状態とするとともに下半部を非作動状態として示す図2の3矢視図
【図4】 図3の4−4線拡大断面図
【図5】 図3の5矢視拡大図
【図6】 図5の6−6線断面図
【図7】 図5の7−7線断面図
【図8】 図7の8−8線断面図
【図9】 図6の9−9線断面図
【図10】 図6の10−10線断面図
【図11】 図3の11−11線拡大断面図
【図12】 図11の12矢視図
【図13】 図11の13−13線断面図
【図14】 図11の14−14線拡大断面図
【図15】 図11の15−15線拡大断面図
【図16】 図3の16−16線矢視拡大図
【図17】 図16の17−17線断面図
【図18】 図16の18−18線断面図
【図19】 組立装置の制御系の構成を示すブロック図
【図20】 原位置検証治具を基台上にセットした状態での組立装置の縦断側面図であって図21の20−20線に沿う断面図
【図21】 図20の21矢視平面図
【図22】 図21の22−22線断面図
【図23】 図21の23矢視図
【図24】 図23の24−24線断面図
【図25】 図21の25−25線断面図
【図26】 図21の26−26線断面図
【符号の説明】
25・・・ヘッドパイプ
33・・・支持筒
44・・・基台
50・・・ヘッドパイプクランプ手段
54,58,94,97,99,134,137,139・・・パルスモータ
90・・・後部側位置決め手段
125・・・支持筒位置決め手段
127・・・前部側クランプ手段
130・・・後部側クランプ手段
160・・・原位置検証治具
169,170,177,178,183,184,189,190・・・測定面
PB1,PB2・・・基準位置
F・・・車体フレーム
FF・・・前部フレーム組立体
FR・・・後部フレーム組立体

Claims (6)

  1. 前端にヘッドパイプ(25)を有する前部フレーム組立体(FF)と、後部フレーム組立体(FR)とを溶接して自動二輪車用車体フレーム(F)を組立てるために、後輪を支持するスイングアームの前端を揺動可能に支承するようにして前部フレーム組立体(FF)および後部フレーム組立体(FR)の一方が備える支持筒(33)の位置を車体フレーム(F)の上下方向および前後方向に設定されるZ軸およびX軸方向で位置決め可能であって前記車体フレーム(F)の幅方向に設定されるY軸方向に少なくとも移動可能とした左右一対の支持筒位置決め手段(125)、ならびに後部フレーム組立体(FR)を位置決め可能であってX軸、Y軸およびZ軸方向の移動を可能とした左右一対の位置決め手段(90)とを含む複数の位置決め手段(125,90)と、前部フレーム組立体(FF)の前端のヘッドパイプ(25)をクランプ可能であって前記Z軸およびX軸方向への移動ならびに前記Y軸に沿う軸線まわりの傾動を可能としたヘッドパイプクランプ手段(50)、ならびに後部フレーム組立体(FR)をクランプ可能であってX軸、Y軸およびZ軸方向の移動を可能とした左右一対の後部側クランプ手段(130)を含む複数のクランプ手段(50,127,130)とが、固定の基台(44)上に配設されて成る自動二輪車用車体フレーム組立装置において、前記複数の位置決め手段(125,90)および前記複数のクランプ手段(50,127,130)の原位置を検証するために使用される原位置検証治具であって、
    車体フレーム(F)の組立時に前記前部フレーム組立体(FF)および後部フレーム組立体(FR)をセットすべき位置で前記X軸方向に延びるように前記基台(44)上にセットされ、
    前記X軸およびZ軸に沿う第1の基準位置(PB1)および前記Y軸に沿う第2の基準位置(PB2)が設定されると共に、前記複数の位置決め手段(125,90)および前記複数のクランプ手段(50,127,130)のうちの少なくとも一部の手段(90,127,130)と前記第1の基準位置(PB1)との間の、X軸およびZ軸方向での各距離を測定するための測定面(177,178;183,184;189,190)を備えており、
    前記測定面(177,178;183,184;189,190)は、それら測定面に対応する前記一部の手段(90,127,130)の各々の可動領域(A1〜A3)において、該手段(90,127,130)の原位置(C1〜C3)を挟んで相対向する二箇所に互いに離間して配置されることを特徴とする、自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証治具
  2. 前記第1の基準位置(PB1)を、前記両支持筒位置決め手段(125)で位置決めする前記支持筒(33)の軸線位置に対応し定めておくとともに、前記Y軸に沿う方向での前記原位置検証治具(160)の中心位置を前記第2の基準位置(PB2)とし定めておくことを特徴とする、請求項1に記載の自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証治具。
  3. 前記複数の位置決め手段(125,90)および前記複数のクランプ手段(50,127,130)のうち前記支持筒位置決め手段(125)を除く全ての手段(90,50,127,130)に対応して、該手段(90,50,127,130)と前記第1の基準位置(PB1)との間の、X軸およびZ軸方向での各距離を測定するための測定面(177,178;169,170;183,184;189,190)が備えられることを特徴とする、請求項1又は2記載の自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証治具
  4. 車体フレーム(F)の組立時に前記前部フレーム組立体(FF)および後部フレーム組立体(FR)をセットすべき位置で前記請求項1,2又は3に記載の原位置検証治具を前記基台(44)上にセットし、
    前記複数の位置決め手段(125,90)および前記複数のクランプ手段(50,127,130)のうち原位置検証の対象である手段(125,90,50,127,130)の原位置を、それら手段(125,90,50,127,130)と前記第1,第2の基準位置(PB1,PB2)の少なくとも一方との距離測定に基づいて検証し、
    前記検証のうち、前記一部の手段(90,127,130)の原位置の検証は、該一部の手段(90,127,130)に対応する前記測定面(177,178;183,184;189,190)を用いて、該一部の手段(90,127,130)の可動領域(A1〜A3)において同手段(90,127,130)の原位置(C1〜C3)を挟んで相対向する二箇所で前記第1の基準位置(PB1)との距離測定に基づいて行なわれることを特徴とする、自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証方法。
  5. 前記原位置検証の対象である手段(125,90,50,127,130)を駆動するパルスモータ(54,58,94,97,99,134,137,139)の作動パルス数を、該手段(125,90,50,127,130)と前記基準位置(PB1,PB2)との間の距離に置き換えて前記原位置を検証することを特徴とする、請求項記載の自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証方法。
  6. 前記各位置決め手段(90,125)および前記各クランプ手段(50,127,130)の原位置を、前記X軸、Y軸およびZ軸方向のうち移動可能な方向について全て検証することを特徴とする、請求項4又は5に記載の自動二輪車用車体フレーム組立装置における原位置検証方法
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