JP4363137B2 - 金属箔層付き基板フィルム及び両面金属箔付き基板フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、金属箔付き基板フィルム及び両面金属箔付き基板フィルムに関する。
近年、携帯電子機器等に搭載されるプリント配線板として、薄型化が可能であり、また柔軟性にも優れるといった特性を有するフレキシブルプリント配線板が多用されている。なかでも、プリント配線板における配線密度の更なる向上を目的として、両面に配線回路が形成されたフレキシブルプリント配線板が注目を集めている。これらのフレキシブルプリント配線板は、樹脂製の基板フィルムとこの基板フィルムの表面に形成された配線回路から構成され、基板フィルムを形成する樹脂としては、耐熱性、可撓性及び機械的強度に優れるポリイミドが主として用いられている(例えば、特許文献1参照。)。このような構成を有するフレキシブルプリント配線板は、基板フィルムの表面(片面又は両面)に金属箔が積層された金属箔付き基板フィルムを用い、この金属箔をエッチング等の公知の方法により加工して配線回路とすることにより製造されることが一般的である。
ところで、このような製造方法において用いられる金属箔付き基板フィルムには、金属箔と基板フィルムとが強固に接着されているという特性が求められる。これは、金属箔と基板フィルムとの接着強度が弱いと、形成される配線回路が基板フィルムから剥離してしまう等の不都合を生じるおそれがあるためである。そこで、従来の金属箔付き基板フィルムにおいては、電気的又は化学的な粗面化処理により表面に微細な凹凸形状が形成された金属箔を用い、製造時に基板フィルム形成前の樹脂をこの凹凸に染み込ませてアンカー効果を発現させることによって、接着力の向上を図っていた。
このような従来の金属箔付き基板フィルムは、例えば、以下に示すような製造方法により製造されている。すなわち、(A)金属箔の表面にポリイミドの前駆体であるポリアミック酸ワニスを流延塗布した後、塗布されたポリアミック酸にイミド化を生じさせて、基板フィルムであるポリイミドフィルムを形成する方法、(B)予め形成されたポリイミドフィルムと金属箔とを接着剤層を介して接着する方法、(C)ポリイミドを変性することにより高溶剤溶解性や熱融着性等の特性を付与し、この変性により接着性が向上したポリイミドフィルムと金属箔とを接着する方法、(D)ポリイミドフィルムの表面にスパッタ等のドライプロセスにより金属からなる薄膜を形成させた後、この薄膜上にめっき等により更に金属層を形成させる方法等が知られている。
特開2003−012924号公報
しかし、粗面化された表面を有する金属箔を用いる上記従来の金属箔付き基板フィルムを用いた場合、得られるフレキシブルプリント配線板における伝達信号の高周波数化が困難となる傾向にあった。これは、配線中に流れる電流の付近に発生した磁力線が特に導体の中心部に干渉し、この干渉により電流が配線回路の表面に集中する現象(この現象は、一般的に「表皮効果」と呼ばれる。)に起因するものである。上記従来技術のプリント配線板のように配線回路の表面が粗面化されていると、表皮効果によって電流が表面に集中した場合に、その凹凸によって抵抗が顕著に増大する。こうなると、伝達信号の高周波数化が困難となり、ひいてはこのフレキシブルプリント配線板を搭載した電子機器の動作速度の高速化も困難となる。
従って、動作の高速化の観点からは、表面の平滑な金属箔を用いることが望ましい。しかし、平滑表面を有する金属箔を用いると、上述したポリイミドと金属箔とのアンカー効果が得られ難くなって、金属箔とポリイミドフィルムとの接着性が低下し、これにより形成された配線が基板から剥離してしまう等の不都合を生じるおそれがある。このため、従来の金属箔付き基板フィルムにおいては、表面が平滑な金属箔を用いることが困難であった。
また、上記(A)〜(D)の金属箔付き基板フィルムの製造法には以下に示す幾つかの不都合があった。例えば、上記(A)の方法は、両面に金属箔を有する両面金属箔付き基板フィルムの製造には不適であった。これは、ポリアミック酸のイミド化は、300℃以上の高温条件下で脱水閉環反応を生じさせることにより進行し、かかる脱水閉環反応に伴って水が生成することに起因している。両面金属箔付き基板フィルムを形成するためには、金属箔上に塗布されたポリアミック酸のワニス上に、更に金属箔を重ねた状態でイミド化を行う必要があるが、こうして両側が金属箔に覆われていると、イミド化に伴って生成する水が除去されにくくなる。こうなると基板フィルムであるポリイミドフィルムの生成が不利となって、両面金属箔付き基板フィルムの製造が困難となる。
これに対して、上記(B)の方法においては、予め形成されたポリイミドフィルムと金属箔とを接着剤層を介して接着させているため、両面金属箔付き基板フィルムを容易に製造することができる。しかし、接着剤層を構成している樹脂は、一般にポリイミドよりも耐熱性が低いため、これに伴って、得られる金属箔付き積層板全体の耐熱性も低下してしまっていた。
また、上記(C)の方法によっても両面金属箔付き積層板の製造は可能であり、かかる方法によれば金属箔と基板フィルムとの接着に接着剤層を要しないため、接着剤層に起因する耐熱性の低下の懸念はない。しかし、変性されたポリイミドは、変性されていないものに比してガラス転移温度が低いため、充分な耐熱性を有する金属箔付き基板フィルムを得ることは未だ困難であった。
上記(D)の方法によれば、上述した(A)〜(C)の方法における欠点は解消される。しかし、この方法においては、それぞれにスパッタやめっき等の複雑な操作又は装置を要する2段階の工程が必要であるため、製造にかかるコストが増大してしまっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表面が平滑な金属箔を用いた場合であっても金属箔と基板フィルムとの接着性が充分であり、また、両面金属箔付き基板フィルムを形成した場合であっても優れた耐熱性を有しており、さらに製造時の作業性及びコストにも優れる金属箔付き基板フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の片面金属箔付き基板フィルムは、金属箔と、硬化性樹脂の硬化物からなり金属箔上に設けられた基板フィルムとを備える片面金属箔付き基板フィルムであって、硬化性樹脂は、主鎖にシロキサン構造を有しており重量平均分子量が80000以上であるポリアミドイミドと、ポリアミドイミドのアミド基と反応する官能基を有したアミド反応性化合物と、全体積に対して2040体積%の無機フィラーとを含むものであり、且つ、ポリアミドイミド中のアミド基の含有量(「アミド基の含有量」を以下、「アミド基量」と略す。)をPa重量%、アミド反応性化合物がアミド基を含む場合はその含有量をEa重量%、ポリアミドイミド中のケイ素原子の含有量(「ケイ素原子の含有量」を以下、「ケイ素量」と略す。)をPc重量%、アミド反応性化合物がケイ素原子を含む場合はその含有量をEc重量%としたときに、ポリアミドイミド100重量部に対する、アミド反応性化合物の重量部Bは、以下の式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする。
3≦(Pa×100+Ea×B)/(100+B)≦11 …(I)
1≦(Pc×100+Ec×B)/(100+B)≦16 …(II)

上記式(I)及び(II)の条件を満たす硬化性樹脂は金属箔に対する極めて高い接着性を有しているため、金属箔が平滑な表面を有する場合であっても、硬化性樹脂はこの平滑面に強く接着される。従って、この硬化性樹脂が硬化して形成された基板フィルムも、金属箔の平滑面に対して強固に接着されるようになる。また、基板フィルムを構成する硬化性樹脂は、高い耐熱性を有するポリアミドイミドを含有するものであるため、得られる金属箔付き基板フィルムも優れた耐熱性を有するようになる。さらに、硬化性樹脂に含まれるポリアミドイミドは、80000以上の分子量を有する重合度の高いポリマーであるため、形成される基板フィルムは高い機械的強度をも有するようになる。
