JP2021141108A - 接着剤、接着シート及びフレキシブル銅張積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、キャスティング法2層FCCL並の特性とラミネート法2層FCCL以上の生産性を両立するフレキシブル銅張積層板用の接着剤を開発し、それを用いて製造する接着シート及びフレキシブル銅張積層板(2.2層FCCL)を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明は、フレキシブル銅張積層板を構成するポリイミドフィルム基材と銅箔を接着させるためのフレキシブル銅張積層板用接着剤であって、フェニルインダン構造を有する繰返し単位を有する溶剤可溶性ポリイミド、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有し、前記接着剤から作製した半硬化状態のフィルムを180℃で90分間加熱硬化させて得られたフィルムの引張弾性率が1〜10.0GPa以下となり、Tgが120〜190℃となる接着剤を提供する。また、本発明は、前記本発明の接着剤を含有する接着剤層を有する接着シート及びフレキシブル銅張積層板を提供する。【選択図】 なし
Description
本発明は、フレキシブルプリント配線板等に使用されるフレキシブル銅張積層板(FCCL:Flexible Cupper Clad Laminate)、それを製造するための接着剤及び接着シートに関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化に伴い、各種プリント配線板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブルプリント配線板の需要が特に伸びている。フレキシブルプリント配線板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。フレキシブルプリント配線板用のフレキシブル銅張積層板は、一般に各種絶縁材料により形成され、ポリイミドフィルム等の柔軟性を有する絶縁性フィルムを基材とし、この基材の表面に各種の接着材料を介して金属箔を加熱・圧着して貼り合わせる方法により製造される。
銅箔とポリイミドフィルムの接着剤としてエポキシ樹脂又はアクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いたフレキシブル銅張積層板(以下、「3層FCCL」ともいう)がある。これらの熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点があるが、耐熱性、耐薬品性、電気的信頼性、寸法安定性、薄肉化等の要求特性が厳しくなるに従い、3層FCCLでは対応が困難になってきている。そこで、ポリイミドフィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したフレキシブル銅張板(以下、「2層FCCL」ともいう)が伸張してきている。この2層FCCLは、3層FCCLよりも特に耐熱性、寸法安定性及び電気的信頼性に優れ、薄肉化にも貢献できる。
2層FCCLにはラミネート法、キャスティング法、及びスパッタリング法の3種の方法があり、それぞれに長所短所を有している。
ラミネート法2層FCCLは、ポリイミドフィルムの片面又は両面に熱可塑性ポリイミド(TPI)接着層を形成した接着シートと導電性金属箔を貼り合わせるプロセスを用いるため、3種の方法の中では生産性が高い(特許文献1、3〜5)。一般に2層FCCLには、鉛フリー半田に対応した高い半田耐熱性、及び高密度実装に対応した寸法安定性が求められる。しかし、ラミネート法2層FCCLは、接着剤に高融点の熱可塑性ポリイミド(TPI)を用いるため、ラミネート工程が300℃以上の高温且つ高圧にならざるを得ず、これがエッチング後および加熱後の寸法安定性を悪化させていた。寸法安定性を高めるために種々の改良がなされているが寸法安定性は未だ不十分である。また、銅箔の酸化防止等の観点から耐熱保護フィルムの併用が必須となり、コストの点でも課題が残っていた。
キャスティング法2層FCCLは、導電性金属箔にポリイミド前駆体をキャスティング(塗布)し加熱してイミド化するプロセスを用いるが(特許文献6及び7)、生産性に劣り長大装置を要するという本質的な欠点を有している。寸法安定性と銅箔接着力の信頼性を高めるために、低熱膨張ポリイミドと銅箔との接着性を高めた高接着性ポリイミドを用い、硬化後の熱膨張係数が銅と整合するような任意の厚み比で銅箔上に3層塗工して硬化する手法が開発され、さらに、フローティング方式による片面2層FCCLの広幅連続塗工・硬化プロセスや両面2層FCCLの高速・広幅の連続ラミネートプロセスも開発されている。このような改良を重ねた結果、現在は、キャスティング法2層FCCLは3種の方法の中で特性が最も安定しているが、生産性に劣り長大装置を要するという本質的な欠点を克服するまでには至っていない。
スパッタリング法2層FCCLは、ポリイミドフィルム上に導電性金属をスパッタリングで積層するプロセスであり、導体層の薄膜化が容易であり、金属とフィルムの界面が平滑であるという特徴から、ファインパターン形成に有利である(特許文献2)。しかし、スパッタリング法は真空蒸着設備が必須であり、生産コストが高く生産性も悪いため、FCCLの価格も3種の方法の中で最も高価である。
一方、フェニルインダン構造を含む溶剤可溶性ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物をPETフィルム上に塗布し乾燥して作製したフィルムを多層基板の層間絶縁材料として用いる方法が報告されている(特許文献8及び9)。特許文献8では、FR−4等のリジッド基板をコア材料としたビルドアップ多層基板用の層間絶縁材料として熱硬化性樹脂組成物が使用されている、また、特許文献9では、フレキシブル銅張板や金属材料をコア材料としたフレキシブル多層基板や金属基板の層間絶縁材料として熱硬化性樹脂組成物が使用されている。すなわち、特許文献8及び9においては、熱硬化性樹脂組成物はフレキシブル銅張積層板の接着剤としては用いられていない。また、特許文献8及び9においては、銅張積層板の寸法安定性について全く着目されていない。
2層FCCLでは、生産性の観点からはラミネート法2層FCCLが最も優れ、特性の観点からはキャスティング法2層FCCLが最も優れている。そのため、ラミネート法のプロセスを用いて、キャスティング法2層FCCL並の特性を実現することが求められていた。
本発明は以上の事情に鑑みなされたものであって、その目的は、キャスティング法2層FCCL並の特性とラミネート法2層FCCL以上の生産性を両立するフレキシブル銅張積層板用の接着剤を開発し、それを用いて製造する接着シート及びフレキシブル銅張積層板(以下、「2.2層FCCL」ともいう)を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ラミネート法2層FCCLにおいて、接着剤である熱可塑性ポリイミド(TPI)を、特定の溶剤可溶性ポリイミド、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む熱硬化性の接着剤であって、接着剤から作製したフィルムが特定の引張弾性率及びTgを有する接着剤に変更することにより、ラミネート法2層FCCLの特性上の改善点である寸法安定性を改良でき、キャスティング法2層FCCL並の特性を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、フレキシブル銅張積層板を構成するポリイミドフィルム基材と銅箔を接着させるためのフレキシブル銅張積層板用接着剤であって、下記一般式[I]で表される繰返し単位を有する溶剤可溶性ポリイミド、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有し、前記接着剤から作製した半硬化状態のフィルムを180℃で90分間加熱硬化させて得られたフィルムの引張弾性率が1〜10.0GPa以下となり、Tgが120〜190℃となる接着剤、を提供する。
(式中、Zは芳香族若しくは脂環式のテトラカルボン酸ジ無水物残基であり、Arはフェニルインダン構造を有する芳香族ジアミン残基である)
