JP4362267B2 - 分解装置及び分解方法 - Google Patents

分解装置及び分解方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4362267B2
JP4362267B2 JP2002185218A JP2002185218A JP4362267B2 JP 4362267 B2 JP4362267 B2 JP 4362267B2 JP 2002185218 A JP2002185218 A JP 2002185218A JP 2002185218 A JP2002185218 A JP 2002185218A JP 4362267 B2 JP4362267 B2 JP 4362267B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
organic chlorine
electrolysis
storage tank
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002185218A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003104915A (ja
Inventor
俊彦 三浦
博 久保
欽也 加藤
正浩 川口
朗 栗山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Obayashi Corp
Original Assignee
Canon Inc
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc, Obayashi Corp filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002185218A priority Critical patent/JP4362267B2/ja
Publication of JP2003104915A publication Critical patent/JP2003104915A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4362267B2 publication Critical patent/JP4362267B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Treating Waste Gases (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスないしはミスト状に存在する有機塩素化合物等の有害物(汚染物質)の分解・除去に好適な有害物の分解・除去装置及び方法、並びに物質の分解装置及び分解方法に関する。
【0002】
【背景技術】
工場跡地やクリーニング店の跡地等においては、機械等の洗浄に用いられる有機塩素化合物が土壌を汚染している例がしばしば見られる。このような有機塩素化合物は、化学的に安定しているため、汚染土壌の処理が近年問題になってきている。
【0003】
有機塩素化合物を分解・除去するための手法としては、焼却、熱分解、光分解、酸化分解、還元分解、触媒、あるいは微生物分解等の方法が知られている。この他の分解・除去方法として、電気分解法が開発されている(特公平5−1078号公報)。電気分解法は、有機塩素化合物を含有した汚染水に通電することにより、電極表面を酸化または還元状態に変化させ、汚染物質を酸化還元反応により分解し、無害化する技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の電気分解法にあっては、汚染土壌から抽出したガス状ないしはミスト状の有機塩素化合物に電極を挿入して通電することができない。このため、ガス状ないしはミスト状の有機塩素化合物を、液相に吸収したのち液相に通電して電気分解処理する方法があるが、有機塩素化合物を吸収した後の液相を別途処理する必要があった。
【0005】
また、汚染物質の濃度が高いほど単位電気量当たりの電気分解効率が高いことが知られているが、有機塩素化合物を吸収した液相を電気分解すると、分解処理を続けるとともに濃度が減少し、単位時間当たりの分解効率が減少するといった課題があった。
【0006】
本発明は以上の課題を解決するものであり、有機塩素化合物等の有害物を吸収した液相を別途処理することなく、また高い分解効率を維持することができる有害物の分解・除去装置及び方法、並びに物質の分解装置及び分解方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による分解装置は、有機塩素化合物を貯蔵するための貯蔵槽と、前記有機塩素化合物を前記貯蔵槽に供給する有機塩素化合物供給手段と、前記貯蔵槽内の前記有機塩素化合物を前記貯蔵槽から揚程し、再び貯蔵槽内に循環させる連結管と、前記連結管中に位置し、前記揚程した有機塩素化合物を電気分解するための電気分解槽と、前記電気分解槽において前記有機塩素化合物電気分解することによって生じる分解物を搬送して収納する収納部と、を備え、前記電気分解槽において、液体の流れに対して垂直に板状の電極を配置することを特徴とする。