またさらに、硬化性樹脂の硬化反応は、ポリアミドイミドにおけるアミド基と、アミド反応性化合物のアミド基と反応する官能基の間の反応により生じるものであるため、金属箔上に硬化性樹脂を塗布した後に硬化反応を生じさせることで、容易に金属箔付き基板フィルムを得ることができる。また、ポリイミドの前駆体からポリイミドを形成する場合と異なり、硬化反応の際に水を生じることがないため、硬化性樹脂からなる層の両面に金属箔を配置して硬化させるだけで容易に両面金属箔付き基板フィルムを形成することができる。
具体的には、硬化性樹脂を構成する成分であるポリアミドイミドは、下記一般式(1)で表される芳香族ジアミン及び下記一般式(2)で表されるシロキサンジアミンを含むジアミン混合物と、無水トリメリット酸とを反応させて得られるジイミドジカルボン酸に、芳香族ジイソシアネートを反応させてなるポリアミドイミドであると好ましい。


[式中、Xは下記一般式(3a)又は(3b)で表される2価の基、Rはアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基、Rはアルキレン基、フェニレン基又は置換フェニレン基、nは1〜15の整数を示す。

但し、Yは、炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3の2価のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合であり、複数存在するR及びRのそれぞれは同一であっても異なっていてもよい。]
さらに、アミド反応性化合物としては、2以上のグリシジル基を有する多官能エポキシ化合物が好ましい。かかる多官能エポキシ化合物は、ポリアミドイミドのアミド基と高い反応性を有していることから、加熱等による両者の反応が容易に生じるようになり、基板フィルムの基板に対する接着性が更に向上する。
本発明による両面金属箔付き基板フィルムは、第1の金属箔と第2の金属箔との間に、硬化性樹脂の硬化物からなる基板フィルムを挟持してなるものであり、基板フィルムを形成する硬化性樹脂は、上述の金属箔付き基板フィルムに用いられる硬化性樹脂と同様のものであることが好適である。このような両面金属箔付き基板フィルムは、両面に配線板が形成された両面フレキシブルプリント配線板の製造に好ましく用いることができ、こうして得られた両面フレキシブルプリント配線板は、基板と配線パターンとの接着性や耐熱性等の特性に特に優れたものとなる。
このような構成を有する両面金属箔付き基板フィルムは、第1の金属箔と第2の金属箔との間に、硬化により基板フィルムとなるべき硬化性樹脂を挟持した後、全体を加熱及び/又は加圧して得られるものであると好ましい。
ここで、第1の金属箔と第2の金属箔との間に硬化性樹脂を挟持させるための具体的な方法としては、硬化により基板フィルムとなるべき硬化性樹脂を、第1の金属箔及び第2の金属箔の一方面上に積層して得られた2つの積層体を、硬化性樹脂同士が対向するように接触させる方法が例示できる。
また、本発明の金属箔付き基板フィルム又は両面金属箔付き基板フィルムにおける金属箔は、その基板フィルムに対する接着面の十点平均表面粗さがそれぞれ3.0μm以下であることが好ましい。こうすると、これらの金属箔付き基板フィルムにより製造されたプリント配線板において表皮効果が生じたとしても、これによる抵抗の増大は、伝達信号の高周波数化に影響しない程度に抑制されるようになる。
本発明の金属箔付き基板フィルム又は両面金属箔付き基板フィルムは、基板フィルムの材料が上述の特定のポリアミドイミドからなるものであるため、表面に平滑な金属箔を用いた場合であっても金属箔と基板フィルムとの接着性が充分であり、また、耐熱性にも優れており、更にその製造方法も簡易である。このような金属箔付き基板フィルムは、金属箔に公知のパターニングを施して配線パターンを形成させることにより、高周波駆動に対応したフレキシブルプリント配線板として好適に用いることができる。
(金属箔付き基板フィルム)
本発明の金属箔付き基板フィルムは、上述の如く、金属箔とこの金属箔上に設けられた硬化性樹脂の硬化物からなる基板フィルムを備えるものである。また、本発明の両面金属箔付き基板フィルムは、第1及び第2の金属箔間に、硬化性樹脂の硬化物からなる基板フィルムが挟持された構成を有している。
基板フィルムは、主鎖にシロキサン構造を有しており、重量平均分子量が80000以上であるポリアミドイミドと、このポリアミドイミドのアミド基と反応を生じる官能基を有したアミド反応性化合物と、全体積に対して5〜50体積%の無機フィラーとを含む硬化性樹脂からなるものである。かかる硬化性樹脂においては、ポリアミドイミド中のアミド基量をPa重量%、アミド反応性化合物がアミド基を含む場合はそのアミド基量をEa重量%、ポリアミドイミド中のケイ素量をPc重量%、アミド反応性化合物がケイ素原子を含む場合はそのケイ素量をEc重量%としたときに、ポリアミドイミド100重量部に対する、アミド反応性化合物の重量部Bは、上記式(I)及び(II)を満たすように配合されている。
硬化性樹脂が、上記式(I)及び(II)を満たす場合、硬化性樹脂中のポリアミドイミド及びアミド反応性化合物中に含まれている全てのアミド基の含有量(全アミド基量)が3〜11重量%となり、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物中に含まれる全てのケイ素原子の含有量(全ケイ素量)が1〜16重量%となる。硬化性樹脂が上記式(I)又は(II)の少なくとも一方を満たしておらず、全アミド基量及び全ケイ素量が上記範囲外である場合は、得られる金属箔付き基板フィルムの耐熱性が不充分となり、また金属箔と基板フィルムとの接着強度も不充分となる。
耐熱性及び接着強度を更に向上させる観点からは、上記式(I)における(Pa×100+Ea×B)/(100+B)の下限は6が好ましく、上限は9が好ましく、上記式(II)における(Pc×100+Ec×B)/(100+B)の下限は5が好ましく上限は12が好ましい。
また、硬化性樹脂中に含まれるポリアミドイミドの重量平均分子量が80000未満であると、得られる金属箔付き基板フィルムの機械的強度が、フレキシブルプリント配線板の用途に対して不充分となる。機械的強度を向上させる観点からは、ポリアミドイミドの重量平均分子量は80,000〜150,000が好ましく、100,000〜120,000がより好ましい。
このような条件を満たした硬化性樹脂を、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下の厚さの基板フィルムとして金属箔付き基板フィルムに適用することにより、金属箔との接着性及び耐熱性の優れた金属箔付き基板フィルムを得ることができる。これは、主に耐熱性の高いポリアミドイミド中にシロキサン構造を導入したポリアミドイミドに起因するものである。このような構成のポリアミドイミドは、金属箔等との高い接着性を有しているばかりでなく、硬化性樹脂を硬化しない温度において、樹脂中に含まれる残存有機溶媒成分を極めて容易に5重量%以下にまで低減することができるという特性を有する。硬化性樹脂中の残存有機溶媒量が5重量%以下に低減されると、後のはんだ等の工程で基板フィルムが高温に晒された場合であっても、有機溶媒の揮発によるふくれ等は殆ど生じない。このため、得られる金属箔付き基板フィルムは高い耐熱性を有するようになる。以下、まず、このような基板フィルムを構成し得る硬化性樹脂の各成分について説明する。
(ポリアミドイミド)
