JP4646685B2 - イオン性液体によるハロゲン化有機化合物の除去方法と除去装置 - Google Patents

イオン性液体によるハロゲン化有機化合物の除去方法と除去装置 Download PDF

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Description

この出願の発明は、有機化合物に汚染された気体と液体の浄化方法、および、これらの方法を用いた処理装置に関するものである。より詳しくは、有機化合物を含有する気体または液体から、イオン性液体を利用して有機化合物を抽出・除去し、これを無害化処理する浄化方法に関するものである。
ダイオキシンや内分泌かく乱物質をはじめとするハロゲン化有機化合物やその他有害な有機化合物の処理方法として、溶液中の有機化合物をイオン性液体で抽出し処理する方法(特許文献1)がある。この方法においては、イオン性液体を使用して溶液中の有機化合物を液―液二相分配で抽出を行い、減圧下でイオン性液体中に取り込んだ有機化合物を揮発させ、発生した気体を放射線で分解処理する。イオン性液体より抽出した有機化合物は一旦揮発させて処理することから、揮発性の低い有機化合物の処理には適していなかった。さらに、有機化合物を揮発させずにそのままイオン性液体を放射線で直接処理することは技術的には可能であるものの、有機化合物の十分な分解を得るためには大量の放射線を照射する必要があり、この照射に伴ってイオン性液体の著しく分解劣化し、新たな有害物質が発生するため、非効率で処理コストが高いという欠点があった。
いっぽう、気体中の有害有機化合物の処理には、活性炭吸着による除去方法や、熱処理による分解方法などがある。前者は吸着した有害有機化合物を無害化するための後処理が必要であることから処理コストが高く、活性炭の定期的な交換が必要なためメンテナンス性にも問題があった。また、後者は高温処理を必要とするため装置および稼動コストが高いという問題があった。いっぽうで、気体中の有害有機化合物の直接的な処理方法として、放射線を汚染気体に直接照射にする方法(特許文献2)がある。この方法では、電子線を照射した空気を排ガスに混入することで処理効率は増加するものの、同時に環境負荷の高いNOが発生・増加し、排ガスの後処理が必要であるという欠点があった。
特開2004−313932号公報 特開2004−098035号公報
この出願の発明は、液体および気体中の有機化合物の分解処理方法であって、安価で実施可能な高効率で環境負荷の低い処理方法を提供することを課題とする。
この出願の発明者らは、上記の問題を解決するため鋭意研究を行った結果、イオン性液体が有する性質を利用した分離技術と、放射線照射や電場印加による有機化合物の分解技術とを組み合わせて使用する、液体および気体中の有機化合物の分解処理方法を完成させた。
すなわち、この出願の発明は、第1には、以下のステップ(1)(2)
(1)有機化合物を含有する気体にイオン性液体を接触させ、有機化合物をイオン性液体へ抽出し気体を浄化するステップ、
(2)イオン性液体に抽出された有機化合物を分解し、イオン性液体を無害化するステップ。
からなる気体中の有機化合物の除去方法であって、ステップ(1)における有機化合物を含有する気体とイオン性液体との接触が、少なくとも該気体中に該イオン性液体を噴霧および/または噴射する操作を含み、気相中で連続的に気−液抽出することを特徴とする気体中の有機化合物の除去方法を提供する。第2には、ステップ(2)における有機化合物の分解操作が、イオン性液体に放射線照射することにより行われることを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去を提供する。第3には、ステップ(2)における有機化合物の分解操作が、イオン性液体に電場を印加することにより行われることを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去方法を提供する。第4には、ステップ(2)において無害化されたイオン性液体を、ステップ(1)におけるイオン性液体として再利用することを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去方法を提供する。