【0008】
また、前記板状の電極は、前記電気分解槽において流れる液体を流通させるための穴を備えることを特徴としても良い。
【0011】
また、前記連結管が前記貯蔵槽から揚程し、前記貯蔵槽内に循環させた前記有機塩素化合物を含む液体と、前記有機塩素化合物供給手段から供給された前記有機塩素化合物を含む気体とを気液接触させるための気液接触部を、前記貯蔵槽内に備えることを特徴としてもよい。
【0012】
また、前記連結管は、前記有機塩素化合物電気分解時に、前記貯蔵槽から揚程した前記有機塩素化合物を含む液体で満たされていることを特徴としてもよい。
【0014】
また、前記電極板状であって、液体の流れに対して垂直に配置されているは、各々の電極面に下ろした共通垂線が、液体の流れの方向に平行であることをいう。ここでは、「直交」「平行」は「完全な直交」「完全な平行」でなくても良い。
【0015】
また、前記有機塩素化合物は、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の少なくとも一つであることを特徴としてもよい。
【0016】
また、前記分解物は、塩素であることを特徴としてもよい。
【0017】
さらに、本発明による分解方法は、前記分解装置のいずれかを用いて行う有機塩素化合物電気分解を行う方法であって、有機塩素化合物を前記貯蔵槽に供給する工程と、前記貯蔵槽内の前記有機塩素化合物を前記貯蔵槽から揚程し、再び貯蔵槽内に循環させる工程と、前記有機塩素化合物電気分解する工程と、前記有機塩素化合物電気分解することによって生じる分解物を搬送して収納する工程と、を含むことを特徴とする分解方法としてもよい。
【0020】
さらに、本発明による分解装置は、有機塩素化合物を液体と接触させて前記液体中に取り込ませるための内部空間を有する接触部と、前記液体中に取り込まれた前記有機塩素化合物を前記内部空間とは異なる位置に前記液体とともに導出するための流路と、前記流路中に位置し、導出した前記有機塩素化合物電気分解するための電気分解槽と、前記電気分解槽おいて前記有機塩素化合物電気分解されてできた生成物を含む液体を前記接触部へ導入する手段と、を備え、前記電気分解槽において、液体の流れに対して垂直に板状の電極を配置することを特徴とする分解装置としてもよい。
【0021】
また、前記板状の電極は、前記電気分解槽において流れる液体を流通させるための穴を備えることを特徴としてもよい。
【0022】
また、前記電気分解槽おいて前記有機塩素化合物電気分解されてできた生成物を外気から遮断した状態で別に用意した媒体に取り込ませる手段を更に有することを特徴としてもよい。
【0023】
また、前記媒体は、液状体であることを特徴としてもよい。
【0024】
また、前記媒体は、吸着剤であることを特徴としてもよい。
【0026】
また、前記有機塩素化合物は、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の少なくとも一つであることを特徴としてもよい。
【0027】
また、前記生成物は、塩素であることを特徴としてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る第一の実施の形態による有害物としての有機塩素化合物(物質)の分解・除去装置及び方法を示すものである。
【0030】
同図において、ガス状ないしはミスト状の有機塩素化合物は、分解対象物供給手段1により、所定流速で気液接触型ガス吸収塔2内に導かれる。吸収塔2は、例えば図示するように、密閉式の中空シェル構造物であり、下部に吸収液が貯蔵される吸収液貯蔵槽3を備え、中間部には空隙率が大きくガス流に対する抵抗が少ない充てん物からなる気液接触部4が内蔵され、気液接触部4の上部は吸収液を散布するための散布室5となっている。散布室5の上部は、排気管6を通じて二次処理設備としての吸収塔7に接続されている。
【0031】
ここで、ガス状ないしはミスト状の有機塩素化合物としては、例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、1.2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1.2−ジクロロエチレン、1.1.1−トリクロロエタン、1.1.2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1.3−ジクロロプロペン、ダイオキシン(テトラクロロジベンゾールパラジオキシン)、テトラクロロエチレン等の有害物質があり、例えば工場跡地等において、汚染された土壌に多く見られる。