(式中、Zは芳香族若しくは脂環式のテトラカルボン酸ジ無水物残基であり、Arはフェニルインダン構造を有する芳香族ジアミン残基である)
また、本発明は、フレキシブル銅張積層板を構成するポリイミドフィルム基材の片面又は両面に、銅箔を接着させるための接着剤層が積層されてなる、フレキシブル銅張積層板用の接着シートであって、前記接着剤層が前記本発明の接着剤を含有する接着シート、を提供する。
また、本発明は、ポリイミドフィルム基材の片面又は両面に接着剤層及び銅箔が順次積層されてなるフレキシブル銅張積層板であって、前記接着剤層が前記本発明の接着剤を含有するフレキシブル銅張積層板、を提供する。
さらに、本発明は、前記本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、前記本発明の接着シートに銅箔を貼り合わせた後に、200℃以下の温度で接着剤層を硬化させることを含む製造方法、を提供する。
本発明の特定の接着剤を用いてポリイミドフィルム基材と銅箔を接着させる接着剤層を形成することにより、接着シートの接着剤層と銅箔とを150℃以下の温度で貼り合わせ、200℃以下の温度で接着剤層を熱硬化させることができる。そのため、寸法安定性悪化の主要因の一つである高温高圧でのラミネート工程を経る必要がなく、フレキシブル銅張積層板の寸法安定性を大きく改善することができる。その結果、キャスティング法2層FCCL並の特性とラミネート法2層FCCL以上の生産性を両立するフレキシブル銅張積層板を提供することができる。
本発明のフレキシブル銅張積層板用接着剤は、フレキシブル銅張積層板を構成するポリイミドフィルム基材と銅箔を接着させるための接着剤であり、下記一般式[I]で表される繰返し単位を有する溶剤可溶性ポリイミド、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する。
上記一般式中、Zは芳香族若しくは脂環式のテトラカルボン酸ジ無水物残基であり、Arはフェニルインダン構造を有する芳香族ジアミン残基である。
(溶剤可溶性ポリイミド)
本発明における溶剤可溶性ポリイミドが有する上記一般式[I]で表される繰返し単位において、Zで表される芳香族テトラカルボン酸ジ無水物残基をポリイミドに導入するための芳香族テトラカルボン酸ジ無水物としては、特に制限はないが、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物又はビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物が好ましい。
本発明における溶剤可溶性ポリイミドが有する上記一般式[I]で表される繰返し単位において、Zで表される芳香族テトラカルボン酸ジ無水物残基をポリイミドに導入するための芳香族テトラカルボン酸ジ無水物としては、特に制限はないが、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物又はビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物が好ましい。
Zで表される脂環式テトラカルボン酸ジ無水物残基をポリイミドに導入するための脂環式テトラカルボン酸ジ無水物としては、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジ無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸ジ無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジ無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸ジ無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸ジ無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸ジ無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジ無水物、ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジ無水物及びデカハイドロジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸ジ無水物等が挙げられる。
Arで表される、フェニルインダン構造を有する芳香族ジアミン残基におけるフェニルインダン構造とは、下記のインダン骨格に、置換基を有していてもよいフェニル基が置換した構造であり、置換基としては、ハロゲン原子又は炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。フェニルインダン構造を有する芳香族ジアミン残基(Ar)としては、下記のインダン骨格の1位又は2位に置換基を有していてもよいフェニル基が置換した構造を含むジアミン残基が好ましく、中でも、下記一般式[II]で表されるジアミン残基であるのが好ましい。
一般式[II]中、R1、R2及びR3は、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を表す。また、R4の各々及びR5の各々は、独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を表す。
フェニルインダン構造を有する芳香族ジアミン残基(Ar)をポリイミドに導入するための芳香族ジアミンとしては、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、5−アミノ−6−メチル−1−(3’−アミノ−4’−メチルフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、5−アミノ−1−(4’−アミノ−Ph’,Ph’−ジクロロ−フェニル)−Ph,Ph−ジクロロ−1,3,3−トリメチルインダン,6−アミノ−1−(4’−アミノ−Ph’,Ph’−ジクロロ−フェニル)−Ph,Ph−ジクロロ−1,3,3−トリメチルインダン,4−アミノ−6−メチル−1−(3’−アミノ−4’−メチル−フェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、Ph−アミノ−1−(Ph’−アミノ−2’,4’−ジメチルフェニル)−1,3,3,4,6−ペンタメチルインダン等が挙げられる。上記例示化合物中のPh及びPh’は、フェニルインダン構造中のフェニル環中の不特定な位置を表わす。
溶剤可溶性ポリイミドを構成する、フェニルインダン構造を有する芳香族ジアミン成分(Ar成分)の含有量は、溶剤可溶性ポリイミドとエポキシ樹脂との相溶性を高める観点から、全ジアミン成分の50mol%以上、更には70mol%以上が好ましい。
溶剤可溶性ポリイミドは、上記一般式[I]で表される繰返し単位以外の別の繰返し単位を有するブロックロック共重合体であってもよく、他の芳香族ジアミン残基、脂肪族ジアミン残基又は脂環式ジアミン残基、或いは、ジアミノポリシロキサンを主鎖中に有するジアミン残基を有する繰返し単位を有していてもよい。ジアミノポリシロキサンを主鎖中に有するジアミン残基をポリイミドに導入するためのジアミンとしては、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
上記一般式(I)で表される繰返し単位を有する溶剤可溶性ポリイミドは、芳香族若しくは脂環式のテトラカルボン酸ジ無水物とフェニルインダン構造を有する芳香族ジアミンを脱水縮合反応させることにより得られる。
溶剤可溶性ポリイミドの合成方法は公知の方法を用いればよく、特に制限されないが、上述したテトラカルボン酸ジ無水物と芳香族ジアミンをほぼ等量用いて、有機極性溶媒中、触媒及び脱水剤の存在下、160〜200℃で数時間反応させることにより、溶剤可溶性のポリイミドを合成できる。有機極性溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、テトラヒドロチオフェン−1,1−オキシド等が用いられる。