硬化性樹脂を構成するポリアミドイミドは、主鎖にシロキサン構造、アミド結合及びイミド結合を有している。ここで、シロキサン構造とは、その構造中に−SiO−結合を有している構造をいう。なお、シロキサン構造としては、ケイ素原子に1価の有機基が2つ結合している構造が好ましい。
ポリアミドイミドは、例えば、上記一般式(1)で表される芳香族ジアミンと上記一般式(2)で表されるシロキサンジアミンとを含むジアミン混合物と、無水トリメリット酸と、を反応させてジイミドジカルボン酸を得、得られたジイミドジカルボン酸にジイソシアネートを反応させて得ることができる。
上記一般式(1)で表される芳香族ジアミンにおいて、Yで表される炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としては、−C(CH−で表される基が好ましく、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基としては−C(CF2−で表される基が好ましい。また、上記一般式(2)で表されるシロキサンジアミンにおいては、Rとしては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、Rとしては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましい。
このような芳香族ジアミンとしては、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼンが例示できる。
なかでも、芳香族ジアミンとしては、下記一般式(4)で表される化合物を用いることが好ましく、BAPPを用いることが特に好ましい。なお、式中、Yは上記と同義である。
また、上記一般式(2)で表されるシロキサンジアミンとしては、ジメチルシロキサン系両末端アミンやジメチルジフェニルシロキサン系両末端ジアミンを用いることが好ましい。具体的には、ジメチルシロキサン系両末端アミンは、アミノ変性シリコーンオイルX−22−161AS(アミン当量450)、X−22−161A(アミン当量840)、X−22−161B(アミン当量1500)(以上、信越化学工業社製)、BY16−853(アミン当量650)、BY−16−853B(アミン当量2200)(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)等として商業的に入手可能である。また、ジメチルジフェニルシロキサン系両末端ジアミンは、X−22−9409(アミン当量680)、X−22−1660B(アミン当量2260、以上、信越化学工業社製)等として商業的に入手可能である。なお、これらは単独で、または組み合わせて用いることができる。
ポリアミドイミドの製造においては、まず、上述したような芳香族ジアミンとシロキサンジアミンとのジアミン混合物と、無水トリメリット酸とを反応させてジイミドジカルボン酸を得る。こうして得られるジイミドジカルボン酸には、下記一般式(5a)及び下記一般式(5b)で表される化合物が含まれる。
式中、Zは、上記一般式(1)で表される化合物のアミノ基を除いた残基である。また、R、R及びnは上記と同義である。
芳香族ジアミン及びシロキサンジアミンを含むジアミン混合物と、無水トリメリット酸との反応においては、芳香族ジアミンのモル数をA、シロキサンジアミンのモル数をB、無水トリメリット酸のモル数をCとすると、(A+B)/Cの値が1.0/2.0〜1.0/2.2となるようにして反応させることが好ましい。ここで、AとBとの混合比率A/Bは99.9/0.1〜0/100であることが好ましく、かかる混合比率は、Bのアミン当量に応じて決定することが好ましい。例えば、シロキサンジアミンのアミン当量が400〜500の場合、A/Bは99.9/0.1〜0/100、アミン当量が800〜1000の場合、A/Bは99.9/0.1〜60/40、アミン当量が1500〜1600の場合、A/Bは99.9/0.1〜60/40とすることが好ましい。A、B及びCを上記範囲内にすることにより、上記一般式(5a)及び(5b)で表されるジイミドジカルボン酸がより生成しやすくなり、得られるポリアミドイミドにおける全アミド基量及び全ケイ素量について上記式(I)及び(II)を具備させやすくなる。
ジイミドジカルボン酸の生成反応においては、まず、芳香族ジアミン及びシロキサンジアミンを含むジアミン混合物と無水トリメリット酸とを非プロトン性極性溶媒中、50〜90℃で反応させた後、更に水と共沸可能な芳香族炭化水素を加え、120〜180℃で反応させて脱水閉環反応を生じさせることにより製造することが好ましい。かかる反応に用いる非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、4−ブチロラクトン、スルホラン等が例示でき、N−メチル−2−ピロリドンを用いることがより好ましい。
また、水と共沸可能な芳香族炭化水素としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等が例示でき、トルエンを用いることが好ましい。かかる芳香族炭化水素は非プロトン性極性溶媒に対して、重量比で0.1〜0.5となる重量を加えることが好ましい。そして、脱水閉環反応の終了後、更に温度を約190℃に上昇させて水と共沸可能な芳香族炭化水素を除去しておくことが好ましい。
ポリアミドイミドの製造においては、次に、こうして得られたジイミドジカルボン酸に、ジイソシアネートを反応させ、ポリアミドイミドを得る。ここで用いるジイソシアネートとしては、下記一般式(6)で表される化合物を用いることができる。
式中、Eは少なくとも1つの芳香環を有する2価の有機基、又は、2価の脂肪族炭化水素基であり、−C−CH−C−で表される基、トリレン基、ナフチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基及びイソホロン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい。
上記一般式(6)で表されるジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート又は芳香族ジイソシアネートを用いることができるが、芳香族ジイソシアネートを用いることが好ましく、両者を併用することが特に好ましい。
芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等が例示でき、MDIを用いることが特に好ましい。芳香族ジイソシアネートとしてMDIを用いることにより、得られるポリアミドイミドの可撓性を向上させ、また、結晶性を低減させることができ、ポリアミドイミドのフィルム形成性を向上させることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が例示できる。
芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートを併用する場合は、脂肪族ジイソシアネートを芳香族ジイソシアネートに対して5〜10モル%程度添加して用いることが好ましく、かかる併用により、得られるポリアミドイミドの耐熱性を更に向上させることができる。
ジイミドジカルボン酸混合物とジイソシアネートとの反応の結果、例えば、下記一般式(7)及び下記一般式(8)で表される繰り返し単位を有するポリアミドイミドが得られる。これらの繰り返し単位は、ブロック的に結合していてもよく、ランダム的に結合していても構わない。なお、式中のZ、E、R及びR及びnは、上記と同義である。