【0032】
除去及び分解の対象となる有機塩素化合物は、上記の有害物に加え、上記の有害物の分解生成物も含むものである。例えば、クロロエチレン系物質を光分解したときに生じることが知られているトリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノクロロ酢酸などのハロ酢酸の除去及び分解に本発明を用いることができる。
【0033】
トリクロロエチレン汚染ガスの光分解ではジクロロ酢酸が生成する。ジクロロ酢酸は常温では液体ではあるが、トリクロロエチレン汚染ガスが連続的に送られ光分解処理がおこなわれる系などでは、分解生成物は処理ガスの流れの中にミスト状態で存在する。
【0034】
また、上記分解対象物質供給手段から供給される分解対象となる有害物は汚染土壌から抽出した有害物、汚染地下水、汚染水の曝気して得られた有害物、活性炭に吸着した有害物が熱などにより放出された有害物、工場・化学プロセスの排ガス中の有害物などに用いることができる。
【0035】
貯蔵槽3には、水およびこれに溶解した例えば塩化ナトリウムのごとき電解質水溶液である吸収液8が貯蔵されるとともに、吸収液中に下部が浸漬される一対の正負電極9が対向配置され、それぞれの電極9に整流器10で直流変換された電流が印加されることで、吸収液8が電気分解され、その酸化還元反応によって単離された塩素ガスその他の副成ガスが、気液接触部4、散布室5および排気管6を通じて吸収塔7側に移動し、ここで塩素ガスの吸収などの二次処理が連続的になされる。正負電極9および整流器10は電気分解手段を構成している。
【0036】
なお、電気分解に要する電流量は、前記分解対象物供給手段1から供給される有機塩素化合物を含む気体の流速や、有機塩素化合物の濃度等に応じて整流器10により調整される。有機塩素化合物の濃度を測る手段としては、例えば、土壌から汚染物質を吸収したとき計測した濃度から見積もる方法や吸収塔2内にセンサーを設けることが考えられる。
【0037】
貯蔵槽3内の吸収液8は循環パイプ11(連結管)を通じて該パイプ11中に配置された循環ポンプ12により揚程されて気液接触部4の上部に吐出手段13から散布され、気液接触部4を流下しつつ分解対象物供給手段1から流入する気体中から有機塩素化合物を捕捉(吸収液中に有機塩素化合物を投入)しながら電解液槽3内に流下し、循環パイプ11を通じて気液接触部4上に循環されるサイクルを繰返す。
【0038】
気液接触部4は、気液の接触時間を長く保つものが好ましい。例えば、ラビリンス(迷路)構造を有する充填物(商品名:トライ・バックス;巴工業(株)製)等を用いる。気液接触部4の下方から導入される有機塩素化合物を含有したガスは、分解対象供給手段1から流入する気体により押し出され上方の排気管6に向かう一方、気液接触部4の上部に吸収液8が散布されることにより、その内部を分散されながら吸収液8が滴下することで、吸収液8と有機塩素化合物含有ガスとが気液接触する。導入されるガス中の有機塩素化合物は、溶液中に取り込まれやすい性質を有するため、吸収液8中に溶解しつつ、該有機塩素化合物を吸収した吸収液8が貯蔵槽3に流下する。気液接触部4において、吸収液に有機塩素化合物を接触させるのは、有機塩素化合物を含有するガスを導入する際に小さなエネルギーで導入できることや、気液接触の時間を長く保つことができる効果があるからである。
【0039】
そして、電気分解により分解され、発生するガスは、水素、酸素と、塩素、二酸化炭素ガス 、メタンガスなどであり、これらは連続的に排気管6を通じて吸収塔7側に排出されるため、吸収塔2内でのガス蓄積はない。発生するガスは、水に取り込まれにくいため、再び気液接触部4で吸収液8に吸収されることはないと考えられる。また、吸収液8が気液接触部4の上部に散水部5にて散水されることにより、発生する熱をにがすことができる。さらに、循環パイプ11内の吸収液8は、循環ポンプ12により強制的に循環されるため、循環パイプ11内でのガス蓄積もない。一方、吸収塔2には、ガスを取り込むための媒体が存在する。媒体とは、例えば、液体状または吸着剤である。
【0040】
本実施の形態によれば、電気分解中、あるいは電気分解後の有機塩素化合物を吸収した溶液すべてを循環させていて気液接触型ガス吸収塔2から系外に排出していないため、その処理が実質的に不要である。
【0041】
すなわち、本実施形態は、外気と遮断されている系内で行われるため分解工程において生じる有害物質が外部に放出されることがなく安全である。労働安全衛生法によると、作業場の環境管理など、空気中の塩素許容濃度は、0.5ppmと定められている。
【0042】