溶剤可溶性ポリイミドはブロック共重合体であるのが好ましく、ブロック共重合体はブロック共重合反応を行うことにより合成することができる。例えば、二段階の逐次添加反応によって製造することができ、第一段階でテトラカルボン酸ジ無水物と芳香族ジアミンからポリイミドオリゴマーを合成し、次いで第二段階で、更にテトラカルボン酸ジ無水物及び/又は芳香族ジアミンを添加して、重縮合させてブロック共重合ポリイミドとすることができる。
ブロック共重合反応の触媒としては、ラクトンの平衡反応を利用した二成分系の酸−塩基触媒を用いることにより、脱水イミド化反応を促進することができる。具体的には、γ−バレロラクトンとピリジン又はN−メチルモルホリンの二成分系触媒を用いる。下記式に示すように、イミド化が進むにつれて水が生成し、生成した水がラクトンの平衡に関与して、酸−塩基触媒となり触媒作用を示す。
イミド化反応によって生成する水は、極性溶媒中に共存するトルエン又はキシレン等の脱水剤と共沸によって系外に除かれる。反応が完結すると溶液中の水が除去され、酸−塩基触媒はγ−バレロラクトンとピリジン又はN−メチルモルホリンとなり系外に除去される。このようにして高純度のポリイミド溶液を得ることができる。
他の二成分系触媒としては、シュウ酸又はマロン酸とピリジン又はN−メチルモルホリンを用いることができる。160〜200℃の反応溶液中で、シュウ酸塩又はマロン酸塩は酸触媒としてイミド化反応を促進する。生成したポリイミド溶媒中には触媒量のシュウ酸又はマロン酸が残留する。このポリイミド溶液を基材に塗布した後に200℃以上に加熱し、脱溶媒を行って製膜をする時に、ポリイミド中に残存するシュウ酸又はマロン酸は、下記式に示すように熱分解し、ガスとして系外に除かれる。
以上の方法により、高純度の溶剤可溶性ポリイミドを得ることができる。シュウ酸−ピリジン系触媒は、バレロラクトン−ピリジン系触媒に比べて活性が強く、短時間で高分子量のポリイミドを生成することができる。
合成された溶剤可溶性ポリイミドの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として1万〜40万が好ましい。溶剤可溶性ポリイミドの分子量がこの範囲内であると良好な溶剤可溶性、膜物性及び絶縁性を達成できるため好ましい。
合成された溶剤可溶性ポリイミドの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として1万〜40万が好ましい。溶剤可溶性ポリイミドの分子量がこの範囲内であると良好な溶剤可溶性、膜物性及び絶縁性を達成できるため好ましい。
本発明における「溶剤可溶性」なる用語は、ポリイミドの合成において使用する有機極性溶剤と、後述する接着剤組成物に使用する溶剤に対して使用する用語であり、これらの溶剤を用いてポリイミドが20重量%固形分の溶液を作製可能であることを意味する。溶剤としては、NMP、γ-ブチロラクトン、DMF、DMACなどが挙げられる。合成されたポリイミドは、上記有機極性溶剤又は後述する接着剤組成物に使用する溶剤に、例えば、固形分が10〜30重量%となるよう溶解させた溶液の状態で用いることができる。
また、本発明の溶剤可溶性ポリイミドは完全にイミド化したポリイミドであるため、接着剤をポリイミドフィルム基材に塗布した後にイミド化のための高温での熱処理を必要としない。従って、接着剤をポリイミドフィルム基材に塗布した後にイミド化のための高温での熱処理(300℃以上)を要するポリアミック酸(ポリイミド前駆体)に比べ、寸法安定性の高いフレキシブル銅張積層板を提供できるという利点がある。
(エポキシ樹脂)
本発明におけるエポキシ樹脂は特に限定されないが、好ましくは2個以上のグリシジル基を持つ剛直構造のエポキシ樹脂が好適である。エポキシ樹脂の分子量(Mw)は、通常200〜2,000であり、好ましくは280〜1,000である。特に好ましくは、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などであり、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明におけるエポキシ樹脂は特に限定されないが、好ましくは2個以上のグリシジル基を持つ剛直構造のエポキシ樹脂が好適である。エポキシ樹脂の分子量(Mw)は、通常200〜2,000であり、好ましくは280〜1,000である。特に好ましくは、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などであり、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、エポキシ樹脂に溶剤可溶性ポリイミドを混合することにより、エポキシ樹脂の特性を変化させた樹脂(溶剤可溶性ポリイミドで変性されたエポキシ樹脂)が生成する。エポキシ樹脂と溶剤可溶性ポリイミド樹脂は相溶するため、溶剤可溶性ポリイミドで変性されたエポキシ樹脂は相溶系のポリマーアロイである。
(硬化剤)
本発明のフレキシブル銅張積層板用接着剤は、前記溶剤可溶性ポリイミド及びエポキシ樹脂とともに硬化剤を含有する。
本発明のフレキシブル銅張積層板用接着剤は、前記溶剤可溶性ポリイミド及びエポキシ樹脂とともに硬化剤を含有する。
硬化剤としては特に限定されないが、ノボラックフェノール樹脂や、ナフタレン構造とアラルキル構造とを有する樹脂が挙げられる。ノボラックフェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリアジン変性ノボラック樹脂であるベンゾグアナミン変性ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ベンゾグアナミン変性クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ベンゾグアナミン変性フェノールノボラック型フェノール樹脂、メラミン変性ビスフェノールA型ノボラック樹脂、メラミン変性クレゾールノボラック型フェノール樹脂、メラミン変性フェノールノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。ナフタレン構造とアラルキル構造とを有する樹脂として、1−ナフトールアラルキル樹脂、2−ナフトールアラルキル樹脂、1,6−ナフタレンジオールアラルキル樹脂等を例示できる。
エポキシ樹脂に対する上記の硬化剤の使用量は水酸基当量として0.5当量以上、1.2当量以下とするのがよい。硬化剤の使用量が0.5当量未満では適正なTgが得られない場合があるので、0.5当量以上が好ましいが、0.6当量以上が更に好ましい。また、硬化剤の使用量が1.2当量を超えると樹脂の吸水特性が低下する場合があるので、1.2当量以下が好ましいが、1.0当量以下が更に好ましい。
硬化剤として芳香族アミン系樹脂も好適に使用できる。芳香族アミン系樹脂としてはエポキシ樹脂の硬化を進行できれば特に限定されないが、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等を例示でき、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
芳香族アミン系樹脂の使用量は限定されないが、エポキシ樹脂のモル数を1としたときの芳香族アミン化合物の使用量は0.3〜1.5モルが最適である。芳香族アミン系樹脂の使用量(合計モル数)を0.3以上とすることにより、適正な熱膨張係数を有する接着剤層を容易に得ることができる。この観点から、芳香族アミン系樹脂の使用量(合計モル数)を0.4以上が更に好ましい。また、芳香族アミン系樹脂の使用量(合計モル数)を1.5以下とすることによっても、適正な熱膨張係数を有する接着剤層を容易に得ることができる。この観点から、芳香族アミン系樹脂の使用量を1.2以下が更に好ましい。
本発明の接着剤は、上記溶剤可溶性ポリイミド、エポキシ樹脂及び硬化剤以外にも、可とう性を付与する樹脂、硬化促進剤、難燃剤等を含む接着剤組成物であってもよい。
(可とう性を付与する樹脂)
接着剤組成物に含まれる可とう性を付与する樹脂としては、高分子エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が挙げられる。これらの樹脂を併用することにより、溶剤可溶性ポリイミド樹脂と同様に、接着剤から形成された接着剤層に可とう性を付与することができる。