ジイミドジカルボン酸混合物と芳香族ジイソシアネートとの反応は、ジイミドジカルボン酸混合物の調製において水と共沸可能な芳香族炭化水素を除去した後に、一旦この溶液を室温まで冷却してから行うことが望ましい。こうして冷却された溶液に芳香族ジイソシアネートを加えて、温度を約190℃に上昇させて2時間程度反応させることによりポリアミドイミドが得られる。かかる反応においては、生成したジイミドジカルボン酸混合物1当量に対する芳香族ジイソシアネートの添加量は1.0〜1.5当量であることが好ましく、1.1〜1.3当量であることがより好ましい。芳香族ジイソシアネートの添加量が1.0当量未満であると、得られる基板フィルムの可撓性が低下する傾向があり、また1.5当量を超えても、同様に得られる基板フィルムの可撓性が低下する傾向がある。
(アミド反応性化合物)
次に、硬化性樹脂を構成するアミド反応性化合物について説明する。アミド反応性化合物としては、アミド基と反応を生じる官能基を備えた熱硬化性樹脂を用いることができる。かかるアミド反応性化合物はアミド基及び/又はケイ素原子を含有していてもよい。熱硬化性樹脂としては、多官能エポキシ化合物、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン−ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂等が例示でき、多官能エポキシ化合物が好ましい。アミド反応性化合物として多官能エポキシ化合物を用いることにより、得られる基板フィルムの耐熱性だけでなく機械的特性及び電気的特性を向上させることができる。このような多官能エポキシ化合物としては2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物が好ましく、3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物がより好ましい。
2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ノボラック型フェノール樹脂、オルトクレゾールノボラック型フェノール樹脂等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとを反応させてなるエポキシ樹脂;1,4−ブタンジオール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンとを反応させてなるエポキシ樹脂;フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンとを反応させてなるポリグリシジルエステル;アミン、アミド又は複素環式窒素塩基を有する化合物のN−グリシジル誘導体;脂環式エポキシ樹脂等が例示できる。
多官能エポキシ化合物として特に好適な、3個以上のグリシジル基を有する多官能エポキシ化合物としては、ZX−1548−2(東都化成社製)、DER−331L(ダウケミカル社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、YDCN−195(東都化成社製クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)等が商業的に入手可能であり、好適に用いることができる。
硬化性樹脂中に含有させるアミド反応性化合物の配合量は、硬化性樹脂中のアミド基又はケイ素原子が所定の含有量となるように決定する。具体的には、ポリアミドイミド100重量部に対するアミド反応性化合物の重量部Bは、ポリアミドイミド中のアミド基量をPa重量%、アミド反応性化合物中のアミド基量をEa重量%、ポリアミドイミド中のケイ素量をPc重量%、アミド反応性化合物中のケイ素量をEc重量%としたときに、上記の式(I)及び(II)を満たすように決定する。
アミド反応性化合物として多官能エポキシ化合物を用いる場合には、硬化性樹脂中に、多官能エポキシ化合物の硬化剤や硬化促進剤を更に加えることが好ましい。このような硬化剤、硬化促進剤としては、公知のものを加えることができる。例えば、硬化剤としては、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等のアミン類;イミダゾール類;ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA及びこれらのハロゲン化物、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等の多官能フェノール類;無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等の酸無水物類等が挙げられる。また、硬化促進剤としては、アルキル基置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。
硬化剤を加える場合、その配合量は、多官能エポキシ化合物におけるエポキシ当量に応じて決定することができる。例えば、硬化剤としてアミン化合物を添加する場合には、アミンの活性水素の当量と、多官能エポキシ化合物のエポキシ当量が等しくなるように配合する。また、硬化剤が多官能フェノール類又は酸無水物類である場合には、その配合量は、多官能エポキシ化合物1当量に対して、フェノール性水酸基又はカルボキシル基が0.6〜1.2当量となるようにすることが好ましい。一方、硬化促進剤を加える場合、その配合量は多官能エポキシ化合物100重量部に対して、0.001〜10重量部とすることが好ましい。これらの硬化剤又は硬化促進剤の配合量が上記範囲より少ないと、多官能エポキシ化合物の硬化が不充分となって、硬化性樹脂の硬化後のガラス転移温度が低下する傾向にある。一方、上記範囲よりも多いと、残存の硬化剤又は硬化促進剤により硬化性樹脂の硬化後の電気的特性が低下する傾向がある。
(無機フィラー)
本発明の硬化性樹脂中は、上述のポリアミドイミド、アミド反応性化合物の他に、無機フィラーを更に含有している。硬化性樹脂中に無機フィラーを含有していると、形成される基板フィルムの熱膨張係数が低減され、また、弾性率が向上し、これにより得られる金属箔付き基板フィルムの耐熱性及び機械的強度も極めて良好となる。
このような無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、マイカ、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、ガラス短繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、炭化ケイ素ウィスカ等が例示でき、これらは単独で、又は組み合わせて用いることができる。これらの無機フィラーの含有量は、硬化性樹脂の全体積(硬化性樹脂の固形分の全体積)に対して5〜50体積%であり、10〜50体積%であると好ましく、20〜40体積%であるとより好ましい。無機フィラーの含有量が5体積%未満であるか、又は50体積%を超えると、基板フィルムの強度が低下したり、基板フィルムの金属箔との接着強度が低下したりする傾向にある。
これらの無機フィラーには、硬化性樹脂中での分散性を向上させるための所定の前処理が施されていることが好ましい。かかる前処理としては、例えば、シリコーン重合体による無機フィラーの表面処理が挙げられる。この場合、無機フィラーをシリコーン重合体溶液に配合し、この混合溶液を硬化性樹脂の他の成分と混合(混錬等)することにより、表面処理が成されたフィラーを硬化性樹脂中に含有させることができる。用いるシリコーン重合体の量は、無機フィラーの重量に対して0.01〜10重量%程度が好ましく、0.05〜5重量%程度がより好ましい。
所定の前処理としては、また、シランカップリング剤による無機フィラーの表面処理も挙げられる。この場合も、シリコーン重合体における場合と同様に、無機フィラーをシランカップリング剤溶液中に配合し、この混合溶液を硬化性樹脂の他の成分と混合する。用いるシランカップリング剤の量は、無機フィラーの重量に対して0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましい。