しかも、有機塩素化合物含有ガスが所定流速で分解対象物供給手段1から気液接触型ガス吸収塔2内に導かれつつ、電気分解される貯蔵槽3内の吸収液8は、循環ポンプ12により循環されているので、有機塩素化合物の吸収と電気分解とを連続的かつ同時におこなうことができる。つまり、ガス吸収塔2内に導入される有機塩素化合物含有ガス流量とそのガス中の有機塩素化合物濃度とを用いて、投入電流量を設定すれば、吸収液中の有機塩素化合物を高濃度に保ちながら、換言すれば、その濃度が高いまま保持され、その結果、整流器10から給電される単位電流量当たりの電気分解効率が常時高いものとなる。このときのガス吸収塔2内に導入される有機塩素化合物含有ガス流量とそのガス中の有機塩素化合物濃度と投入電流量との関係は、例えば、ガス吸収塔2内に導入される有機塩素化合物含有ガス流量とそのガス中の有機塩素化合物濃度とを例えばセンサーを用いて計測し、それらと投入電流量との関係を示す実験テーブルデータを作成し、そのデータを基に投入電流量を設定する。
【0043】
図2は、本発明の第二実施形態による分解・除去装置を示すもので、気液接触型ガス吸収塔2の貯蔵槽3’から正負電極9が除去される一方、循環パイプ11の途中には、電気分解槽20を設けて、電気分解槽20内に一対の正負電極9を設ける。ここでは、正負電極9は板状であり、相対する電極面の共通垂線が循環パイプ11中を流れる液体の流れの方向と平行に、即ち電極面が液体の流れと垂直に、配置される。この時、電極面が液体の流れを遮断しないように、電極面には液体が通る穴を開けておく。その他の構成は、第一の実施の形態と同様であり、この実施の形態においても、第一の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0044】
また、循環させるタイプの装置では、完全に分解対象物が分解されなくてもよく、そのため送液スピードを上げることができるのだが、特に第二実施形態では、その流速で、電極の表面を洗い、電極表面の気泡を取り除くことができると同時に、電気分解で発熱した電極の熱を冷ますことができる。これに対し、吸収液8を循環させないタイプの装置は、電気分解でほぼ完全に分解対象物を分解しなければならず、多くのエネルギーを必要としたり、送液スピードを遅らせなければならなかったりする。
【0045】
また、本実施形態では、電気分解槽20と貯蔵槽3が別個に設けられている。電気分解のための正負電極9等のメインテナンスを必要とするものは、より単純な構造の電気分解槽20に設けられているため、電気分解槽20だけを循環パイプ11の部分から取り外すことにより、容易に電極9などのメインテナンスを行うことができる。
【0046】
図3は、本発明の第三実施形態による分解・除去装置を示すもので、電気分解槽20ではなく、循環パイプ11内に直接一対の正負電極9を設ける点が異なる。正負電極9の電極板は、その面の共通垂線が吸収液8の流れの方向と垂直になるように、即ち電極面が吸収液8の流れの方向に平行になるように配置されている。その他の構成は、第一の実施の形態と同様であり、この実施の形態においても、第二実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、第一の実施の形態におけるように貯蔵槽3にさらに電極を配置するとともに、または図5に示すように、これに代えて、気液接触部4に一対の正負電極9を設けることもできる(第四の実施の形態)。また、第二の実施の形態において電気分解槽20を設けるとともに、循環パイプ内に一対の正負電極9を設けることもできる。第一ないしは第二の実施の形態において、正負電極9は、そのいずれかを、気液接触型ガス吸収塔2のシェルまたは循環パイプ11に接続して構成することもできる。さらに、第一の実施の形態と第二の実施の形態の構成を併せ持っていてもよいし、この段落に記載した変形例の構成を併せ持ったものとしてもよい。さらに、どの実施の形態においても、正負電極板は、吸収液8の流れに平行でも垂直でも構わない。それ以外にも、例えば、正負電極9は、電極線で構成されていても構わないし、循環パイプ11の内壁に沿って負の電極板が張り巡らされ、パイプ11の中央に同軸で円柱状の正の電極柱が設けられても構わない。
【0048】
いずれの形態においても、電極9により電気分解されて発生したガスの一部もしくは全部は、循環パイプ11内の吸収液体中から吐出手段13によりガス分離室5(空間)中に吐出される。このとき、分解により発生したガス(気化された分解物)の多くは排気管6を通じて排出される。吸収液体中にある未分解の分解対象物質はそのまま液体中に留まり、再び電気分解に供される。即ち、分解すべき物質を液体中で分解し、気化された分解物を含む液体を得るとともに、気化された分解物を含む液体を空間中に吐出し、気化された分解物と液体部分との分離をおこなっている。
【0049】