接着剤組成物に含まれる可とう性を付与する樹脂としては、高分子エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が挙げられる。これらの樹脂を併用することにより、溶剤可溶性ポリイミド樹脂と同様に、接着剤から形成された接着剤層に可とう性を付与することができる。
高分子エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂としては、具体的には分子量(Mw)が10,000以上のものが好適であり、樹脂骨格としては、BPA型、BPA/BPF型、BPA/BPS型、BP/BPS型などが好適である。ここで、高分子エポキシ樹脂は、前述のエポキシ樹脂とは分子量の点で異なる。
シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂は、様々な鎖長を有するシロキサンにより様々な変性量で変性されたポリアミドイミド樹脂であり、芳香族環を3個以上有するジアミン及びシロキサンジアミンの混合物と無水トリメリット酸を反応させて得られるジイミドカルボン酸と芳香族ジイソシアネートを反応させて得られるものが特に好ましい。市販されているシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂としては、日立化成工業株式会社製の「KS9100」や「KS9300」等が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂は、特に変性していないポリアミドイミド樹脂であるが、イソシアネート法(無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応)や酸クロライド法(無水トリメリット酸クロライドとジアミンの反応)で合成されたものが挙げられる。市販されているポリアミドイミド樹脂としては、東洋紡の「バイロマックスHR11NN」、「バイロマックス「HR12N2」、「バイロマックスHR16NN」等が挙げられる。但し、これらの樹脂を併用することにより、接着剤から形成された接着剤層のTgが低下する場合があるため、その添加量は限定される。
(硬化促進剤)
本発明の接着剤には、必要に応じて硬化促進剤を併用することができる。硬化促進剤としては各種イミダゾール類などの一般的なものを使用することができる。主に反応速度やポットライフの観点から選択することができる。
本発明の接着剤には、必要に応じて硬化促進剤を併用することができる。硬化促進剤としては各種イミダゾール類などの一般的なものを使用することができる。主に反応速度やポットライフの観点から選択することができる。
(難燃剤)
本発明の接着剤には、必要に応じて難燃性の付与のために難燃剤を添加することができる。ハロゲンフリーの難燃剤として、縮合型リン酸エステル類、ホスファゼン類、ポリリン酸塩類、HCA(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド)誘導体等を用いることができる。
本発明の接着剤には、必要に応じて難燃性の付与のために難燃剤を添加することができる。ハロゲンフリーの難燃剤として、縮合型リン酸エステル類、ホスファゼン類、ポリリン酸塩類、HCA(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド)誘導体等を用いることができる。
接着剤組成物中の溶剤可溶性ポリイミド樹脂、高分子エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の合計含有量は、接着剤組成物に含まれるエポキシ樹脂と硬化剤の合計重量に対し、2〜150重量%とするのが好ましく、3〜100重量%とするのが更に好ましい。この中で、接着剤組成物中の溶剤可溶性ポリイミド樹脂の重量は、接着剤組成物に含まれるエポキシ樹脂と硬化剤の合計重量に対し、1〜120重量%とするのが好ましく、更には2〜90重量%とするのが更に好ましい。
エポキシ樹脂、硬化剤及び溶剤可溶性ポリイミドと共に、必要に応じ上記の各樹脂成分を混合して得られた混合物に溶剤を加え、樹脂固形分20〜60重量%の樹脂ワニスを調製することにより接着剤(組成物)を作製することができる。
本発明の接着剤組成物に使用可能な溶剤は特に限定されないが、NMP、γ−ブチロラクトン、安息香酸メチル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートやジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの高沸点溶剤とシクロヘキサノンやMEK(メチルエチルケトン)などの中・低沸点溶剤を組み合わせることが好ましい。
(接着剤フィルムの引張弾性率及びTg)
本発明の接着剤(組成物)は、接着剤から作製した半硬化状態のフィルムを180℃で90分間加熱硬化させて得られたフィルムの引張弾性率が1〜10.0GPa以下となり、Tg(ガラス転移温度)が120〜190℃となる接着剤である。
本発明の接着剤(組成物)は、接着剤から作製した半硬化状態のフィルムを180℃で90分間加熱硬化させて得られたフィルムの引張弾性率が1〜10.0GPa以下となり、Tg(ガラス転移温度)が120〜190℃となる接着剤である。
引張弾性率とTgを測定するフィルムは以下のようにして作製する。すなわち、上記のようにして調製した樹脂ワニスを18μm電解銅箔のシャイニー面にバーコーターで塗布し、150℃の温度で乾燥して半硬化状態(B状態)の接着剤付き銅箔(接着剤厚さ:約21μm)を製造する。溶剤の揮発分は0.6wt%に調整する。この接着剤付き銅箔の接着シート面に18μm電解銅箔シャイニー面を重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×90分、1MPaで加熱・加圧(真空度5torr)成形する。次いで銅箔を全面エッチングして得られた約20μmの接着フィルムについて引張弾性率とTgを測定する。引張弾性率はIPC−TM−650−2.4.18.3に準拠して測定し、TgはIPC−TM−650−2.4.24.3に準拠して測定した。
ここで、引張弾性率は、主にFCCLの寸法安定性に関係するが、同時にプリント配線板の反りやウネリ等にも関係する。反りは、コア材料として用いるポリイミドフィルムと接着剤層との間の特に引張弾性率や熱膨張係数のミスマッチにより生ずる。このようなミスマッチは両面対称構造の接着シートでも生じるため、引張弾性率及び熱膨張係数はポリイミドフィルムと接着剤層の間で同等の値とすることが望ましいが、これを実現することは溶剤可溶性ポリイミド樹脂においては非常に難しい課題であった。その解決策として接着剤層の引張弾性率をコアポリイミドフィルム基材の引張弾性率未満とすることが有効である。接着剤層の引張弾性率がコアポリイミドフィルム基材の引張弾性率以上になると、コアポリイミドフィルム基材の熱歪みが大きくなり、加熱後の寸法変化率が大きくなる。また、接着剤層の引張弾性率が1GPa未満になるとFCCLのウネリが発生し易い。引張弾性率は中でも1.1〜5.0GPa、更には1.2〜3.0GPa、特には1.2〜2.5GPaの範囲内であるのが好ましい。
また、接着剤から作製したフィルムのTg(ガラス転移温度)は、中でも125〜185℃、更には130〜180℃であるのが好ましい。
また、接着剤から作製したフィルムのTg(ガラス転移温度)は、中でも125〜185℃、更には130〜180℃であるのが好ましい。
(接着シート)
本発明の接着剤(組成物)をポリイミドフィルム基材の片面又は両面に半硬化状態(B状態)にBステージ化することにより、ラミネート法2.2層FCCL用の接着シートを得ることができる。具体的には、前述のように本発明の接着剤(組成物)をNMP/MEK等の好適な混合有機溶剤で希釈して調製した樹脂ワニスを、コア材料であるポリイミドフィルム基材の片面又は両面にグラビアコーターや薄膜用ダイコーター等を用いて塗工する。本発明では、寸法安定性をキャスティング法2層FCCLと同等とするために、接着剤層の塗工厚さ、塗工温度及び熱硬化温度を以下の特定の範囲とするのが好ましい。