さらに、この出願の発明は、第5には、有機化合物として、少なくともハロゲン化有機化合物が含まれていることを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去方法を、第6には、有機化合物として、少なくとも内分泌撹乱化学物質が含まれていることを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去方法を、第7には、有機化合物として、少なくともダイオキシンが含まれていることを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去方法を提供する。第8には、有機化合物を含有する気体とイオン性液体の流れが互いに向流となるように、重力方向に該イオン性液体を噴霧および/または噴射させ、重力と逆方向に該気体を連続通気し、気相中で連続的に気−液抽出することを特徴とする、前記の気体中の有機化合物の除去方法を提供する。第には、ステップ(1)における有機化合物を含有する気体とイオン性液体との接触が、さらに、イオン性液体中に該気体を曝気する操作を含み、液相中で連続的に気−液抽出することを特徴とする、前記の気体中の有機化合物の除去方法を提供する
この出願の発明は、第10には、気体中の有機化合物を浄化する装置であって、イオン性液体を貯留するイオン性液体貯留槽と、このイオン性液体貯留槽に接続され、有機化合物を含有する気体から有機化合物をイオン性液体に抽出分離する抽出塔と、前記イオン性液体に抽出された有機化合物を分解する浄化処理ユニットと、を備え、前記抽出塔と前記浄化処理ユニットとはイオン性液体排出路を介して接続され、前記抽出塔で抽出分離された有機化合物を含むイオン性液体が前記イオン性液体供給路を通じて前記抽出塔から前記浄化処理ユニットに供給され、前記抽出塔は、下部に、有機化合物を含有する気体を前記抽出塔内に供給する吸気口を有し、上部に、前記イオン性液体貯留槽からのイオン性液体を噴霧および/または噴射により前記抽出塔内に供給する噴射ノズルと前記抽出塔内に供給された前記気体を排出する排気口とを有し、前記浄化処理ユニットは、放射線照射によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための放射線発生装置、または、電場印加によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための電極および電場印加のための電源装置と、前記イオン性液体中の有機化合物を分解した後のイオン性液体を排出するイオン性液体廃液口とを有していることを特徴とする気体中の有機化合物の除去装置を提供する。第11には、気体中の有機化合物を浄化する装置であって、有機化合物を含有する気体から有機化合物をイオン性液体に抽出分離する抽出塔と、前記イオン性液体に抽出された有機化合物を分解する浄化処理ユニットと、を備え、前記抽出塔と前記浄化処理ユニットとはイオン性液体排出路を介して接続され、前記抽出塔で抽出分離された有機化合物を含むイオン性液体が前記イオン性液体供給路を通じて前記抽出塔から前記浄化処理ユニットに供給され、前記抽出塔は、下部に、有機化合物を含有する気体を前記抽出塔内に供給する吸気口を有し、上部に、イオン性液体を噴霧および/または噴射により前記抽出塔内に供給する噴射ノズルと前記抽出塔内に供給された前記気体を排出する排気口とを有し、前記浄化処理ユニットは、放射線照射によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための放射線発生装置、または、電場印加によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための電極および電場印加のための電源装置と、前記イオン性液体中の有機化合物を分解した後のイオン性液体を排出するイオン性液体廃液口とを有しており、前記抽出塔の前記噴射ノズルと前記浄化処理ユニットのイオン性液体廃液口とが循環路を介して接続されており、前記浄化処理ユニットにおいて前記イオン性液体中の有機化合物が分解された後のイオン性液体が前記循環路を通じて前記抽出塔に供給されることを特徴とする気体中の有機化合物の除去装置を提供する。第12には、前記抽出塔が、複数設けられ、各抽出塔が直列に連結されており、前段の抽出塔とこれに隣接する後段の抽出塔とが連通するように前段の抽出塔の排気口とこれに隣接する後段の抽出塔の吸気口とが接続されており、イオン性液体への有機化合物の抽出分離が多段に処理されることを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去装置を提供する。第13には、前記浄化処理ユニットが単一であることを特徴とする前記の気体中の有機化合物の除去装置を提供する
この出願の発明の液体および気体中の有機化合物の浄化方法ならびに浄化装置により、ダイオキシン類および内分泌かく乱物質を含むハロゲン化有機化合物を高効率で除去し、放射線照射や電場印加によって分解・無害化することが可能となる。これより、それらの有機化合物で汚染された気体および液体を、安価な処理コストで効率よく分解・処理することが可能となる。