また、上記実施の形態では、気液接触型ガス吸収塔2を採用したが、気液接触部4を設けることなく、またはこれと共に、貯蔵槽3内に貯蔵される吸収液8中に、有機塩素化合物含有ガスの導入パイプを挿入することにより、有機塩素化合物を吸収液8に直接吸収させる構成とすることもできる。
【0050】
さらに、本明細書において、有害物として有機塩素化合物を例示したが、本発明において分解処理することができる物質は、これに限られるものではなく、上述したもののほか、酸化還元反応に関与しうるもの等はすべて含まれる。
【0051】
【実施例】
測定対象物であるミスト状、ガス状有機塩素化合物がジクロロ酢酸(DCA)である場合について、その測定条件と、有機塩素化合物吸収速度と分解量の関係について、以下の濃度予測を理論式に基づき行った。
【0052】
<1.諸条件>
DCAの発生速度Dμg/sec(一定)
通電時間Tsec
DCA吸収液量VL
初期DCA濃度C(0)μg/L
Tsec後の溶液中DCA濃度C(T)μg/L
単位電気量当たりのDCA分解量Rμg/c
【0053】
<2.通電がない場合>
通電をせずに、DCAを吸収させた場合、Tsec後の溶液中DCA濃度は以下の式で示される。
C(T)=(DT/V)+C(0) ……(1)
【0054】
<3.通電をした場合>
単位電気量当たりの分解量Rμg/cは、実験(3.5Lデシケーター、Cl濃度0.1%)から以下の関係式が成立した。
R=0.032×{C(T)×10−3}0.88 ……(2)
近似を行うと、
R=6.14x10−3×(C(T)×10−3) ……(3)
dTsecの間の分解量は、R×dE=R×I(電流一定)×dTなので、以下の式となる。
分解量=6.14×10−6×C(T)×I×dT ……(4)
dTsecの間のDCA発生量はD×dTなので、dTの間の濃度変化dCは以下の式で表すことができる。
dC=(DdT/V)−(6.14×10−6×C(T)×dT)/V
dC/dT=D/V−(6.14×10−6×C(T)×I)/V……(5)
ここで、D/V=a、(6.14×10−6×I)/V=bとすると、
dC/dT=a−bC(T)=b((a/b)−C(T))=−b(C(T)−(a/b))
d(C(T)−(a/b))/dT=dC(T)/dT−(d(a/b))/dT=−b(C(T)−(a/b))
d(C(T)−(a/b))/((C(T)−(a/b))=−bdT
両辺をTで積分すると、
log(C(T)−(a/b))=−bT+K 但し、K:定数
C(T)−(a/b)=e−bT+K=K1e−bT 但し、K1:定数
よって、
C(T)=(a/b)+K1e−bTとなる。
ここで、初期濃度(T=0)はC(0)なので、
K1=C(0)−(a/b)
C(T)=(a/b)+(C(0)−(a/b))e−bT ……(6)
なお、T→∞のとき、C(∞)=(a/b)=D/(6.14×10−6×I)に収束する。
【0055】
次に、以上の理論に基づいて、電気分解実験をしたところ、次の結果が得られた。
1.実験条件
分解対象物質:空気中のミスト状、ガス状ジクロロ酢酸(DCA)
吸収速度 :約15μg/sec(多少の変動有り)
吸収液量 :3L
吸収液中の塩素濃度:0.1%
初期濃度 :吸収液中のDCA初期濃度(通電前濃度約1000mg/L)
通電条件 :直流電流2A、電圧20V
電極形状 :白金電極、板状(50cm2)、電極間距離3cm
装置構成 :吸収塔内に電極を挿入した構成(図1参照)
【0056】
2.実験結果
結果を図4に示す。この図から、通電なしの場合は吸収液中のDCA濃度が増加し、蓄積しているが、通電を行うとDCA濃度は常時一定となった。また、図1に対応する排気管6からの排気気体中にDCAは認められなかった。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明による分解対象物の分解装置及び分解方法によれば、分解対象物である有機塩素化合物を取り込んだ溶液を、高い分解効率を維持したまま連続処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一の実施の形態による分解装置の説明図である。
【図2】同第二の実施の形態による分解装置の説明図である。
【図3】同第三の実施の形態による分解装置の説明図である。
【図4】吸収のみの場合と吸収と電気分解を組合わせた場合とを比較するグラフである。
【図5】本発明に係る第四の実施の形態による分解装置の説明図である。
【符号の説明】
1 分解対象物供給手段
2 気液接触型ガス吸収塔
3,20 電解液槽
4 気液接触部
5 ガス分離室
6 排気管
7 二次処理設備(吸収塔)
8 吸収液
9 電極
10 整流器
11 循環パイプ
12 循環ポンプ
13 吐出手段

Claims (14)

  1. 有機塩素化合物を貯蔵するための貯蔵槽と、