以上、基板フィルム形成する硬化性樹脂の各成分について説明したが、硬化性樹脂中には、硬化を阻害しない範囲で、充填剤、カップリング剤、難燃剤等をその他の成分として更に添加することもできる。
(金属箔)
次に、金属箔付き基板フィルムに用いられる金属箔について説明する。金属箔としては、一般的にフレキシブルプリント配線板の配線回路の形成に用いられる金属からなるものであれば特に制限はないが、通常配線用材料として多く用いられる銅箔が特に好ましい。銅箔としては、電解銅箔や圧延銅箔等を用いることができ、表面に粗化処理等により凹凸が形成されていないものが好ましい。配線回路を形成した場合に伝達信号の高周波数化を図るためには、小さい表面粗さを有する銅箔が好ましく、具体的には、銅箔の少なくとも一方の面が、JIS B0601−1994に規定の十点平均表面粗さ(Rz)が3μm以下であると好ましく、Rzが2μmであるとより好ましい。通常の電解銅箔の光沢面は、これらの条件を満たしており、このような銅箔を用いる場合は、その光沢面をそのまま基板フィルムに対する接着面とすることができる。
このような条件を満たす銅箔としては、F2−WS(古河サーキットフォイル社製、Rz=3.0)、3EC−VLP(三井金属社製、Rz=3.0)が挙げられ、特に表面粗さの小さい銅箔としては、F0−WS(古河サーキットフォイル社製、Rz=1.2μm)が商業的に入手可能である。また、これらの銅箔の厚さは9〜18μm程度が好ましい。また、キャリア銅箔の表面に離型処理を施し、この上に極薄の銅箔を積層したピーラブル銅箔も使用可能であり、この場合の銅箔としては、3μmや5μmの厚みのものを用いることができる。このような銅箔としては、例えば、MTS(三井金属社製)、NAP(日本電解社製)、FCF(古河サーキットフォイル社製)等が商業的に入手可能である。
銅箔以外の金属箔としては、厚さ5〜200μmのアルミニウム箔、厚さ0.5〜15μmの銅箔層と厚さ10〜300μmの銅箔層の間に、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等からなる中間層を設けた3層構造の複合箔や、アルミニウムと銅箔を複合した2層構造の複合箔等が挙げられる。これらの金属箔も、その表面粗さが上述の条件を満たしていることが好ましい。
(金属箔付き基板フィルムの製造)
本発明の金属箔付き基板フィルムは、金属箔上に硬化性樹脂を塗布等した後、硬化性樹脂を硬化して基板フィルムとすることにより製造することができる。金属箔上への硬化性樹脂の塗布は、公知の方法により実施することができ、具体的には、コンマコータ、ディップコータ、キスコータや自然流延塗布等による方法が挙げられる。かかる塗布は、硬化性樹脂を有機溶媒等に溶解又は分散させ、硬化性樹脂の濃度が0.1〜10%、好ましくは2〜6%であるワニスの状態で行うことが好ましい。この場合にワニスに用いる有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
こうして金属箔上に硬化性樹脂層が積層された樹脂付き金属箔を、所定の条件で加熱及び/又は加圧することにより硬化性樹脂を硬化させて基板フィルムとし、片面に金属箔を有する片面金属箔付き基板フィルムが形成される。この場合の加熱は、好ましくは160〜250℃の温度で実施することができ、加圧は0.1〜8.0MPaの圧力、好ましくは真空下で実施することができる。加熱及び加圧は真空プレス等を用いて同時に行うことが好ましく、これらの処理を10分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは60分以上実施することで、金属箔と基板フィルムとの接着性に優れた金属箔付き基板フィルムを製造することができる。
(両面金属箔付き基板フィルム及びその製造)
また、上述した硬化性樹脂は、当該硬化性樹脂の硬化物からなる基板フィルムの両面に金属箔を備える両面金属箔付き基板フィルムに対しても好適に用いることができる。このような両面金属箔付き基板フィルムは、2つの金属箔(第1の金属箔及び第2の金属箔)の間に、硬化により基板フィルムとなるべき硬化性樹脂を挟持して、全体を加熱及び/又は加圧する方法により得られたものが好ましい。かかる方法においては、例えば、一方の金属箔上に硬化性樹脂を塗布する等して硬化性樹脂からなる層を形成させた後、この硬化性樹脂層上に更に金属箔を配置することにより金属箔間に硬化性樹脂が挟持された状態とすることができる。この場合、金属箔上への硬化性樹脂の塗布は、上述した片面金属箔付き基板フィルムにおける場合と同様にして実施することができる。2つの金属箔としてはそれぞれ同一のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
また、硬化性樹脂は、2つの金属箔(第1の金属箔及び第2の金属箔)のそれぞれの一方面上に当該硬化性樹脂を積層して得られた2つの積層体を、それぞれの硬化性樹脂同士が対向するようにして接触させることによって、第1の金属箔と第2の金属箔との間に挟持させることもできる。この場合、2つの積層体における硬化性樹脂及び金属箔は、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、積層体同士の接着性の観点からは、少なくとも硬化性樹脂が同一であることが望ましい。
こうして2つの金属箔間に硬化性樹脂を挟持したら、全体を上述の片面金属箔付き基板フィルムの製造における場合と同様の条件で加熱及び/又は加圧することにより金属箔間の硬化性樹脂を硬化させて、硬化性樹脂の硬化物からなる基板フィルムを形成させる。こうして両面金属箔付き基板フィルムが得られる。
こうして得られた両面金属箔付き基板フィルムは、金属箔表面が平滑であり、また基板フィルムと金属箔との接着性や耐熱性、更には可撓性に極めて優れるといった特性を有するものとなる。かかる両面金属箔付き基板フィルムを用い、金属箔にエッチングやめっきといった公知のパターニングを施して配線パターンを形成することにより、高周波領域でも動作が可能なフレキシブルプリント配線板等のプリント配線板を得ることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ポリアミドイミドの合成]
(合成例1)
還流冷却器を連結したコック付き25mLの水分定量受器、温度計、攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、芳香族ジアミンとして2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)57.5g(0.14mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルKF8010(信越化学工業社製、アミン当量421)50.5g(0.06mol)、無水トリメリット酸(TMA)80.7g(0.42mol)、非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)462gを仕込み、80℃で30分間攪拌した。
攪拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを加え、温度を160℃に上昇させて2時間還流させた。水分定量受器に水が約7.2mL以上たまり、水の留出が見られなくなっていることを確認したら、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、更に温度を190℃まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコの溶液を室温まで戻した後、芳香族イソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイイソシアネート(MDI)60.1g(0.24mol)を加え、温度を190℃に上昇させて2時間反応させた。反応後、溶液を室温まで冷却して、重量平均分子量(MW)110000、アミド基量8.05重量%、ケイ素量8.68重量%のポリアミドイミドのNMP溶液を得た。
(合成例2)
還流冷却器を連結したコック付き25mLの水分定量受器、温度計、攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、芳香族ジアミンとしてBAPPの41.1g(0.10mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルKF8010の84.2g(0.10mol)、TMAの80.7g(0.42mol)、非プロトン性極性溶媒としてNMPの494gを仕込み、80℃で30分間攪拌した。
攪拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを加え、温度を160℃に上昇させて2時間還流させた。水分定量受器に水が約7.2mL以上たまり、水の留出が見られなくなっていることを確認したら、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、更に温度を190℃まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコの溶液を室温まで戻した後、芳香族イソシアネートとしてMDIの60.1g(0.24mol)を加え、温度を190℃に上昇させて2時間反応させた。反応後、溶液を室温まで冷却して、MW105000、アミド基量7.38重量%、ケイ素量13.26重量%のポリアミドイミドのNMP溶液を得た。
(合成例3)
還流冷却器を連結したコック付き25mLの水分定量受器、温度計、攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、芳香族ジアミンとしてBAPPの41.05g(0.10mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルX−22−9409(信越化学工業社製、アミン当量679)135.8g(0.10mol)、TMAの80.7g(0.42mol)、非プロトン性極性溶媒としてNMPの476gを仕込み、80℃で30分間攪拌した。
攪拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを加え、温度を160℃に上昇させて2時間還流させた。水分定量受器に水が約7.2mL以上たまり、水の留出が見られなくなっていることを確認したら、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、更に温度を190℃まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコの溶液を室温まで戻した後、芳香族イソシアネートとしてMDIの60.1g(0.24mol)を加え、トリエチルアミン0.6gを更に添加して、温度を130℃に上昇させて4時間反応させた。反応後、溶液を室温まで冷却して、MW98000、アミド基量6.12重量%、ケイ素量10.99重量%のポリアミドイミドのNMP溶液を得た。
(比較合成例1)
還流冷却器を連結したコック付き25mLの水分定量受器、温度計、攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルX−22−161A(信越化学工業社製、アミン当量805)161.0g(0.10mol)、TMAの40.34g(0.21mol)、非プロトン性極性溶媒としてNMPの540gを仕込み、80℃で30分間攪拌した。
攪拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを加え、温度を160℃に上昇させて2時間還流させた。水分定量受器に水が約3.6mL以上たまり、水の留出が見られなくなっていることを確認したら、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、更に温度を190℃まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコの溶液を室温まで戻した後、芳香族イソシアネートとしてMDIの30.1g(0.12mol)を加え、さらにトリエチルアミン1.0gを投入して、温度を110℃に上昇させて4時間反応させた。反応後、溶液を室温まで冷却して、MW85000、アミド基量4.07重量%、ケイ素量27.96重量%のポリアミドイミドのNMP溶液を得た。
(比較合成例2)
還流冷却器を連結したコック付き25mLの水分定量受器、温度計、攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、芳香族ジアミンとしてBAPPの57.5g(0.14mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルKF8010の50.5g(0.06mol)、TMAの76.8g(0.40mol)、非プロトン性極性溶媒としてNMPの548gを仕込み、80℃で30分間攪拌した。
攪拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを加え、温度を160℃に上昇させて2時間還流させた。水分定量受器に水が約7.2mL以上たまり、水の留出が見られなくなっていることを確認したら、水分定量受器中の水トルエンを除去し、更に温度を190℃まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコの溶液を室温まで戻した後、芳香族イソシアネートとしてMDIの50.1g(0.20mol)を加え、温度を190℃に上昇させて2時間反応させた。反応後、溶液を室温まで冷却して、MW30000、アミド基量8.05重量%、ケイ素量8.68重量%のポリアミドイミドのNMP溶液を得た。
[基板フィルム用硬化性樹脂の調製]
(フィラーの前処理)
攪拌装置、コンデンサ、温度計を備えたガラスフラスコに、ジメトキシジメチルシランを20g、テトラメトキシシランを25g、メタノールを105g配合した溶液に、酢酸0.60g及び蒸留水17.8gを更に配合し、50℃で8時間攪拌して、シリコーン重合体を得た。得られたシリコーン重合体と、シリカフィラー700g及びジメチルアセトアミド300gを混合して、80℃で1時間攪拌してシリカフィラーを含むスラリーを得た。
(調製例1)
合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液102.8g(樹脂固形分35重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるDER331L(ダウ・ケミカル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)8.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー30.8gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が7.3重量%、全ケイ素量が7.8重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が21.2体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(調製例2)