この出願の発明においては次のプロセス(1)(2)によって気体または液体中の有機化合物を除去・分解することができる。
(1)気体または液体中の有機化合物を、イオン性液体に抽出するプロセス。
(2)イオン性液体に抽出された有機化合物を分解・無害化するプロセス。
このプロセス(1)においては、通常の気−液2相分配、あるいは液−液2相分配により、イオン性液体中に被処理気体あるいは被処理液体中の有機化合物を効率よく抽出する。抽出操作においては、非処理気体あるいは被処理液体が互いに向流となるように接触させたり、気体の場合には気体中にイオン性液体を拡散噴霧させ、液体の場合には超音波振動を加えることにより接触面積を増大させ、抽出効率を上昇させることができる。また、この抽出プロセスを多段にすることによっても抽出効率を上昇させることが可能である。
このプロセス(2)においては、イオン性液体を分解することなく、プロセス(1)で抽出した有機化合物を分解処理する。好ましくは、イオン性液体に放射線を照射または電場を印加して、イオン性液体中の有機化合物を分解処理する。分解処理に必要な放射線照射強度は1kGy以上であって、好ましくは5kGyである。また、分解処理に必要な電場強度は1V/cm以上であって、好ましくは2V/cmである。この分解プロセスによって、イオン性液体そのものはほとんど劣化しないために、イオン性液体を再利用することが可能であり、この再利用はメンテナンス性およびコストの観点からは特に好ましい。また、有機化合物は多くは二酸化炭素などの無害な物質に分解される。ハロゲン化有機化合物を抽出した場合は、ハロゲン化物を環境に放出することなく、ハロゲン化イオンとしてイオン性液体中にハロゲンを蓄積することができるため、イオン性液体中のハロゲン化イオンがある程度の濃度になった時点で、水を用いてイオン性液体からハロゲン化イオンを液−液抽出することが望ましい。
以下、模式図を用いて発明の実施の態様を説明する。
図1はイオン性液体Yを循環使用しない気体の浄化装置構成である。イオン性液体はイオン性液体貯留槽3に蓄えられており、重力を利用して被処理気体Gと互いに向流となるように抽出塔1の内に噴射または散布される。貯留槽3から抽出塔1へのイオン性液体の供給は、重力を利用した供給でもよいし、送液ポンプ31を使用してもよい。抽出塔1の内部は、散布されたイオン性液体が被処理気体中に拡散している噴霧状イオン性液体滞留部3S、および、液体としてイオン性液体が貯留されその中に被処理気体がバブル2Bとして流通している液状イオン性液体滞留部3Lから構成されている。イオン性液体Yの流通は、強制流通であり、好ましくは抽出塔1上部の噴射ノズル32から抽出塔1へ供給され重力方向へ流通させる。イオン性液体Yは、被処理気体Gから有機化合物などを抽出した後に、抽出塔1下部の液状イオン性液体滞留部3Lに滞留し、イオン性液体排出口33から放射線照射による浄化処理ユニット4へ送られる。
いっぽう、汚染気体の流通も、強制流通とするが、被処理気体流通ポンプ21によって抽出搭1下部より供給され、好ましくは液状イオン性液体滞留部3L中に供給される。さらに、被処理気体とイオン性液体との接触面積を増大させるために、液状イオン性液体滞留部3Lへの被処理気体Gの供給は多孔質フィルタ22を用い微小バブルとして導入するのが特に好ましい。被処理気体Gは排気口23を通じ抽出塔上部から排気される。処理された被処理気体Gに含まれる分解生成物は二酸化炭素など低分子化合物であり、汚染を生じず、ガスを大気環境中に放出できる。
浄化処理ユニットは、放射線照射式もしくは電場印加式とすることができる。例えば、放射線照射式では、照射窓42から放射線Xを照射処理室41内に照射して、イオン性液体に抽出した有機化合物を分解する。また、電場印加式では、浄化処理ユニット4内に電極44を配置し、電場印加室43で電場を印加することによって分解処理を行ってもよい。いずれの場合も、放射線照射または電場印加によって発生した電子の還元作用によって、直接イオン性液体中の有機化合物を無害な程度に分解することができる。なお、放射線発生装置5や電場印加のための電源装置6は公知のものが使用できる。この出願の発明の処理方法はコンパクトな処理装置で実現できるため、既存のプロセスヘの付設が容易である。
図1はイオン性液体Yを循環使用しない例であるが、もちろん、イオン性液体中の有害有機化合物は浄化処理ユニット4を導通することで分解されており、また、イオン性液体そのものは、放射線照射や電場印加によってほとんど劣化しないため、排出された使用済みイオン性液体を貯留しておき、再利用してもよい。さらに、図2に示すとおりにイオン性液体に貯留槽を設けず、イオン性液体の浄化処理ユニット4から直接抽出塔1内へイオン性液体を循環することもできる。
さらに、抽出塔から排気された被処理気体を再度同様の抽出塔へ導入して、残存する有機化合物をさらにイオン性液体中に抽出・除去する、2段階の処理も可能である(図3・図4)。この場合、1次抽出ユニット1PUと2次抽出ユニット1SU、それぞれのイオン性液体を別々に浄化処理しても構わないが、特に放射線照射による浄化処理を行う場合は、装置の複雑さやコストの観点から、単一の浄化処理ユニットを採用し、1次抽出ユニット1PUと2次抽出ユニット1SUからのイオン性液体の有機化合物分解処理を共通の浄化処理ユニット4で行うことが望ましい。
さらにまた、抽出搭をタンデムに連結し多段で処理することも可能である(図5、n≧1)。図5において多段抽出塔は、初期搭ユニット1IUと最終抽出ユニット1FUの間に、任意段数の中間抽出搭ユニットを配置して構成することができる。イオン性液体の処理は図5に示すように全段からのイオン性液体を単一の浄化処理ユニット4で集中処理してもよいが、数段ごとを一つの単位として分散処理してもよいし、各段ごとの個別処理としてもよく、処理の態様は特に限定されない。
いっぽう、有機化合物に汚染された液体の浄化処理装置は、基本的に気体の場合と同様の構成とすることができる。すなわち、気体の浄化処理装置と相違するのは抽出塔1内での被処理気体とイオン性液体との接触の態様であり、イオン性液体の浄化処理や再利用に関しては気体の浄化処理装置と同様に考えることができる。図6に示す液体の浄化装置においては、被処理液体Lとイオン性液体Yとの密度の違いから、抽出塔の下部から被処理液体Lを導入し、上部からイオン性液体Yを通じて、互いが向流になるように接触させ、被処理液体Lからイオン性液体Yへ有機化合物の液−液抽出を行う。この構成では、イオン性液体中に被処理液体を通じて抽出処理を行うが、好ましくは超音波発生装置8を使用し、抽出にかかる接触面積を増大させ抽出効率の向上をはかる。また、気体の場合と同様に抽出塔をタンデムに連結し、多段式の構成としてもよい。
なお、この出願の発明において、「ハロゲン化有機化合物」としては原子組成や化学構造によらないが、四塩化炭素、塩化メチル、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエチレン、1,1,2-トリクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロエチレン、CFC-12(CCl2F2)、 CFC-113(CCl2F-CCl2)、HCFC-22(HCClF2)、HCFC-123(CF3-CHCl2)、 HCFC-141b(CH3-CFCl2)、 HCFC-142b(CH3-CF2Cl)、PCB、ダイオキシンおよびそれらの異性体などが例示されるが、これらに限定されない。
また、この出願の発明において、「ダイオキシン」とは、酸素原子を二つ含む六員環不飽和含酸素複素化合物の総称であり、例えば、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD) 、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF) 、コプラナーポリ塩化ビフェニール(コプラナPCB)およびそれらの異性体を示す。また、「内分泌かく乱物質」とは、生体内でホルモン類似した挙動を示す物質であり、例えばジクロロトリフェニルトリクロロエタン(DDT)が示される。
この出願の発明における「イオン性液体」は、エチルメチルイミダゾリウムPF6、ブチルメチルイミダゾリウムPF6(II)、1-ブチル 4-メチルピリジニウムAlC13、1-メチル 4-エチルイミダゾリウムAlCl3、1,3-ジエチルイミダゾリウムトリフレートなどの、カチオンとアニオンのみを構成成分とする室温から高温で液体状の溶融塩全般を指す。イオン性液体は、対象となる有害有機物により、適したものを選択することができる。
この出願の発明における「放射線」とは、加速器を含む照射装置により発生させたX線(または制動放射線)や電子線、γ線が挙げられる。ここで、X線とは電気的に発生させた非常に短い波長の光を指し、電子線とは、加速器により発生させた電子の流れであり、さらには、γ線とはコバルトなどの放射性同位元素から放出される高エネルギーの光を指す。
この出願の発明にいうにおける「電場印加」とはこのような直流電圧を電極間に印加し、電場を形成することをいう。直流電圧とは、一般的には直流電圧発生装置による電圧を指す。電場印加の態様は、定常的に正または負の電圧を印加することができるが、一定の時間間隔で正と負を逆転させながら直流電圧を印加する方法も利用できる。
〔実施例1〕
図3に示す構成の装置を用いて、オンラインによる連続方式でこの出願の発明の排ガス浄化を行った。200ppmの1,2-ジクロロエタンを含む室温の排ガスを毎分10Lで抽出塔に導入し、イオン性液体を毎分0.5Lで噴霧した。抽出塔からの排ガス中の1,2-ジクロロエタン濃度は4ppm以下であり、抽出率は98%以上であった。次いで、抽出塔下部から導出したイオン性液体に電子線を5kGy照射することにより、1,2-ジクロロエタンをほぼ100%分解することができた。この結果、もとの排ガス中の1,2-ジクロロエタンを98%以上除去することができた。
〔実施例2〕
図4に示す構成の装置を用いて、1,1-ジクロロエチレンを400ppm程度含む室温の排ガスを毎分10Lで抽出塔に導入し、イオン性液体を毎分0.5Lで噴霧した。抽出塔からの排ガス中の1,1-ジクロロエチレン濃度は12ppm以下であった。次いで、抽出塔下部から導出したイオン性液体に直流電圧を3V印加することにより、1,1-ジクロロエチレンをほぼ100%分解することができた。この結果、もとの排ガス中の1,1-ジクロロエチレンをほぼ97%以上除去できた。
イオン性液体の処理を放射線照射で行う気体浄化装置の模式図。 イオン性液体の処理を放射線照射で行う循環式気体浄化装置の模式図。 イオン性液体の処理を放射線照射で行う2段循環式気体浄化装置の模式図。 イオン性液体の処理を電場印加で行う2段循環式気体浄化装置の模式図。 イオン性液体循環式の多段循環式気体浄化装置の模式図。 イオン性液体循環式の液体浄化装置の模式図。
符号の説明
1 抽出塔
1PU 一次抽出塔ユニット
1SU 二次抽出塔ユニット
1IU 初期抽出塔ユニット
1RU 中間抽出塔ユニット
1FU 最終抽出塔ユニット
2 被処理気体採取口
21 被処理気体輸送ポンプ
22 抽出塔内の吸気口(多孔質フィルタ)
23 抽出塔内の排気口
24 被処理気体排気口
25 被処理気体輸送ポンプ
2B 被処理気体バブル
3 イオン性液体貯留槽
31 送液ポンプ
32 噴射ノズル
33 抽出塔内のイオン性液体排出口
34 送液ポンプ
35 イオン性液体廃液口
3S 噴霧状イオン性液体滞留部
3L 液状イオン性液体滞留部
4 浄化処理ユニット
41 照射処理室
42 照射窓
43 電場印加室
44 電極
5 放射線もしくは電子線の発生装置
6 直流電流の発生装置
7 被処理気体採取口
71 被処理液体輸送ポンプ
72 抽出塔内の吸液口
73 抽出塔内の排液口
74 被処理液体排液口
8 超音波発生装置
G 被処理気体
L 被処理液体
X 放射線もしくは電子線
Y イオン性液体

Claims (13)

  1. 以下のステップ(1)(2)からなる気体中の有機化合物の除去方法であって、ステップ(1)における有機化合物を含有する気体とイオン性液体との接触が、少なくとも該気体中に該イオン性液体を噴霧および/または噴射する操作を含み、気相中で連続的に気−液抽出することを特徴とする気体中の有機化合物の除去方法。
    (1)有機化合物を含有する気体にイオン性液体を接触させ、有機化合物をイオン性液体へ抽出し気体を浄化するステップ、
    (2)イオン性液体に抽出された有機化合物を分解し、イオン性液体を無害化するステップ。
  2. ステップ(2)における有機化合物の分解操作が、イオン性液体に放射線照射することにより行われることを特徴とする請求項1記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  3. ステップ(2)における有機化合物の分解操作が、イオン性液体に電場を印加することにより行われることを特徴とする請求項1記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  4. ステップ(2)において無害化されたイオン性液体を、ステップ(1)におけるイオン性液体として再利用することを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれかに記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  5. 有機化合物として、少なくともハロゲン化有機化合物が含まれていることを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれかに記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  6. 有機化合物として、少なくとも内分泌撹乱化学物質が含まれていることを特徴とする請求項1ないし5のうちのいずれかに記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  7. 有機化合物として、少なくともダイオキシンが含まれていることを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれかに記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  8. 有機化合物を含有する気体とイオン性液体の流れが互いに向流となるように、重力方向に該イオン性液体を噴霧および/または噴射させ、重力と逆方向に該気体を連続通気し、気相中で連続的に気−液抽出することを特徴とする請求項1ないし7のうちのいずれかに記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  9. ステップ(1)における有機化合物を含有する気体とイオン性液体との接触が、さらに、イオン性液体中に該気体を曝気する操作を含み、液相中で連続的に気−液抽出することを特徴とする、請求項1ないし8のうちのいずれかに記載の気体中の有機化合物の除去方法。
  10. 気体中の有機化合物を浄化する装置であって、イオン性液体を貯留するイオン性液体貯留槽と、このイオン性液体貯留槽に接続され、有機化合物を含有する気体から有機化合物をイオン性液体に抽出分離する抽出塔と、前記イオン性液体に抽出された有機化合物を分解する浄化処理ユニットと、を備え、前記抽出塔と前記浄化処理ユニットとはイオン性液体排出路を介して接続され、前記抽出塔で抽出分離された有機化合物を含むイオン性液体が前記イオン性液体供給路を通じて前記抽出塔から前記浄化処理ユニットに供給され、前記抽出塔は、下部に、有機化合物を含有する気体を前記抽出塔内に供給する吸気口を有し、上部に、前記イオン性液体貯留槽からのイオン性液体を噴霧および/または噴射により前記抽出塔内に供給する噴射ノズルと前記抽出塔内に供給された前記気体を排出する排気口とを有し、前記浄化処理ユニットは、放射線照射によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための放射線発生装置、または、電場印加によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための電極および電場印加のための電源装置と、前記イオン性液体中の有機化合物を分解した後のイオン性液体を排出するイオン性液体廃液口とを有していることを特徴とする気体中の有機化合物の除去装置。
  11. 気体中の有機化合物を浄化する装置であって、有機化合物を含有する気体から有機化合物をイオン性液体に抽出分離する抽出塔と、前記イオン性液体に抽出された有機化合物を分解する浄化処理ユニットと、を備え、前記抽出塔と前記浄化処理ユニットとはイオン性液体排出路を介して接続され、前記抽出塔で抽出分離された有機化合物を含むイオン性液体が前記イオン性液体供給路を通じて前記抽出塔から前記浄化処理ユニットに供給され、前記抽出塔は、下部に、有機化合物を含有する気体を前記抽出塔内に供給する吸気口を有し、上部に、イオン性液体を噴霧および/または噴射により前記抽出塔内に供給する噴射ノズルと前記抽出塔内に供給された前記気体を排出する排気口とを有し、前記浄化処理ユニットは、放射線照射によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための放射線発生装置、または、電場印加によりイオン性液体中の有機化合物を分解するための電極および電場印加のための電源装置と、前記イオン性液体中の有機化合物を分解した後のイオン性液体を排出するイオン性液体廃液口とを有しており、前記抽出塔の前記噴射ノズルと前記浄化処理ユニットのイオン性液体廃液口とが循環路を介して接続されており、前記浄化処理ユニットにおいて前記イオン性液体中の有機化合物が分解された後のイオン性液体が前記循環路を通じて前記抽出塔に供給されることを特徴とする気体中の有機化合物の除去装置。
  12. 前記抽出塔が、複数設けられ、各抽出塔が直列に連結されており、前段の抽出塔とこれに隣接する後段の抽出塔とが連通するように前段の抽出塔の排気口とこれに隣接する後段の抽出塔の吸気口とが接続されており、イオン性液体への有機化合物の抽出分離が多段に処理されることを特徴とする請求項11記載の気体中の有機化合物の除去装置。
  13. 前記浄化処理ユニットが単一であることを特徴とする請求項12記載の気体中の有機化合物の除去装置。
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