    前記有機塩素化合物を前記貯蔵槽に供給する有機塩素化合物供給手段と、
    前記貯蔵槽内の前記有機塩素化合物を前記貯蔵槽から揚程し、再び貯蔵槽内に循環させる連結管と、
    前記連結管中に位置し、前記揚程した有機塩素化合物を電気分解するための電気分解槽と、
    前記電気分解槽において前記有機塩素化合物電気分解することによって生じる分解物を搬送して収納する収納部と、
    を備え、
    前記電気分解槽において、液体の流れに対して垂直に板状の電極を配置することを特徴とする有機塩素化合物の分解装置。
  2. 前記板状の電極は、前記電気分解槽において流れる液体を流通させるための穴を備えることを特徴とする、請求項1に記載の分解装置。
  3. 前記連結管が前記貯蔵槽から揚程し、前記貯蔵槽内に循環させた前記有機塩素化合物を含む液体と、前記有機塩素化合物供給手段から供給された前記有機塩素化合物を含む気体とを気液接触させるための気液接触部を、前記貯蔵槽内に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の分解装置。
  4. 前記連結管は、前記有機塩素化合物電気分解時に、前記貯蔵槽から揚程した前記有機塩素化合物を含む液体で満たされていることを特徴とする請求項に記載の分解装置。
  5. 前記有機塩素化合物は、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分解装置。
  6. 前記分解物は、塩素であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の分解装置。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の分解装置を用いて有機塩素化合物電気分解を行う方法であって、
    有機塩素化合物を前記貯蔵槽に供給する工程と、
    前記貯蔵槽内の前記有機塩素化合物を前記貯蔵槽から揚程し、再び貯蔵槽内に循環させる工程と、
    前記有機塩素化合物電気分解する工程と、
    前記有機塩素化合物電気分解することによって生じる分解物を搬送して収納する工程と、
    を含むことを特徴とする分解方法。
  8. 有機塩素化合物を液体と接触させて前記液体中に取り込ませるための内部空間を有する接触部と、
    前記液体中に取り込まれた前記有機塩素化合物を前記内部空間とは異なる位置に前記液体とともに導出するための流路と、
    前記流路中に位置し、導出した前記有機塩素化合物電気分解するための電気分解槽と、
    前記電気分解槽おいて前記有機塩素化合物電気分解されてできた生成物を含む液体を前記接触部へ導入する手段と、
    を備え、
    前記電気分解槽において、液体の流れに対して垂直に板状の電極を配置することを特徴とする有機塩素化合物の分解装置。
  9. 前記板状の電極は、前記電気分解槽において流れる液体を流通させるための穴を備えることを特徴とする、請求項8に記載の分解装置。
  10. 前記電気分解槽おいて前記有機塩素化合物電気分解されてできた生成物を外気から遮断した状態で別に用意した媒体に取り込ませる手段を更に有することを特徴とする請求項8または9に記載分解装置。
  11. 前記媒体は、液状体であることを特徴とする請求項10に記載分解装置。
  12. 前記媒体は、吸着剤であることを特徴とする請求項10に記載分解装置。
  13. 前記有機塩素化合物は、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の少なくとも一つであることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載分解装置。
  14. 前記生成物は、塩素であることを特徴とする請求項乃至13のいずれか1項に記載分解装置。
JP2002185218A 2001-07-27 2002-06-25 分解装置及び分解方法 Expired - Fee Related JP4362267B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002185218A JP4362267B2 (ja) 2001-07-27 2002-06-25 分解装置及び分解方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-227673 2001-07-27
JP2001227673 2001-07-27
JP2002185218A JP4362267B2 (ja) 2001-07-27 2002-06-25 分解装置及び分解方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003104915A JP2003104915A (ja) 2003-04-09