合成例2で得られたポリアミドイミドのNMP溶液102.8g(樹脂固形分35重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるDER331L(ダウ・ケミカル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)8.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー30.8gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が6.6重量%、全ケイ素量が11.9重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が21.2体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(調製例3)
合成例3で得られたポリアミドイミドのNMP溶液90.0g(樹脂固形分40重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるYDCN500−10(東都化成社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)8.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー30.8gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が5.5重量%、全ケイ素量が9.9重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が21.2体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(調製例4)
合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液91.4g(樹脂固形分35重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるNC3000H(日本化薬社製、ザイロック型エポキシ樹脂)16.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.16gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー38.0gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が7.3重量%、全ケイ素量が7.8重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が25体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(調製例5)
合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液108.3g(樹脂固形分35重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるNC3000Hの4.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.16gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー38.0gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が7.6重量%、全ケイ素量が8.2重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が25体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(比較調製例1)
比較合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液90.0g(樹脂固形分40重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるDER331Lの8.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー30.8gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が3.7重量%、全ケイ素量が25.2重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が21.2体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(比較調製例2)
比較合成例2で得られたポリアミドイミドのNMP溶液120.0g(樹脂固形分30重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるDER331Lの8.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー30.8gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が7.3重量%、全ケイ素量が7.8重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が21.2体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(比較調製例3)
比較合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液59.4g(樹脂固形分35重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるDER331Lの40.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.40gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー35.8gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が14.0重量%、全ケイ素量が2.0重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が21.2体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(比較調製例4)
合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液102.8g(樹脂固形分35重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるDER331Lの8.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した後、この溶液の脱泡を行い、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が7.3重量%、全ケイ素量が7.8重量%である硬化性樹脂のワニスを得た。
(比較調製例5)
合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液102.8g(樹脂固形分35重量%)、アミド反応性化合物としてエポキシ樹脂であるDER331Lの8.0g(樹脂固形分50重量%のジメチルアセトアミド溶液)、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08gを配合し、組成物が均一になるまで約1時間攪拌した。その後、溶液中に、上述のスラリー66.7gを投入して、自転・公転方式ミキサーを使用して2分間混合し、混錬と脱泡を行った。さらに、この溶液を、200メッシュのナイロン布でろ過し、ろ液を自転・公転ミキサーで1分間混錬して、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物中の全アミド基量が7.3重量%、全ケイ素量が7.8重量%であり、硬化性樹脂中のシリカフィラーの含有量が53.8体積%である硬化性樹脂のワニスを得た。
[金属箔付き基板フィルムの作製]
(実施例1〜5、比較例1〜5)
調製例1〜5及び比較調整例1〜5で得られた硬化性樹脂のワニスを、電解銅箔(厚み12μm)の粗化面(Rz=5.0μm)又は光沢面(Rz=1.5μm)にそれぞれ自然流延塗布して130℃で20分間乾燥させて樹脂付き金属箔を得、この樹脂付き金属箔に230℃、60分の加熱を行って、片面金属箔付き基板フィルムを得た。また、各ワニスを用いて得られた樹脂付き金属箔を、それぞれ2つずつ準備して、同一の樹脂付き金属箔同士を樹脂側が接するように重ねて積層体とし、この積層体に230℃、2MPa、60分の条件で真空プレスを行って両面銅箔付き基板フィルムを得た。なお、調製例1〜5の硬化性樹脂を用いて得られた片面金属箔付き基板フィルムをそれぞれ実施例1a〜5aとし、比較調製例1〜5の硬化性樹脂を用いて得られた片面金属箔付き基板フィルムを比較例1a〜5aとした。また、調製例1〜5の硬化性樹脂を用いて得られた両面金属箔付き基板フィルムを実施例1b〜5bとし、比較調製例1〜5の硬化性樹脂を用いて得られた両面金属箔付き基板フィルムを比較例1b〜5bとした。
[破断強度の測定]
実施例1〜5及び比較例1〜5の金属箔付き基板フィルムにおける基板フィルムの破断強度を測定するため、実施例1a〜5a及び比較例1a〜5aの片面金属箔付き基板フィルムにおける金属箔を過硫酸アンモニウム水溶液によりエッチング除去して得られたそれぞれの基板フィルム単体を、100℃で20分乾燥した後、10mm幅の短冊状に切り出して、得られた各短冊を用いてオートグラフAC100C(島津製作所社製)により引張試験を行い、それぞれの基板フィルムの破断強度を測定した。得られた結果を表1に示す。
[そりの発生の確認]
実施例1a〜5a、比較例1a〜5aの金属箔付き基板フィルムを目視により観察し、そりが生じているか否かを評価した。そりの発生が見られなかった金属箔付き基板フィルムを○、そりの発生が見られた金属箔付き基板フィルムを×として、得られた結果を表2に示す。
[接着強度の測定]
実施例1a〜5a、実施例1b〜5b、比較例1a〜5a及び比較例1b〜5bの金属箔付き基板フィルムにおける銅箔を、それぞれ90度方向に引き剥がす際の引き剥がし強さ(90°剥離強さ、JIS C6481に準拠)を測定し、得られた値を銅箔と基板フィルムとの接着強度(kN/m)とした。なお、接着強度は、金属箔の粗化面が基板フィルムと接着している金属箔付き基板フィルム、及び光沢面が基板フィルムと接着している金属箔付き基板フィルムの両方について測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[はんだ耐熱性試験]
実施例1a〜5a、実施例1b〜5b、比較例1a〜5a及び比較例1b〜5bの金属箔付き基板フィルムを20mm×20mmに切断したものをはんだ耐熱性試験用の試料とし、この試料を260℃のはんだ浴にそれぞれ浸漬して、銅箔と基板フィルムとの接着界面におけるふくれや、基板フィルムからの銅箔の剥がれが生じていないかを目視により確認してはんだ耐熱性の評価を行った。なお、はんだ耐熱性の評価は、試料をはんだ浴に浸漬してからふくれ又は剥がれが生じるまでの時間(秒)を測定することにより行った。得られた結果を表2に示す。


表1及び表2より、実施例1〜5の金属箔付き基板フィルムは、電解銅箔の粗化面に対して基板フィルムが接着したものについては全て1.2kN/m以上、光沢面に対して接着したものであっても0.7kN/m以上の接着強度を示し、また、これらに用いられている基板フィルムは58MPa以上の破断強度を示すことが判明した。さらに、実施例1〜5の金属箔付き基板フィルムにおいては、そりの発生は見られなかった。
これに対し、全アミド基量及び全ケイ素量が本発明の金属箔付き基板フィルムの範囲外であった比較例1〜3の金属箔付き基板フィルムは、金属箔の粗化面に対して基板フィルムが接着したものであっても接着強度は0.6kN/m以下であった。
また、硬化性樹脂中に無機フィラーを含まない比較例4の金属箔付き基板フィルムは、電解銅箔を外側にしてそりが生じた。さらに、無機フィラーの含有量が50体積%以上であった比較例5の金属箔付き基板フィルム、及び、ポリアミドイミドの重量平均分子量が80000未満であった比較例2の金属箔付き基板フィルムは、基板フィルムの破断強度がそれぞれ15.6MPa及び12.3MPaであり、他の金属箔付き基板フィルムにおける基板フィルムと比べて劣っていることが判明した。

Claims (4)

  1. 金属箔と、硬化性樹脂の硬化物からなり前記金属箔上に設けられた基板フィルムと、を備える片面金属箔付き基板フィルムであって、
    前記硬化性樹脂は、主鎖にシロキサン構造を有しており重量平均分子量が80000以上であるポリアミドイミドと、前記ポリアミドイミドのアミド基と反応する官能基を有したアミド反応性化合物と、全体積に対して2040体積%の無機フィラーと、を含むものであり、且つ、
    前記ポリアミドイミド中のアミド基の含有量をPa重量%、前記アミド反応性化合物がアミド基を含む場合はその含有量をEa重量%、前記ポリアミドイミド中のケイ素原子の含有量をPc重量%、前記アミド反応性化合物がケイ素原子を含む場合はその含有量をEc重量%としたときに、
    前記ポリアミドイミド100重量部に対する、前記アミド反応性化合物の重量部Bは、以下の式(I)及び(II)、
    3≦(Pa×100+Ea×B)/(100+B)≦11 …(I)
    1≦(Pc×100+Ec×B)/(100+B)≦16 …(II)
    を満たすことを特徴とする片面金属箔付き基板フィルム。
  2. 前記金属箔の前記基板フィルムに対向する面の十点平均表面粗さが、3.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の片面金属箔付き基板フィルム。
  3. 前記ポリアミドイミドは、
    下記一般式(1)で表される芳香族ジアミン及び下記一般式(2)で表されるシロキサンジアミンを含むジアミン混合物と、無水トリメリット酸と、を反応させて得られるジイミドジカルボン酸に、
    ジイソシアネートを反応させて得られるポリアミドイミドであることを特徴とする請求項1又は2記載の片面金属箔付き基板フィルム。
    [式中、Xは下記一般式(3a)又は(3b)で表される2価の基、Rはアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基、Rはアルキレン基、フェニレン基又は置換フェニレン基、nは1〜15の整数を示す。
    但し、Yは、炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3の2価のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合であり、複数存在するR及びRのそれぞれは同一であっても異なっていてもよい。]
  4. 前記アミド反応性化合物は、2以上のグリシジル基を有する多官能エポキシ化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の片面金属箔付き基板フィルム。

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