本発明の接着剤(組成物)をポリイミドフィルム基材の片面又は両面に半硬化状態(B状態)にBステージ化することにより、ラミネート法2.2層FCCL用の接着シートを得ることができる。具体的には、前述のように本発明の接着剤(組成物)をNMP/MEK等の好適な混合有機溶剤で希釈して調製した樹脂ワニスを、コア材料であるポリイミドフィルム基材の片面又は両面にグラビアコーターや薄膜用ダイコーター等を用いて塗工する。本発明では、寸法安定性をキャスティング法2層FCCLと同等とするために、接着剤層の塗工厚さ、塗工温度及び熱硬化温度を以下の特定の範囲とするのが好ましい。
接着剤層の塗工厚さは、積層する銅箔の粗化面を埋め込める最低厚さ以上であることが必要であり、具体的には銅箔表面の表面粗さのRz(JIS B 0601−2001に準拠して測定)以上の厚さが好ましい。この塗工厚さは特に寸法安定性にも影響するため、この条件に加えて、片側接着層の厚さがコアポリイミドフィルムの厚さの20%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは13%以下とすることが好ましい。接着シートの接着剤層の厚みは上記2つの条件範囲を共に満足することが好ましいが、厚みの絶対値としても1.6〜4.0μm、更には2.0〜3.5μm、特には2.5〜3.0μmであることが好ましい。接着剤層の厚みをこのような範囲とすることにより、接着剤層とコアポリイミドフィルムとの間の物性差(主に引張弾性率、熱膨張係数)を複合フィルムとしてのFCCLも物性に顕在化させることなく、接着特性を維持することができる。また、接着シートの接着剤層の厚みは、接着シートを真空プレスに仕込み180℃で90分間加熱硬化させた場合に、1.5〜3.5μmの厚みとなることが好ましい。
本発明の接着剤(組成物)から作製したフィルムの引張弾性率とTgを上記の特定範囲内とし、更に接着シートの接着剤層の厚みを1.6〜4.0μmとすることにより、複合層フィルムとしてのFCCLの寸法安定性をコアポリイミドフィルムの寸法安定性とほぼ同等にすることができる。これにより、キャスティング法2層FCCL並の特性とラミネート法2層FCCL以上の生産性に優れた接着シート及びラミネート法2.2層FCCLを提供することが可能となった。更に、上記の条件を実現することにより、片面2層FCCLの熱膨張係数の不一致による反りの発生を防ぐことができるため、現在多く採用されているTPI両側対称構造に依らなくとも反りを抑えることが可能となった。
接着剤層の塗工温度(塗工後の乾燥温度を含む)もFCCLに熱歪みを与える要因となるため、塗工温度は150℃以下が好ましい。
(フレキシブル銅張積層(FCCL))
上記のようにして作製した接着シートの接着剤層の表面に銅箔を貼り合わせた後に、接着剤層を硬化させることにより、ラミネート法2.2層フレキシブル銅張積層板(FCCL)を作製することができる。熱歪みの最大の要因である接着剤層の硬化温度は200℃以下、更には195℃以下、特には190℃以下が好ましく、150℃以上、更には160℃以上が好ましい。
以上のようにして、接着シート及びFCCLを作製することにより、エッチング後及び加熱後の寸法変化率をキャスティング法2層FCCLと同等にすることができる。
上記のようにして作製した接着シートの接着剤層の表面に銅箔を貼り合わせた後に、接着剤層を硬化させることにより、ラミネート法2.2層フレキシブル銅張積層板(FCCL)を作製することができる。熱歪みの最大の要因である接着剤層の硬化温度は200℃以下、更には195℃以下、特には190℃以下が好ましく、150℃以上、更には160℃以上が好ましい。
以上のようにして、接着シート及びFCCLを作製することにより、エッチング後及び加熱後の寸法変化率をキャスティング法2層FCCLと同等にすることができる。
従来のラミネート法2層FCCLのエッチング及び加熱後において寸法安定性が悪化する主要因の一つは、300℃以上の高温及び高圧下での銅箔とのラミネート工程において歪が発生することであった。本発明では、熱硬化性樹脂である溶剤可溶性ポリイミド変性エポキシ樹脂を含む接着剤用いることにより、150℃以下での銅箔ラミネートと200℃以下での熱硬化が可能となり、それぞれの工程で生じる歪を減少させ寸法収縮率を大きく改善することができる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は様々な他の実施形態に変形できるものであり、下記実施例に限定されることはない。
1. 溶剤可溶性ポリイミド樹脂の合成
(合成実施例1)
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(以下BPDAという)58.84g(0.2モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン26.64g(0.1モル)(フェニルインダン構造含有芳香族ジアミン)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で、窒素雰囲気下、200rpmで30分撹拌した後、180℃に昇温して1時間加熱撹拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BPDA44.13g(0.15モル)、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66,60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ−ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
(合成実施例1)
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(以下BPDAという)58.84g(0.2モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン26.64g(0.1モル)(フェニルインダン構造含有芳香族ジアミン)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で、窒素雰囲気下、200rpmで30分撹拌した後、180℃に昇温して1時間加熱撹拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BPDA44.13g(0.15モル)、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66,60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ−ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
(合成実施例2)
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(以下BTDAという)64.45g(0.2モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン26.64g(0.1モル)(フェニルインダン構造含有芳香族ジアミン)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で、窒素雰囲気下、200rpmで30分撹拌した後、180℃に昇温して1時間加熱撹拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BTDA48.33g(0.15モル)、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66,60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ-ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(以下BTDAという)64.45g(0.2モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン26.64g(0.1モル)(フェニルインダン構造含有芳香族ジアミン)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で、窒素雰囲気下、200rpmで30分撹拌した後、180℃に昇温して1時間加熱撹拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BTDA48.33g(0.15モル)、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66,60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ-ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