JP4362267B2 true JP4362267B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=26619427

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002185218A Expired - Fee Related JP4362267B2 (ja) 2001-07-27 2002-06-25 分解装置及び分解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4362267B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110508606B (zh) * 2018-05-21 2023-05-30 苏州鼎德电环保科技有限公司 一种受污染土壤的修复装置和修复方法
CN114321956B (zh) * 2021-12-20 2022-10-28 徐州长盛电力设备有限公司 一种具有废气分离处理功能的环保型电杆生产用工业锅炉

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003104915A (ja) 2003-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3988827B2 (ja) 負および正の酸化還元電位(orp)水を生成するための方法および装置
US6616815B2 (en) Method of decomposing halogenated aliphatic hydrocarbon compounds or aromatic compounds and apparatus to be used for the same as well as method of clarifying exhaust gas and apparatus to be used for the same
JP2005074311A (ja) 空気清浄機および空気清浄方法
WO2008072392A1 (ja) 排ガス処理方法およびその装置
JP4362267B2 (ja) 分解装置及び分解方法
JP2006320870A (ja) 排ガス処理システム
JP2004028550A (ja) 複数の物質を含有する混合気体から各物質を分離する分離方法及びその装置
US7083707B2 (en) Decomposition apparatus and decomposition method
JP4646685B2 (ja) イオン性液体によるハロゲン化有機化合物の除去方法と除去装置
US7169287B2 (en) Decomposition apparatus and decomposition method
JP2010022959A (ja) 脱臭装置
JP3699055B2 (ja) ガス状有機化合物の分解装置
JP2016190206A (ja) 排ガス中のアルシン除去方法
JP2003126683A (ja) 分解装置及び分解方法
JP2010099581A (ja) 排水処理方法
JP2001179046A (ja) 排気または排煙の脱臭、浄化方法
JP2001017832A (ja) 排ガス除害装置
JP2001170204A (ja) 汚染物質分解装置及び汚染物質分解方法
JP2006289231A (ja) 有機塩素化合物の分解処理方法および装置
JP4051700B2 (ja) 有機塩素化合物の処理装置
JPH09205272A (ja) 表面処理方法及びその装置
JP3583608B2 (ja) 電気分解殺菌装置及び電気分解殺菌方法
JP2003305362A (ja) 流体作用装置ならびに流体に作用させる方法
JP3739169B2 (ja) 有機塩素化合物の分解装置
KR20220140184A (ko) 가스 스크러버 장치

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040924

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080304

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090721

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090817

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130821

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees