JP4362989B2 - 光学的立体造形用組成物および造形物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、低吸水性および寸法安定性に優れた立体造形物を得ることのできる光学的立体造形用組成物、並びにそれを硬化させてなる光学的立体造形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液状の光硬化性組成物は、被覆剤、フォトレジスト、歯科用材料などとして、広く用いられているが、近年、三次元CAD入力されたデータに基づいて立体的に光学造形する材料としても注目を集めている。
このような技術については、特開昭62−35966号公報(三次元の物体を作成する方法と装置)、特開平1−204915号公報(光学的立体造形用樹脂組成物)、特開平2−113925号公報(立体像形成方法)、特開平2−145616号公報(光学的立体造形用樹脂組成物)、特開平2−153722号公報(光学的造形法)、特開平3−15520号公報(立体像形成法)、特開平3−21432号公報(立体像形成システム)、特開平3−41126号公報(立体像形成方法)が開示されている。
【0003】
立体造形物を光学的に製造する際の代表的な方法としては、例えば次のような方法がある。まず、容器に入れた光硬化性組成物の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定の厚みを有する一層目の硬化層を得る。次にその硬化層の上にさらに1層分の光硬化性組成物を供給してから前記と同じように硬化させて二層目の硬化層を得る。このような積層操作を順次繰り返して連続した硬化層を形成することにより所望の形状を有する立体造形物を製造する方法である。この方法のメリットとしては、造形物の形状がかなり複雑であっても簡単に且つ比較的短時間で立体造形物を製造することが出来る点である。その際、使用する光硬化性組成物には、効率的に立体造形物を製造するため、粘度が低くて直ちに平滑な液面を構成することが出来るとともに、光照射による硬化速度が大きい等の特性が要求される。また、造形物の物性面からは光硬化性組成物が硬化後の立体造形物を膨潤させないこと、光硬化時の硬化収縮に伴う反り、ひけ、張出部の持ち上がり等の変形量が小さいことが要求される。最近では、これらの要求項目を満足させた上で、さらに機能試験段階での機能試験モデル、生産準備段階での試作型、製品化段階での小ロット生産型などに使用できることが要求されている。即ち、このような使用環境に耐えうる耐熱性、低吸水性、寸法安定性などの特性が要求されている。
硬化時の体積収縮率が小さく、硬化後の可とう性に優れるものとして、前記の特開平1−204915号公報には、イソボルニル基、シクロペンテニル基、ボルニル基等の架橋性脂環式炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物とエチレン性ポリマーを含有する光学的立体造形用樹脂組成物が開示されているが、必ずしも十分な特性が得られていない。さらに、低粘度で硬化時の変形が小さく、強靭な硬化物を得る方法として、特開平2−145616号公報には、液状硬化性樹脂と液状樹脂との見かけ比重の差が0.2未満である微粒子を含む光学的立体造形用樹脂組成物が開示されているが、前記の特性を十分には備えていないなど問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、耐熱性、低吸水性並びに寸法安定性に優れた光学的立体造形用組成物を提供することにある。
さらに本発明の第2の目的は、前記の光学的立体造形用組成物を硬化してなる光学的立体造形物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、フマル酸ジエステルを用いると、耐熱性や寸法安定性等の物性が改善できる知見を得て、本発明を完成するに至った。本発明は、すなわち、次の〔1〕〜〔3〕である。
〔1〕 フマル酸ジエステル(M1成分)と、一分子内に炭素=炭素二重結合を少なくとも二個以上含むビニル系単量体(M2成分)及び重合開始剤(L1成分)を含有する前記〔1〕記載の光学的立体造形用組成物。
【0006】
〔2〕 フマル酸ジエステル(M1成分)が、a1;炭素数3〜12の分枝アルキル基含有フマル酸ジエステル、または炭素数2〜6のアルキル置換または無置換の炭素数3〜14の環構造炭化水素基含有フマル酸ジエステル、a2;シクロヘキサン系炭化水素基含有フマル酸ジエステル、a3;ヘテロ原子含有フマル酸ジエステルおよび、a4;ハロゲン原子含有フマル酸ジエステル、からなる群より選択される1種または2種以上で、重合性成分中に20重量%〜95重量%と、一分子内に炭素=炭素二重結合を少なくとも二個以上含むビニル系単量体(M2成分)が、b1;多官能アクリレート、b2;多官能メタクリレート、b3;芳香族ビニル単量体、b4;多官能マレイミド、b5;多官能ビニルエーテルおよび、b6;多官能アリル単量体、からなる群より選択される1種または2種以上で、重合性成分中に5重量%〜80重量%と、および必要量の重合開始剤(L1成分)を含有する前記〔1〕記載の光学的立体造形用組成物。
〔3〕 前記の〔1〕または〔2〕に記載の光学的立体造形用組成物を硬化させてなる光学的立体造形物。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の光学的立体造形用組成物は、重合性成分と重合開始剤とを配合してなる光学的立体造形用樹脂組成物において、フマル酸ジエステル(M1成分)を用いることを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
また本発明の光学的立体造形用組成物は、フマル酸ジエステルに加えて、さらに、一分子内に炭素=炭素二重結合を少なくとも二個以上含むビニル系単量体(M2成分、以下、多官能モノマーと略す)及び重合開始剤を含有している。
【0008】
本発明で用いるフマル酸ジエステルとしては本発明の目的、特に、耐熱性、低吸水性並びに寸法安定性に優れた光学的立体造形用組成物及びそれを硬化してなる光学的立体造形物の提供が達成できる限り、公知のものすべてが使用可能であり、それらは一種もしくは二種以上の組み合わせとして用いられる。
フマル酸ジエステルとしては、具体的に例えば、
a1;炭素数3〜12の分枝アルキル基含有フマル酸ジエステル、または炭素数2〜6のアルキル置換または無置換の炭素数3〜14の環構造炭化水素基含有フマル酸ジエステル、
a2;シクロヘキサン系炭化水素基含有フマル酸ジエステル、
a3;ヘテロ原子含有フマル酸ジエステルおよび、
a4;ハロゲン原子含有フマル酸ジエステル、
が挙げられる。
【0009】
前記のa1成分の炭素数3〜12の分枝アルキル基含有フマル酸ジエステル、または炭素数2〜6のアルキル置換または無置換の炭素数3〜14の環構造炭化水素基含有フマル酸ジエステルとしては、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジシクロヘキシル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジ−4−メチル−2−ペンチル、フマル酸イソプロピル−tert−ブチル、フマル酸イソプロピル−イソアミル、フマル酸イソプロピル−4−メチル−2−ペンチル、フマル酸イソプロピル−2−エチルヘキシル、フマル酸イソプロピル−ノニル、フマル酸−tert−ブチル−sec−ブチル、フマル酸−tert−ブチル−イソアミル、フマル酸−tert−ブチル−4−メチル−2−ペンチル、フマル酸−tert−ブチル−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0010】
前記のa2成分のシクロヘキサン系炭化水素基含有フマル酸ジエステルとしては、フマル酸メチル(トリメチルシリル)、フマル酸エチル(トリメチルシリル)、フマル酸イソプロピル(トリメチルシリル)、フマル酸シクロヘキシル(トリメチルシリル)、フマル酸−tert−ブチル(トリメチルシリル)、フマル酸イソプロピル(3−トリス(トリメチルシロキシ)シリル)プロピル、フマル酸イソプロピル(−3−(ペンタメチル)ジシロキサニル)プロピル等が挙げられる。
【0011】
前記のa3成分のヘテロ原子含有フマル酸ジエステルとしては、フマル酸N,N−ジメチルアミノエチル−イソプロピル、フマル酸−tert−ブチル−1−ブトキシ−2−プロピル、フマル酸2−シアノエチル−イソプロピル、フマル酸グリシジル−イソプロピル、フマル酸ジエチルホスホノメチル−イソプロピル、フマル酸2−メチルチオエチル−イソプロピル等が挙げられる。
【0012】
前記のa4成分のハロゲン原子含有フマル酸ジエステルとしては、フマル酸ペルフルオロオクチルエチル−イソプロピル、フマル酸トリルオロメチル−イソプロピル、フマル酸ペンタルオロエチル−イソプロピル、フマル酸ヘキサフルオロイソプロピル−イソプロピル、フマル酸ビス−1−クロロイソプロピル等のハロゲン原子で置換されたフマル酸ジエステル等が挙げられる。
【0013】
特に好ましくは、フマル酸ジエステルの中でも重合速度が大きいフマル酸ジイソプピル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジシクロヘキシルが挙げられる。
【0014】
本発明で用いるM2成分の多官能モノマーとしては、一分子内に炭素−炭素二重結合を少なくとも二個以上含むビニル系単量体であり、公知のもの全てが使用可能である。前記のM2成分の多官能モノマーは、1種もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
前記炭素−炭素二重結合となる基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アリルエーテル基、アリルエステル基を有する架橋性の単量体が挙げられる。
【0015】
多官能モノマーとしては、例えば、多官能オレフィン、ジアクリレート、3官能以上の多官能アクリレート、ジメタクリレート、3官能以上の多官能メタクリレート、多官能ビニル芳香族単量体、多官能ビニルエーテル、多官能ビニルエステル、多官能アリル単量体等が挙げられる。
具体的に例示すると、多官能オレフィンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
さらにジアクリレートとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA型のジアクリレート、ウレタンジアクリレート、エポキシジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の多官能アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート、グリセリントリアクリレート、フェノールノボラック型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0016】
ジメタクリレートとしては、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ビスフェノールA型ジメタクリレート、ウレタンジメタクリレート、エポキシジメタクリレート等が挙げられる。
3官能以上の多官能メタクリレートとしては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、フェノールノボラック型エポキシメタクリレート等が挙げられる。
【0017】
多官能ビニル芳香族系単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
多官能マレイミドとしては、例えば、1,4−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド等が挙げられる。
【0018】
多官能ビニルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールA型ビニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2,2−ジメチルヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
多官能ビニルエステルとしては、例えば、ジビニルアジペート、ジビニルフタレート、ジビニルイソフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニル-1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート等が挙げられる。
【0019】
多官能アリル単量体としては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、2,2−ジメチルヘキサンジオールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ビスフェノールA型のジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、フタル酸ポリエステルのジアリルエステル等が挙げられる。
【0020】
好ましくは、フマル酸ジエステルとの光共重合性に優れている、ブタジエン、イソプレン等の多官能オレフィン;1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2,2−ジメチルヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル;ジビニルアジペート、ジビニルフタレート、ジビニルイソフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートなどの多官能ビニルエステル;シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、2,2−ジメチルヘキサンジオールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ビスフェノールA型のジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、フタル酸ポリエステルのジアリルエステル等の多官能アリル単量体などが挙げられる。
【0021】
本発明で使用する重合開始剤としては、光重合開始剤の単独使用または、熱重合開始剤と光重合開始剤の併用が可能である。
本発明で使用する光重合開始剤としては、従来公知のものが使用可能であり、例えば、下記に示すラジカル重合開始剤系のものが挙げられる。これらの重合開始剤の中から適宜その1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンジルメチルベンゾイルホルメート、ベンゾインイソプロピルエーテル類等を挙げることができる。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物またはアゾ化合物が使用できる。前記の熱重合開始剤は、1種または2種以上を用いることができる。
このような熱重合開始剤として、例えば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ジ−m−イソプロピルベンゼン等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ系化合物を挙げることができる。
【0022】
光学的立体造形用組成物中に占めるフマル酸ジエステルの含有量は、20〜95重量%が好ましく、特に好ましくは40〜80重量%である。
フマル酸ジエステルの使用量が20重量%より少ない場合は、機械的強度ならびに耐熱性が低下し、一方、95重量%より多い場合は、硬化が不十分となり、耐熱性、低吸水性が低下する傾向にある。
【0023】
光学的立体造形用組成物中に占める多官能モノマーの含有量は、5〜80重量%が好ましく、特に好ましくは20〜60重量%である。
多官能モノマーの使用量が5重量%より少ない場合は、硬化が不十分となり、耐熱性、低吸水性が低下し、一方、80重量%より多い場合は、機械的強度ならびに耐熱性の低下する傾向にあるので好ましくない。
【0024】
光学的立体造形用組成物100重量部に対する重合開始剤の量は、0.5〜20重量部が好ましく、特に好ましくは1〜10重量部である。重合開始剤が0.5重量部より少ない場合は硬化が不十分になり、耐熱性、低吸水性が低下し、一方、20重量部より多い場合は硬化速度の制御が困難になる傾向にあるので好ましくない。
【0025】
本発明の光学的立体造形用組成物は、フマル酸ジエステル、多官能モノマー及び重合開始剤を混合した後、加温、溶解することによって得ることができる。
【0026】
その際、本発明の光学的立体造形用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において更に必要に応じて、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、無機充填材、有機充填材などの添加剤類を添加することもできる。
上記無機充填材としては、ガラスビーズ、タルク微粒子、酸化ケイ素などの無機固体微粒子及びホウ酸アルミニウム系化合物、酸化アルミニウム、酸化ケイ素系化合物からなるウィスカーなどが挙げられる。
上記有機充填材としては、架橋ポリスチレン系高分子、架橋ポリメタクリレート系高分子、ポリエチレン系高分子、ポリプロピレン系高分子などからなる有機固体微粒子などが挙げられる。
また、これらの無機及び有機充填材をアミノシラン系、エポキシシラン系、アクリルシラン系などのシランカップリング剤で処理したものを使用できる。
【0027】
以上のようにして得られる本発明の光学的立体造形用組成物に対して所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定の厚みに硬化させ、次にその硬化層の上に1層分の光硬化性組成物を供給して同様に紫外線レーザーを照射して前記と同じように硬化させて連続した硬化層を形成させるという積層操作を繰り返して最終的な形状を有する立体造形物を製造することができる。
これらの光学的立体造形用の装置としては、特に限定されないが、例えば、超高速光造形システム(帝人製機株式会社製「SOLIFORM500」)を挙げることができる。また、光学的立体造形法の原理を図1に示す。
【0028】
このようにして得られる立体造形物を容器から取り出し、その表面に残存する光学的立体造形用組成物を除去した後に、必要に応じて洗浄する。洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テルペン類;グリコールエーテル系エステル類などの各種有機溶剤を挙げることができる。
【0029】
立体造形物の内部に残存する未硬化の光硬化性組成物を硬化させるという目的で熱処理、光照射処理によるポストキュアを行うことが好ましい。
また、表面平滑性に優れた立体造形物を得ようとする場合には低粘度の熱硬化性組成物及び光硬化性組成物を使用し、必要に応じて、熱処理、光照射処理によるポストキュアを行うことが好ましい。
【0030】
【発明の効果】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、分子的に剛直なフマル酸ジエステルを用いているので、硬化すると、耐熱性、低吸水性並びに寸法安定性に優れる組成物である。また本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、分子的に剛直なフマル酸ジエステルと多官能モノマーとを配合しているので、硬化すると、耐熱性、低吸水性並びに寸法安定性に優れる造形物が得られる。
したがって、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて硬化した造形物は、耐熱性、低吸水性並びに寸法安定性に優れた立体造形物となる。そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、工業的に非常に価値のあるものである。
【0031】
【実施例】
以下、具体例により本発明を更に詳細に説明する。
なお次に用いた測定方法等を示す。
1.光学的立体造形物の熱変形温度;
光学的立体造形によってJIS K 7207に準拠した試験片を製造し、その熱変形温度を測定した。
2.光学的立体造形物の線膨張係数;
光学的立体造形によってJIS K 7197に準拠した試験片を製造し、その線膨張係数を測定した。
3.光学的立体造形物の吸水性の評価;
光学的立体造形によってJIS C 6481に準拠した試験片を製造して、その吸水率を測定した.
【0032】
なお、実施例で使用したフマル酸ジエステル、多官能モノマー、重合開始剤の略号と化合物名称を示す。
DiPF:フマル酸ジイソプロピル、
DtBF:フマル酸ジ−tert−ブチル、
DcHF:フマル酸ジシクロヘキシル、
BD:ブタジエン、
DVB:ジビニルベンゼン、
CHDDVE:1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、
HDVE:n−ヘキサンジオールジビニルエーテル、
DMHDVE:2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジビニルエーテル、
BDDA:1,4−ブタンジオールジアクリレート、
BPDA:CH2=CHCOOCH2CH2OφC(CH3)2φOCH2CH2OCOCH=CH2(ここでφはフェニル基を示す)、
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート、
PhDMI:1,4−フェニレンビスマレイミド、
TMPTAE:トリメチロールプロパントリアリルエーテル、
DATP:ジアリルテレフタレート、
PDAIP:CH2=CHCH2OCOφCOO[CH(CH3)CH2OCOφCOO]mCH2CH=CH2、m=0〜5(ここでφはフェニル基を示す)、
HMPP:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、
DDPE:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン。
【0033】
実施例1
表1に示す組成のように、官能性モノマーとして、M1のフマル酸ジエステルとして、DcHFを80.0重量部、M2の多官能性モノマーとして、BDを20.0重量部、重合開始剤として、HMPPを0.5重量部、光を遮蔽した容器にとり、50℃に加温して溶解して光学的立体造形用組成物を調製した。
次いで、その組成物を用いて、水冷アルゴンレーザー光を光学的立体造形用組成物の液面に対して垂直に照射(照射エネルギー20〜30mJ/cm2)する条件下、スライスピッチ(積層厚み)0.05mm、一層当たりの平均造形時間2分となるよう超高速光造形システム(帝人製機株式会社製「SOLIFORM500」)を使用して光学的立体造形物を製造した。
得られた光学的立体造形物をイソプロピルアルコールで洗浄した後、3kWの紫外線を照射してポストキュアした。得られた光学的立体造形物を試料として用い、前記に示した方法で熱変形温度、線膨張係数、吸水率を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
実施例2〜12
表1および2に示す組成に従って光学的立体造形用組成物を官能性モノマー、重合開始剤を用いて実施例1と同様にして調製した。
実施例1と同様にして硬化した後、前記の方法で測定した。その結果を表1および2に示す。
【0035】
比較例1
表2に示す組成に従ってフマル酸ジエステルの代わりにメタクリル酸メチル(MMA)を用いた以外は実施例1と同様の方法で調製した組成物を用いて光学的立体造形物を製造した。得られた光学的立体造形物の熱変形温度、線膨張係数、吸水率を実施例1に準じて測定した。その結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
以上の結果、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物である実施例1〜12による光学的立体造形物は、比較例1に比べて、耐熱性、低吸水性並びに寸法安定性に優れたものであり、優れた立体造形物を得ることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学的立体造形用樹脂組成物を用いる光造形法の原理の一例を示す図である。
Claims (3)
- フマル酸ジエステル(M1成分)と、一分子内に炭素=炭素二重結合を少なくとも二個以上含むビニル系単量体(M2成分)及び重合開始剤(L1成分)を含有する光学的立体造形用組成物。
- フマル酸ジエステル(M1成分)が、a1;炭素数3〜12の分枝アルキル基含有フマル酸ジエステル、または炭素数2〜6のアルキル置換または無置換の炭素数3〜14の環構造炭化水素基含有フマル酸ジエステル、a2;シクロヘキサン系炭化水素基含有フマル酸ジエステル、a3;ヘテロ原子含有フマル酸ジエステルおよび、a4;ハロゲン原子含有フマル酸ジエステル、からなる群より選択される1種または2種以上で、重合性成分中に20重量%〜95重量%と、一分子内に炭素=炭素二重結合を少なくとも二個以上含むビニル系単量体(M2成分)が、b1;多官能アクリレート、b2;多官能メタクリレート、b3;芳香族ビニル単量体、b4;多官能マレイミド、b5;多官能ビニルエーテルおよび、b6;多官能アリル単量体、からなる群より選択される1種または2種以上で重合性成分中に5重量%〜80重量%と、および必要量の重合開始剤(L1成分)を含有する請求項1記載の光学的立体造形用組成物。
- 請求項1または2に記載の光学的立体造形用組成物を硬化させてなる光学的立体造形物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001138312A JP4362989B2 (ja) | 2001-05-09 | 2001-05-09 | 光学的立体造形用組成物および造形物 |
Applications Claiming Priority (1)
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