(合成実施例3)
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(以下BTDAという)64.45g(0.2モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で、窒素雰囲気下、200rpmで30分撹拌した後、180℃に昇温して1時間加熱撹拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BTDA48.33g(0.15モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66.60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ−ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(以下BTDAという)64.45g(0.2モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で、窒素雰囲気下、200rpmで30分撹拌した後、180℃に昇温して1時間加熱撹拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BTDA48.33g(0.15モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66.60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ−ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
(合成実施例4)
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(以下BTDAという)64.45g(0.2モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン15.98g(0.06モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン9.94g(0.04モル)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で30分間攪拌した後、180℃に昇温し、1時間攪拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BTDA48.33g(0.15モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66.60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ−ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコに、撹拌機、チッ素導入管、及び水分受容器を備えた冷却管を取り付けた。3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(以下BTDAという)64.45g(0.2モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン15.98g(0.06モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン9.94g(0.04モル)、バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP200g、トルエン30gを仕込み、室温で30分間攪拌した後、180℃に昇温し、1時間攪拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。
室温に冷却して、BTDA48.33g(0.15モル)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン66.60g(0.25モル)、NMP360g、トルエン90gを加え、室温で30分撹拌した後、180℃に昇温して、1時間加熱撹拌した。水−トルエンの共沸の還流物を系外に除きながら、180℃で2時間30分加熱撹拌して反応を終了した。得られた生成物にγ−ブチロラクトンを加えて希釈し、固形分20重量%のブロック共重合ポリイミド溶液を得た。
2.接着剤組成物の調製、接着シート及びFCCLの作製
(実施例1)
347重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂「HP−7200H」(DIC社製、エポキシ当量283、樹脂固形分80重量%)、183重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂「EXB−9854」(DIC社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、745重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例1、樹脂固形分20重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
(実施例1)
347重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂「HP−7200H」(DIC社製、エポキシ当量283、樹脂固形分80重量%)、183重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂「EXB−9854」(DIC社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、745重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例1、樹脂固形分20重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
(実施例2)
337重量部のビフェニル型エポキシ樹脂「NC−3000H」(日本化薬社製、エポキシ当量275、樹脂固形分80重量%)、202重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、98重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例2、樹脂固形分20重量%)、170重量部のフェノキシ樹脂「jER1256」(三菱ケミカル社製、Mw≒48,000、樹脂固形分100重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
337重量部のビフェニル型エポキシ樹脂「NC−3000H」(日本化薬社製、エポキシ当量275、樹脂固形分80重量%)、202重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、98重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例2、樹脂固形分20重量%)、170重量部のフェノキシ樹脂「jER1256」(三菱ケミカル社製、Mw≒48,000、樹脂固形分100重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
(実施例3)
349重量部のナフトールアラルキル型エポキシ樹脂「ESN−165」(日鉄エポキシ製造社製、エポキシ当量265、樹脂固形分80重量%)、177重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、745重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例3、樹脂固形分20重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
349重量部のナフトールアラルキル型エポキシ樹脂「ESN−165」(日鉄エポキシ製造社製、エポキシ当量265、樹脂固形分80重量%)、177重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、745重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例3、樹脂固形分20重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
(実施例4)
337重量部のビフェニル型エポキシ樹脂「NC−3000H」(日本化薬社製、エポキシ当量275、樹脂固形分80重量%)、202重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、98重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例1、樹脂固形分20重量%)、566重量部の高分子エポキシ樹脂「YPS−007A30」(日鉄エポキシ製造社製、Mw≒40,000、樹脂固形分30重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
337重量部のビフェニル型エポキシ樹脂「NC−3000H」(日本化薬社製、エポキシ当量275、樹脂固形分80重量%)、202重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、98重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例1、樹脂固形分20重量%)、566重量部の高分子エポキシ樹脂「YPS−007A30」(日鉄エポキシ製造社製、Mw≒40,000、樹脂固形分30重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
(実施例5)
372重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂「HP−7200H」(DIC社製、エポキシ当量283、樹脂固形分80重量%)、128重量部の芳香族アミン「エラスマー250P」(クミアイ化学工業社製、MW=488、樹脂固形分100重量%)、745重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例4、樹脂固形分20重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
372重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂「HP−7200H」(DIC社製、エポキシ当量283、樹脂固形分80重量%)、128重量部の芳香族アミン「エラスマー250P」(クミアイ化学工業社製、MW=488、樹脂固形分100重量%)、745重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例4、樹脂固形分20重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
(実施例6)
372重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂「HP−7200H」(DIC社製、エポキシ当量283、樹脂固形分80重量%)、128重量部の芳香族アミン「エラスマー250P」(クミアイ化学工業社製、MW=488、樹脂固形分100重量%)、98重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例3、樹脂固形分20重量%)、566重量部の高分子エポキシ樹脂「YPS−007A30」(日鉄エポキシ製造社製、Mw≒40,000、樹脂固形分30重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
372重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂「HP−7200H」(DIC社製、エポキシ当量283、樹脂固形分80重量%)、128重量部の芳香族アミン「エラスマー250P」(クミアイ化学工業社製、MW=488、樹脂固形分100重量%)、98重量部の可溶性ポリイミド樹脂(合成実施例3、樹脂固形分20重量%)、566重量部の高分子エポキシ樹脂「YPS−007A30」(日鉄エポキシ製造社製、Mw≒40,000、樹脂固形分30重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
前記実施例1〜6で調製した樹脂ワニスを固形分20%まで希釈し、20μmポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)EN)上にグラビアコーターで塗布し、150℃の温度で乾燥して両面塗工のB状態の接着シート(片側膜厚さ:2.8μm)を製造した。揮発分は0.6wt%に調整した。この接着シートに12μmのRz=1.8μmの銅箔を両面に重ね合わせ、真空プレスに仕込み180℃×90分、1MPaで加熱・加圧(真空度5torr)成形して接着剤層を加熱硬化させ、両面銅箔FCCLを作製した。
同様に、前記各例の樹脂ワニスを固形分20%まで希釈し、20μmポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)EN)上にグラビアコーターで塗布し、150℃の温度で乾燥して片面塗工のB状態の接着シート(片側膜厚さ:2.8μm)を製造した。揮発分は0.6wt%に調整した。この接着シートに12μmのRz=1.8μmの銅箔を片面に重ね合わせ、真空プレスに仕込み180℃×90分、1MPaで加熱・加圧(真空度5torr)成形して接着剤層を加熱硬化させ、片面銅箔FCCLを作製した。
同様に、前記各例の樹脂ワニスを固形分20%まで希釈し、20μmポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)EN)上にグラビアコーターで塗布し、150℃の温度で乾燥して片面塗工のB状態の接着シート(片側膜厚さ:2.8μm)を製造した。揮発分は0.6wt%に調整した。この接着シートに12μmのRz=1.8μmの銅箔を片面に重ね合わせ、真空プレスに仕込み180℃×90分、1MPaで加熱・加圧(真空度5torr)成形して接着剤層を加熱硬化させ、片面銅箔FCCLを作製した。
(比較例1)
337重量部のビフェニル型エポキシ樹脂「NC−3000H」(日本化薬社製、エポキシ当量275、樹脂固形分80重量%)、202重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、190重量部のフェノキシ樹脂「jER1256」(三菱ケミカル社製、Mw≒48,000、樹脂固形分100重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
この樹脂ワニスを用いて、実施例1〜6と同様にして両面銅箔FCCL及び片面銅箔FCCLを作製した。
337重量部のビフェニル型エポキシ樹脂「NC−3000H」(日本化薬社製、エポキシ当量275、樹脂固形分80重量%)、202重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂「LA−7054」(DIC社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、190重量部のフェノキシ樹脂「jER1256」(三菱ケミカル社製、Mw≒48,000、樹脂固形分100重量%)、57重量部のホスファゼン系誘導体「FP−100」(伏見製薬所社製)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物に溶媒としてγ−ブチロラクトン/シクロヘキサノン混合溶剤を加えて樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調製した。
この樹脂ワニスを用いて、実施例1〜6と同様にして両面銅箔FCCL及び片面銅箔FCCLを作製した。
(比較例2〜4)
市販のFCCLとして以下のものを用いた。
比較例2:市販キャスティング法2層FCCL
比較例3:市販ラミネート法2層FCCL
比較例4:市販3層FCCL
市販のFCCLとして以下のものを用いた。
比較例2:市販キャスティング法2層FCCL
比較例3:市販ラミネート法2層FCCL
比較例4:市販3層FCCL
(接着剤フィルムの引張弾性率及びTg)
実施例1〜6及び比較例1で調製した樹脂ワニス(接着剤組成物)から作製したフィルムの引張弾性率とTgを以下の方法で測定した。
樹脂ワニス(接着剤組成物)を18μm電解銅箔のシャイニー面にバーコーターで塗布し、150℃の温度で乾燥して半硬化状態(B状態)の接着剤付き銅箔(接着剤厚さ:約21μm)を製造した。溶剤の揮発分は0.6wt%に調した。この接着剤付き銅箔の接着シート面に18μm電解銅箔シャイニー面を重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×90分、1MPaで加熱・加圧(真空度5torr)成形した。次いで銅箔を全面エッチングして得られた約20μmの接着フィルムについて引張弾性率とTgを測定した。引張弾性率は、IPC−TM−650−2.4.18.3に準拠して測定し、幅10mmの短冊状サンプルをつかみ間距離50mmで引張・圧縮試験機にセットし、引張り速度50mm/分で引張り強度を測定し、引張り応力と歪みの関係から求めた。TgはIPC−TM−650−2.4.24.3に準拠して測定した。IPC−TM−650−2.4.18.3とIPC−TM−650−2.4.24.3は「IPC−TM−650 TEST METHODS MANUAL」に記載された方法に従った。
実施例1〜6及び比較例1で調製した樹脂ワニス(接着剤組成物)から作製したフィルムの引張弾性率とTgを以下の方法で測定した。
樹脂ワニス(接着剤組成物)を18μm電解銅箔のシャイニー面にバーコーターで塗布し、150℃の温度で乾燥して半硬化状態(B状態)の接着剤付き銅箔(接着剤厚さ:約21μm)を製造した。溶剤の揮発分は0.6wt%に調した。この接着剤付き銅箔の接着シート面に18μm電解銅箔シャイニー面を重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×90分、1MPaで加熱・加圧(真空度5torr)成形した。次いで銅箔を全面エッチングして得られた約20μmの接着フィルムについて引張弾性率とTgを測定した。引張弾性率は、IPC−TM−650−2.4.18.3に準拠して測定し、幅10mmの短冊状サンプルをつかみ間距離50mmで引張・圧縮試験機にセットし、引張り速度50mm/分で引張り強度を測定し、引張り応力と歪みの関係から求めた。TgはIPC−TM−650−2.4.24.3に準拠して測定した。IPC−TM−650−2.4.18.3とIPC−TM−650−2.4.24.3は「IPC−TM−650 TEST METHODS MANUAL」に記載された方法に従った。
(各種特性の評価)
上記のように作製した両面銅箔FCCLを用いて、引きはがし強さ、はんだ耐熱性、寸法安定性の評価を行い、両面銅箔FCCLを全面エッチングしたフィルムを用いてTg及びC.T.Eの評価をTMA法(熱機械分析法)により行った。試験方法はJIS C 6471に準拠した。
また、上記のように作製した片面銅箔FCCLを用いて反りの評価を行った。具体的には、100mm×100mmに切断したサンプルを銅箔面を上にして鏡面盤に静置し、その浮きを測定した。5mm以下は反りの発生なしと評価した。また、銅箔を全面エッチングして同様に浮きを測定した。
実施例1〜6及び比較例1〜4のFCCLの構成内容と特性評価結果を下記表1に示す。
上記のように作製した両面銅箔FCCLを用いて、引きはがし強さ、はんだ耐熱性、寸法安定性の評価を行い、両面銅箔FCCLを全面エッチングしたフィルムを用いてTg及びC.T.Eの評価をTMA法(熱機械分析法)により行った。試験方法はJIS C 6471に準拠した。
また、上記のように作製した片面銅箔FCCLを用いて反りの評価を行った。具体的には、100mm×100mmに切断したサンプルを銅箔面を上にして鏡面盤に静置し、その浮きを測定した。5mm以下は反りの発生なしと評価した。また、銅箔を全面エッチングして同様に浮きを測定した。
実施例1〜6及び比較例1〜4のFCCLの構成内容と特性評価結果を下記表1に示す。
表1の結果から、本発明の接着剤を用いて作製したFCCL(実施例1〜6)は、フェノキシ変性エポキシ樹脂を用い、フィルムのTgが120℃未満となる接着剤を用いて作製したFCCL(比較例1)に比べ、寸法安定性が向上し片面板の反りもみられないことが分かる。また、実施例1〜6のFCCLは、市販のキャスティング法2層FCCL(比較例2)と比べると、ラミネート法のプロセスで作製されているにもかかわらず、キャスティング法2層FCCL並の特性が実現されることが分かる。
本発明の接着剤及び接着シートを用いることにより、キャスティング法2層FCCL並の特性とラミネート法2層FCCL以上の生産性を両立するフレキシブル銅張積層板(2.2層FCCL)を提供することができる。
Claims (9)
- 前記接着剤に含まれるエポキシ樹脂と硬化剤の合計重量に対する溶剤可溶性ポリイミドの重量が1〜120重量%である請求項1記載の接着剤。
- フレキシブル銅張積層板を構成するポリイミドフィルム基材の片面又は両面に、銅箔を接着させるための接着剤層が積層されてなる、フレキシブル銅張積層板用の接着シートであって、前記接着剤層が請求項1又は2に記載の接着剤を含有する接着シート。
- 前記接着剤から作製した半硬化状態のフィルムを180℃で90分間加熱硬化させて得られたフィルムの引張弾性率がポリイミドフィルム基材の引張弾性率未満である請求項3記載の接着シート。
- 前記接着剤層の厚みが1.6〜4.0μmである請求項3又は4記載の接着シート。
- 前記接着シートが、前記接着シートを180℃で90分間加熱硬化させた場合に接着剤層の厚さが1.5〜3.5μmとなる接着シートである請求項3〜5のいずれか1項に記載の接着シート。
- ポリイミドフィルム基材の片面又は両面に接着剤層及び銅箔が順次積層されてなるフレキシブル銅張積層板であって、前記接着剤層が請求項1又は2記載の接着剤を含有するフレキシブル銅張積層板。
- 接着剤層と接する銅箔表面の表面粗さRzが接着層の厚さ未満である請求項7記載のフレキシブル銅張積層板。
- 請求項7又は8に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、請求項3〜6のいずれか1項に記載の接着シートに銅箔を貼り合わせた後に、200℃以下の温度で接着剤層を硬化させることを含む製造方法。
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JP2020035017A JP2021141108A (ja) | 2020-03-02 | 2020-03-02 | 接着剤、接着シート及びフレキシブル銅張積層板 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114015409A (zh) * | 2021-11-04 | 2022-02-08 | 杭州福斯特电子材料有限公司 | 一种复合粘接剂、挠性覆铜板及其制备方法 |
WO2023190227A1 (ja) * | 2022-03-28 | 2023-10-05 | タツタ電線株式会社 | 両面接着シート |
-
2020
- 2020-03-02 JP JP2020035017A patent/JP2021141108A/ja active Pending
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CN114015409A (zh) * | 2021-11-04 | 2022-02-08 | 杭州福斯特电子材料有限公司 | 一种复合粘接剂、挠性覆铜板及其制备方法 |
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